説明

コリオリ流量計及びそれを作動させる方法

【課題】接続配管等からの外部振動がコリオリ流量計に与える影響を低減する。
【解決手段】第1流管301の曲げ軸W’と、前記第1流管301と第1振動駆動システム構成要素Cを加えたものの組み合わせられた質量の中心727を対称面708に平行な第1平衡面716上にし、かつ、第2流管302の曲げ軸Wと、前記第2流管302と第2振動駆動システム構成要素Mを加えたものの組み合わせられた質量の中心714を前記対称面708に平行な第2平衡面717上に配置し、y方向の振動をなくす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コリオリ流量計の力平衡に関する。
【背景技術】
【0002】
コリオリ質量流量計のような振動流管センサーは、通常、物質が中に入っている単一又は複数の振動流管の動きを検出することによって作動する。質量流量及び密度の様な流管内の物質に関わる特性は、流管に取り付けられている運動変換器からの信号を処理することによって求められる。振動している、物質の満たされたシステムの振動モードは、一般的に、物質の入っている流管と、中に入っている物質の、組み合わせた質量、剛性及び減衰特性の影響を受ける。
【0003】
代表的なコリオリ質量流量計は、パイプライン又は他の輸送システムとインラインで接続されている2つの流管を含んでおり、流体、スラリーなどの物質をシステム内で運送する。各流管は、例えば、単純な曲げ、捻り、半径方向及び連成モードを含め、一式の自然振動モードを有すると考えることができる。代表的なコリオリ質量流測定装置では、互いに平行に配置されている2つのU字型流管が、端部ノードの回りに第1異位相曲げモードで振動するように加振される。各管の端部の端部ノードは、各管の曲げ軸を定める。対称面は、流管の中間にある。大部分の一般的な振動モードでは、流管の動きは、対称面の回りに、互いに近付いたり離れたりする周期的な曲げである。加振は、通常、流管を管の共振周波数で逆位相で周期的に押す作動器、例えば音声コイル型ドライバの様な電気機械的装置、によって行われる。
【0004】
振動流管を通って物質が流れるとき、流管の動きが、運動変換器(普通、ピックオフ変換器と呼ばれる)によって、流管に沿って間隔を空けて配置された点で測定される。質量流量は、各ピックオフ変換器の位置における運動の間の時間遅延又は位相差を測定することによって求められる。測定された時間遅延の量は、非常に小さく、ナノ秒で測定されることが多い。従って、ピックオフ変換器の出力は、非常に正確でなければならない。
【0005】
コリオリ質量流量計の精度は、計器構造、又は外部の力から生じる望ましくない動きから来る非線形性及び非対称性によって損なわれる。例えば、平衡の取れていない構成要素を有するコリオリ質量流量計は、そのケース及び取り付けられているパイプラインの外部振動を、計器の駆動周波数で引き起こしかねない。所望の流管振動と計器全体の望ましくない外部振動の間に連成が起こると、計器の外部振動の減衰が流管の振動を減衰し、硬い計器取り付けは流管の周波数を上げ、軟らかい計器取り付けは流管の周波数を下げることになる。取り付け剛性による流管の周波数の変化は、高い外部振動振幅を有する計器で、実験的に観察されている。流管の周波数を使用して流体の密度を求めるのだから、これは問題である。周波数は、流管の剛性も示している。取り付け剛性による流管の剛性の変化は、計器の較正因子を変える。駆動振動と(外部振動による)局所的な環境の間の直接的連成も、不安定なゼロ信号(流れが存在しないときの流れ信号)をもたらす結果となる。
【0006】
望ましくない外部振動は、取り付けの剛性と減衰で決まる或る量で、計器の出力信号を摂動させる。取り付けの特性は、一般的には未知で、時間経過と温度によって変化することもあるので、不平衡な構成要素の影響を補償することはできず、計器の性能に相当に影響を及ぼす。これらの不平衡振動と取り付けの変化の影響は、平衡が取れている流量器設計を使用することによって、低減される。
【0007】
先に述べた平衡振動は、普通は単一の即ちZ方向の振動のみを伴っている。Z方向は、流管が逆位相で振動するときに流管が変位する方向である。これは、しばしば駆動方向と呼ばれる。他の方向には、パイプラインに沿ったX方向、Z及びX方向に垂直なY方向がある。この基準座標系は重要であり、繰り返し述べる。
【0008】
更に、管の幾何学的形状のために生じるY方向の望ましくない振動の二次的な原因もある。管の幾何学的形状は、通常、管の質量の中心の動きが、対称面の回りに、互いに近付いたり離れたりするように設計されている。従って、管(及び流体)の質量の振動の運動量は、大部分が相殺される。管の質量の中心のY方向の運動を回避するために、各質量中心は、それぞれの曲げ軸を含み、対称面に平行な各面上になければならない。これらの面は、平衡面と呼ばれる。対称面が垂直である場合、このY方向の振動の相殺を保証するには、質量の中心が曲げ軸の真上になければならない。
【0009】
また、流管の振動部分に取り付けられたドライバ、ピックオフ変換器及び他の質量から生じるY方向の二次振動力もある。これらの追加的な振動する構成要素を、単純化するため、振動構成要素と呼ぶ。各流管に取り付けられた振動構成要素の質量の中心が、その管の平衡面からずれている場合、Y方向の振動力が発生する。これは、管の曲げ運動が回転成分を有しているためである。ドライバの質量が平衡面からZ方向にずれている場合、管の運動の回転成分によって、ドライバの質量にY方向の運動成分が生じる。Y方向の運動の原因は、質量を極端にずらしてみると理解できる。質量が平衡面から角度45度(曲げ軸から)だけずれている場合、運動の回転成分は、質量が振動するときに、質量を、Y及びZ方向に等しく動かす。2つの振動管に同じだけずれている質量があれば、Z方向の力の平衡は取れるが、Y方向の力の平衡は取れない。
