説明

コポリアミド

本発明は、少なくとも以下のモノマーまたはそのプレ縮合物:
a)テレフタル酸
b)44個までの炭素原子を有する二量体化の脂肪酸の少なくとも1種、および
c)式:HN‐(CH‐NHの脂肪族ジアミン(式中、xは4〜18の整数を示す)の少なくとも1種、
の縮合により生成可能な、半結晶性の溶融成形可能な部分芳香族コポリアミドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレフタル酸および少なくとも一種の脂肪族ジアミンHN‐(CH‐NH(x=4〜18)に加えて、44個までの炭素原子を有する二量体化の脂肪酸(dimerised fatty acid)の少なくとも1種と、必要に応じて芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸およびラクタムまたはω‐アミノカルボン酸をも含有する半結晶性の溶融成形可能な部分芳香族コポリアミドに関し、この構成成分の選択によって、比較される部分芳香族コポリアミドよりも増強された靱性を獲得できる。
【背景技術】
【0002】
ヘキサメチレンテレフタルアミド単位を他のアミド単位に追加して有する半結晶性の部分芳香族コポリアミドは、ほぼ12年前から流通しており、それ以降よりエンジニアリング熱可塑性高分子の一部となっている。
【0003】
およそ330℃にまで達するその高い融点に起因して、そのガラス繊維強化コンパウンドの形態においてこれらの生成物は、非常に優れた高温安定性(熱破壊温度:HDT)を有することで特徴づけられている。さらにこれらの製品は、相対的に高い温度においても多数の攻撃的な化学物質に対する抵抗性をも有し、このことは高いHDT値とともに、たとえばPA6またはPA66などの従来のポリアミドでは実現できない応用に対して好都合である。
【0004】
一般に受け入れられていた「ポリフタルアミド」の説明がしばらくの間確立していたこれらの生成物(時には生成方法についても)が、数多くの特許文献に詳細に記載されている。たとえば、特許文献1〜13が挙げられる。
【特許文献1】US 4,603,166
【特許文献2】US 4,831,108
【特許文献3】US 5,098,940
【特許文献4】US 5,302,691
【特許文献5】WO 90/02017
【特許文献6】WO 92/10525
【特許文献7】WO 95/01389
【特許文献8】EP 0 360 611 B1
【特許文献9】EP 0 449 466 B1
【特許文献10】EP 0 550 314 B1
【特許文献11】EP 0 550 315 B1
【特許文献12】EP 0 693 515 B1
【特許文献13】DDE 43 29 676 C
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ポリフタルアミドの総合的に優れた特性は、これら特性のいくつかの点に関して改良すべき重大な要求が存在するという事実を隠すことはできない。とりわけ、衝撃強度およびノッチ衝撃強度で表されるこれらの製品の靱性、さらに破壊時の伸びについても、すべて十分なだけの要求を満たすものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって本発明の目的は、増強された靱性を保有する新規な半結晶性の溶融成形可能な部分芳香族コポリアミドを提供することである。本発明の第二の目的は、これら生成物のポリマー構造が、結果的に生成方法において変更を必要としないような修正を意図されるものであること、すなわち本発明の部分芳香族コポリアミドが従来技術水準の既知の方法にしたがって製造され得ることである。この目的は、請求項1〜13によって定められる半結晶性の溶融成形可能な部分芳香族コポリアミドで達成することができ、これは請求項14により溶融成形方法の手段による成形パーツの製造のために使用されることができる。
【0007】
この目的は特定の選択されたモノマーもしくはこれらのプレ縮合物(precondensate)から得られるコポリアミドを用いることで達成される。テレフタルアミド(成分a)の他に、炭素原子44個までの二量体化の脂肪酸の少なくとも1種b)が用いられ、さらに式:HN‐(CH‐NH(式中xは4〜18の整数)の脂肪族ジアミンの少なくとも1種(成分c)が用いられる。必要に応じて、さらなるモノマーd)、e)およびf)(請求項2〜5)が用いられる。得られたコポリマーは、DSC測定法により最大で335℃の融点を有することが好ましい。
