説明

コイル状に巻かれた金属シートに被覆を適用する方法

本発明は、z>xかつyxをもって、x当量の−COOH基を含有するカルボキシル官能化ポリブタジエンと(i)y当量の一つ以上の(メタ)アクリル化モノエポキシド又は(ii)z当量の一つ以上のポリエポキシドと(z−x)当量の少なくとも一つのα,β−不飽和カルボン酸の混合物との反応生成物である(メタ)アクリル化オリゴマーを含む硬化性組成物によって金属シートを被覆すること含む被覆金属シートコイルの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は後でコイル状に巻き取られ、そして後成形を予定されている金属ストリップに対して重合性組成物を含む被覆を適用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルコーター(coil coaters)は様々なタイプおよび形態の金属コイルを被覆する。これら金属はそれらの特異な特徴に依存する様々な最終用途に適するように選択される。広く多様な用途、たとえば、ビールや飲料の缶を含めて容器製品、ダクトや屋根や雨樋のような建材、家具、自動車装備品や移動トレーラーのような運搬用途、が存在している。鋼のような或る種の金属の場合には、コイル被覆(coil coating)プロセスの前に、腐食を防ぐ亜鉛保護層を適用することがある。それは通常、亜鉛めっき(galvanization)または電気亜鉛めっきライン(electrozinc line)で行われる。裸の金属コイルは巻きをほどかれ、そして上面と底面の両側は、汚れ、油、グリース、表面錆を除去して化学的に清浄な表面をつくるように清浄にされる。亜鉛層はストリップを亜鉛浴の中に浸漬すること(亜鉛めっき法)によって又は電着(電気亜鉛めっき法)によって付着させられることができる。それから、ストリップは被覆前の搬送・貯蔵中の金属表面を腐食から防護するために油を塗られた後に、再びコイル状に巻かれる。コイル被覆は大低別ラインで行われる。それは金属を2次加工前に高速で被覆するための連続した高度に自動化されたプロセスである。そのプロセスは通常、次の諸工程からなる。金属コイルの巻きを再びほどき、そして上面と底面の両側を機械的および化学的に清浄化して油、グリースおよび汚れを除去する。清浄化の後に、シートには、防食性および塗料付着性を向上させるために化学的な前処理を適用することができる。それから、ストリップを直ちに乾燥炉の中を移動させ、その後にコーティングユニットに入れる。塗料適用後、ストリップを再び乾燥炉の中を移動させ、その後に冷却しそして積込みのために再び巻かれる。
【0003】
金属加工産業には予め被覆されたシートが使用される。従って、多数の金属物品は使用されるときに又は組み立てられるときに被覆または塗装されるのではなくて、平らなストックがコイル状態で提供されるときにまず被覆され、次いで物品になるように成形、切断そして組み立てられる。結果として、殆ど全ての場合における主要基準は被覆ストリップの後成形または曲げの能力である。後成形は通常、金属屈曲が非常に過酷になり得る高速加工装置によって行われる。被膜は後成形または曲げを亀裂なしに行い且つ密着性を維持することを可能にするように可撓性でなければならない。金属、場合によっては、保護亜鉛層、前処理層および塗料層、を意味する完全系もまた、高レベルの耐食性を達成しなければならない。耐薬品性や耐汚性のような基本的性質は依然として重要であり、そして或る用途のためには耐湿性や滅菌試験耐性のような諸性質も要求される。放射線硬化性システムはコイル被覆に合致するものがよいであろう。基体が平らであり、線速度が高く、それは溶剤の使用のような環境問題を解決することができ、かつ、それは他の被覆技術によって必要とされる硬化炉よりも少ないエネルギーと床スペースで済む。しかしながら、今までは、放射線硬化性被覆性組成物、特に、紫外線硬化性配合物(UV formulations)は(メタ)アクリル化オリゴマーと反応性希釈剤からなり、それらは硬化したときには耐薬品性や引掻抵抗性や表面硬度のような良好な諸性質を有する高度に架橋した被覆層を形成する。かかる高架橋密度はフィルムの制限された可撓性と収縮性にも関係しており金属表面への密着性を制限する。これら厳しい要求に対する解決を見つけ出そうとすると、しばしば、妥当な粘度を達成するために分子量を低下させることと、要求される硬化被膜の可撓性を達成するために架橋結合間のかなりの分子量の必要性との間で制約を受ける。
【0004】
後成形操作のために高レベルの可撓性が必須であるコイル被覆の適用には、かかる代表的な紫外線硬化性配合物は適さない。US2002/0132059A1明細書には、コイル状に巻かれた金属シートを被覆するために光重合性被覆性組成物を使用する原理が記載されている。そこに記載されているコイル状に巻かれた金属シートに被覆を適用する方法においては、被覆性組成物の適用に先立って、金属シートをまず清浄にし、次いで前処理する。その特許出願明細書には、特定の光重合性組成物は開示されておらず、そして、2官能性不飽和オリゴマーと単官能性不飽和アクリルモノマーと2官能性不飽和モノマーと光開始剤を含む殆どいずれの組成物もその要件を満たすらしい。その特許出願明細書の実施例1はポリブタジエン骨格を有する2官能性不飽和オリゴマーに関係している。米国特許第3,652,520号明細書には、かかるオリゴマー、より詳しくは、ヒドロキシル末端ポリブタジエンと(メタ)アクリル酸またはその誘導体(たとえば、塩化アクリロイル、メチルメタクリレートおよびメチルクロトネート)との反応から得られたアクリル化ポリブタジエン樹脂、が開示されている。これらオリゴマーはコイル被覆の適用において良好な結果を得ることを可能にするわけではない。従って、2官能性不飽和オリゴマー、単官能性不飽和アクリルモノマー、2官能性不飽和モノマー及び光開始剤を含む光重合性被覆性組成物の全てがコイル被覆プロセスに使用されたときに満足な結果を得ることを可能にするわけではない。US2003/00019150の明細書には、ポリブタジエンオリゴマーと、アクリル化ビスフェノール−A誘導体と、反応性の混和性化合物とのブレンドを含む放射性硬化性組成物が記載され、そしてそれをコイル被覆の適用に使用することが記載されている。これらブレンドは異なる成分を混合することによって得られる。これらブレンドは貯蔵安定性がなく、実に急速に分離する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、既知組成物はコイル被覆の適用に使用されても満足な結果が得られるわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記問題を克服する方法を提供する。従って、本発明は
