説明

コア材料および少なくとも1層の誘電体層を含む顔料の製造方法

本発明は、コア材料および、フッ素捕捉剤水溶液からコア材料上への金属酸化物マイクロ波付着を用いた少なくとも1層の誘電体層を含む顔料の製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア材料および、前駆体材料水溶液からコア材料上への金属酸化物マイクロ波付着を用いた少なくとも1層の誘電体層を含む顔料の製造方法に関するものである。
【0002】
エフェクト顔料は、歴史的に2方法のいずいれかによって製造されてきた。たとえば米国特許第3,438,796号記載の第1の方法では、見る角度によって色変化を示し、そして比較的厚いSiO層、透明アルミニウム薄膜、および厚いSiO皮膜で対称的に被覆された、中央の不透明アルミニウム皮膜からなるゴニオクロマチック(角度依存色彩性)エフェクト顔料は、基材膜を高レベル真空下でSiO蒸気とアルミニウム蒸気とで交互に被覆し、その結果得られた多層構造物を、基材から掻き取るか、または他の方法で除去することによって形成され、顔料粒子として提供される。
【0003】
前記の方法を改善したものが、たとえば米国特許第5,135,812号に記載されている。この特許は、可溶性ウェブ上に真空蒸着させ、この後、多層構造物のシートにするためにそのウェブを溶解すると、その際にシートがバラバラに砕けて片になり、顔料粒子として提供されるやり方、またはその多層構造物を可撓性ウェブ上に設けられた剥離層の上に形成させるやり方、の両者を記述している。後者の場合は、ウェブを撓ませた際に多層構造物が剥がれ、分裂して粒子化するが、その後、粒子は所望の粒度のものに粉砕される。これらの手法は、いずれも多数回のコーティング工程および/または真空蒸着工程を必要とし、しかもこれらの工程は、適切なエフェクト顔料を提供するために正確に制御されなければならない。この方法に関わる工程の数、専用の装置、および要求される正確な工程制御のために、得られる顔料はきわめて高価である。
【0004】
相当する塩(すなわち、硫酸塩またはハロゲン化物)の液相分解(加水分解)による金属酸化物層の付着に関わる方法は、それ自体公知であり、光沢性、または真珠光沢性顔料(半透明マイカをコア材料とする)を形成させるために用いられてきた。しかしながら、たとえば米国特許第3,087,827号および米国特許第5,733,371号記載のこの種の方法は、この種の手法によって要求される高酸性(pHが4未満の)水溶液の中で、反射性金属コアを有するエフェクト顔料を形成させるのは適切でない、と考えられていた。
【0005】
LEDデバイス用に用いられるガラス板、および酸化インジウムスズ被覆ガラス板上に金属酸化物皮膜を付着する目的でマイクロ波エネルギーを用いることは公知であり、多数の雑誌論文、たとえばE.Vigil, L.Saadoun, Thin Solid Films 2000, 365, 12-18およびE.Vigil, L.Saadoun, J. Materials Science Letters 1999, 18, 1067-1069に開示されている。良好な接着は酸化インジウムスズ被覆ガラス板上でのみ得られており、これについて著者らは、酸化インジウムスズコーティングの、ある種の電子供与能力によるものであると示唆している(Vigil,E.;Ayllen,J.A.;Peiro,A.M.;Rodriguez-Clemente,R.;Domenech,X.;Peral,J.Langmuir 2001,17,891を参照のこと)。
【0006】
マイクロ波照射による金属酸化物粒子のバルク沈殿は、たとえば、(1)Lerner,E.;Sarig,S.;Azoury,R. Journal of Materials Science: Materials in Medicine 1991, 2, 138、(2)Daichuan,D.;Pinjie,H.;Shushan,D. Materials Research Bulletin, 1995, 30, 537、(3)Leonelli,C.ら、Microwaves: Theory and Applications in Materials Processing 2001, 111, 321、(4)Girnus,I.ら、Zeolites 1995, 15, 33,(5)Rodriguez-Clemente,R. ら、Journal of Crystal Growth 1996, 169, 339、および(6)Daichuan,D.;Pinjie,H.;Shushan,D. Materials Research Bulletin, 1995, 30, 531に記述されている。
【0007】
驚くべきことに、本出願人は、本発明のマイクロ波付着方法を使用すると、コア上に、均一で半透明または透明な、厚さが一様な金属酸化物薄膜層を付着させる生産工程が可能になり、しかもその厚さはコア材料対金属酸化物(金属酸化物前駆体材料の質量)の質量比に基づいて調節することができ、そして金属酸化物を沈殿させることなしに、所望のエフェクトに応じた様々な厚さの金属酸化物薄膜を調製することが可能であることを見出した。金属酸化物層が液相付着法によって作製され、従来の加熱方法が適用される場合、エネルギーは表面から混合物全体へ、そして最後に基材へと伝達される。マイクロ波処理を用いる場合は、マイクロ波エネルギーは混合物全体よりも基材により多く吸収されるため、エネルギーは基材に集中する。このことが基材を反応中心とすることになり、反応がより高い確率で基材表面において生起することを可能にする。この表面における反応は、コーティング層をよりよく接着させ、そしてバルク沈殿が有意に少ないという結果を生む。表面接着性が良好なこと、コーティングの厚さまたは組成を変化させるための反応条件調節が容易なこと、および媒体全体の中の沈殿が最小限であることは、先行技術に勝る本発明の相当の利点を提供する。
【0008】
したがって、本発明は、コア材料および、周期律表の第3〜15族から選択される金属の酸化物の1種以上よりなる少なくとも1層の誘電体層を含む顔料の、以下の工程を含む製造方法を指向している:
(a)コア材料をフッ素捕捉剤水溶液中に懸濁させ;
(b)所望の金属酸化物コーティングの前駆体である1種以上のフッ素含有金属錯体の水溶液を加え;そして
(c)該懸濁液をマイクロ波放射線に曝し、該コア材料上に金属酸化物を付着させる。
【0009】
工程(b)および(c)は、場合により、異なるフッ素含有金属錯体を用い、繰り返して、1種以上の金属酸化物層、または厚さ方向に2種の異なる金属酸化物の濃度勾配を生じさせることができる。
【0010】
これらの層は、屈折率が異なるために光学的ゴニオクロマチック特性を変えたり、または他の特性、たとえばある種のモルフォロジー形成の触媒作用もしくは光活性抑制作用に影響を与えたりすることもあり得る。
【0011】
第一の好ましい態様において、本発明は、顔料粒子および、周期律表の第3〜15族から選択される金属の酸化物の1種以上よりなる少なくとも1層の誘電体層を含む、被覆された顔料粒子の製造方法に関するものであって、以下の工程を含む:
(a)顔料粒子をフッ素捕捉剤水溶液中に懸濁させ;
(b)所望の金属酸化物コーティングの前駆体である1種以上のフッ素含有金属錯体の水溶液を加え;そして
(c)該懸濁液をマイクロ波放射線に曝し、該顔料粒子上に金属酸化物を付着させるが、ここでは、工程(b)および(c)を、場合により、異なるフッ素含有金属錯体を用いて繰り返して、1層以上の金属酸化物層を生成させることができる。
【0012】
工程(b)および(c)は、さらに場合により、第1のフッ素含有金属錯体で出発し、ついで連続して第2の、ただし異なるフッ素含有金属錯体を加えて実施して、2種の異なる金属酸化物からなる金属酸化物層へと導くこともできる。
【0013】
金属酸化物層で顔料粒子をコーティングすれば、顔料粒子の所望の物理特性、たとえば光反射率、親水性(レオロジー性の改善)、耐候堅ろう性、導電率(導電層、たとえば酸化スズを必要とする)、光活性度などが修飾される。フッ素含有金属錯体は、フッ素捕捉剤溶液中の顔料粒子懸濁物に連続的に添加するのが好ましい。
【0014】
前記の態様においては、無機または有機顔料がコア材料として使用される。適した有機顔料は、たとえば、W.HerbstおよびK.Hunger, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim/New York, 2nd, completely revised edition, 1995に記載されており、たとえば、アゾ、アゾメチン、メチン、アントラキノン、フタロシアニン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イミノイソインドリン、ジオキサジン、イミノイソインドリノン、キナクリドン、フラバントロン、インダントロン、アントラピリミジン、およびキノフタロン顔料類、またはそれらの混合物もしくは固溶体;特にアゾ、ジオキサジン、ペリレン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、フタロシアニン、インダントロンもしくはイミノイソインドリノン顔料、またはそれらの混合物もしくは固溶体、からなる群より選択される。
【0015】
本発明に有用な注目すべき顔料は、Color Indexに記載されているそれらの顔料であって、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 179、C.I.Pigment Red 170、C.I.Pigment Red 144、C.I.Pigment Red 177、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 255、C.I.Pigment Red 264、C.I.Pigment Brown 23、C.I.Pigment Yellow 109、C.I.Pigment Yellow 110、C.I.Pigment Yellow 147、C.I.Pigment Yellow 191.1、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Orange 61、C.I.Pigment Orange 71、C.I.Pigment Orange 73、C.I.Pigment Orange 48、C.I.Pigment Orange 49、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Violet 23、C.I.Pigment Violet 37、C.I.Pigment Violet 19、C.I.Pigment Green 7、およびC.I.Pigment Green 36、またはそれらの混合物もしくは固溶体からなる群を包含する。
【0016】
別の好ましい顔料は、以下のものの縮合生成物である:
【0017】
【化1】

【0018】
(式中、R101およびR102は、独立に、水素、またはC〜C18アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−アミル、t−アミル、ヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシルもしくはオクタデシルである。)
【0019】
好ましくは、R101およびR102はメチルである。縮合生成物は、以下の式のものである:
【0020】
【化2】

【0021】
