説明

コネクタ

【課題】部品点数を少なくし、組み立てやすい電力供給用のコネクタを提供する。
【解決手段】本発明のコネクタは、ハウジング300の内部に偶数個のコンタクト200と1個以上の弾性体400が配置され、2つのピンコンタクト910、920を接続する。コンタクト200は、導電性の板で形成されており、当該板の外周部分に、弾性体固定部230、第1接触部210、第2接触部220、抜け防止部240を有する。ハウジング300は、1つ以上のコンタクト収納部310、1つ以上のコンタクト挿入口320、第1ピンコンタクト挿入口330、第2ピンコンタクト挿入口340、係止部370を有する。コンタクト収納部310は、2つのコンタクト200ごとに、第1接触部210同士と第2接触部220同士を対向させた状態で収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給用のコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ピンコンタクト同士を接続するコネクタとしては、特許文献1の技術が従来技術として知られている。図1に特許文献1のコネクタの構成を示す。また、特許文献1の要約には、「第一平形挟持板2を形成する細長導電セグメント1群の一端側に同セグメント1個々の上下変位量を設定する第一上下変位制限軸9を遊貫挿すると共に、同他端側に同セグメント1個々の上下変位量を設定する第二上下変位制限軸10を遊貫挿し、同様に上記第二平形挟持板3を形成する細長導電セグメント1群の一端側に同セグメント1個々の上下変位量を設定する第三上下変位制限軸11を遊貫挿すると共に、同他端側に同セグメント1個々の上下変位量を設定する第四上下変位制限軸12を遊貫挿した電力供給用平形コネクタ。」と示されている。なお、図中の符号は「1…細長導電セグメント、2…第一平形挟持板、3…第二平形挟持板、4…第一平形プラグ挿入口、5…第二平形プラグ挿入口、6…第一平形プラグ、7…第二平形プラグ、9…第一上下変位制限軸、10…第二上下変位制限軸、11…第三上下変位制限軸、12…第四上下変位制限軸、13…大径孔、14…接触用突起」のように説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−218063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、複数組の平形挟持板の変位を、平形挟持板を貫通する4本の上下変位制限軸で制限しているので、部品点数が多くなる。また、複数組の平形挟持板を一度に組み立てていかなければならないので、組み立てにくい。本願発明は、部品点数を少なくし、組み立てやすい電力供給用のコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコネクタは、ハウジングの内部に偶数個のコンタクトと1個以上の弾性体が配置され、ピンコンタクト同士を接続するコネクタである。コンタクトは、導電性の板で形成されており、当該板の外周部分(板の広い面側から見たときの2次元形状の外周部分、あるいはその厚みに相当する部分)に、弾性体固定部、第1接触部、第2接触部、抜け防止部、ガイド部を有する。ハウジングは、1つ以上のコンタクト収納部、1つ以上のコンタクト挿入口、第1ピンコンタクト挿入口、第2ピンコンタクト挿入口、係止部を有する。
【0006】
弾性体固定部は、弾性体の一端を固定する。第1接触部と第2接触部は、同一の線に同時に接触できる位置であって、押し付ける力が加わった場合に、弾性体固定部を中心として互いに反対向きのモーメントが発生する位置に配置されている。抜け防止部は、第1接触部側であって、第1接触部と第2接触部とを結んだ線から最も遠い位置に配置されている。ガイド部は、第2接触部側から挿入されるピンコンタクトを第2接触部に導く。
【0007】
