コイン払出装置及び遊技機
【課題】コインの払い出しに際して、コインが払い出されるまでのコインの動きを間接的、直接的及び重複して検知するという複合検知機能を有することにより、検知機能を高めて規定枚数以上のコインを払い出させるような不正行為を的確に検知する。
【解決手段】コインの動きに追従して変位する変位ガイド部材の変位動作を検知することに基づいて、コインが回転送り通路からコイン払出通路へと払い出されたことを検知する第1検知手段と、前記第1検知手段がコインを検知しているコイン検知時間帯の一部に重複して検知し、前記コイン払出通路に払い出されてきたコインを該コイン払出通路上で検知する第2検知手段とを備えてなるコイン払出装置を構築する。
【解決手段】コインの動きに追従して変位する変位ガイド部材の変位動作を検知することに基づいて、コインが回転送り通路からコイン払出通路へと払い出されたことを検知する第1検知手段と、前記第1検知手段がコインを検知しているコイン検知時間帯の一部に重複して検知し、前記コイン払出通路に払い出されてきたコインを該コイン払出通路上で検知する第2検知手段とを備えてなるコイン払出装置を構築する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばスロットマシンに使用されるようなメダル類、あるいは流通硬貨などのコインを1枚ずつ計数しながら払い出すコイン払出装置に関し、さらに詳しくはコインを過剰に払い出させる不正行為を防止するコイン払出装置及び遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットマシンなどに備えられているメダル(以下コインと称す)払出装置は、例えば特許文献1に開示されているように、コインホッパに貯留されている多数枚のコインを、コインホッパの底部に備えられている回転ディスクの回転動作によりコインホッパからコインを1枚ずつ分離してコイン送出し開口部へと導き、このコイン送出し開口部に導かれたコインを、コイン払出用に押し戻し自由に付勢支持されたカウントアームの弾き飛ばし動作によって、該コインをコイン送出し開口部へと弾き飛ばし、そのカウントアームの弾き飛ばし動作をコイン投出センサで検知することにより、払い出された合計のコインの払出枚数を計数していた。
【0003】
しかし、このようなカウントアームの動きを検知要素とする検知手段では、コインを弾き飛ばし動作するカウントアームの動きを1個のコイン投出センサにより検知して、コインの払い出しを間接的に検知する構成のため、1個のコイン投出センサのセンサ光を外部から故意に遮光させて、正規の払出枚数以上のコインを払い出させる等の不正行為が行われやすかった。
【0004】
これに対し、特許文献2に開示されている検知技術では、コインをコイン排出口へと弾き飛ばすカウントアームの弾き飛ばし動作前の待機位置と、弾き飛ばし動作後の払出完了位置とを、第1のセンサと第2のセンサとで個別に検知することにより、カウントアームを介して間接的に払い出されたコインの合計の払出枚数を計数している。
【0005】
しかし、この場合は2個のセンサでカウントアームのきめ細かな動きを検知して間接的にコインの払い出しが実行されたか否かを検知する構成のため、このカウントアームがコインを弾き飛ばし動作していないかのように外部から不正にセンサ光を遮光させたり、カウントアームを不正に動作させたりして、正規の払出枚数以上のコインを払い出させるという不正行為が行われる可能性があった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−52229号
【特許文献2】特開2000−222611号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこでこの発明は、コインの払い出しに際して、コインが払い出されるまでのコインの動きを間接的、直接的及び重複して検知するという複合的な検知機能を持たせることにより、規定枚数以上のコインを払い出させようとする不正行為を容易に検出して過剰なコインの払い出しを完全に防止することができるコイン払出装置及び遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、多数枚のコインを貯留するホッパーと、前記ホッパーの底部に回転自由に配設され、前記ホッパーに貯留されているコインを自重により降下させて受け入れるコイン受入口を上面に有し、このコイン受入口に連通する下方のベースとの上下の対向面間にコインが通過可能な通路空間を外周面側に連通させてなる回転送り通路を有する回転ディスクと、前記回転ディスクを回転させる駆動機構と、前記駆動機構により回転される回転ディスクの回転に伴い前記回転送り通路に導かれたコインを、回転送り方向の外周面に接続されるコイン払出通路に向けて1枚ずつ連続的に回転送りし、送られてきたコインを回転送り通路側からコイン払出通路側に方向変換させて払い出すコイン払出機構とを備えたコイン払出装置であって、前記回転送り通路とコイン払出通路との分岐位置に送られてきたコインの回転送り力を受けながら変位してコインを払い出しガイドする変位ガイド部材を有し、該変位ガイド部材の変位ガイド動作を検知することに基づいてコインが前記回転送り通路からコイン払出通路へと払い出されたことを検知する第1検知手段と、前記第1検知手段がコインを検知しているコイン検知時間帯の一部に重複して検知し、前記コイン払出通路に払い出されてきたコインの通過の有無を、該コイン払出通路上で検知する第2検知手段とを備えたコイン払出装置であることを特徴とする。
【0009】
この発明の実施態様として、前記コイン払出通路の始端側を検知領域とする第2検知手段と、その直後のコイン払出通路のコイン通過位置を検知領域とする第3検知手段とをコイン払出装置に備えて構成することができる。
【0010】
この発明の別の構成では、前記コイン払出装置を内蔵し、前記各検知手段とのコイン払出方向の検知順序及び検知タイミングによってコインを払い出した検知信号か、否かを判定する判定手段を備えた遊技機を構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、払い出されるコインを間接的に検知する第1検知手段と、払い出されるコインを直接的に検知する第2検知手段との検知の仕方が異なる異質な両検知手段を用いることで、検知機能を高めて、適正な払出動作によって払い出されたコインか、不正な払出動作によって払い出されたコインかを正確に検知することができる。この結果、コインを過剰に払い出させようとする不正行為を困難にすることができ、信頼性の高いコイン払出装置が得られる。
【実施例】
【0012】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
図面は遊技ホールに設置されるスロットマシンのコイン払出装置を示し、図1はスロットマシン11の前面扉12をスロットマシン本体13より片開き式に開口した内部構造である。
【0013】
この開口されたスロットマシン11の本体13側には、スロットマシン11の遊技を制御する制御部を搭載した制御基板11aが上部に内蔵されている。また、外周面の絵柄の位置を回転・停止させて遊技利用を行う3列のリール14を上部に設置し、下部中央にコイン(メダル)の取込み、及び払出用のコイン払出装置15を設置し、その左側に電源装置16を設置し、右側にオーバフロータンク17を設置している。
【0014】
一方、前面扉12側の内面には、内面上部より下部にかけてリールカバー18と、コインの適否を選別するコイン選別装置19と、コイン返却通路20と、払出接続口21aと、返却口21bとをこの順に有している。そして、この前面扉12の外面が接客面として設けられ、各種の遊技操作部が設置されている。遊技利用された場合に、投入されたコインはコイン選別装置19に取込まれ、ここで有効と選別された正規のコインCはコイン払出装置15へと搬送され、無効と選別された不適なコインは払出接続口21aを介して返却口21bから前面扉12の下皿(図示省略)へと返却させる選別機能を有している。
【0015】
次に、コイン払出装置15について説明する。このコイン払出装置15は、図2及び図3の斜視図にも示すように、ベースブロック22上に、回転ディスク23とホッパー24とを搭載して構成される。
【0016】
前記ホッパー24は、内部空間に多数枚のコインを貯留し、その貯留したコインを自重により下方の中央部へと傾斜させて導く傾斜状に囲った収納構造を有している。例えば、上面を開放した箱形状の両側面をVの字形に絞って形成する。この場合、該ホッパー24の傾斜壁面は、貯留されるコインの荷重を分散させるために傾斜角度を途中で変えて、ホッパー24の底部で回転する回転ディスク23にかかる荷重負荷を低減している。