【0010】
欧州特許公報第1 248 084 A1号は、流管のドライバ質量の反対側に相殺質量を取り付けて、組み合わせ後の質量の中心を流管の平衡面にもってくることによって、Y方向の振動の問題への解決法を開示している。
【0011】
質量同士が、等しく、且つ流管の平衡面上に配置されている場合でも、二次不平衡振動力が、Z方向に生じる。本発明の主題であるこれらの力は、流管に取り付けられている質量が、それぞれの管の端部ノード同士を結ぶ線(以後、曲げ軸と呼ぶ)の回りに等しくない慣性モーメントを有しているときに、発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許公報第1 248 084 A1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、振動構成要素を、各構成要素の慣性モーメントが他の駆動構成要素の慣性モーメントと等しくなるように設計することによって、コリオリ流量計構造の平衡を改良している。対象物の慣性モーメントの式は、
【0014】
【数1】

と表され、ここに、
I=慣性モーメント
m=質量
r=構成要素の回転軸から質量の増分δmまでの距離
M=構成要素の総質量
R=構成要素の回転半径
である。
【0015】
慣性モーメントは、二乗の項である距離r)に大いに影響を受ける。コリオリ流量計のドライバでは、管は回転するのではなく、曲がるので、回転軸は未知である。都合の良いことに、計器の幾何学的形状が対称(等しい位置に等しい質量)である限り、回転軸の選択は、問題ではない。平行軸の定理によれば、或る軸の回りの慣性モーメントは、質量の中心を通る平行な軸の回りの慣性モーメントに、質量に2つの軸の間の距離の二乗を掛けたもの、を加えたものに等しい。2つの駆動構成要素の任意の対称な軸の回りの慣性モーメントを等しく設定すれば、各任意の軸から各駆動構成要素の質量の中心までの距離は等しく、質量が等しければ、平行軸の項は相殺される。これは、駆動構成要素の慣性モーメントを等しく設定するのに必要なことは、質量の中心を対称的に配置し、質量の中心の回りの慣性モーメントを互いに等しくするだけである、ということを意味している。
【0016】
取り付け要素を含むドライバとコイルの構成要素は、磁石及びその取り付け要素の質量が、コイル及びその取り付け要素の質量と等しくなるように、分散様式で製作される。更に、磁石及びその要素とコイル及びその要素は、これらの要素の質量の中心が、それぞれの管の質量の中心と組み合わせたときに管の平衡面にあるように、作られ、取り付けられる。それらの質量の中心回りの慣性モーメントも、等しくなるようにされる。2つ(コイルと磁石)の要素を等しい質量とし、組み合わせた質量の中心を平衡面に配置することは、流量計内の望ましくない振動の低減に寄与する。2つの構成要素の慣性モーメントを等しくすることは、望ましくない振動の更なる低減に寄与する。
【0017】
しかしながら、各構成要素の、質量の中心回りの慣性モーメントを等しく設定するのは難しい場合もある。その場合は、代わりの方法を使用することができる。質量と慣性モーメントは、共に、計器のZ方向の平衡に強い影響を与えるので、或る管の慣性モーメントが小さければ、同じ管の質量を大きくすることによって平衡を取ることができる。この技法は、本質的に、平行軸の定理を使用して、(仮想位置にある)回転軸回りの慣性モーメントの平衡を取るものである。
【0018】
上記を要約すると、本発明を具現化しているドライバは、磁石構成要素とコイル構成要素を含んでいることが分かる。更に、磁石構成要素を具現化している構成要素と、コイル構成要素を具現化している装置は、それぞれの流管に、ドライバ構成要素の質量がコイル構成要素の質量と等しくなり、コイル及び磁石の構成要素は、それぞれの均衡面に(流管と)組み合わせられた質量の中心を有し、磁石構成要素とコイル構成要素は、それらの質量の中心の回りの慣性モーメントが等しくなるように、製作され、取り付けられていることが分かる。そのような駆動コイル構成要素を第1流管の底部に取り付け、磁石構成要素を第2流管の底部に取り付けると、流管を逆位相で振動させ、望ましくない内側振動の生成を抑止する力学的に平行な構造を提供することができる。
【0019】
更に、本発明によれば、ピックオフ変換器は、ドライバに関して述べたのと同じ様式で設計され、製作され、流管に取り付けられる。つまり、各ピックオフ変換器は、第1流管に取り付けられた磁石構成要素と、第2流管に取り付けられたコイル構成要素と、流量計内の望ましくない振動力の生成にそれほど寄与しない力学的に平衡の取れた要素を提供する分散された構成要素と、を有している。
【0020】
態様
本発明の或る態様は、コリオリ質量流量計を含んでおり、同流量計は、
対称面の回りに逆位相で振動させるようになっている第1流管及び第2流管と、
各流管を、各流管の両端のノードを繋ぐ曲げ軸の回りに振動させるようになっている駆動システムと、
前記第1流管に取り付けられた第1振動駆動システム構成要素を含む第1振動構成要素と、
前記第2流管に取り付けられた第2振動駆動システム構成要素を含む第2振動構成要素と、を備えており、