コンタクト収納部は、2つのコンタクトごとに、第1接触部同士と第2接触部同士を対向させ、コンタクト同士に引き付けあう力が生じるように弾性体を双方の弾性体固定部に固定した状態で、2つのコンタクトを収納する。コンタクト挿入口は、コンタクト収納部ごとに形成されており、弾性体を固定した2つのコンタクトを、第2接触部側からコンタクト収納部に挿入するための細長い穴である。第1ピンコンタクト挿入口は、コンタクト挿入口側であって、一方のピンコンタクトが、コンタクト収納部に収納されたコンタクトの第1接触部同士の間に挿入される位置に設けられている。なお、コンタクトが4個以上(2組以上)あり、コンタクト収納部が2個以上ある場合には、第1ピンコンタクト挿入口は、一方のピンコンタクトが、全てのコンタクトの組の第1接触部同士の間に挿入される位置に設けられている。第2ピンコンタクト挿入口は、第1ピンコンタクト挿入口と反対側であって、他方のピンコンタクトが、コンタクト収納部に収納されたコンタクトの第2接触部同士の間に挿入される位置に設けられている。なお、コンタクトが4個以上(2組以上)あり、コンタクト収納部が2個以上ある場合には、第2ピンコンタクト挿入口は、他方のピンコンタクトが、全てのコンタクトの組の第2接触部同士の間に挿入される位置に設けられている。係止部は、挿入された一方のピンコンタクトを把持する。また、コンタクト挿入口のもっとも長い部分の長さは、2つのコンタクトの第1接触部同士が接触したときの抜け防止部同士の距離よりも長く、2つのコンタクトの第1接触部同士の間に一方のピンコンタクトを挿入したときの抜け防止部同士の距離よりも短い。
【0008】
なお、コンタクトが、さらに第2接触部側であって、第2接触部から所定の位置に配置された変位制限部を有し、ハウジングが、さらに変位制限部の移動範囲を限定する変位制限爪を有してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコネクタによれば、コンタクトと弾性体以外の部品としては、ハウジングのみでよい。また、2つのコンタクトと弾性体とを1組として、1組ずつハウジングに収納すればよいので、同時に複数組のコンタクトと弾性体とを扱う必要がない。したがって、コネクタを組み立てやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来のコネクタの構造を示す図。
【図2】本発明のコネクタの外観図を示す図。
【図3】本発明のコネクタを第2ピンコンタクト挿入口側から見た正面図。
【図4】本発明のコネクタを第1ピンコンタクト挿入口側から見た斜視図であって、第1のピンコンタクトを挿入する前の様子を示す図。
【図5】第1のピンコンタクトを係止する方法を示す図。
【図6】図3のA−A線での断面図を示す図。
【図7】第2のピンコンタクトが挿入されたときの様子を示す図。
【図8】第2のピンコンタクトが挿入されたときの別の角度から見た様子を示す図。
【図9】本発明のコネクタが使われるときの様子を示す斜視図。
【図10】本発明のコネクタの組み立て方を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0012】
図2に本発明のコネクタの外観図を示す。図2(A)は第2ピンコンタクト挿入口側から見た斜視図、図2(B)は第1ピンコンタクト挿入口側から見た斜視図であって、第1のピンコンタクトが挿入された様子を示す図である。図3は、本発明のコネクタを第2ピンコンタクト挿入口側から見た正面図である。図4は、第1ピンコンタクト挿入口側から見た斜視図であって、第1のピンコンタクトを挿入する前の様子を示す図である。図5に、第1のピンコンタクトを係止する方法を示す。図5(A)は図3のB−B線での断面図、図5(B)は図5(A)のCの部分の拡大図である。図6に図3のA−A線での断面図を示す。図7に第2のピンコンタクトが挿入されたときの様子を示す。図7(A)は、図3のA−A線での断面図であって、第1のピンコンタクトと第2のピンコンタクトの上下方向の位置が一致している場合の様子を示す図である。図7(B)は、図3のA−A線での断面図であって、第1のピンコンタクトと第2のピンコンタクトの上下方向の位置がずれている場合の様子を示す図である。図8に第2のピンコンタクトが挿入されたときの別の角度から見た様子を示す。図8(A)は、図7のD−D線での断面図であって、第1のピンコンタクトと第2のピンコンタクトの左右方向の位置が一致している場合の様子を示す図である。図8(B)は、図7のD−D線での断面図であって、第1のピンコンタクトと第2のピンコンタクトの左右方向の位置がずれている場合の様子を示す図である。図9は、本発明のコネクタが使われるときの様子を示す斜視図である。
【0013】
[本発明の構成の説明]