(1)コイル状に巻かれた金属シートの巻きをほどき;
(2)該金属シートを、x当量の−COOH基を含有するカルボキシル官能化ポリブタジエンと(i)y当量の一つ以上の(メタ)アクリル化モノエポキシド又は(ii)z当量の一つ以上のポリエポキシドと少なくとも(z−x)当量のα,β−不飽和カルボン酸の混合物との反応生成物である(メタ)アクリル化オリゴマーを含む硬化性組成物によって被覆し(z>xでyxである);
(3)該組成物を硬化し;そして
(4)被覆金属シートを再びコイル状に巻く
諸工程を含む被覆金属シートコイルの製造方法に関する。
【0007】
本発明においては、硬化性組成物は、例えば熱硬化(thermal curing)または放射線照射(irradiation)によって重合、すなわち硬化することができるエチレン性不飽和基を有する少なくとも一つの化合物を含む組成物を称する。
【0008】
金属シートは一般に、冷間圧延鋼(前処理されている又はされていない)、熱間圧延鋼(前処理されている又はされていない)、ステンレス鋼、亜鉛処理鋼(前処理されている又はされていない)、たとえば電気亜鉛めっき鋼や溶融亜鉛めっき鋼、アルミニウム(Al)(前処理されている又はされていない)および溶融スズめっき(hot dip tin)から選ばれる。
【0009】
本発明の方法においては、従って、金属シートをコイル状の巻きをほどくこと及び再びコイル状に巻くことは、いずれの適する手段によっても行うことができる。本発明の方法においては、コイル状の巻きからほどかれた金属シートは硬化性組成物で被覆される前にいずれの適する処理も受けることができる。コイル状の巻きからほどかれた金属シートは通常、保護油層を除去するために清浄化される。清浄化後には、該シートは錆止めおよび被膜密着性を向上させるために化学的前処理を適用されることができる。
【0010】
本発明の方法においては、金属シートに硬化性組成物を適用することは、浸漬塗布、吹付塗布、静電塗装、フィルムコーティング、カーテンコーティング(curtain coating)、真空塗布、ロールコーティング(roll coating)などのようないずれか適する手段によって可能である。好ましくは、それはロールコーティングが適用される。金属シートへの硬化性組成物の適用はいずれか適する温度で、たとえば、室温で、又はより高い温度で、たとえば、金属シート、ロールコーターおよび/または硬化性組成物を加熱することによって、行うことができる。
【0011】
本発明に使用される硬化性組成物は、カルボキシル官能化ポリブタジエンから得られた(メタ)アクリル化オリゴマーを含んでいる。カルボキシル官能化ポリブタジエンによって意味するところは、遊離−COOH(カルボキシル)基を含有しているポリブタジエンを指し示すことである。カルボキシル官能化ポリブタジエンは既知であり、それらは、例えば、米国特許第3,705,208号明細書の中に記載されており、そしてNisso PB C−1000(日本曹達(株))の商品名で商業的に入手可能である。カルボキシル官能化ポリブタジエンはまた、たとえば、欧州特許第845008号、同第261890号および同第533459号の各明細書の中に記載されているようにヒドロキシル官能化ポリブタジエン(すなわち、遊離−OH(ヒドロキシル)基を有するポリブタジエン)と環状酸無水物との反応によって得ることもできる。
【0012】
本発明の方法に使用するのに適するカルボキシルおよびヒドロキシル官能化ポリブタジエンはカルボキシルおよび/またはヒドロキシル基の他に、ブタジエンの重合に由来する単位を含有している。ポリブタジエン(PDB)は一般に、1−4シス単位/1−4トランス単位/1−2単位をa/b/cの比率で含んでおり、a、bおよびcは0〜1の範囲であり、a+b+c=1である。
【0013】
【化1】

【0014】
カルボキシル官能化ポリブタジエンの数平均分子量(Mn)は好ましくは、200〜50000Daである。Mnはより好ましくは、少なくとも1000である。Mnはより好ましくは、5000Daを超えない。
ヒドロキシルおよびカルボキシル官能化ポリブテジエンの例は限定されるものではないが次のものを挙げられる:アトフィナ(Atofina)によって商品化されているPoly BD R−20LM(ヒドロキシル官能化PDB、a=0.2、b=0.6、c=0.2、Mn=1230)およびPoly BD R−45HT(ヒドロキシル官能化PDB、a=0.2、b=0.6、c=0.2、Mn=2800)、日本曹達(株)から得ることができるNisso PB G−1000(ヒドロキシル官能化PDB、a=0、b<0.15、c>0.85、Mn=1250〜1650)、Nisso PB G−2000(ヒドロキシル官能化PDB、a=0、b<0.15、c>0.85、Mn=1800〜2200)、Nisso PB G−3000(ヒドロキシル官能化PDB、a=0、b<0.10、c>0.90、Mn=2600〜3200)、Nisso PB C−1000(カルボキシル官能化PDB、a=0、b<0.15、c>0.85、Mn=1200〜1550)。
【0015】
ヒドロキシル官能化ポリブタジエンと環状酸無水物との反応から得られたカルボキシル官能化ポリブタジエンが使用される場合には、環状酸無水物は好ましくは一般式(I)に相当する:
【0016】
【化2】

【0017】