【0017】
さらに、ホッパー24の内部には、コイン貯留枚数が収納限界枚数を超えて余剰コインが生じた場合に、その余剰コインを前記オーバフロータンク17へと移送するオーバフローシュート25を備えている。このオーバフローシュート25は、コインを円滑に傾斜移送できる傾斜角度を有すると共に、コインとの接触面積を少なくできる凹凸面を有しており、ホッパー24内の上隅部に沿わせてL形状に配設されている。このオーバフローシュート25に導かれた余剰コインはホッパー24の一側の傾斜壁面に開口されたオーバフロー放出口26より放出され、放出された余剰コインは、その下方に対応するオーバフロータンク17へと収納される。図3において、27はオーバフローシュート固定部、28は貯留圧回避用の放出口カバーである。
【0018】
さらに、ホッパー24とベースブロック22とが一側壁の境目で上下に対向する接合面間には、コインを平面状態で1枚ずつ払い出させる横長の払出口29を開口している。この払出口29をスロットマシン11の下皿に通じる前記払出接続口21aに接続させている。
【0019】
前記ベースブロック22は、図4の斜視図にも示すように正方形状を有し、このベースブロック22の上面に、該上面全体を一定角度傾斜(例えば30度)させてなるベース傾斜面30を有している。そして、このベース傾斜面30の上面側に回転ディスク23とホッパー24とコイン直接検知機構31とが搭載される。また、ベースブロック22は、図5のベース底面図に示すように、ベース傾斜面30の下面側(裏面側)を中空形成し、この裏面中空部に回転ディスク23の駆動機構32やコイン間接検知機構33が搭載されている。
【0020】
前記ベース傾斜面30の上面側中央部には、ベースブロック22の裏面側に搭載されている駆動機構32から上面側に突出させた回転軸34に、回転ディスク23の中心部に開口するD型軸孔42を挿通させて連結している。従って、駆動機構32を駆動して回転軸34を回転させると、これと一体の回転ディスク23が回転される。
【0021】
さらに、図6の斜視図に示すように、ベース傾斜面30の上面側の一端部と回転ディスク23の外周面との間には、前記払出口29に通じるコイン払出通路35が形成されている。このコイン払出通路35は、コイン1枚を平面状態で払い出すことができる凹部溝状の通路であり、該コイン払出通路35の外端部が前記払出口29に連通し、内端部が回転ディスク23の外周面の一開口部に接続されている。従って、回転ディスク23から送り出されたコインは平面状態のままコイン払出通路35へと送り出される。
【0022】
また、ベース傾斜面30の傾斜下部の上面両側には、ホッパー24の下連結部(図示省略)を差し込んで着脱自在に取付ける着脱口36を有している。この着脱口36の内部には、ロック部とロック解除部とを有しており、ベースブロック22の傾斜下部側の側面に備えられたロック解除レバー37の解除操作に応じてホッパー24のロックを解除できるようにしている。また、ベースブロック22の傾斜上部側にはホッパー24の引っ掛け部22aを有している。
【0023】
前記駆動機構32は、モータ搭載台(図5参照)38の一側に搭載したモータMを駆動源とし、モータ搭載台38に内蔵されているモータMの出力軸と一体の図示しない駆動ギアに減速用の従動ギアを順に噛合させ、その1つを回転軸34上のギアに噛合させることにより、回転軸34と一体の回転ディスク23に動力伝達される。これにより、モータMの駆動に基づいて回転ディスク23は一定速度で回転される。
【0024】
次に、回転ディスク23の構造を、図6〜図8を参照して説明する。図6はベースブロック22に搭載される回転ディスク23の一部を分解して示す斜視図、図7は回転ディスク23を上方から見た斜視図、図8は回転ディスク23を下方から見た斜視図である。
【0025】
この回転ディスク23は、上面層の円盤39と、中間層の羽根板40と、下面層のディスクベース41とを3枚重ねに積層した一体化構造である。
まず、上面層の円盤39は、図7に示すように、円形板の中心部にD型軸孔42を上下方向に貫通し、このD型軸孔42に、断面D型の軸部を有する前記回転軸34を下面側から挿通させ、上面側から座金43aを介してボルト43で螺着固定することにより、該円盤39と回転軸34とを回り止めして一体に連結している。
【0026】
さらに、円盤39は周方向を6等分した上面側の同心円上の位置に、コイン1枚を降下させる円形のコイン受入口44を上下方向にそれぞれ貫通して設けている。これらのコイン受入口44は上方からのコインの受入れを円滑にするためのテーパガイド部44aを上面側に形成している。また、該円盤39の中央部を高位にし、その周辺部を低位にして円錐状に突出させている。これにより、貯留されたコインが円盤39の中央部より分散して各コイン受入口44へと自然に供給されるようにしている。なお、円盤39中央部の周辺と外周部の同心円上には、連結用のビス孔45を周方向に等分して形成している。
【0027】
次に、中間層の羽根板40は、中心部に前記回転軸34を挿通させるためのD型軸孔46を開口している。さらに、中心部から外周面側に延設され、前記コイン受入口44の数に対応する6枚のガイド羽根47を風車状に突出させている。そして、6等分された各ガイド羽根47間とコイン受入口44とが対応する各位置にコイン半円形ガイド部48が形成されている。これらの6個のコイン半円形ガイド部48は上方の各コイン受入口44に対応しているため、コインCがコイン受入口44を降下すると、該コインはコイン半円形ガイド部48へと導かれる。
【0028】
前記ガイド羽根47の羽根形状は、コイン半円形ガイド部48に導かれたコインを、このコイン半円形ガイド部48から外周面側へと回転時の遠心力を受けて1枚ずつ送り出せるように滑らかな円弧形状を有し、外周面側まで該ガイド羽根47の外端部を延設させている。このガイド羽根47の外端部には半円形に切欠いたビス止め凹部47aが形成されており、円盤39及びディスクベース41を貫通するビス52によって固定される。
【0029】
さらに、羽根板40の下面中央部には円形の補強プレート49を連結し、該羽根板40と回転軸34との接合性を高めている。また、この回転軸34の下部側には貯留コインの荷重によるモータMに対する負荷を低減するためのスラストベアリング(図示省略)を備えている。
【0030】
前記下面層のディスクベース41は、前記円盤39と略同じ大きさの外径寸法を有する環状板であり、この環状板の周方向に、コインとの接触面積を少なくして回転接触抵抗を低減させ、且つゴミ落し用を兼ねた長孔50と3枚重ね連結用のビス孔51とを開口している。
【0031】
そして、図8に示すように、上面層の円盤39と、中間層の羽根板40と、下面層のディスクベース41との3枚を上下方向にビス52止めして連結することにより、これら3部材が一体化し、一体化した3層構造の回転ディスク23が得られる。この3層構造の回転ディスク23の中間層にコインを1枚ずつ回転送りするコインの回転送り通路53が形成される。
【0032】
この回転送り通路53は、上方のコイン受入口44に連通する下方のディスクベース41との上下方向の対向面間にコイン1枚分の平面的な通路空間を有し、この通路空間を外周面側に連通させて設けるものである。具体的には、コイン半円形ガイド部48に沿う両側のガイド羽根47間と、円盤39の下面とディスクベース41の上面とで囲まれる空間であり、ここに至ったコインCは、回転ディスク23の回転に伴いコイン外周面が該コイン半円形ガイド部48及びガイド羽根47間にガイドされつつ、コイン上面が円盤39の下面にガイドされ、またコイン下面がディスクベース41に支えられてガイドされる。
【0033】
図9は回転ディスク取付け前のベースブロック22の斜視図である。このベースブロック22の回転ディスク23の取付け部分として設けられるベース傾斜面30の中央部には、回転ディスク23を若干沈み込ませる円形凹部54を形成している。この円形凹部54の外周面側に、前記ディスクベース41と対応する環状溝55を有し、この環状溝55の底面周方向に複数個のゴミ落し穴56を開口している。さらに、この環状溝55は3層構造の円盤39と羽根板40とディスクベース41とを上方からビス52止めして一体に連結したときに、下方に突出するビス52下端の逃し溝としての役目を有している。また、円形凹部54の内周面が回転ディスク23で回転送りされるコインの回転送りガイド面57となる。
【0034】
