説明

コネクタ

【課題】本発明は、送液チューブと基板との間に液密性の高い接続を達成し、且つ、送液チューブと基板とを簡単に着脱できるコネクタを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、端部(103)に末端から始まる少なくとも一つのスリット(104)が設けられているフェラル(10A、10B)と、長手方向中央に送液チューブ(20)が挿通される貫通孔を有し、基板側端面には、フェラルの第二の端部が嵌合するすり鉢状の凹部(121)が形成されたスリーブ(12)と、フェラル及びスリーブを中空部(161)に格納して基板方向に押し付けながら、基板(40)が固定された基板ホルダー(30)に係止されるキャップ体(16)と、を備えるコネクタ(1)を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジー分野等で用いられるマイクロ流体チップなどの微細流路が設けられた基板と、この流路に送液する送液チューブとを接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体微細加工技術等を応用してガラス基板等の表面に微小な溝や管を形成し、これにナノリットルレベルの試料溶液を供給して分析や反応を行う、いわゆるマイクロフルイディクス技術が種々の分野で注目されている。マイクロフルイディクスによれば、数cm角の基板上に、生化学分析、化学合成反応、抽出、分離等のシステムを集積させることが可能である。
【0003】
マイクロフルイディクス技術においては、基板上の溝や管に送液チューブを接続し、溝等への液体の供給や、溝等からの液体の排出に用いる。精密な生化学的分析等に利用されることから、送液チューブと基板との接続部に配置されるコネクタは、液体の漏出がない液密性の高い接続を実現できるものでなければならない。特に、送液チューブから溝に供給される液体の粘性や供給スピードによっては、送液チューブから供給された液体が溝の底部等ではね返されることにより、送液チューブに送液方向と逆方向の圧力がかかることがある。この場合、送液チューブと溝との接続部から液体の漏出が生じやすいので、コネクタは、かかる場合にも送液チューブを基板方向に押し付けて強く固定できるものでなければならない。
【0004】
また、生化学分析等においては、コンタミネーションを防ぐ必要があるため、上記基板は使い捨てとし、次々と交換して使用することも多い。そのため、コネクタは、送液チューブを簡単に基板に着脱できるものであることが必要である。
【0005】
これまでに、マイクロ化学チップ上に配置されたハウジングと、ハウジングからの圧力により変形して、マイクロ化学チップの表面及び送液チューブの外周面を同時に押圧すべくハウジング及びマイクロ化学チップ間に配置されたフェラルとを備えることを特徴とするマイクロコネクタが提案されている(特許文献1を参照)。
【0006】
しかしながら、より強固に送液チューブを基板に固定し、送液チューブから基板の溝に液体を流すことによって圧力がかかっても接続部から液体が漏出しない、耐圧性に優れたコネクタが必要とされている。
【特許文献1】特開2007−21366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、送液チューブと基板との間に液密性の高い接続を達成し、且つ、送液チューブと基板とを簡単に着脱できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、
(i)送液チューブが挿通される貫通孔が長手方向に沿って形成された略円筒状のフェラルであって、第一の端部は端面が貫通孔の延在方向に対して直角に形成され、第二の端部はその先端に向かうに従い外径がテーパー状に漸減し、第二の端部にはその先端から外周面に沿って延びる少なくとも一つのスリットが設けられているフェラルと、
(ii)送液チューブが挿通される貫通孔が長手方向に沿って形成された略円筒状のスリーブであって、基板側端面にフェラルの第二の端部が嵌合するテーパー状の凹部が形成されたスリーブと、
(iii)フェラル及びスリーブを格納可能な中空部を有し、一端部に送液チューブが挿通される貫通孔を有するキャップ体であって、フェラル及びスリーブを中空部に格納して基板方向に押し付けながら、基板に固定された基板ホルダーに係止されるキャップ体と、
を備えるコネクタによれば、キャップ体を基板ホルダーに係止することよってコネクタを簡単に基板に固定することができ、且つ、送液チューブを基板方向に強く押し付けて基板の流路との接続部に液密性の高い接続を達成することができることを見出した。
【0009】
このような構成によれば、キャップ体を基板方向に押し付けることにより、スリットが設けられたフェラルの第二の端部が、スリーブのテーパー状の凹部にかしめられるようにして基板方向に押さえつけられる。これによって、フェラルが送液チューブを基板方向に押し付けながら強く固定し、その結果、送液チューブの先端と基板上の流路との接続がより確実なものとなる。一方、キャップ体を基板からはずすことにより、コネクタおよび送液チューブを基板から簡単にはずすことができる。
【0010】
