説明

コネクタおよびプラグコネクタ

【課題】異なるケーブルコネクタに対応するためにプリント基板上のSFPトランシーバを差し替える必要がないコネクタを提供することである。
【解決手段】本発明に係るコネクタは、プラグコネクタ104とレセプタクル103とを備え、プラグコネクタ104は、SFPトランシーバ105とケーブルコネクタ106とを備え、レセプタクル103は、プリント基板101の端部付近に実装されるSFP電気コネクタ102を備え、SFPトランシーバ105は、複数種類の形状の何れかに対応する個別コネクタ152を一端に、共通の形状をもつ共通コネクタ153を他端に備え、個別コネクタ152は対応するケーブルコネクタ106と接続し、共通コネクタ153はSFP電気コネクタ102と接続することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にコネクタおよびプラグコネクタに関し、特にSFPトランシーバを備えるコネクタおよびプラグコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基地局等と外部回線網等との間の通信には、光ケーブルを用いた通信が広く採用されている。基地局等は、光ケーブルを用いた通信において光/電気変換をするために、また、各種ケーブルコネクタに対応するために、SFP(Small Form Factor Pluggable)トランシーバを装置内で用いている。
【0003】
図6(a)および(b)に、従来技術において、SFPトランシーバ205が装置内のプリント基板201に実装される様子を示す。
【0004】
図6(a)は、SFPトランシーバ205をプリント基板に実装する前の様子を示す。
SFPトランシーバ205は、個別コネクタ252および共通コネクタ253を備える。各種ケーブルコネクタに対応するため、個別コネクタ252はケーブルコネクタに対応する形状となる。共通コネクタ253は、ケーブルコネクタの形状に関らず共通の形状である。ケーブルコネクタには、LC型、SC型およびRJ45型などの種類がある。光ケーブルを交換する際は、その光ケーブルのケーブルコネクタに対応する個別コネクタ252を有するSFPトランシーバ205が選択されてプリント基板201に実装される。
【0005】
また、図6(a)に示すように、プリント基板201上には、SFP電気コネクタ202が実装される。SFP電気コネクタ202は、各種SFPトランシーバ205に対して共通の形状であり、SFPトランシーバ205の共通コネクタ253が差し込まれて導通する。SFP電気コネクタ202は、SFPトランシーバ実装用領域220の長さ分だけプリント基板端から内側に実装される。
【0006】
図6(a)に示すように、SFPトランシーバ205は、装置外部コネクタ210のフランジ261を通して差し込まれ、プリント基板上のSFP電気コネクタ202と接続する。図6(b)は、SFPトランシーバ205が、実際に、プリント基板上に実装されている様子を示す。
【0007】
図7に、従来技術のコネクタを示す。ここで、用語「コネクタ」は、レセプタクルとプラグコネクタとを組み合わせたものを表す用語として使用する。また、従来技術においては、用語「レセプタクル」は、装置外部コネクタ210とSFPトランシーバ205とSFP電気コネクタ202とを組み合わせたものを表す用語として使用する。ただし、図7は、装置外部コネクタ210とSFPトランシーバ205の個別コネクタ252のみを図示している。コネクタは、プラグコネクタ204をレセプタクル203に嵌め込むことで、プラグコネクタ204とレセプタクル203とが接続される。
【0008】
図8は、従来技術のコネクタを、プラグコネクタ204を断面図として示した図であり、一例として、ケーブルコネクタ206がLC型の場合を示している。プラグコネクタ204は、ケーブルの特性に応じて各種ケーブルコネクタ206を有する。図9に、各種ケーブルコネクタ206を有するプラグコネクタ204の断面図を示す。図9(a)はLC型、図9(b)はSC型、図9(c)はRJ45型の場合である。
【0009】
上述のように、従来技術において光ケーブルを交換する際は、プリント基板201上のSFPトランシーバ205を、その光ケーブルのケーブルコネクタ206に対応するSFPトランシーバ205に差し替えることにより、レセプタクル203とプラグコネクタ204とを接続することができる。
【0010】
また、同一のプリント基板により、光ケーブルの各種ケーブルコネクタとモジュラコネクタの両方に対応することができるコネクタ実装構造の発明も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−077923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図6(a)に示すように、従来技術は、SFPトランシーバ205を差し替えてプリント基板201上に実装することにより、各種ケーブルコネクタ206に対応することができる。しかし、この構成は、SFPトランシーバ実装用スペース220がプリント基板201上に必要となるため、プリント基板201の小型化の妨げとなる。
【0013】