本発明に有用な、適した無機顔料は、カーボンブラック、アンチモンイエロー、クロム酸鉛、クロム酸硫酸鉛、モリブデン酸鉛、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、マンガンブルー、クロムオキシドグリーン、水和クロムオキシドグリーン、コバルトグリーン、硫化金属、スルホセレン化カドミウム、亜鉄酸亜鉛、およびバナジン酸ビスマス、ならびにこれらの混合物、からなる群より選択される。
【0022】
特に好ましい顔料粒子、とりわけ微小板状の粒子は、硫化モリブデン、β−フタロシアニン、フルオロルビン、レッドペリレン、ジケトピロロピロール、カーボンブラックおよび黒鉛を包含するが、なかでも、二酸化チタン被覆の微小板状黒鉛、たとえばGraphitan(登録商標)(Ciba Specialty Chemicals)が特に好ましい。
【0023】
粒子のサイズ自体は決定的なものでなく、特定の使用に適応させることができる。顔料粒子はフッ素捕捉剤の水溶液中で、撹拌または他の方式の揺動によって懸濁させればよい。該フッ素捕捉剤は、好ましくは、水溶液中でフッ素イオンを捕捉できる任意の化合物、たとえばホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、無水ホウ素、一酸化ホウ素、好ましくはホウ酸である。本発明の一態様においては、ホウ酸が使用される。ホウ酸溶液の濃度は、少なくとも、顔料粒子上に金属酸化物コーティングを付着させている間中、フッ素イオンを捕捉するために必要とされる濃度である。一態様においては、水で洗浄することによって除去される可能性があるので、過剰のホウ酸を使用している。典型的には、ホウ酸は水溶液の全量に基づいて、約0.01〜1.5M、好ましくは約0.08〜0.8Mの範囲で使用される。ホウ酸溶液の温度は、圧力をかけないで、循環媒体の凝固点と沸点の間である。この工程は、約15℃〜約95℃で都合よく実施される。背圧調整器が設けてあると、反応容器の圧力が適切に設定されていれば、温度は循環媒体の沸点より上に設定することも可能である。
【0024】
本発明の方法において、周期律表の第3〜15族元素の酸化物は、このなかの所望の金属酸化物の前駆体であるフッ素含有金属錯体の水溶液を加えてマイクロ波エネルギーを適用することにより顔料粒子上に付着させる。一般にこの溶液は、金属酸化物が顔料粒子上に付着するよりもむしろ沈殿してしまうのを制限するため、懸濁顔料粒子に連続的に添加される。基材を被覆するに適した金属酸化物そして結果の金属酸化物層は、当技術分野において周知のものであり、TiO、ZrO、CoO、SiO、SnO、GeO、ZnO、Al、V、Fe、Cr、PbTiO、CuO、またはそれらの混合物を包含する。特に好ましいのは、二酸化チタン、酸化鉄、および二酸化ケイ素である。所望の金属酸化物を形成する前駆体は、好ましくは、以下の材料の1種または組合せの溶液である:
(a)可溶性フッ化金属塩、
(b)可溶性金属フッ素錯体、
(c)上記の塩または錯体を形成する任意の混合物。
例は、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム;ヘキサフルオロスズ酸アンモニウム;ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム;塩化鉄(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;塩化アルミニウム(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;ヘキサフルオロゲルマニウム酸アンモニウム;フッ化インジウム(III)三水和物とヘキサフルオロスズ酸アンモニウムの組合せ;を包含する。最後の例において、金属酸化物層は、1種以上の金属酸化物、すなわち酸化インジウムスズ層を含んで形成される。フッ素含有金属錯体の濃度は、本方法にとって決定的なものではなく、所望の厚さを得るまでその混合物はマイクロ波照射が可能であるから扱いやすいものである、として指定される。したがって、濃度は約0.01Mから飽和溶液までの範囲であり得る。本発明の一態様においては、水溶液の全量に基づき、約0.2〜約0.4Mの範囲が用いられる。
【0025】
層の厚さ自体は決定的なものでなく、一般には1〜500nmの範囲になろう。
【0026】
任意の利用可能マイクロ波源が使用である。さらにまた、マイクロ波の周波数は、調節可能な装置であれば表面上への金属酸化物付着を促進するように同調させることができる。現時点で好ましいマイクロ波炉は、実験室改修のPanasonic NN-S542であって、作動周波数2,450MHz、出力1,300Wのものである。
【0027】
一旦、フッ素含有金属錯体の添加が完了し、そして所望の金属酸化物層厚が達成されたならば、懸濁物をろ過し、脱イオン水で洗浄し、乾燥し、そして場合により、約100〜900℃の温度で焼成することができる。金属が準安定原子価を含む場合には、非酸化性雰囲気、または1Paより低い真空下が好ましい。焼成温度は、基材の分解温度より低くなければならない。
【0028】
顔料粒子には、場合により、たとえば、Fe、CoO、CoTiO、Cr、FeTiO、または亜酸化ケイ素SiO(ここで、xは1未満、好ましくは約0.2である)で形成された追加的な最外層の半透明の光吸収性金属酸化物層を設けることができる。該光吸収性金属酸化物層は、ある波長を除くすべての光の少なくとも一部を吸収し、選択された色について増強された印象を提供する。このSiO層は、公知の方法によって、たとえば流動床反応器中で、被覆されたコアの存在下、SiHを熱分解することによって形成させればよい。追加的な光吸収層の存在は、顔料の色彩と色シフト光学分散の両方を増強できる。追加的な光吸収層は、5〜50nm、好ましくは5〜30nmの厚さを有するべきである。本発明に従って形成された顔料は、さらに、顔料の耐候性、分散性および/または耐水安定性改善のための、従来から公知の方法の任意のものを用いた後処理(表面修飾)に供してもよい。本発明の顔料は、高分子量(10〜10g/mol)の有機材料(プラスチック)、ガラス、セラミックス製品、化粧品組成物、インク組成物、ならびに特にコーティング組成物および塗料に色を付与する用途に適している。
【0029】
本発明の顔料はまた、透明性および隠蔽性の白色、有色および黒色顔料、カーボンブラック、ならびに透明、有色および黒色光沢顔料(すなわち、金属酸化物被覆マイカに基づくもの)、ならびに金属性または非金属性コア材料に基づくゴニオクロマチック干渉顔料を含めた金属顔料、微小板形態の酸化鉄、黒鉛、硫化モリブデンおよび微小板形態の有機顔料、との混合物の形態で、上記のような目的に有利に使用することもできる。該顔料は、水素、一酸化炭素、アンモニアまたはそれらの組合せの中で反応させ、還元された金属(たとえばFeまたはTi)酸化物または窒化物の表面層を形成させると、その表面層が顔料色の暗化を引き起こすことになるので、本発明の顔料の彩色性を変化させることもできる。
【0030】
さらなる態様において、本発明は、前駆体材料の水性懸濁液からコア材料上へのマイクロ波による金属酸化物付着を用いた、光学的ゴニオクロマチック効果を示す光学的可変顔料(エフェクト顔料)の製造方法に関する。
【0031】
コア材料および、周期律表の第3〜15族から選択される金属の酸化物の1種以上よりなる少なくとも1層の誘電体層を含むエフェクト顔料の製造方法は、以下の工程を含む:
(a)コア材料をフッ素捕捉剤の水溶液中に懸濁させ;
(b)所望の金属酸化物コーティングの前駆体である1種以上のフッ素含有金属錯体の水溶液を加え;そして
(c)該懸濁液をマイクロ波放射線に曝し、該コア材料上に金属酸化物を付着させる。
【0032】
工程(b)および(c)を、場合により、異なるフッ素含有金属錯体を用いて繰り返し実施して、1種以上の金属酸化物層、または厚さ方向に2種の異なる金属酸化物の濃度勾配を生じさせることができる。
【0033】
これらの層は、異なる屈折率のために光学的ゴニオクロマチック特性を変えたり、または他の特性、たとえばある種のモルホロジー形成の触媒作用もしくは光活性抑制作用に影響を与えたりすることもあり得る。
【0034】
フッ素含有金属錯体は、フッ素捕捉剤水溶液のコア材料懸濁液に連続的に添加するのが好ましい。
【0035】
エフェクト顔料は、金属性または非金属性の無機性微小板形態の粒子または顔料(特にメタルエフェクト顔料または干渉顔料)であり、いわば、適用する媒体に色を与えるだけでなく、追加的な特性、たとえば色の角度依存性(フロップ性)、つや(表面光沢とは異なる)または、きめを付与する顔料である。メタルエフェクト顔料では、一方向に配列した顔料粒子上で実質的に配向した反射が起こる。干渉顔料の場合、色彩付与効果は、高屈折率薄層中の光干渉現象によるものである。
【0036】
金属基材としては、原則的に、使用される反応条件下で安定な金属はすべて使用可能である。金属の微小板形態コア材料の例は、チタン、銀、アルミニウム、銅、クロム、鉄、ゲルマニウム、モリブデン、タンタル、またはニッケルである。これら金属類、たとえばアルミニウムは、発明の方法(EP−A−708155)によって被覆されるのに先立って、場合により保護層、たとえば二酸化ケイ素で被覆することができ、この場合、たとえば以下の層構造を有するエフェクト顔料が得られる:Al(反射性コア);SiO(厚さ250〜700nm)、Fe(厚さ10〜40nm)。
【0037】
これら金属基材は、メタルエフェクト顔料の製造に用いることができ、その際に、誘電体層の厚さは、反射体層の色特性に実質的に影響を与えないように選択される。
【0038】
金属基材に基づく好ましい干渉顔料で、本発明の方法によって製造できるものは、以下の層構造を有している:薄い半透明金属層(クロム、ニッケル)/誘電体層(SiO、MgF、Al)/反射性金属層(アルミニウム)/誘電体層/薄い半透明金属層、特にクロム/SiO/アルミニウム/SiO/クロムおよびクロム/MgF/アルミニウム/MgF/クロム(US−A−5,059,245);TM'TMTM'TまたはTM'TM'T(ここで、M'は、半透明金属層、特にアルミニウムまたはアルミニウムに基づく金属層であり、Tは、低屈折率の透明誘電体であり、Mは、高屈折率の不透明アルミニウムまたはアルミニウムに基づく層である)、とりわけSiO/Al/SiO/Al/SiOおよびSiO/Al/SiO/Al/SiO/Al/SiO(US−A−3,438,796)。
【0039】
この金属層は、湿式化学コーティングによって、または化学蒸着、たとえば金属カルボニルの気相蒸着によって得られる。基材を金属化合物の存在下で水性および/または有機溶媒含有媒体中に懸濁させ、そして還元剤の添加によって基材上に付着させる。金属化合物は、たとえば硝酸銀またはニッケルアセチルアセトナートである(WO03/37993)。
【0040】
US−B−3,536,520によると、塩化ニッケルを金属化合物として使用でき、そして次亜リン酸塩を還元剤として使用できる。EP−A−353544によると、以下の化合物を湿式化学コーティングのための還元剤として使用できる:アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド)、ケトン類(アセトン)、カルボン酸類およびそれの塩(酒石酸、アスコルビン酸)、レダクトン類(イソアスコルビン酸、トリセレダクトン、レダクチン酸)、および還元糖類(グルコース)。
【0041】
半透明の金属層が所望されるのであれば、金属層の厚さは一般に5〜25nm、特に5〜15nmである。
【0042】
