説明

コイル巻線装置及びコイル巻線方法

【課題】内側渡り線により連結される第一及び第二コイルの巻数を容易に変更調整し、コイルを形成する際に繰出される線材の張力が変動することを防止する。
【解決手段】コイル巻線装置20は、線材11を一定のテンションで繰出す線材繰出機50と、線材繰出機から繰出される線材を巻取る蓄線リール70と、線材繰出機から繰出される線材又は蓄線リールからほどかれて繰出される線材を回転して巻取る巻取り治具21と、巻取り治具21が線材繰出機50から繰出される線材11を巻取るときに蓄線リール70を巻取り治具21に固定して巻取り治具21とともに回転させる連結機構71と、蓄線リールを巻取り治具に対して移動させることにより蓄線リール70から繰出される線材11に一定のテンションを付与するテンション付与装置91とを備える。流体圧シリンダ92により蓄線リール70を巻取り治具21から離間させる方向に移動させることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回始端と巻回終端とが同一の巻層に配線可能なコイル巻線装置及びコイル巻線方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、最近、モータの小型化に対応したコイルとして、線材が緊密に巻回されて巻層の間に無用の間隙を形成されないようにするとともに、線材の巻回始端と巻回終端とが同一の巻層に配線されるようにしたいわゆるアルファ巻(又は、「外外巻」ともいう。)からなるものが多用されるようになってきている。このアルファ巻のコイルとして、線材を渦巻き状に巻回した第一、第二コイルと、この第一、第二コイルの内周端部どうしを結ぶ内側渡り線とを有する二列渦巻きコイルが知られている。そして、このような二列渦巻きコイルの製造装置として、線材の2本分の隙間を隔てて対向して巻芯の周囲を相互に逆方向に回転する第一及び第二のホイールと、第一のホイールのガイド溝又は穴に向けて線材を繰出す巻線供給部と、線材を巻回状態で蓄えかつ第二のホイールのガイド溝又は穴に向けてその線材を繰出す蓄線部とを備える装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この製造装置では、巻芯の外周に対して線材の任意の位置を巻初めとし、第一及び第二のホイールを相互に逆方向に回転させ、これによりその巻初めの位置から両側に延びる線材を巻芯に同時に相互に逆方向に巻回して、その巻芯の軸方向に2層となる巻線部をその巻芯の外周に形成するとしている。そして、各巻線部の外周から線材を導出することにより、線材の巻回始端と巻回終端とが最外周の同一の巻層から引出された二列渦巻きコイルを比較的容易に製造することができるとしている。
【0004】
また、上記コイルの製造装置では、第二のホイールのガイド溝又は穴に向けて線材を繰出す蓄線部として、蓄線用ドラムとその蓄線用ドラムの逆転に対し所定のトルクを持たせるバックテンショナーとを有するものが開示されている。この蓄線用ドラムとバックテンショナーとはベルトで相互に連動するように連結され、蓄線用ドラムの正転により巻回状態で蓄えられた線材を蓄線用ドラムを逆転させて繰出す際に、バックテンショナーによりその蓄線用ドラムに所定のトルクを付与し、これによりそのドラムから繰出される線材に一定のテンションを付与するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−154626号公報(段落番号「0010」、「0011」及び「0019」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1におけるコイルの製造装置では、巻芯と別に第一及び第二のホイールを相互に逆方向に回転させるので、第一及び第二コイルの双方における巻数が同じとなる二列渦巻きコイルの製造には適するけれども、第一コイルの巻数と第二コイルの巻数を異ならせたコイルの製造は困難であった。即ち、例えば、第一コイルを巻芯の軸方向に複数層としてその巻数を大幅に増加させる一方で、第二コイルは単層の渦巻きコイルとするようなことはできずに、製造し得るコイルは同一の巻数からなる第一及び第二コイルが内側渡り線により連結された二列渦巻きコイルに限定されるという不具合があった。
【0007】
また、上記特許文献1におけるコイルの製造装置では、蓄線用ドラムを逆転させて線材を繰出す際にバックテンショナーにより一定のテンションを付与するとしているけれども、蓄線用ドラムに蓄線された線材をその蓄線用ドラムから解きほどいて繰出すと、巻取られた線材からなる外径は徐々に減少することになる。バックテンショナーは蓄線用ドラムに一定のトルクを付与するものであるけれども、その蓄線用ドラムのトルクが一定である場合に、線材が繰出されて巻取られた線材からなる外径が減少すると、その外周から繰出される線材に付与される張力が徐々に増加し、その張力に変動を生じさせるという不具合もあった。この張力の変動は、形成されるコイルにおける線材の密着の程度に差を生じさせて、線材の占積率を低下させる要因となった。
【0008】
本発明の目的は、内側渡り線により連結される第一及び第二コイルの巻数を個別に容易に変更調整し得るコイル巻線装置及びコイル巻線方法を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、コイルを形成する際に繰出される線材の張力が変動することを防止し得るコイル巻線装置及びコイル巻線方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコイル巻線装置は、線材を一定のテンションで繰出す線材繰出機と、その線材繰出機から繰出される線材を巻取る蓄線リールと、線材繰出機から繰出される線材又は蓄線リールからほどかれて繰出される線材を回転して巻取る巻取り治具と、その巻取り治具が線材繰出機から繰出される線材を巻取るときに蓄線リールを巻取り治具に固定して巻取り治具とともに回転させる連結機構と、蓄線リールから巻取られた線材を繰出すときに蓄線リールを巻取り治具に対して移動させることにより蓄線リールから繰出される線材に一定のテンションを付与するテンション付与装置とを備える。
【0011】
テンション付与装置は、蓄線リールを巻取り治具から離間させる方向に移動させる流体圧シリンダを備えることが好ましい。また、テンション付与装置は、蓄線リールから線材を繰出し可能に構成された駆動源と、その駆動源を制御する制御装置を備えることも好ましい。この場合の制御装置は、蓄線リールが巻取り治具に接近したときに蓄線リールから線材を繰出し、蓄線リールが巻取り治具から離間したときに蓄線リールからの線材の繰出しを禁止するように駆動源を制御する。そして、駆動源がサーボモータであって、蓄線リールがサーボモータの回転軸に着脱自在に構成されることが更に好ましい。
【0012】
本発明の方法は、線材繰出機から繰出される線材を蓄線リールに巻取り、その蓄線リールと共に巻取り治具を回転駆動して線材繰出機から繰出される線材を巻取り治具に巻回して第一コイルを形成した後、巻取り治具から蓄線リールを取り外した状態で巻取り治具を回転駆動して蓄線リールからほどかれて繰出される線材を巻取り治具に巻回して第二コイルを形成するコイル巻線方法である。
【0013】
その特徴ある点は、第一コイルの形成において、線材繰出機から繰出される線材に一定のテンションを線材繰出機において付与し、第二コイルの形成において、巻取り治具から取り外した蓄線リールを移動させて蓄線リールから繰出される線材に一定のテンションを付与するところにある。
【0014】
