説明

コップ収納用トレー

【課題】 大径サイズのコップも確実に収納保持し得るコップ収納用トレーを提供すること。
【解決手段】 パルプモウルド製のコップ収納用トレーにおいて、コップ収納用凹部(5)内に大径のコップ(20)を収納した状態において、上記凹部(5)の各スリット(9,9,9)の左右周壁(4a,4a)が、対応する上記コップ(20)の3箇所の低部外周面(20b,20b,20b)に弾性的に当接すると共に、上記凹部(5)の各開口部(8,8,8)の左右縁部近傍の3箇所の左右下部周壁(4c,4c)が、対応する上記コップ(20)の3箇所の下端外周面(20c,20c,20c)に当接することにより、上記コップ(20)を確実に保持するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば持ち帰り用の袋或いは折り畳み可能な手提げ箱内等の底部に設置され、1つのコップ収納用凹部において、大きさの異なる紙コップ等を確実に収納保持することができるコップ収納用トレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファーストフード店等において、飲料物を購入して持ち帰るとき、持ち帰り用の紙袋内の底部にトレーを設置し、当該トレーに飲料物の紙コップを収納保持することが行われている。
【0003】
上記従来のトレーとしては、特許文献1,2に示すように、パルプモウルド製のトレーであって、2個又は4個の隣接するコップ収納用凹部を有するものが提案されている。
【0004】
このトレーは、上記コップ収納用凹部に紙コップを収納すると、凹部の内周面が紙コップの外周に接触することにより、当該凹部内に紙コップを保持するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−106935号
【特許文献2】特開平11−227736号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1,2のトレーでは、凹部の内周面が紙コップの外周面に接触することでコップを収納保持するだけであったため、容量の大きなコップを安定して確実に保持することが困難であった。
【0007】
また、一種類の大きさの紙コップを収納することを前提としてつくられているため、大きさの異なる紙コップを1つの収納部に確実に安定して収納保持することが困難であった。
【0008】
そこで、各種ジュース等の飲み物の紙コップは大と小が存在するので、容量の大きな大サイズのコップを安定して収納保持することができること、及び、1つの収納部において、サイズの大きなコップもサイズの小さいコップも同様に確実に収納保持できるコップ収納用トレーが望まれている。
【0009】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、容量の大きなコップであっても安定して収納保持でき、複数のサイズのコップも1つの凹部にて確実に収納保持することができるコップ収納用トレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、底面(2)から上面開口(3)に向って起立する周壁(4)を有するコップ収納用凹部(5)を具備するパルプモウルド製のコップ収納用トレーにおいて、上記コップ収納用凹部(5)の上記上面開口(3)の縁にU字状縁部(5’)を設け、該U字状縁部(5’)の一対の端部(5a,5a)側の上記コップ収納用凹部(5)の外側に、上記底面(2)と略同一深さの一対の脚部(12,12)を形成し、これら一対の脚部(12,12)と上記底面(2)により当該コップ収納用トレーを自立可能に構成し、上記コップ収納用凹部(5)内の周壁(4)には、該凹部(5)の中心方向に突出する3箇所の凸面部(6,6,6)を互いに120度の間隔を置いて突設し、上記各凸面部(6,6,6)の上記底面近傍の周壁(4)から上記底面(2)にかけて略方形の開口部(8,8,8)を各々設けると共に、これらの開口部(8,8,8)の上縁から上記各凸面部(6,6,6)の中心部を上方に開口してスリット(9,9,9)を形成し、上記各スリット(9,9,9)の3箇所の左右周壁(4a,4a)を拡径方向に弾性変形可能に形成し、上記コップ収納用凹部(5)内にコップ(20)を収納した状態において、上記各スリット(9,9,9)の上記各左右周壁(4a,4a)が、対応する上記コップ(20)の3箇所の低部外周面(20b,20b,20b)に弾性的に当接して上記コップ(20)を保持すると共に、上記各開口部(8,8,8)の左右縁部近傍の3箇所の左右下部周壁(4c,4c)が、対応する上記コップ(20)の3箇所の下端外周面(20c,20c,20c)に当接することにより、上記コップ(20)を保持するものであることを特徴とするコップ収納用トレーにより構成される。