また、図6(b)に示すように、SFPトランシーバ205の個別コネクタは、装置外部コネクタ210のフランジ261の内側に収まる。よって、フランジ261の内側には、SFPトランシーバ205の共通部に比べて大きい形状であるSFPトランシーバ205の個別コネクタ252が収まらなければならない。さらに、SFPトランシーバ205の個別コネクタ252はケーブルコネクタによって大きさが異なるため、全てのケーブルコネクタに対応するには、フランジ261は、最大のケーブルコネクタに対応するSFPトランシーバ205の個別コネクタ252が収まる大きさにしなければならない。したがって、フランジ261を大口径にする必要があり、装置の小型化および低コスト化の妨げとなる。
【0014】
さらに、図6(a)に示すように、ケーブルコネクタに応じて、SFPトランシーバ205を差し替える必要があるため、光ケーブル交換の際にSFPトランシーバ205の差し替えが必要となり、煩雑な作業が発生する。
【0015】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、異なるケーブルコネクタに対応するためにプリント基板上のSFPトランシーバを差し替える必要がなく、また、プリント基板およびレセプタクルのフランジの小型化を可能とするコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した諸課題を解決すべく、本願発明によるコネクタは、
プラグコネクタとレセプタクルとを備えるコネクタであって、
前記プラグコネクタは、
SFPトランシーバとケーブルコネクタとを備え、
前記レセプタクルは、
プリント基板の端部付近に実装されるSFP電気コネクタを備え、
前記SFPトランシーバは、
複数種類の形状の何れかに対応する個別コネクタを一端に、共通の形状をもつ共通コネクタを他端に備え、
前記個別コネクタは対応する前記ケーブルコネクタと接続し、前記共通コネクタは前記SFP電気コネクタと接続すること
を特徴とするものである。
【0017】
また、前記プラグコネクタは、ハウジングを備え、前記SFPトランシーバと前記ケーブルコネクタとは、前記ハウジング内部に格納されることが望ましい。
【0018】
また、前記レセプタクルは、前記プリント基板の端部に実装される装置外部コネクタを備え、前記SFP電気コネクタは、前記プリント基板上の前記装置外部コネクタの内側に実装されることが望ましい。
【0019】
また、本願発明によるプラグコネクタは、
SFPトランシーバとケーブルコネクタとを備え、
前記SFPトランシーバは、
複数種類の形状の何れかに対応する個別コネクタを一端に、共通の形状をもつ共通コネクタを他端に備え、
前記個別コネクタは対応する前記ケーブルコネクタと接続し、前記共通コネクタはプリント基板上に実装されるSFP電気コネクタと接続すること
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、異なるケーブルコネクタに対応するためにプリント基板上のSFPトランシーバを差し替える必要がなく、また、プリント基板およびレセプタクルのフランジの小型化を可能とするコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタを示す図である。
【図2】SFPトランシーバを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプリント基板に実装されたSFP電気コネクタを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るプラグコネクタを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るプラグコネクタの構造を示す図である。
【図6】従来のレセプタクルを示す図である。
【図7】従来のコネクタを示す図である。
【図8】従来のコネクタを示す図である。
【図9】従来のプラグコネクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタを示す図であり、一例として、ケーブルコネクタ106の形状がLC型である場合を示す。ここで、用語「コネクタ」は、従来技術の説明の場合と同様に、レセプタクルとプラグコネクタとを組み合わせたものを表す用語として使用する。また、本発明の一実施形態においては、用語「レセプタクル」は、装置外部コネクタ110と電気コネクタ102とを組み合わせたものを表す用語として使用する。
【0024】
プラグコネクタ104は、ハウジング109と、SFPトランシーバ105と、ケーブルコネクタ106とを備える。ハウジング109は、内部にSFPトランシーバ105およびケーブルコネクタ106を備える。SFPトランシーバ105は、図2(a)〜(c)に示すように、一端に個別コネクタ152を備え、他端に共通コネクタ153を備える。個別コネクタ152は、(a)LC型、(b)SC型、(c)RJ45型のように、ケーブルコネクタ106に対応する形状であり、信号線107を介してケーブル108と接続する。共通コネクタ153は、全てのケーブルコネクタに対して共通の形状であり、プリント基板101に実装されたSFP電気コネクタ102と接続して導通する。プリント基板101上にSFPトランシーバ105を実装しないため、SFPトランシーバ105の実装用領域を設ける必要がなく、SFP電気コネクタ102は、図3に示すように、プリント基板101の端部付近に実装される。
【0025】