また、本発明に係るコネクタは、スリーブとキャップ体との間にばねを有することも好ましい。このような構成によれば、キャップ体を基板方向に押し付けたときに、フェラル及びスリーブを基板方向に押し付ける力を強めることができ、これにより、送液チューブと基板との接続部の液密性をより高めることが可能である。また、フェラル等が樹脂等で形成されている場合には、継続的な使用によってフェラル等が塑性変形して押し付け力の低下を招く虞があるが、上記構成によれば、塑性変形による寸法変化をばねによって吸収することができる。
【0011】
本発明に係るコネクタにおいては、スリーブがキャップ体の中空部に予め格納され固定されていてもよく、スリーブがキャップ体の中空部に格納され固定された状態で一体的に形成されていてもよい。このような構成でも、上述した本発明に係るコネクタとしての機能を好適に発揮することができる。
【0012】
本発明に係るコネクタにおいては、フェラルの第二の端部のテーパー角度は、スリーブの凹部のテーパー角度よりも鋭角に形成されていることが好ましい。このような構成によれば、スリーブの凹部がフェラルの第二の端部をかしめる力がより強くなり、送液チューブを基板方向に押さえ付ける強度も高められるので、より液密性の高い接続を実現することができる。
【0013】
また、本発明に係るコネクタにおいては、スリーブが、フェラルより硬い材料で形成されていることが好ましい。このような構成によっても、スリーブの凹部がフェラルの第二の端部をかしめる力がより強くなり、より液密性の高い接続を実現することができる。
【0014】
本発明に係るコネクタにおいては、スリットが、フェラルの第二の端部をその先端から見た平面視にて120度間隔に3つ設けられていることが好ましい。本発明者らが検討した結果、スリットが3つの場合に、最も液密性が良好となることが確認された。
【0015】
また、本発明に係るコネクタにおいては、フェラルを、基板側フェラルとキャップ体側フェラルの2つで構成し、基板側フェラルのキャップ体側端部はその先端に向かうに従い外径がテーパー状に漸減し、キャップ体側フェラルの基板側端面には基板側フェラルが嵌合するテーパー状の凹部が形成されていることが好ましい。このような構成によれば、コネクタを基板に固定したとき、キャップ体側フェラルが基板側フェラルの端部をかしめながら基板方向に押さえ付ける。その結果、送液チューブが基板方向に押さえ付けられる強度もより高くなり、送液チューブと基板との間に液密性に優れた接続を実現することができる。
【0016】
ここで、基板側フェラルのキャップ体側端部のテーパー角度は、キャップ体側フェラルの凹部のテーパー角度より鋭角に形成されていることが好ましい。このような構成によれば、キャップ体側フェラルの凹部が基板側フェラルをかしめる力がより強固となり、その結果、送液チューブを基板方向に押し付ける強度も高くなって、送液チューブと基板との間により液密性に優れた接続を実現することができる。
【0017】
さらに、キャップ体側フェラルを、基板側フェラルより硬い材料で形成することにより、キャップ体側フェラルが基板側フェラルをしっかりと押圧するので、送液チューブと基板との接続部の液密性をより高めることが可能である。
【0018】
また、本発明に係るコネクタにおいては、フェラルの基板側の端面が、貫通孔と同心円条をなして長手方向外方に突出する凸部を有し、この凸部が基板に当接するようにすることが好ましい。このような凸部を設けることによって、送液チューブと基板との接続部の液密性をより高めることが可能である。
【0019】
また、本発明に係るコネクタでは、キャップ体が、外周にピンを有し、基板ホルダーに設けられた切り欠き部にこのピンが嵌合することによって基板ホルダーに抜け止めされた状態で係止されることが好ましい。このような構成によれば、切り欠き部にピンを嵌合させるという簡単な操作によって、コネクタを基板に固定することができる。
【0020】
また、本発明に係るコネクタでは、キャップ体の外周がねじ状に形成され、基板ホルダーに設けられたねじ穴にキャップ体をねじ込むことによって、キャップ体が基板ホルダーに係止されることも好ましい。このような構成によれば、ねじ穴にキャップ体をねじ込むという簡単な操作によって、コネクタを基板に固定することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るコネクタによれば、簡単な操作で送液チューブを基板の流路に接続することができ、且つ、液密性の高い接続を得ることができる。本発明に係るコネクタによって実現される接続は、送液チューブから基板の流路に液体を供給したときに、液体の逆流等によって送液チューブが基板から圧力を受けるような場合にも耐えうる、強固な接続である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0023】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るコネクタ1の構成を示す断面図である。図1に示されるとおり、コネクタ1は、フェラル10A及び10B、スリーブ12、スプリング14、及びキャップ体16を備え、図2に示されるように、基板40に設けられた流路42と、送液チューブ20との接続に用いられる。
【0024】