【0011】
上記各スリット(9,9,9)の3箇所の左右周壁(4a,4a)とは、上記1つのスリット(9)に対応する一対の左右周壁(4a,4a)を1単位としたとき、左右周壁(4a,4a)の各スリット(9,9,9)に対応する3箇所の左右周壁(4a,4a)をいう。上記各開口部(8,8,8)の左右縁部近傍の3箇所の左右下部周壁(4c,4c)とは、上記1つの開口部(8)の左右縁部近傍の一対の左右下部周壁(4c,4c)を1単位としたとき、左右下部周壁(4c,4c)の各開口部(8,8,8)に対応する3箇所の左右下部周壁(4c,4c)をいう。このように構成すると、コップ(20)は、その3箇所の低部外周面(20b,20b,20b)にコップ収納凹部(5)の左右周壁(4a,4a)が弾性的に当接するだけではなく、その3箇所の下端外周面(20c,20c,20c)に左右下部周壁(4c,4c)が当接するため、容量の大きい大サイズのコップ(20)を確実に収納保持することができる。
【0012】
第2に、上記第1記載のコップ収納用トレーにおいて、上記コップ収納用凹部(5)内に請求項1の上記コップ(20)より小径のコップ(21)を収納した状態において、上記周壁(4)における3箇所の上記開口部(8,8,8)の上記左右縁部近傍の3箇所の上記各左右下部周壁(4c,4c)は、対応する上記小径のコップ(21)の下端外周面(21c,21c,21c)に当接せず、上記各スリット(9,9,9)の3箇所の左右周壁(4a,4a)のみが、対応する上記小径のコップ(21)の3箇所の低部外周面(21b,21b,21b)に弾性的に当接することにより、上記小径のコップ(21)を保持するものであることを特徴とするコップ収納用トレーにより構成される。
【0013】
このように構成すると、小径のコップ(21)であっても、小径のコップ(21)は、その3箇所の低部外周面(21b,21b,21b)にコップ収納凹部(5)の左右周壁(4a,4a)が弾性的に確実に当接するので、小径のコップ(21)を確実に収納保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように、大径のコップの場合は、その低部外周面の3箇所に左右周壁が各々弾性的に当接するだけでなく、下端外周面の3箇所に左右下部周壁が各々当接するので、容量が大きいサイズのコップであっても、コップ収納用凹部に安定して確実に収納保持することができる。
【0015】
また、小径のコップを収納した場合は、その低部外周面の3箇所に左右周壁が各々弾性的に当接するので、同一のコップ収納用凹部において、大径のコップを確実に収納保持できると共に、小径のコップであっても確実に収納保持することができ、サイズの異なるコップを確実に収納保持できるコップ収納トレーを実現したものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るコップ収納用トレーの斜視図である。
【図2】同上トレーの側面図である。
【図3】同上トレーの正面図である。
【図4】コップ収納用凹部が1つの同上トレーの平面図である。
【図5】コップ収納用凹部が1つの同上トレーの斜視図である。
【図6】コップ収納用凹部に大径のコップを収納した場合の上記凹部の開口部の縦断面図である。
【図7】コップ収納用凹部に小径のコップを収納した場合の上記凹部の開口部の縦断面図である。
【図8】コップ収納用凹部に大径のコップを収納した場合の上記凹部内の凸面部近傍の斜視図である。
【図9】コップ収納用凹部に小径のコップを収納した場合の上記凹部内の凸面部近傍の斜視図である。
【図10】コップ収納用凹部に大径のコップを収納した場合の同上トレーの平面図である。
【図11】コップ収納用凹部に小径のコップを収納した場合の同上トレーの平面図である。
【図12】コップ収納用凹部に大径又は小径のコップを収納した場合の同上トレーの斜視図である。
【図13】同上トレーのミシン目の拡大図である。
【図14】(a)は大径のコップの斜視図、(b)は小径のコップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るパルプモウルド製のコップ収納用トレー1を詳細に説明する。
【0018】