コネクタ100は、ハウジング300の内部に偶数個のコンタクト200と1個以上の弾性体400が配置され、2つのピンコンタクト910、920を接続するコネクタである。例えば、ピンコンタクト910は固定用穴911を有しており(図2参照)、装置935側のバスバー930にネジ931などで固定される(図9参照)。また、ピンコンタクト920は固定用穴921を有しており(図2参照)、電力源側のバスバー940にネジ941などで固定される(図9参照)。なお、図中では“−(ハイフン)”を用いてコンタクト200などを区別した記載をしている。本明細書内の説明では、コンタクト200−1と200−2とを区別する必要がないときには、単にコンタクト200と表記し、ハイフン以下を省略して説明する。
【0014】
コンタクト200は、導電性の板で形成されている。例えば、銅合金の板などで形成すればよい。コンタクト200は、当該板の外周部分(板の広い面側から見たときの2次元形状の外周部分、あるいはその厚みに相当する部分)に、弾性体固定部230、第1接触部210、第2接触部220、抜け防止部240、ガイド部250を有する(図6参照)。ハウジング300は、1つ以上のコンタクト収納部310、1つ以上のコンタクト挿入口320、第1ピンコンタクト挿入口330、第2ピンコンタクト挿入口340、係止部370を有す。弾性体400は、例えばコイルバネを用いればよいが、これに限定する必要は無い。2つのコンタクト200−1、2に、互いに引付けあうような力を生じさせることができれば、他の弾性体でもかまわない。
【0015】
弾性体固定部230は、弾性体400の一端を固定する。第1接触部210と第2接触部220は、同一の線に同時に接触できる位置に配置されている。また、第1接触部210と第2接触部220は、対向する第1接触部210−1、2同士、第2接触部220−1、2同士が押し付ける力が加わった場合に、弾性体固定部230を中心として互いに反対向きのモーメントが発生する位置に配置されている。抜け防止部240は、第1接触部210側であって、第1接触部210と第2接触部220とを結んだ線から最も遠い位置に配置されている。ガイド部250は、第2接触部220側から挿入されるピンコンタクト920を第2接触部220に導くようにテーパ状になっている。
【0016】
コンタクト収納部310は、2つのコンタクト200−1、2ごとに、第1接触部210−1、2同士と第2接触部220−1、2同士を対向させ、コンタクト200−1、2同士に引き付けあう力が生じるように弾性体400を双方の弾性体固定部230−1、2に固定した状態で、2つのコンタクト200−1、2を収納する。より具体的には、弾性体400がある部分は、弾性体400の大きさに合わせた空間を確保し、その他の空間の幅がコンタクト200−1、2の板厚より少し広くなるように形成すればよい。コンタクト収納部310とコンタクト200−1、2との隙間が、コンタクト200−1、2が移動可能な範囲である。コンタクト200−1、2の形状やコンタクト収納部310の空間の形状としては様々な選択肢があるので、第1接触部210と第2接触部220の移動可能な範囲を高い自由度で設計できる。
【0017】
コンタクト挿入口320は、コンタクト収納部310ごとに形成されており、弾性体400を固定した2つのコンタクト200−1、2を、第2接触部220−1、2側からコンタクト収納部310に挿入するための細長い長方形の穴である。
【0018】
第1ピンコンタクト挿入口330は、コンタクト挿入口320側であって、ピンコンタクト910が、コンタクト収納部310に収納されたコンタクト200−1、2の第1接触部210−1、2同士の間に挿入される位置に設けられている。なお、コンタクト200が4個以上(2組以上)あり、コンタクト収納部310が2個以上ある場合には、第1ピンコンタクト挿入口330は、ピンコンタクト910が、全てのコンタクト200の組の第1接触部210−1、2同士の間に挿入される位置に設けられている。図2のコネクタの場合、コンタクト収納部310が3個あり、第1ピンコンタクト挿入口330は、3組のコンタクト200の第1接触部210−1、2同士の間に挿入される位置に設けられている。
【0019】
第2ピンコンタクト挿入口340は、第1ピンコンタクト挿入口330と反対側であって、ピンコンタクト920が、コンタクト収納部310に収納されたコンタクト200−1、2の第2接触部220−1、2同士の間に挿入される位置に設けられている。なお、コンタクトが4個以上(2組以上)あり、コンタクト収納部310が2個以上ある場合には、第2ピンコンタクト挿入口340は、ピンコンタクト920が、全てのコンタクト200の組の第2接触部220−1、2同士の間に挿入される位置に設けられている。図2のコネクタの場合、コンタクト収納部310が3個あり、第2ピンコンタクト挿入口340は、3組のコンタクト200の第2接触部220−1、2同士の間に挿入される位置に設けられている。
