説明

コネクタ作業用補助具

【課題】光コネクタアダプタが配列設置されたアダプタ配列部において、光コネクタアダプタに対する光コネクタ(光コネクタプラグ)の着脱作業を効率良く行える技術の開発。
【解決手段】光コネクタアダプタ13を収納できる門形のヘッド部4の両側壁42から延出する一対の延出シート部5a、5bを具備し、一対の延出シート部5a、5bの一方又は他方に、上下多段の光コネクタアダプタ13のプラグ穴13aに対応する線番表示8が設けられているコネクタ作業用補助具1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタアダプタが上下多段に設けられているアダプタ配列部にて、前記光コネクタアダプタに対する光コネクタ(光コネクタプラグ)の接続又は抜き去りを行う際に用いて好適なコネクタ作業用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
光配線盤、光接続箱等の光機器にあっては、光コネクタアダプタを、上下左右に配列させて多数設置したアダプタ配列部を設けた構成が多く採用されている(例えば、特許文献1)。
なお、ここでは、多連の光コネクタアダプタについては、光コネクタ(光コネクタプラグ)を1つ接続できる光コネクタアダプタを複数配列させて一体化したものと見なせる。光コネクタが挿入されるプラグ穴が1つ形成されている部分を1つの光コネクタアダプタと見なすことができる。プラグ穴の数が、光コネクタアダプタの数に相当する。
【0003】
光配線盤等では、高密度化の要求に鑑みて、アダプタ配列部の高密度化が進展している。
光コネクタアダプタに接続した光コネクタは、フェルールが組み込まれている前端部が光コネクタアダプタのプラグ穴に収納される。光コネクタにおいて、光コネクタアダプタに対する挿脱作業のために、手指や、専用の作業用工具(例えば、特許文献2、3)で把持する部分は、プラグ穴に収納される前端部から後側に位置しており、光コネクタアダプタから突出される。
光コネクタアダプタが高密度に設置されたアダプタ配列部では、各光コネクタアダプタに接続した光コネクタ(光コネクタプラグ)も高密度に配列設置されることになるため、作業者が手指で直接光コネクタを把持して光コネクタアダプタに着脱するといった作業がしにくくなる。
【0004】
これに鑑みて、作業用工具(以下、コネクタ作業用工具とも言う)が提供されている(例えば、特許文献2,3)。このコネクタ作業用工具は、例えば、いわゆるSC2形光コネクタ(SC形光コネクタからつまみを省略した光コネクタプラグ)等のプッシュオン結合方式の光コネクタプラグや、SC形光コネクタ(JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiberCoupling optical fiber connector)、MU形光コネクタ(JIS C 5983に制定されるF14形光コネクタ。MU:Miniature-Unit coupling optical fiber connector)等の、プッシュプル結合方式で光コネクタアダプタと結合するタイプの光コネクタプラグに適用して、光コネクタアダプタに対する光コネクタの接続や抜き去り(特許文献2の工具は、抜き去りのみ可能)に用いることができる。
【0005】
特許文献2のコネクタ作業用工具(光コネクタ用工具)は、光コネクタアダプタに接続されている光コネクタの抜き去り用の工具である。このコネクタ作業用工具は、使用者が手で把持するためのグリップ付きの工具本体に、光コネクタの両側部に係合可能な爪が先端部に突設されている細長ピン状の一対の係合可動片を枢着してある。係合可動片の先端部の爪を、光コネクタアダプタに接続されている光コネクタの両側部に係合させて、光コネクタを一対の係合可動片の先端部の間に把持した状態で、光コネクタアダプタから引っ張ることができる。また、このコネクタ作業用工具は、工具本体から延出する一対の細長片である差込片を、光コネクタアダプタに接続されている光コネクタの両側部に沿わせるようにして光コネクタアダプタに向けて押し込んでいくことで、光コネクタに係合している光コネクタアダプタの係合爪(弾性爪)を押し動かして係合を解除できる。
特許文献3のコネクタ作業用工具(光コネクタ着脱工具)は、光コネクタアダプタに接続されている光コネクタの抜き去り、及び、光コネクタアダプタに対する光コネクタの挿入、接続、の両方の作業を行える。このコネクタ作業用工具も、使用者が手指で把持するためのグリップ付きの工具本体と、工具本体に枢着され、光コネクタに係合可能な爪が先端に突設されている細長ピン状の一対の係合可動片と、光コネクタに係合している光コネクタアダプタの係合爪(弾性爪)を押し動かして係合を解除する係合解除用の細長片である一対の差込片とを具備している点では、上述の特許文献2のコネクタ作業用工具と同様である。但し、特許文献3に係るコネクタ作業用工具は、一対の差込片を、工具本体からの突出寸法を縮小するように移動操作して、差込片先端を、光コネクタに対する光コネクタアダプタの係合爪の係合の障害とならない位置に待避させることが可能である。
特許文献2,3のようなコネクタ作業用工具の係合可動片、差込片は、いずれも細長の部材であり、アダプタ配列部において、光コネクタアダプタに接続された光コネクタが、多数、高密度に配列された状況であっても、光コネクタアダプタの近くにまで容易に挿入でき、光コネクタアダプタに対する光コネクタの接続や抜き去り(特許文献2の工具は、抜き去りのみ可能)といった作業の作業性を確保できる。
【特許文献1】特開2001−133636号公報
【特許文献2】特開2000−329946号公報
