説明

コネクター用フォークコンタクト及びジャック

【課題】一対の接触端子を有するフォークコンタクトにおいて、一対の接触端子を同一方向に略45度傾斜させることで、配置する空間を縮小して且つ補強強度を向上させるフォークコンタクト及びこのフォークコンタクトを備えたジャックを提供する。
【解決手段】コネクター用フォークコンタクトは、二股のフォーク状に形成された対峙する一対の接触端子を有するフォークコンタクトであって、前記対峙する一対の接触端子のそれぞれを向き合う同じ方向に傾斜させて形成したことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクター用フォークコンタクト及びジャックに関し、詳しくはコネクター、例えば、ピンジャック等に組み込んで使用されるフォークコンタクト及びジャックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術におけるコネクター用フォークコンタクトは、図7に示すように、表裏両面に良導電材層をメッキした金属フープ材をプレスして形成されている。
このフォークコンタクト110は、基部111から一対の同形状の接触端子112a、112bが対峙するように突出形成され、その基部111の反対側には所定長さのリード端子113が形成されている。そして、この基部111はその中央部において接触端子112a、112bと直交する方向に略直角に折り曲げられている。
接触端子112a、112bの各先端部114a、114bは夫々内側に弧状に膨出させて形成すると共に、その弧状の端縁を、フォークコンタクトの打ち抜き加工時又はその後において、所定の幅に亘って例えば絞りしごき加工を行ってめくり上げることにより接点部115a、115bを形成し、この接点部115a、115bの対向面に良導電材層が位置するように形成する。
又、接触端子112a、112bの間で、基部111側に半円状の舌片116を形成し、この舌片116は、端子ピンの挿着孔を底部側において塞ぐためのものであり、基部111が曲げられる方向とは逆方向に略直角に折り曲げて形成される。
【0003】
このフォークコンタクトが組み込まれるコネクター、例えば、ピンジャックの導電キャップユニット120は、図8に示すように、アース金具121と一対のブッシュ122とから構成されており、アース金具121は一対の導電キャップ123a、123bが突出形成されており、その導電キャップ123a、123b内にブッシュ122が夫々嵌着して取付けられている。
【0004】
ブッシュ122は、先端側が円筒形状で基部側が角ブロック状を呈し、軸芯に沿って外部からの端子ピンが挿着される孔124が設けられ、この孔124の長さ方向に沿って内側の上下両サイドに所定幅で且つ所定長さのスリット125、126が基部側128から設けられており、そのスリット125、126に基部側128からフォークコンタクトを挿着して組み込むのである。この場合に、フォークコンタクトの接触端子112a、112bはその接触端縁が僅かにめくり上げられて接触面127a、127bが形成されているだけであるため、スリット125、126の大きさ又は形状を変えることなく、容易に挿着できる構造になっている。
【0005】
更に、ブッシュ122の基部側128には、その側面に複数のスリット125,126が背面側から設けられると共に、アース金具121と係合する位置決めを兼ねた一対の係合舌片129が対照的に設けられている。
【0006】
このようなブッシュ122に対して、フォークコンタクトを挿着して組み込む場合に、フォークコンタクトを基部側128から所定位置まで挿着させると、スリット126の背面側壁面に突起が圧接すると共に、フォークコンタクトの基部111がスリット125、126の1つに嵌合して取り付け状態が安定する。同時に、直角に折り曲げられた基部111と、接触端子の間にある切起こし舌片116とによって、孔124が塞がれるようになる。
【0007】
【特許文献1】実開平6−23172号公報(第3頁〜4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記背景技術の項で説明した従来技術のフォークコンタクトは、フォーク状の対峙した接触端子が同一平面形状に形成し、その対向する内側の接点部を円弧状にめくり上げた構造とし、且つ接触端子自体が180度の対向する向きに形成されているため、プラグに接触する上下左右のうち、2方向を使用してしまい、確保するスペースが広すぎるばかりでなく、その補強にも限界があるという問題がある。
従って、フォーク状の対峙した接触端子が確保するスペースを小さくすると共に、端子自体の補強も兼ねた構造に解決しなければならない課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るコネクター用フォークコンタクトは、次に示す構成にすることである。
【0010】
(1)コネクター用フォークコンタクトは、二股のフォーク状に形成された対峙する一対の接触端子を有するフォークコンタクトであって、前記対峙する一対の接触端子のそれぞれを向き合う同じ方向に傾斜させて形成したことである。
(2)前記向き合う同じ方向に傾斜させる角度は略45度である(1)に記載のコネクター用フォークコンタクト。
【0011】
(3)ジャックは、プラグに接触する複数の接点部材をハウジングの内部に組み込んで形成されたジャックであって、前記複数の接点部材のうちのいずれかは、二股のフォーク状に形成された対峙する一対の接触端子のそれぞれを向き合う同じ方向に傾斜させて形成したことである。
(4)前記向き合う同じ方向に傾斜させる角度は略45度である請求項3に記載のジャック。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコネクター用フォークコンタクト及びジャックは、二股のフォーク状に形成された一対の接触端子のそれぞれを向き合う同じ方向に傾斜させたことにより、組み込むハウジング内でのスペースが少なくてすみ、また傾斜させたことで、補強強度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明に係るコネクター用フォークコンタクト及びジャックについて図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
