説明

コネクタの端子導通検査装置

【課題】 コネクタハウジング内の両側に装着された端子間の導通状態を検査すると共に端子導通検査の作業能率を向上させるコネクタの端子導通検査装置を提供する。
【解決手段】 コネクタハウジング22の両側に相手方コネクタの受入口23を有し、コネクタハウジング22内に端子24、24が装着されたコネクタ21を保持するコネクタ保持部25と、その両側にコネクタ保持部25に対してそれぞれ進退移動可能に設けられ、押動機構26、26の操作により、コネクタ保持部25側に押動される導通ピン受け部27、27を備え、各導通ピン受け部27、27はこれがコネクタ保持部25側に押動されたとき、コネクタ21の端子24、24と接触して、その導通状態を検査する導通ピン28、28を有し、導通ピン28、28の導通状態によりコネクタ21の端子24、24の導通状態を検査するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のワイヤーハーネスに使用されるコネクタの端子の導通状態を検査するコネクタの端子導通検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタハウジングの片側に相手方コネクタの受入口を有し、コネクタハウジング内に端子が装着されたコネクタにおいて、端子がコネクタハウジング内に正常に装着されていなかったり等すると、自動車等の電装品に動作不良が生じるので、端子の装着状態を検査するために、図3に示すようなコネクタの端子導通検査装置(特許文献1参照)が提案されている。
【0003】
この端子導通検査装置は、コネクタハウジング2の片側に相手方コネクタの受入口3を有し、コネクタハウジング2内に端子4が装着された前記コネクタ1を保持するコネクタ保持部5と、コネクタ保持部5の片側にコネクタ保持部5に対して進退移動可能に設けられ、押動機構6の操作により、コネクタ保持部5側に押動される導通ピン受け部7とを備え、導通ピン受け部7はこれがコネクタ保持部5側に押動されたとき、コネクタ保持部5に保持されたコネクタ1の端子4と接触して、その導通状態を検査する導通ピン8を有しており、導通ピン8の導通状態によりコネクタ1の端子4の導通状態を検査するようになっている。
【0004】
前記コネクタ保持部5、導通ピン受け部7及び押動機構6は基枠9に設けられている。導通ピン受け部7は基枠9に固定されたガイドキー10に沿って押動機構6側とコネクタ保持部5側方向に進退移動可能になっている。また、導通ピン受け部7は基枠9に固定されたガイドシャフト11に取り付けられたコイルばね12によって押動機構6側に付勢され、押動機構6を操作していないときには、同図に示す後退位置にある。更に導通ピン受け部7には、コネクタ1の先端部に嵌合する嵌合凹部13が設けられ、嵌合凹部13に前記導通ピン8が設けられる。
【0005】
押動機構6は、基枠9に設けられた枢支ピン14を軸として回動する操作レバー15を備える。操作レバー15には導通ピン受け部7の後面(コネクタ保持部5と反対側の面)に接触するカム面15aが形成されている。そして、操作レバー15をコネクタ保持部5側に回動させて倒すことにより、導通ピン受け部7がコネクタ保持部5側に押動されて前進移動する。また、操作レバー15を操作してないときは、導通ピン受け部7がコイルばね12の付勢力により後退移動すると共に、この後退移動で操作レバー15がコネクタ保持部5側と反対側に回動して起立し、レバーストッパ16により回動を止められる。
【0006】
コネクタ1の端子4の導通状態を検査する場合には、図4に示すように、コネクタ保持部5にコネクタ1を装着し、押動機構6の操作レバー15を操作して、操作レバー15をコネクタ保持部5側に回動させて倒す。これにより、導通ピン受け部7がガイドシャフト11に取り付けられたコイルばね12の付勢力に抗してコネクタ保持部5側に押動されて前進移動し、導通ピン受け部7の嵌合凹部13がコネクタ1の先端部に嵌合する。ここで、コネクタ1の端子4がコネクタハウジング2内に正常に装着されている場合には、端子4が導通ピン8に接触し、例えば、ランプ等を点灯させ、端子4の導通状態を検査する。
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2607417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のコネクタの端子導通検査装置では、コネクタ1の端子4がコネクタハウジング2内に正常に装着されているかどうかという導通状態を検査することができる。しかしながら、最近、自動車等においては、消費者のニーズに応えるため、グレード等に対応させて異なるオプション機能が与えられるようになってきている。これに伴い、使用する電装品が増加すると共に、ワイヤーハーネスの枝分かれ回路構成が更に複雑化しているのが現状である。その対応策として、ワイヤーハーネスを分割するワイヤーTOワイヤーと呼ばれるような位置に配置されるコネクタ1として、コネクタハウジング2の左右両側に相手方コネクタの受入口3を有し、コネクタハウジング2内に端子4が装着された多種の中間ジョイント型のコネクタが使用されるようになって来ている。
【0009】