前記回転ディスク23は、図においては右回転し、この回転ディスク23の回転に伴い前記回転送り通路53に導かれたコインCを平面状態のままベース傾斜面30上の傾斜低位側から傾斜高位側へと回転送りし、その回転送り方向の傾斜高位側の外周面に接続されるコイン払出通路35に向けて1枚ずつ連続的に回転送りする通路構造を有している。
【0035】
図10はコイン払出通路35の要部斜視図、図11はコイン払出状態を示すコイン払出装置15の要部平面図、図12はベースブロック22の要部底面図である。ここで、前記回転送り通路53とコイン払出通路35との分岐位置には、この分岐位置に送られてきたコインを回転送り通路53側からコイン払出通路35側に方向変換させて払い出すために、カウントローラR1と、コイン逃しローラR2と、コイン間接検知機構33と、コイン直接検知機構31とがコイン払出機構として備えられている。
【0036】
前記回転送り通路53とコイン払出通路35との分岐位置には、回転ディスク23の外周面に沿ってベースブロック22の一部を開口した切抜き穴58を縦貫して設けている。この切抜き穴58の前端側(分岐位置側)にカウントローラR1を切抜き穴58内より上面に突き出た状態に介在させ、該切抜き穴58の後端にコイン逃しローラR2を切抜き穴58内より上面に突き出た状態に介在させている。
【0037】
前記カウントローラR1は、図12に示すように、カウントアーム60の一端にカウントローラ軸61によって回動自由に軸支されている。このカウントアーム60は中間部が支点軸59に回動自由に軸支されている。さらに、カウントローラR1は、切抜き穴58の前端側に待機するようにカウントアーム60自体をカウントアーム復帰用スプリング62によって付勢させている。従って、カウントローラR1は分岐位置に回転送りされてきたコインCを受け止めながら押し戻す方向に付勢力が働き、該カウントローラR1はコインの動きに追従して回転送り方向に進退して変位する。この結果、コインCが回転送り通路53側からコイン払出通路35の入口(通路の分岐位置)に至ったとき、該コインを回転送り通路53側からコイン払出通路35側へと弾き飛ばす役目を有している。
【0038】
そして、このカウントアーム60の他端と対応する位置には、取付プレート63に支持されたコイン間接検知機構33としてのカウントセンサS1が配設されている。このコイン間接検知機構33は、カウントローラR1がコインCの回転送り力を受けていない待機状態では、カウントアーム復帰用スプリング62の付勢作用によって、カウントアーム他端のセンサ遮光片60aが光電検知用のカウントセンサS1のスリット部間を遮光したOFF状態にある。一方、カウントローラR1がコインCの回転送り力を受けたコイン検知状態では、カウントアーム復帰用スプリング62の付勢力に抗してカウントアーム60のセンサ遮光片60aが支点軸59を支点に回動し、カウントセンサS1のスリット部間を横切るように往復運動したときに、カウントセンサS1のスリット部間が一時的に開放されてON状態となる。その後、コインCがコイン払出通路35に移動して払い出されてカウントアーム60が元の位置に復帰することによって、再びカウントセンサS1はOFF状態に戻る。このように、コイン間接検知機構33はコインが払い出される動きを、カウントローラR1及びカウントアーム60の動きに基づいて、カウントセンサS1が間接的に検知する。
【0039】
前記コイン逃しローラR2は、コイン詰り回避用に配設され、取付プレート63に起立された支点軸64上に回転自由に軸支されている。このコイン逃しローラR2は回転送り通路53とコイン払出通路35との分岐位置に導かれたコインが回転ディスク23の内周寄りにあって回転送りされる場合(図14参照)に、この分岐位置に導かれたコインがガイド羽根47とカウントローラR1との間に挟持されたまま回転送りされて移動し、コインCがコイン逃しローラR2に当接する。さらに、カウントアーム60が回動限界のエンド位置まで到達してコインが詰りそうになった場合には、コイン逃しローラR2を搭載したコイン逃しアーム65が待機位置から退避移動して、コインの挟持状態を開放させてコインCを回転送り方向に通過させてコイン半円形ガイド部48側へと移動させる。コイン逃しアーム65はコイン逃し用スプリング66によって付勢されている。また、コイン逃しアーム65に起立された支点軸67に軸支されたストッパローラR3が、前記カウントアーム60に対接して、カウントアーム60を待機位置に位置決めしている。
【0040】
コイン払出通路35は該コイン払出通路35の始端側である分岐位置の中間部に前記カウントローラR1が対向し、さらに該コイン払出通路35の始端側の傾斜低位側の角部に、耐久性のよい金属製の払出プレート68を配設している。これと対向する始端側の傾斜高位側の角部に、後述するコイン直接検知機構31を配設している。
【0041】
前記コイン直接検知機構31は、センサ本体69と、これを覆うセンサカバー70とから構成される。前記センサ本体69は光電検知用に通路方向に沿って並列して配設された始端側センサS2と終端側センサS3とを有し、外周囲をセンサカバー70で覆って保護すると共に、該センサカバー70をベースブロック22のセンサ取付孔71に差し込んでセンサ本体69及びセンサカバー70を、ベースブロック22にビス72止め固定して搭載する。また、センサ本体69を搭載したときに、両センサS2,S3の検知光が、コイン払出通路35の上面に開口された投光孔73を傾斜方向に通過し、この通過したコイン払出通路35の上面を検知領域とし、ここを通過するコインCを直接光電検知する。
【0042】
従って、コイン間接検知機構33とコイン直接検知機構31とを備えることによって、コインが払い出されたことを2段階に検知することができる。ことに、払い出されるコインに対し、カウントセンサS1がコインを検知するコイン検知時間帯より始端側センサS2が若干遅れた時間帯に重複して検知するという検知構成をとっている。これにより、コインが回転送り通路53から分岐されてコイン払出通路35へと送られ、コインの送り方向が回転方向から直進方向へと方向変換されて移送されるときのコイン検知情報を精密に取得することができる。それゆえ、適正な払い出しか、払出口29の外部から異物を挿入してコインを過剰に払い出させるような不正行為の払い出しかを的確に検知できる。
【0043】
さらに、始端側センサS2と終端側センサS3とのコインの検知時間帯においても、始端側センサS2がコインを検知する検知時間帯よりも、終端側センサS3がコインを検知する検知時間帯が若干遅れた時間帯に重複させて検知する検知構成をとっている。これら3個のセンサS1〜S3の重複検知情報に基づいて、より一層正確な検知情報を得ることができる。
【0044】
前記センサカバー70は、センサ本体69を覆って保護するだけでなく、コイン払出通路35の上面に対設されて、該コイン払出通路35の一部を形成している。図中、74はセンサハーネスである。また、コイン払出装置15に対するアースを取るために、モータMとスロットマシン11に接触するフレーム77の底面付近のそれぞれにアース板75を配設し、該アース板75をアース用ハーネス76で接続している(図5参照)。
【0045】
このように構成されたコイン払出装置15の払出処理動作を図13の動作説明図を参照して説明する。
スロットマシン11の遊技を管理する制御基板11aの制御部からコイン払出枚数の信号が出力されると、制御部はモータMを駆動させて該モータMの出力軸34を回転させる。この場合、出力軸34に連結されている回転ディスク23も同様に回転送り方向に回転される。この回転ディスク23の回転に基づいて、ホッパー24に貯留されているコインCは回転ディスク23のコイン受入口44に入り、該コイン受入口44に入った最下層のコインのみが回転送り通路53で回転送りされ、ガイド羽根47によって回転ディスク23の外側へと押し出される。
【0046】
このガイド羽根47によって外側へと押し出されたコインは、図13(A)に示すようにベースブロック22の回転送りガイド面57に沿って移動し、図13(B)に示すように払出プレート68及びカウントローラR1に当接する。当接したコインCは、図13(C)に示すように、ガイド羽根47の回転力を受けて、さらに外側へと押し出され、カウントアーム復帰用スプリング62に付勢されているカウントローラR1を同じ回転方向に押し続けてコイン払出通路35の入口を広げる。
【0047】
