説明

コイン精米装置

【課題】
コイン精米機において、精米作業中に料金が不足して停止した場合においては搬送経路や精米機中に穀粒が残留して次の利用者の穀粒と混じる欠点を解決することを課題とする。
【解決手段】
前記搬送装置と前記投入タンクの上方とを還元通路で連通する構成とすると共に、前記搬送装置で搬送される穀粒を石抜装置側か還元通路側の何れかに供給するための切替装置を設け、該切替装置は切替スイッチで切替動作をする構成とするものであって、前記制御部が投入料金分に対応する時間を駆動制御させて停止した後に前記切替スイッチを操作すると、前記切替装置が還元通路側を開放するべく切替動作すると共に、前記搬送装置と前記精米装置とを駆動する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が料金を投入して精米処理するコイン精米装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コイン精米装置において、精米作業中に料金が不足した場合等の事情で利用者が途中で精米作業を中止するとき、持ち帰りボタンを押すと投入ホッパ内に残留した穀粒が昇降機と穀粒返却通路を経て投入タンクの上方に返却する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2002−35618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1においては、精米作業中に料金が不足して停止した場合においては搬送経路や精米機中に穀粒が残留している状態であるため、作業を途中で終了した作業者が投入タンク内の穀粒を持ち帰ると、精米機中の残留穀粒が次の利用者の穀粒と混じってしまうという欠点がある。
【0004】
本発明は、この欠点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、穀粒を投入する投入ホッパ(4)と該投入ホッパ(4)に投入した穀粒を石抜処理する石抜装置(11)と該石抜処理した穀粒を精米処理する精米装置(5)と該精米装置(5)で精米処理され排出された精白米を受ける白米タンク(6)と前記投入ホッパ(4)内の穀粒を石抜装置(11)に搬送する搬送装置(10)と精白度を設定する操作盤(7)と料金を投入する料金投入口(22)と前記投入した料金に対応する時間前記石抜装置(11)や前記精米装置(5)や前記搬送装置(10)を駆動制御する制御部とを備え、前記搬送装置(10)と前記投入ホッパ(4)の上方とを還元通路(20)で連通する構成とすると共に、前記搬送装置(10)で搬送される穀粒を石抜装置(11)側か還元通路(20)側の何れかに供給するための切替装置(21)を設け、該切替装置(21)は切替スイッチ(24)で切替動作をする構成とするものであって、前記制御部が投入料金分に対応する時間を駆動制御させて停止した後に前記切替スイッチ(24)を操作すると、前記切替装置(21)が還元通路(20)側を開放するべく切替動作すると共に、前記搬送装置(10)と前記精米装置(5)とを駆動する構成としたことを特徴とするコイン精米装置とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、制御部が投入料金分に対応する時間を駆動制御させて停止してから設定時間内は前記切替スイッチ(24)を操作しても切替装置(21)及び搬送装置(10)及び精米装置(5)は動作しないよう制御する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコイン精米装置とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によると、利用者が投入ホッパ4に穀粒を投入し、かつ料金投入口22に料金を投入すると搬送装置10、石抜装置11、精米装置5等の装置各部が駆動を開始する。そして、投入料金分に対応する時間駆動して停止した際に、投入ホッパ4に穀粒が残留していて利用者が追加料金を投入しないで精米作業を終了して残留穀粒を持ち帰る場合には、切替スイッチ24を操作すると切替装置21が還元通路20側を開放するべく切替動作がなされ、投入ホッパ4内の穀粒は搬送装置10で搬送され還元通路20を経て投入ホッパ4の上方に還元される。利用者は還元通路20から排出される穀粒を袋等で受けて残留穀粒を持ち帰る。また、切替スイッチ24を押すと精米装置5が駆動し、精米装置5内に残留する残留穀粒を白米タンクに排出する。本発明により、料金不足で精米作業を途中で終わらせる場合に、利用者は切替スイッチ24を操作することで、投入ホッパ4内の残留穀粒及び精米装置5内の残留穀粒を取り出すことができるため、コイン精米装置内に穀粒が残留して次の利用者が持参した穀粒と混じるという不具合を防止することができる。
