説明

コネクタ

【目的】 本発明の目的は、導電体に対する接続及び取り外しを容易に行うことができるコネクタを提供する。
【構成】 本コネクタは、略平行に延びたビーム120a、120bと、導電板300a、300bと、導電板300a、300bが設けられたホルダ200a、200bと、クリップバネ400とを備えている。ビーム120a、120bにホルダ200a、200b及び導電板300a、300bを収容する収容凹部121a、121bが互いに対向するように設けられている。クリップバネ400は、導電板300a、300b互いに接近させる方向に付勢可能な付勢アーム411、412を有する。収容凹部121a、121bは、ビーム120a、120bの先端側に開放されている。導電板300a、300b及びホルダ200a、200bが収容凹部121a、121bに前記先端側から挿脱可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電布等の導電体に接続可能なコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電布に接続される接続端子は、導電布に設けられた孔に係止可能なホックと、このホックに設けられ且つ前記導電布に電気的に接続可能な接点部と、この接点部に接続されたケーブルとを備えたものがある(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−291536号公報
【特許文献2】特開2000−28742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接続端子は、導電布に孔を設ける必要があるため、接続端子と導電布との接続位置を変更することが困難であった。また、導電布に孔を形成する際に、導電布内にある電極が損傷する可能性があるため、接続端子と導電布との接続安定性が低かった。更に、接続端子は、フックが導電布の孔に係止された状態で、接点部が導電布に接触する構成であるため、長年の使用で接点部の表面の酸化等により接触不良を起こした場合、接続端子全てを交換する必要があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、導電体に対する接続及び取り外しを容易に行うことができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のコネクタは、略平行に延びた第1、第2ビームと、第1、第2導電板と、付勢手段とを備えている。前記第1、第2ビームには前記第1、第2導電板を収容する第1、第2収容凹部が互いに対向するように設けられている。前記付勢手段は、前記第1、第2導電板を互いに接近させる方向に付勢可能になっている。前記第1、第2収容凹部は、前記第1、第2ビームの先端側に開放されている。前記第1、第2導電板は前記収容凹部に前記先端側から挿脱可能になっている。
【0007】
このような態様の発明による場合、第1、第2導電板の間に導電体が挿入されると、第1、第2導電板が付勢手段に付勢され、導電体に各々弾性的に接触する。これにより、本コネクタと導電体とが接続されるので、導電体に孔を形成する必要がなく、本コネクタと導電体との接続及び取り外しを簡単に行うことができる。よって、本コネクタは、導電体に対する接続位置を簡単に変更することもできる。また、導電体に孔を設ける必要がないため、孔開けにより導電体の電極が傷付くこともない。更に、第1、第2導電板が前記第1、第2収容凹部に第1、第2ビームの先端側から挿脱可能であるので、第1、第2導電板が酸化等を起こしたとしても、当該第1、第2導電板を容易に交換することができる。また、第1、第2導電板は収容凹部に前記先端側から挿脱可能であるので、厚みの異なる複数種類の第1、第2導電板を予め用意し、当該第1、第2導電板を付け替えることにより、本コネクタは厚みの異なる複数種類の導電体に対応することができる。
【0008】
前記第1、第2導電板は、突起が設けられた第1面と、その裏側の第2面とを有する構成とすることが可能である。この場合、前記第1、第2導電板は前記第1面同士が対向するように前記第1、第2収容凹部に収容されている。このような態様の発明による場合、第1、第2導電板の第1面の突起が導電体に各々接触するので、導電体に対する摩擦抵抗が増大し、導電体に対する保持力及び引っ張り強度を向上させることができる。また、第1、第2導電板の第1面の突起が導電体に各々弾性的に接触することにより、導電体に対する安定した接触抵抗値を得ることができるので、接続安定性の向上を図ることができる。
【0009】