式中、Rはアリーレン、シクロアルキレン、アルキレンまたはアルケニレン基を表わし、Rがアルキル、アルケニル基、−COOH基および/または別の酸無水物基を担持することは可能である。例示の酸無水物は次のものを挙げられる:無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水グルタル酸、無水コハク酸、無水ドデセニルコハク酸、無水マレイン酸、無水トリメリト酸、無水ピロメリト酸。好ましい酸無水物はRが5〜20個の炭素原子を含んでいるアルケニル鎖によって置換されたアリーレン(より好ましくは、フェニレン)またはアルキレン(より好ましくは、エチレン)である。好ましい酸無水物は無水フタル酸および無水ドデセニルコハク酸である。酸無水物の混合物も使用できる。
【0018】
ヒドロキシル官能化ポリブタジエンからカルボキシル官能化ポリブタジエンを製造するのに使用される酸無水物の量は、ポリブタジエンの中に存在する−OH基のp当量当り、一般に少なくとも0.8p当量、好ましくは少なくとも0.9p当量、より好ましくは少なくとも0.95p当量である。使用される酸無水物の量は通常、ポリブタジエンの−OH基のp当量に対して、多くても1.2p当量、好ましくは多くても1.1p当量、より好ましくは多くても1.0p当量である。
【0019】
本発明に使用されるカルボキシル官能化ポリブタジエンの−COOH官能価(分子当りのCOOH基の数)は一般に1.5〜9、好ましくは1.8〜6である。
【0020】
本発明の第一変形によれば、本発明の方法に使用される硬化性組成物は、x当量の−COOH基を含有するカルボキシル官能化ポリブタジエンとy当量の一つ以上の(メタ)アクリル化モノエポキシドとの反応生成物である(メタ)アクリル化オリゴマーを含んでおり、yはxに等しいか又はそれより大きい。好ましくは、y=xである。yがxより大きい場合には、カルボキシル官能化ポリブテジエンの反応混合物に、少なくとも一つのα,β−不飽和カルボン酸を、好ましくは少なくとも(y−x)の量で、より好ましくは(y−x)の量で、添加することが好ましい。
【0021】
(メタ)アクリル化モノ−エポキシドは既知である。使用できる(メタ)アクリル化モノ−エポキシドの例はグリシジル(メタ)アクリレートエステル、たとえば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテルモノアクリレートである。(メタ)アクリル化モノ−エポキシドは好ましくはグリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートから選ばれる。
【0022】
本発明のこの第一変形の態様によれば、この変形に使用されるカルボキシル官能性ポリブタジエンはq当量の−COOH基を含有するカルボキシル官能性ポリブタジエンとエポキシド基q当量未満の一つ以上のポリエポキシドとの縮合生成物そのものである。
【0023】
本発明の第二のそして好ましい変形によれば、本発明の方法に使用される硬化性組成物は、z当量の少なくとも一つのポリエポキシドを有するx当量の−COOH基を含有するカルボキシル官能化ポリブタジエンと少なくとも(z−x)当量の少なくとも一つのα,β−不飽和カルボン酸との反応生成物である(メタ)アクリル化オリゴマーを含む。z当量の少なくとも一つのポリエポキシドによって意味するところは、x当量の−COOH基当りz当量のエポキシ基を与える量のポリエポキシドを指し示すことである。本発明のこの変形においては、zは好ましくは少なくとも1.5xであり、より好ましくは少なくとも2xである。zが2xより大きくなるような量のポリエポキシドを使用することが特に好ましい。zは通常、20xを超えず、好ましくは、15xを超えない。zが2xより大きい場合には、過剰のポリエポキシドはα,β−不飽和カルボン酸と反応するので(メタ)アクリル化ポリエポキシド誘導体がその場で生成される。
【0024】
ポリエポキシドによって意味するところは、少なくとも2つのエポキシド官能基を含むいずれの化合物をも指し示すことである。ポリエポキシドは一般に、芳香族または脂肪族ポリオールのグリシジルエーテルから、又は脂環式ポリエポキシドから、選ばれる。芳香族または脂肪族ジオールのグリシジルエーテル、又は脂環式ジエポキシド、たとえば、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル、ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)のジグリシジルエーテル(DER736の名で商品化されている)、ポリプロピレンオキシドのジグリシジルエーテル(DER732の名で商品化されている)、ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル(NPEK−051の名で商品化されている)、ブタンジオールのジグリシジルエーテル(アラルダイト(Araldite)DY026SPの名で商品化されている)、セロキシド(celloxide)2081が好ましい。特に好ましいのは、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)のジグリシジルエーテル、ポリプロピレンオキシドのジグリシジルエーテル、ブタンジオールのジグリシジルエーテルである。
【0025】
α,β−不飽和カルボン酸は好ましくは、アクリル酸およびメタクリル酸から選ばれ、最も好ましくは、アクリル酸である。本発明の第二変形に使用されるα,β−不飽和カルボン酸の量は好ましくは(z−x)当量であり、ここで、zはポリエポキシド当量の量であり、そしてxはカルボキシル官能化ポリブタジエンの−COOH当量の量である。
【0026】
本発明のこの第二変形においては、カルボキシル官能化ポリブタジエンにα,β−不飽和カルボン酸をポリエポキシドより前に又は少なくともポリエポキシドと同時に添加することによって(メタ)アクリル化オリゴマーを製造することが好ましい。
【0027】
本発明の方法に使用される硬化性組成物は一般に、(メタ)アクリル化オリゴマーを少なくとも8重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも11重量%含んでいる。(メタ)アクリル化オリゴマーの量は好ましくは、硬化性組成物の50重量%を超えない、より好ましくは40重量%を超えない。