【0008】
上記のモノマー出発成分a)〜c)は、必要に応じてd)〜f)をともなって、それらにより半結晶性を有しDSC測定による融点が最大で335℃である最終生成物をもたらすようなモル比において用いられる。
【0009】
それぞれのモノマーは以降でより詳細に記載されている。
【0010】
二量体化の脂肪酸b)は、特定のオリゴマー重合反応により好ましくは18個の炭素原子を有するモノマー不飽和脂肪酸から得られる。この反応の結果、不飽和の二量体化の脂肪酸の他に、より僅かな量の三量体化の脂肪酸が生成される。続いて起こる触媒水和反応により、C‐Cの二重結合が取り除かれる。ここで用いられている用語「二量体化の脂肪酸」は、これらジカルボン酸の飽和および不飽和の両方の型に関係する。 二量体化の脂肪酸の構造および特性に関する詳細は、対応するUNICHEMA社(Emmerich 独)のリーフレット「Priol C36‐Dimer acid」、またはCOGNIS社(デュッセルドルフ 独)のパンフレット「Empol Dimer and Polybasic Acids; Technical Bulletin 114C(1997)」に見いだすことができる。ポリアミドを生成するために、三量体化の脂肪酸を最大で3重量%の含有量にて含む二量体化の脂肪酸が用いられた。一般に非常に低い温度で溶融するかまたは融点をまったく保有しないこのような型のポリアミドは多数存在し、これらはゴム様の非常に高い柔軟性に有し、例えばバインダー、靴接着剤および粘着性フィルムのような柔軟な製品の生産に用いられる。CA 861 620において、この型の製品が実施例で説明されている。非常に高い剛性および強度を有する、二量体化の脂肪酸で修飾された部分芳香族コポリアミドは、ほんの僅かしか知られていない。この型の製品は、US 5,177,178において実施例で説明されているが、しかしながらアモルファスコポリアミドに関してであり、これは二量体化の脂肪酸の他に芳香族ジカルボン酸および脂環式ジアミンの少なくとも1種を含有するものである。ここでの二量体化の脂肪酸の機能は、これらアモルファスコポリアミドの吸水性を低減させ、吸水性に関連するガラス転移温度の低下を制限することにある(第2欄、第18〜23行、および第48〜54行を参照のこと)。第4欄の第4〜5行において、アモルファスコポリアミドが高い衝撃強度(「…high…impact resistance」)について特に優れていることが主張されている。実際に、実施例1による生成物の衝撃強度およびノッチ衝撃強度の試験(測定法については以下を参照のこと)は、27の測定値および0.5kJ/mを示しただけであり、明らかな脆性破壊挙動に類似しており最低限の要求をなんら満たすものではない。同様に、EP 0 469 435 B1も二量体化の脂肪酸を含有するアモルファスコポリアミドについて請求しているが、このコポリアミドは、用いられた脂環式ジアミンの構造においてUS 5,177,178の生成物と異なる。衝撃強度およびノッチ衝撃強度において、ここでの挙動はUS 5,177,178とさほど大きく違わない。実施例3および4のコポリアミドのノッチ衝撃強度は、0.7および0.6kJ/mを示し、実施例4の衝撃強度は35.3kJ/mを示している。結局のところ、US 5,177,178およびEP 0 469 435 B1は、半結晶性の部分芳香族コポリアミドの構成要素としての二量体化の脂肪酸の効果に関する何の言及もない。後者は、二量体化の脂肪酸をアモルファスまたは半結晶性の部分芳香族コポリアミドのプレ縮合物の構成要素として実際に用いている点でUS 5,708,125にたしかに当てはまるが、しかしこのような実施例についても可能なポリマー最終生成物の特性に関する記述についても見あたらない。
【0011】
成分c)は、式HN‐(CHNHの脂肪族ジアミンに関するもので、式中のxは4〜18の整数を意味する。本発明によるコポリアミドは、ヘキサメチレンジアミン、1,9‐ジアミノノナン、1,10‐ジアミノデカンまたは1,12‐ジアミノドデカンを含むことが好ましい。
【0012】