本願発明に係るコネクター用フォークコンタクトは、図1及び図2に示すように、1枚の板部材を切り抜き加工したもので、四角形状をした基部11の一方端部に突出形成したリード端子12を備え、このリード端子12と反対側に二股のフォーク状に形成した両腕の基端部13a、13bに対峙する一対の接触端子14a、14bを設けた構造になっている。
【0015】
又、基部11には、その中央位置に3辺を切欠いて下部側方向に切り起こした舌片15を備えている。この舌片15は、ジャックに組み込んだときの抜け止め係止するものである。
更に、基部11に連設して設けてある接触端子14a、14bは、基部11に連結している部分の基端部13a、13bを基部11と直角する方向に切起こした起立部15a、15bを有し、この起立部15a、15bに連設してある先端部16a、16bのそれぞれが互いに向き合う同じ方向に略45度の角度を持って傾斜させた状態に形成してなる。
【0016】
先端部16a、16bは、互いに向き合う同じ方向に基部11と略45度の傾斜を持って形成され、その先端に幅広に湾曲形状に形成された接点部17a、17bを備えている。
【0017】
このような構造のフォークコンタクトは、直方体形状に形成されたジャックに接点部材の1つであるチップバネとして配置される構造となっている。
【0018】
ジャックは、図3に示すように、直方体形状に形成され、内部を中空に形成したハウジング21と、このハウジング21の中空に連設した長手方向の前面中央位置部分には、他の箇所に取り付けるためのねじ部21を外周に備え、内側が、プラグの挿入を許容するプラグ挿入口23になっている。
そして、図4〜図7に示すように、その中空の部分には、複数の接点部材であるフォークコンタクトとしてのスリーブバネ24、チップバネ25、ブレークターミナル26が後面側から挿入されて組み込まれている。
【0019】
フォークコンタクトとしてのスリーブバネ24は、ハウジングの後面であって、図6において右側の位置に設けたスリーブバネ係合部27に、一対の接触端子14a、14bを中心位置に臨ませた状態で配置し、略コ字状のチップバネ25は図6において左側の位置に設けてあるチップバネ係合部28に接点部25aを中心位置に臨ませた状態で配置し、図6において底部側の位置に設けたターミナル係合部29にブレークターミナル26を係合させて配置した構造となる。このように配置した端子においては、プラグが差し込まれていないときには、チップバネ25とブレークターミナル26が電気的に接続した状態を維持し、プラグが差し込まれると、そのプラグによってチップバネ25とブレークターミナル26とが電気的に切断した状態となり、プラグが差し込まれたことを検知することができるようになっている。
【0020】
スリーブバネ24は、一対の接触端子14a、14bのそれぞれを互いに向き合う同じ方向に略45度傾斜させて形成したことで、ハウジング21の中空に占有する面積が、傾斜させないで平板状のものが上下に占めるのに比べて、45度傾けた分だけ中空を占める面積が少なくてすむ。又、45度傾斜させたことで、プラグの差込方向に対して傾斜した状態の接触端子14a、14bが中空に臨むことになり、プラグとのコンタクトに補強強度を向上させた接触端子にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のフォークコンタクトは、二股のフォーク状に形成された一対の接触端子のそれぞれを向き合う同じ方向に略45度傾斜させて形成することで、配置スペースを少なくすると共に傾斜させた状態でプラグに接触するために、端子自体の補強強度を向上させたジャック及び、そのジャックに配置するフォークコンタクトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願発明に係るフォークコンタクトの斜視図である。
【図2】同、平面図である。
【図3】本願発明に係るフォークコンタクトを搭載したジャックの斜視図である。
【図4】同、先端側からみた側面図である。
【図5】同、平面図である。
【図6】同、背後からみた側面図である。
【図7】従来技術におけるフォークコンタクトの平面図である。
【図8】従来技術におけるフォークコンタクトを配置した導電キャップユニットの一部断面した平面図である。
【符号の説明】
【0023】
11:基部、12;リード端子、13a;基端部、13b;基端部、14a;接触端子、14b;接触端子、15a;起立部、15b;起立部、16a;先端部、16b;先端部、17a;接点部、17b;接点部、21;ハウジング、22;ねじ部、23;プラグ挿入口、24;スリーブバネ、25;チップバネ、25a;接点部、26;ブレークターミナル、27;スリーブバネ係合部、28;チップバネ係合部、29;ターミナル係合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二股のフォーク状に形成された対峙する一対の接触端子を有するフォークコンタクトであって、
前記対峙する一対の接触端子のそれぞれを向き合う同じ方向に傾斜させて形成したことを特徴とするコネクター用フォークコンタクト。
【請求項2】
前記向き合う同じ方向に傾斜させる角度は略45度である請求項1に記載のコネクター用フォークコンタクト。
【請求項3】
プラグに接触する複数の接点部材をハウジングの内部に組み込んで形成されたジャックであって、
前記複数の接点部材のうちのいずれかは、二股のフォーク状に形成された対峙する一対の接触端子のそれぞれを向き合う同じ方向に傾斜させて形成したことを特徴とするジャック。
【請求項4】
前記向き合う同じ方向に傾斜させる角度は略45度である請求項3に記載のジャック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−32093(P2006−32093A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208586(P2004−208586)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)