この場合、蓄線リールの移動が、蓄線リールを巻取り治具から離間させる方向に付勢する流体圧シリンダにより行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコイル巻線装置及びコイル巻線方法では、線材繰出機から繰出される線材を蓄線リールに巻取り、連結機構により蓄線リールを巻取り治具に固定して、その蓄線リールと共に巻取り治具を回転駆動して線材繰出機から繰出される線材を巻取り治具に巻回して第一コイルを形成するので、巻取り治具の回転数を変更することにより、その第一コイルの巻数を自由に調整することができる。また、第一コイルが形成された後に、巻取り治具から蓄線リールを取り外した状態で巻取り治具を回転駆動し、その蓄線リールからほどかれて繰出される線材を巻取り治具に巻回して第二コイルを形成するので、巻取り治具の回転数を変更することにより、その第二コイルの巻数も自由に調整することができる。よって、内側渡り線により連結される第一及び第二コイルの巻数を個別に容易に変更調整することが可能になる。
【0016】
また、本発明のコイル巻線装置及びコイル巻線方法では、蓄線リールから巻取られた線材を繰出すときに蓄線リールを巻取り治具に対して移動させることにより、その蓄線リールから繰出される線材に一定のテンションを付与するので、たとえ、その蓄線リールに蓄線された線材を解きほどいて繰出し、巻取られた線材からなる外径が減少したとしても、線材に付与される張力に変動を生じさせることはない。よって、形成されるコイルにおける線材の密着の程度に差を生じさせるようなことは無く、コイルを形成する線材の占積率を向上させることができる。そして、この蓄線リールの移動を、流体圧シリンダにより行うようにすれば、その流体圧を調整することにより、比較的容易に線材に付与される張力を調整することができる。
【0017】
一方、蓄線リールから繰出される線材を巻取り治具により巻取ると、蓄線リール自体は回転しないので、その蓄線リールは巻取り治具に接近することになる。けれども、蓄線リールが巻取り治具に接近したときに蓄線リールを回転させて、その蓄線リールから線材を繰出し、蓄線リールが巻取り治具から離間したときに蓄線リールからの線材の繰出しを禁止するようにすれば、比較的長い線材を蓄線リールに巻取っても、その比較的長い線材を順次繰出すことができる。そして、駆動源がサーボモータであって、蓄線リールがサーボモータの回転軸に着脱自在に構成すれば、蓄線リールを回転させて、線材繰出機から繰出される線材を巻取る駆動源として、そのサーボモータを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明実施形態の巻線装置を示す平面図である。
【図2】蓄線リールから繰出された線材が巻取り治具に巻取られる状態を示す図である。
【図3】その蓄線リールが移動して巻取り治具に接近した状態を示す図2に対応する図である。
【図4】図1のA方向から観たテンション付与装置の拡大図である。
【図5】そのテンション付与装置により線材にテンションが付与されている状態を示す図4に対応する図である。
【図6】図1のB方向から観た線材繰出機の拡大図である。
【図7】巻取り治具を示す図1のC−C線断面図である。
【図8】その巻取り治具における線材の巻取り幅を減少させた状態を示す図7に対応する図である。
【図9】その巻取り治具における芯材を回転体に埋没させた状態を示す図7に対応する図である。
【図10】蓄線リールとそれを離脱可能に固定する連結機構等の構造を示す一部断面図である。
【図11】その蓄線リールの斜視図である。
【図12】その蓄線リールを巻取り治具に固定して第一コイルの巻線を開始する状態を示す図1に対応する平面図である。
【図13】その蓄線リールをテンション付与装置により移動させて第二コイルを形成する状態を示す図1に対応する平面図である。
【図14】巻線を開始する時の巻取り治具における線材の状態を示す斜視図である。
【図15】第一コイルにおける第一層目の巻線が成された斜視図である。
【図16】第一コイルにおける第二層目の巻線が成された図15に対応する斜視図である。
【図17】第一コイルの巻線が完了した図15に対応する斜視図である。
【図18】その第一コイルに隣接して第二コイルの巻線を開始する図15に対応する斜視図である。
【図19】第一コイルと第二コイルが内側渡り線により連結されたコイルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図19(b)に、本発明により得られるコイル10を示す。このコイル10は、線材11を巻回した第一、第二コイル12,13を有する。この実施の形態における線材11は、断面が方形を成し、熱風又は溶剤により融着する絶縁被覆を有する自己融着導線(いわゆるセメントワイヤー)が使用される場合を例示する。この第一コイル12は線材11が螺旋状に巻回された巻線がその巻線の径方向に複数層に亘って設けられたものを示し、第二コイル13は線材11が渦巻き状に巻回されたものを示す。そして、この第一、第二コイル12,13の内周端部はコイル内側渡り線14によって結ばれ、第一、第二コイル12,13の外周端部は径方向に延びるリード部15,16となっている。第一、第二コイル12,13において巻回方向に隣接する各線材11は互いに接触するとともに、第一、第二コイル12,13の各線材11どうしが互いに接触しており、これによってコイル10における線材の占積率を高めるようにしている。
【0021】
本発明の巻線装置20を図1に示す。ここで、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が略水平前後方向、Y軸が略水平横方向、Z軸が略垂直方向に延びるものとし、コイル巻線装置20の構成を説明する。
【0022】
本発明のコイル巻線装置20は、架台19上に設けられた巻取り治具21を備える。この巻取り治具21は、線材11を実際に巻取る芯材22と、その芯材22が中心軸に貫通して設けられた第一回転体23と、その第一回転体23の端部から突出する芯材22を挿通可能な挿入孔24aが中心軸に形成された第二回転体24とを有する。
【0023】
芯材22は断面円形の棒状部材である。第一回転体23は芯材22よりもその外径が大きく形成され、この第一回転体23はその芯材22が中心軸に貫通して設けられた断面円形の棒状部材である。芯材22は第一回転体23にスプライン結合して第一回転体23の長手方向に移動可能であるけれども回転不能に第一回転体23に挿通される。架台19には第一支持壁26が立設され、第一回転体23はY軸方向に伸びてこの第一支持壁26に回転可能に設けられる。第一支持壁26には第一回転体23を回転させるサーボモータ27が取付けられる。第一回転体23及びサーボモータ27の回転軸27aにはそれぞれプーリ28a,28bが設けられ、それらのプーリ28a,28bにベルト28cが架設される。これによりサーボモータ27は、駆動してその回転軸27aが回転すると、ベルト28cを介してその回転が第一回転体23に伝達され、これにより第一回転体23を芯材22とともに回転させるように構成される。
【0024】
図7に示すように、芯材22の全長は第一回転体23の全長よりも長く形成される。第一回転体23の一端側から突出する芯材22は、線材11(図1)を巻取ってコイル10を形成するために、その外径は得ようとするコイル10(図19)の内径に等しく形成される。第一回転体23の他端側から突出する芯材22には、その芯材22を回転可能であって軸方向に移動不能に保持する保持部材29が設けられる。また、第一支持壁26の上部には、その保持部材29をY軸方向に移動させる移動機31が第一回転体23に沿って設けられる。移動機31は、第一支持壁26の上部にY軸方向に伸びて固定されたハウジング35と、サーボモータ32よって回転駆動されるボールネジ33と、このボールネジ33に螺合して平行移動する従動子34によって構成され、その従動子34に保持部材29が取付けられる。この移動機31は保持部材29を介して芯材22をY軸方向に移動させるので、図7に示すように、第一回転体23の一端側から芯材22を突出させた状態から、図9に示すように、第一回転体23の一端側から突出して線材11が巻取られる部分を第一回転体23に没入させることも可能に構成される。
