説明

コネクタ構造

【課題】大きな衝撃が加わったとしてもプラグが脱落し難いコネクタ構造を提供する。
【解決手段】フレーム5とハウジング4とに亘って設けられ、閉じ姿勢において互いに係合し、かつ、ハウジング4に対するフレーム5のスライド移動によって互いの係合深さを変更可能な第1係合機構13,25と、フレーム5とハウジング4とに亘って設けられ、第1係合機構が係合したのち、フレーム5をハウジング4に対してより深く係合する方向にスライド移動させたとき、互いに係合可能な第2係合機構17,26と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグを取り付けるハウジングと、前記ハウジングに対して開閉可能であり、閉じ姿勢にあるとき前記プラグの脱落を防止するフレームと、を備えたコネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコネクタ構造として、フレームを揺動可能に構成し、フレームの先端の部位に係合部を形成するとともに、ハウジングの先端の部位に被係合部を形成するものが知られている。
【0003】
プラグをコネクタに装着するときには、プラグをハウジングに取り付け、フレームを下方に揺動する。このとき、係合部が弾性変形して、係合部と被係合部とが係合する。プラグをコネクタから離脱するときには、係合部を弾性変形させて、係合部と被係合部との係合を解除したのち、フレームを上方に揺動して、プラグをハウジングから取り外す。
【0004】
この従来構成では、衝撃が加わったときに係合部と被係合部との係合が不測に解除されて、プラグが脱落することがある。プラグの脱落を防止するには、係合部と被係合部との係合深さを深くしたり、係合部の弾性力を大きくして、係合部と被係合部との係合を強固にすることが考えられる。
【0005】
しかし、前者においては、係合部と被係合部との係合操作や係合解除操作の際に、係合部の弾性変形が大きくなり、係合部が変形・損傷する不都合がある。また、後者においては、係合部と被係合部との係合操作や係合解除操作に大きな力を要することとなり、操作性が悪化する不都合がある。
【0006】
そこで、このような不都合を回避すべく、上記従来構成に加えて、フレームの中央の部位に屈曲部を形成するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
プラグをコネクタに装着するときには、プラグをハウジングに取り付け、フレームを下方に揺動する。このとき、屈曲部が弾性変形してフレームが伸長し、係合部と被係合部とが係合する。プラグをコネクタから離脱するときには、屈曲部を押圧する。このとき、屈曲部が弾性変形してフレームが伸長し、係合部と被係合部との係合が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−277410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この特許文献1の構成では、フレームを伸縮させることによって、係合部と被係合部との係合深さを十分深くでき、係合部と被係合部との係合が強固なものとなる。しかし、例えばフレームの伸縮方向への大きな衝撃がフレームに加わったときには、フレームが伸長して係合部と被係合部との係合が不測に解除されることがあり、いまだ改善の余地があった。
【0010】
本発明の目的は、大きな衝撃が加わったとしてもプラグが脱落し難いコネクタ構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のコネクタ構造の第1特徴構成は、プラグを取り付けるハウジングと、前記ハウジングに対して開閉可能であり、閉じ姿勢にあるとき前記プラグの脱落を防止するフレームと、を備えると共に、前記フレームと前記ハウジングとに亘って設けられ、前記閉じ姿勢において互いに係合し、かつ、前記ハウジングに対する前記フレームのスライド移動によって互いの係合深さを変更可能な第1係合機構と、前記フレームと前記ハウジングとに亘って設けられ、前記第1係合機構が係合したのち、前記フレームを前記ハウジングに対してより深く係合する方向にスライド移動させたとき、互いに係合可能な第2係合機構と、を備えた点にある。