必要に応じて、本発明によるコポリアミドはさらなる芳香族ジカルボン酸d)、脂肪族ジカルボン酸e)、および炭素原子6〜12個を有するラクタムまたはω‐アミノカルボン酸f)を含有することもでき、この際にd)としてイソフタル酸、e)としてアジピン酸、そしてf)としてラウリンラクタムまたはω‐アミノラウリン酸が好ましい。
【0013】
本発明のコポリアミドの融点は最大で335℃であり、請求項7、8、9および10で定められたコポリアミドの融点は、各請求項で定められた温度を少なくとも示す。
【0014】
本発明は、その構成範囲の全体にわたって半結晶性を示さないがために融点を常に有さない部分芳香族コポリアミドに関する。したがって半結晶性とアモルファスなコポリアミドとの差別化を可能にする基準を示すこと、またさらに半結晶性生成物の融点を示すことが適切である。アモルファスポリアミドの場合、たとえば、Polymer 1976, 第17巻,第875〜892頁にあるドルデン(J.G. Dolden)による論文「アモルファスポリアミドにおける構造特性の関係」は、この点に関して価値ある補助を提供する。部分芳香族コポリアミドの半結晶性の予測は、いわゆるイソモルファスコポリアミドについて少なくとも明らかに可能である。このタイプの系の具体例には、ヘキサメチレンジアミン(HMD)/アジピン酸(ADA)/テレフタル酸(TPA)またはテトラメチレンジアミン/ADA/TPAまたはデカメチレンジアミン/ADA/TPA、およびHMD/スベリン酸/p‐ベンゼン二酢酸(PBDA)に基づくPA‐66/6T、PA‐46/4T、PA‐106/10TおよびPA‐68/6PBDAがある。この点に関するより詳細な知見は、たとえば以下の数多くの出版物に見いだされる:
プリマー(H.Plimmer)らによるBrit. Pat. Appl. 604/49、Imperial Chemical Industries Ltd. (1949)、ガブラー(R. Gabler)によるCH-A-280 357, Inventa AG (1949)、レビンおよびテミン(M. Levin and S. C. Temin)によるJ. Polym. Sci. 49, 241-249(1961)、サカシタ(T. Sakashita)らによるUS 4,607,073, Mitsui Petrochemical Industries Ltd. (1985)、ヤマモトおよびタカタ(S. Yamamoto and T. Tataka)によるEP 0 449 466 B1, Mitsui Petrochemical IndustriesとさらにBrit. Pat. Appl. 766 927, California Research Corporation (1954)。それらの組成の特定の範囲においてアモルファス構造を有することのできる非イソモルファスコポリアミドに関する知見は、上記の文献の一部、およびユウおよびエバンス(A. J. Yu and R. D. Evans)によるJ. Am. Chem. Soc., 20 5261- 5365(1959)、さらにクラマーおよびビーマン(F. B. Cramer and R. G. Beamann)によるJ. Polym. Sci , 21, 237 - 250 (1956)にも見いだされる。
【0015】
上に参照された文献およびその中で引用された他の研究に基づいた場合、所定のコポリアミドが半結晶性なのかアモルファスであるのか、あるいは融点がいずれなのかに関する決定的な回答を得ることはできないので、小型の実験用オートクレーブにおいて問題となる生成物を生成するための予備試験は、追加的な補助となる。この目的のために、構成要素はそれぞれ水と共に混合され、不活性ガスでパージされた後に密封オートクレーブ中で加熱される。200〜230℃の生成物温度に達したのち、ガス放出バルブを開放することにより水蒸気が抜き出されて圧力を大気圧まで低下させ、さらに250〜290℃まで加熱される。しかしながら、この工程において特定の運転状態における高融解コポリアミドが自発的に結晶化し得て、攪拌機をふさぐ可能性のあることを考慮に入れる必要がある。オートクレーブから目的とする生成物が移しとられ、示差走査熱量測定(DSC)を用いてその融点が検討された。それぞれのコポリアミドの明確な熱履歴を確実にするために、DSC測定は一つおよび同一サンプルについて便宜的に1〜2回繰り返し行われた。最も単純な場合、オートクレーブの替わりに、不活性化にされ得て圧力なしで操作されるような撹拌可能な容器、たとえばガラスフラスコなどを予備試験を実行するのに用いることもできる。そこでの反応の最後における温度は、250〜290℃程度となることが必要である。