【0025】
図1,図7〜図9に示すように、架台19には、第一支持壁26とY軸方向に所定の間隔を空けて第二及び第三支持壁36,37がその第一支持壁26に平行に立設され、この第二及び第三支持壁36,37に第二回転体24が第一回転体23と同軸にY軸方向に伸びて長手方向に移動可能に架設される。第三支持壁37には第二回転体24を回転させるサーボモータ38が取付けられる。第二回転体24及びサーボモータ38の回転軸38aにはそれぞれプーリ39a,39bが設けられ、それらのプーリ39a,39bにベルト39cが架設される。第二回転体24に設けられるプーリ39bはその第二回転体24の長手方向に移動可能であって、第三支持壁37に設けられる。これによりサーボモータ38が駆動してその回転軸38aが回転すると、ベルト39cを介してその回転が第二回転体24に伝達され、これにより第二回転体24は回転可能に構成される。
【0026】
また、第二回転体24の第一回転体23に臨む端部には、第一回転体23の端部から突出する芯材22の先端が進入可能な挿入孔24aがその中心軸に形成され、第一及び第二回転体23,24に挟まれる芯材22に線材11を巻取るように構成される。そして、この巻取り治具21には、第一回転体23に対して第二回転体24をその軸方向に移動させて、第一及び第二回転体23,24の間にあって線材11が巻取られる芯材22の長さL(図7)を変える間隔可変機構41が備えられる。
【0027】
この実施の形態における間隔可変機構41は、第二及び第三支持壁36,37に第二回転体24に平行になるように架設されたボールネジ42と、そのボールネジ42を回転させるサーボモータ43と、そのボールネジ42に螺合してY軸方向に移動する可動台44とを有する。そして、第二回転体24が、その可動台44に軸方向に移動不能であってかつ回転可能に取付けられる。これにより、サーボモータ43が駆動してボールネジ42が回転し、可動台44がY軸方向に移動すると、その可動台44とともに第二回転体24もY軸方向に移動する。そして、第二回転体24がその軸方向であるY軸方向に移動すると、第一回転体23は移動しないので、その第一及び第二回転体23,24に挟まれて線材11を巻取る芯材22の長さLは変更し、例えば図8に示すようにその長さLが狭くなったり、図7に示すように広くなったりするように構成される。
【0028】
図1及び図6に示すように、架台19上には、線材11を繰出す線材繰出機50が設けられる。この線材繰出機50は、その線材11が挿通されるノズル51と、そのノズル51を3軸方向に移動させるノズル移動機構52と、その線材11に張力を付与するテンション装置53とを備える。ノズル51は支持板54に固定され、ノズル移動機構52はこの支持板54を架台19に対して3軸方向に移動可能に構成される。この実施の形態におけるノズル移動機構52は、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータ56〜58の組み合わせにより構成される。このノズル移動機構52を構成する各伸縮アクチュエータ56〜58は、細長い箱形ハウジング56d〜58dと、そのハウジング56d〜58d内部に長手方向に伸びて設けられサーボモータ56a〜58aによって回動駆動されるボールネジ56b〜58bと、このボールネジ56b〜58bに螺合して平行移動する従動子56c〜58c等によって構成される。そして、これらの各伸縮アクチュエータ56〜58は、サーボモータ56a〜58aが駆動してボールネジ56b〜58bが回転すると、このボールネジ56b〜58bに螺合する従動子56c〜58cがハウジング56d〜58dの長手方向に沿って移動可能に構成される。
【0029】
この実施の形態では、ノズル51が設けられる支持板54をX軸方向に移動可能にX軸方向伸縮アクチュエータ56のハウジング56dに取付け、そのX軸方向伸縮アクチュエータ56とともにその支持板54をZ軸方向に移動可能に、X軸方向伸縮アクチュエータ56の従動子56cがZ軸方向伸縮アクチュエータ57の従動子57cに取付けられる。また、そのX軸及びY軸方向伸縮アクチュエータ56,57とともにその支持板54をY軸方向に移動可能に、そのZ軸方向伸縮アクチュエータ57のハウジング57dがY軸方向伸縮アクチュエータ58の従動子58cに取付けられる。そして、Y軸方向伸縮アクチュエータ58のハウジング58dがY軸方向に伸びて架台19に固定される。それらの各伸縮アクチュエータ56〜58における各サーボモータ56a〜58aは、これらを制御する図示しないコントローラの制御出力に接続される。
【0030】
図6に示すように、支持板54には、ノズル51の他にノズル51を通過した線材11をエア圧により切断するカッタ装置59(特許出願番号;特願2010−87668)と、その線材11を把持片60aにより把持してノズル51を通過する線材11の移動を禁止する把持装置60が設けられる。カッタ装置59は、図示しないコントローラからの指令により駆動するエアシリンダ59aを介して支持板54に取付けられる。このエアシリンダ59aによりカッタ装置59は、そのカッタ歯59bが線材11を切断する切断位置と、その線材11から離間する待機位置との間を移動可能に構成される。これにより、このカッタ装置59と把持装置60はノズル51とともに移動し、図示しないコントローラにより制御可能に構成される。
【0031】
一方、テンション装置53は、繰出される線材11に張力を与えるとともにその線材11を引き戻し可能なものである。この実施の形態におけるテンション装置53は、架台19に設けられたケーシング61と、そのケーシング61のY軸方向における側面に設けられたドラム62及びテンションバー63とを備える。線材11はドラム62に巻き付けられ、そのドラム62を回転させて線材11を繰出す繰出し制御モータ64がケーシング61の内部に設けられ、ドラム62から繰出された線材11はテンションバー63の先端における線材ガイド63aに導かれる。線材ガイド63aに導かれた線材11はその線材ガイド63aからノズル51を貫通するように配線される。
【0032】
テンションバー63は、基端の回動軸63bを支点としてX軸方向に回動可能となっている。この回動軸63bの回動角度は、ケーシング61内に収容され回動軸63bに取付けられた回動角度検出手段としてのポテンショメータ65により検出される。ポテンショメータ65の検出出力は図示しないコントローラに入力され、コントローラからの制御出力が繰出し制御モータ64に接続される。
【0033】
また、テンションバー63の回動軸63bと線材ガイド63aとの間の所定位置には、テンションバー63の回動方向に付勢力を与える付勢手段としての弾性部材であるスプリング66の一端が取付けブラケット63cを介して取付けられる。テンションバー63は、弾性部材であるスプリング66によって回動角度に応じた弾性力が及ぼされる。このスプリング66の他端は、移動部材67に固定される。この移動部材67はテンション調節ネジ68の雄ネジ68aに螺合しており、この雄ネジ68aの回転に従って移動調整が可能に構成される。このように、スプリング66の他端の固定位置は変位でき、テンションバー63によって付与される線材11の張力が調節可能に構成される。
【0034】
