説明

コネクタ端子

【課題】コストを抑えつつ、極めて容易に電子部品を搭載させることができ、しかも、品質の向上を図ることが可能なコネクタ端子を提供すること。
【解決手段】 シールドケーブル11の芯線12が接続されるバレル部21と、相手コネクタと導通されるタブ端子部31と、バレル部21とタブ端子部31とを連結する絶縁材料から形成された連結部41と、バレル部21とタブ端子部31との間に形成されてチップ型電子部品43が嵌め込まれて収容可能な部品収容部42とを備え、部品収容部42に収容された電子部品43の両端の端子部43aに対してバレル部21及びタブ端子部31がそれぞれ接触されて導通される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの端部に接続されるコネクタ端子に関し、とりわけ、電子部品を搭載したコネクタ端子に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路で取り扱われる信号の高速化と機器の小型化が飛躍的に高まり、シールドケーブルに用いられるコネクタ分野においても、高速・高密度信号回路に対応するための様々な提案がなされており、このようなシールドケーブルに用いられるコネクタとして、電子部品を搭載したものが用いられている。
【0003】
電子部品を搭載したコネクタとしては、図4に示すように、外導体シェル1に挿着される誘電体ハウジング2に、ケーブル3の芯線3aが圧着されるインナー端子4を収容したものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。このコネクタのインナー端子4は、連結部分である架橋部5を介して一体に結合された芯線接続端子6と嵌合端子7とを備え、基底部の下面にチップ型電子素子8を接続して架橋部5を切断することにより、芯線接続端子6と嵌合端子7とがチップ型電子素子8を介して電気的に接続される。
【0004】
また、絶縁材料からなる接続固定部材を取り付けることにより、芯線接続端子6と嵌合端子7とを絶縁状態で接続させるものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−264043号公報
【特許文献2】特開2003−173850号公報
【特許文献3】特開2003−249318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
チップ型の電子部品を搭載する上記構造のインナー端子によれば、リード線を有する電子部品とをケーブルの芯線とを圧着接続したり半田付けしたりする手間を省くことができ、圧着による断線の心配がなく、また、半田を使わないことによる環境面への配慮が可能である。
【0007】
しかし、特許文献1,2のインナー端子では、電子部品の搭載後に架橋部を専用の設備や工具で切断して芯線接続端子と嵌合端子とを分離させるという細かく煩雑な切断作業を行わなければならない。また、架橋部の切断が不十分であると、電子部品によるノイズ低減効果やインピーダンス制御が良好に行われず、電子部品搭載型のコネクタとしての品質低下を招いてしまう。
【0008】
また、特許文献3のインナー端子では、芯線接続端子と嵌合端子と絶縁状態で接続させる接続固定部材を要するため、その取付作業を行わなければならず、しかも、別個の接続固定部材を用いることによって部品点数の増大によるコストアップを招いてしまう。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストを抑えつつ、極めて容易に電子部品を搭載させることができ、しかも、品質の向上を図ることが可能なコネクタ端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) ケーブルの導体が接続されるバレル部と、相手コネクタに導通させるタブ端子部と、前記バレル部と前記タブ端子部とを連結する絶縁材料から形成された連結部と、前記バレル部と前記タブ端子部との間に形成されてチップ型電子部品を収容可能な部品収容部とを備え、前記部品収容部に収容された前記電子部品の両端の端子部に対して前記バレル部及び前記タブ端子部がそれぞれ接触して導通することを特徴とするコネクタ端子。
【0011】
このコネクタ端子によれば、部品収容部へ電子部品を嵌め込むだけで、極めて容易に、電子部品を内蔵させることができ、電子部品によるノイズ低減効果やインピーダンス制御が良好な高品質の端子とすることができる。
つまり、電子部品の搭載後に専用の設備や工具で切断して端子を分離させるような細かく煩雑な切断作業を不要とし、また、バレル部とタブ端子部とを絶縁状態に接続するための別個の部品を取り付けることも不要とすることができ、作業性及び品質の向上及びコスト低減を図ることができる。
【0012】
(2) 上記(1)に記載のコネクタ端子において、前記バレル部及び前記タブ端子部には、前記部品収容部側に接触片が形成され、前記接触片は、前記部品収容部に収容された前記電子部品の前記端子部に対して弾性付勢されて接触することを特徴とするコネクタ端子。
【0013】
このコネクタ端子によれば、接触片が電子部品の端子部に弾性付勢されて接触するので、電子部品と接触片とを確実に導通した状態に維持させることができる。
【0014】
(3) 上記(1)または(2)に記載のコネクタ端子において、前記部品収容部に収容された前記電子部品を係止する係止爪を有することを特徴とするコネクタ端子。
【0015】
このコネクタ端子によれば、係止爪によって電子部品の収容状態を確実に維持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コストを抑えつつ、極めて容易に電子部品を搭載させることができ、しかも、品質の向上を図ることが可能なコネクタ端子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電子部品が搭載されたインナー端子の側面図である。
【図2】電子部品の搭載前のインナー端子の側面図である。
【図3】ケーブルの接続及び電子部品の搭載前のインナー端子の水平方向の断面図である。
【図4】インナー端子を有するコネクタの従来例を説明する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は電子部品が搭載されたインナー端子の側面図、図2は電子部品の搭載前のインナー端子の側面図、図3はケーブルの接続及び電子部品の搭載前のインナー端子の水平方向の断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、コネクタ端子であるインナー端子10は、シールドケーブル(ケーブル)11に接続される。インナー端子10が接続されるシールドケーブル11は、芯線(導体)12と、芯線12の周囲に押出し被覆された絶縁層13と、絶縁層13の周囲に設けられた外部導体14と、外部導体14の周囲に押出し被覆された外被15とを有している。