コネクタ1のフェラルは、基板側フェラル10Aとキャップ体側フェラル10Bからなり、いずれも送液チューブ20が挿通される貫通孔を有する。これら貫通孔は、それぞれ基板側フェラル10Aとキャップ体側フェラル10Bの径方向中央部に形成されており、基板側フェラル10Aとキャップ体側フェラル10Bの長手方向に沿って延在している。基板側フェラル10Aは、その基板側端部(先端面)に上記貫通孔と同心円状をなして長手方向外方に突出する凸部101を有し、この凸部101が基板40に当接することとなる。ここで、凸部101は、基板側フェラル10Aと一体的に形成してもよく、基板側フェラル10Aを形成した後で、別途形成した凸部101を基板側フェラル10Aの端部に貼付等により固定してもよい。なお、凸部101は、例えばPTFE、PE等から形成してもよい。また、基板側フェラル10Aは、キャップ体側の端部106に向かって、外径がテーパー状に漸減する形状となっている。
【0025】
同様に、キャップ体側フェラル10Bは、キャップ体側の端部103に向かって外径がテーパー状に漸減する形状となっている。また、キャップ体側フェラル10Bは、キャップ体側の端部103から外周面に沿って延びる少なくとも1つ、好ましくは3つのスリット104を有する。図3にキャップ体側フェラル10Bの拡大断面図を示し、図4に、スリット104を3つ有するキャップ体側フェラル10Bの側面図及び平面図を示す。図4に示されるとおり、3つのスリット104は、キャップ体側の端部103から、平面視にて互いに120度ずつ離れた法線方向に延びている。また、キャップ体側フェラル10Bは、図3に示されるとおり、貫通孔に送液チューブ20が挿通されたときに送液チューブ20の周囲に所定の隙間が形成されるような中空部105を有する構成としてもよい。このような構成により、キャップ体側フェラル10Bが後述するスリーブ12に押し付けられたとき、キャップ体側の端部103によって送液チューブ20をかしめる力をより強めることができる。
【0026】
また、図示されるとおり、キャップ体側フェラル10Bの基板側の端部には、その端面側からキャップ体側の端部103に向かうに従い内径がテーパー状に漸減する、すり鉢状の凹部102が形成されている。これにより、フェラル10Aの端部106も締め付けることができるので、送液チューブ20を基板40方向に強く押し付けながら固定することが可能となる。ここで、図5に示すとおり、基板側フェラル10Aのテーパー角度αは、キャップ体側フェラル10Bの押さえつけ角度(テーパー角度)βより、鋭角であることが好ましい。このような構成によれば、キャップ体側フェラル10Bを基板40に向かって押し付けることで、端部106をかしめるようにして基板側フェラル10Aが基板40方向に押さえつけられ、これによって送液チューブ20を強く固定して、送液チューブ20と基板40の流路42とを液密性高く接続することが可能となる。
【0027】
角度αは、例えば47°〜57°とすることができ、好ましくは50°〜55°、さらに好ましくは52°である。一方、角度βは、例えば55°〜65°とすることができ(ただしα<β)、好ましくは58°〜63°、さらに好ましくは60°である。
【0028】
キャップ体側フェラル10Bは、基板側フェラル10Aよりも硬い材料で形成することが好ましい。これによっても、キャップ体側フェラル10Bが基板側フェラル10Aをかしめるように押し付ける力を高めることができる。また、基板側フェラル10Aを柔軟性のある材料で形成すれば、凸部101が基板40に当接したときに、液漏れを好適に防ぐことができる。キャップ体側フェラル10Bは、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)によって形成することが好ましく、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)で形成することもできる。基板側フェラル10Aは、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成することが好ましく、ポリエチレン(PE)で形成することもできる。さらに、キャップ体側フェラル10Bと基板側フェラル10Aを構成する材料の組合せは、PEとPEEK、PTFEとPCTFE、あるいはPEとPCTFEでもよい。
【0029】
次に、コネクタ1のスリーブ12は、長手方向に送液チューブ20が挿通される貫通孔を有する略円筒状の部材であり、キャップ体側フェラル10Bに近い端部に、その端面側からキャップ体16側の端部に向かうに従い内径がテーパー状に漸減する、すり鉢状の凹部121が設けられている。上述のとおり、キャップ体側フェラル10Bの外径がテーパー状に漸減している端部103は、凹部121に嵌合する。キャップ体側フェラル10Bの端部103は、スリット104が設けられた結果、縮径および拡径が容易となって、より柔軟性が高くなっているので、スリーブ12の凹部121によって端部103を基板40方向に押さえつけると、端部103はかしめられ、送液チューブ20を強く固定しながら基板方向に押し付ける。このような構成により、送液チューブ20に流体を流すことで基板40からコネクタ方向に圧力が生じても、送液チューブ20を流路42に強固に固定し、液密性の高い接続を実現できる。
【0030】