【0016】
上記の文献は、確かに二量体化の脂肪酸を有さない生成物についてのみ言及しているが、それでもその融点から、二量体化の脂肪酸を約30重量%まで有する相応のコポリアミドの融解挙動に関して、かなり正確な予測が可能である。
【0017】
二量体化の脂肪酸は、部分芳香族コポリアミドにおいて、驚くほど小さな融点降下をもたらし、結晶化をほんの僅かしか損なわないことが実際に示された。これゆえ、二量体化の脂肪酸を用いた手法が提供され、これによって半結晶性の部分芳香族コポリアミドの靱性を向上させただけでなく、その溶融および結晶化挙動(凝固温度および所定の冷却速度における凝固速度)が大幅に維持された。
【0018】
この特に好適な特性の組み合わせにおいて、本発明のコポリアミドは、EP 0 550 314 B1およびEP 0 550 315 B1に記載されたテレフタル酸、ヘキサメチレンジアミンおよびラウリンラクタムを基材とするコポリアミドよりも非常に優れている。これらPA−6T/12処方が充分に強靱に作製されるためには、これらが少なくともモルで55%のPA‐12ユニットを含有しなければならない。この組成において、融点はたった245℃であり、凝固速度は相対的に低い。
【0019】
分子量を制御するために、本発明のポリアミドは当然ながら、重縮合前または重縮合中に構成成分へ添加された少量の脂肪族‐、脂環式‐または芳香族のモノカルボン酸および/またはモノアミンを含有することができる。生成は、US 4,831,108、US 5,098,940、US 5,708,125、EP 0 550 315 B1またはDE 4,329,676 C1などの実施例で記載されたような既知の方法によって行われる。
【0020】
さらに、本発明のコポリアミドに、それぞれの用途に応じて異なる方法でさらなる改良を加えることも可能である。このように、射出成形、射出成形溶接、押出し成形、共押出し成形(coextrusion)、ブロー成形、深絞り成形、および対応する目的物を成形するために匹敵する加工方法などのような溶融成形により加工されるコポリアミドの場合、ガラス繊維、炭素繊維、ミネラル(とりわけ層状シリカ)などの強化剤および充填剤、ならびにたとえば熱安定剤、紫外線安定剤、静電気防止剤、難燃剤、潤滑剤または離型剤などの他の改質剤を添加することは一般に行われているである。上述の溶融成形法に関すれば、以下の変形についても言及する必要がある:たとえば射出成形または押出し成形、連続共押出し成形(例えばEP 0 659 534 B1に記載のもの)、連続押出しブロー成形(例えば、EP 0 659 535 B1に記載のもの)、3Dブロー成形、共押出しブロー成形、共押出し3Dブロー成形、共押出し吸引ブロー成形、内部ガス圧技術(GIT)および内部水圧技術(WIT)を用いた射出成形などによるハード・ソフト‐コンビネーションの製造。熱安定化および紫外線安定化の場合、とりわけDE 195 37 614 C2またはEP 0 818 491 B2に記載の方法および添加剤を参考にすることができる。本発明のコポリアミドは、さらに別のポリマー、たとえば他の部分芳香族または脂肪族のポリアミド、例えばPA12またPA66と、または極性基または反応基(たとえばカルボキシル基、無水物基、イミド基またはグリシジル(メチル)アクリレート基など)を備えるポリオレフィンと混合されてもかまわない。これらの官能基化ポリオレフィンは、(i)エチレンまたはα‐オレフィンまたは必要に応じてジオレフィンのモノマー、および(ii)ビニルエステル、飽和カルボン酸、不飽和のモノ‐およびジカルボン酸、これらのエステルおよび塩類、およびさらにジカルボン酸無水物(好ましくはマレイン酸無水物)から選択されるコモノマーの少なくとも1種、を有するコポリマーに特に関係する。官能基化ポリオレフィンは、とりわけ粘度調整剤として作用する。官能基化ポリオレフィンのための開始点は、たとえばポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE)、エチレン/プロピレン‐,エチレン/1‐ブタン‐コポリマー、EPM、EPDM、SBS、SISおよびSEBSである。