前記第1及び第2振動駆動システム構成要素は、前記第1流管と前記第1振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントが、前記第2流管と前記第2振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントと実質的に等しくなるように、等価な寸法と位置を有している。
【0021】
前記第1及び第2の振動駆動システム構成要素は、実質的に等しい質量を有する寸法に作られているのが望ましい。
【0022】
前記第1流管の曲げ軸と、前記第1流管と前記第1振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心は、前記対称面に平行な第1平衡面上にあり、
前記第2流管の曲げ軸と、前記第2流管と前記第2振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心は、前記対称面に平行な第2平衡面上にあるのが望ましい。
【0023】
前記第1振動駆動システム構成要素は、前記第1流管に取り付けられたドライバのコイル構成要素を含んでおり、
前記第2振動駆動システム構成要素は、前記第2流管に取り付けられ、前記コイル構成要素と同軸に整列している前記ドライバの磁石構成要素を含んでいるのが望ましい。
【0024】
前記第1振動構成要素は、更に、第1ピックオフ構成要素を含んでおり、前記第2振動構成要素は第2ピックオフ構成要素を含んでいるのが望ましい。
【0025】
前記第1ピックオフ構成要素は前記第1流管に取り付けられ、前記第2ピックオフ構成要素は前記第2流管に取り付けられていることが望ましい。
【0026】
前記第1及び第2振動駆動システム構成要素は、実質的に等しい質量を有するような寸法に作られているのが望ましい。
【0027】
前記第1流管の曲げ軸と、前記第1流管と前記第1振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心は、前記対称面に平行な第1平衡面上にあり、
前記第2流管の曲げ軸と、前記第2流管と前記第2振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心は、前記対称面に平行な第2平衡面上にあるのが望ましい。
【0028】
本発明の別の態様は、
対称面の回りに逆位相で振動させるようになっている第1流管及び第2流管と、
各流管を、各流管の両端のノードを繋ぐ曲げ軸の回りに振動させるようになっている駆動システムと、を備えているコリオリ流量計を作動させる方法であって、同方法は、
第1振動駆動システム構成要素を含んでいる第1振動構成要素を前記第1流管に取り付ける段階と、
第2振動駆動システム構成要素を含んでいる第2振動構成要素を前記第2流管に取り付ける段階と、
前記第1及び第2の振動駆動システム構成要素を、前記第1流管と前記第1振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントが、前記第2流管と前記第2振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントと実質的に等しくなくように、等価な寸法にし、等価な位置に配置する段階と、から成る。
【0029】
本方法は、更に、前記第1及び第2の振動駆動システム構成要素を、実質的に等しい質量を有する寸法に作る、更なる段階を含んでいるのが望ましい。
【0030】
本方法は、更に、
前記第1流管の曲げ軸と、前記第1流管と前記第1振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心を、前記対称面に平行な第1平衡面上に配置する段階と、
前記第2流管の曲げ軸と、前記第2流管と前記第2振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心を、前記対称面に平行な第2平衡面上に配置する段階と、を含んでいるのが望ましい。
【0031】
本方法は、更に、
ドライバのコイル構成要素を含む前記第1振動駆動システム構成要素を、前記第1流管に取り付ける段階と、
前記ドライバの磁石構成要素を含む前記第2振動駆動システム構成要素を、前記第2流管に、前記コイル構成要素と同軸に整列させて取り付ける段階と、を含んでいるのが望ましい。
【0032】
本方法は、前記第1振動駆動システム構成要素が第1ピックオフ構成要素を更に含み、前記第2振動駆動システム構成要素が第2ピックオフ構成要素を更に含んでおり、更に、前記方法は、
第1ピックオフ構成要素を前記第1流管に取り付ける段階と、
第2ピックオフ構成要素を前記第2流管に取り付ける段階と、を含んでいるのが望ましい。
【0033】
本方法は、更に、前記第1及び第2のピックオフ構成要素を、実質的に等しい質量を有する寸法に作る段階を含んでいるのが望ましい。
【0034】
本方法は、更に、前記第1流管の曲げ軸と、前記第1流管と前記第1振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心を、前記対称面に平行な第1平衡面上に配置する段階と、
前記第2流管の曲げ軸と、前記第2流管と前記第2振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心を、前記対称面に平行な第2平衡面上に配置する段階と、を含んでいるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来型の先行技術によるコリオリ流量計を示している。
