説明

コネクタおよび電子制御機器

【課題】 コネクタ本体と基板のとの間に電子部品を配置することができるコネクタおよび電子制御機器を提供する。
【解決手段】 電子制御機器1は、コネクタ2とコネクタ2が実装される基板6を有する。コネクタ2は、コネクタ本体3とコネクタ端子4を有し、複数のコネクタ端子4の形状は、コネクタ本体3とコネクタ本体3から延出される複数のコネクタ端子4と基板6とによって囲まれた空間に、基板6に実装する電子部品5を配置することができる形状である。コネクタ端子4が増加してコネクタ2が大きくなると、コネクタ本体3と基板6との間の空間が広くなるので、複数の電子部品5が配置されることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよび電子制御機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の技術による挿入実装型のコネクタ72を用いる電子制御機器71の説明図である。図7(a)は全体図であり、図7(b)はコネクタ72の詳細図である。挿入実装型は、コネクタ72のコネクタ本体73から延出するコネクタ端子74が、基板75に設けられたスルーホール76に貫通配置され、スルーホール76の壁面およびその開口周囲に設けられたランドと電気的に接続する構造である。図8は、従来の技術による表面実装型のコネクタ82を用いる電子制御機器81の説明図である。図8(a)は全体図であり、図8(b)はコネクタ82の詳細図である。表面実装型は、コネクタ端子84の先端部を基板85の表面に沿わせて、基板85の表面に設けられたランドとコネクタ端子84とを電気的に接続する構造である。挿入実装型は、コネクタ配置面の裏面においてコネクタ端子74が突出するので、コネクタ配置面の裏面に電子部品を実装することはできない。表面実装型は、コネクタ配置面の裏面においてコネクタ端子84が突出しないので、裏面側に電子部品を実装することができる。
【0003】
特許文献1には、コネクタ端子の先端部分を非貫通孔に挿入配置することによって、コネクタ端子が基板の裏面に突出することがなくなるので、基板のコネクタ配置面の裏側において、電子部品を実装することが可能になることが開示されている。挿入実装部は、非貫通孔に挿入配置された後に基板の非貫通孔壁面および非貫通孔開口周辺に設けた対応するランドと電気的に接続される。
【0004】
特許文献2には、車両のECUを収容するための筒部内部に、コネクタが実装された回路基板を配置した状態において、コネクタ実装面の裏面側に電子部品を配置することができる空間を有することによって基板の裏面にも電子部品が実装されることが開示されている。コネクタは、ハウジングに複数の端子を配設した表面実装型であるので、基板の裏面にコネクタ端子が突出することはない。
【0005】
特許文献3には、リフロー時のはんだ不良を防止し接続信頼性を維持するために、コネクタ端子が接続される接続部の近傍に、ソルダレジストによって被覆された受熱部を設け、受熱部が受けた熱を接続部に伝達することによって、接続部の温度を上昇させることが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−221079号公報
【特許文献2】特開2007−234429号公報
【特許文献3】特開2007−266110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コネクタ本体と基板との間に電子部品を配置するスペースがないので、実装効率が高い電子制御機器を提供することはできない。特許文献1および特許文献2は、コネクタが実装される面と同一面に電子部品を実装することは開示していない。特許文献3は、電子部品を実装して部品の実装効率を向上することは開示していない。
【0008】
本発明の目的は、コネクタ本体と基板のとの間に電子部品を配置することができるコネクタおよび電子制御機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(1)は、コネクタ本体とコネクタ本体から延出する複数のコネクタ端子とを有するコネクタであって、
前記複数のコネクタ端子の形状は、前記コネクタ本体と、前記複数のコネクタ端子と、前記コネクタが実装される基板とによって囲まれる空間に、前記基板に実装する電子部品を少なくとも1つ配置することができる形状であることを特徴とするコネクタである。
【0010】