非金属性無機微小板形態のコア材料の例は、Chem.Rev. 1999, 99, 1963-1981に記載されており、そして、たとえば以下である:マイカ、他の層構造ケイ酸塩、Al(EP−A−763 573)、酸化鉄、二酸化チタン(本出願と同日に出願され、US60/479011およびUS60/515015の優先権を主張しているPCT/EP04/...を参照のこと)、ケイ酸アルミニウム(SiO/Al/SiO(0.70≦z≦2.0)を、無酸素雰囲気中で加熱して得られるもの;PCT/EP03/50777およびUS−A−6,013,370)、酸化ケイ素に基づく材料、たとえば二酸化ケイ素(SiO;WO93/08237、WO03/068868)、SiO/SiO/SiO、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0(0.03≦x≦0.95;WO03/076520)、Si/SiO(0.70≦z≦2.0、WO03/106569)、SiO(0.70≦z≦2.0;特に1.40≦z≦2.0;PCT/EP03/11077)(ここでこの材料は、場合により、たとえば多孔性SiOのように多孔性にすることができる(PCT/EP04/000137))。
【0043】
用語「0.70≦z≦2.0を有するSiO」は、酸化ケイ素層の平均値における、酸素対ケイ素のモル比が0.70〜2.0であることを意味している。酸化ケイ素層の組成は、ESCA(化学分析用電子分光法)により決定することができる。SiOおよびSiOは、それに応じて定義される。
【0044】
本発明では、コア材料として1.4≦z≦2.0を有するSiOフレークを基に、より詳しく説明しているが、ただしこれに限定されるものではない。
【0045】
SiOコア粒子は、通常、長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ20nm〜2μm、長さ対厚さの比が少なくとも2:1、そして2個の実質的平行面(この平行面間の距離はコア(1.4≦y≦2.0)の最短軸である)を有している。
【0046】
本発明の方法によって製造されるエフェクト顔料は、前記態様において、コア材料SiOおよび、周期律表の第3〜15族から選択される金属の酸化物の1種以上よりなる少なくとも1層の誘電体層を含む。
【0047】
好ましい干渉顔料は、(a)高屈折率の金属酸化物、たとえばFeまたはTiO、および(b)低屈折率の金属酸化物、たとえばSiO、(ここで屈折率の差は少なくとも0.1である)を含む:TiO(基材:酸化ケイ素;層:TiO)、(SnO)TiO、Fe、Sn(Sb)O、Fe・TiO(基材:酸化ケイ素;FeとTiOとの混合層、TiO/Fe(基材:酸化ケイ素;第1層:TiO;第2層:Fe)。一般に層厚は、1〜1,000nm、好ましくは1〜300nmの範囲にある。
【0048】
別の特に好ましい態様は、少なくとも3層からなる高屈折率/低屈折率交互層、たとえばTiO/SiO/TiO、(SnO)TiO/SiO/TiO、TiO/SiO/TiO/SiO/TiOまたはTiO/SiO/Fe、を有する干渉顔料に関する。
【0049】
好ましくは、以下のような層構造である:
(A)屈折率>1.65を有するコーティング、
(B)屈折率≦1.65を有するコーティング、
(C)屈折率>1.65を有するコーティング、および
(D)場合により、外側の保護層。
【0050】
「高」屈折率、すなわち約1.65より大きい、好ましくは2.0より大きい、最も好ましくは約2.2より大きい屈折率を有する誘電体材料の例は、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、炭素、酸化インジウム(In)、酸化インジウムスズ(ITO)、五酸化タンタル(Ta)、酸化クロム(Cr)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ユウロピウム(Eu)、酸化鉄たとえば鉄(II)/鉄(III)酸化物(Fe)および酸化鉄(III)(Fe)、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ランタン(La)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化サマリウム(Sm)、三酸化アンチモン(Sb)一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレン(Se)、酸化スズ(SnO)、三酸化タングステン(WO)、またはそれらの組合せである。誘電体材料は、好ましくは金属酸化物である。その金属酸化物は、単独の酸化物または酸化物混合物で、光吸収性のあるものか、またはないものであってよく、たとえばTiO、ZrO,Fe、Fe、CrまたはZnOが可能であり、特にTiOが好ましい。
【0051】
使用可能な、適した低誘電率材料の非限定例は、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、およびフッ化金属類、たとえばフッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化ナトリウムアルミニウム(たとえば、NaAlFもしくはNaAl14)、フッ化ネオジム(NdF)、フッ化サマリウム(SmF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)、それらの組合せ、または屈折率約1.65以下を有する任意の他の低屈折率材料を包含する。たとえば、有機モノマーおよびポリマーは、低屈折率材料として利用可能であり、そしてこれはジエン類またはアルケン類、たとえばアクリラート類(例として、メタクリラート)、ペルフルオロアルケン類のポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ素化エチレンプロピレンのポリマー(FEP)、パリレン、p−キシレン、それらの組合せなど、を包含する。
【0052】
それに加えて、前述の材料は、蒸発させ、凝縮させ、そして架橋させた透明アクリラート層を包含し、そしてこれは、米国特許第5,877,895号記載の方法により付着させてもよく、そしてこれの開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0053】
ベース上の個々の高および低屈折率層の厚さは、顔料の光学的特性にとって本質的なものである。個々の層、特に金属酸化物層の厚さは、使用される分野に依存し、そして一般には10〜1,000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。
【0054】
層(A)の厚さは、10〜550nm、好ましくは15〜400nm、そして特に20〜350nmである。層(B)の厚さは、10〜1,000nm、好ましくは20〜800nm、そして特に30〜600nmである。層(C)の厚さは、10〜550nm、好ましくは15〜400nm、そして特に20〜350nmである。
【0055】
層(A)に特に適した材料は、金属酸化物、または金属酸化物混合物、たとえばTiO、Fe、Sn(Sb)O、亜酸化チタン(酸化状態2〜<4を有する還元チタン種)、および、さらにこれら化合物相互の、または他の金属酸化物との混合物もしくは混合相である。
【0056】
層(B)に特に適した材料は、金属酸化物または対応する金属酸化物水和物であり、たとえばSiOである。
【0057】
層(C)に特に適した材料は、無色または有色の金属酸化物、たとえばTiO、Fe、Sn(Sb)O、亜酸化チタン(酸化状態2〜<4を有する還元チタン種)、および、さらにこれらの化合物相互の、または他の金属酸化物との混合物または混合相である。TiO層は、さらに光吸収性材料、たとえば炭素、選択光吸収性着色材料、選択光吸収性金属カチオンを含有でき、そして光吸収性材料で被覆が可能、または部分還元が可能である。
【0058】
光吸収性または非吸収性材料の中間層が、層(A)、(B)、(C)および(D)の間に存在することができる。中間層の厚さは、1〜50nm、好ましくは1〜40nm、そして特に1〜30nmである。
【0059】
この態様では、好ましい干渉顔料は、以下の層構造を有している:
【0060】
【表1】

【0061】
該態様において、すべての干渉顔料層は、マイクロ波付着によって付着させるのが好ましいが、一部の層は、CVD(化学蒸着)によって、または湿式化学コーティングによって付着させてもよい:
【0062】
【表2】

【0063】
金属酸化物層は、金属カルボニル(たとえば、ペンタカルボニル鉄、ヘキサカルボニルクロム;EP−A−45 851)の酸化的気相分解によって;金属アルコラート(たとえば、チタンおよびジルコニウムテトラ−n−および−イソ−プロパノラート:DE−A−41 40 900)もしくはハロゲン化金属(たとえば四塩化チタン:EP−A−338 428)の加水分解的気相分解によって;有機スズ化合物(特にアルキルスズ化合物たとえばテトラブチルスズおよびテトラメチルスズ:DE−A−44 03 678)の酸化分解によって;または有機ケイ素化合物(特にジ−t−ブトキシアセトキシシラン)(EP−A−668 329に記載)の気相加水分解によって;適用することができ、被覆操作は流動床反応器中で実行可能である(EP−A−045 851およびEP−A−106 235)。金属類(ジルコニウム、チタン、鉄および亜鉛)の酸化物、これら金属類の酸化物水和物(チタン酸鉄、亜酸化チタン)またはこれらの混合物の層は、湿式化学方法による沈積によって付着することができ、そして適切な場合には、この金属酸化物の還元が可能である。湿式化学コーティングの場合、真珠光沢顔料製造のために開発された湿式化学コーティング方法を使用してもよい;これらは、たとえば以下のものに記述されている:DE−A−14 67 468、DE−A−19 59 988、DE−A−20 09 566、DE−A−22 14 545、DE−A−22 15 191、DE−A−22 44 298、DE−A−23 13 331、DE−A−25 22 572、DE−A−31 37 808、DE−A−31 37 809、DE−A−31 51 343、DE−A−31 51 354、DE−A−31 51 355、DE−A−32 11 602およびDE−A−32 35 017、DE195 99 88、EP−A−892832、EP−A−753545、EP−A−1213330、WO93/08237、WO98/53001、WO98/12266、WO98/38254、WO99/20695、WO00/42111およびWO03/6558。
【0064】
高屈折率の金属酸化物は、好ましくはTiOおよび/または酸化鉄であり、そして低屈折率の金属酸化物は、好ましくはSiOである。TiOの層は、ルチルまたはアナタース変態にあることができ、ここではルチル変態が好ましい。TiO層は、公知の手段、たとえばアンモニア、水素、炭化水素蒸気、もしくはそれらの混合物、または金属粉末によって還元することもできる(EP−A−735,114、DE−A−3433657、DE−A−4125134、EP−A−332071、EP−A−707,050、またはWO93/19131に記載)。
【0065】
PCT/EP03/50690に記載のように、TiO被覆のSiO微小板体(0.03≦y≦1.95)は、最初に非酸化性気体雰囲気中600℃を超える温度で焼成し、そして適切なら、場合により、200℃超、好ましくは400℃超、そして特に500〜1,000℃の温度において、空気または別の酸素含有気体で処理することもできる。
【0066】
本発明の特に好ましい態様においては、厚さ60〜120nmの二酸化チタン層を含む、厚さ70〜130nmのSiO(1.40≦z<2.0)またはSiOのフレークを指向している。
【0067】