前記付勢手段としては導電性を有するバネ部材を用いることができる。このバネ部材は、前記第1、第2ビーム内に設けられ、前記第1、第2導電板の第2面に各々弾性的に当接する第1、第2付勢アームと、接続部とを有する構成とすることが可能である。前記第1、第2付勢アームの間隔は、前記第1、第2導電板の厚み寸法と前記導電板の厚み寸法との和よりも小さくなっている。このような態様の発明による場合、バネ部材の第1、第2付勢アームの間に導電体が挿入されると、第1、第2付勢アームが第1、第2導電板の第2面に各々弾性的に当接するので、第1、第2導電板を導電体に押し付けることができる。よって、両者の電気的な接続が安定する。また、バネ部材が接続部を有しているので、当該接続部を他の部材に接続させることができる。すなわち、付勢手段であるバネ部材を、接続端子としても用いることができるので、本コネクタは、接続端子を別途備える場合に比べて部品点数の低減を図ることができ、低コスト化を図ることができる。
【0010】
或いは、前記第1、第2ビームが弾性変形可能な素材で構成されている場合、当該第1、第2ビームが前記第1、第2導電板を互いに接近させる方向に付勢する前記付勢手段として機能する構成とすることが可能である。このような態様の発明による場合、前記第1、第2ビームが付勢手段を兼ねるので、本コネクタの部品点数を低減することができ、低コスト化を図ることができる。
【0011】
前記コネクタは、前記第1導電板の第1面が露出するように当該第1導電板が埋設されており且つ当該第1導電板と共に前記第1収容凹部に前記先端側から挿脱自在に収容される第1ホルダと、前記第2導電板の第1面が露出するように当該第2導電板が埋設されており且つ当該第2導電板と共に前記第2収容凹部に前記先端側から挿脱自在に収容される第2ホルダを更に備えた構成とすることが可能である。
【0012】
前記コネクタは、前記第1、第2ホルダを連結するフレキシブルな連結部を更に備えた構成とすることが可能である。このような態様の発明による場合、第1、第2ホルダが連結部により一体化される。また、連結部を略U字状に湾曲させた状態で、第1、第2ホルダを第1、第2収容凹部に先端側から一度に挿脱することが可能になるので、第1、第2ホルダ及び第1、第2導電板の交換が簡単になる。
【0013】
前記第1、第2ホルダは、弾性変形可能な第1、第2係止アームを有する構成とすることが可能である。この場合、前記第1、第2ビームは、前記第1、第2収容凹部の壁部と、前記第1、第2収容凹部の底部とを有している。前記第1、第2係止アームは、その先端部に係止爪が設けられている。前記壁部又は底部には、当該壁部又は底部を貫通し且つ前記係止爪を係止する係止孔が設けられている。
【0014】
このような態様の発明による場合、第1、第2ホルダを第1、第2ビームの先端側から第1、第2収容凹部に挿入されると、当該第1、第2ホルダの第1、第2係止アームが弾性変形し、その後、当該第1、第2係止アームの係止爪が第1、第2ビームの係止孔に係止される。よって、第1、第2ホルダが不用意に第1、第2収容凹部から脱落するのを抑止することができる。また、係止孔を通じて第1、第2係止アームの係止爪が操作されると、当該第1、第2係止アームが弾性変形し、係止爪と係止孔との係止が解除される。よって、係止爪と係止孔との係止の解除を簡単に行うことができる。
【0015】
前記突起が四角錐であることが好ましい。このような態様の発明による場合、突起の表面積が大きくなるので、導電体に対する摩擦抵抗を更に増大させ、導電体に対する保持力及び引っ張り強度を更に向上させることができる。
【0016】
前記第1、第2導電板の第2面には、前記第1、第2付勢アームの先端部が係止される第1、第2係止凹部が設けられていても良い。このような態様の発明による場合、バネ部材の第1、第2付勢アームの先端部が前記第1、第2導電板の第1、第2係止凹部に係止されているので、第1、第2付勢アームによる第1、第2導電板の保持力を更に向上させることができる。
【0017】
前記コネクタは、前記接続部に電気的に接続されるケーブルを更に備えた構成とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明の実施の形態に係るコネクタの概略的斜視図である。
【図1B】前記コネクタの概略的正面図である。
【図1C】前記コネクタの概略的側面図である。
【図1D】前記コネクタの概略的平面図である。
【図2A】前記コネクタの図1B中の2A−2A断面図である。
【図2B】前記コネクタの図1B中の2B−2B断面図である。
【図2C】前記コネクタの図1B中の2C−2C断面図である。
【図3】前記コネクタの第1、第2導電板、第1、第2ホルダ及び連結部をボディから取り外した状態を示す概略的斜視図である。
【図4】前記コネクタの第1、第2導電板及び第1、第2ホルダと、クリップバネとの係止状態を説明するための概略的斜視図である。