このようなコネクタ1では、コネクタハウジング2内の両側に端子4が正常に装着されていても、両側の所定番地に端子4、4が装着されていないと、自動車等の電装品が動作不能になったり、誤動作したりする恐れがある。そこで、両側に装着された端子4、4間の導通状態を検査する必要があるが、従来の端子導通検査装置では、コネクタハウジング2内の両側に装着された端子4、4間の導通状態を検査することが困難になる問題がある。また、両側に装着された端子4、4の導通状態を検査するため、コネクタ1をコネクタ保持部5から取り外して、コネクタ1の位置を反転させる必要があり、端子導通検査の作業能率が低下する問題がある。
【0010】
本発明は上記の課題を解決し、コネクタハウジング内の両側に装着された端子間の導通状態を検査することができると共に、端子導通検査の作業能率を向上させることができるコネクタの端子導通検査装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のコネクタの端子導通検査装置は、コネクタハウジングの両側に相手方コネクタの受入口を有し、コネクタハウジング内に端子が装着されたコネクタを保持するコネクタ保持部と、コネクタ保持部の両側にコネクタ保持部に対してそれぞれ進退移動可能に設けられ、押動機構の操作により、コネクタ保持部側に押動される導通ピン受け部を備え、各導通ピン受け部はこれがコネクタ保持部側に押動されたとき、コネクタ保持部に保持されたコネクタの端子と接触して、その導通状態を検査する導通ピンを有しており、導通ピンの導通状態によりコネクタの端子の導通状態を検査するようになっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記端子導通検査装置によると、コネクタ保持部の両側にコネクタ保持部に対してそれぞれ進退移動可能に設けられ、押動機構の操作により、コネクタ保持部側に押動される導通ピン受け部を備えているので、コネクタハウジング内の端子が正常に装着されているかどうかという導通状態を容易に検査することができる。また、コネクタハウジング内の両側に装着された端子間の導通状態を検査することが可能になるので、両側の所定番地に端子が正しく装着されているかどうかという導通状態を容易に検査することができ、自動車等の電装品が動作不能になったり、誤動作したりするのを確実に防止することができる。更に、コネクタ保持部にコネクタを保持した状態で、コネクタハウジング内の両側に装着された端子の導通状態を検査することが可能になるので、端子導通検査の作業能率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面により詳細に説明する。図1は本発明に係るコネクタの端子導通検査装置の一実施形態を示すもので、端子の導通状態を検査する前の状態の側面図、図2はその端子の導通状態を検査している状態の側面図である。
【0014】
本実施形態の端子導通検査装置は、図1に示すように、コネクタハウジング22の左右両側に相手方コネクタの受入口23を有し、コネクタハウジング22内に、雄状又は雌状の複数の端子24がそれぞれ装着された中間ジョイント型のコネクタ21を保持するコネクタ保持部25と、コネクタ保持部25を中央にしてその両側に対向して配置され、コネクタ保持部25に対して進退移動可能に設けられ、押動機構26、26の操作により、コネクタ保持部25側に押動される導通ピン受け部27、27とを備え、各導通ピン受け部27、27はこれがコネクタ保持部25側に押動されたとき、コネクタ保持部25に保持されたコネクタ21の端子24、24と接触して、その導通状態を検査する導通ピン28、28を有しており、導通ピン28、28の導通状態によりコネクタ21の端子24、24の導通状態、即ち、端子24、24のコネクタハウジング22内への装着状態と両側の所定番地への装着状態を検査するようになっている。
【0015】
前記コネクタ保持部25、導通ピン受け部27、27及び押動機構26、26は基枠29に設けられている。導通ピン受け部27、27は基枠29に固定されたガイドキー30、30に沿って押動機構26、26側とコネクタ保持部25側方向に進退移動可能になっている。また、基枠29に固定されたガイドシャフト31、31に取り付けられたコイルばね32、32によって押動機構26、26側に付勢され、押動機構26、26を操作していないときには、同図に示す後退位置にある。更に導通ピン受け部27、27には、コネクタ21の先端部に嵌合する嵌合凹部33、33が設けられ、嵌合凹部33、33に前記導通ピン28、28が設けられる。
【0016】
押動機構26、26は、基枠29に設けられた枢支ピン34、34を軸として回動する操作レバー35、35を備える。操作レバー35、35には導通ピン受け部27、27の後面(コネクタ保持部25と反対側の面)に接触するカム面35a、35aが形成されている。そして、操作レバー35、35をコネクタ保持部25側に回動させて倒すことにより、導通ピン受け部27、27がコネクタ保持部25側に押動されて前進移動する。また、操作レバー35、35を操作してないときは、導通ピン受け部27、27がコイルばね32、32の付勢力により後退移動すると共に、この後退移動で操作レバー35、35がコネクタ保持部25側と反対側に回動して起立し、レバーストッパ36、36により回動を止められる。