SiO(1.40≦z<2.0)またはSiOのフレークは、均一な形状のものではない。それにもかかわらず、簡潔化の目的で、フレークは「直径」を有するものとして言及される。この酸化ケイ素フレークは、高い平面−平行性と、平均厚さの±10%、特に±5%の範囲内の規定した厚さを有する。このSiO(1.40≦z<2.0)またはSiOのフレークは、70〜100nm、特に90〜110nm、とりわけ特に約100nmの厚さを有する。フレークの直径が、好ましい範囲である約1〜60μmに、そしてより好ましい範囲である約5〜40μmにあるのが現時点で好適である。したがって、本発明のフレークのアスペクト比は、好ましい範囲である約7〜860に、そしてより好ましい範囲である約38〜572にある。
【0068】
二酸化チタン層は、マイクロ波付着によって付着させるのが好ましいが、原理的には、前述したように、CVD(化学蒸着)または湿式化学コーティングによって適用することもできる。
【0069】
したがって、本発明は、70〜130nm、特に90〜110nm、とりわけ特に約100nmの厚さを有し、本発明の方法によって得られる60〜120nm厚さの二酸化チタン層を含むSiO(1.40≦z<2.0)またはSiOのフレークを指向している。
【0070】
この二酸化チタン層は、60〜120nm、特に80〜100nm、とりわけ特に約90nmの厚さを有する。
【0071】
より色強度が高く、そしてより透明な顔料は、TiO層の上面上に、「低」屈折率の、すなわち屈折率が約1.65未満の金属酸化物、たとえばSiO、Al、AlOOH、Bまたはそれらの混合物を、好ましくはSiOを適用し、そして後者の層の上面上にさらなるFeおよび/またはTiO層を適用することによって得ることができる。ケイ素/酸化ケイ素基材ならびに、高および低屈折率金属酸化物でできた交互層を含むこの種の多層被覆干渉顔料は、WO98/53011およびWO99/20695記載の方法と同様にして、または好ましくは本発明の方法を用いることによって製造することができる。
【0072】
したがって、該態様において、層構造は以下である:
(A)屈折率>1.65を有するコーティング、
(B)屈折率≦1.65を有するコーティング、
(C)場合により、屈折率>1.65を有するコーティング、および
(D)場合により、外側の保護層。
【0073】
層(B)の厚さは、70〜130nm、特に90〜110nmの範囲、とりわけ特に約100nmである。層(A)および(C)の厚さは、60〜120nm、特に80〜100nmの範囲内、とりわけ特に約90nmである。
【0074】
SiO(1.40≦z<2.0)またはSiOのフレークが、(A)屈折率>1.65を有するコーティング、および(B)屈折率≦1.65を有するコーティングを含み、そして層(B)が保護層として使用される場合、この保護層は、2〜250nm、特に10〜100nmの厚さを有する。
【0075】
特に好ましい態様は、少なくとも2層からなる高/低屈折率の交互層、たとえばTiO/SiO、TiO/SiO/TiO、(SnO)TiO/SiO/TiO、TiO/SiO/TiO/SiO/TiOまたはTiO/SiO/Feを有する干渉顔料に関する。
【0076】
さらに、完成した顔料を、耐光、耐候、耐化学安定性のさらなる増強、または顔料の取り扱い、特に種々の媒体への配合の容易化につながるような後コーティングまたは後処理に供してもよい。たとえば、DE−A−22 15 191、DE−A−31 51 354、DE−A−32 35 017またはDE−A−33 34 598記載の手法が、後処理または後コーティングとして適している。
【0077】
適切であれば、SiO保護層を二酸化チタンの上面上に被覆することができ、それには以下の方法が使用できる:ソーダ水ガラス溶液を、被覆しようとする材料の、あらかじめ約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱してある懸濁液中に計量して入れる。同時に10%塩酸を添加することにより、pHを4〜10、好ましくは6.5〜8.5に維持する。水ガラス溶液を加えた後、撹拌を30分間実施する。
【0078】
SiO(1.40≦z<2.0)またはSiOのフレークに基づくエフェクト顔料は、すべての従来目的(たとえば、WO03/068868およびPCT/EP03/11077を参照されたい)、たとえばポリマー全体、コーティング(自動車分野用を含めたエフェクト仕上げ材を包含)、ならびに印刷インク(オフセット印刷、凹版印刷(intaglio printing)、ブロンズ印刷およびフレキソ印刷を包含)の着色用、ならびにさらに、たとえば化粧品(例として、PCT/EP03/09269を参照されたい)、インクジェット印刷(例として、PCT/EP03/50690を参照されたい)における用途、織物染色(例として、PCT/EP03/11188を参照されたい)、セラミックスおよびガラス用の上薬、ならびに紙およびプラスチックのレーザーマーキング用としての用途に使用することができる。この種の応用は、参考書類、たとえば「Industrielle Organische Pigmente(工業的有機顔料)」(W.Herbst,K.Hunger, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim/New York, 2nd, completely revised edition, 1995)から公知である。
【0079】
SiO(1.40≦z<2.0)またはSiOのフレークに基づくエフェクト顔料は、高分子有機材料を顔料着色することに使用でき、優秀な結果が得られる。
【0080】
本発明の顔料または顔料組成物を顔料着色に用いることのできる高分子量有機材料は、天然または合成由来のものであってよい。高分子量有機材料は、通常、約10〜10g/molまたはそれ以上の分子量を有する。それらは、以下のものであってよい:たとえば、天然樹脂、乾性油、ゴムまたはカゼイン、またはそれらから誘導される天然系物質、たとえば塩化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルもしくはエステル、例としてエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、アセト酪酸セルロースまたはニトロセルロース、さらにまた特に、重合、縮合重合または付加重合によって得られる完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチックおよび熱可塑性プラスチック)。重合樹脂の部類からは、以下を挙げることができる:特にポリオレフィン類、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイソブチレン、そしてさらに、置換されているポリオレフィン類、たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはブタジエンの重合生成物、そしてさらに上記モノマー類の共重合生成物、たとえばとりわけABSまたはEVA。
【0081】
SiO(1.40≦z<2.0)またはSiOのフレークに基づくエフェクト顔料を、顔料着色しようとする高分子量有機材料に、任意の着色有効量で添加することができる。高分子量有機材料および、本発明の顔料を、高分子量有機材料を基準にして0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜30重量%含む顔料着色された物質組成物が有利である。実際には、1〜20重量%、特に約10重量%の濃度が、しばしば使用され得る。
【0082】
SiO(1.40≦z<2.0)またはSiOのフレークに基づくエフェクト顔料を、0.1〜50重量%、特に0.5〜7重量%の量で含むプラスチック。コーティング材の分野では、本発明の顔料は、0.1〜10重量%の量で用いられる。バインダー系における顔料着色、たとえばペイントおよび印刷インク(凹版、オフセットまたはスクリーン印刷用)用には、顔料は、印刷インク中に0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、そして特に8〜15重量%の量で組み込む。
【0083】
SiO(1.40≦z<2.0)またはSiOのフレークに基づくエフェクト顔料はまた、唇または肌のメイクアップ用、ならびに毛髪およびつめの彩色用にも好適である。
本発明はしたがって、化粧用調製品または調剤品で、その全重量を基準にして、顔料、特に本発明のエフェクト顔料を0.0001〜90重量%、そして化粧用に適合するキャリヤー材料を10〜99.9999重量%含む化粧用調製品または調剤品にも関する。
【0084】
たとえばプラスチック、コーティングまたは印刷インクにおいて、特にコーティングまたは印刷インキにおいて、とりわけコーティングにおいて得られる色彩は、優れた特性、特にきわめて高い彩度、傑出した堅牢性、高い色純度および高いゴニオクロマチック性によって際立っている。
【0085】
SiOフレークの代わりに、以下の特性を有する極薄のガラスフレークを使用することができる:
(1)ガラスフレークの厚さ≦1.0μm、
(2)高温および機械的安定性、
(3)平滑な表面(WO02/090448)。
【0086】
適したガラスフレークで、好ましくはEP−A−0289240に従って製造されるものは、平均粒子サイズが1,000μmの範囲内、好ましくは5〜150μmの範囲のものを含有することを特徴とする。好ましいガラスフレークは、平均粒子サイズ5〜150μm、そして厚さとして0.1〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.3μmを有する。ガラスフレークのアスペクト比は10〜300、好ましくは50〜200の範囲にある。
【0087】
SiOフレークは、以下の工程を含む方法(WO03/68868)によって製造される:
a)(移動可能な)担体上に分離剤を蒸着して、分離剤層を作製、
b)分離剤層にSiO層を蒸着、ここでは0.7≦y≦1.8、
c)分離剤層を溶媒の中に溶解、そして
d)溶媒からSiOを分離。
【0088】
y>1.0を有するSiOは、SiOを酸素存在下で蒸発させることにより得られる。本質的に光吸収のない層は、蒸発の最中に、成長中のSiO層をUV光で照射すれば得られる(DE−A−1621214)。可視光領域で吸収がなく、550nmにおいて屈折率1.55を有するSiO1.5層は、純酸素雰囲気中におけるSiOの、いわゆる「反応的蒸発」によって得ることが可能である(E.Ritter, J.Vac.Sci.Technol.3(1966)225)。
【0089】
SiO層は、工程b)において、SiおよびSiOの混合物、SiOまたはそれの混合物(Si対SiOの重量比が好ましくは0.15:1〜0.75:1の範囲にあり、そして特にSiおよびSiOの化学量論的混合物を含有している)を含む仕込物を入れた蒸発器、またはケイ素を20重量%までの量で含有する一酸化ケイ素を含む仕込物を入れた蒸発器から蒸着される(0.70≦y≦1.0)。工程c)は、工程a)およびb)における圧力より高く、大気圧より低い圧力で有利に実施される。この方法により得られるSiOフレークは、厚さとして、好ましくは20〜2,000nm、特に20〜500nm、最も好ましくは50〜350nmの範囲を有し、厚さ対平面−平行構造体の表面積の比として、好ましくは0.01μm−1未満を有する。この方法で製造した平面−平行構造体は、厚さの高い均一性、すぐれた平面性および平滑性(表面の微細構造)によって際立っている。
【0090】
工程b)における酸化ケイ素層は、好ましくは、蒸発器中で発生する一酸化ケイ素蒸気から、1,300℃を超える温度におけるSiとSiOとの混合物の反応によって形成される。
【0091】