【図5】前記コネクタの第1、第2導電板、第1、第2ホルダ及び連結部の概略的斜視図である。
【図6】前記コネクタのクリップバネの概略的斜視図である。
【図7A】前記コネクタのボディの正面、平面及び右側面を表した概略的斜視図である。
【図7B】前記コネクタのボディの背面、平面及び左側面を表した概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るコネクタについて図1A乃至図7Bを参照しつつ説明する。ここに掲げるコネクタは、図示しないフレキシブルな導電布(導電体)に接続可能なコネクタである。このコネクタは、図1A乃至図2Cに示すように、ボディ100と、ホルダ200a、200b(第1、第2ホルダ)と、連結ベルト200c(連結部)と、導電板300a、300b(第1、第2導電板)と、一対のクリップバネ400(付勢手段であるバネ部材)と、ブッシュ500と、ケーブル600とを備えている。以下、前記コネクタの各部について詳しく説明する。なお、図1A、図2A及び図3中に、本実施の形態における前後方向をDとして示す。
【0020】
導電板300a、300bは、図2A乃至図5に示すように同一の略矩形状の導電金属板である。導電板300aは、第1面301aと、その裏側の第2面302aとを有している。第1面301aには複数の四角錐状(いわゆるピラミッド状)の突起310aがマトリックス状に配設されている。導電板300bは、第1面301bと、その裏側の第2面302bとを有している。第1面301bには複数の四角錐状(いわゆるピラミッド状)の突起310bがマトリックス状に配設されている。
【0021】
ホルダ200a、200bは、同一の略矩形状の絶縁樹脂製のプレートである。ホルダ200aの厚み方向の一端部には、図2A及び図2Bに示すように、第1面301aが露出するように導電板300aが埋設されている。ホルダ200aの厚み方向の他端部には、図3乃至図5に示すように、一対の切り込み210aが前後方向Dに沿って略平行に設けられている。切り込み210aは導電板300aの第2面302aからホルダ200aの厚み方向の他端面にかけて貫通している(図2A参照)。切り込み210aの後端側が開放されている。ホルダ200aの先端側の両角部には、後方に延びる一対の係止アーム220a(第1係止アーム)が設けられている。この係止アーム220aの後端部の外面には係止爪221aが設けられている。
【0022】
ホルダ200bの厚み方向の一端部には、図2A及び図2Bに示すように、第1面301bが露出するように導電板300bが埋設されている。ホルダ200bの厚み方向の他端部には、図3乃至図5に示すように、一対の切り込み210bが前後方向Dに沿って略平行に設けられている。切り込み210bは導電板300bの第2面302bからホルダ200bの厚み方向の他端面にかけて貫通している(図2A参照)。切り込み210bの後端側が開放されている。ホルダ200bの先端側の両角部には、後方に延びる一対の係止アーム220b(第2係止アーム)が設けられている。この係止アーム220bの後端部の外面には係止爪221bが設けられている。
【0023】
連結ベルト200cは、図5に示すように、ホルダ200a、200bと同じ絶縁樹脂製の長尺状のフレキシブルな帯である。この連結ベルト200cは、ホルダ200a、200bの後端部を連結している。この連結ベルト200cが、図2Bに示すように略U字状に湾曲することにより、ホルダ200aに埋設された導電板300aと、ホルダ200bに埋設された導電板300bとが対向するようになっている。
【0024】
ボディ100は、図1A及び図1Cに示すように、側面視横向き略U字状の絶縁樹脂ブロックである。このボディ100は、ベース110と、ビーム120a、120b(第1、第2ビーム)と、凸部130とを有している。ベース110は略矩形状であって、前後方向Dにおける前面及び背面を有している。ベース110の前面の中心部には、図2C及び図7Aに示すように、略矩形状の穴部111が設けられている。この穴部111に略U字状に湾曲した連結ベルト200cが収容されている。ベース110の前面の穴部111の両隣には、図2C及び図7Aに示すように、一対のスリット112が前後方向Dに沿って延設されている。ベース110の前面の上下端部には、平板状のビーム120a、120bが略平行に延設され且つ互いに対向している。
【0025】
ビーム120aの下端部(ビーム120b対向部)には、収容凹部121a(第1収容凹部)が設けられている。収容凹部121aは、ビーム120aの先端側に開放されており且つ当該収容凹部121aの外形がホルダ200aの外形よりも若干大きい略矩形状となっている。この収容凹部121aに導電板300a及びホルダ200aがビーム120aの先端側から挿脱自在に収容されている。