図示しないコントローラは、回動角度検出手段であるポテンショメータ65により検出された回動角度が所定の角度となるように繰出し制御モータ64を制御するように構成される。従って、このテンション装置53では、スプリング66によりテンションバー63を介して線材11に張力を与えて、そのテンションバー63が所定の角度になるようにドラム62が回転して所定量の線材11が繰出される。よって、線材11の張力は所定の値に維持されるようになっている。
【0035】
図1に示すように、本発明の巻線装置20は、線材繰出機50から繰出される線材11を巻取る蓄線リール70を備える。図10及び図11に示すように、この蓄線リール70は、線材11が実際にその周囲に巻取られる有底筒状の巻取り材70aと、その巻取り材70aの周囲に形成され線材11の線径より僅かに広い隙間70nを空けて対向する一対のフランジ部70b,70cとを有する。一方のフランジ部70bには線材11の始端が進入して係止するスリット70dが形成される。これにより、この蓄線リール70は、その中心軸を回転中心として正転すると、線材繰出機50から繰出されて始端がスリット70dに係止した線材11を一対のフランジ部70b,70cの間の隙間70nに巻取ることになる。そして、巻取り材70aにおける底部にはその中心軸上にカップリング軸70e,70fが内部と外部の双方に突出して形成される。
【0036】
図1に戻って、巻取り治具21が線材繰出機50から繰出される線材11を巻取るときに、その蓄線リール70を巻取り治具21に固定してその巻取り治具21とともに回転させる連結機構71がその巻取り治具21に設けられる。この連結機構71は、第一回転体23の回転径方向に突出するアーム72と、このアーム72の先端部に設けられた第一ロック機構73とを備える。図10に示すように、この第一ロック機構73は、蓄線リール70における外部カップリング軸70fが挿入可能なカップリング孔73bを有する筒体73aと、その筒体73aに設けられ外部カップリング軸70fに形成された環状溝70hに係合するロック部材73cと、このロック部材73cを環状溝70hに押し付けるスプリング73d等を備える。
【0037】
筒体73aには、その端部から軸方向に伸びるスリット73eが形成され、そのスリット73eに進入可能な突起70kがその外部カップリング軸70fに形成される。このため、スプリング73dの付勢力に抗して外部カップリング軸70fがこのカップリング穴73bに差し込まれると、ロック部材73cがスプリング73dの付勢力によって環状溝70hに押し付けられることにより、外部カップリング軸70fがこのカップリング穴73bから抜けないように構成される。そして、カップリング孔73bに外部カップリング軸70fが挿入状態でスリット73eに突起70kが進入するので、蓄線リール70は巻取り治具21に回転不能に取付けられることになる。
【0038】
一方、図12に示すように、第一ロック機構73により蓄線リール70がアーム72の先端部に取付けられた状態で、その蓄線リール70が巻取り治具21とともに回転した場合に、その蓄線リール70が線材繰出機50から繰出される線材11と干渉しないような位置になるように、アーム72が第一回転体23に固定される。
【0039】
また、図14に示すように、線材11を巻取る芯材22が突出する第一回転体23の端部には、その芯材22の外周に接する凹溝23aがアーム72に沿うように形成される。この凹溝23aは、線材11を収容可能な幅及び深さを有し、第一回転体23の外周であって、第一ロック機構73(図1)側の方向に開口するように形成される。そして、第一ロック機構73(図1)を介して蓄線リール70がアーム72の先端部に取付けられた状態で、その蓄線リール70から延びる線材11はこの開口から凹溝23aに進入するように形成される。
【0040】
図1に示すように、このコイル巻線装置20には、蓄線リール70を回転させる駆動源75を備える。この実施の形態における駆動源75は、その回転軸75aの正転及び逆転の双方が可能なサーボモータである。図10に示すように、蓄線リール70はこのサーボモータ75の回転軸75aに第二ロック機構76を介して着脱自在に構成される。この第二ロック機構76は、サーボモータ75の回転軸75aに同軸に連結され蓄線リール70における内部カップリング軸70eが挿入可能なカップリング孔76bを有する筒体76aと、その筒体76aに設けられ内部カップリング軸70eに形成された環状溝70gに係合する図示しないロック部材と、筒体76aに嵌入され軸方向に移動して図示しないロック部材を環状溝70gに挿入し又は離脱させる操作部材76cと、ロック部材を環状溝70gに挿入する方向に操作部材76cを付勢するスプリング76d等を備える。
【0041】
筒体76aには、その端部から軸方向に伸びるスリット76eが形成され、そのスリット76eに進入可能な突起70jがその内部カップリング軸70eに形成される。このため、内部カップリング軸70eがこのカップリング穴76bに差し込まれて蓄線リール70が駆動源75であるサーボモータに取付けられると、スリット76eに突起70jが進入し、サーボモータ75の回転軸75aに対する蓄線リール70の回転は禁止されることになる。これにより、蓄線リール70がサーボモータ75に取付けられた状態では、そのサーボモータ75が駆動して回転軸75aが回転すると蓄線リール70もその回転軸75aとともに回転し、サーボモータ75が停止すると、停止する回転軸75aとともにその蓄線リール70の回転も停止するように構成される。
【0042】
図1に戻って、架台19には可動台77が3軸方向に移動可能に設けられる。この可動台77は可動台移動機構78を介して架台19に設けられ、この実施の形態における可動台移動機構78は、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータ79〜81の組み合わせにより構成される。この可動台移動機構78は、前述したノズル移動機構52と同一構造であるので、繰り返しての説明は省略する。
【0043】
図4及び図5に示すように、この可動台77には、巻取り治具21から取り外された蓄線リール70をその巻取り治具21に対して移動させることにより、その蓄線リール70から繰出される線材11に一定のテンションを付与するテンション付与装置91が設けられる。この実施の形態におけるテンション付与装置91は、可動台77に設けられて蓄線リール70を巻取り治具21から離間させる方向に移動させる流体圧シリンダ92を備える。流体圧シリンダ92は、可動台77にX軸方向に伸びて実際に取付けられるシリンダ本体92bと、そのシリンダ本体92bに給排される流体圧によりそのシリンダ本体92bに沿ってX軸方向に往復移動可能なスライダ92aとを有する。そして、そのスライダ92aに駆動源75であるサーボモータが取付けられる。このサーボモータ75は取付板94を介してスライダ92aに取付けられ、この取付板94にはサーボモータ75の他に、そのサーボモータ75の回転軸75a(図10)に設けられた第二ロック機構76(図10)を操作する操作用シリンダ95が更に設けられる。
【0044】
図10に示すように、操作用シリンダ95におけるロッド95aには第二ロック機構76における操作部材76cに係合する係合部材96が取付けられる。そして、この操作用シリンダ95がそのロッド95aを実線矢印で示すように没入させると、スプリング76dの付勢力に抗して操作部材76cが後退し、内部カップリング軸70eの筒体76aにおけるカップリング穴76bへの差し込みが可能となるように構成される。そして、内部カップリング軸70eがカップリング穴76bへ差し込まれた状態でロッド95aを破線矢印で示すように突出させると、操作部材76cが再び前進して図示しないロック部材が環状溝70gに押し付けられ、これにより、カップリング軸70eがこのカップリング穴76bから抜けないように構成される。