図1〜図3に示すように、コップ収納用トレー1は、パルプモウルド成形により一体に形成されたものであり、底面2から上面開口3に向って起立する略筒状の周壁4を有するコップ収納用凹部5が形成されている。
【0019】
図1〜図3には同一構成のコップ収納用凹部5が左右に2個並設された2穴のコップ収納用トレー1を示し、図4、図5には上記2穴のコップ収納トレー1を中央のミシン目16から左右に分割した後の1穴のコップ収納トレー1を示す。
図1中の左右一対のコップ収納用凹部5は、左右対称の同一構成を有するものであり、一対のコップ収納用凹部5が各々脚部12,12を対向させた状態でミシン目16(図13参照)を介して一体に成形されている。従って、上記コップ収納用トレー1は、上記ミシン目16を境に2個のコップ収納トレーに分割可能である。
【0020】
また、以下の説明において、図1に示すように矢印A方向を「左右方向」、矢印A方向に直交する方向(矢印B方向)を「前後方向」という。
【0021】
まず、1つの上記コップ収納用凹部5について説明すると、底面2から上面開口3に向って徐々に広がるように起立するテーパー状の周壁4により形成されたコップ収納用凹部5を具備するパルプモウルド製のコップ収納用トレーであって、上記コップ収納用凹部5の上面開口3の上縁にU字状縁部5’を設け、該U字状縁部5’の一対の端部5a,5a側の上記コップ収納用凹部5の外側に、上記底面2と略同一深さの一対の脚部12,12が形成されており、これら一対の脚部12,12と上記底面2により当該トレー1は自立可能に構成されている。
【0022】
上記脚部12,12は、図1、図2、図5に示すように、上記U字状縁部5’の一対の端部5a,5a部分より下方向けて、その底部12a,12aが上記底面2と同一深さとなるように形成されており、これら一対の脚部12,12の間は、各脚部12の対向面側に設けられた高位部13,13と、高位部13,13間の低位部14と、上記高位部13と上記低位部14とを結ぶテーパー部15,15により前後方向に連結されている。尚、上記高位部13と低位部14の内面側(コップ収納用凹部5側)は上記コップ収納用凹部5の周壁4を構成している。尚、上記低位部14を設けるのは、上記脚部12,12間のトレー1の補強のためであり、上記コップ収納用凹部5にコップを収納した状態において、確実にコップを自立支持するためである。
【0023】
上記コップ収納用凹部5には、該凹部5の中心方向に突出する3箇所の凸面部6,6,6が形成されている(図4参照)。これら凸面部6,6,6は、上記U字状縁部5’の連続縁中央部5b側の周壁と、上記各脚部12,12近傍の周壁に、互いに120度の間隔を置いて突出形成されている。そして、上記各凸面部6,6,6の底面近傍の周壁には、略方形(略四角形)の開口部8,8,8が各々設けられており、これらの開口部8,8,8の上縁の中央部分には、各中央部分から各凸面部6,6,6の中心部を上方に開口することでスリット9,9,9が各々形成されており、各スリット9,9,9の各々の左右周壁4a,4aが拡径方向(矢印C方向)に弾性変形可能に形成されている。即ち、上記スリット9,9,9の各左右周壁4a,4aは、周壁4を形成するパルプモウルドの弾性により、当該凹部5の外側方向(矢印C方向)に弾性変形し得るように構成している。
【0024】
上記各凸面部6,6,6の凹部中心方向に最も突出した突出頂部は、上記スリット9,9,9の下端部9’,9’,9’近傍であるが(図4参照)、この下端部9’,9’,9’近傍の内接円S1(図11の二点鎖線の内接円S1)の直径より大きな直径を有するコップを収納すると、上記各スリット9,9,9の各左右周壁4a,4aがコップ外周面により拡径方向(矢印C方向)に押し広げられ、上記コップは上記左右周壁4a,4aによって弾性的に保持されるように構成されている(図6、図7参照)。即ち、上記凸面部6,6,6の上記下端部9’,9’,9’に内接する凸面部内接円S1の直径は、当該コップ収納用凹部5に収納されるコップの上記内接円S1に対応する外周面の直径より小さくなるように構成されている。このように構成すると、上記コップを上記コップ収納用凹部5に収納すると、上記左右周壁4a,4aが上記コップの外周面に弾性的に当接し、コップを確実に保持することができる。
【0025】
さらに、図1、図5に示すように、上記各開口部8の上縁には、上記コップ収納用凹部5に収納されるコップの外周面に対向する薄肉保持面8aが各々形成されている。この薄肉保持面8aは、図6,7に示すように、その保持面8aが、末広がりテーパー状の周壁4に対して略鉛直面を形成しており、コップ(例えば大サイズのコップ(大径のコップ)20)を収納したとき、コップ20の外周面に当接して(図6参照)、コップ20を確実に保持するものである。