【0017】
コネクタ21の端子24、24の導通状態を検査する場合には、図2に示すように、コネクタ保持部25にコネクタ21を装着し、両方の押動機構26、26の操作レバー35、35をほぼ同時に操作して、操作レバー35、35をコネクタ保持部25側に回動させて倒す。これにより、導通ピン受け部27、27がガイドシャフト31、31に取り付けられたコイルばね32、32の付勢力に抗してコネクタ保持部25側に押動されて前進移動し、導通ピン受け部27、27の嵌合凹部33、33がコネクタ21の先端部に嵌合する。ここで、コネクタ21の端子24、24がコネクタハウジング22内に正常に装着されている場合、又はコネクタハウジング22内の両側の所定番地に正しく装着されている場合には、端子24、24が導通ピン28、28に接触し、例えば、ランプ等を点灯させ、端子24、24の導通状態を検査する。
【0018】
なお、押動機構26、26は前記したようにほぼ同時に操作してもよいが、いずれか一方、例えば、図1、2の左側に位置する押動機構26の操作レバー35を操作して、コネクタ21の左側に装着された端子24の導通状態を検査し、その検査終了後、他方、即ち、右側に位置する押動機構26の操作レバー35を操作して、コネクタ21の右側に装着された端子24の導通状態を検査するようにしてもよい。いずれの操作方法を用いても、端子24、24がコネクタハウジング22内に正常に装着されているかどうか、又はコネクタハウジング22内の両側の所定番地に正しく装着されているかどうかの導通状態を検査することが可能である。また、押動機構26、26の操作レバー35、35を図2に示すようにコネクタ保持部25側に回動させたとき、その先端部同士が接触する恐れがある場合には、操作レバー35、35のいずれか一方又は両方の先端部を操作レバー35、35の回動方向と反対方向に予め屈曲させておくか、若しくは、いずれか一方又は両方の枢支ピン34、34のコネクタ保持部25に対する距離を長くするようにしてもよい。更に、押動機構26、26は操作レバー35、35を用いる代わりに、電磁マグネット、流体圧シリンダ、ねじ、リンク等の機構を用いるようにしてもよい。
【0019】
本発明のコネクタの端子導通検査装置によると、コネクタ保持部25の両側にコネクタ保持部25に対してそれぞれ進退移動可能に設けられ、押動機構26、26の操作により、コネクタ保持部25側に押動される導通ピン受け部27、27を備えているので、コネクタハウジング22内の端子24、24が正常に装着されているかどうかという導通状態を容易に検査することができる。また、コネクタハウジング22内の両側に装着された端子24、24間の導通状態を検査することが可能になるので、両側の所定番地に端子24、24が正しく装着されているかどうかという導通状態を容易に検査することができ、自動車等の電装品が動作不能になったり、誤動作したりするのを確実に防止することができる。更に、コネクタ保持部25にコネクタ21を保持した状態で、コネクタハウジング22内の両側に装着された端子24、24の導通状態を検査することが可能になるので、端子導通検査の作業能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るコネクタの端子導通検査装置の一実施形態を示すもので、端子の導通状態を検査する前の状態の側面図である。
【図2】図1の端子導通検査装置において、端子の導通状態を検査している状態の側面図である。
【図3】従来のコネクタの端子導通検査装置を示すもので、端子の導通状態を検査する前の状態の側面図である。
【図4】図3の端子導通検査装置において、端子の導通状態を検査している状態の側面図である。
【符号の説明】
【0021】
21 コネクタ
22 コネクタハウジング
23 受入口
24 端子
25 コネクタ保持部
26 押動機構
27 導通ピン受け部
28 導通ピン
29 基枠
30 ガイドキー
31 ガイドシャフト
32 コイルばね
33 嵌合凹部
34 枢支ピン
35 操作レバー
35a カム面
36 レバーストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングの両側に相手方コネクタの受入口を有し、コネクタハウジング内に端子が装着されたコネクタを保持するコネクタ保持部と、コネクタ保持部の両側にコネクタ保持部に対してそれぞれ進退移動可能に設けられ、押動機構の操作により、コネクタ保持部側に押動される導通ピン受け部を備え、各導通ピン受け部はこれがコネクタ保持部側に押動されたとき、コネクタ保持部に保持されたコネクタの端子と接触して、その導通状態を検査する導通ピンを有しており、導通ピンの導通状態によりコネクタの端子の導通状態を検査するようになっていることを特徴とするコネクタの端子導通検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−179403(P2006−179403A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373410(P2004−373410)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河オートモーティブパーツ株式会社 (571)
【Fターム(参考)】