【0020】
係止部370は、挿入されたピンコンタクト910を把持する。例えば、図4のように、ピンコンタクト910の先端部分が全体よりも幅広となるように、ピンコンタクト910に爪部912を形成しておく。そして、図5に示すように、ピンコンタクト910を挿入したときに引っかかる爪状の係止部370をハウジング300内に形成すればよい。
【0021】
また、コンタクト挿入口320のもっとも長い部分の長さ(長方形の穴の長辺の長さ)は、2つのコンタクト200−1、2の第1接触部210−1、2同士が接触したときの抜け防止部240−1、2同士の距離よりも長く、2つのコンタクト200−1、2の第1接触部210−1、2同士の間にピンコンタクト910を挿入したときの抜け防止部240−1、2同士の距離よりも短い。したがって、ピンコンタクト910を挿入した後は、コンタクト200−1、2は抜けなくなる。
【0022】
上述のように、コンタクト収納部310とコンタクト200−1、2との隙間が、コンタクト200−1、2が移動可能な範囲である。つまり、第1接触部210は、抜け防止部240とハウジング300との隙間の範囲で移動できる。また、第2接触部220は、コンタクト200の第2接触部220側の形状とコンタクト収納部310の空間の形状との隙間によって移動できる範囲が決まる。そこで、第2接触部220の移動範囲を制限しやすくするために、コンタクト200が変位制限部260、261を有し、ハウジング300が変位制限爪350を有してもよい(図6参照)。変位制限部260、261は、第2接触部220側であって、第2接触部220から所定の位置に配置されている。「所定の位置」とは、変位制限爪350との関係から第2接触部220が移動できる範囲を制限するようにあらかじめ定めた位置である。変位制限爪350は、コンタクト収納部310の第2ピンコンタクト挿入口340付近に配置され、変位制限部260、261の移動範囲を限定する。変位制限部260と変位制限爪350は、第2接触部220がピンコンタクト920から離れる方向に移動できる範囲を決める役目を果たし、変位制限部261と変位制限爪350は、第2接触部220がピンコンタクト920に近づく方向に移動できる範囲を決める役目を果たす。つまり、第2接触部220は、変位制限部260、261の間隔から変位制限爪350の厚さを引いた長さだけ移動できる。
【0023】
また、ハウジング300の外壁部分には、ハウジングを把持するための把持部390を備えてもよい。さらに、第2ピンコンタクト挿入口340側に、コンタクト収納部310の内部を目視できる穴360を備えてもよい。
【0024】
上述の説明では、ピンコンタクト910、920は、それぞれ1つの導体で形成されていた。しかし、複数のピンコンタクト片を横に配列させ、1つのピンコンタクトとしてもよい。このように考える場合、上述の説明は、1つのピンコンタクト片で1つのピンコンタクトが構成されている例に相当すると考えればよい。1つのピンコンタクトを複数のピンコンタクト片で構成する例としては、N個(Nは2以上の整数)のピンコンタクト片910’−1,…,N、920’−1,…,Nを、ピンコンタクト片同士の間に隙間を設けた上で横に並べたものを、ピンコンタクト910、920とすれる例がある。そして、ピンコンタクト片910’−nとピンコンタクト片920’−n(nは1からNの整数)が同じコンタクト210−1、2に挿入されるように配置すれば、N組のピンコンタクト片を接続するコネクタとして用いることもできる(ただし、コンタクト210−1、2もN組以上必要である)。また、一方のピンコンタクトのピンコンタクト片の数と他方のピンコンタクトのピンコンタクト片の数が異なってもよい。例えば、幅の広い1つのピンコンタクト片910’−1をピンコンタクト910とし、幅の狭い3つのピンコンタクト片920’−1,2,3をピンコンタクト920として、ピンコンタクト片920’−1,2,3のそれぞれをピンコンタクト910と接続してもよい。
【0025】
[本発明の構成の異なる表現での説明]
本発明のコネクタの構成、特にコンタクトの部分の構成を異なる表現を用いて説明すると以下のようになる。なお、この説明は最初の説明の内容を限定するものではなく、最初の説明では理解しにくい部分を補充するための説明である。
【0026】