【0026】
この薄肉保持面8aは上記開口部8の上部コーナー部8b,8bを補強する機能をも有している。即ち、上記開口部8の上縁に沿って上記薄肉保持面8aが形成されているため、上記コーナー部8b,8b部分が補強され、当該コーナー部分8b,8bからの亀裂の発生等を効果的に防止することができる(図1参照)。
【0027】
さらに、上記U字状縁部5’の連続縁中央部5b側に位置する上記スリット9は(以下、この位置のスリットを符号「9a」で示す)、他の2箇所のスリット9,9よりその長さが短く形成され、該スリット9a上端と上記コップ収納用凹部5の上面開口3までの周壁に補強用周壁4bが形成されている(図1、図2、図4参照)。
【0028】
上記コップ収納用凹部5において、上記U字状縁部5’の上記連続縁中央部5b近傍の部分5”(図1、図2、図4参照)は、上記高位部13,13の近傍の周壁4に比較して強度が弱いため、この部分に上面開口3の近接位置まで上下方向に長いスリット9が形成されると、当該スリット9上端部分から上面開口3方向に上記周壁4が断裂してしまうおそれがある。
【0029】
そこで、上記U字状縁部5’の上記連続縁中央部5b側の上記スリット9aは、その高さを他のスリット9,9より低く形成し、当該スリット9aの上端と上記コップ収納用凹部5の上面開口3までの周壁に補強用周壁4bを形成しているものである。このように構成すると、上記スリット9aの上端から上面開口5までに補強用周壁4bが形成されているので、上記スリット9aから上方に向けて上記周壁4が断裂することを防止することができる。また、上記スリット9aを短く構成することにより、当該スリット9aの両側の左右周壁4a,4aの弾性強度を大きくすることができ、より確実にコップを収納保持することができる。
【0030】
さらに、上記各スリット9には図1、図5等に示すように、その上端部近傍部分に上記スリット9の空間を薄い肉厚で閉鎖する薄肉部9bが形成されている。従って上記各スリット9はその上端部分が上記薄肉部9b,9bで補強された状態となり、上記各スリット9の上端部分から亀裂の発生等を効果的に防止することができ、コップ収納用トレー1全体の強度を高めることができる。
【0031】
上記3箇所の凸面部6,6,6の下端に対応する上記底面2上には、各々3箇所の円弧状の低凸部22,22,22が形成されている(図4参照)。この低凸部22,22,22の上面は上記底面2の位置より若干高い位置にあり(図1参照)、上記凹部5内に収納したコップ20,21の底部20a,21aが接触するものである。また、この低凸部22,22,22の周壁4側の縁部22a,22a,22aは、上記テーパー状に立ち上がる上記周壁4と水平面をなす底面2との境界線を形成している(図1参照)。これらの低凸部22,22,22は上記コップ収納用凹部5を補強する機能を有すると共に、当該コップ収容用トレー1を抄造する際、乾燥時の歪みの発生を抑制し、凹部5の変形を防止する機能を有している。
【0032】
図1〜図3に示す2穴のコップ収納用トレー1は、互いの一対の脚部12,12同士が各々連結されるように、これら脚部12,12同士を対向接続させた状態で、左右方向に一体に形成し、その状態において、上記トレーを一体に連結する左右連結部11に、上記両トレーを左右に直線的に2分割し得るミシン目16を、上記左右方向に直交する前後方向(矢印B方向)に形成したものである。尚、ミシン目16は、図13に示すように、接続部16aと開口部16bが交互に繰り返し形成されることにより構成されており、当該ミシン目16に沿ってコップ収納用トレー1を2分割し得るものである。
【0033】
より具体的には、2つのコップ収納用トレー1は、図1に示すコップ収納用凹部5が1つのコップ収納用トレー1の上記脚部12,12同士と、高位部13,13同士と、低位部14,14同士と、テーパー部15,15同士を、互いに向き合わせて連結することにより、2個のコップ収納用凹部5,5が左右方向に連設された状態で形成されたものである。実際には、図1に示す2個のコップ収納用凹部5,5を有するコップ収納用トレー1がパルプモウルドによって一体的に抄造される。尚、上記コップ収納用トレー1において、上記脚部12、高位部13、低位部14、テーパー部15によって形成される上記左右のコップ収納用凹部5,5を連結する前後方向の帯状部分を左右連結部11という。
【0034】