数10−2Paの工業的真空下でSiを蒸発させると(Si/SiOまたはSiO/Siの代わりに)、酸化ケイ素で酸素含有量0.70未満のもの、すなわちSiOで、0.03≦x≦0.69、特に0.05≦x≦0.50、とりわけ特に0.10≦x≦0.30のものを得ることができる(PCT/EP03/02196)。
【0092】
SiO0.70−0.99層は、ケイ素を20重量%までの量で含有する一酸化ケイ素を、1,300℃を超える温度で蒸発させることによって形成される。
【0093】
工程a)およびb)における蒸着は、好ましくは<0.50Paの真空下で実施される。工程c)における分離剤の溶解は、好ましくは圧力1〜5×10Pa、特に600〜10Pa、とりわけ特に10〜5×10Paの範囲で実施する。
【0094】
工程a)において担体上に蒸着される分離剤は、ラッカー(コーティング)、ポリマーであってよく、たとえば(熱可塑性)ポリマー、特にアクリルもしくはスチレンポリマー、またはそれらの混合物(US−B−6,398,999記載)、有機溶媒または水に可溶で、真空中で気化できる有機物質、たとえばアントラセン、アントラキノン、アセトアミドフェノール、アセチルサリチル酸、ショウノウ酸無水物、ベンズイミダゾール、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ビフェニル−2,2−ジカルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジヒドロキシアントラキノン、ヒダントイン、3−ヒドロキシ安息香酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸モノヒドラート、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、イソフタル酸、4,4−メチレン−ビス−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸アンヒドリド、フタルイミドおよびそのカリウム塩、フェノールフタレイン、フェノチアジン、サッカリンおよびその塩、テトラフェニルメタン、トリフェニレン、トリフェニルメタノール、またはこれらの物質の少なくとも2種の混合物であってよい。分離剤は、好ましくは水溶性で、真空中で気化できる無機塩であり(例として、DE198 44 357を参照されたい)、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウムアルミニウム、テトラホウ酸ジナトリウムまたはそれらの混合物である。
【0095】
移動できる担体は、軸の周りを回転する1個以上の円板、円筒または他の回転対称体(WO01/25500)からなっていてよく、そして好ましくは、ポリマーコーティングを有するか、もしくはそれのない1個以上の連続金属ベルト、または1個以上のポリイミドもしくはポリエチレンテレフタレート製ベルト(US−B−6,270,840)からなる。
【0096】
工程d)は、洗浄およびその後のろ過、沈降、遠心分離、デカンテーションおよび/または蒸発を含んでよい。しかし、SiOの平面−平行構造体は、また、工程d)において溶媒と一緒に凍結し、そしてこの後、凍結乾燥工程にかけ、ここで三重点より下で昇華させる結果として溶媒を分離除去し、そして乾燥SiOを個々の平面−平行構造体の形態で残留させるようにしてもよい。
【0097】
超高真空下を除き、数10−2Paの技術的真空中で蒸発させたSiOは、高真空装置が表面からの気体放出の結果として常に微量の水蒸気を含有し、これが即時反応性のSiOと蒸発温度において反応するため、常にSiO(1≦y≦1.8、特に1.1≦y≦1.8)として凝縮する。
【0098】
さらにまた、ループを形成するように閉じられたベルト形態の担体は、公知の構造様式(US−B−6,270,840参照)の動的真空閉鎖室を通り、1〜5×10Pa圧、好ましくは600〜10Pa圧、そして特に10〜5×10Pa圧の領域中に走入し、そこで溶解浴に浸漬される。溶媒の温度は、蒸気圧が指定の範囲内に入るように選択されるべきである。機械的な補助によって、分離剤層は急速に溶解し、生成物層はバラバラに破砕してフレークになり、この後、溶媒中に懸濁物の形態で存在する。さらにその後、ベルトは乾燥され、いまだそれに付着しているいかなる汚染物も取り除かれる。ベルトは、第2の動的真空閉鎖室を通って再び気化室に入り、ここで分離剤層およびSiO生成物層を被覆する工程が繰り返される。
【0099】
この後、両場合ともに、生成物構造体および溶媒、および中に溶け込んでいる分離剤を含んで存在している懸濁液は、ついで公知の手法に従い、さらなる操作を実施して分離される。この目的のため、生成物構造体を、まずその液中で濃縮し、溶け込んでいる分離剤を洗い流すために新鮮な溶媒で数回すすぐ。この後、まだ湿潤した固体形態にある生成物を、ろ過、沈降、遠心分離、デカンテーションまたは蒸発によって単離する。
【0100】
生成物はこの後、液状媒体中において超音波によるか、または高速撹拌機を用いる機械的手段によって、あるいは回転分級機を備えたエアジェットミル中で破砕片を乾燥するか、または磨砕もしくは風篩に供することで、所望の粒子サイズにすることができる。
【0101】
SiOフレークは、SiOの平面−平行構造体を形成させるために、酸素含有気体、たとえば少なくとも200℃、特に400℃を超える温度の空気を用い、好ましくはゆるい材料形態で流動床中において、または好ましくは温度が500〜1,000℃の範囲の酸化炎中に導入することによって酸化させてよい(WO03/068868)。
【0102】
得られるSiOフレークは、均一な形状のものではない。それにもかかわらず簡潔化の目的で、以後、このフレークは「直径」を有するものとして言及される。このSiOフレークは、高い平面−平行性と、平均厚さの±10%、特に±5%の範囲内の定義厚さを有している。このSiOフレークは、厚さ20〜2,000nm、特に20〜500nm、最も好ましくは50〜350nmを有する。フレークの直径が、好ましい範囲である約1〜60μmに、そしてより好ましい範囲である約5〜40μmにあることが現時点で好適である。したがって、フレークのアスペクト比は、好ましい範囲である約2〜3,000、さらに好ましい範囲である約14〜800にある。TiO層を高屈折率の材料として付着するのであれば、そのTiO層は、20〜200nm、特に20〜100nm、そしてとりわけ特に20〜50nmの厚さを有するものである。市販されているSiOと比較して、このSiOフレークは厚さ分布がより小さいため、卓越した輝度、清澄な強い色彩、強い色フロップ性、改善された色強度および色純度を有するエフェクト顔料を得ることができる。
【0103】
別の局面において、本発明は、高度に光沢のある真珠光沢性の二酸化チタン含有顔料を指向している。この種の真珠光沢顔料は多層構造を有しており、ここでは微小板形態の二酸化チタンコア上に、他の金属酸化物または金属酸化物水和物の層が続いている。二酸化チタンに適用する他の金属酸化物または金属酸化物水和物の例は、Fe,Fe、FeOOH、Cr、CuO、Ce、Al、SiO、BiVO、NiTiO、およびまた、アンチモン−ドープ、フッ素−ドープまたはインジウム−ドープした酸化スズである。新規顔料の特定の態様において、別の金属酸化物または金属酸化物水和物の第1層上に、追加的にさらなる金属酸化物または金属酸化物水和物の第2層が存在する。このさらなる金属酸化物または金属酸化物水和物は、酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム水和物、二酸化ケイ素または二酸化ケイ素水和物、Fe、Fe、FeOOH、TiO、ZrO、Cr、さらには、アンチモン−ドープ、フッ素−ドープまたはインジウム−ドープした酸化スズであり、ここで第1層の金属酸化物は、第2層のそれとは異なる。
【0104】
これらの二酸化チタン微小板は、10〜500nm、好ましくは40〜150nmの厚さを有する。他の2つの次元の寸法範囲は、2〜200μm、そして特に5〜50μmである。
【0105】
二酸化チタン微小板に適用する別の金属酸化物の層は、5〜300nm、好ましくは5〜150nmの厚さを有する。
【0106】
二酸化チタン微小板は、たとえばWO98/53010、および本出願と同日に出願され、US60/479011およびUS60/515015の優先権を主張しているPCT/EP04/...記載の方法によって入手することできる。
【0107】
さらに付言すると、二酸化チタン微小板のコーティングは、間に乾燥工程し後、金属酸化物または金属酸化物水和物を用い、たとえば流動床反応器中において気相付着により実施することもでき、たとえば、EP0,045,851およびEP0,106,235に提案されている真珠光沢顔料の製造方法を応用することができる。
【0108】
すべての金属酸化物層は、マイクロ波放射線を用いて付着させるのが好ましいが、一部の金属酸化物は、従来の湿式化学方法によって付着させることはできる。
【0109】
ヘマタイト(Fe)で被覆する場合、出発原料は、たとえばUS−B−3,987,828およびUS−B−3,087,829記載の鉄(III)塩か、またはUS−B−3,874,890記載の鉄(II)塩(最初に形成された水酸化鉄(II)コーティングが、酸化鉄(III)水和物へと酸化される)のいずれでもよい。鉄(III)塩が、出発コーティング料として好ましく用いられる。
【0110】
マグネタイト(Fe)での被覆は、鉄(II)塩、たとえば硫酸鉄(II)の溶液を、硝酸カリウム存在下においてpH8.0で加水分解することによって実施される。特定の沈積例がEP−A−0659843に記載されている。
【0111】
酸化鉄層を二酸化チタン微小板に、よりよく接着させるには、最初に酸化スズ層を適用するのが妥当である。
【0112】
二酸化チタン微小板上に付着させて好ましい別の金属酸化物は、酸化クロムである。この付着は、ヘキサミンクロム(III)誘導体水溶液からアンモニアを気化させる際に起こる熱加水分解により、またはホウ酸塩で緩衝されたクロム塩溶液の熱加水分解により容易に実施される。酸化クロムによるコーティングは、US−B−3,087,828およびUS−B−3,087,829に記載されている。
【0113】
顔料は、すべての場合に焼成しなければならないというわけではない。ある用途の場合、110℃の温度で乾燥すれば十分である。顔料を焼成する場合には、温度を400〜1,000℃(好ましい範囲は400〜700℃である)に設定する。
【0114】
さらに加えて、顔料は、光安定性、耐候性、および化学安定性をさらに増強したり、または顔料の取り扱い、特に異なる媒体中への組み入れを容易にしたりする後コーティングまたは後処理に供することが可能である。適した後コーティング技術の例は、たとえばDE−C22 15 191、DE−A31 51 354、DE−A32 35 017またはDE−A33 34 598記載のものである。この新規顔料の性質が、これらの追加的手段なしにすでに非常に良好であるという事実から、これらの場合によりこの追加して適用される物質は、顔料全体のうちの約0〜5重量%、特に約0〜3重量%を占めるに過ぎない。
【0115】
酸化鉄微小板は、たとえば本出願と同日に出願され、US60/479011およびUS60/515015の優先権を主張しているPCT/EP04/...記載の方法によって入手が可能である。詳しく述べると、ポリメチルメタクリラート(PMMA)のトルエン/アセトン溶液を、一端を閉じてあるガラス管に入れ、その管を20Torrの減圧に繋いで水平に回転させると、結果として、PMMAのコーティングが内壁上に形成するが、このPMMAを脱イオン水ですすぎ落とし、そしてろ過し、MMAフレークを集めることによって、ポリメチルメタクリラートのフレークが作製される。この後、そのPMMAフレークを、FeCl・4NHFおよびホウ酸を用いるマイクロ波付着により、酸化鉄で被覆する。得られた酸化鉄被覆PMMAフレークをろ過によって集め、真空炉で乾燥する。そのPMMAをトルエン中で加熱して溶解し、そして沈降、ろ過、洗浄、乾燥すると、エフェクト顔料の製造に使用できる酸化鉄フレークが得られる。