その時、カウントローラR1と一体化されているカウントアーム60が支点軸59を回動支点に回動し、該カウントアーム60のセンサ遮光片60aがカウントセンサS1のスリット部間から外れて、カウントセンサS1がOFFとなる。その後、図13(D)及び図13(E)に示すように、コインCはベースブロック22の平面的なコイン払出通路35上をコイン払出口29に向かって移動し、コイン直接検知機構31の通路方向に並列する始端側センサS2のスリット部と、終端側センサS3のスリット部を順に横切り、それぞれ順次ONになる。
【0048】
その後、さらにコインCがコイン払出口29に向かって移動すると、図13(F)に示すように、コインCはコインカウントローラR1から外れ、カウントアーム60はカウントアーム復帰用スプリング62により、元の復帰方向へ移動する。その際にカウントアーム60のセンサ遮光片60aがカウントセンサS1のスリット部を横切って、ストッパローラR3で止まり、カウントセンサS1が再びONになる。さらに、コインCがコイン払出口29の方向に移動すると、図13(G)に示すように、始端側センサS2と終端側センサS3の各スリット部を通過し、これら両センサS2,S3がそれぞれ順次OFFになる。
【0049】
このように3個のセンサS1〜S3の検知情報によって制御部では検知順序による払出方向の判定、重複検知することによる検知タイミングからコインが適正に払い出されたことを検知することができる。
【0050】
図14はコイン払出回避時の動作説明図を示し、図14(A)に示すように、コインCの位置が適切な回転送り位置でないような場合などでコインCがコイン払出口29を過ぎてカウントローラR1による押し戻し作用が不可能になると、コイン詰りの発生のおそれがあるので、このときは、図14(B)に示すように、コイン逃しローラR2の一時退避動作によりコインCを同じ回転送り方向に通過させ、コインは払い出されないが、ガイド羽根47と共に周回させて次の払出用のコインとして回転送りされる。
【0051】
次に、コイン払出時の各センサS1〜S3のタイミングチャートを図15に示す。
図15(A)はコインの動きに追従して回転送り方向に変位するカウントローラR1の変位動作に連動するカウントアーム60の動きをカウントセンサS1が検知することに基づいて、コインが前記回転送り通路53からコイン払出通路35へと払い出されたことを検知している。そして、カウントセンサS1がコインCを検知しているコイン検知時間帯の一部に重複して始端側センサS2が検知し、同様に始端側センサS2の検知に引続き終端側センサS3が検知し、前記コイン払出通路35に払い出されてきたコインの通過の有無を的確に検知することができる。これら3個のセンサS1〜S3でコインの動きをコイン払出方向に沿って追従して検知するため、コインの払出動作を正確に確認できるだけでなく、コインの払出動作に対する不正行為が行われた場合にも正確に判別できる。
【0052】
従って、コインCを払出方向順に検知しているか、さらにその検知タイミング、例えば重複して検知しているか否か、その重複時間割合が適正か否かなどの判定を含めた各センサS1〜S3の検知信号によって、スロットマシン11の制御部がコインの払出内容を精査してコイン払出内容の適否を判定する。この制御部でコインが適正に払い出されたか、否かを判定し、不正と判定した場合は、その旨を係員等へ出力して報知する。この検知情報の取得に際しては、払い出されるコインを間接的に検知するカウントセンサS1と、払い出されるコインを直接的に検知する始端側センサS2との検知の仕方が異なる異質な両検知手段を併用することで、払出口29部分での検知機能を高めている。
【0053】
具体的には、カウントセンサS1と始端側センサS2と終端側センサS3を組合せることによって、コイン払出方向の検知順序及び検知タイミングによってコインを適正に払い出した適正な検知信号か、コイン払出口29から特殊な異物が挿入されるなどの不正行為を検知した検知信号かを正確に判定できる。
【0054】
図15(B)は参考までにコインが払い出されなかった場合のタイムチャートを示し、この場合はカウントローラR1のみが変位したとカウントセンサS1が検知し、他の始端側センサS2と終端側センサS3は未検知のままとなる。よって、制御部はコインが回転送り方向に回転送りされ、そのまま通過してコインが払い出されなかったと判定することができる。
【0055】
上述のように、コインの払い出しに際して、コインを送り方向が異なる回転方向と直進方向との通路別にセンサを備え、しかも間接的に検知する検知手段と直接的に検知する検知手段との異質な検知手段を併用し、且つコインの検知時間帯をセンサ毎に重複させることで、コインが払出されるまでの検知情報を精密に取得できる。このため、巧みな不正行為が駆使されても、その不正行為を検知することができ、その不正対策に効果的となる高検知機能を確保することができる。よって、コインを過剰に払い出させようとする不正行為があった場合には的確に発見して、不正行為を困難にする信頼性の高いコイン払出装置が得られる。
【0056】
この発明の構成と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明の変位ガイド部材は、実施例のカウントローラR1に対応し、
以下同様に、
第1検知手段は、コイン直接検知機構33のカウントセンサS1に対応し、
第2検知手段は、コイン間接検知機構31の始端側センサS2に対応し、
第3検知手段は、コイン間接検知機構31の終端側センサS3に対応し、
判定手段は、スロットマシン11の制御部に対応し、
遊技機は、スロットマシン11に対応するも、この発明は上述の一実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に記載される技術思想に基づいて応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】スロットマシンの内部構造を示す斜視図。
【図2】コイン払出装置を示す外観斜視図。
【図3】コイン払出装置のホッパー内を示す斜視図。
【図4】回転ディスクを搭載したベースブロックを示す斜視図。
【図5】ベースブロックの下面側を示す斜視図。
【図6】ベースブロック上の回転ディスクの1部を分解した要部分解斜視図。
【図7】回転ディスクを上面側から見た斜視図。
【図8】回転ディスクを下面側から見た斜視図。
【図9】ベースブロックの外観斜視図。
【図10】ベースブロック上のコイン直接検知機構を分解して示す斜視図。
【図11】コインの払出状態を示すベースブロックの平面図。
【図12】コインの払出構造を示すベースブロックの底面図。
【図13】コインの払出動作状態を示す説明図。
【図14】コインの払出不可状態を示す説明図。
【図15】コインの払出動作を示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0058】
11…スロットマシン
15…コイン払出装置
23…回転ディスク
29…払出口
31…コイン直接検知機構
33…コイン間接検知機構
35…コイン払出通路
47…ガイド羽根
53…回転送り通路
60…カウントアーム
R1…カウントローラ
S1…カウントセンサ
S2…始端側センサ
S3…終端側センサ
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばスロットマシンに使用されるようなメダル類、あるいは流通硬貨などのコインを1枚ずつ計数しながら払い出すコイン払出装置に関し、さらに詳しくはコインを過剰に払い出させる不正行為を防止するコイン払出装置及び遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットマシンなどに備えられているメダル(以下コインと称す)払出装置は、例えば特許文献1に開示されているように、コインホッパに貯留されている多数枚のコインを、コインホッパの底部に備えられている回転ディスクの回転動作によりコインホッパからコインを1枚ずつ分離してコイン送出し開口部へと導き、このコイン送出し開口部に導かれたコインを、コイン払出用に押し戻し自由に付勢支持されたカウントアームの弾き飛ばし動作によって、該コインをコイン送出し開口部へと弾き飛ばし、そのカウントアームの弾き飛ばし動作をコイン投出センサで検知することにより、払い出された合計のコインの払出枚数を計数していた。
【0003】
しかし、このようなカウントアームの動きを検知要素とする検知手段では、コインを弾き飛ばし動作するカウントアームの動きを1個のコイン投出センサにより検知して、コインの払い出しを間接的に検知する構成のため、1個のコイン投出センサのセンサ光を外部から故意に遮光させて、正規の払出枚数以上のコインを払い出させる等の不正行為が行われやすかった。
【0004】