このコップ収納用トレー1は、図1に示すように、全体形状としては、一方(左)のコップ収納用凹部5の上縁を形成するU字状縁部5’と、他方(右)のコップ収納用凹部5の上縁を形成するU字状縁部5’とが、互いにそのU字状縁部5’の端部5a,5aを内側に向けた状態で一体に成形されており、各端部5a,5a間のトレー前後外周部に、両トレーの脚部12,12が各々一体化された状態で形成されている。そして、当該トレー1は上記底面2と上記脚部12,12の底部12a,12aにより安定して水平に載置し得るように構成されている。
【0035】
そして、上記左右連結部11の中央部分に、上記コップ収納用凹部5の連設方向(矢印A方向)に直交する前後方向(矢印B方向)の直線状のミシン目16を、該ミシン目16にて上記左右連結部11を左右に均等に2分割可能に設け、上記ミシン目16により上記左右連結部11を左右に均等に2分割した状態で、上記2個のコップ収納用凹部5,5を各別に分離し得るように構成したものである。よって、上記ミシン目16により2分割すると、上記脚部12,12、高位部13,13、テーパー部15,15、低位部14,14が左右方向に均等に2分割され、図4、図5に示すコップ収納用トレー1を2個形成することができる。
【0036】
そして、2分割した各コップ収納用トレー1,1は、図4、図5に示す上記コップ収納用凹部5の底面2と上記2分割された前後一対の脚部12,12により水平に自立可能となるように構成されている。
【0037】
次に、図1〜図3に示すコップ収容用トレー1にコップを収納する機能について説明する。まず、直径が大サイズのコップ20を収納する場合は、図6に示すように、コップ収納用凹部5に上記コップ20をその底部20aから挿入し、該底部20aが上記コップ収納用凹部5の底面2の低凸部22に接触するまで該凹部5内に押し込めば良い。
【0038】
尚、大サイズのコップ20をコップ収納用凹部5に収納した状態における上記凹部5とコップ20との関係を図6、図8に、小サイズのコップ21をコップ収納用凹部5に収納した状態における上記凹部5とコップ21との関係を図7、図9に示す。ここで、図8、図9はコップ20,21を収納した状態の上記凹部5を内側から見た斜視図であり、これらの図(図8、図9)において、コップ20,21の部分を示す符号は、コップ収納用凹部5の部分の符号と区別するために括弧内に記載している。また、図6、図7において、コップを収納する前のコップ収納用凹部5を二点鎖線で、コップを収納した後のコップ収納凹部5を実線にて示す。
【0039】
上記大サイズのコップ20を上記凹部5内に押し込むと(図6参照)、コップ20の外周面は上方に向けてテーパー状に拡径しているので、押し込む途中において、コップ20の低部外周面20b(図6、図14(a)参照、図8では符号20bの二点鎖線の円の近傍の面参照)が、コップ収納用凹部5の3個の凸面部6,6,6の最も突出した部分であるスリット9,9,9の下端部9’,9’,9’に当接し、上記スリット9,9,9の各左右周壁4a,4aが拡径方向(矢印C方向)に弾性変形することで、当該コップ収納用凹部5の内径が拡大し(図6、図10参照、図10において拡径前の左右周壁4a,4aを二点鎖線で、拡径後の左右周壁4a,4aを実線で示している)、上記コップ20の上記低部外周面20bに各凸面部6の上記左右周壁4a,4aが強く当接する(図8にコップ20の低部外周面20bと左右周壁4a,4aとの当接部を左右周壁4a,4a上にハッチングにて示す)。
【0040】
そして、上記コップ20の底部20aが上記低凸部22に当接するまで押し込む。かかる状態においては、上記各スリット9,9,9の左右周壁4a,4aが上記コップ20の3箇所の上記低部外周面20b,20b,20bに弾性的に当接しているので、コップ20を確実に収納保持することができる。このとき、3個の開口部8,8,8の薄肉保持面8a,8a,8aが互いに120度の間隔を置いて上記コップ20の上記低部外周面20b,20b,20bに接触するので、上記コップ20を確実に保持することができる(図8に上記開口部8の薄肉保持面8aとコップ20の底部外周面20bとの当接部を薄肉保持面8a上にハッチングにて示す)。
【0041】