【0020】
インナー端子10は、その外周に筒状のアウター端子(図示略)が装着され、このアウター端子がシールドケーブル11の外部導体13に接続して該外部導体13と導通される。そして、このインナー端子10とアウター端子とを不図示の誘電体ハウジングに収容してコネクタが構成される。
【0021】
インナー端子10は、導電性金属材料を、例えば、プレス加工して形成されるバレル部21及びタブ端子部31を有している。
バレル部21は、圧着部22を有しており、この圧着部22をシールドケーブル11の芯線12に加締めて圧着することにより、シールドケーブル11がインナー端子10のバレル部21に導通接続される。
タブ端子部31は、相手コネクタのインナー端子(メス側端子)に接続される部分である。
【0022】
バレル部21及びタブ端子部31は、連結部41によって間隔をあけて連結されている。この連結部41は、例えば、プラスチック等の樹脂から形成されたもので、連結部41によって、バレル部21とタブ端子部31とが絶縁された状態で一体に連結されている。
【0023】
連結部41におけるバレル部21とタブ端子部31との間は、部品収容部42とされている。部品収容部42は、上方側が開口されており、この部品収容部42には、例えば、コンデンサー等の両端に端子部43aを有するチップ型の電子部品43が上方の開口から嵌め込まれて収容される。
【0024】
このような連結部41によってバレル部21及びタブ端子部31が連結されたインナー端子10は、例えば、バレル部21及びタブ端子部31を型にインサートして連結部41を射出成形するインサート成形によって容易に製造することができる。
【0025】
バレル部21及びタブ端子部31には、部品収容部42側に、それぞれ接触片25,35が形成されており、これらの接触片25,35は、その端部がバレル部21及びタブ端子部31に連設している。これら接触片25,35は、バレル部21及びタブ端子部31との連設箇所である上端側から電子部品43の嵌合方向である下端側へ向かって、次第に部品収容部42内に突出するように傾斜されている。これにより、これらの接触片25,35は、上方側から部品収容部42に嵌合される電子部品43の端子部43aによって押圧されて弾性変形される。したがって、接触片25,35は、その復元力によって電子部品43の端子部43aに圧接した状態で接触する。
【0026】
これらの接触片25,35には、部品収容部42側へ突出する突起部25a,35aが形成されている。したがって、部品収容部42へ収容された電子部品43の端子部43aに対して、それぞれの接触片25,35の突起部25a,35aが点接触することとなり、突起部25a,35aが大きな押圧力によって電子部品43の端子部43aに接触する。
【0027】
また、部品収容部42の上方側には、部品収容部42側へ向かって突出する係止爪45が形成されている。これらの係止爪45は、部品収容部42に収容された電子部品43の上面側を係止する。部品収容部42に収容された電子部品43は、その両端部における上面が係止爪45によって係止されることにより、部品収容部42からの飛び出しが防止される。
【0028】
上記構造のインナー端子10では、その部品収容部42に電子部品43を上方から嵌め込んで収容すると、電子部品43の両端の端子部43aにバレル部21及びタブ端子部31の接触片25,35が押圧して接触する。これにより、シールドケーブル11の芯線12が接続されたバレル部21と相手コネクタのインナー端子(メス側端子)に接続されるタブ端子部31との間に電子部品43が介在することとなって、電子部品43によるノイズ低減やインピーダンス制御が可能となる。
【0029】
このように、上記実施形態に係るインナー端子10によれば、部品収容部42へ電子部品43を嵌め込むだけで、極めて容易に、電子部品43を搭載させることができ、電子部品43によるノイズ低減効果やインピーダンス制御が良好に実現可能な高品質の端子とすることができる。
【0030】
つまり、電子部品43の搭載後に専用の設備や工具で切断して端子を分離させるような煩雑な切断作業を不要とし、また、バレル部21とタブ端子部31とを絶縁状態に接続するための別個の部品を取り付けることも不要とすることができ、作業性及び品質の向上及びコスト低減を図ることができる。
【0031】
また、部品収容部42に電子部品43を収容すると、接触片25,35が電子部品43の端子部43aへ付勢されて弾性接触するので、電子部品43と接触片25,35とを確実に導通状態に維持することができる。
【0032】
しかも、係止爪45によって電子部品43の部品収容部42への収容状態を確実に維持させることができる。
【0033】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0034】
10 インナー端子(コネクタ端子)
11 シールドケーブル(ケーブル)
12 芯線(導体)
21 バレル部
25,35 接触片
31 タブ端子部
41 連結部
42 部品収容部
43 電子部品
43a 端子部
45 係止爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの導体が接続されるバレル部と、
相手コネクタに導通させるタブ端子部と、
前記バレル部と前記タブ端子部とを連結する絶縁材料から形成された連結部と、
前記バレル部と前記タブ端子部との間に形成されてチップ型電子部品を収容可能な部品収容部とを備え、
前記部品収容部に収容された前記電子部品の両端の端子部に対して前記バレル部及び前記タブ端子部がそれぞれ接触して導通することを特徴とするコネクタ端子。
【請求項2】
前記バレル部及び前記タブ端子部には、前記部品収容部側に接触片が形成され、前記接触片は、前記部品収容部に収容された前記電子部品の前記端子部に対して弾性付勢されて接触することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ端子。
【請求項3】
前記部品収容部に収容された前記電子部品を係止する係止爪を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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