【0026】
ビーム120aの収容凹部121aの幅方向の両側壁部には、図1A及び図2Cに示すように当該側壁部を貫通する略矩形状の一対の係止孔122aが設けられている。この係止孔122aにホルダ200aの係止アーム220aの係止爪221aが係止されている。これにより、ホルダ200a及び導電板300aがビーム120aの収容凹部121aから脱落するのを抑止している。係止孔122aを通じて係止爪221aが内側に押圧されると、係止アーム220aが内側に弾性変形し、係止爪221aと係止孔122aとの係止が解除される。これにより、ホルダ200a及び導電板300aがビーム120aの収容凹部121aから取り出すことができる。
【0027】
ビーム120aの収容凹部121aの上側部分には、図2A及び図7Aに示すように当該収容凹部121aに連通する一対のスリット123aが設けられている。このスリット123aは、前後方向Dに沿って延び、ベース110のスリット112の上端部に連通している。スリット123aは、ビーム120aの先端側に開放されている。
【0028】
ビーム120bの上端部(ビーム120a対向部)には、収容凹部121b(第2収容凹部)が設けられている。収容凹部121bは、ビーム120bの先端側に開放されており且つ当該収容凹部121bの外形がホルダ200bの外形よりも若干大きい略矩形状となっている。収容凹部121bは収容凹部121aに対向している。収容凹部121bに導電板300b及びホルダ200bがビーム120bの先端側から挿脱自在に収容されている。収容凹部121aに導電板300a及びホルダ200aが、収容凹部121bに導電板300b及びホルダ200bが収容された状態で、導電板300aの第1面301aと導電板300bの第1面301bとが対向している。導電板300aの第1面301aと導電板300bの第1面301bとの間に、導電布が挿脱自在になっている。
【0029】
ビーム120bの収容凹部121bの幅方向の両側壁部には、図1A及び図2Cに示すように当該側壁部を貫通する略矩形状の一対の係止孔122bが設けられている。この係止孔122bにホルダ200bの係止アーム220bの係止爪221bが係止されている。これにより、ホルダ200b及び導電板300bがビーム120bの収容凹部121bから脱落するのを抑止している。係止孔122bを通じて係止爪221bが内側に押圧されると、係止アーム220bが内側に弾性変形し、係止爪221bと係止孔122bとの係止が解除される。これにより、ホルダ200b及び導電板300bがビーム120bの収容凹部121bから取り出すことができる。
【0030】
ビーム120bの収容凹部121bの上側部分には、図2A及び図7Aに示すように当該収容凹部121bに連通する一対のスリット123bが設けられている。このスリット123bは、前後方向Dに沿って延び、ベース110のスリット112の下端部に連通している。スリット123bは、ビーム120bの先端側に開放されている。
【0031】
ベース110の後面には、図7Bに示すように、凸部130が設けられている。この凸部130には、図2A及び図2Cに示すように、当該凸部130を貫通し且つスリット112に連通する一対のスリット131が設けられている。上述したように、スリット123a、123bとスリット112とが連通し、スリット112とスリット131とが連通しているので、スリット123a、123b、112及び131が一つのスリットをなしている。このスリットにクリップバネ400が各々収容されている。また、凸部130の幅方向の両側面には、略矩形状の一対のロック孔132が設けられている。ロック孔132は、図2Cに示すように、スリット131に連通している。
【0032】
各クリップバネ400は、図2A及び図6に示すように導電性を有する金属板である。このクリップバネ400は、側面視横向き略U字状のクランプ部410と、矩形状の接続部420とを有している。クランプ部410は、付勢アーム411、412(第1、第2付勢アーム)と、この付勢アーム411、412を繋ぐ中間部413とを有している。中間部413はベース110のスリット112に収容されている。付勢アーム411はビーム120aのスリット123aに、付勢アーム412はビーム120bのスリット123bに各々収容されている。付勢アーム411の内側端部には凸部411a、411bが、付勢アーム412の内側端部には凸部412a、412bが設けられている。凸部411bは凸部411aよりも小さく、凸部411aの先端の高さ位置と凸部411bの先端の高さ位置が同じになっている。凸部412bも凸部412aよりも小さく、凸部412aの先端の高さ位置と凸部412bの先端の高さ位置が同じになっている。