【図2】先行技術によるコリオリ流量計用の代表的なドライバを示している。
【図3】本発明を具現化しているコリオリ流量計の斜視図を示している。
【図4】外殻の一部分を取り外した、図4のコリオリ流量計を示している。
【図5】図3のコリオリ流量計の流管とブレースバーを示している。
【図6】図3のコリオリ流量計のドライバDの斜視図を示している。
【図7】本発明を具現化しているドライバ要素に取り付けられた図4の流管の垂直方向断面図を示している。
【図8】第1及び第2流管に取り付けられているドライバDの細部を示している。
【図9】ピックオフ変換器の細部と、ピックオフ変換器を流管に取り付ける方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の上記及びこの他の利点と態様は、以下の詳細な説明を図面と関連付けて読めば良く理解頂けるであろう。
【0037】
図1−9と以下の説明は、当業者に、本発明の最良のモードを作成し使用する方法を教示するため、具体例を示している。本発明の原理を教示するために、幾つかの従来の態様は、単純化し或いは省略している。当業者には理解頂けるように、これらの例からの派生も、本発明の範囲に含まれる。当業者には理解頂けるように、以下に記載している特徴を様々なやり方で組み合わせると、本発明の数多くの派生例を形成することができる。つまり、本発明は、以下に記載する具体例ではなく、特許請求項の範囲とそれらの等価物によってのみ制限される。
【0038】
図1の説明
図1は、流量計アッセンブリ10と流量計電子回路120を備えているコリオリ流量計5を示している。流量計電子回路120は、リード線100を介して流量計アッセンブリ10に接続されており、経路126を通して密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度、及び他の情報を提供する。当業者には自明のように、本発明は、ドライバ、ピックオフセンサー、流管の数、又は振動の作動モードに関わらず、何れの型式のコリオリ流量計にも使用できることができる。
【0039】
流量計アッセンブリ10は、一対のフランジ101、101’と、マニホルド102、102’と、ドライバと、ピックオフセンサーLPO,RPOと、流管103A、103Bと、を含んでいる。ドライバDとピックオフセンサーLPO,RPOは、流管103A、103Bに接続されている。
【0040】
フランジ101、101’は、マニホルド102、102’に取り付けられている。マニホルド102、102’は、スペーサー106の互いに反対側の端部に取り付けられている。スペーサー106は、流管103A、103B内の望ましくない振動を防ぐために、マニホルド102と102’の間に間隔を維持している。流量計アッセンブリ10が、測定対象の物質を運ぶパイプラインシステム(図示せず)に挿入されると、物質は、フランジ101を通って流量計アッセンブリ10に入り、入口マニホルド102を通過し、そこで物質の総量が流管103Aと103Bに入るように方向付けされ、流管103Aと103Bを通って流れ、出口マニホルド102’へ戻り、そこでフランジ101’を通って流量計アッセンブリ10を出る。
【0041】
流管103Aと103Bは、それぞれ曲げ軸W--W及びW’--W’に関して、実質的に同じ質量配分、慣性モーメント、弾性率を有するように選択され、入口マニホルド102と出口マニホルド102’に適切に取り付けられている。これらの軸は、各流管の管端部のノード(静止点)を含んでいる。両流管は、基本的に平行な様式でマニホルドから外向きに伸張している。
【0042】
流管103A−Bは、ドライバDによって、それぞれの曲げ軸W及びW’に関して逆位相で、いわゆる、流量計の第1の曲げ以外のモードで駆動される。ドライバDは、流管103Aに取り付けられている磁石と流管103Bに取り付けられている相対するコイルの様な多くの周知の装置の内の1つを備えている。交流は、前記相対するコイルを通して流され、逆位相で両方の流管を振動させる。適切な駆動信号が、流量計電子回路120により、リード線110を介してドライバDに印加される。図1の説明は、コリオリ流量計の作動例として提供しているに過ぎず、本発明の教示を限定する意図はない。
【0043】
流量計電子回路120は、リード線111、111’それぞれにセンサー信号を送る。流量計電子回路120は、リード線110上にドライブ信号を生成し、ドライバDに、流管103Aと103Bを逆位相で振動させる。流量計電子回路120は、ピックオフ変換器LPO,RPOからの左右の速度信号を処理し、質量流量を計算する。経路126は、流量計電子回路120がオペレーターと接触する入力及び出力手段を提供している。
【0044】
図2の説明
図2は、コリオリ流量計5の好適な実施形態用の駆動システムを示している。或る好適な代表的実施形態では、ドライバDは、コイルと磁石のアッセンブリである。当業者はお気付きのように、圧電式装置の様な他の型式の駆動システムを使用してもよい。
【0045】
ドライバDは、磁石アッセンブリ210とコイルアッセンブリ220を有している。各ブラケット211は、磁石アッセンブリ210とコイルアッセンブリ220から互いに反対方向外向きに伸張している。ブラケット211は、平坦な基部から外向きに伸張している翼部であり、底部側に、流管103A又は103Bに沿うように形成されている実質的に湾曲した縁部290を有している。ブラケット211の湾曲した縁部290は、ドライバをコリオリ流量計5に取り付けるため、流管103A及び103Bに溶接されるか、又は何か他の方法で取り付けられる。