これに対し、特許文献2に開示されている検知技術では、コインをコイン排出口へと弾き飛ばすカウントアームの弾き飛ばし動作前の待機位置と、弾き飛ばし動作後の払出完了位置とを、第1のセンサと第2のセンサとで個別に検知することにより、カウントアームを介して間接的に払い出されたコインの合計の払出枚数を計数している。
【0005】
しかし、この場合は2個のセンサでカウントアームのきめ細かな動きを検知して間接的にコインの払い出しが実行されたか否かを検知する構成のため、このカウントアームがコインを弾き飛ばし動作していないかのように外部から不正にセンサ光を遮光させたり、カウントアームを不正に動作させたりして、正規の払出枚数以上のコインを払い出させるという不正行為が行われる可能性があった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−52229号
【特許文献2】特開2000−222611号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこでこの発明は、コインの払い出しに際して、コインが払い出されるまでのコインの動きを間接的、直接的及び重複して検知するという複合的な検知機能を持たせることにより、規定枚数以上のコインを払い出させようとする不正行為を容易に検出して過剰なコインの払い出しを完全に防止することができるコイン払出装置及び遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、多数枚のコインを貯留するホッパーと、前記ホッパーの底部に回転自由に配設され、前記ホッパーに貯留されているコインを自重により降下させて受け入れるコイン受入口を上面に有し、このコイン受入口に連通する下方のベースとの上下の対向面間にコインが通過可能な通路空間を外周面側に連通させてなる回転送り通路を有する回転ディスクと、前記回転ディスクを回転させる駆動機構と、前記駆動機構により回転される回転ディスクの回転に伴い前記回転送り通路に導かれたコインを、回転送り方向の外周面に接続されるコイン払出通路に向けて1枚ずつ連続的に回転送りし、送られてきたコインを回転送り通路側からコイン払出通路側に方向変換させて払い出すコイン払出機構とを備えたコイン払出装置であって、前記回転送り通路とコイン払出通路との分岐位置に送られてきたコインの回転送り力を受けながら変位してコインを払い出しガイドする変位ガイド部材を有し、該変位ガイド部材の変位ガイド動作を検知することに基づいてコインが前記回転送り通路からコイン払出通路へと払い出されたことを検知する第1検知手段と、前記第1検知手段がコインを検知しているコイン検知時間帯の一部に重複して検知し、前記コイン払出通路に払い出されてきたコインの通過の有無を、該コイン払出通路上で検知する第2検知手段とを備えたコイン払出装置であることを特徴とする。
【0009】
この発明の実施態様として、前記コイン払出通路の始端側を検知領域とする第2検知手段と、その直後のコイン払出通路のコイン通過位置を検知領域とする第3検知手段とをコイン払出装置に備えて構成することができる。
【0010】
この発明の別の構成では、前記コイン払出装置を内蔵し、前記各検知手段とのコイン払出方向の検知順序及び検知タイミングによってコインを払い出した検知信号か、否かを判定する判定手段を備えた遊技機を構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、払い出されるコインを間接的に検知する第1検知手段と、払い出されるコインを直接的に検知する第2検知手段との検知の仕方が異なる異質な両検知手段を用いることで、検知機能を高めて、適正な払出動作によって払い出されたコインか、不正な払出動作によって払い出されたコインかを正確に検知することができる。この結果、コインを過剰に払い出させようとする不正行為を困難にすることができ、信頼性の高いコイン払出装置が得られる。
【実施例】
【0012】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
図面は遊技ホールに設置されるスロットマシンのコイン払出装置を示し、図1はスロットマシン11の前面扉12をスロットマシン本体13より片開き式に開口した内部構造である。
【0013】
この開口されたスロットマシン11の本体13側には、スロットマシン11の遊技を制御する制御部を搭載した制御基板11aが上部に内蔵されている。また、外周面の絵柄の位置を回転・停止させて遊技利用を行う3列のリール14を上部に設置し、下部中央にコイン(メダル)の取込み、及び払出用のコイン払出装置15を設置し、その左側に電源装置16を設置し、右側にオーバフロータンク17を設置している。
【0014】
一方、前面扉12側の内面には、内面上部より下部にかけてリールカバー18と、コインの適否を選別するコイン選別装置19と、コイン返却通路20と、払出接続口21aと、返却口21bとをこの順に有している。そして、この前面扉12の外面が接客面として設けられ、各種の遊技操作部が設置されている。遊技利用された場合に、投入されたコインはコイン選別装置19に取込まれ、ここで有効と選別された正規のコインCはコイン払出装置15へと搬送され、無効と選別された不適なコインは払出接続口21aを介して返却口21bから前面扉12の下皿(図示省略)へと返却させる選別機能を有している。
【0015】
次に、コイン払出装置15について説明する。このコイン払出装置15は、図2及び図3の斜視図にも示すように、ベースブロック22上に、回転ディスク23とホッパー24とを搭載して構成される。
【0016】
前記ホッパー24は、内部空間に多数枚のコインを貯留し、その貯留したコインを自重により下方の中央部へと傾斜させて導く傾斜状に囲った収納構造を有している。例えば、上面を開放した箱形状の両側面をVの字形に絞って形成する。この場合、該ホッパー24の傾斜壁面は、貯留されるコインの荷重を分散させるために傾斜角度を途中で変えて、ホッパー24の底部で回転する回転ディスク23にかかる荷重負荷を低減している。
【0017】
さらに、ホッパー24の内部には、コイン貯留枚数が収納限界枚数を超えて余剰コインが生じた場合に、その余剰コインを前記オーバフロータンク17へと移送するオーバフローシュート25を備えている。このオーバフローシュート25は、コインを円滑に傾斜移送できる傾斜角度を有すると共に、コインとの接触面積を少なくできる凹凸面を有しており、ホッパー24内の上隅部に沿わせてL形状に配設されている。このオーバフローシュート25に導かれた余剰コインはホッパー24の一側の傾斜壁面に開口されたオーバフロー放出口26より放出され、放出された余剰コインは、その下方に対応するオーバフロータンク17へと収納される。図3において、27はオーバフローシュート固定部、28は貯留圧回避用の放出口カバーである。
【0018】
さらに、ホッパー24とベースブロック22とが一側壁の境目で上下に対向する接合面間には、コインを平面状態で1枚ずつ払い出させる横長の払出口29を開口している。この払出口29をスロットマシン11の下皿に通じる前記払出接続口21aに接続させている。
【0019】
前記ベースブロック22は、図4の斜視図にも示すように正方形状を有し、このベースブロック22の上面に、該上面全体を一定角度傾斜(例えば30度)させてなるベース傾斜面30を有している。そして、このベース傾斜面30の上面側に回転ディスク23とホッパー24とコイン直接検知機構31とが搭載される。また、ベースブロック22は、図5のベース底面図に示すように、ベース傾斜面30の下面側(裏面側)を中空形成し、この裏面中空部に回転ディスク23の駆動機構32やコイン間接検知機構33が搭載されている。
【0020】
前記ベース傾斜面30の上面側中央部には、ベースブロック22の裏面側に搭載されている駆動機構32から上面側に突出させた回転軸34に、回転ディスク23の中心部に開口するD型軸孔42を挿通させて連結している。従って、駆動機構32を駆動して回転軸34を回転させると、これと一体の回転ディスク23が回転される。
【0021】
さらに、図6の斜視図に示すように、ベース傾斜面30の上面側の一端部と回転ディスク23の外周面との間には、前記払出口29に通じるコイン払出通路35が形成されている。このコイン払出通路35は、コイン1枚を平面状態で払い出すことができる凹部溝状の通路であり、該コイン払出通路35の外端部が前記払出口29に連通し、内端部が回転ディスク23の外周面の一開口部に接続されている。従って、回転ディスク23から送り出されたコインは平面状態のままコイン払出通路35へと送り出される。
【0022】