【0116】
多層被覆された酸化鉄微小板に基づくゴニオクロマチック性光沢顔料は、以下を含む少なくとも1組の層を含んでいる:
A)屈折率n≦1.8を有する無色のコーティング、および
B)屈折率≧2.0を有する無色のコーティング。
【0117】
酸化鉄微小板のサイズは、それ自体が決定的なものではなく、それぞれ個別の用途に適応させることができる。一般に微小板は、平均最大直径として約1〜50μm、好ましくは5〜20μmを有する。微小板の厚さは、一般に10〜500nmの範囲内にある。
【0118】
無色の低屈折率コーティング(A)は、屈折率n≦1.8を、好ましくはn≦1.6を有する。この種の材料の例を以下に記す。特に適した材料は、たとえば、金属酸化物および金属酸化物水和物、例として酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、およびそれらの混合物を包含し、なかでも好ましいのは酸化ケイ素(水和物)である。
【0119】
被覆(A)の幾何学的層厚は、一般に50〜800nmの範囲に、好ましくは100〜600nmの範囲にある。層(A)は、本質的に顔料の干渉色を決定するので、1組の層(A)+(B)のみを有し、特に著しい演色性を示し、またこのために好まれる光沢顔料としては、約200nmの最小層厚を有する。層(A)+(B)が複数組(たとえば、2,3または4組)存在するなら、(A)の層厚は、好ましくは50〜200nmの範囲にある。
【0120】
無色の高屈折率コーティング(B)は、屈折率≧2.0、特に屈折率≧2.4を有する。この種の材料の例を以下に記す。特に適した層材料(B)は、硫化亜鉛のような硫化金属だけでなく、特に金属酸化物および金属酸化物水和物、たとえば二酸化チタン、二酸化チタン水和物、二酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム水和物、酸化スズ、二酸化スズ水和物、酸化亜鉛、酸化亜鉛水和物、およびそれらの混合物を包含し、好ましいのは、二酸化チタンおよび二酸化チタン水和物、およびそれらと約5重量%までの他の金属酸化物、特に二酸化スズとの混合物である。
【0121】
コーティング(B)は、コーティング(A)より小さい層厚を有するのが好ましい。コーティング(B)の好ましい幾何学的層厚は、約5〜50nm、特に10〜40nmの範囲にある。
【0122】
本発明で好ましいコーティング(B)は、実質的に二酸化チタンからなるものである。
【0123】
前記の態様において、干渉顔料のすべての層は、マイクロ波付着によって付着させるのが好ましいが、一部の層は、CVD(化学蒸着)によって、または湿式化学被覆によって適用することもできる。
【0124】
エフェクト顔料のコア材料は、フッ素捕捉剤の水溶液中で、撹拌または他の形式の揺動によって懸濁させればよい。該フッ素捕捉剤は、好ましくは、水溶液中でフッ素イオンを捕捉できる任意の化合物、たとえばホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、無水ホウ素、一酸化ホウ素、特に好ましくはホウ酸である。本発明の一態様においては、ホウ酸が使用される。ホウ酸溶液の濃度は、少なくとも、コア材料上に金属酸化物コーティングを付着させている間中、フッ素イオンを捕捉するために必要とする濃度である。一態様においては、水で洗浄することによって除去される可能性があるので、過剰のホウ酸を使用している。典型的には、ホウ酸は、約0.01〜0.5M、好ましくは約0.04〜0.1Mの範囲で使用される。ホウ酸溶液の温度は、圧力をかけないで、循環媒体の凝固点と沸点の間である。この工程は、約15℃〜約95℃で簡便に実施される。逆圧調整器が設けてあると、反応容器の圧力が適切に設定されていれば、温度は循環媒体の沸点より上に設定することも可能である。
【0125】
周期律表の第3〜15族元素の酸化物は、本発明の方法において所望の金属酸化物の前駆体であるフッ素含有金属錯体の水溶液を加え、マイクロ波エネルギーを適用することによって、コア材料上に付着させる。一般に、水溶液は、金属酸化物が顔料粒子上に付着するよりもむしろ沈殿してしまうのを制限するため、懸濁されたコア材料に連続的に添加される。基材を被覆するのに適した金属酸化物そして次の金属酸化物層は、当技術分野において周知のものであり、TiO、ZrO、CoO、SiO、SnO、GeO、ZnO、Al、V、Fe、Cr、PbTiOまたはCuO、またはこれらの混合物を包含する。特に好ましいのは、二酸化チタンである。
【0126】
所望の金属酸化物を形成する前駆体溶液は、好ましくは、以下の材料の、1種または組合せの溶液である:
(a)可溶性金属フッ化物塩、
(b)可溶性金属フッ素錯体、または
(c)上記の塩もしくは錯体を形成する任意の混合物。
【0127】
例は、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム;ヘキサフルオロスズ酸アンモニウム;ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム;塩化鉄(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;塩化アルミニウム(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;ヘキサフルオロゲルマニウム酸アンモニウム;フッ化インジウム(III)三水和物とヘキサフルオロスズ酸アンモニウムとの組合せ;を包含する。最後の例において、金属酸化物層は、1種以上の金属酸化物、すなわち酸化インジウムスズ層を含んで形成される。フッ素含有金属錯体の濃度は、本方法にとって決定的なものではなく、所望の厚さを得るまでその混合物はマイクロ波照射が可能であるから扱いやすいものである、として指定される。したがって、濃度は約0.01Mから飽和溶液までの範囲であり得る。本発明の一態様においては、水溶液の全量に基づき、約0.1〜約0.2Mの範囲が用いられる。
【0128】
干渉/吸収混合エフェクト顔料製造のためには、誘電材料の金属酸化物層は、好ましくは第5〜12族元素の有色(灰色もしくは黒色でなく、選択吸収性の)酸化物または有色混合酸化物である。最も好ましい金属酸化物層は、Feを含む。
【0129】
干渉顔料製造のためには、金属酸化物層は、好ましくは第3族または第4族元素の、実質的に無色の酸化物である。最も好ましい金属酸化物層は、TiOを含む。
【0130】
金属酸化物被覆の厚さは、SiOコア材料上に、光学的ゴニオクロマチック効果を示す半透明または透明コーティングが生成する厚さである。皮膜の厚さは、所望の顔料基材および光学的ゴニオクロマチック効果に応じて変化することになる。
【0131】
層の厚さはそれ自体決定的なものではなく、一般に1〜500nm、好ましくは10〜300nmの範囲にある。異なる厚さの異なる酸化物は、酸化物の屈折率に応じて異なる色を生ずる。
【0132】
任意の利用可能なマイクロ波源を使用できる。さらにまた、マイクロ波の周波数は、源が調節可能な装置であれば、表面上への金属酸化物付着が促進されるように同調させることができる。現時点で好ましいマイクロ波炉は、実験室改修のPanasonic NN-S542であって、作動周波数2,450MHz、出力1,300Wのものである。
【0133】
フッ素含有金属錯体の添加が完了し、そして所望の金属酸化物厚さが達成されたときには、金属コア懸濁物をろ過し、脱イオン水で洗浄し、乾燥し、約100〜900℃、好ましくは約400〜約600℃、とりわけ約450〜約500℃の温度で、約15〜30分間、最も好ましくは非酸化性雰囲気下で焼成することができる。
【0134】
エフェクト顔料には、場合により追加的な最外層として、たとえば、Fe、CoO、CoTiO、Cr、FeTiO、または亜酸化ケイ酸SiO(ここで、Xは1未満、好ましくは約0.2である)で形成された半透明の光吸収性金属酸化物層を設けることができる。該光吸収性金属酸化物層は、ある波長を除くすべての光の少なくとも一部を吸収し、選択された色について増強された印象を提供する。SiO層は、公知の方法によって、たとえば流動床反応器中で、被覆された金属コアの存在下、SiHを熱分解することによって形成させてよい。追加的な光吸収層の存在は、顔料の色彩と色シフト光学分散の両方を増強できる。追加的な光吸収層は、5〜50nm、好ましくは5〜30nmの厚さを有するべきである。
【0135】
本発明に従って形成されるエフェクト顔料は、顔料の耐候性、分散性および/または耐水安定性改善のための、従来から公知の方法の任意のものを用いた後処理(表面修飾)に供してもよい。本発明のエフェクト顔料は、高分子量(10〜10g/mol)の有機材料(プラスチック)、ガラス、セラミックス製品、化粧品組成物、インク組成物、および特にコーティング組成物およびペイントに色を付与する用途に適している。本発明のエフェクト顔料はまた、透明性および隠蔽性の白色、有色および黒色顔料、カーボンブラック、ならびに透明、有色および黒色光沢顔料(すなわち、金属酸化物被覆マイカに基づくもの)、ならびに金属性または非金属性コア材料に基づくゴニオクロマチック干渉顔料を含めた金属顔料、微小板形態の酸化鉄、黒鉛、硫化モリブデンおよび微小板形態の有機顔料、との混合物の形態で、上記のような目的に有利に使用することもできる。本エフェクト顔料の彩色性はまた、該顔料を、水素、一酸化炭素、アンモニアまたはそれらの組合せの中で反応させ、還元された金属(たとえばFeまたはTi)酸化物または窒化物の表面層を形成させると、該表面層が顔料色の暗化を引き起こすことになるので、変化させることができる。
【0136】
本発明によるペイントまたはコーティング組成物は、上記のエフェクト顔料を配合した膜形成ビヒクルを含んでよい。本発明被覆組成物の膜形成ビヒクルは、特に限定するものではなく、本発明被覆組成物の意図する用途に応じて、任意の従来樹脂を使用することができる。適した膜形成ビヒクル樹脂の例は、合成樹脂、たとえばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂と酢酸酪酸セルロース(CAB)との樹脂混合物、CABグラフトアクリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ変性アルキド樹脂、フェノール樹脂など、および種々の天然樹脂およびセルロース誘導体を包含する。これらの膜形成ビヒクル樹脂は、単独でも使用できるし、必要に応じて2種以上の組合せで使用することもできる。必要であれば、上記の膜形成ビヒクル樹脂は、硬化剤、たとえばメラミン樹脂、イソシアナート化合物、ブロック様式の構造のイソシアナート化合物、ポリアミン化合物などと組み合わせて使用される。
【0137】
上記の膜形成ビヒクル樹脂、クロマチックカラー金属フレーク顔料、および場合によって組成に加えられる他のタイプの有色顔料に加えて、本発明のコーティング組成物は、必要に応じ、コーティング組成物に従来から使用されている、たとえば表面コンディショニング剤、充填材、可塑剤、安定剤、酸化防止剤などを包含する種々の添加物と混合することができる。
【0138】