【0028】
本発明に使用される(メタ)アクリル化オリゴマーを含む組成物は好ましくは、少なくとも一つの非反応性希釈剤の存在下でのカルボキシル官能化ポリブタジエンとモノ−またはポリエポキシドとの反応によって得られる。非反応性希釈剤によって理解されるものは、その中にポリブタジエン、モノ−またはポリエポキシドおよびα,β−不飽和カルボン酸が可溶性または混和性であり且つそれらの反応中にそれら反応体と反応しないもののことである。非反応性希釈剤は好ましくは、共重合性のエチレン性不飽和モノマーであり、より好ましくは、単官能性または多官能性(メタ)アクリレートモノマーである。共重合性のエチレン性不飽和モノマーによって意味するところは、一般に光重合条件下で、特に光開始剤の存在下での放射線照射によって、(メタ)アクリル化オリゴマーと共重合可能であるモノマーを指し示すことである。好ましい共重合性のエチレン性不飽和モノマーは単官能性のもの、たとえば、オクチル−デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、環式トリメチロールプロパンフォーマルアクリレート(cyclic trimethylol propane formal acrylate)、n−ブチルアクリロイルオキシエチルカルバメートテトラヒドロフルフリルアクリレート、アクリル酸と脂肪族カルボン酸、たとえばネオデカン酸のグリシジルエステルとの反応生成物およびそれらの混合物である。最も好ましい非反応性希釈剤はフェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n−ブチルアクリロイルオキシエチルカルバメート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アクリル酸と脂肪族カルボン酸、たとえばネオデカン酸のグリシジルエステルとの反応生成物およびそれらの混合物である。使用される非反応性希釈剤は一般に、使用されるカルボキシル官能化ポリブテジエンとモノ−またはポリエポキシドとα,β−不飽和カルボン酸と非反応性希釈剤との全重量に対して0〜70重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは15〜50重量%、である。従って、本発明に使用される組成物は好ましくは、少なくとも一つの非反応性希釈剤、特に、カルボキシル化ポリブタジエンとアクリル化エポキシドまたはポリエポキシドおよびα,β−不飽和カルボン酸とからのその製造中に使用された非反応性希釈剤、を含んでいる。硬化性組成物の中の非反応性希釈剤の量は一般に、0〜65重量%、好ましくは、5〜50重量%、より好ましくは、8〜20重量%である。
【0029】
本発明の方法に使用される(メタ)アクリル化オリゴマーを含む組成物は好ましくは、少なくとも一つの触媒の存在下でカルボキシル官能化ポリブタジエンとモノ−またはポリエポキシドとの反応によって得られる。酸−エポキシ反応を促進するのに使用されてもよい触媒は次のものを挙げられる:無機アルカリ塩、有機金属塩、第四アンモニウム塩、塩基性有機化合物、ホスフィンまたはそれらの混合物である。例示の触媒は限定されるものではないが次のものを挙げられる:炭酸ナトリウム、オクタン酸リチウム、オクタン酸クロム、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリフェニルスチビン、トリフェニルホスフィンである。使用される触媒の量は好ましくは、使用されるカルボキシル官能化ポリブタジエンとモノ−またはポリエポキシドとα,β−不飽和カルボン酸と非反応性希釈剤の全重量に対して0〜3重量%である。
【0030】
本発明の方法に使用される組成物はまた、通常、少なくとも一つの抑制剤を含有している。抑制剤は限定されるものではないが次のものを挙げられる:ヒドロキノン、トルヒドロキノン、モノメチルエーテルヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、ジ−tert−ブチルヒドロキノン、フェノチアジンである。使用される抑制剤の量は好ましくは、使用されるカルボキシル官能化ポリブタジエンとモノ−またはポリエポキシドとα,β−不飽和カルボン酸と非反応性希釈剤の全重量に対して0〜0.5重量%である。
【0031】
(メタ)アクリル化オリゴマーの合成中に使用された非反応性希釈剤に加えて、硬化性組成物は(メタ)アクリル化オリゴマーにその合成後に添加される追加量の希釈剤を含んでいてもよい。この希釈剤は好ましくは、共重合性のエチレン性不飽和モノマーであり、より好ましくは、単官能性または多官能性(メタ)アクリレートモノマーである。共重合性のエチレン性不飽和モノマーが意味するところは、一般に、光重合条件下で、特に、光開始剤の存在下での放射線照射によって、(メタ)アクリル化オリゴマーと共重合可能であるモノマーを指し示すことである。上記の非反応性希釈剤を含めて単官能性の共重合性エチレン性不飽和モノマーが好ましい。硬化性組成物の中に存在する付加的希釈剤の量は一般に、0〜60重量%であり、好ましくは、5〜50重量%であり、より好ましくは、10〜40重量%である。
【0032】
本発明に使用される硬化性組成物は好ましくは、少なくとも一つの(メタ)アクリル化ポリエポキシド、特に、カルボキシル化ポリブタジエンと過剰のポリエポキシドとα,β−不飽和カルボン酸の混合物との反応中に得られたもの、を含んでいる。(メタ)アクリル化オリゴマーの合成中に使用される、過剰の、ポリエポキシドとα,β−不飽和カルボン酸は、好ましくは、組成物中の(メタ)アクリル化ポリエポキシドの量が組成物の0.01〜60重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは7〜40重量%になるようなものである。
【0033】