凸部411a、411bは、ホルダ200aの切り込み210aに挿入され、導電板300aの第2面302aに当接し、凸部412a、412bはホルダ200bの切り込み210bに挿入され、導電板300bの第2面302bに当接している。付勢アーム411の凸部411a、411bと付勢アーム412の凸部412a、412bとの間の間隔Sは、導電板300a、300bの厚み寸法と導電布の厚み寸法との和よりも小さくなっている。このため、導電板300aと導電板300bとの間に導電布が挿入されると、付勢アーム411が導電板300aの第2面302aを付勢する一方、付勢アーム412が導電板300bの第2面302bを付勢する。これにより、導電板300a、300bが互いに近づく方向に付勢され、導電布が導電板300aと導電板300bとの間で弾性的に挟持される。
【0033】
接続部420は、クランプ部410の中間部413に設けられ、付勢アーム411、412の反対側に延びた矩形状の板である。この接続部420の長さ寸法は、凸部130の長さ寸法よりも大きい。よって、接続部420は、凸部130のスリット131に圧入され、当該凸部130を貫通している。接続部420には、凸部130のロック孔132に係止される係止片421が設けられている。係止片421がロック孔132に係止されることにより、クリップバネ400のボディ100からの抜けを抑止している。接続部420の後端部には、ケーブル600の芯線610が電気的に接続されている。本実施の形態においては、接続部420の後端部に設けられた接続孔にケーブル600の芯線610が挿入され、当該芯線610が接続部420に半田付けされている。なお、接続部420の後端部の幅方向の両端部に切り込みを形成し、この切り込みにケーブル600の芯線610を係合させ、半田付けすることも可能である。
【0034】
ブッシュ500は、ベース110の後端部に着脱自在に取り付けられた絶縁樹脂製の略四角錐台である。ブッシュ500内部には、ベース110の凸部130、クリップバネ400の接続部420の後端部、ケーブル600の端部及び当該端部から導出した芯線610が埋設されている。
【0035】
以下、上述した構成のコネクタの製造方法について詳しく説明する。まず、周知の射出成型法により作成されたボディ100を用意すると共に、周知のプレス成型により作成された一対のクリップバネ400を容易する。その後、クリップバネ400の接続部420をボディ100の一対のスリット112から凸部130の一対のスリット131に各々挿入し、接続部420の後端部を凸部130から各々突出させる。すると、接続部420の係止片421が凸部130の一対のロック孔132に各々係止される。このとき、クリップバネ400のクランプ部410の中間部413がボディ100の一対のスリット112に各々挿入され、クリップバネ400の付勢アーム411、412がビーム120a、120bの一対のスリット123a、123bに各々挿入される。
【0036】
その後、ケーブル600を用意する。その後、ケーブル600の芯線610を接続部420の後端部の接続孔に挿入し、その状態で芯線610を接続部420に半田付けする。その後、ボディ100、クリップバネ400及びケーブル600を図示しない金型内に配置し、当該金型に絶縁樹脂を流し込んでブッシュ500を成型する。これにより、ベース110の凸部130、クリップバネ400の接続部420の後端部、ケーブル600の端部及び当該端部から導出した芯線610がブッシュ500内に埋設される。
【0037】
その一方で、周知の鋳造法(アルミダイキャスト等)により作成された導電板300a、300bを用意する。その後、導電板300a、300bを絶縁樹脂にインサート成型し、導電板300a、300bが埋設されたホルダ200a、200bと、連結ベルト200cを作成する。
【0038】
その後、連結ベルト200cを略U字状に湾曲させ、導電板300aの第1面301aと導電板300bの301bとを対向させる。この状態で、連結ベルト200cをボディ100の穴部111に挿入すると共に、ホルダ200aをビーム120aの収容凹部121aに当該ビーム120aの先端側から、ホルダ200bをビーム120bの収容凹部121bに当該ビーム120bの先端側から各々挿入する。すると、ホルダ200aの係止アーム220aの一対の係止爪221aがビーム120aの一対の係止孔122aに、ホルダ200bの一対の係止アーム220bの係止爪221bがビーム120bの一対の係止孔122bに嵌まり込み、係止される。このとき、クリップバネ400の付勢アーム411の凸部411a、411bがホルダ200aの一対の切り込み210aに各々挿入され、導電板300aの第2面302aに各々当接すると共に、当該クリップバネ400の付勢アーム412の凸部412a、412bがホルダ200bの一対の切り込み210bに各々挿入され、導電板300bの第2面302bに各々当接する。これにより、一対のクリップバネ400と導電板300a、300bとが電気的に接続される。