コネクタ100では、導電性の板で形成された2つのコンタクト200−1、2を、板の厚み部分に相当する外周部分同士が対向するように、板の広い面同士を同一の平面上に配置し、弾性体400を、2つのコンタクト200−1、2が引き付けあうように2つのコンタクト200−1、2に取り付ける(図6参照)。なお、「同一平面」とは、厳密な意味での同一平面ではなく、ピンコンタクト910、920がないときに、外周部分同士が接触する程度に同一であればよい。2つのコンタクト200−1、2と1つの弾性体400を1組として、1組以上をハウジング300の内部に配置する。そして、2つのコンタクト200−1、2の間にピンコンタクト910、920を挟むことによって2つのピンコンタクト910、920を電気的に接続する。
【0027】
2つのコンタクト200−1、2のそれぞれは、第1接触部210−1、2、第2接触部220−1、2、弾性体固定部230−1、2、抜け防止部240−1、2、ガイド部250−1、2を有する。第1接触部210−1、2と第2接触部220−1、2は、他方のコンタクト200−2、1と対向する側の外周部分に形成された2つ突起である。弾性体固定部230−1、2は、他方のコンタクト200−2、1と対向する側であって、第1接触部210−1、2と第2接触部220−1、2の間に形成されている。抜け防止部240−1、2は、第1接触部210−1、2側であって、他方のコンタクト200−2、1から最も遠い外周部分に配置されている。ガイド部250−1、2は、第2接触部220−1、2側であって、ピンコンタクト920を第2接触部に導く。そして、2つのコンタクト200−1、2は、第1接触部210−1、2同士が対向し、第2接触部220−1、2同士が対向するように配置されている。
【0028】
ハウジング300は、1つ以上のコンタクト収納部310、コンタクト収納部310と同じ数のコンタクト挿入口320、第1ピンコンタクト挿入口330、第2ピンコンタクト挿入口340、係止部370を備える。コンタクト収納部310は、2つのコンタクト200−1、2と1つの弾性体400の組を、2つのコンタクト200−1、2同士が外周部分を対向させた状態を維持するように収納する。コンタクト挿入口320は、2つのコンタクト200−1、2と1つの弾性体400の組を、第2接触部220−1、2側からコンタクト収納部310に挿入するための細長い長方形の穴である。第1ピンコンタクト挿入口330は、コンタクト挿入口320側であって、ピンコンタクト910が、コンタクト収納部310に収納されたコンタクト200−1、2の第1接触部210−1、2同士の間に挿入される位置に設けられている。第2ピンコンタクト挿入口340は、第1ピンコンタクト挿入口330と反対側であって、ピンコンタクト920が、コンタクト収納部310に収納されたコンタクト200−1、2の第2接触部220−1、2同士の間に挿入される位置に設けられている。係止部370は、挿入されたピンコンタクト910を把持する。
【0029】
コンタクト挿入口320の長さ(長方形の穴の長辺の長さ)は、2つのコンタクト200−1、2の第1接触部210−1、2同士が接触したときの抜け防止部240−1、2同士の距離よりも長く、2つのコンタクト200−1、2の第1接触部210−1、2同士の間にピンコンタクト910を挿入したときの抜け防止部240−1、2同士の距離よりも短い。
【0030】
なお、ピンコンタクト910、920を複数のピンコンタクト片で構成する場合の説明は、重複説明になるので省略する。
【0031】
[ピンコンタクト同士のずれへの対応]
ピンコンタクト910とピンコンタクト920とは、必ずしも正確に位置合わせされているわけではない。そこで、次にピンコンタクト910とピンコンタクト920との位置がずれた場合のコネクタ100の状態について図7と図8を用いて説明する。なお、以下の説明での上下方向、左右方向とは、図面上の方向である。実際にはコネクタが取り付けられる向きによって、上下左右の方向は変わることに注意されたい。
【0032】
ピンコンタクト910とピンコンタクト920の上下方向の位置が一致している場合は、図7(A)のようになる。このとき、コンタクト200−1、2は単純に上下に離れ、弾性体400の力でピンコンタクト910、920を挟みつける。ピンコンタクト910とピンコンタクト920の上下方向の位置がずれている場合、図7(B)のようにコンタクト200−1、2は傾きながら離れ、弾性体400の力でピンコンタクト910、920を挟みつける。このときにコンタクト200−1、2がどの程度傾くことを許容するのかは、コンタクト200−1、2の移動可能範囲を設計するときに決めればよい。