【0008】
請求項2記載の発明によると、制御部が投入料金分に対応する時間を駆動制御させて停止してから設定時間内は前記切替スイッチ(24)を操作しても切替装置(21)及び搬送装置(10)及び精米装置(5)は動作しないよう制御する構成としたことで、さらなる料金の追加を促し迅速に精米作業の継続を行なうことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明を実施するための最良の形態として建屋式のコイン精米装置に実施した場合について説明する。
建屋A内を仕切壁1で操作室2と機械室3とに区分けし、操作室2側には利用者が玄米を投入する投入ホッパ4と精米装置5で精白処理された精白米が排出される白米タンク6を臨ませる。そして、投入ホッパ4と白米タンク6との間には利用者用の操作盤7を設けている。投入ホッパ4内の下部には玄米の有無を検出する投入ホッパセンサ8を設け、下端位置には玄米を設定量ずつ繰り出すロータリバルブ9を設けている。
【0010】
機械室3側には投入ホッパ4内の玄米を揚穀搬送する第一昇降機10と、第一昇降機10で揚穀搬送された玄米を石抜処理する石抜装置11と、石抜装置11で石抜処理された玄米を揚穀搬送する第二昇降機12と、第二昇降機12で揚穀搬送された玄米を貯留する玄米タンク13と玄米タンク13の玄米を精白処理する精米装置5と、精米装置5で精白開始直後に排出した精白米を一時貯留する白米シュート18とを設けている。その他に機械室3内には石抜装置11で石抜処理された玄米からわら屑等の長尺異物を除去する異物除去装置14や精米装置5で精白処理されて発生した糠を吸引する糠吸引ファン15等を設けている。なお、本実施の形態の投入ホッパセンサ8と玄米タンク13の上限を検出する玄米タンクセンサ16と玄米タンク13の下限を検出する玄米タンク下限センサ17はともに静電容量式のセンサを利用している。
【0011】
20は還元通路でその一端を第一昇降機10に連結し他端は仕切壁1を通過して投入ホッパ4の上方に位置している。そして、切替弁21で第一昇降機10で搬送された玄米を石抜装置11側に供給するか、投入ホッパ4側に供給するかを切替できる構成としている。
【0012】
玄米タンク13には透視窓19が取り付けられており、利用者が操作室2側から玄米の有無を確認できる構成としている。
次に操作盤7について説明する。
【0013】
操作盤7には利用者が料金を投入する料金投入口22と、五分・八分・上白等の各種精白度を選択する複数の選択ボタン23を備えている。24は持ち帰りボタンで、このボタンを操作するとロータリバルブ9と第一昇降機10が駆動すると共に切替弁21が還元通路20側が開放するよう作動する構成である。25はコイン精米装置の使用法を利用者に知らせる音声出力口である。また、操作盤7内には図示しないがコイン精米装置の装置各部を駆動制御する制御部や料金投入口22投入したコインを受けるコインメック等を備えている。
【0014】
次に精米作業について説明する。
操作室2に入った利用者は持参した玄米を投入ホッパ4に投入する。そして、料金を料金投入口22に投入すると共に、選択ボタン23を押して精白度を選択すると機械室3の装置各部が駆動を開始する。投入ホッパ4内の玄米はロータリバルブ9で第一昇降機10に繰り出され、第一昇降機10で石抜装置11に供給される。石抜装置11で石抜き処理され、次いで異物除去装置14でわら屑等の長尺物が選別された玄米は第二昇降機12で玄米タンク13に搬送される。玄米下限センサ17が玄米を検出すると始めて投入料金の課金がなされ、玄米タンク13内に貯留された玄米は順次精米装置5に供給され精白処理がなされる。精米装置5から排出された精白米のうち精白開始直後の精白米は白米シュート18にチャージし、それ以降の精白米を白米タンク18に排出する。投入ホッパ4内の玄米が無くなったことを投入ホッパセンサ8が検出すると装置各部が終了動作に入り白米シュート18に貯留した白米を再度第二昇降機12を経由して玄米タンク13に供給し再度精米装置5で精白処理がなされて白米タンク6に排出される。
【0015】
次に料金不足で装置各部が途中で停止した場合について説明する。
料金に対応する運転時間を経過すると装置各部は停止する。そのとき、投入ホッパ4には玄米が残留すると共に玄米タンク13及び精米装置5内にも精白処理中の精白米が残留している状態である。このとき、装置各部が停止してから設定時間(例えば5分間)は持ち帰りボタン24を押してもロータリバルブ9と第一昇降機10と切替弁21は作動しない構成とし、その間、料金不足であり料金を追加する旨を音声出力口25から伝えるようにする。
【0016】