【0045】
一方、内部カップリング軸70eがカップリング穴76bへ差し込まれた状態で、操作用シリンダ95がそのロッド95aを実線矢印で示すように再び没入させると、既に差し込まれていた内部カップリング軸70eのそのカップリング穴76bからの抜き出しが可能になるように構成される。このように、この第二ロック機構76により蓄線リール70は駆動源であるサーボモータ75の回転軸75aに着脱可能に構成される。サーボモータ75の回転軸75aに連結された蓄線リール70は、そのサーボモータ75によってY軸まわりに正転及び逆転の双方が可能になる。そして、その蓄線リール70は、正転することにより線材繰出機50から繰出される線材11を巻取って蓄線し、その蓄線の後、逆転することにより、巻取られた線材11を解きほぐしてその蓄線リール70から繰出すことになる。
【0046】
図4及び図5に示すように、流体圧シリンダ92は、そのサーボモータ75が取付けられたスライダ92aをX軸方向に移動させるものである。このため、サーボモータ75の回転軸75a(図10)に蓄線リール70が取付けられた状態で、そのサーボモータ75が巻取り治具21から離れる方向に移動すると、蓄線リール70も巻取り治具から離れる方向に移動し、その蓄線リール70から繰出される線材11に一定のテンションを付与することになる。なお、このテンションを付与する際にサーボモータ75は駆動させずに、蓄線リール70を回転させない。
【0047】
また、可動台77には、そのスライダ92aが巻取り治具21に接近したことを検出する接近センサ97と、そのスライダ92aが巻取り治具21から離間したことを検出する離間センサ98が設けられる。各センサ97,98は、スライダ92aに設けられた第一突起92dが対向するとオン信号を出力するセンサであって、図3に示すように、スライダ92aが巻取り治具21に接近した時の第一突起92dに対向する位置に接近センサ97が設けられ、図2に示すように、そのスライダ92aが巻取り治具21から離間した時の第一突起92dに対向する位置に離間センサ98が設けられる。各センサ97,98の検出出力は駆動源であるサーボモータ75の制御装置である図示しないコントローラに接続される。そして、そのコントローラは、図3に示すように、蓄線リール70が巻取り治具21に接近して接近センサ97がオン信号を出力すると、サーボモータ75を駆動させ、図2に示すように、蓄線リール70が巻取り治具21から離間して離間センサ98がオン信号を出力すると、駆動しているサーボモータ75を停止させるように構成される。このようにコントローラがサーボモータ75を制御することにより、蓄線リール70が巻取り治具21に接近すると、蓄線リール70から線材11が繰出され、蓄線リール70が巻取り治具21から離間したときに蓄線リール70からの線材11の繰出しが禁止されることになる。
【0048】
また、この可動台77には、流体圧シリンダ92におけるスライダ92aの移動を禁止可能に許容する移動制限用シリンダ93が更に設けられる。この移動制限用シリンダ93は、可動台77に、流体圧シリンダ92と直交するようにZ軸方向に伸びて設けられる。一方、流体圧シリンダ92のスライダ92aには、蓄線リール70が巻取り治具21から離間した図4に示すときに、移動制限用シリンダ93に臨む第二突起92cが取付けられている。移動制限用シリンダ93のスライダ93aには流体圧の供給の有無によりその第二突起92cに係合し又はその第二突起92cから離脱する係合片93cが設けられる。そして、移動制限用シリンダ93の本体93bに流体が供給されてスライダ93aが図4の実線矢印で示すように移動し、そこに設けられた係合片93cが第二突起92cに係合すると、流体圧シリンダ92におけるスライダ92aの移動を禁止し、流体の供給が停止されるとスライダ93aが図4の破線矢印で示すように復元して係合片93cが第二突起92cから離脱すると、流体圧シリンダ92におけるスライダ92aの移動が許容されるように構成される。
【0049】
なお、図示しないが、巻取り治具21である芯材22に巻取られた線材11を加熱して融着させる熱風発生器が架台19上に設けられる。
【0050】
次に、上記巻線装置を用いた本発明の巻線方法について説明する。
【0051】
本発明の巻線方法は、線材繰出機50から繰出される線材11を蓄線リール70に巻取り、その蓄線リール70と共に巻取り治具21を回転駆動して線材繰出機50から繰出される線材11を巻取り治具21に巻回して第一コイル12を形成した後、巻取り治具21から蓄線リール70を取り外した状態で巻取り治具21を回転駆動して蓄線リール70からほどかれて繰出される線材11を巻取り治具21に巻回して第二コイル13を形成する方法である。以下に、各工程を詳説する。
【0052】
<蓄線工程>
この工程では、線材繰出機50から繰出される線材11を蓄線リール70に巻取る。この巻取りは駆動源75により行われ、蓄線リール70は駆動源であるサーボモータ75の回転軸75aに第二ロック機構76により回転不能に取付けられる。この取付けは、図10に示す操作用シリンダ95のロッド95aを実線矢印で示すように没入させてスプリング76dの付勢力に抗して操作部材76cを後退させ、この状態で内部カップリング軸70eをカップリング穴76bに差し込み、その後ロッド95aを破線矢印で示すように突出することにより行われる。このとき、図4に示す移動制限用シリンダ93により、その係合片93cを第二突起92cに係合させて、サーボモータ75が設けられた流体圧シリンダ92におけるスライダ92aの移動を禁止しておくことが、サーボモータ75の無用な移動を禁止し得るため、好ましい。
【0053】
そして、サーボモータ75を駆動してその回転軸75aを蓄線リール70とともに回転させ、これにより線材繰出機50から繰出される線材11を蓄線リール70に巻取る。その詳細な手順にあっては、先ず、カッタ装置59を待機位置に維持させる。そして把持装置60の把持片60aにより線材11を把持し、ノズル51から線材11を突出させた状態でノズル移動機構52によりそのノズル51を移動させ、図11に示すようにその線材11の端縁をスリット70dに挿入させる。この状態からサーボモータ75を駆動して蓄線リール70を僅かに正転させ(例えば、45度〜90度程度回転させる。)、その正転した蓄線リール70によりスリット70dに挿入された線材11の端縁を折り曲げ、それによりその線材11の端部をそのスリット70dに係止させる。このように、線材11の端部をスリット70dに係止させた後、把持装置60は、図1に示すように把持片60aによる線材11の把持を解消して、線材繰出機50からの線材11の繰出しを許容する。その後、蓄線リール70を更に正転させることにより、その後に線材繰出機50から繰出される線材11を一対のフランジ70b,70cの間の巻取り材70aに巻取る。そして、所定量の線材11を巻取った後にサーボモータ75を停止して、蓄線リール70の正転を停止させる。
【0054】
<第一蓄線リール移動工程>
この工程では、駆動源であるサーボモータ75の回転軸75aに取付けられた蓄線リール70を巻取り治具21に固定する。この固定は連結機構71により行われ、これに際してサーボモータ27を駆動して第一回転体23とともにアーム72を回転させ、そこに取付けられた第一ロック機構73を、図10に示すように蓄線リール70に対向させる。そして、可動台移動機構78によりサーボモータ75とともに蓄線リール70を移動させて、その外部カップリング軸70fをカップリング穴73bに差し込んで蓄線リール70をその第一ロック機構73に取付ける。
【0055】