【0046】
磁石アッセンブリ210は、基部として磁石保持部202を有している。ブラケット211は、磁石保持部202の第1側から伸張している。壁213と214は、磁石保持部202の第2側の外縁部から外向きに伸張している。壁213と214は、磁石203の磁界の方向をコイル204の巻きに対して垂直に制御する。
【0047】
磁石203は、第1及び第2端部を有する実質的に円筒形の磁石である。磁石203は、磁石スリーブ(図示せず)に嵌め込まれている。磁石スリーブと磁石203は、磁石203を磁石アッセンブリ210内に固定するため、磁石保持部202の第2表面に取り付けられている。磁石203は、通常、その第2側に貼り付けられている極(図示せず)を有している。磁極(図示せず)はキャップであり、磁界をコイル204に向けるために磁石203の第2端部に装着されている。
【0048】
コイルアッセンブリ220は、コイル204とコイルボビン205を含んでいる。コイルボビン205は、ブラケット211に取り付けられている。コイルボビン205は、回りにコイル204が巻き付けられている第1表面から突き出たスプールを有している。コイル204は、磁石203に相対しているコイルボビン205の上に取り付けられている。コイル204は、交流をコイル204に印加するリード線110に接続されている。交流は、コイル204と磁石203を互いに引き付けさせ、反発させて、流管103Aと103Bを互いに反対方向に振動させる。
【0049】
図3の説明
図3は、本発明を具現化しているコリオリ流量計300を開示している。流量計300は、流管301、302の下部を取り囲むスペーサー303を備えており、流管は、内側で、左端部がネック308を介してフランジ304に接続されており、右端部がネック320を介してフランジ305とマニホルド307に接続されている。図3には、フランジ305の出口306、左ピックオフLPO、右ピックオフRPO、及びドライバDも示している。右ピックオフRPOは、幾らか詳細に示されており、磁石構造315とコイル構造316を含んでいる。マニホルドスペーサー303の底部の要素314は、流量計電子回路120から、ドライバDとピックオフLPO及びRPOまで内側を伸張するワイヤー100を受け入れるための開口部である。流量計300は、使用時には、フランジ304及び305を介して、パイプラインなどに接続されるようになっている。
【0050】
図4の説明
図4は、流量計300の破断図である。この図は、マニホルドスペーサーの内部にある部分を示すため、マニホルドスペーサー303の前方部分を取り外している。図4には示されているが図3には示されていない部分には、外側端部ブレースバー401、404と、内側ブレースバー402、403と、右端の流管出口開口部405、412と、流管301、302と、湾曲流管区画414、415、416、417がある。使用時、流管301と302は、それぞれ曲げ軸WとW’回りに振動する。外側端部ブレースバー401、404と、内側ブレースバー402、403は、曲げ軸WとW’の位置を決める助けとなる。要素406は、ドライバDと、ピックオフLPO及びRPOとに取り付けられたワイヤーの取り付け具であり、なるべく複雑にしないように、図4には示していない。表面411は流量計の入口であり、表面306は流量計の出口である。
【0051】
要素405と412は、流管301と302の左端部の内側表面である。曲げ軸W及びW’は、流量計300の長さに亘って伸張している。
【0052】
図5の説明
図5は、ドライバD(図5には示していない)の影響を受けて、互いに外向きに変位している状態が図示されている流管301と302の端面図である。内側ブレースバー402と403、外側ブレースバー401と404、並びに出口開口部405と412も、図5に示されている。流管301、302の外向きの変位の描写は、その動作を理解し易いように、誇張して示している。使用時、ドライバDによる流管の変位は、肉眼では検出できないほど小さい。流管301と302の曲げ軸WとW’も示されている。
【0053】
図6の説明
図6は、コイル区画Cと磁石区画Mを有するドライバDを開示している。コイル区画Cは、コイル区画C全体を貫通して軸方向に伸張するボルト(図示せず)の端部601を有するように示されている。表面604は、コイル区画Cの軸方向外側端部である。要素602は、コイル区画Cを取り囲むコイルスペーサーである。表面603はスペーサーである。要素604は、コイル区画Cのコイルの巻き線の端部に接続されているワイヤー(図示せず)を支持している。要素605は、コイルボビンの外側表面である。要素606は、コイル区画Cのワイヤーが周囲に巻き付けられている表面である。要素608は、コイル区画Cを構成しているワイヤーである。
【0054】
右側の磁石区画は、保持部609、内側磁石を取り囲んでいる円筒形磁石ブラケット610、移行表面612、釣合錘及び磁石ブラケット613、及び、磁石ブラケット613の左端の表面611を含んでいる。
【0055】