【0012】
本構成によれば、第1係合機構が係合し、フレームをハウジングに対してより深く係合する方向にスライド移動させたのち、第2係合機構が係合することで、プラグをコネクタに装着することができる。第2係合機構が係合したときには、フレームとハウジングとの係合深さが十分深くなるので、フレームとハウジングとの係合が強固なものとなる。
【0013】
また、第2係合機構の係合を解除し、フレームをハウジングに対してより浅く係合する方向にスライド移動させたのち、第1係合機構の係合を解除することで、プラグをコネクタから離脱することができる。プラグをコネクタから離脱するには、第1係合機構の係合解除、および、第2係合機構の係合解除に加えて、それら係合解除の間にフレームがスライド移動する必要がある。このため、フレームに大きな衝撃が加わったとしてもプラグが脱落し難くなる。
【0014】
本発明の第2特徴構成は、前記第1係合機構によって前記フレームと前記ハウジングとが互いに係合する際に、前記第2係合機構のうち前記フレームに係る部位が前記ハウジングに当接して前記フレームが弾性変形するとともに、前記第2係合機構によって前記フレームと前記ハウジングとが互いに係合する際に、前記フレームの弾性変形が解除され、前記第2係合機構のうち前記フレームに係る部位が弾性変形する方向が、前記フレームがスライド移動する方向と異なった方向である点にある。
【0015】
本構成によれば、フレームをスライド方向と異なった方向に弾性変形させて第2係合機構の係合を解除し、フレームをスライド移動させたのち、第1係合機構の係合を解除することで、プラグをコネクタから離脱することができる。プラグをコネクタから離脱するには、フレームをスライド方向と異なった方向に弾性変形させて第2係合機構の係合を解除する動作と、フレームをスライド移動させる動作と、第1係合機構の係合を解除する動作との3段階の動作が必要になる。
【0016】
このため、例えばスライド方向への大きな衝撃がフレームに加わったとしても、フレームはスライド方向に弾性変形しないため、第2係合機構の係合が解除されることはなく、フレームがスライド移動することはない。また、例えばスライド方向と異なった方向への大きな衝撃がフレームに加わってフレームが弾性変形し、第2係合機構の係合が解除されたとしても、フレームの弾性付勢力によって直ちにフレームが弾性変形する前の姿勢に戻り、第2係合機構が再び係合する。よって、フレームがスライド移動することはない。したがって、いずれの方向に大きな衝撃が加わったとしてもプラグが脱落し難くなる。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、前記フレームを揺動可能に構成し、前記第1係合機構のうち前記フレームに係る部位が、前記フレームの先端に設けられ、前記第2係合機構のうち前記フレームに係る部位が、前記フレームの基端と先端との間の中央に設けられている点にある。
【0018】
本構成によれば、第2係合機構のうちフレームに係る部位がフレームの中央に設けられているから、フレームを閉じたときにフレームを弾性変形させ易い。また、フレームを弾性変形させたときに、フレームの先端に設けられた第1係合機構とフレームの基端に位置する揺動軸心とに力が略均等に分散されるので、第1係合機構による係合が不測に解除され難く、揺動軸心が損傷し難い。
【0019】
本発明の第4特徴構成は、前記第2係合機構のうち前記フレームに係る部位が、前記ハウジングの側壁部に形成された凹溝に嵌り込む突出部であり、前記フレームにおける前記突出部以外の部位が、前記側壁部で囲まれた凹部の内部に位置し、前記フレームが、前記側壁部の上面よりも低く設定してある点にある。
【0020】
本構成によれば、フレームが側壁部の上面から突出しないので、フレームが他の部品に引っ掛かり難くなることに加えて、コネクタの上下方向のコンパクト化を図ることができる。
【0021】
本発明の第5特徴構成は、前記フレームを閉じたときに、前記突出部の先端の部位が、前記側壁部から外方側に突出するように構成してある点にある。