【特許文献3】特開2002−023012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、アダプタ配列部に、光コネクタアダプタに接続された光コネクタが、多数、高密度に配列された状況では、前記光コネクタの光コネクタアダプタから突出した部分(後端)から下方へ湾曲して垂れ下がるように延出する光ファイバが、前記光コネクタから下方に位置する光コネクタアダプタを覆うようにして、アダプタ配列部の近傍に高密度に配線される。このため、以下のような問題があった。
(1)光コネクタアダプタが、アダプタ配列部の近傍に配線された光ファイバによって隠されてしまう。このため、光コネクタが接続されていない空きのプラグ穴の位置確認や、抜き去り対象の光コネクタの位置確認が簡単ではなく、上述のようなコネクタ作業用工具を用いても作業性の向上に限界がある。光コネクタが接続されていない空きのプラグ穴が互いに隣り合って複数存在する場合は、光コネクタの誤接続が発生する可能性が比較的高くなるため、念入りな作業確認を要するなど、手間が掛かる。
(2)上述のコネクタ作業用工具のコネクタ作業用工具の係合可動片、差込片は、いずれも細長であるため、光コネクタアダプタに接続されている光コネクタから垂れ下がる光ファイバによって光コネクタアダプタが覆われている状況であっても、光コネクタアダプタの近くに挿入すること自体は容易である。しかし、工具に接触する光ファイバが工具の操作の邪魔になり、作業性に影響を与える。
なお、アダプタ配列部の下側に行くほど、光コネクタアダプタに接続されている光コネクタから垂れ下がる光ファイバの本数が多くなる。このため、特に、アダプタ配列部の下部に位置する光コネクタアダプタについては、上述の(1)、(2)の問題が発生しやすくなる。
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みて、アダプタ配列部の光コネクタアダプタに接続された光コネクタから下方へ延出する光ファイバが、前記光コネクタから下方に位置する光コネクタアダプタを覆うようにしてアダプタ配列部の近傍に配線されている状況であっても、アダプタ配列部の光コネクタアダプタに対する光コネクタの接続、抜き去りの作業性を容易に確保でき、しかも、光コネクタアダプタに対する光コネクタの接続あるいは抜き去りの作業中に、光コネクタアダプタの位置確認(線番識別)を容易に行えるコネクタ作業用補助具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
本発明では、光コネクタアダプタが上下多段に設けられているアダプタ配列部にて、前記光コネクタアダプタに対する光コネクタの着脱作業に用いられるコネクタ作業用補助具であって、前記光コネクタアダプタを収納可能な門形に形成されたヘッド部と、ヘッド部の内側空間を介して両側の側壁から延出する一対の延出シート部とを具備し、前記ヘッド部に光コネクタアダプタを収納したときに、前記ヘッド部に収納された前記光コネクタアダプタに接続されている光コネクタから延出する光ファイバを、前記ヘッド部の両側の側壁及び両側壁から延出する一対の延出シート部の間に確保された作業用空間に通せるようになっており、前記一対の延出シート部は、ヘッド部から遠い側ほど互いの距離が拡がる末広がりに設けられ、一方又は両方の延出シート部には、上下多段の前記光コネクタアダプタに対応する線番表示が、前記作業用空間の側から視認可能に設けられ、前記ヘッド部又は前記延出シート部には、前記アダプタ配列部に突設されている位置決め部材上に載せることで、前記線番表示を、前記ヘッド部の内側の各光コネクタアダプタに対応する位置に位置決めするための位置決め部が設けられていることを特徴とするコネクタ作業用補助具を提供する。
第2の発明は、前記延出シート部が透明又は半透明の樹脂製シートであり、延出シート部を介して作業用空間とは反対側の光ファイバを作業用空間側から透視可能になっていることを特徴とする第1の発明のコネクタ作業用補助具を提供する。
第3の発明は、前記ヘッド部及び前記延出シート部を含む全体が、一枚のシートによって形成されていることを特徴とする第1又は第2の発明のコネクタ作業用補助具を提供する。
第4の発明は、前記光コネクタアダプタは、補助具載せ台の上側に設けられたアダプタ支持部材に上下多段に取り付けられ、前記ヘッド部の両側の側壁を連結する連結壁が上端、前記両側壁の連結壁とは反対側の端部が下端となる向きで、前記ヘッド部を前記補助具載せ台上に載せて前記下端を前記補助具載せ台の上面に当接させ、前記ヘッド部の前記内側空間に前記光コネクタアダプタを収納することで、前記線番表示が各光コネクタアダプタに位置決めされるようになっており、前記補助具載せ台が位置決め部材として機能することを特徴とする第1〜3のいずれかの発明のコネクタ作業用補助具を提供する。
第5の発明は、前記ヘッド部の一対の側壁を連結する連結壁を、前記ヘッド部の内側空間に収納した光コネクタアダプタに上から当接させることで、前記線番表示が各光コネクタアダプタに位置決めされるようになっており、前記光コネクタアダプタが位置決め部材として機能することを特徴とする第1−第3のいずれかの発明のコネクタ作業用補助具を提供する。
第6の発明は、前記ヘッド部は、一対の側壁を連結する連結壁の外面側に突設された弾性片を有し、前記ヘッド部に光コネクタアダプタを収納したときに、前記弾性片が、前記ヘッド部に収納された光コネクタアダプタの上方に設けられている、前記アダプタ支持部材に対して固定の弾性片当接部材を押圧することで前記ヘッド部を前記位置決め部材に付勢することを特徴とする第4又は第5の発明のコネクタ作業用補助具を提供する。
第7の発明は、前記弾性片が前記ヘッド部に対して着脱可能であり、前記弾性片を、前記弾性片当接部材と前記位置決め部材との間の距離に応じて選択使用できることを特徴とする第6の発明のコネクタ作業用補助具を提供する。
第8の発明は、前記延出シート部に、前記ヘッド部に収納した光コネクタアダプタに接続されている光コネクタから延出され前記作業用空間に通される光ファイバを前記延出シート部に離脱可能に引き留めるファイバ留め具が設けられていることを特徴とする第1〜7のいずれかの発明のコネクタ作業用補助具を提供する。