使用時、コイル608には、流量計電子回路120から導体110を経由して来る正弦波信号によって電圧が加えられる。加圧されたコイル608によって作られる磁界は、磁石端部の磁界と作用し合い、流量計電子回路120からの加圧信号の影響を受けて、コイル要素Cと磁石要素Mを軸方向に逆位相に動かす。従って、コイル608と表面607を含む図6のコイル要素Cの右端部は、磁石保持部609に軸方向に出入りする。図8に示すように、コイルスペーサー602の上側面は、流管301の下側面に固定されている。同様に、磁石ブラケット610の上側面は、流管302の下側面に固定されている。ドライバDのコイルと磁石の構成要素の振動運動は、流管301と302に同様の振動運動を引き起こし、経路110上の駆動信号の影響の下、逆位相に振動させる。
【0056】
図7の説明
図7は、長手方向軸方向中心部における流管301及び302の断面図、並びに、ドライバDのコイル構成要素C、磁石構成要素Mの断面図である。コイル602は、その上側面が、流管301の下側面に固定されている。磁石スペーサー610の上側面は、流管302の下側面に固定されている。要素602と610は、蝋付け及び/又はスポット溶接によって流管に取り付けてもよい。端部601を有するボルト701は、コイルスペーサー602の中に入っており、スペーサー303を貫通して内向きに伸張し、要素606で終端している。要素606は、図6のコイル608が周囲に巻き付けられている表面を有する要素704に取り付けられている。
【0057】
ドライバDの磁石M構成要素は、外側右端に要素702を含んでいる。磁石Mの左端は要素703であり、磁石Mの中央部は要素710である。右側部分702は、釣合錘613内に入っている。ドライバDの構成要素コイルCに電圧が加えられると、コイル構成要素Cの右側部分と磁石構成要素Mの左側部分は、互いに対して軸方向に内向き及び外向きに振動し、その結果、流管301と302に、同様の内向き及び外向きの振動を引き起こす。
【0058】
ドライバDが流管301と302を振動させると、流管301は曲げ軸W’の回りに振動し、流管302は曲げ軸Wの回りに振動する。これは、図4と5に更に明確に示されている。垂直線716は、流管301の平衡面内にある。平衡面716は、曲げ軸W’を含んでおり、対称面708に平行である。垂直線717は、流管302の平衡面内にある。平衡面717は、曲げ軸Wを含んでおり、これも、面716と717の間の中間にある対称面708に平行である。
【0059】
流管301と302は、それぞれの曲げ軸W’とWの回りに音叉のように振動する。しかしながら、2つの流管は、単独で、完全に力学的に平衡な構造ではないので、それらが一部を成しているコリオリ流量計内に、低レベルの望ましくない振動を生成すると考えられる。
【0060】
図7は、流管301と302の中心線706と707から僅かに内側に位置している曲げ軸W’とWを示している。これらの曲げ軸W’とWは、流管の中心線706と707上に位置していることが多い。しかしながら、本発明では、図7に示すように、曲げ軸W’とWは、流管の質量と、流管が取り付けられている構造の剛性のために、流管の中心線706と707からずれている。流管の質量の中心712と715(取り付けられている構成要素は無視している)は、管の中心線706と707の上にある。管が内向きに曲がると、その質量の中心715と712は、曲げ軸W’とWの回りに円周方向の経路に沿って動く。従って、質量の中心は、それぞれの平衡面716と717に近づく際に、僅かに上向きに動く。同様に、流管の質量の中心715と712は、それぞれの平衡面716と717から離れる方向に動く際に、下向きに動く。平衡が取れていなければ、この流管の質量の中心715と712の垂直方向の運動は、計器をY方向に揺らすことになる。
【0061】
代表的な流量計のドライバは、更に、代表的なコリオリ流量計の流管に取り付けられたときに力学的に平衡が取れない質量を有している。そのようなドライバが、図2に示されており、第1流管に取り付けられる第1構造220と、第2流管に取り付けられる第2構造210を備えていることが分かる。このようなドライバは、流管の振動構造に相当な質量を付け加える。また、このドライバは、質量の大半が2つの流管の間の空間に配置されるような様式で質量を付け加える。この質量は、図2のドライバの要素204、203、205、213、214を含んでいる。
【0062】
図2のドライバの構造を、本発明のドライバDの代わりに流管301、302に付け加えると、図2のドライバ構成要素の質量の中心は流管301と302の半径方向中心706と707の間に位置することになるので、流量計は平衡が取れていないままになる。これらの質量の中心は、平衡面716と717の遙か内側にくる。この位置の故に、この駆動構成要素の質量の中心は、流管が互いに近付く方向に動くときには下に移動し、流管が互いに遠ざかる方向に動くときには上に移動する。これは、裸の流管から方向の不平衡を打ち消すことになるが、不都合なことに、先行技術によるドライバでは、駆動構成要素のオフセットの影響が、流管の質量の中心の平衡面からのオフセットの影響を圧倒することになる。この動的に不平衡な状態は、この様な流量計に相当量の望ましくない振動を作り出す結果となる。
【0063】