【0022】
本構成によれば、例えば突出部の先端部位を両手指で挟んで持ち上げる簡単な操作で、フレームを弾性変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コネクタを示す分解斜視図である。
【図2】コネクタを示す斜視図である。
【図3】コネクタを示す前面図である。
【図4】コネクタの各状態を示す側面図である。
【図5】別実施形態におけるコネクタを示す斜視図である。
【図6】別実施形態におけるコネクタを示す縦断面図である。
【図7】別実施形態におけるコネクタを示す斜視図である。
【図8】別実施形態におけるコネクタを示す縦断面図である。
【図9】別実施形態における第1係合機構を示す斜視図である。
【図10】別実施形態における第2係合機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係るコネクタについて説明する。
このコネクタは、例えば回路基板(図示しない)に固定されている。ケーブルの一方の端部に設けられたプラグを基板側のコネクタに装着するとともに、ケーブルの他方の端部に設けられたプラグを機器類側のコネクタに装着する。このようにして、回路基板と機器類とをケーブルを介して接続する。
【0025】
〔コネクタの全体構成〕
図1〜図3に示すように、コネクタ1は、プラグ3を収容するハウジング4と、このハウジング4に対して前後方向にスライド可能でかつ軸心X周りで上下方向に揺動可能に取り付けられたフレーム5と、を備えている。
【0026】
(ハウジング)
図1〜図3に示すように、前記ハウジング4は、前壁部6と、後壁部7と、両側壁部8と、底壁部9と、を備えて、平面視で矩形の容器状に構成してある。これら壁部6〜9の内方側には、プラグ3を収容する凹部10が形成されている。
【0027】
前記前壁部6および前記後壁部7の外側面の左右両端の部位には、それぞれ上下方向に沿うアリ溝11が形成されている。断面形状がL字状の板状の取付部材12の一方をアリ溝11に挿入しつつ、取付部材12の他方を回路基板にはんだ付けする。このとき、取付部材12の一方に形成された段部とアリ溝11に形成された段部とが当接して、コネクタ1の上方への移動を阻止する。このようにして、コネクタ1の四隅が回路基板に固定される。
【0028】
前記前壁部6の外側面の左右寄りの部位には、それぞれ断面形状が略直角三角形状の係合突起13(第1係合機構のうちハウジングに係る部位の一例)が形成されている。係合突起13は、傾斜部13aと被係合部13bとを備えている。
【0029】
前記前壁部6の上面の左右中央の部位には、ケーブル2を通すための矩形状の切欠14が形成されている。
【0030】
前記後壁部7の外側面の左右寄りの部位には、それぞれ直方体状の突出部15が形成されている。各突出部15には、左右方向(軸心方向)に貫通する長穴15aが形成されている。長穴15aの形状は、前後方向に延びかつ両端部が丸い俵状に構成してある。
【0031】
前記底壁部9には、接続端子16が左右2列に並べて収容されている。接続端子16は、プラグ3をハウジング4に収容したときに、プラグ3の側の端子に接触する湾曲状のコンタクト部と、側壁部8から左右方向の外方側に突出して回路基板にはんだ付けされるテール部と、を備えている。
【0032】
前記側壁部8の上面の前後中央の部位には、矩形状の切欠17(第2係合機構のうちハウジングに係る部位の一例)が形成されている。尚、切欠17は、側壁部8の前後中央に位置するものに限られるものではなく、例えば前後寄りに位置してもよい。側壁部8の上面と内側面との合わせ部には、面取部18が前後方向に沿って形成されている。側壁部8の上面と切欠17の両側面との合わせ部にも、面取部19が左右方向に沿って形成されている。
【0033】
(フレーム)
図1〜図3に示すように、前記フレーム5は、前後方向に延びる一対の長尺状のアーム部21と、それらアーム部21の前端の部位同士を連結する長尺状の連結部22とを備えて、平面視で略コ字状の金属製の板状部材で構成してある。尚、フレーム5は、平面視で略コ字状に限られるものではなく、例えば矩形枠状であってもよい。