第9の発明は、前記ファイバ留め具が、一対の前記延出シート部の一方又は両方の前記作業用空間に臨む側に設けられていることを特徴とする第8の発明のコネクタ作業用補助具を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るコネクタ作業用補助具は、門形のヘッド部の内側に、アダプタ配列部の光コネクタアダプタを収納し、ヘッド部から延出する一対の延出シート部が、アダプタ配列部から遠い側に行くほど互いの距離が拡がる末広がりとなる向きで、使用する。この使用状態(ヘッド部の内側に光コネクタアダプタを収納した状態)にしたときには、ヘッド部の内側に収納した光コネクタアダプタに対する光コネクタの着脱(挿脱)作業を、ヘッド部の両側壁及び各側壁から延出する一対の延出シート部間に確保された作業用空間を利用して行える。
ヘッド部内に収納した光コネクタアダプタに光コネクタが接続されている場合は、この光コネクタから延出する光ファイバを、前記作業用空間に通すことができる。その一方、アダプタ配列部において、ヘッド部内に収納した光コネクタアダプタと横並びに隣り合う光コネクタアダプタに接続されている光コネクタから延出する光ファイバについては、一対の延出シート部によって、作業用空間に入り込むことを規制できる。一対の延出シート部は、ヘッド部から遠い側ほど互いの距離が拡がる末広がりに設けられているため、ヘッド部の内側に収納した光コネクタアダプタに対する光コネクタの着脱(挿脱)作業を行うに充分な広さの作業用空間を容易に確保できる。この結果、ヘッド部内に収納した光コネクタアダプタに対する光コネクタの着脱(挿脱)の作業性を向上できる。
【0010】
また、本発明に係るコネクタ作業用補助具は、位置決め部を、アダプタ配列部の位置決め部材上に載せることで、一方又は両方の延出シート部に設けられた線番表示が、ヘッド部内側の光コネクタアダプタに対応する位置に位置決めされる。例えば、特許文献2、3のようなコネクタ作業用工具の、一対の係合可動片によって、光コネクタアダプタに接続されている光コネクタを把持したとき、線番表示によって、一対の係合可動片が把持した光コネクタの位置(線番)を特定できる。また、一対の係合可動片によって把持した光コネクタを、光コネクタが接続されていない空きの光コネクタアダプタに接続する場合も、線番表示によって、光コネクタの位置(線番)を把握できる。
このコネクタ作業用補助具を、使用状態(ヘッド部の内側に光コネクタアダプタを収納した状態)にしたときには、ヘッド部内に収納された光コネクタアダプタが、作業者側から見て、コネクタ作業用補助具の最も奥側に位置することになるが、線番表示によって、光コネクタアダプタの位置(線番)を容易に把握できる。
光コネクタアダプタに対する光コネクタの接続あるいは抜き去りの作業中に、光コネクタアダプタの位置確認(線番識別)を容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施したコネクタ作業用補助具について、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るコネクタ作業用補助具1を示す図であって、(a)は平面図、(b)は後側(前側のヘッド部4とは反対の側)から見た斜視図、(c)はヘッド部4側(前側)から見た斜視図、図2(a)、(b)はコネクタ作業用補助具1を構成するシート2を示す展開図である。
【0012】
また、図3、図4は、コネクタ作業用補助具1を、光配線盤11のアダプタ配列部12に適用した使用状態を示す図であって、図3は斜視図、図4は側面図である。
図示例のアダプタ配列部12は、多連(図示例では8連)の光コネクタアダプタ13を、プラグ穴13aが上下多段に配列される向きで、取り付けパネル14に複数、横並びに取り付けて、配列設置したものである。取り付けパネル14(アダプタ支持部材)には、上下方向に細長く延在する光コネクタアダプタ13が、複数横並びに配列設置されている。
図4に示すように、光配線盤11は、取り付けパネル14、後述の台板12a、配線棚19を含む、ユニット11aを上下多段に設けた構成になっている。各ユニット11aは、光配線盤11の図示略のフレームに固定されている。
なお、光配線盤11,ユニット11aについて、図3、図4において、取り付けパネル14を介して一方の側(配線棚19が設けられている側)を前面側、他方の側を背面側と称することとする(図3、図4の矢印を参照)。
【0013】
各光コネクタアダプタ13には、背面側から、光ファイバ15の先端に取り付けられた光コネクタ16(光コネクタプラグ)が接続されている。また、この光コネクタアダプタ13には、前面側から、光ファイバ17の先端に取り付けられている光コネクタ18(光コネクタプラグ)が、着脱可能に接続される。光コネクタ18は、光コネクタアダプタ13の前面側から、該光コネクタアダプタ13のプラグ穴13aに挿入して接続される。光コネクタ18を光コネクタアダプタ13に接続することで、光コネクタアダプタ13内にて、光ファイバ15、17同士がコネクタ接続される。
光コネクタ16,18は、光コネクタアダプタ13に対して着脱可能であることは言うまでも無い。
【0014】
多連の光コネクタアダプタ13については、光コネクタ(光コネクタプラグ)を1つ接続できる光コネクタアダプタ(単位アダプタ)を複数配列させて一体化したものと見なせる。光コネクタ18が挿入されるプラグ穴13aが1つ形成されている部分を1つの光コネクタアダプタ(単位アダプタ)と見なすことができる。プラグ穴の数が、光コネクタアダプタの数に相当する。
【0015】