そして設定時間が経過すると持ち帰りボタン24が使用できる旨を音声で知らせ、利用者が持ち帰りボタン24を押すとロータリバルブ9と第一昇降機10が駆動を開始すると共に、切替弁21が切り替えられ投入ホッパ4内に残留した玄米はロータリバルブ9から第一昇降機10を経由して還元通路20を通過し、還元口20aから再度投入ホッパ4に供給される。このとき、利用者は投入ホッパ4上に袋等の容器を載置して還元口20aから排出される残留玄米を受けるようにする。一方、石抜装置11、異物除去装置14、第二昇降機12、精米装置5も設定時間駆動し、装置各部に残留している玄米を精白処理して白米タンク6に排出するものである。そのため、コイン精米装置内には残留玄米が無くなり、次にコイン精米装置を利用する利用者が持参した玄米と混じるトラブルを防止することができるものである。
【0017】
本実施の形態は持ち帰りボタン24を押すと装置各部が駆動して装置各部に残留する玄米を排出する構成であるが、利用者が操作室2にいるか否かを検出するセンサ(図示せず)を操作室2内に設け、利用者が建屋Aを出たことを検出してから自動に装置各部を駆動して残留玄米を排出するようにしても良い。
【0018】
本発明の料金不足で装置各部が途中で停止した場合の別実施例として、装置各部が停止したときに第一昇降機10、石抜装置11、異物除去装置14、第二昇降機12を所定時間駆動させ、玄米タンク13に残留穀粒を貯留してから停止するようにすることで、利用者が透視窓19を見て玄米タンク13に穀粒があることを認識することがしやくすなり、さらなる料金の追加を促すことができる。また、利用者が料金を追加した場合に、第一昇降機10、石抜装置11、異物除去装置14、第二昇降機12内に残留穀粒が無いため、過負荷になり難く、迅速で円滑な精米作業を再開することができる。また、その際に白米シュート18に残留する穀粒も玄米タンク13に還元する構成にしても良い。
【0019】
また、装置各部が料金不足で装置各部が途中で停止した場合に、その原因がコインメックの故障の時には装置各部を所定時間駆動して装置各部内の残留穀粒を白米タンク6に排出する構成にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】コイン精米装置の平面図
【図2】操作室側から見た正面図
【図3】側面から見た機械室内部を説明する図
【図4】正面から見た機械室内部を説明する図
【図5】コイン精米装置の工程図
【符号の説明】
【0021】
4 投入ホッパ
5 精米装置
6 白米タンク
7 操作盤
10 搬送装置
11 石抜装置
20 還元通路
21 切替装置
22 料金投入口
24 持ち帰りボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒を投入する投入ホッパ(4)と該投入ホッパ(4)に投入した穀粒を石抜処理する石抜装置(11)と該石抜処理した穀粒を精米処理する精米装置(5)と該精米装置(5)で精米処理され排出された精白米を受ける白米タンク(6)と前記投入ホッパ(4)内の穀粒を石抜装置(11)に搬送する搬送装置(10)と精白度を設定する操作盤(7)と料金を投入する料金投入口(22)と前記投入した料金に対応する時間前記石抜装置(11)や前記精米装置(5)や前記搬送装置(10)を駆動制御する制御部とを備え、前記搬送装置(10)と前記投入ホッパ(4)の上方とを還元通路(20)で連通する構成とすると共に、前記搬送装置(10)で搬送される穀粒を石抜装置(11)側か還元通路(20)側の何れかに供給するための切替装置(21)を設け、該切替装置(21)は切替スイッチ(24)で切替動作をする構成とするものであって、前記制御部が投入料金分に対応する時間を駆動制御させて停止した後に前記切替スイッチ(24)を操作すると、前記切替装置(21)が還元通路(20)側を開放するべく切替動作すると共に、前記搬送装置(10)と前記精米装置(5)とを駆動する構成としたことを特徴とするコイン精米装置。
【請求項2】
制御部が投入料金分に対応する時間を駆動制御させて停止してから設定時間内は前記切替スイッチ(24)を操作しても切替装置(21)及び搬送装置(10)及び精米装置(5)は動作しないよう制御する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコイン精米装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−117943(P2007−117943A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316497(P2005−316497)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】