本発明の方法に使用される硬化性組成物は一般に、(メタ)アクリル化オリゴマーおよび場合によってそこに存在してもよい他のアクリル化化合物の重合を開始させることができる少なくとも一つの光化学的開始剤および/または化学的開始剤を含んでいる。光化学的開始剤(光開始剤とも称される)は、光、代表的には紫外光、の吸収によってラジカルを発生させることができる。代表的には、光化学的開始剤は"The chemistry of free radical polymerization", edited by Graeme Moad and David H. Solomon; Pergamon (1995), pages 84 to 89に記載されている。化学的開始剤は代表的には、熱、光またはレドックス法の適用を介して分解してラジカルになるアゾ化合物または過酸化物である。メカニズムは"The chemistry of free radical polymerization", edited by Graeme Moad and David H. Solomon; Pergamon (1995), pages 53-95に記載されている。
【0034】
少なくとも一つの光開始剤を含む硬化性組成物が好ましい。好ましくは、組成物中の光開始剤または化学的開始剤の量は0.01〜5重量%を成す。
【0035】
硬化性組成物はさらに、一つ以上の接着促進剤を含有していてもよい。接着促進剤の量は一般に、0〜20重量%である。好ましくは、3〜15重量%の量の接着促進剤が使用される。
【0036】
本発明に使用される硬化性組成物はさらに、顔料、着色剤および/またはその他の添加剤、たとえば、多官能性アクリル化化合物、導電性顔料、分散剤、流れ調整剤、スリップ剤(slip agents)、難燃剤、紫外線防護剤など、を含んでいてもよい。添加剤の量は好ましくは、10重量%を超えない。
【0037】
金属シートを硬化性組成物によって被覆した後に、後者を硬化する。硬化、すなわち重合は当業者に周知のいずれか適する手段たとえば熱硬化または放射線照射によって達成できる。放射線照射硬化は紫外光または電離線たとえばガンマ線、X線または電子線を使用することによって行うことができる。本発明の方法においては、電子線および特に紫外線が好ましい。
【0038】
硬化性組成物の硬化後、被覆金属シートは直ちに再びコイル状に巻くことができる又は再びコイル状に巻く前に一つ以上の追加の被覆を適用することができる。本発明の方法においては、上記に規定されている通りの硬化性組成物を2つ以上使用して金属シートを被覆するために工程(2)および(3)を繰り返すことができる。この場合、硬化性組成物は同一であってもよいし又は異なってもよい。
【0039】
本発明の方法は被覆金属コイルを得ることを低減された量の溶剤をもって又は溶剤の使用なしでも可能にし、従って、火災の危険性の低下およびエネルギー使用の低減、溶剤の消去またはリサイクルおよびラインの省空間(乾燥炉の不要)に対する要求を可能にする。
【0040】
本発明の方法は、後成形に使用するのに適するものにさせる屈曲や急速変形での改善された可撓性、密着性および耐亀裂性および改善された耐食性と共に改善された耐薬品性、耐溶剤性、引掻抵抗および表面硬度を有する被覆金属シートを得ることを可能にする。その被覆は表面硬度、可撓性と表面硬度のバランスが改善されている。
【0041】
本発明の方法は、亜鉛めっき又は電気亜鉛めっきライン上で金属表面への亜鉛層の付着後に硬化性プライマーを適用するのに使用されたときには、現行プロセスの中の次の工程の幾つか又は全てを取除くことを可能にする。次の工程とは、亜鉛めっき又は電気亜鉛めっきライン上で再巻前のストリップの塗油、被覆ライン上での化学的清浄化および化学的前処理のことである。化学的前処理はしばしば、CrVIを使用してのクロメート処理(chromatation)であり、本発明の方法の使用はこの環境問題を解決することを可能にするであろう。本発明の方法はたとえばクロメート処理による金属の化学的前処理を使用しなくても良好な耐食性を有する被覆金属コイルを得ることを可能にする。
【0042】
本発明を下記実施例によって更に説明する。
【実施例】
【0043】
実施例1
攪拌機、液体添加用漏斗および温度計を装備した反応フラスコの中に、145.2gのヒドロキシル末端ポリブタジエン(アトフィナ(Atofina)によって供給されたPoly BD R−20LM(登録商標))、38.5gの無水フタル酸および1.1gのオクタン酸クロムを入れる。この混合物を115℃に加熱し、この温度に2時間保つ。
それから、フラスコに、301.2gのフェノキシエチルアクリレート(サーフェス・スペシャルティーズ(Surface Specialties)UCBによって商品化されたエベクリル(Ebecryl)(登録商標)114)と131.2gのアクリル酸と0.8gのヒドロキノンと0.4gのAMC−2の混合物を加え、そしてフラスコ内容物を103℃で1時間攪拌する。
添加用漏斗に385.9gのビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(BADGE)を供給し、それを反応フラスコ内の温度が120℃を超えないように反応フラスコに滴加する。反応混合物を、酸価が2.5mgKOH/g未満になりそしてエポキシ価が0.50%未満になるまで、110℃で攪拌する。
得られた組成物の諸性質は第1表の呈示されている。
【0044】
実施例2〜4
実施例2〜4の樹脂は、エベクリル114(登録商標)を他の希釈剤すなわち実施例2では301.2gのn−ブチルアクリロイルオキシエチルカルバメート(サーフェス・スペシャルティーズUCBによって商品化されたエベクリル(登録商標)1039)、実施例3では301.2gのトリメチロールプロパンホルマールアクリレート(TMPFA)、そして実施例4では301.2gのイソボルニルアクリレート(IBOA)によって置き換えたこと以外は、実施例1に記載されているのと同じ方法に従って得られる。
得られた組成物の諸性質は第1表の呈示されている。
【0045】
実施例5〜7