光コネクタ18としては、例えば、いわゆるSC2形光コネクタ(SC形光コネクタからつまみを省略した光コネクタプラグ)等の、プッシュオン結合方式の光コネクタプラグであるが、SC形光コネクタ(JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiberCoupling optical fiber connector)、MU形光コネクタ(JIS C 5983に制定されるF14形光コネクタ。MU:Miniature-Unit coupling optical fiber connector)等の、プッシュプル結合方式で光コネクタアダプタと結合するタイプの光コネクタプラグ、なども採用可能である。
光コネクタアダプタは、光コネクタ18の構造に対応して、光コネクタ18の着脱可能な接続が可能なものを採用することは言うまでも無い。
【0016】
図4に示すように、図示例の光配線盤1のアダプタ配列部12の前面側には、取り付けパネル14から前面側に張り出すように突設された台板12a(補助具載せ台)と、この台板12aの前端(取り付けパネル14からの突出先端)に、上下回転可能に枢着された配線棚19とが設けられている。
光コネクタアダプタ13は、台板12aよりも上側にて、取り付けパネル14に開口された取り付け窓14aに収納して取り付けられている。
【0017】
配線棚19は、台板12aに枢着された棚板19aと、この棚板19a上に該棚板19aの前記台板12aとは反対側の端部に突設された脱落防止壁19bとを具備する。脱落防止壁19bは、棚板19a上に配線された光ファイバ17の棚板19aから前面側への脱落を防止する。
そして、この配線棚19は、図示略のストッパによって、棚板19aが、台板12aの前側(前面側)に台板12aと連続するように水平(あるいはほぼ水平)に支持される第1支持位置と、この第1支持位置から下方に回転させ、棚板19aが台板12a前端から前面側へ斜め下方に傾斜した状態となる第2支持位置とに支持される。また、回転によって、第1支持位置と第2支持位置とを自在に切り換えることができる。
配線棚19には、各光コネクタアダプタ13に前面側から接続された光コネクタ18から延出する光ファイバ17が配線される。
【0018】
図1(a)〜(c)、図2(a)、(b)に示すように、前記コネクタ作業用補助具1は、一枚の樹脂製シート2の折り曲げ成形によって、前記光コネクタアダプタ13を収納可能な門形に形成されたヘッド部4と、ヘッド部4の内側空間41を介して両側の側壁42から延出する一対の延出シート部5a、5bとを形成してなる、補助具本体3を具備する。
【0019】
また、延出シート部5a、5bには、それぞれ、ファイバ留め具6が設けられている。このファイバ留め具6は、具体的には面ファスナーであり、延出シート部5a、5bに取り付けた面ファスナー半体6aと、この面ファスナー半体6aに着脱可能の、もう一枚の面ファスナー半体6bとからなる、2枚一対の面ファスナー半体6a、6bで構成されている。そして、このファイバ留め具6は、一対の面ファスナー半体6a、6bの間に、光コネクタ18から延出する光ファイバ17(ここでは具体的には、光ファイバコード)を挟み込んで保持できる。また、一対の面ファスナー半体6a、6bの間に光ファイバ17を保持したファイバ留め具6は、補助具本体3(具体的には延出シート部)に取り付けられている面ファスナー半体6aから、該面ファスナー半体6aに重ね合わせるようにして取り付けられた面ファスナー半体6bを剥がすことで、光ファイバ17を簡単に取り出すことができる。
【0020】
図示例のファイバ留め具6は、補助具本体3(具体的には延出シート部)の上下方向(図1(b)、(c)、図3における上下)に延在するようにして取り付けた細長帯状の面ファスナー半体6aと、この面ファスナー半体6aに着脱される帯状の面ファスナー半体6bとで構成されているが、これに限定されず、例えば、補助具本体3(具体的には延出シート部)の上端(図1(b)、(c)、図3における上側の端部)のみに取り付けて設置した帯状の面ファスナー半体6aと、面ファスナー半体6aに着脱される帯状の面ファスナー半体6bとからなる構成であっても良い。
また、一方の面が雄側、反対側の面が前記一方の面に係脱可能に面接合させることができる雌側になっている、一枚の面ファスナーによって、光ファイバ17を巻くようにして保持できるようにした構成のファイバ留め具も採用可能である。
【0021】
なお、図中、符号61は、面ファスナー半体6aを補助具本体3(具体的には延出シート部)に取り付けるためのリベット状の取り付け部材である。但し、面ファスナー半体6aを補助具本体3(具体的には延出シート部)に取り付けるための取り付けは、例えば、接着剤による接着固定や、帯状に形成された面ファスナー半体6aの、補助具本体3(具体的には延出シート部)に形成したスリットへの挿通等であっても良い。
【0022】
ヘッド部4は、連結壁43と、この連結壁43の両側から延出され、互いに離隔して設けれた一対の側壁42とを具備する、門形に形成されている。連結壁43は、一対の側壁42を連結する機能を果たす。
なお、両側壁42間の離隔距離は、上下方向に細長の光コネクタアダプタ13の左右(前面側から見て左右)両側の側面間の距離に揃えてある。このため、光コネクタアダプタ13をヘッド部4の内側に収納したときには、両側壁42が、光コネクタアダプタ13の両側に当接されるか、あるいは、微小な隙間を介して接近配置される。
【0023】
また、前記ヘッド部4は、連結壁43から、連結壁43及び両側壁42によって囲まれる内側空間41とは反対の側に突設された弾性片44を具備する。この弾性片44も、補助具本体3を構成するシート2の一部であり、連結壁43から内側空間41とは反対の側に折り曲げられた舌片状になっている。
【0024】
一対の延出シート部5a、5bは、ヘッド部4から遠い側(後側)ほど互いの距離が拡がる末広がりに形成されている。さらに詳細には、一対の延出シート部5a、5bは、ヘッド部4から遠い側(後側)ほど互いの距離が拡がる末広がりに湾曲成形されている。
【0025】
コネクタ作業用補助具1の補助具本体3は、ヘッド部4の側壁42と延出シート部とが一体となっている一対の側板部3aが、ヘッド部4の連結壁43によって連結されている概略構造になっている。