本発明被覆組成物の形態は、特に限定せず、有機溶媒中の分散体、水性分散液、粉末およびエマルションを包含する。本発明のコーティング組成物の膜形成工程は、特別な限定なしに、室温乾燥、焼き付けによる硬化、および紫外線または電子ビームの照射を用いる硬化によって実施することができる。
【0139】
本発明のコーティング組成物が有機溶媒中の分散体の形態にある場合、それに適した溶媒は、特に限定せず、溶液タイプの被覆組成物に従来から使用されているそれらの有機溶媒を包含する。適した有機溶媒の例は、芳香族炭化水素溶媒類、たとえばトルエン、キシレンなど、オレフィン化合物、シクロオレフィン化合物、ナフサ、アルコール類たとえばメチル、エチル、イソプロピルおよびn−ブチルアルコール、ケトン類たとえばメチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン、エステル類たとえば酢酸エチルおよび酢酸ブチル、塩素化炭化水素化合物類たとえば塩化メチレンおよびトリクロロエチレン、グリコールエーテル類たとえばエチレングリコールモノエチルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテル、グリコールモノエーテルモノエステル類たとえばエチレングリコールモノメチルエーテルアセタートおよびエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどを包含する。
【0140】
本発明のコーティング組成物は、それぞれのタイプの従来のコーティング組成物の製造に使用される方法のいずれによっても製造することができる。本発明のコーティング組成物は、特別な限定なしに、たとえば金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミックスなどを含めた任意の基材に適用することができる。コーティング方法もまた特に限定的ではなく、たとえば吹き付けコーティング、エアレスコーティング、静電コーティング、ロールコータコーティングなどを包含する従来の被覆方法のいずれをも使用することができる。コーティングは、塗装される製品の意図する用途に応じ、一回塗り法、二回塗り法などを用いて塗装することができる。
【0141】
本発明のインク組成物は、膜形成材料、および前記のメタルエフェクト顔料を含む着色剤を含有する。従来のインク組成物形成のために使用されるすべての膜形成材料は、特別な限定なしに、本発明のインク組成物を形成するために使用してよい。このような目的に適した膜形成材料の例は、たとえば、合成樹脂類、例としてフェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリ塩化ビニル樹脂、天然樹脂類、例としてギルソナイト、セルロース誘導体、ならびに植物油類、例としてアマニ油、桐油および大豆油を包含する。場合により、インク組成物の意図する用途に応じ、この種の膜形成性材料を2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0142】
上記の膜形成材料、クロマチックカラー金属コア顔料、および必要に応じて場合により添加される有色顔料に加えて、本発明のインク組成物は、必要に応じて、インク組成物に従来から使用されている種々の添加物、たとえばワックス、可塑剤、分散剤などと混合することができる。さらには、本発明インク組成物の形態は、特に限定的でなく、そして有機溶媒溶液、水性溶液および水性エマルションを包含する。
【0143】
本発明のインク組成物が有機溶媒中の分散体の形態にある場合、特別な限定なしに種々の有機溶媒がそのために使用でき、そして従来の溶液タイプインク組成物に使用されるものを包含する。適した有機溶媒の例は、たとえば、芳香族炭化水素溶媒類、例としてトルエンおよびキシレン、オレフィン化合物類、シクロオレフィン化合物類、ナフサ類、アルコール類、例としてメチル、エチル、イソプロピルおよびn−ブチルアルコール、ケトン類、例としてメチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン、エステル類、例として酢酸エチルおよび酢酸ブチル、塩素化炭化水素化合物類、例として塩化メチレンおよびトリクロロエチレン、グリコールエーテル類、例としてエチレングリコールモノエチルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテル、グリコールモノエーテルモノエステル類、例としてエチレングリコールモノメチルエーテルアセタートおよびエチレングリコールモノエチルエーテルアセタートなど、を包含する。
【0144】
本発明のインク組成物は、それぞれのタイプの従来インク組成物を形成するために先行技術による製造で使用されている、任意の方法によっても製造することができる。本発明のインク組成物は、任意の従来方法の印刷にも、たとえばスクリーン印刷、ロトグラビュール印刷、ブロンズ印刷およびフレキソ印刷にも使用することができる。
【0145】
本発明の着色成形材料は、プラスチック樹脂および、着色剤として前述のメタルエフェクト顔料を含有する。本発明の成形用配合物の主成分を構成するプラスチック樹脂は特に限定されず、造形物品の成形のための先行技術で従来から使用されているいかなるプラスチック樹脂をも使用することができる。この種のプラスチック樹脂の例は、ポリ塩化ビニル樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などを包含する。
【0146】
本発明の成形用配合物のプラスチック樹脂は、場合により、美的着色効果をさらに高めるために、他のクロマチックカラー金属フレーク顔料および/または他のタイプの有色顔料と配合される。本発明の成形用プラスチック樹脂配合物はまた、場合により、先行技術の、プラスチック樹脂に基づく成形用配合物に従来から使用されている、種々の充填材および他の添加物を含有することもできる。種々の形態の成形物品を、本発明の成形用配合物から、公知の方法、たとえば押出成形および射出成形によって製造することができる。
【0147】
したがって、本発明はまた、高分子量有機材料および本発明エフェクト顔料の着色有効量を含む組成物、ならびに高分子量有機材料、特に自動車用塗料を着色するための本発明エフェクト顔料の使用に関する。本発明の顔料は、着色しようとする高分子量有機材料の重量に基づいて、0.01〜30重量%の量で使用されることが好ましい。
【0148】
以下の実施例は、単に具体的詳細説明のためのものであって、本発明の範囲をいかなる様にも限定しようとするものではない。
【0149】
実施例1
基本的な点においてUS6,270,840と同様に組み立てられた真空系の中で、または代替としてのバッチ系の中で、蒸発器から以下のものを連続して蒸発させた:約900℃において、分離剤としての塩化ナトリウム(NaCl)、そして1,350〜1,550℃において、SiとSiOの反応生成物としての一酸化ケイ素(SiO)。NaClの層厚は、典型的には30〜40nmであり、SiOのそれは、最終製品の意図する目的によって20〜2,000nmであり、本発明の場合は200nmであった。抵抗加熱式蒸発器は、この作業の全範囲にわたって良好な均一性が得られるように、公知技術によって構成してあった。気化を約0.02Paで実施し、1分あたりNaClは11g、SiOは72gの量であった。それに続く、分離剤を溶解して層を剥離するために、蒸着を実施した担体を、脱イオン水を用い、約3,000Pa圧でスプレーし、そしてスクレイパーを用いる機械的支援、および超音波を用いて処理した。NaClは溶液になり、不溶性のSiO層は、破砕してフレークになった。その懸濁液を溶解槽から連続的に抜き取り、大気圧下でろ過により濃縮し、存在するNaとClイオンを除去するために脱イオン水で数回すすいだ。この後、乾燥し、そしてゆるい材料形態にある平面−平行SiO構造物を、700℃に加熱した空気を通してある炉の中で、(SiOをSiOに酸化する目的で)700℃において2時間加熱する工程にかけた。冷却後、粉砕、および風篩による分級を実施した。生成物は、さらなる使用のために送り出すことができた。
【0150】
実施例2
酸化ケイ素フレーク0.5g、脱イオン水150g、およびホウ酸水溶液26.5mL(0.8M、21.2mmol)を混合撹拌してスラリーを形成させた。これを、マイクロ波炉に通してある連続ループ中にポンプで送入した。このスラリーに、ヘキサフルオロスズ酸アンモニム2mL(0.1M、0.2mmol)を、シリンジポンプにより流速0.4mL/minで加えた。この添加の30分後、ヘキサフルオロチタン酸アンモニム50mL(0.2M、10.0mmol)を同じ流速で加えた。さらに30分間かけて反応を完結させた。マイクロ波の出力レベルと作動時間を調節することにより、全工程を通じて温度を50℃に維持した。固体をバルク溶液から、沈降およびデカンテーションによって単離した。この固体を、脱イオン水でスラリー化した。沈降とデカンテーションを繰り返した。最後に、これをろ過漏斗上に置き、脱イオン水で洗浄して乾燥した。さらなる乾燥を、真空炉中、110℃で実施した。
【0151】
実施例3
酸化ケイ素フレーク1g、脱イオン水375g、およびホウ酸水溶液8mL(0.8M、6.4mmol)を混合撹拌してスラリーを形成させた。このスラリーを、マイクロ波炉に通してある連続ループ中にポンプで送入した。このスラリーに、ヘキサフルオロスズ酸アンモニム2mL(0.1M、0.2mmol)を、シリンジポンプにより流速0.4mL/minで加えた。この添加の30分後、ヘキサフルオロチタン酸アンモニム15mL(0.2M、3.0mmol)を同じ流速で加え、そして反応を、完結するまでさらに30分間継続させた。マイクロ波の出力レベルと作動時間を調節することにより、全工程を通じて温度を50℃に維持した。固体をバルク溶液から、沈降およびデカンテーションによって単離した。この固体を、脱イオン水でスラリー化し、そして沈降とデカンテーションを繰り返した。固体をろ過漏斗上に置き、脱イオン水で洗浄して乾燥し、そして最終的に真空炉中、110℃で乾燥した。
【0152】
実施例4
二酸化ケイ素フレーク1g、脱イオン水300g、およびホウ酸水溶液14mL(0.8M、11.2mmol)を混合撹拌してスラリーを形成させた。このスラリーを、マイクロ波炉に通してある連続ループ中にポンプで送入した。このスラリーに、ヘキサフルオロスズ酸アンモニム5mL(0.1M、0.5mmol)を、シリンジポンプにより流速0.4mL/minで加えた。この添加の30分後、ヘキサフルオロチタン酸アンモニム25mL(0.2M、5.0mmol)を同じ流速で加え、そして反応を、完結するまでさらに30分間継続させた。マイクロ波の出力レベルと作動時間を調節することにより、全工程を通じて温度を50℃に維持した。固体をバルク溶液から、沈降およびデカンテーションによって単離した。この固体を、脱イオン水でスラリー化し、そして沈降とデカンテーションを繰り返した。固体をろ過漏斗上に置き、脱イオン水で洗浄して乾燥し、そして最終的に真空炉中、110℃で乾燥した。
【0153】
実施例5
酸化ケイ素フレーク1g、脱イオン水300g、およびホウ酸水溶液45mL(0.8M、36mmol)を混合撹拌してスラリーを形成させた。このスラリーを、マイクロ波炉に通してある連続ループ中にポンプで送入した。このスラリーに、ヘキサフルオロスズ酸アンモニム5mL(0.1M、0.5mmol)を、シリンジポンプにより流速0.4mL/minで加えた。添加の30分後、ヘキサフルオロチタン酸アンモニム80mL(0.2M、16mmol)を同じ流速で加え、そして反応を、完結するまでさらに30分間継続させた。温度は、マイクロ波の出力レベルと作動時間を調節することにより、全工程を通じて50℃に維持した。固体をバルク溶液から、沈降およびデカンテーションによって単離した。この固体を、脱イオン水でスラリー化し、そして沈降とデカンテーションを繰り返した。固体をろ過漏斗上に置き、脱イオン水で洗浄して乾燥し、そして最終的に真空炉中、110℃で乾燥した。