本発明のドライバDは、流管が望ましくない振動を最小限にして作動できるようなやり方で流管301と302それぞれの底部に取り付けられる、コイル構成要素Cと磁石構成要素Mを含んでいる。これは、本発明に従って、コイル構成要素Cと磁石構成要素それぞれが同等で一致した慣性特性を有する力学的に平衡な構造を備えているように、それらを設計、製作及び構成することにより、実現される。要素は、流管301と302の底部に個々に取り付けられる。それらは、コイル及び磁石の軸方向中心が共通の中心軸を有し、上記2つの構成要素を、共通の軸に沿って逆位相で振動させることができるように、互いに軸方向に整列して配置される。質量の中心718を有する駆動要素Cを、質量の中心715を有する流管301に取り付けると、組み合わせられた質量の中心727が平衡面716の上にくる。同様に、質量の中心713を有する駆動要素Mを、質量の中心712を有する流管302に取り付けると、組み合わせられた質量の中心714が平衡面717の上にくる。組み合わせられた質量の中心を平衡面716と717の上に配置することで、互いに寄せ合わされた構成要素が計器の振動的平衡を妨げないことを保証することができ、従って、Y方向に望ましくない振動を作り出すことがなくなる。
【0064】
ドライバDのコイルC構成要素と磁石M構成要素は、次に述べる振動特性を有するように設計、製作及び構成される。第一に、コイルC構成要素の質量は、ドライバDの磁石M構成要素の質量と等しくなっている。コイルの質量の中心718と磁石の質量の中心713は、曲げ軸W’とWからの距離が等しくなっている。次に、慣性モーメントは、コイルC構成要素と磁石M構成要素それぞれの慣性モーメントが基本的に等しくなるように、構成される。これらの各要素の慣性モーメントは、
【0065】
【数2】

と表され、ここに、
I=構成要素の慣性モーメント
m=各増分要素の質量
r=各増分要素から構成要素の質量の中心までの距離
である。最後に、各駆動構成要素の質量の中心は、各駆動構成要素とそれぞれの流管の組み合わせられた質量の中心が、平衡面716と717の上に位置するように配置される。ドライバをこれらの規則に則って設計すると、力学的に平衡な構造が保証され、望ましくない信号の生成を回避しながら、流管を逆位相に振動させることができる。
【0066】
図8の説明
図8は、図6と7のドライバDを流管301と302の底部に取り付けたときの詳細を開示している。図8は、コイルCを貫通して伸張しているボルトの端部601を示している。図8は、更に、コイル区画及びコイルスペーサーカバーの端面614、コイル面603、ワイヤー端末604を示している。図8は、更に、磁石構成要素Mの要素609、610、612、613を示している。図8は、ブラケット802からコイル端末604まで伸張している導体806と807を示している。導体806と807は、流量計電子回路120からの加圧信号110をコイル区画Cに加えるため、導体110(図示せず)によって接続されている。ブラケット801、802、803、804、805は、導体806と807を支持するための取り付けブラケットである。ブラケット610は、コイルスペーサー要素602が流管301の底部に取り付けられるのと同じやり方で流管301の底部に取り付けられる。
【0067】
図9の説明
図9は、流管301と302の上部に取り付けられている図3のピックオフRPOとLPOの詳細を示している。各ピックオフは、ドライバDと同じ様式で、コイル構成要素Cと磁石構成要素Mを有している。コイルC構成要素は、流管301の上部に取り付けられたスペーサー315を有しており、磁石M構成要素は、流管302の上部に取り付けられたスペーサー316を有している。ピックオフRPOは、図9には詳細に示していない手段によって図1の導体経路111と111’に接続されている導体907を有している。これらの導体は、ブラケット906によって支持されている。コイルC構成要素は、コイル導体を支持するため要素902と904を有しており、更に、軸方向内側端面903を有している。磁石M構成要素は、図6の磁石構成要素Mの要素609とに対応する内側端部905を有している。
【0068】
ピックオフRPOとLPOは、各構成要素が等しい質量を有し、質量の中心が平衡面上に位置し、慣性モーメントが等しくなるように、ドライバについて述べたのと同じやり方で設計、構成及び製作されている。このことは、ピックオフの部品が、望ましくない振動を生成しないやり方で流管を作動させることができるように、図示の通り流管に取り付けることのできる力学的に平衡の取れた構造を備えていることを保証する。
【0069】
本発明の第1の態様は、コリオリ流量計において、対称面(708)の回りに逆位相で振動させるようになっている第1流管(301)及び第2流管(302)と、各流管を、各流管の両端のノードを繋ぐ曲げ軸の回りに振動させるようになっている駆動システム(D)と、第1流管に取り付けられた第1振動駆動システム構成要素(C)を含む第1振動構成要素(D、LPO、RPO)と、第2流管に取り付けられた第2振動駆動システム構成要素(M)を含む第2振動構成要素と、を備えており、第1及び第2振動駆動システム構成要素は、第1流管と第1振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントが、第2流管と第2振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントと実質的に等しくなるように、等価な寸法と位置を有している。
【0070】
本発明の第2の態様は、第1の態様のコリオリ流量計において、第1及び第2の振動駆動システム構成要素は、実質的に等しい質量を有する寸法に作られている。