装置外部コネクタ110は、プリント基板101の端部に実装される。装置外部コネクタ110は、フランジ161をその一部として備える。SFP電気コネクタ102は、プリント基板101上の装置外部コネクタ110の内側の位置に実装され、SFPトランシーバ105と接続して導通する。
【0026】
図4(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係るプラグコネクタ104を示す図である。図4(a)はLC型、図4(b)はSC型、図4(c)はRJ45型の場合を示す。図4(a)〜(c)に示すように、ケーブルコネクタ106は、SFPトランシーバ105の個別コネクタ152と接続し、共通の形状である共通コネクタ153に変換される。したがって、プラグコネクタ104は、図4(a)〜(c)のいずれの場合も、レセプタクル103と、そのまま接続することができる。
【0027】
図5は、本発明の一実施形態に係るプラグコネクタ104におけるSFPトランシーバ105を固定する構造を示す図である。プラグコネクタ104は、SFPトランシーバ105を固定するために、横位置固定金具111と、横位置保持構造112と、縦位置固定金具113と、縦位置保持構造114とを備える。横位置固定金具111は、ハウジング109の内側に固定され、横位置保持構造112は、SFPトランシーバ105の共通部151と横位置固定金具111の間に配置される。縦位置固定金具113は、ハウジング109の内側に固定され、縦位置保持構造114は、SFPトランシーバ105の個別コネクタ152と縦位置固定金具113の間に配置される。横位置保持構造112および縦位置保持構造114には、例えばスプリングやクッション材等が用いられ、プラグコネクタ104とSFP電気コネクタ102とを接続する際の位置ズレを吸収する。
【0028】
このように、本実施形態によれば、異なるケーブルコネクタ106に対応するために、プリント基板101上でSFPトランシーバ105を差し替えるなどの作業を実施する必要がない。
【0029】
また、プリント基板101上にSFPトランシーバ105の実装用領域を設ける必要がないため、プリント基板101を小型化することができる。
【0030】
また、SFPトランシーバ105の個別コネクタ152がレセプタクル103のフランジ161の内側に配置されなくなるので、フランジ161の口径を小さくすることができ、レセプタクル103を小型化することができる。
【0031】
また、ケーブルコネクタ106が異なる形状に変わっても、SFPトランシーバ105を差し替える必要がないため、作業性が向上する。
【0032】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、上述の実施例では、SFPトランシーバを例として用いているが、同様の変換機能を有するものであれば、SFPトランシーバ以外を用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
101 プリント基板
102 SFP電気コネクタ
103 レセプタクル
104 プラグコネクタ
105 SFPトランシーバ
106 ケーブルコネクタ
107 信号線
108 ケーブル
109 ハウジング
110 装置外部コネクタ
111 横位置固定金具
112 横位置保持構造
113 縦位置固定金具
114 縦位置保持構造
151 共通部
152 個別コネクタ
153 共通コネクタ
161 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグコネクタとレセプタクルとを備えるコネクタであって、
前記プラグコネクタは、
SFPトランシーバとケーブルコネクタとを備え、
前記レセプタクルは、
プリント基板の端部付近に実装されるSFP電気コネクタを備え、
前記SFPトランシーバは、
複数種類の形状の何れかに対応する個別コネクタを一端に、共通の形状をもつ共通コネクタを他端に備え、
前記個別コネクタは対応する前記ケーブルコネクタと接続し、前記共通コネクタは前記SFP電気コネクタと接続すること
を特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記プラグコネクタは、
ハウジングを備え、
前記SFPトランシーバと前記ケーブルコネクタとは、前記ハウジング内部に格納されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記レセプタクルは、
前記プリント基板の端部に実装される装置外部コネクタを備え、
前記SFP電気コネクタは、前記プリント基板上の前記装置外部コネクタの内側に実装されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
SFPトランシーバとケーブルコネクタとを備え、
前記SFPトランシーバは、
複数種類の形状の何れかに対応する個別コネクタを一端に、共通の形状をもつ共通コネクタを他端に備え、
前記個別コネクタは対応する前記ケーブルコネクタと接続し、前記共通コネクタはプリント基板上に実装されるSFP電気コネクタと接続すること
を特徴とするプラグコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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