【0033】
図8(A)は、ピンコンタクト910とピンコンタクト920の左右方向の位置が一致している場合の様子を示す図であり、図8(B)は、ピンコンタクト910とピンコンタクト920の左右方向の位置がずれている場合の様子を示す図である。左右方向のずれに対しては、第2ピンコンタクト挿入口340の幅を広げることと、コンタクト収納部310の位置の設計で対応できる。
【0034】
また、ピンコンタクト910とピンコンタクト920とがねじれている場合は、上下方向の位置のずれが、コンタクト収納部310ごとに異なることになる。コネクタ100の場合であれば、コンタクト収納部310ごとに、コンタクトと弾性体の組は独立に移動可能なので、図7を用いて説明したように対応できる。
【0035】
[組み立て方法]
図10は、本発明のコネクタの組み立て方を示す図である。図10(A)は1つ目のコンタクトにコイルバネの一端を取り付ける工程、図10(B)は2つ目のコンタクトにコイルバネの他端を取り付ける工程、図10(C)はハウジングにコンタクトを挿入する工程を示す図であり、図10(D)は完成図を示す図である。
【0036】
図10(A)と図10(B)に示すように、弾性体400を、2つのコンタクト200−1、2が引き付けあうように2つの弾性体固定部230−1、2に取り付ける。なお、弾性体400には、例えば、両端に鍵爪401、402を有するコイルバネを用いればよい。そして、2つのコンタクト200−1、2を、板の厚み部分に相当する外周部分同士が対向するように、板の広い面同士を同一の平面上に配置する。
【0037】
そして、図10(C)と図10(D)に示すように、2つのコンタクト200−1、2と1つの弾性体400を1組として、1組以上をハウジング300の内部(コンタクト収納部310)に配置する。図10(C)では、3組の2つのコンタクト200−1、2と1つの弾性体400が示されているが、それぞれは繋がっていないので(独立なので)、1組ずつコンタクト収納部310に収納すればよい。
【0038】
本発明のコネクタによれば、コンタクトと弾性体以外の部品としては、ハウジングのみでよい。また、2つのコンタクトと弾性体とを1組として、1組ずつハウジングに収納すればよいので、同時に複数組のコンタクトと弾性体とを扱う必要がない。したがって、コネクタを組み立てやすい。さらに、特許文献1の技術が、1つの平形挟持板の移動範囲を大径孔と変位制限軸との隙間のみで調整しているのに対し、本願発明はコンタクトの移動範囲をハウジングとの隙間や、変位制限部と変位制限爪で調整しているので、移動範囲の設計自由度を確保しやすい。
【符号の説明】
【0039】
100 コネクタ 200 コンタクト
210 第1接触部 220 第2接触部
230 弾性体固定部 240 抜け防止部
250 ガイド部 260、261 変位制限部
300 ハウジング 310 コンタクト収納部
320 コンタクト挿入口 330 第1ピンコンタクト挿入口
340 第2ピンコンタクト挿入口 350 変位制限爪
360 穴 370 係止部
390 把持部 400 弾性体
401、402 鍵爪 910、920 ピンコンタクト
930、940 バスバー 911、921 固定用穴
912 爪部 931、941 ネジ
935 装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内部に偶数個のコンタクトと1個以上の弾性体が配置され、ピンコンタクト同士を接続するコネクタであって、
前記コンタクトは、導電性の板で形成されており、当該板の外周部分に、
前記弾性体の一端を固定するための弾性体固定部と、
同一の線に同時に接触できる位置であって、押し付ける力が加わった場合に、前記弾性体固定部を中心として互いに反対向きのモーメントが発生する位置に配置されている第1接触部と第2接触部と、
を有し、
前記ハウジングは、
2つの前記コンタクトごとに、第1接触部同士と第2接触部同士を対向させ、前記コンタクト同士に引き付けあう力が生じるように前記弾性体を双方の弾性体固定部に固定した状態で、2つの前記コンタクトを収納する1つ以上のコンタクト収納部と、
前記弾性体を固定した2つの前記コンタクトを、前記第2接触部側から前記コンタクト収納部に挿入するための1つ以上のコンタクト挿入口と、
前記コンタクト挿入口側であって、一方のピンコンタクトが、前記コンタクト収納部に収納されたコンタクトの第1接触部同士の間に挿入される位置に設けられた第1ピンコンタクト挿入口と、