実施例5〜7の樹脂は、Poly BD R−20LM(登録商標)を他のヒドロキシル末端ポリブタジエンによって置き換えそしてエベクリル114(登録商標)の代わりにイソボルニルアクリレートを用いた、すなわち、実施例5では200.0gのNisso PB G−1000(登録商標)(日本曹達によって供給された)および324.9gのイソボルニルアクリレート、実施例6では286.0gのPoly BD R−45HT(登録商標)(アトフィナによって供給された)および361.7gのイソボルニルアクリレート、実施例7では324.1gのNisso PB G−3000(登録商標)(日本曹達によって供給された)および378.0gのイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1に記載されているのと同じ方法に従って得られる。
得られた組成物の諸性質は第1表の呈示されている。
【0046】
実施例8〜12
実施例8〜12の樹脂は、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルを他のジエポキシドによって置き換えそしてエベクリル114(登録商標)の代わりにイソボルニルアクリレートを用いた、すなわち、実施例8では395.2gのDER736(登録商標)および305.3gのイソボルニルアクリレート、実施例9では239.2gのNPEK051(登録商標)および238.5gのイソボルニルアクリレート、実施例10では210.1gのアラルダイト(Araldite)DY026SP(登録商標)および226.0gのイソボルニルアクリレート、実施例11では665.6gのDER732(登録商標)および421.2gのイソボルニルアクリレート、実施例12では416.0gのセロキシド(Celloxide)2081および314.2gのイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1に記載されているのと同じ方法に従って得られる。
得られた組成物の諸性質は第1表の呈示されている。
【0047】
実施例13〜16
実施例13〜16の樹脂は、無水フタル酸を他の環状酸無水物によって置き換えそしてエベクリル114(登録商標)の代わりにイソボルニルアクリレートを用いた、すなわち、実施例13では26.0gの無水コハク酸および296.0gのイソボルニルアクリレート、実施例14では69.2gの無水ドデセニルコハク酸および314.5gのイソボルニルアクリレート、実施例15では40.0gの無水ヘキサヒドロフタル酸および302.0gのイソボルニルアクリレート、実施例16では29.6gの無水グルタル酸および297.5gのイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1に記載されているのと同じ方法に従って得られる。
得られた組成物の諸性質は第1表の呈示されている。
【0048】
実施例17〜19
実施例17〜19の樹脂は、エベクリル114(登録商標)の代わりにイソボルニルアクリレートを用いそしてその量およびビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルおよびアクリル酸の量が変動している、すなわち、実施例17では241.2gのビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルと74.9gのアクリル酸と358.6gのイソボルニルアクリレート、実施例18では530.5gのビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルと187.4gのアクリル酸と116.2gのイソボルニルアクリレート、実施例19では241.2gのビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルと74.9gのアクリル酸と215.2gのイソボルニルアクリレートであったこと以外は、実施例1に記載されているのと同じ方法に従って得られる。
得られた組成物の諸性質は第1表の呈示されている。
【0049】
実施例20
実施例20の樹脂は実施例1に記載されているのと同じ方法に従って、しかし下記成分と量を変更して得られる: Poly BD R−20LM(登録商標)を286.0gのPoly BD R−45HT(登録商標)によって置き換え、エベクリル114(登録商標)を447.7gのイソボルニルアクリレートによって置き換え、そして241.2gのビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルおよび74.9gのアクリル酸を使用する。
得られた組成物の諸性質は第1表の呈示されている。
【0050】
実施例21
実施例21の樹脂は実施例1に記載されているのと同じ方法に従って、しかしエベクリル114(登録商標)を301.2gのイソボルニルアクリレートによって置き換え、そしてAMC−2を5.0gのトリエタノールアミンによって置き換えそれをイソボルニルアクリレートとアクリル酸とヒドロキノンと一緒に一度に添加して得られる。
得られた組成物の諸性質は第1表の呈示されている。
【0051】
実施例22
攪拌機、液体添加用漏斗および温度計を装備した反応フラスコの中に、253.45gのカルボキシル末端ポリブタジエン(日本曹達によって供給されたNisso PB G−1000)、331.2gのイソボルニルアクリレート、131.2gのアクリル酸、0.8gのヒドロキノンおよび1.5gのAMC−2を入れ、そして103℃で加熱する。添加用漏斗に385.9gのビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルを供給し、それを、反応フラスコ内の温度が120℃を超えないように反応フラスコに滴加する。反応混合物を、酸価が2.5mgKOH/g未満になりそしてエポキシ価が0.50%未満になるまで、110℃で攪拌する。
得られた組成物の諸性質は第1表の呈示されている。
【0052】
実施例23