一対の側板部3aの間には、光コネクタアダプタ13、該光コネクタアダプタ13に前面側から接続された光コネクタ18を収納できる作業用空間7が確保されている。この作業用空間7には、光コネクタアダプタ13に前面側から接続された光コネクタ18から延出する光ファイバ17(具体的には、光ファイバコード)を通すことができる。
ヘッド部4の内側空間41は、作業用空間7の一部である。
【0026】
また、両方の延出シート部5a、5bには、前記光コネクタアダプタ13の上下多段のプラグ穴13aの線番照合用の線番表示8が、前記作業用空間7の側から視認可能に設けられている。線番表示8は、上下(図1(b)、(c)、図3、図4において上下)多段に設けられている。ここでは、線番表示8は、光コネクタアダプタ13の複数のプラグ穴13aと対応するように、プラグ穴13aと同じ配列ピッチで、プラグ穴13aと同じ数、形成されている。但し、これに限定されず、例えば、光コネクタアダプタ13のプラグ穴13aよりも多くの数の線番表示8を上下多段に形成することも可能である(但し、上下の配列ピッチは、プラグ穴13aと同じとする)。
【0027】
線番表示8は、延出シート部5a、5bの作業用空間7に臨む側の面に、印刷等によって設けられる。
但し、コネクタ作業用補助具1の補助具本体3を形成するシート2としては、透明又は半透明の樹脂製シートを用いることができ、この場合は、延出シート部5a、5bの作業用空間7とは反対側の面からも、線番表示8の視認が可能である。また、この場合は、コネクタ作業用補助具1の外側に配線されている光ファイバ17の状態の視認も容易になるため、コネクタ作業用補助具1の光コネクタアダプタ13に対する挿脱作業の際に、光ファイバ17に急激な曲げ等を与えないようにする、といったことが容易となる。
【0028】
図3、図4に示すように、前記コネクタ作業用補助具1は、アダプタ配列部12の前面側から取り付けパネル14に接近させて行き、ヘッド部4に作業対象の光コネクタアダプタ13を収納して使用する(図示例では、光コネクタアダプタ13を一つのみ収納する)。
このとき、前記ヘッド部4の両側の側壁42を連結する連結壁43が上端、前記両側壁42の連結壁43とは反対側の端部42a(下端)が下端となる向きで、前記ヘッド部4を前記台板12a上に載せ、前記下端42aを前記台板12a上面に当接させる。
ヘッド部4の両側壁42の上下方向寸法は、光コネクタアダプタ13の上下方向寸法よりも大きく、前記コネクタ作業用補助具1は、ヘッド部4を台板12aに載せて該ヘッド部4の内側に光コネクタアダプタ13を収納したとき(使用状態としたとき)に、連結壁43が光コネクタアダプタ13よりも上側に位置し、光コネクタアダプタ13に当接しないようになっている。
【0029】
ヘッド部4を台板12aに載せて該ヘッド部4の内側に光コネクタアダプタ13を収納する(使用状態にする)と、延出シート部5a、5bに設けられている線番表示8が光コネクタアダプタ13の各プラグ穴13a(要するに、多連の光コネクタアダプタを構成する単位アダプタのプラグ穴)に位置決めされる。
このとき、台板12aが、コネクタ作業用補助具1を位置決めするための位置決め部材として機能する。
【0030】
また、前記コネクタ作業用補助具1は、前記ヘッド部4に光コネクタアダプタ13を収納したときに、光配線盤11において前記光コネクタアダプタ13の上方に設けられている弾性片当接部材11cに前記弾性片44が押圧されて弾性変形され、弾性変形された前記弾性片44が前記弾性片当接部材11cを押圧することで前記ヘッド部4を台板12aに付勢する。これにより、コネクタ作業用補助具1が確実に台板12aに押し付けられて、台板12aから上方への浮き上がりが防止され、上下方向の位置決めが確実になされる。各線番表示8の、光コネクタアダプタ13の各プラグ穴13aに対する位置決めも確実になされる。
【0031】
図示例のコネクタ作業用補助具1の弾性片44は、連結壁43の前端(前側端部)からコネクタ作業用補助具1の後側に傾斜するように立設された突片であり、弾性片当接部材11cに当接されることで連結壁43に接近するように押し倒されて弾性変形され、これにより、ヘッド部4を台板12aに弾性付勢するようになる。弾性片44は、隙間11bの上下寸法に対して、ある程度の汎用性があるが、ヘッド部4の台板12aへの弾性付勢を実現するために、隙間11bの上下寸法に対応して、適切寸法のものを採用することは言うまでもない。
台板12aは、線番表示8が、前記ヘッド部の内側の各光コネクタアダプタに対応する位置となるように、コネクタ作業用補助具1を位置決めするための位置決め部として機能する。但し、位置決め部としては、台板に限定されず、ユニットに設けられている他の部材であっても良い。
【0032】
図3、図4においては、弾性片当接部材11cとして、コネクタ作業用補助具1のヘッド部4に収納した光コネクタアダプタ13が設けられているユニット11aと、上下方向に隣り合う上側のユニット11aの底板を採用している。しかし、弾性片当接部材11cとしては、これに限定されず、光コネクタアダプタ13を収納したヘッド部4の弾性片44の弾性変形が可能なように、光コネクタアダプタ13の上方に設置され、弾性片44の弾性によるコネクタ作業用補助具1の、下方の台板12aへの弾性付勢を可能とするものであれば良く、例えば、取り付けパネル14から突設された突片等であっても良い。
【0033】
図1(a)〜(c)等に例示したコネクタ作業用補助具1では、ヘッド部4の両側壁42の前端が、連結壁43よりも前側に突出されている。換言すれば、ヘッド部4における連結壁43の位置が、補助具本体3の前端から後側へずらされている。
この構成であれば、弾性片44の付勢力がヘッド部4の前端に偏在しにくくなるため、コネクタ作業用補助具1の台板12aへの弾性付勢による位置決めをより確実に行える。
【0034】