その後、操作用シリンダ95のロッド95aを没入させて操作部材76cを後退させ、第二ロック機構76を解除する。この状態で可動台移動機構78によりサーボモータ75を第一ロック機構73から遠ざける。これによりサーボモータ75から離脱した蓄線リール70は連結機構71により巻取り治具21に固定されることになる。このとき、図12に示すように、ノズル移動機構52は、芯材22の接線方向に伸びる線材11が芯材22と直交するようにノズル51を位置させる。そして、図14に示すように、線材繰出機50から蓄線リール70へと延びる線材11を第一回転体23に形成された凹溝23aに収容しておく。
【0056】
<第一コイル形成工程>
この工程では、蓄線リール70と共に巻取り治具21を回転駆動して線材繰出機50から繰出される線材11を巻取り治具21に巻取って第一コイル12を形成する。具体的には、サーボモータ27,38を同期して回転駆動し、図15の実線矢印で示すように第一及び第二回転体を芯材22とともに回転させ、線材繰出機50からノズル51を経て繰出される線材11を第一及び第二回転体23,24に挟まれる芯材22に巻取る。
【0057】
巻取りを開始すると、その芯材22が一回転して線材11を1回巻取る毎に、ノズル移動機構52はノズル51を芯材22の軸方向にその線材11の線径に等しい量だけ移動させる。また、間隔可変機構41は、巻初めの当初、第一及び第二回転体23,24の間の線材11が巻取られる芯材22の長さL(図8)を、線材11の線径より僅かに広いものとして巻初め、その芯材22が一回転して線材11を1回巻取る毎に、第一及び第二回転体23,24の間の芯材22の長さLを、その線材11の線径に等しい量だけ拡げる。これにより、図15に示すように、線材11は芯材22の長手方向に互いが密着するように巻取ることができる。
【0058】
この実施の形態では、芯材22の軸方向に線材11が螺旋状に巻回された巻線が芯材22の径方向に複数層に亘って設けられる第一コイル12を示す。このため、予め定められた所定の長さの線材11を芯材22に巻取ることにより、図15に示す第一層目の巻線12aを得ることができる。この第一層目の巻線12aが得られた段階で、第一及び第二回転体23,24の間の芯材22の長さLは、巻幅、即ち、線材11の巻数に線径を乗じた長さより僅かに長いものとなる。この第一層目の巻線12aが得られた後に、間隔可変機構41により、第一及び第二回転体23,24の間の芯材22の長さLを一旦僅かに縮めた後に再び元の長さに戻すことにより、芯材22に整列に巻取られて芯材22の軸方向に並ぶ線材11を芯材22の軸方向に圧縮して、第一層目の巻線12aにおける線材11を互いに密着させる。そして、図示しない熱風発生器は、巻取り治具21である芯材22に巻取られた線材11を加熱して密着する線材11を互いに融着させる。
【0059】
図15に示すように、芯材22に線材11が巻取られて第一層目の巻線が成されると、その第一層目の巻線12aの上に第二層目の巻線12bとして、線材11を更に巻取る。この第二層目の巻線12bを構成する線材11の巻取りにあっては、間隔可変機構41(図7)は駆動しない。即ち、第一及び第二回転体23,24の間の芯材22の長さL(図7)の変更は行わない。一方、図16の実線矢印で示すように、この第二層目の巻線12bにあって、ノズル移動機構52(図7)は、その芯材22が一回転して線材11を1回巻取る毎に、ノズル51を、第一層目の巻線12aの時の移動方向と逆の方向に、その線材11の線径に等しい量だけ移動させる。そして、第二層目の巻線12bにおいて線材11を所定の回数だけ芯材22に巻取り、第一層目の巻線12aの上に、その第一層目の巻線12aの全巻幅の亘って線材11を巻取る。
【0060】
図16に示すように、第一層目の巻線12aの上に第二層目の巻線12bを構成する所定量の線材11が整列して巻取られた状態で、その第二層目の巻線12bを終了させる。このように、第二層目の巻線が完了した後に、一旦、間隔可変機構41(図7)により、再び第一及び第二回転体23,24の間の芯材22の長さLを僅かに縮めた後に再び元の長さに戻すことにより、その二層目の巻線12bを構成する線材11を互いに密着させることができる。このようなことを交互に繰り返して、第二層目の巻線12bの上に第三層目以降の巻線を順次形成することにより、図17に示すように、所望の層数を有する第一コイル12を得る。
【0061】
このように、本発明では、連結機構71により蓄線リール70を巻取り治具に固定して、その蓄線リール70と共に巻取り治具21を回転駆動する。そして、線材繰出機50から繰出される線材11を巻回して第一コイル12を形成するので、巻取り治具21を回転数を変更調整することにより、その第一コイル12の巻数を自由に調整することができる。
【0062】
この第一コイル12の形成において、線材繰出機50から繰出される線材11に一定のテンションを線材繰出機50において付与する。図6に示すように、このテンションの付与は線材繰出機50におけるテンション装置53により行われ、このテンション装置53では、スプリング66によりテンションバー63を介して線材11に張力を与える。よって、この第一コイル12の形成において、線材11の張力は所定の値に維持され、第一コイル12における線材11の層間における密着の程度に差が生じるようなことを防止することができる。
【0063】
なお、第一コイル12が得られた後には、図13に示すように、把持装置60の把持片60aにより線材11を把持して線材繰出機50から線材11が繰出されることを防止した上で、カッタ装置59(図6)をエアシリンダ59aにより切断位置に移動し、その第一コイル12から線材繰出機50へと延びる線材11を切断する。これにより、図19(a)に示すように、その線材からなるリード部15が外周から径方向に伸びる第一コイル12を得ることができる。
【0064】
<第二蓄線リール移動工程>
この工程では、巻取り治具21から蓄線リール70を離脱させて、駆動源であるサーボモータ75の回転軸75aにその蓄線リール70を取付ける。具体的には、先ず、サーボモータ27を駆動して第一回転体23とともにアーム72を回転させ、第一ロック機構73を介して取付けられた蓄線リール70を、図10に示すようにサーボモータ75に対向させる。そして、操作用シリンダ95のロッド95aを実線矢印で示すように没入させて第二ロック機構76を解除し、その状態で可動台移動機構78によりサーボモータ75を移動させて、蓄線リール70の内部カップリング軸70eに、第二ロック装置76におけるカップリング穴76bを嵌入させる。その後、操作用シリンダ95のロッド95aを破線矢印で示すように突出させて第二ロック機構76により、その蓄線リール70をサーボモータ75の回転軸75aに取付ける。この状態で可動台移動機構78によりサーボモータ75を第一ロック機構73から遠ざけ、巻取り治具21から蓄線リール70を離脱させる。その後、図13に示すように、第一コイル12から蓄線リール70へと延びる線材11が芯材22と直交するように蓄線リール70を位置させておく。
【0065】
<第二コイル形成工程>
この工程では、巻取り治具21を回転駆動して蓄線リール70から繰出される線材11を巻取って第二コイル13を形成する。この巻取りに際して、移動機31により、図18の実線矢印で示すように、芯材22を第一回転体23から線材11の線径分より僅かに多く突出させ、それとともに、間隔可変機構41は、第一及び第二回転体23,24の間の芯材22の長さLを、線材11の線径より僅か多くなるように拡げる。このようにして、その芯材22に巻取られた線材11からなる第一コイル12と第一回転体23との間に、線材11の線径より僅かに広い隙間を生じさせる。そして、凹溝23aに収納されていた線材11をその凹溝23aから離脱させる。
【0066】