【0039】
以下、導電板300a、300bの交換手順について詳しく説明する。まず、ボディ100の一対の係止孔122aを通じてホルダ200aの一対の係止アーム220aの係止爪221aを内側に押圧する。すると、係止アーム220aが内側に弾性変形し、係止爪221aと係止孔122aとの係止が各々解除される。同様に、ボディ100の一対の係止孔122bを通じてホルダ200bの一対の係止アーム220bの係止爪221bを内側に押圧する。すると、係止アーム220bが内側に弾性変形し、係止爪221bと係止孔122bとの係止が各々解除される。この状態で、ホルダ200a及び導電板300aをビーム120aの収容凹部121aから当該ビーム120aの先端側に引き抜くと共に、ホルダ200b及び導電板300bをビーム120bの収容凹部121bから当該ビーム120bの先端側に引き抜く。これにより、ホルダ200a、200b、導電板300a、300b及び連結ベルト200cがボディ100から取り外される。よって、新しい、ホルダ200a、200b、導電板300a、300b及び連結ベルト200cを用意し、上述の通り、ボディ100に取り付ける。
【0040】
以下、上述したように製造されたコネクタを導電布に接続する手順について詳しく説明する。導電布がコネクタの導電板300aと導電板300bとの間に挿入されると、導電板300aを通じて一対のクリップバネ400の付勢アーム411が上側に押圧されると共に、導電板300bを通じて一対のクリップバネ400の付勢アーム412が下側に押圧される。これにより、付勢アーム411、412が導電板300a、300bを互いに接近させる方向に付勢する。これにより、導電布が導電板300aと導電板300bとの間で挟持され、導電板300aの突起310aが導電布の第1面の第1電極に、導電板300bの突起310bが導電布の第1面の裏側の第2面の第2電極に接触する。このようにして本コネクタが導電布に接続される。導電布を導電板300aと導電板300bとの間から引き抜くことにより、導電布は本コネクタから取り外される。
【0041】
上述したようなコネクタによる場合、導電板300aと導電板300bとの間で導電布が弾性的に挟持され電気的に接続される構成となっているので、本コネクタと導電布との接続及び取り外しを簡単に行うことができ且つ導電布に孔を形成する必要がない。よって、本コネクタは、導電布に対する接続位置を簡単に変更することができる。また、導電布に孔を設ける必要がないため、孔開けにより導電布の電極が傷付くこともない。更に、導電板300a、300bがビーム120a、120bの収容凹部121a、121bに当該ビーム120a、120bの先端側から挿脱可能であるので、本コネクタが長期間使用されることにより導電板300a、300bが酸化等を起こしたとしても、当該導電板300a、300bを容易に交換することができる。また、導電板300a、300bは収容凹部121a、121bにビーム120a、120bの先端側から挿脱可能であるので、厚みの異なる複数種類の導電板300a、300bを予め用意し、当該導電板300a、300bを付け替えることにより、本コネクタは厚みの異なる複数種類の導電布に対応することができる。
【0042】
また、導電板300a、300bの複数の四角錐状の突起310a、310bが、導電布の第1電極、第2電極に弾性的に接触するようになっているので、導電板300a、300bの導電布の第1電極、第2電極に対する接触面積を大きくすることができる。よって、導電板300a、300bの導電布に対する摩擦抵抗が増大し、本コネクタの導電布に対する保持力及び引っ張り強度を向上させることができる。また、導電板300a、300bの複数の四角錐状の突起310a、310bが、導電布の第1電極、第2電極に弾性的に接触することにより、導電布に対する安定した接触抵抗値を得ることができるので、本コネクタの接続安定性の向上を図ることができる。
【0043】
なお、本コネクタは、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0044】
上記実施の形態では、ビーム120a、120bは、ベース110の上下端部から略平行に延設されているとしたが、第1、第2ビームは、略平行に延び且つ第1、第2収容凹部が互いに対向するように設けられている限り任意に設計変更することが可能である。
【0045】