但し、ヘッド部4の連結壁43の位置は、例えば図6〜図10のように、補助具本体の前端であっても良い。
この場合、前記コネクタ作業用補助具1は、前記ヘッド部4に光コネクタアダプタ13を収納したときに、前記ヘッド部4に収納された光コネクタアダプタ13と、光配線盤11において前記光コネクタアダプタ13の上方に設けられている弾性片当接部材11cとの間に確保された隙間11bに、前記ヘッド部4の連結壁43と弾性片44とが入り込み、弾性変形された前記弾性片44が前記弾性片当接部材11cを押圧することで前記ヘッド部4を台板12aに付勢して、上下方向の位置決めが確実になされる。
また、取り付けパネル14に光コネクタアダプタが上下に離隔して多段に設けられている場合、上下の光コネクタアダプタ間の隙間を、ヘッド部4の連結壁43と弾性片44とが入り込む隙間として機能させ、この隙間の上側の光コネクタアダプタを弾性片当接部材として機能させる、といったことも可能である。
【0035】
光コネクタ18が接続されている光コネクタアダプタ13をヘッド部4に収納したときには、前記光コネクタアダプタ13に接続されている光コネクタ18から延出する光ファイバ17が、コネクタ作業用補助具1の両側板部3aの間に確保された作業用空間7に通される。
このコネクタ作業用補助具1では、作業用空間7に通された光ファイバ17を、ファイバ留め具6によって延出シート部に引き留めることができる。図示例では、具体的には、両側の延出シート部5a、5bに設けられているファイバ留め具6の内、片側のファイバ留め具6を選択して、ファイバ留め具6を構成する一対の面ファスナー半体6a、6bの間に、光ファイバ17を挟み込む。
ファイバ留め具6は、延出シート部5aの後端部、すなわち、ヘッド部4からの延出シート部5aの延出方向先端部に設けられている。このため、ファイバ留め具6によって引き留めた光ファイバ17は、作業用空間7内において、ファイバ留め具6が設けられている延出シート部5aに沿って配線されることとなる。したがって、作業用空間7内での作業に光ファイバ17が邪魔になるといった不都合を防止できる。ヘッド部4に光コネクタアダプタ13を収納したコネクタ作業用補助具1の後側からの、作業用空間7内の光コネクタアダプタ13のプラグ穴13aの視認も容易となる。
特に、光コネクタアダプタ13に接続されている光コネクタ18の内、抜き去り対象の光コネクタ18よりも上側にて光コネクタアダプタ13に接続されている光コネクタ18から延出する光ファイバ17や、光コネクタアダプタ13において光コネクタ18を挿入して接続する作業対象の空きのプラグ穴13aの上側に接続されている光コネクタ18から延出する光ファイバ17を、ファイバ留め具6によって引き留めておくことで、作業性を向上できる。
【0036】
なお、ユニット11aにあっては、光コネクタアダプタ13に接続されている光コネクタ18から延出する光ファイバ17を配線棚19に配線するが、配線棚19に配線した光ファイバ17は、ユニット11a前面側から見て左右方向に延在する配線棚19の延在方向(図3中矢印A)の片端から、該片端を延出口として延出される。
光ファイバ17は、光コネクタアダプタ13に接続されている光コネクタ18から、前記配線棚19の光ファイバ17が延出される延出口に引っ張られる傾向があり、延出口とは反対側へは湾曲させにくい。このため、光コネクタアダプタ13をヘッド部4に収納したコネクタ作業用補助具1の左右の延出シート部5a、5bに設けられているファイバ留め具6の内、前記配線棚19の光ファイバ17が延出される延出口に近い側を選択して、光ファイバ17を引き留めることが、作業用空間7内の視野確保等の点で、より好適である。その他、光ファイバ17の配線方向の制約等に応じて、適宜、左右の延出シート部5a、5bのファイバ留め具6を選択使用することができる。
図11は、図3とは反対側のファイバ留め具6を選択使用した例である。
本発明は、延出シート部5a、5bの一方のみにファイバ留め具を具備する構成を排除するものでは無いが、上述のように、延出シート部5a、5bの両方にファイバ留め具を具備する構成であれば、ユニット11aの配線棚19からの光ファイバ17の延出方向等に応じてファイバ留め具を選択使用でき、視野確保等による作業性の向上をより確実に実現できるといった利点がある。
【0037】
図4中、符号9はコネクタ作業用工具を示す。このコネクタ作業用工具9は、例えば、特許文献2、3に例示したものを使用できる。
図5は、特許文献2と同様の、抜き去り用の工具である。
図5に例示したコネクタ作業用工具9は、使用者が手で把持するためのグリップ91付きの棒状の工具本体92から互いの長手方向を揃えて延出する一対の細長片である差込片95に、光コネクタ18の両側部に係合可能な爪93aが先端部に突設されている細長ピン状の一対の係合可動片93を、それぞれ枢軸94によって枢着してある。係合可動片93の先端部の爪93aを、光コネクタアダプタ13に接続されている光コネクタ18の両側部に係合させて、光コネクタ18を一対の係合可動片93の先端部の間に把持した状態で、光コネクタアダプタ13から引っ張ることができる。また、このコネクタ作業用工具9は、工具本体92から延出する一対の細長片である差込片95を、光コネクタアダプタ13に接続されている光コネクタ18の両側部に沿わせるようにして光コネクタアダプタ13に向けて押し込んでいくことで、光コネクタ18に係合している光コネクタアダプタ13の係合爪(弾性爪)を押し動かして、光コネクタ18に対する係合を解除できる。
なお、図中符号96はスプリングであり、一対の係合可動片93を、前記枢軸94からグリップ91側の部分を工具本体92に接近させるように操作したときに圧縮変形されて、係合可動片93を付勢力によって差込片95に並行するように押し戻す役割を果たす。
【0038】