また、この大サイズのコップ20は、コップ20を上記コップ収納用凹部5の底面2の低凸部22まで押し込んだとき、図8に示すように、上記開口部8の左右縁部近傍の左右下部周壁4c,4cに、上記コップ20の下端外周面20c(図14(a)参照)及び底部外周円20a’が当接する(図8に上記凸面部6の左右下部周壁4c,4cとコップ20の下端外周面20cとの当接部を上記左右下部周壁4c,4c上にハッチングにて示す)。よって、上記大サイズのコップ20は、上記凸部6,6,6に対応する低部外周面20bの3箇所においては、上記左右周壁4a,4aが弾性的に当接し、当該左右周壁4a,4a及び薄肉保持面8a,8aの弾性復帰力(反矢印C方向)によって確実に保持されると共に、上記開口部8,8,8に対応する上記下端外周面20c及び底部外周円20a’の3箇所において、各々の左右下部周壁4c,4cに当接することで、大サイズのコップ20は安定してコップ収納用凹部5内に収納保持される。
【0042】
よって、大サイズのコップ20は、1つの上記開口部8の近傍において、上記左右周壁4a,4a、薄肉保持面8a,8aだけではなく、下端外周面20c及び底部外周円20a’の3箇所が、左右下部周壁4c,4cによって確実に支持されるため、容量の大きい大サイズのコップ20であっても倒れることなく、確実に保持することができる。
【0043】
次に、直径が小サイズのコップ(小径のコップ)21を収納する場合は、図7に示すように、コップ収納用凹部5に上記コップ21をその底部21aから挿入し、該底部21aが上記コップ収納用凹部5の底面2の低凸部22に接触するまで該凹部5内に押し込めば良い。
【0044】
上記小サイズのコップ21を上記凹部5内に押し込むと(図7参照)、該コップ21の外周面は上方に向けてテーパー状に拡径しているので、押し込む途中において、コップ21の低部外周面21b(図7、図14(b)参照、図9では符号21bの二点鎖線の円の近傍の面参照)が、コップ収納用凹部5の3個の凸面部6,6,6の最も突出した部分であるスリット9,9,9の下端部9’,9’,9’に当接し、上記スリット9,9,9の各左右周壁4a,4aが拡径方向(矢印C方向)に弾性変形することで、当該コップ収納用凹部5の内径が拡大し(図7、図11参照)、上記コップ21の上記底部外周面21bに各凸面部6の上記左右周壁4a,4aが強く当接する(図9にコップ21の低部外周面21bと左右周壁4a,4aとの当接部を左右周壁4a,4a上にハッチングにて示す)。
【0045】
そして、上記コップ21の底部21aが上記低凸部22に当接するまで押し込む。かかる状態においては、上記各スリット9,9,9の左右周壁4a,4aが上記コップ21の上記低部外周面21bの3箇所に弾性的に当接しているので、コップ21を確実に収納保持することができる。このとき、3個の開口部8,8,8の薄肉保持面8a,8a,8aが互いに120度の間隔を置いて上記コップ21の低部外周面21bの3箇所に接触するので、上記コップ21を確実に保持することができる(図9に上記開口部8の薄肉保持面8aとコップ21の底部外周面21bとの当接部を薄肉保持面8a上にハッチングにて示す)。
【0046】
また、この小サイズのコップ21は、底部外周円21a’の直径が上記大サイズのコップ20の底部外周円20a’より小さいので、コップ21を上記コップ収納用凹部5の底面2の低凸部22まで押し込んだとき、図9に示すように、その下端外周面21c(図14(b))は上記開口部8の左右縁部近傍の左右下部周壁4c,4cに当接しない(図9におけるコップ21の底部外周円21a’と上記左右下部周壁4cとの間隙K参照)。しかしながら、上記コップ21の低部外周面21bには、上述のように、上記凸部6,6,6に対応する3箇所において、上記左右周壁4a,4a及び薄肉保持面8a,8aが弾性的に当接し、当該左右周壁4a,4a、薄肉保持面8a,8aの弾性復帰力(反矢印C方向)によって確実に保持されるので、小サイズのコップ21であっても確実に収納保持することができる。
【0047】
尚、小サイズのコップ21は、大サイズのコップ20より容量が少ないので、上記左右下部周壁4c,4cによる支持がなくても、上記左右周壁4a,4a及び上記薄肉保持面8a,8aの保持により確実にコップ21を保持することができる。
【0048】
本発明は上述のように、大径のコップ20の場合は、その低部外周面20bの3箇所に左右周壁4a,4a、薄肉保持面8a,8aが弾性的に当接するだけでなく、下端外周面20cの3箇所に左右下部周壁4c,4cが当接するので、容量が大きいサイズのコップ20であっても、コップ収納用凹部5に安定して確実に収納保持することができる。
【0049】
また、小径のコップ21を収納した場合は、その低部外周面21bの3箇所に左右周壁4a,4a、薄肉保持面8a,8aが弾性的に当接するので、同一のコップ収納用凹部5において、大径のコップ20を確実に収納保持できると共に、小径のコップ21であっても確実に収納保持することができ、サイズの異なるコップを確実に収納保持できるコップ収納トレーを実現したものである。