その後サーボモータ27,38を同期して回転駆動し、図18の破線矢印で示すように、第一コイルの12の形成時とは逆方向に第一及び第二回転体を芯材22とともに回転させ、蓄線リール70から繰出される線材11を第一コイル12に隣接する芯材22に巻取る。このとき、可動台移動機構78は駆動せずに、可動台77を移動させない。そして、その第一コイル12と第一回転体23との間の芯材22に蓄線リール70からほどかれて繰出される線材11を巻取る。ここで、蓄線リール70における一対のフランジ部70b,70cは、線材11の線径より僅かに広い隙間70n(図10)を空けて対向し、その間の巻取り材70aに線材11が巻取られているので、その蓄線リール70から繰出される線材11が蓄線リール70の軸方向にずれるようなことはない。このため、蓄線リール70からほどかれて繰出される線材11は、その線材11と直交する芯材22の部分、即ち、第一コイル12と第一回転体23との間の芯材22に正確に案内され、その芯材22に巻取られて第二コイル13が形成されることになる。
【0067】
この第二コイル13の形成において、巻取り治具21から取り外した蓄線リール70を巻取り治具21に対して移動させて蓄線リール70から繰出される線材11に一定のテンションを付与する。この実施の形態では、蓄線リール70の移動が、蓄線リール70を巻取り治具21から離間させる方向に付勢する流体圧シリンダ92により行われる。即ち、図5に示す移動制限用シリンダ93のスライダ93aを実線矢印で示すように復元して、そこに設けられた係合片93cを第二突起92cから離脱させる。これにより、サーボモータ75が設けられた流体圧シリンダ92におけるスライダ92aの移動を可能にする。一方、駆動源であるサーボモータ75は停止させ、その回転軸75aとともに蓄線リール70が回転して線材11が新たに繰出されるようなことを禁止する。そして、その流体圧シリンダ92に所定圧の流体、この実施の形態では、所定の圧力に調整された圧縮エアを供給し、図2の破線矢印で示すように、そのスライダ92aとともに蓄線リール70自体を巻取り治具21から遠ざかる方向に付勢する。これにより、蓄線リール70から延びて芯材22に巻取られる線材11に一定のテンションを付与する。
【0068】
このように、巻取り治具21から離れる方向に蓄線リール70を移動させて、その蓄線リール70から繰出される線材11に一定のテンションを付与することにより、線材11に付与される張力に変動を生じさせない。即ち、本発明では、蓄線リール70を回転させる際のバックテンショナーにより一定のテンションを線材11に付与するものではない。本発明では、蓄線リール70を回転させることなく、その蓄線リール70自体を巻取り治具21から離れる方向に一定の力で付勢することにより、その蓄線リール70から繰出される線材11に一定のテンションを付与するのである。このため、その蓄線リール70に蓄線された線材11を解きほどいて繰出し、その蓄線リール70に巻取られた線材11からなる外径が減少したとしても、線材11に付与される張力に変動を生じさせることはない。よって、この第二コイル13の形成においても、線材11の張力は所定の値に維持され、第二コイル13における線材11における密着の程度に差が生じるようなことを回避することができ、コイル10を形成する線材11の占積率を向上させることができる。そして、蓄線リール70への付勢を、その蓄線リール70を巻取り治具21から離間させる方向に移動させる流体圧シリンダ92により行うので、その流体圧を調整することにより、線材11に付与される張力を容易に調整することが可能となる。
【0069】
一方、蓄線リール70を回転させずに線材11を芯材22に巻取ると、流体圧シリンダ92における付勢力に抗して、蓄線リール70はスライダ92aとともに芯材22に接近することになる。そして、図3に示すように、スライダ92aが巻取り治具21に接近して第一突起92dが接近センサ97に対向することになる。このように蓄線リール70が芯材22に接近したことを接近センサ97が検出すると、図示しないコントローラは駆動源であるサーボモータ75を駆動してその回転軸75aとともに蓄線リール70を実線矢印で示すように逆転させ、芯材22に巻取られる量より多くの線材11をその蓄線リール70から解きほぐして新たに繰出す。このように蓄線リール70を逆転させて線材11を繰出すと、流体圧シリンダ92における付勢力により、蓄線リール70はスライダ92aとともに、図3の実線矢印で示すように移動して芯材22から離れる。この新たな線材11の繰出し時にあっても、流体圧シリンダ92は、逆転する蓄線リール70を巻取り治具21から離れる方向に一定の力で付勢しているので、その蓄線リール70から繰出される線材11には一定のテンションが付与されて維持される。
【0070】
蓄線リール70が逆転して線材11が新たに繰出されると、流体圧シリンダ92の付勢力によりそのスライダ92aは巻取り治具21から徐々に離間し、その後、図2に示すように、第一突起92dが離間センサ98に対向することになる。すると、蓄線リール70が芯材22から離間したことを離間センサ98が検出し、図示しないコントローラは再び駆動源であるサーボモータ75を停止させ、蓄線リール70からの線材11の繰出しを再び停止させる。このような蓄線リール70からの線材11の繰出し及び停止を繰り返すことにより、接近センサ97と離間センサ98の間隔を越える長さの線材11を蓄線リール70に巻取っても、繰出される線材11に一定のテンションを付与した状態で、その線材11を順次繰出すことが可能となる。そして、駆動源がサーボモータ75であって、蓄線リール70がサーボモータ75の回転軸75aに着脱自在であるので、蓄線リール70を正転させて、線材繰出機50から繰出される線材11を巻取る駆動源として、そのサーボモータ75を用いることもできる。このため、線材繰出機50から繰出される線材11を蓄線リール70に巻取るための別の駆動源を設けることを省くことができる。
【0071】
この実施の形態における第二コイル13は、その芯材22に渦巻き状に巻取られるものである場合を示し、蓄線リール70に蓄えられた全ての線材11が芯材22に巻取られた状態で、所定の回数巻回された第二コイル13が得られる場合を示す。そして、蓄線リール70のスリット70d(図11)から最後に離脱する線材11の端部が、図19(b)に示す第二コイル13の外周から径方向に伸びるリード部16となる。そして、第二コイルが13が得られた後に、間隔可変機構41により、第一及び第二回転体23,24の間の芯材22の長さLを一旦僅かに縮めた後に再び元の長さに戻すことにより、第二コイル13を第一コイル12に密着させ、これにより線材11の占積率を高め、この状態で図示しない熱風発生器は、線材11を加熱して占積率が高められて互いに密着する線材11を相互に融着させる。これにより、複数層の線材11からなる第一コイル12と、渦巻き状に巻回された線材11からなる第二コイル13が、内側渡り線14により結ばれた図19に示すコイル10が形成される。
【0072】
このように、本発明では、第一コイル12が形成された後に、巻取り治具21から蓄線リール70を取り外した状態で巻取り治具21を回転駆動し、その蓄線リール70からほどかれて繰出される線材11を巻回して第二コイル13を形成するので、巻取り治具21の回転数を変更調整することにより、その第二コイル13の巻数も自由に調整することができる。よって、第一コイル12のみならず、その第一コイル12に内側渡り線14により連結される第二コイル13の巻数にあっても容易に変更調整することが可能になる。
【0073】