また本発明(2)は、コネクタ本体とコネクタ本体から延出する複数のコネクタ端子とを有するコネクタと、前記コネクタが実装される基板とを有する電子制御機器であって、
前記複数のコネクタ端子の形状は、前記コネクタ本体と、前記複数のコネクタ端子と、前記基板とによって囲まれる空間に、前記基板に実装する電子部品を少なくとも1つ配置することができる形状であることを特徴とする電子制御機器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明(1)によれば、コネクタはコネクタ本体とコネクタ本体から延出する複数のコネクタ端子とを有し、複数のコネクタ端子の形状が、コネクタ本体と複数のコネクタ端子とコネクタが実装される基板とによって囲まれる空間において、基板に実装する電子部品を少なくとも1つ配置することができる形状とされる。
したがって、コネクタ本体と基板との間に電子部品を配置することができる。
【0012】
また本発明(2)によれば、電子制御機器は、コネクタ本体とコネクタ本体から延出する複数のコネクタ端子とを有するコネクタと、コネクタが実装される基板とを有し、複数のコネクタ端子の形状が、コネクタ本体と複数のコネクタ端子と基板とによって囲まれた空間において、基板に実装する電子部品を少なくとも1つ配置することができる形状とされる。したがって、実装効率が高い電子制御機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の一形態であるコネクタ2を用いる電子制御機器1の説明図である。電子制御機器1は、コネクタ2と、コネクタ2が実装される基板6と、電子部品5を備えている。コネクタ2は、コネクタ本体3とコネクタ端子4によって構成される挿入実装型のコネクタである。ここで、挿入実装型コネクタ2の実装手順について説明する。基板6には貫通孔であるスルーホール7が設けられている。コネクタ端子4は、スルーホール7を貫通した状態で配置される。スルーホール7を貫通したコネクタ端子4は、スルーホール7の壁面およびスルーホール7の開口部の周囲に設けられたランドと電気的に接続される。
【0014】
コネクタ端子4の形状は、コネクタ本体3と、複数のコネクタ端子4と、コネクタ2が実装される基板6とによって囲まれる空間に電子部品5を配置することができる形状である。図1に示すコネクタ端子4は、コネクタ本体3の基板6に対向する面から延出しているがこれに限定されるものではない。コネクタ本体3の当該基板6に対向する面をコネクタ本体3の底面(以下「底面」という)とすると、当該底面の周縁から立ち上がったコネクタ本体3の側面からコネクタ端子4が延出するものであっても良い。この場合には、コネクタ本体3と基板6との間にコネクタ端子4の取り出し部がないので、電子部品5の配置スペースは広く取れる。このような構成は、基板6の実装面を基準にして高さ方向にボリュームがある電子部品を配置する場合に有効である。
【0015】
コネクタ端子4は、基板6の実装面に対して垂直なコネクタ2の中心線に対して、左右対称に2方向に延出しているが、これに限定されるものではない。たとえばコネクタ端子4が4方向に延出し電子部品5の周囲にコネクタ端子4が配置される構成のものでも良く、または強度的な問題が解決すれば、左右どちらか1方向にまとめて延出するものでも良い。コネクタ端子4を1方向にまとめて延出することによって電子部品5の配置スペースは広く取ることができる。
【0016】
図1に示すコネクタ端子4の曲げ部は直角曲げであるが、コネクタ2を配置する場合に他の電子部品との干渉等、スペース上の制約があれば直角曲げに限定されるものではない。コネクタ端子4は、斜めに曲げたもの、曲げRを設けたものでも良い。
【0017】
なお、このような電子制御機器1は例えば車両のエンジンECU(Electric Control
Unit)を構成する電子制御機器として採用される。電子部品5は、たとえば、マイクロコンピュータ、トランジスタ、コンデンサ、抵抗等であり、コネクタ2を基板6に実装する前に実装することが望ましい。
【0018】
図2は、本発明の実施の他の形態であるコネクタ12を用いる電子制御機器11の説明図である。コネクタ12は表面実装型コネクタである。ここで、表面実装型コネクタ12の実装手順について説明する。表面実装型コネクタ12は、コネクタ端子14の先端部を基板15の表面に沿わせて、基板15の表面に設けられたランドとコネクタ端子14とを電気的に接続する。コネクタ端子14の本数が増加してコネクタ12が大きくなると、コネクタ本体13と基板15との間の電子部品5を配置することができる空間は広く取れる。基板15に実装される全ての電子部品5が、コネクタ本体13と基板15の間の空間に配置することができる形状とすれば、基板15はコネクタ12を実装することができる実装面を有していれば良いので、エンジンECUの実装効率の向上および小型化がいっそう促進される。