【0034】
このように、フレーム5を略コ字状や矩形枠状に構成することで、プラグ3を前側からだけでなく後側からも取り付けることができる。つまり、プラグ3を前側からハウジング4の凹部10に取り付けるだけでなく、ケーブル2およびプラグ3をフレーム5の内方側の空間を通しつつ、プラグ3を後側からハウジング4の凹部10に取り付けてもよい。
【0035】
前記アーム部21の後端の部位には、アーム部21から垂直方向(下方側)に延びる板状の折曲部23が形成されている。この折曲部23の下端の部位には、左右方向の内方側に突出して突出部15の長穴15aに挿入される板状の軸心部材24が形成されている。この軸心部材24の回転によって、フレーム5が軸心周りで上下方向に揺動する。軸心部材24の長穴15aの長手方向に沿う移動によって、フレーム5が前後方向にスライドする。
【0036】
前記連結部22の左右両端の部位には、それぞれ連結部22から垂直方向(下方側)に延びる板状の係合爪25(第1係合機構のうちフレームに係る部位の一例)が形成されている。この係合爪25は、一対の長尺状の延出部25aと、それら延出部25aの下端の部位同士を連結する長尺状の係合部25bとを備えて、前面視で略コ字状に構成してある。これにより、フレーム5を閉じたときに、係合爪25の係合部25bと係合突起13の被係合部13bとが係合する。
【0037】
前記アーム部材21の前後中央の部位には、左右方向の外方側に延びる板状の突出部26(第2係合機構のうちフレームに係る部位の一例)が形成されている。これにより、フレーム5を閉じたときに、突出部26と切欠17とが係合する。このとき、突出部26の先端の部位が、側壁部8から左右方向の外方側に突出する。これにより、突出部26の先端の部位を両手指で挟んで持ち上げる簡単な操作で、フレーム5の前後中央の部位を上側に弾性変形させて突出部26と切欠17との係合を解除することができる。
【0038】
前記連結部22の左右中央の部位(係合爪25の間)には、前方側に延びる板状のケーブル保護部27が形成されている。ケーブル2が撓んだときにケーブル保護部27がケーブル2に当接してそれ以上のケーブル2の撓みを抑制する。これにより、ケーブル2の損傷を防止できる。
【0039】
(プラグ)
図1〜図3に示すように、前記プラグ3は、矩形板状に構成してある。プラグ3の前面の左右中央の部位には、ケーブル2が接続されている。プラグ3の上面の両側縁部には、それぞれ段部31が前後方向に沿って形成されている。これにより、フレーム5を閉じたときに、アーム部21が、段部31と側壁部8とで囲まれる空間に嵌り込み、突出部26と切欠17とが係合する。プラグ3の上面と段部31の側面との合わせ部には、面取部20が前後方向に沿って形成されている。
【0040】
プラグ3および側壁部8の上面プラグ3をハウジング4に収容したときに、切欠17および段部31の下面が、プラグ3および側壁部8の面取部18〜20の下端よりもフレーム5の厚みだけ低くなっている。これにより、突出部26と切欠17とが係合したときに、フレーム5の上面がプラグ3および側壁部8の上面よりもわずかに低い位置となる。
【0041】
次に、前記プラグ3をコネクタ1に装着・離脱する動作について説明する。
【0042】
(装着動作)
先ず、図4(a),(b)に示すように、プラグ3をハウジング4の凹部10に取り付け、フレーム5を最も前側の位置までスライド移動させた状態で下方に揺動する。ここで、フレーム5を最も前側の位置までスライド移動させた状態とは、フレーム5を前側の位置にスライド移動させて軸心部材24が長穴15aの前端部に当接した状態のことである。
【0043】
このとき、突出部26が側壁部8の上面に当接して、フレーム5の前後中央の部位が上側に弾性変形する。係合爪25の係合部25bが係合突起13の傾斜部13aに案内されて、フレーム5が下方に揺動しつつ係合爪25が前側に弾性変形する。係合爪25の係合部25bが係合突起13の傾斜部13aを越えると、係合爪25の弾性変形が解除されて、係合爪25の係合部25bと係合突起13の被係合部13bとが係合する。尚、この時点では、フレーム5の弾性変形は解除されていない。