また、ベース傾斜面30の傾斜下部の上面両側には、ホッパー24の下連結部(図示省略)を差し込んで着脱自在に取付ける着脱口36を有している。この着脱口36の内部には、ロック部とロック解除部とを有しており、ベースブロック22の傾斜下部側の側面に備えられたロック解除レバー37の解除操作に応じてホッパー24のロックを解除できるようにしている。また、ベースブロック22の傾斜上部側にはホッパー24の引っ掛け部22aを有している。
【0023】
前記駆動機構32は、モータ搭載台(図5参照)38の一側に搭載したモータMを駆動源とし、モータ搭載台38に内蔵されているモータMの出力軸と一体の図示しない駆動ギアに減速用の従動ギアを順に噛合させ、その1つを回転軸34上のギアに噛合させることにより、回転軸34と一体の回転ディスク23に動力伝達される。これにより、モータMの駆動に基づいて回転ディスク23は一定速度で回転される。
【0024】
次に、回転ディスク23の構造を、図6〜図8を参照して説明する。図6はベースブロック22に搭載される回転ディスク23の一部を分解して示す斜視図、図7は回転ディスク23を上方から見た斜視図、図8は回転ディスク23を下方から見た斜視図である。
【0025】
この回転ディスク23は、上面層の円盤39と、中間層の羽根板40と、下面層のディスクベース41とを3枚重ねに積層した一体化構造である。
まず、上面層の円盤39は、図7に示すように、円形板の中心部にD型軸孔42を上下方向に貫通し、このD型軸孔42に、断面D型の軸部を有する前記回転軸34を下面側から挿通させ、上面側から座金43aを介してボルト43で螺着固定することにより、該円盤39と回転軸34とを回り止めして一体に連結している。
【0026】
さらに、円盤39は周方向を6等分した上面側の同心円上の位置に、コイン1枚を降下させる円形のコイン受入口44を上下方向にそれぞれ貫通して設けている。これらのコイン受入口44は上方からのコインの受入れを円滑にするためのテーパガイド部44aを上面側に形成している。また、該円盤39の中央部を高位にし、その周辺部を低位にして円錐状に突出させている。これにより、貯留されたコインが円盤39の中央部より分散して各コイン受入口44へと自然に供給されるようにしている。なお、円盤39中央部の周辺と外周部の同心円上には、連結用のビス孔45を周方向に等分して形成している。
【0027】
次に、中間層の羽根板40は、中心部に前記回転軸34を挿通させるためのD型軸孔46を開口している。さらに、中心部から外周面側に延設され、前記コイン受入口44の数に対応する6枚のガイド羽根47を風車状に突出させている。そして、6等分された各ガイド羽根47間とコイン受入口44とが対応する各位置にコイン半円形ガイド部48が形成されている。これらの6個のコイン半円形ガイド部48は上方の各コイン受入口44に対応しているため、コインCがコイン受入口44を降下すると、該コインはコイン半円形ガイド部48へと導かれる。
【0028】
前記ガイド羽根47の羽根形状は、コイン半円形ガイド部48に導かれたコインを、このコイン半円形ガイド部48から外周面側へと回転時の遠心力を受けて1枚ずつ送り出せるように滑らかな円弧形状を有し、外周面側まで該ガイド羽根47の外端部を延設させている。このガイド羽根47の外端部には半円形に切欠いたビス止め凹部47aが形成されており、円盤39及びディスクベース41を貫通するビス52によって固定される。
【0029】
さらに、羽根板40の下面中央部には円形の補強プレート49を連結し、該羽根板40と回転軸34との接合性を高めている。また、この回転軸34の下部側には貯留コインの荷重によるモータMに対する負荷を低減するためのスラストベアリング(図示省略)を備えている。
【0030】
前記下面層のディスクベース41は、前記円盤39と略同じ大きさの外径寸法を有する環状板であり、この環状板の周方向に、コインとの接触面積を少なくして回転接触抵抗を低減させ、且つゴミ落し用を兼ねた長孔50と3枚重ね連結用のビス孔51とを開口している。
【0031】
そして、図8に示すように、上面層の円盤39と、中間層の羽根板40と、下面層のディスクベース41との3枚を上下方向にビス52止めして連結することにより、これら3部材が一体化し、一体化した3層構造の回転ディスク23が得られる。この3層構造の回転ディスク23の中間層にコインを1枚ずつ回転送りするコインの回転送り通路53が形成される。
【0032】
この回転送り通路53は、上方のコイン受入口44に連通する下方のディスクベース41との上下方向の対向面間にコイン1枚分の平面的な通路空間を有し、この通路空間を外周面側に連通させて設けるものである。具体的には、コイン半円形ガイド部48に沿う両側のガイド羽根47間と、円盤39の下面とディスクベース41の上面とで囲まれる空間であり、ここに至ったコインCは、回転ディスク23の回転に伴いコイン外周面が該コイン半円形ガイド部48及びガイド羽根47間にガイドされつつ、コイン上面が円盤39の下面にガイドされ、またコイン下面がディスクベース41に支えられてガイドされる。
【0033】
図9は回転ディスク取付け前のベースブロック22の斜視図である。このベースブロック22の回転ディスク23の取付け部分として設けられるベース傾斜面30の中央部には、回転ディスク23を若干沈み込ませる円形凹部54を形成している。この円形凹部54の外周面側に、前記ディスクベース41と対応する環状溝55を有し、この環状溝55の底面周方向に複数個のゴミ落し穴56を開口している。さらに、この環状溝55は3層構造の円盤39と羽根板40とディスクベース41とを上方からビス52止めして一体に連結したときに、下方に突出するビス52下端の逃し溝としての役目を有している。また、円形凹部54の内周面が回転ディスク23で回転送りされるコインの回転送りガイド面57となる。
【0034】
前記回転ディスク23は、図においては右回転し、この回転ディスク23の回転に伴い前記回転送り通路53に導かれたコインCを平面状態のままベース傾斜面30上の傾斜低位側から傾斜高位側へと回転送りし、その回転送り方向の傾斜高位側の外周面に接続されるコイン払出通路35に向けて1枚ずつ連続的に回転送りする通路構造を有している。
【0035】
図10はコイン払出通路35の要部斜視図、図11はコイン払出状態を示すコイン払出装置15の要部平面図、図12はベースブロック22の要部底面図である。ここで、前記回転送り通路53とコイン払出通路35との分岐位置には、この分岐位置に送られてきたコインを回転送り通路53側からコイン払出通路35側に方向変換させて払い出すために、カウントローラR1と、コイン逃しローラR2と、コイン間接検知機構33と、コイン直接検知機構31とがコイン払出機構として備えられている。
【0036】
前記回転送り通路53とコイン払出通路35との分岐位置には、回転ディスク23の外周面に沿ってベースブロック22の一部を開口した切抜き穴58を縦貫して設けている。この切抜き穴58の前端側(分岐位置側)にカウントローラR1を切抜き穴58内より上面に突き出た状態に介在させ、該切抜き穴58の後端にコイン逃しローラR2を切抜き穴58内より上面に突き出た状態に介在させている。
【0037】
前記カウントローラR1は、図12に示すように、カウントアーム60の一端にカウントローラ軸61によって回動自由に軸支されている。このカウントアーム60は中間部が支点軸59に回動自由に軸支されている。さらに、カウントローラR1は、切抜き穴58の前端側に待機するようにカウントアーム60自体をカウントアーム復帰用スプリング62によって付勢させている。従って、カウントローラR1は分岐位置に回転送りされてきたコインCを受け止めながら押し戻す方向に付勢力が働き、該カウントローラR1はコインの動きに追従して回転送り方向に進退して変位する。この結果、コインCが回転送り通路53側からコイン払出通路35の入口(通路の分岐位置)に至ったとき、該コインを回転送り通路53側からコイン払出通路35側へと弾き飛ばす役目を有している。
【0038】
そして、このカウントアーム60の他端と対応する位置には、取付プレート63に支持されたコイン間接検知機構33としてのカウントセンサS1が配設されている。このコイン間接検知機構33は、カウントローラR1がコインCの回転送り力を受けていない待機状態では、カウントアーム復帰用スプリング62の付勢作用によって、カウントアーム他端のセンサ遮光片60aが光電検知用のカウントセンサS1のスリット部間を遮光したOFF状態にある。一方、カウントローラR1がコインCの回転送り力を受けたコイン検知状態では、カウントアーム復帰用スプリング62の付勢力に抗してカウントアーム60のセンサ遮光片60aが支点軸59を支点に回動し、カウントセンサS1のスリット部間を横切るように往復運動したときに、カウントセンサS1のスリット部間が一時的に開放されてON状態となる。その後、コインCがコイン払出通路35に移動して払い出されてカウントアーム60が元の位置に復帰することによって、再びカウントセンサS1はOFF状態に戻る。このように、コイン間接検知機構33はコインが払い出される動きを、カウントローラR1及びカウントアーム60の動きに基づいて、カウントセンサS1が間接的に検知する。