【0154】
実施例6
グラフィタン(Graphitan)7525(黒鉛の微小板状物)0.4g、およびホウ酸水溶液75mL(0.8M、60mmol)を混合撹拌してスラリーを形成させた。このスラリーを、マイクロ波炉に通してあるPTFEチューブのコイル中にポンプで送入した。マイクロ波を照射しながら、その混合物に、ヘキサフルオロチタン酸アンモニム水溶液25mL(0.4M、10mmol)を0.3mL/minで加え、そしてマイクロ波処理による反応をさらに30分間継続した。温度を、マイクロ波の出力レベルと作動時間を調節することにより、工程を通じて55〜65℃に維持した。固体をろ過によって集め、ついで脱イオン水で洗浄し、空気乾燥した。さらなる乾燥を、真空炉中において110℃で実施した。この顔料は暗青色を示した。
【0155】
実施例7
酸化ケイ素フレーク(厚さ300nm)0.3g、およびホウ酸水溶液75mL(0.8M、60mmol)を混合撹拌してスラリーを形成させた。このスラリーを、マイクロ波炉に通してあるPTFEチューブのコイル中にポンプで送入した。マイクロ波を照射しながら、その混合物に、ヘキサフルオロチタン酸アンモニム水溶液25mL(0.4M、10mmol)を0.2mL/minで加え、そしてマイクロ波処理をさらに30分間継続した。温度は、マイクロ波の出力レベルとおよび作動時間を調節することにより、工程を通じて50〜60℃に維持した。固体をろ過によって集め、ついで脱イオン水で洗浄し、空気乾燥した。さらなる乾燥を、真空炉中において110℃で実施した。得られた顔料は緑色を示した。
【0156】
実施例8
酸化ケイ素フレーク(厚さ150nm)0.2g、およびホウ酸水溶液45mL(0.8M、36mmol)を混合撹拌してスラリーを形成させた。このスラリーを、マイクロ波炉に通してあるPTFEチューブのコイル中にポンプで送入した。周囲温度において、その混合物に、ヘキサフルオロチタン酸アンモニム水溶液15mL(0.4M、6mmol)を0.8mL/minで加えた。マイクロ波照射を用い、温度を、30〜40℃に90分間、そして50〜65℃に30分間維持した。固体をろ過によって集め、ついで脱イオン水で洗浄し、空気乾燥した。さらなる乾燥を、真空炉中において110℃で実施した。得られた顔料は赤色を示した。
【0157】
実施例9
酸化ケイ素フレーク(厚さ150nm)0.3g、およびホウ酸水溶液75mL(0.8M、60mmol)を混合撹拌してスラリーを形成させた。このスラリーを、マイクロ波炉に通してあるPTFEチューブのコイル中にポンプで送入した。マイクロ波を照射しながら、混合物に、ヘキサフルオロチタン酸アンモニム水溶液25mL(0.4M、10mmol)を0.3mL/minで加え、そしてマイクロ波処理をさらに30分間継続した。温度を、マイクロ波の出力レベルと作動時間を調節することにより、工程を通じて55〜65℃に維持した。固体をろ過によって集め、ついで脱イオン水で洗浄し、空気乾燥した。さらなる乾燥を、真空炉中において110℃で実施した。得られた顔料は緑色を示した。
【0158】
実施例10
酸化ケイ素フレーク(厚さ150nm)0.24g、および脱イオン水20mLを混合撹拌してスラリーを形成させた。このスラリーを、マイクロ波炉に通してあるPTFEチューブのコイル中にポンプで送入した。その混合物に、FeCl・NHF水溶液18mL(0.4M、7.2mmol)およびホウ酸水溶液18mLを、同時に0.2mL/minで、周囲温度において加えた。反応は、マイクロ波照射処理により40〜50℃で30分間実施した。固体をろ過によって集め、ついで脱イオン水で洗浄し、空気乾燥した。さらなる乾燥を、真空炉中において110℃で実施した。得られた顔料は緑/黄色を示した。
【0159】
実施例11
厚さ約100nmを有する二酸化ケイ素フレークを用い、そして二酸化チタン付着を、二酸化チタンの層厚が約90nmに達したところで停止させた以外は、実施例4を繰り返した。得られたフレークは赤色を示した。
【0160】
実施例12
厚さ約100nmを有するSiO(〜1.6≦z≦1.8)フレークを用い、そして二酸化チタン付着を、二酸化チタンの層厚が約90nmに達したところで停止させた以外は、実施例7を繰り返した。得られたフレークは赤色を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア材料および、周期律表の第3〜15族から選択される金属の酸化物の1種以上よりなる少なくとも1層の誘電体層を含む顔料の製造方法であって、工程:
(a)コア材料をフッ素捕捉剤水溶液中に懸濁させ;
(b)所望の金属酸化物コーティングの前駆体である1以上のフッ素含有金属錯体の水溶液を加え;そして
(c)該懸濁液をマイクロ波放射線に曝し、該コア材料上に金属酸化物を付着させる;
を含む方法。
【請求項2】
顔料が、コア材料、および周期律表の第3〜15族から選択される金属の酸化物の1種以上よりなる少なくとも1層の誘電体層を含むエフェクト顔料である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
コア材料が、低屈折率を有する微小板形態の材料、特にマイカ、他の層状ケイ酸塩、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、またはSi/SiO(0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
コア材料が、高屈折率を有する微小板形態の材料、特にTiO、またはFeである、請求項2記載の方法。
【請求項5】
コア材料が、微小板形態の金属材料、特にチタン、銀、アルミニウム、銅、クロム、鉄、ゲルマニウム、モリブデン、タンタル、またはニッケルである、請求項2記載の方法。
【請求項6】
顔料が、顔料粒子および、周期律表の第3〜15族から選択される金属の酸化物の1種以上よりなる少なくとも1層の誘電体層を含む金属酸化物被覆顔料である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
コア材料が、有機、または無機顔料である、請求項3記載の方法。
【請求項8】
フッ素捕捉剤が、ホウ酸、アルカリ金属ホウ酸塩、たとえばホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、無水ホウ素、および一酸化ホウ素からなる群より選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
フッ素含有金属錯体が、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム;ヘキサフルオロスズ酸アンモニウム;ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム;塩化鉄(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;塩化アルミニウム(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;ヘキサフルオロゲルマニウム酸アンモニウム;フッ化インジウム(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;および1以上の元素および酸化インジウムスズ皮膜を含む金属酸化物皮膜を形成する金属塩の組合せ;からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一に記載の方法。
【請求項10】
金属酸化物が二酸化チタンであり、そしてフッ素含有金属錯体がヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、フッ化アンモニウムおよび塩化チタンから、もしくは塩化チタン、フッ化アンモニウムおよびフッ化水素酸から調製される錯体であるか;または金属酸化物が二酸化ケイ素であり、そしてフッ素含有金属錯体がヘキサフルオロケイ酸アンモニウムもしくはペンタフルオロケイ酸アンモニウムである、請求項1〜3および5〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
さらに、工程:
(d)工程(b)における酸化物コーティングとは異なる所望の金属酸化物コーティングの前駆体である1以上のフッ素含有金属錯体の水溶液を加え;そして
(e)該懸濁液をマイクロ波放射線に曝し、前記被覆コア材料上に金属酸化物を付着させる;
を含む、請求項1〜3および5〜10のいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
工程(b)のフッ素含有金属錯体がヘキサフルオロチタン酸アンモニウムであり、そして工程(d)のフッ素含有金属錯体がヘキサフルオロケイ酸アンモニウム塩である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
コア材料が、SiO(1.40≦z<2.0)またはSiOであり、そして第1の誘電体層が高屈折率の金属酸化物、たとえばFeまたはTiOであり、そして場合により存在する第2の誘電体層が低屈折率の金属酸化物、たとえばSiOまたはAlである(ここで屈折率の差は少なくとも0.1である);またはコア材料が微小板状黒鉛であり、そして誘電体層が二酸化チタンのものである;またはコア材料が二酸化チタンであり、そして第1の誘電体層が、Fe,Fe、FeOOH、Cr、CuO、Ce、Al、SiO、BiVO、NiTiO、CoTiOおよびアンチモン−ドープ、フッ素−ドープもしくはインジウム−ドープした酸化スズ酸化鉄から選択され、そして場合により存在する第2の誘電体層が、酸化アルミニウムもしくは酸化アルミニウム水和物、二酸化ケイ素もしくは二酸化ケイ素水和物、Fe、Fe、FeOOH、TiO、ZrO、Cr、および、アンチモン−ドープ、フッ素−ドープもしくはインジウム−ドープした酸化スズ選ばれる;またはコア材料が酸化鉄であり、そして第1の誘電体層が、屈折率n≦1.8を有する無色のコーティング、たとえば酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、およびそれらの混合物であり、そして場合により存在する第2の誘電体層が、屈折率≧2.0を有する無色のコーティング、たとえば二酸化チタン、酸化チタン水和物、二酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム水和物、二酸化スズ、酸化スズ水和物、酸化亜鉛、酸化亜鉛水和物、およびそれらの混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
厚さ60〜120nmを有する二酸化チタン層を含む、厚さ70〜130nmを有するSiO(1.40≦z<2.0)またはSiOフレーク。

【公表番号】特表2006−527779(P2006−527779A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516133(P2006−516133)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051039
【国際公開番号】WO2004/113455
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFLON
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】