この場合、図5に示すとおり、キャップ体側フェラル10Bのテーパー角度γは、スリーブ12のすり鉢状(テーパー状)の凹部121の押さえつけ角度(テーパー角度)δより鋭角となっていることが好ましい。また、スリーブ12を、キャップ体側フェラル10Bより硬い材料で形成しておくことも好ましい。これらの構成によれば、送液チューブ20を強固に固定して基板側に押さえつける効果を一層高めることができる。スリーブ12の材料としては、SUS316等の金属が好ましく用いられる。
【0031】
角度γは、例えば47°〜57°とすることができ、好ましくは50°〜55°、さらに好ましくは52°である。一方、角度δは、例えば80°〜100°とすることができ、好ましくは85°〜95°、さらに好ましくは90°である。
【0032】
コネクタ1のスプリング14は、キャップ体16を基板方向に押し付けたときに、スリーブ12を基板方向に押し付ける力を高める役割だけでなく、継続的な使用の結果、スリーブ12や基板側フェラル10Aやキャップ体側フェラル10Bが塑性変形した場合であっても、当該スプリング12が伸張して前記塑性変形に伴う寸法変化を吸収することによって、キャップ体16を基板方向へ押し付ける力を低下させることなく継続的に維持する役割をも果たす。スプリング14は、SUS又はSWP−B等のバネ鋼のものが好ましい。
【0033】
コネクタ1のキャップ体16は、基板側フェラル10A、キャップ体側フェラル10B、スリーブ12、スプリング14をすべてその中空部161に格納し、これらの部材を基板40方向に押し付ける。したがって、基板側フェラル10A、キャップ体側フェラル10B、スリーブ12、スプリング14の外径は、キャップ体16の内径より小さい。また、キャップ体16の中空部161の長手方向の長さは、基板側フェラル10A、キャップ体側フェラル10B、スリーブ12をそれぞれ嵌合させ、スプリング14を縮めた状態での基板側フェラル10Aの凸部101からスプリング14のキャップ体側先端までの長さとほぼ等しい。
【0034】
図2に示すとおり、キャップ体16の外周には、ピン162が形成されており、これが、基板ホルダー30に設けられた切り欠き部32に嵌合して、キャップ体16が基板ホルダー30にワンタッチで固定される。図6に概略を示すとおり、ピン162を切り欠き部32に入れて矢印の方向に回転させることによって、ピン162が切り欠き部32に嵌合し、コネクタ1は基板ホルダー30に抜け止めされた状態で固定される。ピン162は、キャップ体16の外面にレーザで溶接することが好ましい。
【0035】
ここで、基板ホルダー30は、例えば図7に示されるような構成とすることができる。図示されるように、基板ホルダー30は、カバー30Aとベース30Bからなる。ベース30Bの基板載置部72に基板40を載置し、上からカバー30Aを重ね、ベース30Bに取り付けられた固定具74を、カバー30Aの凹部76に嵌合させることにより、基板40が基板ホルダー30に固定される。
【0036】
次に、カバー30Aの切り欠き部32にコネクタ1のピン162を嵌合させて係止することにより、送液チューブ20を基板40の流路42に簡易かつ確実に接続することができる。
【0037】
キャップ体16には、その外周にねじ163を切っておいてもよい。基板ホルダー30にねじ穴が設けられていれば、ピン162ではなく、ねじ163によっても、コネクタ1を基板ホルダー30に簡単に固定することができる。この様子を図8に示す。
【0038】
本発明に係るコネクタの別の態様を、図9に示す。図9に示すコネクタは、上述の実施形態におけるスリーブとキャップ体に対応する部分が一体的に形成されることによって、キャップ体16’が構成されている。そして、キャップ体16’の中空部161’内にすり鉢状(テーパー状)の凹部121’が形成されていて、スリットが設けられたキャップ体側フェラル10Bの端部103が凹部121‘にかしめるように押さえつけられる。
【0039】
この場合は、キャップ体16’をキャップ体側フェラル10Bよりも硬い材料で形成することが好ましい。また、キャップ体16’の凹部121’の押さえつけ角度(テーパー角度)εは、キャップ体側フェラル10Bの端部103のテーパー角度γより鈍角に形成されることが好ましい。これらの構成によって、キャップ体16’がキャップ体側フェラル10Bをかしめる力が大きくなり、チューブ20を基板方向に強く押しつけて固定することが可能となる。
【0040】
図9では、キャップ体16’の外周が図8の符号163で示すようにねじ状になっているが、図2に示すようにピン162’を備えた構成であってもよい。
【0041】
なお、本発明は上述した各実施形態の内容に限定されることなく、本発明の要旨の範囲内で種々に変形、変更して実施することが可能である。例えば、コネクタ1のフェラルは、基板側フェラル10Aとキャップ体側フェラル10Bから構成されているが、フェラルは一つであってもよい。この場合は、フェラルのキャップ体側端部は外径がテーパー状に漸減する形状とし、その外周に少なくとも一つのスリットを設け、基板側端部には送液チューブが挿通する貫通孔と同心円状をなして長手方向外方に突出する凸部を形成することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るコネクタ1の一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係るコネクタ1の使用態様の一例を示す断面図である。
【図3】キャップ体側フェラルの拡大断面図である。