上記実施の形態では、収容凹部121a、121bは、ビーム120a、120bの先端側に開放されており且つ外形がホルダ200a、200bの外形よりも若干大きい略矩形状であるとしたが、ビームの先端側が開放され且つ外形がホルダ又は導電板を先端側から挿脱自在に収容し得る形状である限り任意に設計変更することが可能である。すなわち、収容凹部は、ホルダを収容する形態だけでなく、導電板を直接収容する形態とすることも可能である。この場合、ホルダ及び連結部は省略することができる。
【0046】
上記実施の形態では、付勢手段としてクリップバネ400を用いるとしたが、前記第1、第2導電板を互いに接近させる方向に付勢可能である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、付勢手段としてコイルスプリングや板バネ等の弾性部材を用い、当該弾性部材を第1、第2収容凹部とホルダ又は導電板との間に各々介在させ、当該弾性部材により第1、第2導電板を互いに接近させる方向に付勢する態様とすることが可能である。また、第1、第2ビームを互いに接近させる方向に弾性変形可能な素材で構成し、当該第1、第2ビームにより第1、第2導電板を互いに接近させる方向に付勢することも可能である。更に、上記実施の形態では、付勢手段であるクリップバネ400が、導電板300a、300bとケーブル600とを電気的に接続するとしたが、付勢手段とは別の接続手段により、第1、第2導電板とケーブルとを電気的に接続することが可能である。また、クリップバネ400は、第1、第2導電板をケーブル以外の接続対象(例えば、プリント基板等)に電気的に接続することも可能である。この場合も、クリップバネ400とは別の接続手段を用いて第1、第2導電板と接続対象とを接続することが可能である。すなわち、付勢手段の接続部は様々な接続対象に接続可能である。
【0047】
上記実施の形態では、付勢アーム411、412に凸部411a、411b、412a、412bを有するとしたが、第1、第2付勢アームは導電板の第2面に接触する限り任意に設計変更することが可能である。
【0048】
上記実施の形態では、導電板300a、300bは、鋳造法により製造された導電金属板であるとしたが、導電性を有するものである限り任意に設計変更することが可能である。例えば、第1、第2導電板としてプレス成型された導電金属板を用いることができる。また、第1、第2導電板の第2面に第1、第2係止凹部を設け、第1、第2付勢アームを係止する構成とすることが可能である。この場合、第1、第2付勢アームが第1、第2導電板の第1、第2係止凹部に係止されるので、第1、第2付勢アームによる第1、第2導電板の保持力を向上させることができる。
【0049】
上記実施の形態では、導電板300a、300bの第1面301a、301bには、四角錐状の突起310a、310bが設けられているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第1、第2導電板の第1面が導電体に面接触するだけで、電気的導通を図れる場合には、突起を省略することが可能である。また、突起の形状としては、四角錐だけに限定されるものではなく、三角錐、おろし金のような切り上げ片等の様々な凸形状とすることが可能である。
【0050】
上記実施の形態では、ホルダ200a、200bは、係止アーム220a、220bを有し、該係止アーム220a、220bの係止爪221a、221bがビーム120a、120bの係止孔122a、122bに係止されるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ホルダが第1、第2ビームの第1、第2収容凹部に圧入される構成とすることが可能であるし、ホルダが第1、第2ビームの第1、第2収容凹部に接着することも可能である。また、その他の係止手段を用いてホルダを第1、第2ビームの第1、第2収容凹部に係止させるようにしても良い。また、上記実施の形態では、係止爪221a、221bは、係止アーム220a、220bの外面に設けられているとしたが、第1、第2係止アームの第1、第2収容凹部の底部に対向する面に設けることも可能である。この場合、係止孔は、第1、第2収容凹部の底部に当該底部を貫通するように設けると良い。この場合であっても、係止孔を通じて係止爪が操作されることにより、当該係止孔と係止爪との係止を解除できる。
【0051】
上記実施の形態では、連結部としては、ホルダ200a、200bを連結する連結ベルト200cであるとしたが、第1、第2ホルダを連結するフレキシブルなものである限り任意に設計変更することが可能である。また、連結部を省略し、第1、第2ホルダを別体とすることも可能である。
【0052】