実施例23の樹脂は実施例1に記載されているのと同じ方法に従って、しかし下記成分と量を変更して得られる: エベクリル114(登録商標)を126.3gのイソボルニルアクリレートによって置き換え、そして91.7gのビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルおよび16.9gのアクリル酸を使用する。
得られた組成物の諸性質は第1表の呈示されている。
【0053】
実施例24
攪拌機、液体添加用漏斗および温度計を装備した反応フラスコの中に、145.2gのヒドロキシル末端ポリブタジエン(アトフィナによって供給されたPoly BD R−20LM(登録商標))、38.5gの無水フタル酸および0.4gのAMC−2を入れる。この混合物を115℃に加熱し、この温度に2時間保つ。
それから、フラスコに、95.1gのイソボルニルアクリレートと0.3gのヒドロキノンモノメチルエーテルと0.5gのトリフェニルアンチモンの混合物を加え、そしてフラスコ内容物を103℃で1時間攪拌する。
添加用漏斗に37.2gのグリシジルメタクリレートを供給し、それを、反応フラスコ内の温度が120℃を超えないように反応フラスコに滴加する。反応混合物を、酸価が2.5mgKOH/g未満になりそしてエポキシ価が0.50%未満になるまで、105℃で攪拌する。
得られた組成物の諸性質は第1表の呈示されている。
【0054】
【表1−1】

【表1−2】

【0055】
実施例25〜45
紫外線硬化性配合物は、実施例1〜3、4〜11、13、14、16、17および19〜24で得た樹脂を、下記成分と混合することによって調製される:
67重量%の樹脂
11重量%の接着促進剤(サーフェス・スペシャルティーズUCBからのエベクリル375(登録商標))
20重量%の希釈剤(共重合性エチレン性不飽和モノマーの混合物)
2重量%の、チバガイギー(Ciba Geigy)からのイルガキュア(Irgacure)651
基体はアセトン、エタノール、脱イオン水で洗浄し、HSO(10重量%)水溶液へ浸漬し、脱イオン水ですすぎ、そして乾燥されたHDG(溶融亜鉛めっき鋼(hot dip galvanized steel))である。紫外線硬化性配合物を10μmバーコーターによって適用し、そして120W/cmの非収光中圧水銀灯からの紫外線照射に曝露して不粘着皮膜を得る。
試料は、耐溶剤性(ECCA T11)、クロスハッチ密着性(cross-hatch adhesion)(ISO2409)、屈曲時の密着性と耐亀裂性(T−曲げ試験EN13523−7)、急速変形時の密着性と耐亀裂性(裏面衝撃(reverse impact)、ISO/DIS6272−ASTM D2794)、およびスロードローン変形(slow drawn deformation)時の密着性について、試験する。
得られた結果は第2表に呈示されている。
【0056】
比較例46R
実施例30と比較すべき紫外線硬化性配合物を、US2003/00018150の明細書の中に記載されているような下記成分をブレンドすることによって調製する:
20重量%のポリブタジエン樹脂Poly BD R−20LM
27重量%のBADGEジアクリレート(サーフェス・スペシャルティーズUCBからのエベクリル3700(登録商標))
11重量%の接着促進剤(サーフェス・スペシャルティーズUCBからのエベクリル375(登録商標))
40重量%の希釈剤(共重合性のエチレン性不飽和モノマー)
2重量%の、チバガイギーからのイルガキュア651(登録商標)
この配合物は、数時間後に、2相に分離する。
【0057】
比較例47R
実施例30と比較すべき紫外線硬化性配合物を下記組成に従って調製し、そして実施例25〜45に記載の通りに評価する。
67重量%のポリブタジエンジアクリレートBAC−15(下記一般式に相当し、大阪有機化学(Osaka Organic Chemicals)によって製造され、コーワ・ヨーロッパ(Kowa Europe GmbH)によって供給された)
【0058】
【化3】

【0059】
11重量%の接着促進剤(サーフェス・スペシャルティーズUCBからのエベクリル375(登録商標))
20重量%の希釈剤(共重合性エチレン性不飽和モノマー)
2重量%の、チバガイギーからイルガキュア651(登録商標)
得られた結果は第2表に呈示されている。
【0060】
実施例48〜49
下記組成を有する紫外線硬化性配合物を調製する:
43重量%の、実施例6で製造した樹脂
7重量%の、サーフェス・スペシャルティーズUCBからのエベクリル375(登録商標)
47重量%の共重合性エチレン性不飽和モノマー
2重量%の、チバガイギーからのイルガキュア651(登録商標)
それを、実施例48ではHDG基体(アルカリ溶液(ケメタル(Chemetall)からのパルコ(Parco)305C)の中に浸漬され、水、脱イオン水によってすすぎ、そして乾燥された)の上に適用し、実施例49では電気亜鉛めっき鋼(アセトン、エタノール、脱イオン水で洗浄し、HSO(10重量%)水溶液へ浸漬し、脱イオン水ですすぎ、そして乾燥された)の上に適用し、そして実施例25〜45に記載の方法に従って試験する。
得られた結果は第2表に呈示されている。
【0061】
実施例50〜51
下記組成を有する紫外線硬化性配合物を調製する:
90重量%の、実施例17で製造した樹脂
5重量%の、サーフェス・スペシャルティーズUCBからのエベクリル171(登録商標)(接着促進剤)
3重量%の、チバガイギーからのイルガキュア184(登録商標)
2重量%の、BASFからのルセリン(Lucerin)TPO−L(登録商標)(開始剤)
それを、実施例50ではHDG基体(アルカリ溶液(ケメタルからのパルコ305C)の中に浸漬され、水、脱イオン水ですすぎ、そして乾燥された)の上に適用し、実施例51ではクロメート処理した電気亜鉛めっき鋼(アセトン、エタノール、脱イオン水によって清浄にされ、そして乾燥された)の上に適用し、そして実施例25〜45に記載の方法に従って試験する。
得られた結果は第2表に呈示されている。
【0062】
実施例52〜53