【0021】
本発明のコポリアミドの生成は既知の方法で可能である。US 5,708,125およびUS 4,831,108を表示することにより、参照とさせてもらう。
【0022】
さらに本発明は、上述のコポリアミドから、あるいはコポリアミドを用いて作製された成形パーツに関する。コポリアミドは、ハード・ソフト‐コンビネーションの使用にとくに好適であることが証明された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
実施例
以下の実施例により本発明を説明する。生成物はすべてマルチステージ法により生成された。プレ縮合物の生成は、US 5,708,125に記載の方法にしたがって行われ、溶融物におけるポスト縮合反応は、とくにUS 4,831,108に記載の方法に対応している。
【0024】
第一ステップにおいて、構成成分を20〜30%重量の水に溶かした水溶液が、まず190℃で、窒素で不活性化され得る撹拌圧力容器(V=20l)中で生成された。撹拌はこの温度で2時間、約1.0MPaの圧力が設定されるまで行われる。このステップの終了後、溶液は圧力下で収容する容器から20l撹拌オートクレーブに取り移され、ここで260℃まで加熱され、ガス放出バルブを繰り返し開放することによって圧力が3.3MPaに維持される。約2時間のちに(バルブのさらなる作動がなくても)圧力が一定に維持されたらすぐに、ベースバルブが開放され、プレ縮合物溶液が取り出され、さらにサイクロン中に向けてスプレーされる。そこで大部分の水が蒸発し、目的とするプレ縮合物の不規則な形状の粒子が得られ、これは減圧下で80℃で乾燥され、つづいて粉末に粉砕される。
【0025】
大きい分子量のコポリアミドを生成するために、プレ縮合物は、ZSK25型のパラレルツインスクリュー押出し成形機(Werner & Pfleiderer社製;Stuttgart、独)において、以下の条件のもとで溶融物でポスト縮合される。非常に高い粘性のポリマー溶融物がストランドとして取り出され、冷却されて粒状化される。
【0026】
# プレ縮合物適用量およびスループット: 4kg/h
# スクリューの回転スピード: 100 rpm
# 温度(ゾーン1〜12):
30/40/100/300/350/370/370/370/370/370/360/330および330℃
# 脱気: Nのもとでのゾーン10
# 粒状物の乾燥: 減圧下の100℃で24時間
【0027】
プレ縮合物および完了したコポリアミドの溶液粘度は、0.5重量%でm−クレゾール溶液において20℃で測定された。末端基濃度の測定は、酸滴定により行われた。アミノ末端基は、2:1(重量部)のm−クレゾール/イソプロパノールを溶媒として、0.1規定のエタノール性過塩素酸を用いて滴定された。カルボキシル末端基の滴定は、オルソクレゾール/ベンジルアルコール混合物を溶媒として、0.1規定のtert‐ブチルアンモニウムヒドロキシドを用いて行われた。
【0028】
DSC測定は、TA インスツメンツ社(Instruments)のUniversal TypeV2.3Cを使用して行われた。ヤング係数および破断時の伸びを測定するために、ISO527に基づいた引っ張り試験が、射出成形のテンションバーで行われた。衝撃強度またはノッチ衝撃強度は、ISO179/2−1eUまたはISO179/2−1eAに基づき射出成形のテストバーで行われた。
【0029】
実施例中で用いられた略語は以下を意味する。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下のモノマーまたはこれらのプレ縮合物:
a)テレフタル酸
b)44個までの炭素原子を有する二量体化の脂肪酸の少なくとも1種、および
c)式:HN‐(CH‐NHの脂肪族ジアミン(式中、xは4〜18の整数を示す)の少なくとも1種、
の縮合により生成可能な、半結晶性の溶融成形可能な部分芳香族コポリアミド。
【請求項2】
前記コポリアミドの、DSC(示差走査熱量測定)法により測定される融点が、最大で335℃であることを特徴とする、請求項1に記載のコポリアミド。