【0019】
挿入実装型のコネクタ2の配置面の裏面においては、スルーホール7からコネクタ端子4が突出しているのでスルーホール7形成部位の裏面側に電子部品5を実装することはできない。表面実装型のコネクタ12の場合には、コネクタ端子14が基板15の裏面に突出しないので、基板15の裏面に電子部品5を実装することができる。図2において示すコネクタ端子14は、コネクタ本体13の底面から延出しているがこれに限定されるものではなく、コネクタ端子14の曲げ部も図2に示す直角曲げに限定されるものではない。
【0020】
図3は、挿入実装型のコネクタ2を用いて電子部品5に放熱部材22を当接させる電子制御機器21の説明図であり、図4は、表面実装型のコネクタ12を用いて電子部品5に放熱部材22を当接させる電子制御機器31の説明図である。放熱部材22は電子部品5に当接して電子部品5が発生する熱を外部空間に放出する。放熱部材22は例えばシリコンゴムであり、電子部品5に貼付される。放熱部材22が貼付される電子部品5は、たとえば電源用IC(Integrated circuit)である。
【0021】
図5は、挿入実装型のコネクタ端子4にノイズ低減部材42を取り付けた電子制御機器41の説明図であり、図6は、表面実装型のコネクタ端子14にノイズ低減部材42を取り付けた電子制御機器51の説明図である。図5および図6において示すノイズ低減部材42は、電子部品5とコネクタ本体3,13との間の空間において、基板6,15の実装面と平行にコネクタ端子4,14に取り付けられるが、これに限定されるものではなく、たとえばノイズ低減部材42の両端部を基板6,15方向に立ち上げた断面がコの字形状のものでも良い。電子制御機器41,51が車両のエンジンECUであれば、ノイズ低減部材42は、電子制御機器41,51が発生する電磁波が、他の車載電子機器に与える影響を低減するために取り付けられる。ノイズ低減部材42は金属性のコネクタ端子4,14に取り付けられるので、コネクタ端子4,14と接する部分は絶縁性を有する材料によって形成する。
【0022】
このように、コネクタ2はコネクタ本体3とコネクタ本体3から延出される複数のコネクタ端子4とを有し、複数のコネクタ端子4の形状が、コネクタ本体3とコネクタ本体3から延出される複数のコネクタ端子4と基板6とによって囲まれた空間において、基板6に実装する電子部品5を少なくとも1つ配置することができる形状とされる。
【0023】
したがって、コネクタ本体3と基板6との間に電子部品5を配置することができるコネクタを供給することができる。
【0024】
さらに、電子制御機器1は、コネクタ本体3とコネクタ本体3から延出される複数のコネクタ端子4とを有するコネクタ2と、コネクタ2が実装される基板6とを有し、複数のコネクタ端子4の形状が、コネクタ本体3とコネクタ本体3から延出される複数のコネクタ端子4と基板6とによって囲まれる空間において、基板6に実装する電子部品5を少なくとも1つ配置することができる形状とされる。
【0025】
したがって、実装効率が高い電子制御機器1を提供することができる。
さらに、基板6の面のうちコネクタ2が実装される面に実装されるすべての電子部品5は、コネクタ本体3とコネクタ本体3から延出される複数のコネクタ端子4と基板6とによって囲まれた空間に配置されるので、基板6への部品の実装効率が向上し、電子制御機器1の小型化を図ることができる。
【0026】
さらに、複数のコネクタ端子4は、基板6に形成される複数のコネクタ端子4の個々のコネクタ端子4を挿入するための複数のスルーホール7に挿入されて固定されるので、コネクタ端子4と対応するランドとの位置ずれを防止することができる。
【0027】
さらに、コネクタ端子4は、コネクタ端子4を電気的に接続するためにスルーホール7にそれぞれ形成されるランドに電気的に接続され固定されるので、接続信頼性が高い電子制御機器1を提供することができる。
【0028】
さらに、コネクタ端子14は、基板15にそれぞれ形成されるコネクタ端子14を電気的に接続するためのランドに電気的に接続され固定されるので、表面実装型のコネクタ12が実装されている電子制御機器11を提供することができる。
【0029】