実施例52および53の樹脂は、実施例6に従って、但し、イソボルニルアクリレートを実施例52では301.2gのテトラヒドロフルフリルアクリレートに置き換え、そして実施例53では301.2gのエベクリル(登録商標)113(サーフェス・スペシャルティーズUCBによって商品化された)に置き換えて、得られる。実施例25〜45に記載されている通りの配合物の中に使用したときに、実施例30のものと似たような諸性質が得られる。
【0063】
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)コイル状に巻かれた金属シートの巻きをほどき;
(2)該金属シートを、x当量の−COOH基を含有するカルボキシル官能化ポリブタジエンと(i)y当量の一つ以上の(メタ)アクリル化モノエポキシド又は(ii)z当量の一つ以上のポリエポキシドと少なくとも(z−x)当量のα,β−不飽和カルボン酸の混合物との反応生成物である(メタ)アクリル化オリゴマーを含む硬化性組成物によって被覆し(z>xでyxである);
(3)該組成物を硬化し;そして
(4)被覆金属シートを再びコイル状に巻く
諸工程を含む被覆金属シートコイルの製造方法。
【請求項2】
カルボキシル官能化ポリブタジエンが、ヒドロキシル末端ポリブタジエンと下記一般式(I)
【化1】


(式中、Rはアリーレン、シクロアルキレン、アルキレンまたはアルケニレン基を表わし、Rがアルキル、アルケニル基、−COOH基および/または別の酸無水物基を担持することは可能である)
に相当する環状酸無水物との反応生成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸無水物が無水フタル酸または無水ドデセニルコハク酸である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(メタ)アクリル化オリゴマーが、x当量の−COOH基を含有するカルボキシル官能化ポリブタジエンとy当量の一つ以上の(メタ)アクリル化モノエポキシドとの反応生成物であり、yはxに等しい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(メタ)アクリル化モノエポキシドがグリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートから選ばれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(メタ)アクリル化オリゴマーが、x当量の−COOH基を含有するカルボキシル官能化ポリブタジエンとz当量の少なくとも一つのポリエポキシドと(z−x)当量の少なくとも一つのα,β−不飽和カルボン酸との反応生成物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
zが2xより大きい、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
α,β−不飽和カルボン酸がアクリル酸およびメタクリル酸から選ばれる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
ポリエポキシドが、芳香族または脂肪族ジオールのジグリシジルエーテルまたは脂環式ジエポキシドから選ばれる、請求項1〜3または6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ポリエポキシドが、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)のジグリシジルエーテル、ポリプロピレンオキシドのジグリシジルエーテルおよびブタンジオールのジグリシジルエーテルから選ばれる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(メタ)アクリル化オリゴマーは、カルボキシル官能化ポリブタジエンにα,β−不飽和カルボン酸をポリエポキシドより前に又は少なくともポリエポキシドと同時に添加することによって製造される、請求項1〜3または6〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(メタ)アクリル化オリゴマーは、単官能性または多官能性(メタ)アクリレートモノマーから選ばれた少なくとも一つの非反応性希釈剤の存在下でのカルボキシル官能化ポリブタジエンとモノ−またはポリエポキシドとの反応によって得られる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
非反応性希釈剤がフェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n−ブチルアクリロイルオキシエチルカルバメートおよびそれらの混合物から選ばれる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
硬化性組成物が、
8重量%〜50重量%の(メタ)アクリル化オリゴマー、
0〜65重量%の非反応性希釈剤、
0〜60重量%の、共重合性エチレン性不飽和モノマーから選ばれた追加の希釈剤、
0.01〜60重量%の(メタ)アクリル化ポリエポキシド、
0.01〜5重量%の光開始剤または化学的開始剤、および
0〜20重量%の接着促進剤
を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
硬化が電子線または紫外線によって行われる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−515273(P2007−515273A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544285(P2006−544285)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014020
【国際公開番号】WO2005/059208
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(505365965)サイテック サーフェース スペシャリティーズ、エス.エイ. (38)
【Fターム(参考)】