コネクタ作業用工具9は、ヘッド部4に光コネクタアダプタ13を収納した状態(使用状態)のコネクタ作業用補助具1の作業用空間7に、コネクタ作業用補助具1の後側から挿入して、光コネクタアダプタ13に接続されている光コネクタ18の光コネクタアダプタ13からの抜き去りに使用できる。
光コネクタアダプタ13に接続されている光コネクタ18に、コネクタ作業用工具9の一対の係合可動片93の先端部の爪93aを係合させたときに、この工具9の一部、例えば、工具本体92と、コネクタ作業用補助具1の線番表示8との位置照合によって、コネクタ作業用工具9の一対の係合可動片93を係合させた光コネクタ18の位置(線番)確認を行うことができる。
【0039】
細長形状の工具本体92に、細長形状の係合可動片93と細長形状の差込片95とを設けた構造のコネクタ作業用工具9は、全体としても細長の構成であり、上下多段の線番表示8に対する位置照合を容易に行える。
また、図示例のコネクタ作業用補助具1では、線番表示8が上下多段に形成された表示列を、延出シート部の前後方向(コネクタ作業用補助具1の前後方向)の複数箇所に設けた構成であるため、コネクタ作業用工具9と各表示列の線番表示8との照合によって、光コネクタ18の位置(線番)確認をより正確に行える。光コネクタ18に係合させたコネクタ作業用工具9の上下方向への傾動による照合ミスを防ぐことができる。
コネクタ作業用補助具1の作業用空間7にコネクタ作業用工具9を挿入すれば、コネクタ作業用補助具1の前端側に収納されている光コネクタ18自体の目視はしにくくなるが、このコネクタ作業用補助具1にあっては、線番表示8を利用することで、光コネクタ18の位置(線番)確認を容易に行える。
【0040】
コネクタ作業用工具としては、例えば特許文献3のような着脱工具や、接続専用工具の採用も可能であることは言うまでも無い。
この場合は、一対の係合可動片の先端部に把持した光コネクタ18を、光コネクタアダプタ13の空きのプラグ穴13aに挿入したときに、工具の一部、例えば、工具本体と、コネクタ作業用補助具1の線番表示8との位置照合によって、コネクタ作業用工具9の先端に把持した光コネクタ18の位置(線番)確認を行うことができる。
これにより、空きのプラグ穴13aが複数存在する場合であっても、間違うことなく、光コネクタアダプタ13に対する光コネクタ18の接続を行うことができる、といった利点がある。
【0041】
(別態様1)
図6は、ヘッド部4の形状を変更し、前記弾性片当接部材11cに当接されて弾性変形された弾性片44によって、ヘッド部を押圧することで前記ヘッド部4の連結壁43を、ヘッド部4に収納した光コネクタアダプタ13に上から弾性付勢するようにしたものである。弾性片44は、光コネクタアダプタ13と該光コネクタアダプタ13の上側の弾性片当接部材11cとの間の隙間11bに挿入されて弾性変形されて、前記ヘッド部4の連結壁43を光コネクタアダプタ13に弾性付勢する。線番表示8の位置は、ヘッド部4の連結壁43が光コネクタアダプタ13に当接したときに、光コネクタアダプタ13の各プラグ穴13aに対応する位置となるように設定する。
この場合は、光コネクタアダプタ13自体が、線番表示8が前記ヘッド部の内側の各光コネクタアダプタに対応する位置となるように、コネクタ作業用補助具1を位置決めするための位置決め部として機能する。
また、必ずしも、ヘッド部4を台板12aに当接させる必要が無いため、ユニット11aの寸法に対する汎用性が高い。
【0042】
(別態様2)
図7、図8(a)〜(c)は、弾性片44が着脱されるヘッド部4Aを具備した構成のコネクタ作業用補助具を例示している。
ヘッド部4Aは、連結壁43と、この連結壁43の両側から延出され、互いに離隔して設けれた一対の側壁42とを具備する、門形に形成されている。但し、弾性片44は、ヘッド部4Aに着脱可能な着脱片に設けられており、着脱片をヘッド部4Aに固定することで、ヘッド部4Aの連結壁43上(連結壁の外面側。連結壁43を介して一対の側板部3aの間の作業用空間7とは反対の側)に突設される。
【0043】
図示例では、ヘッド部4Aの連結壁43を含む上部を収納するようにして、着脱可能に嵌合される門形の嵌合部材45上に弾性片44を突設した、着脱片46を例示している
このように、弾性片44を、ヘッド部4Aに着脱可能とした構成であれば、上記隙間11bの上下寸法に対応して、コネクタ作業用補助具の位置決め部への弾性付勢を実現できる弾性片を選択使用することが容易になる。
例えば、図9、図10(a)〜(c)に示すように、前記嵌合部材45に、ヘッド部4Aの連結壁43と並行に配置される弾性プレート47(例えば、スポンジ状のもの等)を弾性片44として取り付けた構成の着脱片48等も採用可能である。
着脱片は、ヘッド部に対して着脱可能であれば良く、ヘッド部に対する固定構造は適宜選択可能である。
また、図7〜図10(a)〜(c)のように、弾性片を具備する着脱片が着脱されるヘッド部4Aを具備する構成は、図1等に例示したコネクタ作業用補助具についても適用可能である。
【0044】
図6〜図10(a)〜(c)のコネクタ作業用補助具では、ファイバ留め具の図示を省略している。これらのコネクタ作業用補助具においても、図1等に例示したコネクタ作業用補助具と同様に、ファイバ留め具を設置することができることは言うまでも無い。
ファイバ留め具6としては、面ファスナーを利用したものに限定されず、例えば、樹脂製の押さえ板、樹脂製リング等であっても良い。また、延出シート部自体に、光ファイバを離脱可能に嵌め込むことができる切り欠き状の嵌め込み凹部を形成して、延出シート部自体を、ファイバ留め具として機能させるといったことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るコネクタ作業用補助具を示す図であって、(a)は平面図、(b)は後側(前側のヘッド部とは反対の側)から見た斜視図、(c)はヘッド部側(前側)から見た斜視図である。
【図2】(a)、(b)はコネクタ作業用補助具を構成するシート2を示す展開図であり、(a)は外面側(作業用空間とは反対の側)、(b)は作業用空間に臨む側を示す。
