説明

コケ植物のためのディスプレイマット

【課題】本発明は、コケ植物のディスプレイを目的として、コケ植物を立面上で長期間生かすための水分供給とコケ植物の定着を助けるための機能を有するディスプレイマットを提供する。
【解決手段】コケ植物を植え付ける基盤として保水剤を混入した繊維質のマットを使用する。外面から加湿(噴霧等)してマットを湿らせることで保水剤がコケ植物の定着を助ける。又ゆっくりはき出される水分によって長期間コケ植物を生かしたまま観賞できるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コケ植物の観賞を目的として立面上に植え付けて長期間生かすため水分を持続的に供給することができるディスプレイマットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、平面的な容器にコケ植物を植え付けて鑑賞しているが、立面的に鑑賞できる簡単な装置がない。空気中で水と光さえあればコケ植物は生存できることが知られているが、そうしたコケ植物の特徴を生かすことができる簡単な装置がない。
【0003】
枯れたミズゴケ等の基盤(数センチ厚)に植え付けて水を機械的に循環させる装置は存在するが室内で手軽に持ち運びできる簡易な装置ではない。又保水製品として生野菜等の輸送を目的とした梱包用保水シートは存在するが植物を生かしたまま観賞を目的として利用するものではない。その他コケ植物を用いた緑化用材料とその製造方法並びに緑化工法は存在するが室内で観賞を目的とするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−72185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
立面は水平面と違って水が直ぐに落ちてしまうので、コケ植物に持続して水を供給して長期間生かしておくことができない。又定着する(根づく)までにコケ類植物が落下してしまう。本発明は、以上の問題点を解決してコケ植物を長期間生かしたまま観賞に供することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コケ植物を植え付ける基盤として、内部と表面に保水剤を含んだ繊維質(紙又は布)のマットを使用する。このマットはコケ植物が根づくための厚さと柔らかさをもたせたものでコケ植物をその上にのせて加湿(噴霧等)すると高吸水性樹脂の保水剤がゲル状態(半固体)となり接着効果を発揮するので立てても立面的に付着したコケ植物が落ちてこない。
【0007】
保水剤に用いる粉末状の高吸水性樹脂は加湿するとゲル状態になり時間をかけて水分をゆっくり吐き出す。この保水機能によって持続的に水分を供給できるので水やりの手間を最小限度に減らしてコケ植物を長期間生かすことができる。
【発明の効果】
【0008】
繊維素材(紙又は布)に保水剤を混入することで直ぐに乾燥することなく徐々に水を吐き出して長期間持続的にコケ植物に水分を供給するマットができる。又保水剤は湿潤状態ではゲル状態になるので接着効果を発揮してコケ植物のマットへの定着を助ける。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の断面図
【図2】本発明のA部拡大断面図
【図3】本発明のB部詳細図
【図4】本発明の使用4例の断面図
【図5】本発明の図4使用例1の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
ディスプレイマットはやわらかさをもった繊維素材(紙又は布)で内部と表面に保水剤を混入した人工コケ植物植え付け基盤である。マットは背面に不透水性の台紙と一体で成形(のり付け)して乾燥状態で使用する。
【0011】
保水剤は高吸水性樹脂の粉末状のものであるが、マットに均等に含ませる方法としては、薄い繊維素材(紙又は布)に均一に撒布することを繰り返して多層化した上で一旦加湿(噴霧等)後乾燥させる方法や保水剤と水を混ぜ合せてその中にマット素材を浸して保水剤を取り込んで乾燥させる方法等がある。乾燥させると保水剤がマット素材に固着する。尚ディスプレイマットはコケ植物を付着させるために表面にも保水剤を固着させたものである。
【0012】
ディスプレイマットの厚さを特定する必要はないが、通常は2ミリから3ミリ程度とする。又サイズも特定する必要はないが、テーブルの上に飾る場合はB5版程度が適当である。
【0013】
ディスプレイマットにコケ植物を定着させる方法はマットを上向きにして、その上にコケ類植物をのせて加湿(噴霧等)する。表面の保水剤がゲル状態に変化するので保水剤は接着効果を発揮してコケ植物を付着させる。マットを立てた場合にコケ植物の仮根がマット内部に根づくまでの飛散防止となる。
【0014】
長期間の観賞用としては定期的に水やり(噴霧等)を行う必要があるが、内部の保水剤から徐々に水が吐き出されてコケ植物に水を供給するので、水やりとしては数日間隔で僅かな加湿(噴霧等)を行うだけでコケ植物は生き続けることができる。
【0015】
観賞用にはディスプレイマットを立てて観賞することが多いので下端部には水やり(噴霧等)したときに多過ぎた水が下に落ちないように水受け(水溜)を設置する。
【0016】
観賞用に供する方法としては図4に示す通り使用例(1)として枠体にはめ込む方法、使用例(2)として枠体に貼付ける方法、使用例(3)として枠体に挟んでのせる方法、使用例(4)として枠体と共にひも等で吊るす方法がある。ディスプレイマットは枠体に接着材又は両面テープで固定する。
【0017】
植え付けるものはコケ植物にこだわることはなく小さい低背植物や図5のようにアクセント的に木皮、枯れ葉、砂、樹脂製等の装飾部品を取り付けて(接着又はピンで固定)デザイン性を高めることができる。
【0018】
枠体としては前記のように使用例(1)の額縁状のもの、使用例(2)の台座状で平板的なもの、使用例(3)の写真立てのようなスタンド的なもの、使用例(4)の単に背板だけのものがある。又台紙に薄い金属板(又はプラスチック板等)を使用すれば枠体を兼用できる。
本発明は、以上の内容で構成する。
【符号の説明】
【00019】
1 育成マット
2 水受け
3 保水剤
4 コケ植物
5 台紙
6 枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コケ植物を植え付けるために繊維素材(紙又は布)の内部及び表面に保水剤を混入し固着させた基盤で、加湿すると保水剤がゲル状態になって保水効果と接着効果を発揮するディスプレイマット。
【請求項2】
加湿(噴霧等)した水が多すぎた場合に水が垂れ落ちないように下端部に水受けを設置した請求項1記載のディスプレイマット。
【請求項3】
保水剤が固着した請求項1記載のディスプレイマットの上に、コケ植物をのせて加湿(噴霧等)し保水剤の接着力を利用してコケ植物を植え付ける方法。
【請求項4】
コケ植物だけではなく小さい低背植物や観賞用としてアクセント的に木皮、枯れ葉、軽砂、樹脂製の装飾部品を取り付けて(接着又はピンで固定)デザイン性を高めることができる請求項1記載のディスプレイマット。
【請求項5】
請求項1及び2記載のディスプレイマットと枠体を利用してその中にはめ込む、貼りつける、挟んでのせる、背面を補強して吊るす等鑑賞用として一体化したユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−59310(P2013−59310A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219598(P2011−219598)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(511239683)
【Fターム(参考)】