【請求項3】
8〜12個の炭素原子を有するさらなる芳香族ジカルボン酸 d)が存在することを特徴とする、請求項1または2に記載のコポリアミド。
【請求項4】
6〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸 e)が追加で存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコポリアミド。
【請求項5】
さらなるモノマーとして、炭素原子6〜12個を有するラクタムおよび/またはアミノカルボン酸、好ましくはω‐アミノラウリン酸 f)が追加で存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコポリアミド。
【請求項6】
前記芳香族ジカルボン酸 d)がイソフタル酸であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコポリアミド。
【請求項7】
前記脂肪族ジカルボン酸 e)がアジピン酸であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコポリアミド。
【請求項8】
前記モノマーのa)、b)およびx=6であるc)に追加して、イソフタル酸(d)が存在し、これらコポリアミドのDSCで測定される融点が少なくとも290℃であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコポリアミド。
【請求項9】
前記モノマーのa)、b)およびx=6であるc)に追加して、アジピン酸(e)が存在し、これらコポリアミドのDSCで測定される融点が少なくとも270℃であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコポリアミド。
【請求項10】
前記モノマーのa)、b)およびx=6であるc)に追加して、イソフタル酸(d)およびアジピン酸(e)が存在し、これらコポリアミドのDSCで測定される融点が少なくとも265℃であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコポリアミド。
【請求項11】
前記モノマーのa)、b)およびx=6であるc)に追加して、ラウリンラクタム(f)またはω‐アミノドデカン酸(f)が存在し、これらコポリアミドのDSCで測定される融点が少なくとも255℃であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコポリアミド。
【請求項12】
x=9、10または12であることを特徴とする、請求項1および3〜7のいずれか1項に記載のコポリアミド。
【請求項13】
構成成分a)、b)およびc)に追加して、アジピン酸(e)が存在することを特徴とする、請求項12に記載のコポリアミド。
【請求項14】
溶融成形方法の手段による成形物の製造に対する、請求項1〜13に記載のコポリアミドの使用。
【請求項15】
成形物としてハード・ソフト‐コンビネーションが生成される、請求項14に記載のコポリアミドの使用。
【請求項16】
前記成形方法が、押出し成形、射出成形、共押出し成形、ブロー成形、深絞り成形、連続共押出し成形、連続押出しブロー成形、3Dブロー成形、共押出しブロー成形、共押出し3Dブロー成形、および共押出し吸引ブロー成形から選択される、請求項14または15に記載のコポリアミドの使用。
【請求項17】
請求項1〜13に記載のコポリアミドから、またはこのコポリアミドを用いて製造された成形物。
【請求項18】
ハード・ソフト‐コンビネーションであることを特徴とする、請求項17に記載の成形物。

【公表番号】特表2006−509878(P2006−509878A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560448(P2004−560448)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014364
【国際公開番号】WO2004/055084
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(599063273)エムス ヒェミー アーゲー (7)
【Fターム(参考)】