なお、上記実施の形態では、本コネクタの各部を構成する素材、形状、寸法及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。また、上記実施の形態では、導電体がフレキシブルな導電布であるとしたが、本コネクタの第1、第2導電板の間に挿入され且つ電気的に接続可能な導電体である限り、どのようなものであっても良い。例えば、本発明は、リジットな板状の導電体にも適応可能である。
【符号の説明】
【0053】
100・・・ボディ
110・・ベース
111・穴部
112・スリット
120a・ビーム(第1ビーム)
121a・収容凹部(第1収容凹部)
122a・係止孔
123a・スリット
120b・ビーム(第2ビーム)
121b・収容凹部(第1収容凹部)
122b・係止孔
123b・スリット
130・・凸部
131・スリット
132・ロック孔
200a・・ホルダ(第1ホルダ)
210a・切り込み
220a・係止アーム
221a・係止爪
200b・・ホルダ(第2ホルダ)
210b・切り込み
220b・係止アーム
221b・係止爪
300a・・導電板(第1導電板)
301a・第1面
302a・第2面
310a・突起
300b・・導電板(第2導電板)
301b・第1面
302b・第2面
310b・突起
400・・・クリップバネ(付勢手段:バネ部材)
410・・クランプ部
411・付勢アーム(第1付勢アーム)
412・付勢アーム(第2付勢アーム)
413・中間部
420・・接続部
500・・・ブッシュ
600・・・ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平行に延びた第1、第2ビームと、
第1、第2導電板と、
付勢手段とを備えており、
前記第1、第2ビームには前記第1、第2導電板を収容する第1、第2収容凹部が互いに対向するように設けられており、
前記付勢手段は、前記第1、第2導電板を互いに接近させる方向に付勢可能になっており、
前記第1、第2収容凹部は、前記第1、第2ビームの先端側に開放されており、
前記第1、第2導電板が前記第1、第2収容凹部に前記先端側から挿脱可能であるコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタにおいて、
前記第1、第2導電板は、突起が設けられた第1面と、その裏側の第2面とを有し且つ前記第1面同士が対向するように前記第1、第2収容凹部に収容されているコネクタ。
【請求項3】
導電体に接続可能な請求項2記載のコネクタにおいて、
前記付勢手段は導電性を有するバネ部材であり、
前記バネ部材は、前記第1、第2ビーム内に設けられており且つ前記第1、第2導電板の第2面に各々当接する第1、第2付勢アームと、
接続部とを有しており、
前記第1、第2付勢アームの間隔が、前記第1、第2導電板の厚み寸法と前記導電板の厚み寸法との和よりも小さいコネクタ。
【請求項4】
請求項1又は2記載のコネクタにおいて、
前記第1、第2ビームは、弾性変形可能な素材で構成されており且つ前記第1、第2導電板を互いに接近させる方向に付勢する前記付勢手段として機能するコネクタ。
【請求項5】
請求項2又は3記載のコネクタにおいて、
前記第1導電板の第1面が露出するように当該第1導電板が埋設されており且つ当該第1導電板と共に前記第1収容凹部に前記先端側から挿脱自在に収容される第1ホルダと、
前記第2導電板の第1面が露出するように当該第2導電板が埋設されており且つ当該第2導電板と共に前記第2収容凹部に前記先端側から挿脱自在に収容される第2ホルダを更に備えているコネクタ。
【請求項6】
請求項5記載のコネクタにおいて、
前記第1、第2ホルダを連結するフレキシブルな連結部を更に備えているコネクタ。
【請求項7】
請求項5又は6記載のコネクタにおいて、
前記第1、第2ホルダは、弾性変形可能な第1、第2係止アームを有しており、
前記第1、第2ビームは、前記第1、第2収容凹部の壁部と、前記第1、第2収容凹部の底部とを有しており、
前記第1、第2係止アームは、その先端部に係止爪が設けられており、
前記壁部又は底部には、当該壁部又は底部を貫通し且つ前記係止爪を係止する係止孔が設けられているコネクタ。
【請求項8】
請求項2、3、5、6又は7記載のコネクタにおいて、
前記突起は四角錐であるコネクタ。
【請求項9】
請求項3記載のコネクタにおいて、
前記第1、第2導電板の第2面には、前記第1、第2付勢アームの先端部が係止される第1、第2係止凹部が設けられているコネクタ。
【請求項10】
請求項3記載のコネクタにおいて、
前記接続部に電気的に接続されるケーブルを更に備えているコネクタ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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