【図3】コネクタ作業用補助具を、光配線盤のアダプタ配列部に適用した使用状態を示す斜視図である。
【図4】コネクタ作業用補助具を、光配線盤のアダプタ配列部に適用した使用状態を示す側面図である。
【図5】コネクタ作業用工具の例を示す平面図である。
【図6】本発明の別態様を示す図であって、
【図7】弾性片を、ヘッド部に着脱可能とした、コネクタ作業用補助具の例を示す図である。
【図8】(a)〜(c)は、図7のコネクタ作業用補助具の構造を示す図である。
【図9】弾性片を、ヘッド部に着脱可能とした、コネクタ 作業用補助具の例を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、図9のコネクタ作業用補助具の構造を示す図である。
【図11】図3とは反対側のファイバ留め具に光ファイバを保持した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1…コネクタ作業用補助具、2…シート、4、4A…ヘッド部、41…内側空間、42…側壁、42a…下端、43…連結壁、44…弾性片、5a,5b…延出シート部、6…ファイバ留め具、7…作業用空間、8…線番表示、9…コネクタ作業用工具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタアダプタが上下多段に設けられているアダプタ配列部にて、前記光コネクタアダプタに対する光コネクタの着脱作業に用いられるコネクタ作業用補助具であって、
前記光コネクタアダプタを収納可能な門形に形成されたヘッド部と、ヘッド部の内側空間を介して両側の側壁から延出する一対の延出シート部とを具備し、前記ヘッド部に光コネクタアダプタを収納したときに、前記ヘッド部に収納された前記光コネクタアダプタに接続されている光コネクタから延出する光ファイバを、前記ヘッド部の両側の側壁及び両側壁から延出する一対の延出シート部の間に確保された作業用空間に通せるようになっており、
前記一対の延出シート部は、ヘッド部から遠い側ほど互いの距離が拡がる末広がりに設けられ、一方又は両方の延出シート部には、上下多段の前記光コネクタアダプタに対応する線番表示が、前記作業用空間の側から視認可能に設けられ、
前記ヘッド部又は前記延出シート部には、前記アダプタ配列部に突設されている位置決め部材上に載せることで、前記線番表示を、前記ヘッド部の内側の各光コネクタアダプタに対応する位置に位置決めするための位置決め部が設けられていることを特徴とするコネクタ作業用補助具。
【請求項2】
前記延出シート部が透明又は半透明の樹脂製シートであり、延出シート部を介して作業用空間とは反対側の光ファイバを作業用空間側から透視可能になっていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ作業用補助具。
【請求項3】
前記ヘッド部及び前記延出シート部を含む全体が、一枚のシートによって形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ作業用補助具。
【請求項4】
前記光コネクタアダプタは、補助具載せ台の上側に設けられたアダプタ支持部材に上下多段に取り付けられ、前記ヘッド部の両側の側壁を連結する連結壁が上端、前記両側壁の連結壁とは反対側の端部が下端となる向きで、前記ヘッド部を前記補助具載せ台上に載せて前記下端を前記補助具載せ台の上面に当接させ、前記ヘッド部の前記内側空間に前記光コネクタアダプタを収納することで、前記線番表示が各光コネクタアダプタに位置決めされるようになっており、前記補助具載せ台が位置決め部材として機能することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ作業用補助具。
【請求項5】
前記ヘッド部の一対の側壁を連結する連結壁を、前記ヘッド部の内側空間に収納した光コネクタアダプタに上から当接させることで、前記線番表示が各光コネクタアダプタに位置決めされるようになっており、前記光コネクタアダプタが位置決め部材として機能することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ作業用補助具。
【請求項6】
前記ヘッド部は、一対の側壁を連結する連結壁の外面側に突設された弾性片を有し、前記ヘッド部に光コネクタアダプタを収納したときに、前記弾性片が、前記ヘッド部に収納された光コネクタアダプタの上方に設けられている、前記アダプタ支持部材に対して固定の弾性片当接部材を押圧することで前記ヘッド部を前記位置決め部材に付勢することを特徴とする請求項4又は5記載のコネクタ作業用補助具。
【請求項7】
前記弾性片が前記ヘッド部に対して着脱可能であり、前記弾性片を、前記弾性片当接部材と前記位置決め部材との間の距離に応じて選択使用できることを特徴とする請求項6記載のコネクタ作業用補助具。
【請求項8】
前記延出シート部に、前記ヘッド部に収納した光コネクタアダプタに接続されている光コネクタから延出され前記作業用空間に通される光ファイバを前記延出シート部に離脱可能に引き留めるファイバ留め具が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコネクタ作業用補助具。
【請求項9】
前記ファイバ留め具が、一対の前記延出シート部の一方又は両方の前記作業用空間に臨む側に設けられていることを特徴とする請求項8記載のコネクタ作業用補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−224891(P2008−224891A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60766(P2007−60766)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】