【0044】
次に、図4(c)に示すように、フレーム5を最も後側の位置までスライド移動させると、係合爪25と係合突起13とが前後方向により深く係合するとともに、フレーム5の弾性変形が解除されて、突出部26と切欠17とが係合し、プラグ3がコネクタ1に装着される。このとき、フレーム5の前後方向のスライド移動が規制される。ここで、フレーム5を最も後側の位置までスライド移動させた状態とは、フレーム5を後側の位置にスライド移動させて軸心部材24が長穴15aの後端部に当接した状態のことである。
【0045】
このように、フレーム5を最も後側の位置までスライド移動させると、突出部26と切欠17とが係合するので、係合爪25と係合突起13との係合深さが十分深くなり、係合爪25と係合突起13との係合が強固なものとなる。
【0046】
フレーム5を下方に揺動する操作で、係合爪25と係合突起13とが係合し、フレーム5を最も後側の位置までスライド移動させる操作で、フレーム5の弾性変形が解除されて突出部26と切欠17とが係合するので、操作が簡単になる。
【0047】
尚、フレーム5を最も後側の位置までスライド移動させると、フレーム5の弾性変形が解除される構成に限られるものではなく、フレーム5を最も後側の位置および最も前側の位置の間の所定位置までスライド移動させると、フレーム5の弾性変形が解除される構成であってもよい。
【0048】
(離脱動作)
突出部26の先端の部位を両手指で挟んで持ち上げて、フレーム5の前後中央の部位を上側に弾性変形させると、突出部26と切欠17との係合が解除される。次に、フレーム5を最も前側の位置までスライド移動させ、係合爪25を前側に弾性変形させると、係合爪25と係合突起13との係合が解除され、フレーム5の弾性変形が解除される。フレーム5を上方に揺動させ、プラグ3をハウジング4の凹部10から取り外して、プラグ3をコネクタ1から離脱させる。
【0049】
このように、フレーム5を上側に弾性変形させて突出部26と切欠17との係合を解除し、フレーム5を最も前側の位置にスライド移動させたのち、係合爪25と係合突起13との係合を解除することで、プラグ3をコネクタ1から離脱することができる。このため、例えば前側への大きな衝撃がフレーム5に加わったとしても、フレーム5の前後中央の部位は前側に弾性変形しないため、突出部26と切欠17との係合は解除されることはなく、フレーム5が前側にスライド移動することはない。また、例えば上側への大きな衝撃がフレーム5に加わってフレーム5が上側に弾性変形し、突出部26と切欠17との係合が解除されたとしても、フレーム5の下側への弾性付勢力によって直ちにフレーム5が弾性変形する前の姿勢に戻るため、突出部26と切欠17とが再び係合することになる。よって、フレーム5が前側にスライド移動することはない。したがって、いずれの方向に大きな衝撃が加わったとしてもプラグ3が脱落し難くなる。
【0050】
〔別実施形態〕
【0051】
(1)図5,図6に示すように、アーム部21の前後中央の部位に断面形状が略L字状の板状の突出部32(第2係合機構のうちフレームに係る部位の一例)を形成し、その突出部32に左右方向の外方側に突出する係止凸部32aを形成し、側壁部8の上面と内側面とに亘って切欠33(第2係合機構のうちハウジングに係る部位の一例)を形成し、その切欠33に係止凸部32aが嵌り込む係止凹部33aを形成してもよい。この実施形態では、突出部32の基端部の長さが、切欠33の左右方向の深さよりも長く設定してあるので、フレーム5をスライド移動させたとしても、突出部32と切欠33とが係合することはない(図6(a)を参照)。フレーム5を最も後側の位置までスライド移動させた後、突出部32の先端部を両手指で挟んでアーム部21を左右方向の内方側に弾性変形させると、係止凸部32aが係止凹部33aに嵌り込むとともに、突出部32と切欠33とが係合し、フレーム5の上側及び内方側の弾性変形が解除される(図6(b)を参照)。
【0052】