【0039】
前記コイン逃しローラR2は、コイン詰り回避用に配設され、取付プレート63に起立された支点軸64上に回転自由に軸支されている。このコイン逃しローラR2は回転送り通路53とコイン払出通路35との分岐位置に導かれたコインが回転ディスク23の内周寄りにあって回転送りされる場合(図14参照)に、この分岐位置に導かれたコインがガイド羽根47とカウントローラR1との間に挟持されたまま回転送りされて移動し、コインCがコイン逃しローラR2に当接する。さらに、カウントアーム60が回動限界のエンド位置まで到達してコインが詰りそうになった場合には、コイン逃しローラR2を搭載したコイン逃しアーム65が待機位置から退避移動して、コインの挟持状態を開放させてコインCを回転送り方向に通過させてコイン半円形ガイド部48側へと移動させる。コイン逃しアーム65はコイン逃し用スプリング66によって付勢されている。また、コイン逃しアーム65に起立された支点軸67に軸支されたストッパローラR3が、前記カウントアーム60に対接して、カウントアーム60を待機位置に位置決めしている。
【0040】
コイン払出通路35は該コイン払出通路35の始端側である分岐位置の中間部に前記カウントローラR1が対向し、さらに該コイン払出通路35の始端側の傾斜低位側の角部に、耐久性のよい金属製の払出プレート68を配設している。これと対向する始端側の傾斜高位側の角部に、後述するコイン直接検知機構31を配設している。
【0041】
前記コイン直接検知機構31は、センサ本体69と、これを覆うセンサカバー70とから構成される。前記センサ本体69は光電検知用に通路方向に沿って並列して配設された始端側センサS2と終端側センサS3とを有し、外周囲をセンサカバー70で覆って保護すると共に、該センサカバー70をベースブロック22のセンサ取付孔71に差し込んでセンサ本体69及びセンサカバー70を、ベースブロック22にビス72止め固定して搭載する。また、センサ本体69を搭載したときに、両センサS2,S3の検知光が、コイン払出通路35の上面に開口された投光孔73を傾斜方向に通過し、この通過したコイン払出通路35の上面を検知領域とし、ここを通過するコインCを直接光電検知する。
【0042】
従って、コイン間接検知機構33とコイン直接検知機構31とを備えることによって、コインが払い出されたことを2段階に検知することができる。ことに、払い出されるコインに対し、カウントセンサS1がコインを検知するコイン検知時間帯より始端側センサS2が若干遅れた時間帯に重複して検知するという検知構成をとっている。これにより、コインが回転送り通路53から分岐されてコイン払出通路35へと送られ、コインの送り方向が回転方向から直進方向へと方向変換されて移送されるときのコイン検知情報を精密に取得することができる。それゆえ、適正な払い出しか、払出口29の外部から異物を挿入してコインを過剰に払い出させるような不正行為の払い出しかを的確に検知できる。
【0043】
さらに、始端側センサS2と終端側センサS3とのコインの検知時間帯においても、始端側センサS2がコインを検知する検知時間帯よりも、終端側センサS3がコインを検知する検知時間帯が若干遅れた時間帯に重複させて検知する検知構成をとっている。これら3個のセンサS1〜S3の重複検知情報に基づいて、より一層正確な検知情報を得ることができる。
【0044】
前記センサカバー70は、センサ本体69を覆って保護するだけでなく、コイン払出通路35の上面に対設されて、該コイン払出通路35の一部を形成している。図中、74はセンサハーネスである。また、コイン払出装置15に対するアースを取るために、モータMとスロットマシン11に接触するフレーム77の底面付近のそれぞれにアース板75を配設し、該アース板75をアース用ハーネス76で接続している(図5参照)。
【0045】
このように構成されたコイン払出装置15の払出処理動作を図13の動作説明図を参照して説明する。
スロットマシン11の遊技を管理する制御基板11aの制御部からコイン払出枚数の信号が出力されると、制御部はモータMを駆動させて該モータMの出力軸34を回転させる。この場合、出力軸34に連結されている回転ディスク23も同様に回転送り方向に回転される。この回転ディスク23の回転に基づいて、ホッパー24に貯留されているコインCは回転ディスク23のコイン受入口44に入り、該コイン受入口44に入った最下層のコインのみが回転送り通路53で回転送りされ、ガイド羽根47によって回転ディスク23の外側へと押し出される。
【0046】
このガイド羽根47によって外側へと押し出されたコインは、図13(A)に示すようにベースブロック22の回転送りガイド面57に沿って移動し、図13(B)に示すように払出プレート68及びカウントローラR1に当接する。当接したコインCは、図13(C)に示すように、ガイド羽根47の回転力を受けて、さらに外側へと押し出され、カウントアーム復帰用スプリング62に付勢されているカウントローラR1を同じ回転方向に押し続けてコイン払出通路35の入口を広げる。
【0047】
その時、カウントローラR1と一体化されているカウントアーム60が支点軸59を回動支点に回動し、該カウントアーム60のセンサ遮光片60aがカウントセンサS1のスリット部間から外れて、カウントセンサS1がOFFとなる。その後、図13(D)及び図13(E)に示すように、コインCはベースブロック22の平面的なコイン払出通路35上をコイン払出口29に向かって移動し、コイン直接検知機構31の通路方向に並列する始端側センサS2のスリット部と、終端側センサS3のスリット部を順に横切り、それぞれ順次ONになる。
【0048】
その後、さらにコインCがコイン払出口29に向かって移動すると、図13(F)に示すように、コインCはコインカウントローラR1から外れ、カウントアーム60はカウントアーム復帰用スプリング62により、元の復帰方向へ移動する。その際にカウントアーム60のセンサ遮光片60aがカウントセンサS1のスリット部を横切って、ストッパローラR3で止まり、カウントセンサS1が再びONになる。さらに、コインCがコイン払出口29の方向に移動すると、図13(G)に示すように、始端側センサS2と終端側センサS3の各スリット部を通過し、これら両センサS2,S3がそれぞれ順次OFFになる。
【0049】
このように3個のセンサS1〜S3の検知情報によって制御部では検知順序による払出方向の判定、重複検知することによる検知タイミングからコインが適正に払い出されたことを検知することができる。
【0050】
図14はコイン払出回避時の動作説明図を示し、図14(A)に示すように、コインCの位置が適切な回転送り位置でないような場合などでコインCがコイン払出口29を過ぎてカウントローラR1による押し戻し作用が不可能になると、コイン詰りの発生のおそれがあるので、このときは、図14(B)に示すように、コイン逃しローラR2の一時退避動作によりコインCを同じ回転送り方向に通過させ、コインは払い出されないが、ガイド羽根47と共に周回させて次の払出用のコインとして回転送りされる。
【0051】
次に、コイン払出時の各センサS1〜S3のタイミングチャートを図15に示す。
図15(A)はコインの動きに追従して回転送り方向に変位するカウントローラR1の変位動作に連動するカウントアーム60の動きをカウントセンサS1が検知することに基づいて、コインが前記回転送り通路53からコイン払出通路35へと払い出されたことを検知している。そして、カウントセンサS1がコインCを検知しているコイン検知時間帯の一部に重複して始端側センサS2が検知し、同様に始端側センサS2の検知に引続き終端側センサS3が検知し、前記コイン払出通路35に払い出されてきたコインの通過の有無を的確に検知することができる。これら3個のセンサS1〜S3でコインの動きをコイン払出方向に沿って追従して検知するため、コインの払出動作を正確に確認できるだけでなく、コインの払出動作に対する不正行為が行われた場合にも正確に判別できる。
【0052】