【0050】
また、大径のコップ20も小径のコップ21も、何れも左右周壁4a,4a、薄肉保持面8a,8aが弾性的に当接することは同様であり、大径のコップ20の場合のみ、左右下部周壁4c,4cがコップ20の外周に当接して凹部5内における支持を確実なものにするため、コップをコップ収納用凹部5内に挿入する場合の抵抗感(左右周壁4a,4aから受ける弾性力に基づく抵抗感)は、大径のコップ20の方が小径のコップ21より多少大きいものの、何れのコップ20,21も円滑にコップ収納用凹部5内に挿入することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のコップ収納用トレーは、例えばファーストフード店においてコーヒー等の飲み物を入れた紙コップを収納保持するコップ収納用トレーとして幅広く利用が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 コップ収納用トレー
2 底面
3 上面開口
4 周壁
4a,4a 左右周壁
4c,4c 左右下部周壁
5 コップ収納用凹部
5’ U字状縁部
5a 端部
6 凸面部
8 開口部
9 スリット
12 脚部
20 大径のコップ
20b 低部外周面
20c 下端外周面
21 小径のコップ
21b 低部外周面
21c 下端外周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面(2)から上面開口(3)に向って起立する周壁(4)を有するコップ収納用凹部(5)を具備するパルプモウルド製のコップ収納用トレーにおいて、
上記コップ収納用凹部(5)の上記上面開口(3)の縁にU字状縁部(5’)を設け、該U字状縁部(5’)の一対の端部(5a,5a)側の上記コップ収納用凹部(5)の外側に、上記底面(2)と略同一深さの一対の脚部(12,12)を形成し、これら一対の脚部(12,12)と上記底面(2)により当該コップ収納用トレーを自立可能に構成し、
上記コップ収納用凹部(5)内の周壁(4)には、該凹部(5)の中心方向に突出する3箇所の凸面部(6,6,6)を互いに120度の間隔を置いて突設し、
上記各凸面部(6,6,6)の上記底面近傍の周壁(4)から上記底面(2)にかけて略方形の開口部(8,8,8)を各々設けると共に、これらの開口部(8,8,8)の上縁から上記各凸面部(6,6,6)の中心部を上方に開口してスリット(9,9,9)を形成し、上記各スリット(9,9,9)の3箇所の左右周壁(4a,4a)を拡径方向に弾性変形可能に形成し、
上記コップ収納用凹部(5)内にコップ(20)を収納した状態において、上記各スリット(9,9,9)の上記各左右周壁(4a,4a)が、対応する上記コップ(20)の3箇所の低部外周面(20b,20b,20b)に弾性的に当接して上記コップ(20)を保持すると共に、
上記各開口部(8,8,8)の左右縁部近傍の3箇所の左右下部周壁(4c,4c)が、対応する上記コップ(20)の3箇所の下端外周面(20c,20c,20c)に当接することにより、上記コップ(20)を保持するものであることを特徴とするコップ収納用トレー。
【請求項2】
請求項1記載のコップ収納用トレーにおいて、
上記コップ収納用凹部(5)内に請求項1の上記コップ(20)より小径のコップ(21)を収納した状態において、上記周壁(4)における3箇所の上記開口部(8,8,8)の上記左右縁部近傍の3箇所の上記各左右下部周壁(4c,4c)は、対応する上記小径のコップ(21)の下端外周面(21c,21c,21c)に当接せず、
上記各スリット(9,9,9)の3箇所の左右周壁(4a,4a)のみが、対応する上記小径のコップ(21)の3箇所の低部外周面(21b,21b、21b)に弾性的に当接することにより、上記小径のコップ(21)を保持するものであることを特徴とするコップ収納用トレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−96806(P2012−96806A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243577(P2010−243577)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000206392)大石産業株式会社 (34)
【Fターム(参考)】