(2)図7,図8には、図5,図6と類似の構成が示されている。ただし、この実施形態では、突出部32の基端部の長さと、切欠33の左右方向の深さとがほぼ同じ長さに設定してある。また、係止凸部32aおよび係止凹部33aを省略してある。したがって、フレーム5を最も後側の位置にスライド移動させると、フレーム5の弾性変形が解除されて、突出部32の基端部と切欠33とが係合する。
【0053】
(3)図9に示すように、連結部22に断面形状が略L字状の板状のフック部34(第1係合機構のうちフレームに係る部位の一例)を形成するとともに、前壁部6に穴部35(第1係合機構のうちハウジングに係る部位の一例)を形成し、フック部と穴部とが係合するように構成してもよい。これにより、ハウジング4の前後方向における省スペース化、およびハウジング4の材料コストの削減を図ることができる。
【0054】
(4)図10に示すように、突出部15の下面に下方に膨出する膨出部36を形成するとともに、切欠17の下面に凹入部37を形成して、フレーム5を閉じ、突出部26と切欠17とが係合したときに、膨出部36と凹入部37とが係合してもよい。これにより、突出部26と切欠17との上下方向の係合深さが膨出部36の分だけ深くでき、突出部26と切欠17との係合が強固なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、プラグを装着する各種コネクタに適応可能である。
【符号の説明】
【0056】
3 プラグ
4 ハウジング
5 フレーム
10 凹部
13,25,34,35 第1係合機構
17,26,32,33 第2係合機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグを取り付けるハウジングと、
前記ハウジングに対して開閉可能であり、閉じ姿勢にあるとき前記プラグの脱落を防止するフレームと、を備えると共に、
前記フレームと前記ハウジングとに亘って設けられ、前記閉じ姿勢において互いに係合し、かつ、前記ハウジングに対する前記フレームのスライド移動によって互いの係合深さを変更可能な第1係合機構と、
前記フレームと前記ハウジングとに亘って設けられ、前記第1係合機構が係合したのち、前記フレームを前記ハウジングに対してより深く係合する方向にスライド移動させたとき、互いに係合可能な第2係合機構と、を備えたコネクタ構造。
【請求項2】
前記第1係合機構によって前記フレームと前記ハウジングとが互いに係合する際に、前記第2係合機構のうち前記フレームに係る部位が前記ハウジングに当接して前記フレームが弾性変形するとともに、前記第2係合機構によって前記フレームと前記ハウジングとが互いに係合する際に、前記フレームの弾性変形が解除され、
前記第2係合機構のうち前記フレームに係る部位が弾性変形する方向が、前記フレームがスライド移動する方向と異なった方向である請求項1に記載のコネクタ構造。
【請求項3】
前記フレームを揺動可能に構成し、
前記第1係合機構のうち前記フレームに係る部位が、前記フレームの先端に設けられ、
前記第2係合機構のうち前記フレームに係る部位が、前記フレームの基端と先端との間の中央に設けられている請求項2に記載のコネクタ構造。
【請求項4】
前記第2係合機構のうち前記フレームに係る部位が、前記ハウジングの側壁部に形成された凹溝に嵌り込む突出部であり、
前記フレームにおける前記突出部以外の部位が、前記側壁部で囲まれた凹部の内部に位置し、
前記フレームが、前記側壁部の上面よりも低く設定してある請求項3に記載のコネクタ構造。
【請求項5】
前記フレームを閉じたときに、前記突出部の先端の部位が、前記側壁部から外方側に突出するように構成してある請求項4に記載のコネクタ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−164488(P2012−164488A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23180(P2011−23180)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】