さらに、電子部品5に当接する放熱部材22によって電子部品5が発生する熱が放出されるので、電子部品5の放熱が促進される。
【0030】
さらに、コネクタ2のコネクタ端子4に取り付けられたノイズ低減部材42によって、電子部品5が発生するノイズの電子部品5の外部への放射が軽減されるので、他の電子制御機器が受ける電子部品5が発生するノイズの影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の一形態であるコネクタ2を用いる電子制御機器1の説明図である。
【図2】本発明の実施の他の形態であるコネクタ12を用いる電子制御機器11の説明図である。
【図3】挿入実装型のコネクタ2を用いて電子部品5に放熱部材22を当接させる電子制御機器21の説明図である。
【図4】表面実装型のコネクタを12用いて電子部品5に放熱部材22を当接させる電子制御機器31の説明図である。
【図5】挿入実装型のコネクタ端子4にノイズ低減部材42を取り付けた電子制御機器41の説明図である。
【図6】表面実装型のコネクタ端子14にノイズ低減部材42を取り付けた電子制御機器51の説明図である。
【図7】従来の技術による挿入実装型のコネクタ72を用いる電子制御機器71の説明図である。
【図8】従来の技術による表面実装型のコネクタ82を用いる電子制御機器81の説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1,11,21,31,41,51 電子制御機器
2,12 コネクタ
3,13 コネクタ本体
4,14 コネクタ端子
5 電子部品
6,15 基板
7 スルーホール
22 放熱部材
42 ノイズ低減部材
71,81 電子制御機器
72,82 コネクタ
73,83 コネクタ本体
74,84 コネクタ端子
75,85 基板
76 スルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ本体とコネクタ本体から延出する複数のコネクタ端子とを有するコネクタであって、
前記複数のコネクタ端子の形状は、前記コネクタ本体と、前記複数のコネクタ端子と、前記コネクタが実装される基板とによって囲まれる空間に、前記基板に実装する電子部品を少なくとも1つ配置することができる形状であることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
コネクタ本体とコネクタ本体から延出する複数のコネクタ端子とを有するコネクタと、前記コネクタが実装される基板とを有する電子制御機器であって、
前記複数のコネクタ端子の形状は、前記コネクタ本体と、前記複数のコネクタ端子と、前記基板とによって囲まれる空間に、前記基板に実装する電子部品を少なくとも1つ配置することができる形状であることを特徴とする電子制御機器。
【請求項3】
前記基板の面のうち前記コネクタが実装される面に実装されるすべての電子部品は、前記空間に配置されることを特徴とする請求項2に記載の電子制御機器。
【請求項4】
前記基板は、前記複数のコネクタ端子の個々のコネクタ端子を挿入するための複数の貫通孔が形成され、
前記複数のコネクタ端子は、前記基板の複数の貫通孔に挿入されて固定されることを特徴とする請求項2に記載の電子制御機器。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記コネクタ端子を電気的に接続するためのランドがそれぞれ形成され、
前記コネクタ端子は、前記ランドに電気的に接続され固定されることを特徴とする請求項4に記載の電子制御機器。
【請求項6】
前記基板は、前記基板の面のうち前記コネクタが実装される面に前記コネクタ端子を電気的に接続するためのランドがそれぞれ形成され、
前記コネクタ端子は、前記ランドに電気的に接続され固定されることを特徴とする請求項2に記載の電子制御機器。
【請求項7】
前記空間に配置される電子部品のうちの少なくとも1つは、前記電子部品が発生する熱を放出する放熱部材が当接されることを特徴とする請求項2に記載の電子制御機器。
【請求項8】
前記コネクタは、前記電子部品によって発生するノイズの前記電子部品の外部への放射を低減するノイズ低減部材を前記コネクタ端子に取り付けることを特徴とする請求項2に記載の電子制御機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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