前記第1ピンコンタクト挿入口と反対側であって、他方のピンコンタクトが、前記コンタクト収納部に収納されたコンタクトの第2接触部同士の間に挿入される位置に設けられた第2ピンコンタクト挿入口と、
を有する
コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記コンタクトは、
前記第1接触部側であって、第1接触部と第2接触部とを結んだ線から最も遠い位置に配置された抜け防止部も有し、
前記コンタクト挿入口の長さは、2つの前記コンタクトの第1接触部同士が接触したときの前記抜け防止部同士の距離よりも長く、2つの前記コンタクトの第1接触部同士の間に前記一方のピンコンタクトを挿入したときの前記抜け防止部同士の距離よりも短い
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
導電性の板で形成された2つのコンタクトを、前記板の厚み部分に相当する外周部分同士が対向するように、前記板の広い面同士を同一の平面上に配置し、
弾性体を、前記の2つのコンタクトが引き付けあうように前記の2つのコンタクトに取り付け、
前記の2つのコンタクトと1つの弾性体を1組として、1組以上をハウジングの内部に配置し、
前記の2つのコンタクトの間にピンコンタクトを挟むことによって2つのピンコンタクトを電気的に接続するコネクタであって、
前記の2つのコンタクトのそれぞれは、
他方のコンタクトと対向する側の外周部分に形成された2つ突起である第1接触部と第2接触部と、
他方のコンタクトと対向する側の前記第1接触部と前記第2接触部の間に形成された弾性体固定部と、
を有し、
前記の2つのコンタクトは、第1接触部同士が対向し、第2接触部同士が対向し、
前記ハウジングは、
前記の2つのコンタクトと1つの弾性体の組を、前記の2つのコンタクト同士が外周部分を対向させた状態を維持するように収納する1つ以上のコンタクト収納部と、
前記の2つのコンタクトと1つの弾性体の組を、前記第2接触部側から前記コンタクト収納部に挿入するための1つ以上のコンタクト挿入口と、
前記コンタクト挿入口側であって、一方のピンコンタクトが、前記コンタクト収納部に収納されたコンタクトの第1接触部同士の間に挿入される位置に設けられた第1ピンコンタクト挿入口と、
前記第1ピンコンタクト挿入口と反対側であって、他方のピンコンタクトが、前記コンタクト収納部に収納されたコンタクトの第2接触部同士の間に挿入される位置に設けられた第2ピンコンタクト挿入口と、
を有する
コネクタ。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタであって、
前記コンタクトは、
前記第1接触部側であって、他方のコンタクトから最も遠い外周部分に配置された抜け防止部も有し、
前記コンタクト挿入口の長さは、前記の2つのコンタクトの第1接触部同士が接触したときの前記抜け防止部同士の距離よりも長く、前記の2つのコンタクトの第1接触部同士の間に前記一方のピンコンタクトを挿入したときの前記抜け防止部同士の距離よりも短い
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のコネクタであって、
前記コンタクトは、
前記第2接触部側であって、第2接触部から所定の位置に配置された変位制限部も有し、
前記ハウジングは、
前記変位制限部の移動範囲を限定する変位制限爪も有する
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のコネクタであって、
前記コンタクトは、
前記第2接触部側から挿入されるピンコンタクトを前記第2接触部に導くガイド部も有する
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のコネクタであって、
前記ハウジングは、
挿入された前記一方のピンコンタクトを把持するための係止部も有する
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のコネクタであって、
前記ピンコンタクトは、1つまたは複数のピンコンタクト片を1列に配列したものである
ことを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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