上述したように第二コイル13を得て、その第二コイル13を第一コイル12に密着させて融着させ、第一コイル12と第二コイル13が内側渡り線14により結ばれた図19に示すコイル10が形成された後には、図9に示すように、移動機31により、第一回転体23の一端側から突出してコイル10が形成された芯材22を第一回転体23に没入させ、そのコイル10を巻取り治具21から強制的に離脱させる。これにより一連のコイル巻線を終了させ、次のコイル巻きを、前述した蓄線工程から再び開始させる。このようにすれば、線材11の占積率を高めたコイル10を連続的に得ることが可能となる。
【0074】
なお、上述した実施の形態では、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータの組み合わせにより構成されたノズル移動機構52及び可動台移動機構78を説明したけれども、これらの移動機構はこの構造のものに限るものではなく、ノズル51及び可動台77が架台19に対して3軸方向に移動可能である限り、他の形式のものであっても良い。
【0075】
また、上述した実施の形態では、第一コイル12の第一層目の巻線12aの形成において、芯材22が一回転して線材11を1回巻取る毎に、間隔可変機構41により第一及び第二回転体23,24の間の芯材22の長さLを、その線材11の線径に等しい量だけ拡げる場合を説明したが、ノズル移動機構52によりノズル51を移動させるだけでいわゆる整列巻きが可能であれば、間隔可変機構41により第一及び第二回転体23,24の間の芯材22の長さLを、当初より得ようとする第一コイル12の全長又はそれより僅かに大きな長さに合わせ、その状態から巻初めても良い。
【0076】
また、上述した実施の形態では、図4に示すように、蓄線リール70が巻取り治具21から離間した状態で、流体圧シリンダ92による蓄線リール70の移動を移動制限用シリンダ93が禁止可能である場合を説明したが、移動制限用シリンダ93は、図3に示すように蓄線リール70が巻取り治具21に接近した状態で、流体圧シリンダ92による蓄線リール70の移動を禁止可能に構成しても良い。
【0077】
また、上述した実施の形態では、線材11が螺旋状に巻回された巻線がその巻線の径方向に複数層に亘って設けられた第一コイル12と、線材11が渦巻き状に巻回された第二コイル13とを備えたコイル10を用いて説明したが、第一コイル12を線材11が渦巻き状に巻回されたものとし、第二コイル13を、線材11が螺旋状に巻回された巻線がその巻線の径方向に複数層に亘って設けられたものとしても良い。また、第一コイル12と第二コイル13の双方が、渦巻き状に巻回された線材11からなるものであっても良く、第一コイル12と第二コイル13の双方が、線材11が螺旋状に巻回された巻線がその巻線の径方向に複数層に亘って設けられたものであっても良い。
【0078】
また、上述した実施の形態では、線材繰出し機構50におけるテンション装置53がスプリング66により線材11に一定のテンションを付与し、蓄線リール70の移動を流体圧シリンダ92により行って、その蓄線リール70から繰出される線材11に一定のテンションを付与する場合を説明したが、図示しないが、線材繰出し機構50におけるテンション装置53が、ドラム62を移動させて線材11に一定のテンションを付与する流体圧シリンダを備えるものであっても良く、蓄線リール70の移動をスプリングにより行って、その蓄線リール70から繰出される線材11に一定のテンションを付与するようにしても良い。
【0079】
また、上述した実施の形態では、断面が方形を成す線材11を用いて説明したが、線材11はその断面が円形を成すいわゆる丸線であっても良い。
【0080】
更に、上述した実施の形態では、所定の圧力に調整された気体である圧縮エアによりスライダ92aを移動させる流体圧シリンダ92を説明したが、流体圧シリンダは、油圧又は水圧のような液体によりスライダを移動させるようなものであっても良い。
【符号の説明】
【0081】
11 線材
20 コイル巻線装置
21 巻取り治具
50 線材繰出機
70 蓄線リール
71 連結機構
75 サーボモータ(駆動源)
91 テンション付与装置
92 流体圧シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材(11)を一定のテンションで繰出す線材繰出機(50)と、
前記線材繰出機(50)から繰出される線材(11)を巻取る蓄線リール(70)と、
前記線材繰出機(50)から繰出される線材(11)又は前記蓄線リール(70)からほどかれて繰出される線材(11)を回転して巻取る巻取り治具(21)と、
前記巻取り治具(21)が前記線材繰出機(50)から繰出される線材(11)を巻取るときに前記蓄線リール(70)を前記巻取り治具(21)に固定して前記巻取り治具(21)とともに回転させる連結機構(71)と、
前記蓄線リール(70)から巻取られた線材(11)を繰出すときに前記蓄線リール(70)を前記巻取り治具(21)に対して移動させることにより前記蓄線リール(70)から繰出される線材(11)に一定のテンションを付与するテンション付与装置(91)と
を備えたコイル巻線装置。
【請求項2】
テンション付与装置(91)は、蓄線リール(70)を巻取り治具(21)から離間させる方向に移動させる流体圧シリンダ(92)を備える請求項1記載のコイル巻線装置。
【請求項3】
テンション付与装置(91)は、前記蓄線リール(70)から線材(11)を繰出し可能に構成された駆動源(75)と、前記駆動源(75)を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記蓄線リール(70)が巻取り治具(21)に接近したときに前記蓄線リール(70)から線材(11)を繰出し、前記蓄線リール(70)が前記巻取り治具(21)から離間したときに前記蓄線リール(70)からの線材(11)の繰出しを禁止するように前記駆動源(75)を制御する
請求項1又は2記載のコイル巻線装置。
【請求項4】
駆動源(75)がサーボモータであって、蓄線リール(70)が前記サーボモータ(75)の回転軸(75a)に着脱自在に構成された請求項3記載のコイル巻線装置。
【請求項5】
線材繰出機(50)から繰出される線材(11)を蓄線リール(70)に巻取り、その蓄線リール(70)と共に巻取り治具(21)を回転駆動して前記線材繰出機(50)から繰出される線材(11)を前記巻取り治具(21)に巻回して第一コイル(12)を形成した後、前記巻取り治具(21)から前記蓄線リール(70)を取り外した状態で前記巻取り治具(21)を回転駆動して前記蓄線リール(70)からほどかれて繰出される線材(11)を前記巻取り治具(21)に巻回して第二コイル(13)を形成するコイル巻線方法において、
前記第一コイル(12)の形成において、前記線材繰出機(50)から繰出される線材(11)に一定のテンションを前記線材繰出機(50)において付与し、
前記第二コイル(13)の形成において、前記巻取り治具(21)から取り外した前記蓄線リール(70)を移動させて前記蓄線リール(70)から繰出される線材(11)に一定のテンションを付与する
ことを特徴とするコイル巻線方法。
【請求項6】
蓄線リール(70)の移動が、蓄線リール(70)を巻取り治具(21)から離間させる方向に付勢する流体圧シリンダ(92)により行われる請求項5記載のコイル巻線方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−146890(P2012−146890A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5445(P2011−5445)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000227537)日特エンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】