【図4】キャップ体側フェラルの側面図及び平面図である。
【図5】基板側フェラル、キャップ体側フェラル、及びスリーブのテーパー角度及び押さえつけ角度の関係を示す説明図である。
【図6】本発明に係るコネクタの一例を示す断面図である。
【図7】基板と基板ホルダーを示す分解斜視図である。
【図8】本発明に係るコネクタの使用態様の一例を示す断面図である。
【図9】キャップ体とスリーブが一体的に形成された本発明に係るコネクタの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…コネクタ、10A…基板側フェラル、10B…キャップ体側フェラル、102,121…凹部、103,106…外径が漸減する端部、104…スリット、12…スリーブ、14…スプリング、16…キャップ体、162…ピン、20…送液チューブ、30…基板ホルダー、32…切り欠き部、40…基板、42…流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路が設けられた基板と前記流路に送液する送液チューブとを接続するコネクタであって、
前記送液チューブが挿通される貫通孔が長手方向に沿って形成された略円筒状のフェラルであって、第一の端部は端面が前記貫通孔の延在方向に対して直角に形成され、第二の端部はその先端に向かうに従い外径がテーパー状に漸減し、前記第二の端部にはその先端から外周面に沿って延びる少なくとも一つのスリットが設けられているフェラルと、
前記送液チューブが挿通される貫通孔が長手方向に沿って形成された略円筒状のスリーブであって、基板側端面に前記フェラルの第二の端部が嵌合するテーパー状の凹部が形成されたスリーブと、
前記フェラル及びスリーブを格納可能な中空部を有し、一端部に前記送液チューブが挿通される貫通孔を有するキャップ体であって、前記フェラルおよびスリーブを前記中空部に格納して基板方向に押し付けながら、前記基板に固定された基板ホルダーに係止されるキャップ体と、
を備えるコネクタ。
【請求項2】
前記スリーブと前記キャップ体との間にばねを有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記スリーブが、前記キャップ体の中空部に予め固定されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記スリーブと前記キャップ体とが、前記スリーブが前記キャップ体の中空部に固定された状態で一体的に形成されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記フェラルの第二の端部のテーパー角度は、前記スリーブの凹部のテーパー角度よりも鋭角に形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記スリーブが、前記フェラルより硬い材料で形成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記スリットが、前記フェラルの第二の端部をその先端から見た平面視にて120度間隔に3つ設けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記フェラルは、基板側フェラルとキャップ体側フェラルの2つからなり、該基板側フェラルのキャップ体側端部はその先端に向かうに従い外径がテーパー状に漸減し、該キャップ体側フェラルの基板側端面には該基板側フェラルが嵌合するテーパー状の凹部が形成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記基板側フェラルのキャップ体側端部のテーパー角度は、前記キャップ体側フェラルの凹部のテーパー角度より鋭角に形成されている、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前期キャップ体側フェラルは、前記基板側フェラルより硬い材料で形成されている、請求項8または9に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記フェラルの第一の端部の端面は、前記貫通孔と同心円状をなして長手方向外方に突出する凸部を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記キャップ体は、外周にピンを有し、前記基板ホルダーに設けられた切り欠き部に該ピンが嵌合することによって基板ホルダーに抜け止めされた状態で係止される、請求項1から11のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記キャップ体は、外周がねじ状に形成され、前記基板ホルダーに設けられたねじ穴にねじ込むことによって基板ホルダーに係止される、請求項1から11のいずれか1項に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−137143(P2010−137143A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314512(P2008−314512)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(390034957)株式会社伊藤製作所 (2)
【Fターム(参考)】