従って、コインCを払出方向順に検知しているか、さらにその検知タイミング、例えば重複して検知しているか否か、その重複時間割合が適正か否かなどの判定を含めた各センサS1〜S3の検知信号によって、スロットマシン11の制御部がコインの払出内容を精査してコイン払出内容の適否を判定する。この制御部でコインが適正に払い出されたか、否かを判定し、不正と判定した場合は、その旨を係員等へ出力して報知する。この検知情報の取得に際しては、払い出されるコインを間接的に検知するカウントセンサS1と、払い出されるコインを直接的に検知する始端側センサS2との検知の仕方が異なる異質な両検知手段を併用することで、払出口29部分での検知機能を高めている。
【0053】
具体的には、カウントセンサS1と始端側センサS2と終端側センサS3を組合せることによって、コイン払出方向の検知順序及び検知タイミングによってコインを適正に払い出した適正な検知信号か、コイン払出口29から特殊な異物が挿入されるなどの不正行為を検知した検知信号かを正確に判定できる。
【0054】
図15(B)は参考までにコインが払い出されなかった場合のタイムチャートを示し、この場合はカウントローラR1のみが変位したとカウントセンサS1が検知し、他の始端側センサS2と終端側センサS3は未検知のままとなる。よって、制御部はコインが回転送り方向に回転送りされ、そのまま通過してコインが払い出されなかったと判定することができる。
【0055】
上述のように、コインの払い出しに際して、コインを送り方向が異なる回転方向と直進方向との通路別にセンサを備え、しかも間接的に検知する検知手段と直接的に検知する検知手段との異質な検知手段を併用し、且つコインの検知時間帯をセンサ毎に重複させることで、コインが払出されるまでの検知情報を精密に取得できる。このため、巧みな不正行為が駆使されても、その不正行為を検知することができ、その不正対策に効果的となる高検知機能を確保することができる。よって、コインを過剰に払い出させようとする不正行為があった場合には的確に発見して、不正行為を困難にする信頼性の高いコイン払出装置が得られる。
【0056】
この発明の構成と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明の変位ガイド部材は、実施例のカウントローラR1に対応し、
以下同様に、
第1検知手段は、コイン直接検知機構33のカウントセンサS1に対応し、
第2検知手段は、コイン間接検知機構31の始端側センサS2に対応し、
第3検知手段は、コイン間接検知機構31の終端側センサS3に対応し、
判定手段は、スロットマシン11の制御部に対応し、
遊技機は、スロットマシン11に対応するも、この発明は上述の一実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に記載される技術思想に基づいて応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】スロットマシンの内部構造を示す斜視図。
【図2】コイン払出装置を示す外観斜視図。
【図3】コイン払出装置のホッパー内を示す斜視図。
【図4】回転ディスクを搭載したベースブロックを示す斜視図。
【図5】ベースブロックの下面側を示す斜視図。
【図6】ベースブロック上の回転ディスクの1部を分解した要部分解斜視図。
【図7】回転ディスクを上面側から見た斜視図。
【図8】回転ディスクを下面側から見た斜視図。
【図9】ベースブロックの外観斜視図。
【図10】ベースブロック上のコイン直接検知機構を分解して示す斜視図。
【図11】コインの払出状態を示すベースブロックの平面図。
【図12】コインの払出構造を示すベースブロックの底面図。
【図13】コインの払出動作状態を示す説明図。
【図14】コインの払出不可状態を示す説明図。
【図15】コインの払出動作を示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0058】
11…スロットマシン
15…コイン払出装置
23…回転ディスク
29…払出口
31…コイン直接検知機構
33…コイン間接検知機構
35…コイン払出通路
47…ガイド羽根
53…回転送り通路
60…カウントアーム
R1…カウントローラ
S1…カウントセンサ
S2…始端側センサ
S3…終端側センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数枚のコインを貯留するホッパーと、
前記ホッパーの底部に回転自由に配設され、前記ホッパーに貯留されているコインを自重により降下させて受け入れるコイン受入口を上面に有し、このコイン受入口に連通する下方のベースとの上下の対向面間にコインが通過可能な通路空間を外周面側に連通させてなる回転送り通路を有する回転ディスクと、
前記回転ディスクを回転させる駆動機構と、
前記駆動機構により回転される回転ディスクの回転に伴い前記回転送り通路に導かれたコインを、回転送り方向の外周面に接続されるコイン払出通路に向けて1枚ずつ連続的に回転送りし、送られてきたコインを回転送り通路側からコイン払出通路側に方向変換させて払い出すコイン払出機構と、
を備えたコイン払出装置であって、
前記回転送り通路とコイン払出通路との分岐位置に送られてきたコインの回転送り力を受けながら変位してコインを払い出しガイドする変位ガイド部材を有し、該変位ガイド部材の変位ガイド動作を検知することに基づいてコインが前記回転送り通路からコイン払出通路へと払い出されたことを検知する第1検知手段と、
前記第1検知手段がコインを検知しているコイン検知時間帯の一部に重複して検知し、前記コイン払出通路に払い出されてきたコインの通過の有無を、該コイン払出通路上で検知する第2検知手段と、
を備えたコイン払出装置。
【請求項2】
前記コイン払出通路の始端側を検知領域とする第2検知手段と、その直後のコイン払出通路のコイン通過位置を検知領域とする第3検知手段とを備えた
請求項1に記載のコイン払出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコイン払出装置を内蔵し、前記各検知手段のコイン払出方向の検知順序及び検知タイミングによってコインを払い出した検知信号か、否かを判定する判定手段を備えた遊技機。
【請求項1】
多数枚のコインを貯留するホッパーと、
前記ホッパーの底部に回転自由に配設され、前記ホッパーに貯留されているコインを自重により降下させて受け入れるコイン受入口を上面に有し、このコイン受入口に連通する下方のベースとの上下の対向面間にコインが通過可能な通路空間を外周面側に連通させてなる回転送り通路を有する回転ディスクと、
前記回転ディスクを回転させる駆動機構と、
前記駆動機構により回転される回転ディスクの回転に伴い前記回転送り通路に導かれたコインを、回転送り方向の外周面に接続されるコイン払出通路に向けて1枚ずつ連続的に回転送りし、送られてきたコインを回転送り通路側からコイン払出通路側に方向変換させて払い出すコイン払出機構と、
を備えたコイン払出装置であって、
前記回転送り通路とコイン払出通路との分岐位置に送られてきたコインの回転送り力を受けながら変位してコインを払い出しガイドする変位ガイド部材を有し、該変位ガイド部材の変位ガイド動作を検知することに基づいてコインが前記回転送り通路からコイン払出通路へと払い出されたことを検知する第1検知手段と、
前記第1検知手段がコインを検知しているコイン検知時間帯の一部に重複して検知し、前記コイン払出通路に払い出されてきたコインの通過の有無を、該コイン払出通路上で検知する第2検知手段と、
を備えたコイン払出装置。
【請求項2】
前記コイン払出通路の始端側を検知領域とする第2検知手段と、その直後のコイン払出通路のコイン通過位置を検知領域とする第3検知手段とを備えた
請求項1に記載のコイン払出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコイン払出装置を内蔵し、前記各検知手段のコイン払出方向の検知順序及び検知タイミングによってコインを払い出した検知信号か、否かを判定する判定手段を備えた遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−233935(P2007−233935A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57824(P2006−57824)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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