【0071】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様のコリオリ流量計において、第1流管の曲げ軸と、第1流管と第1振動駆動システム構成要素(C)を加えたものの組み合わせられた質量の中心(727)は、対称面(708)に平行な第1平衡面(716)上にあり、第2流管の曲げ軸と、第2流管と第2振動駆動システム構成要素(M)を加えたものの組み合わせられた質量の中心(714)は、対称面(708)に平行な第2平衡面(717)上にある。
【0072】
本発明の第4の態様は、第1から第3の何れかの態様のコリオリ流量計において、第1振動駆動システム構成要素は、第1流管に取り付けられたドライバのコイル構成要素(C)を含んでおり、第2振動駆動システム構成要素は、第2流管に取り付けられ、コイル構成要素と同軸に整列しているドライバの磁石構成要素(M)を含んでいる。
【0073】
本発明の第5の態様は、第1から第4の何れかの態様のコリオリ流量計において、第1振動構成要素は、更に、第1ピックオフ構成要素(602)を含んでおり、第2振動構成要素は第2ピックオフ構成要素(610)を含んでいる。
【0074】
本発明の第6の態様は、第5の態様のコリオリ流量計において、第1ピックオフ構成要素(602)は第1流管(301)に取り付けられ、第2ピックオフ構成要素(610)は第2流管(302)に取り付けられている。
【0075】
本発明の第7の態様は、第6の態様のコリオリ流量計において、第1及び第2振動駆動システム構成要素は、実質的に等しい質量を有するような寸法に作られている。
【0076】
本発明の第8の態様は、第4の態様のコリオリ流量計において、第1流管(301)の曲げ軸と、第1流管と第1振動駆動システム構成要素(C)を加えたものの組み合わせられた質量の中心(727)は、対称面(708)に平行な第1平衡面(716)上にあり、第2流管(302)の曲げ軸と、第2流管と第2振動駆動システム構成要素(M)を加えたものの組み合わせられた質量の中心(714)は、対称面に平行な第2平衡面(717)上にある。
【0077】
本発明の第9の態様は、コリオリ流量計を作動させる方法において、対称面の回りに逆位相で振動させるようになっている第1流管及び第2流管と、各流管を、各流管の両端のノードを繋ぐ曲げ軸の回りに振動させるようになっている駆動システムと、の段階を備えており、方法は、第1振動駆動システム構成要素を含んでいる第1振動構成要素を第1流管に取り付ける段階と、第2振動駆動システム構成要素を含んでいる第2振動構成要素を第2流管に取り付ける段階と、から成り、方法は、更に、第1及び2振動駆動システム構成要素を、第1流管と第1振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントが、第2流管と第2振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントと実質的に等しくなるように、等価な寸法にし、等価な位置に配置する段階を含んでいる。
【0078】
本発明の第10の態様は、第9の態様の方法において、第1及び第2の振動駆動システム構成要素を、実質的に等しい質量を有する寸法に作る段階を更に含んでいる。
【0079】
本発明の第10の態様は、第9又は第10の態様の方法において、第1流管の曲げ軸と、第1流管と第1振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心を、対称面に平行な第1平衡面上に配置する段階と、第2流管の曲げ軸と、第2流管と第2振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心を、対称面に平行な第2平衡面上に配置する段階と、を更に含んでいる。
【0080】
本発明の第10の態様は、第9から第11の何れかの態様の方法において、ドライバのコイル構成要素を含む第1振動駆動システム構成要素を、第1流管に取り付ける段階と、ドライバの磁石構成要素を含む第2振動駆動システム構成要素を、第2流管に、コイル構成要素と同軸に整列させて取り付ける段階と、を更に含んでいる。
【0081】
本発明の第10の態様は、第9から第12の何れかの態様の方法において、第1振動駆動システム構成要素が第1ピックオフ構成要素を更に含んでおり、第2振動駆動システム構成要素が第2ピックオフ構成要素を更に含んでいることを特徴とし、更に、第1ピックオフ構成要素を第1流管に取り付ける段階と、第2ピックオフ構成要素を第2流管に取り付ける段階と、を含んでいる。
【0082】
本発明の第10の態様は、第13の態様の方法において、第1及び第2のピックオフ構成要素を、実質的に等しい質量を有する寸法に作る段階を更に含んでいる。
【0083】
本発明の第10の態様は、第9から第14の何れかの態様の方法において、第1流管の曲げ軸と、第1流管と第1振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心を、対称面に平行な第1平衡面上に配置する段階と、第2流管の曲げ軸と、第2流管と第2振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心を、対称面に平行な第2平衡面上に配置する段階と、を更に含んでいる。
【0084】
請求している本発明は、好適な実施形態の説明に限定されるのではなく、本発明の概念の範囲と精神の範囲内にある他の修正及び代替案を包含するものと明白に理解頂きたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コリオリ流量計であって、
対称面(708)の回りに逆位相で振動させるようになっている第1流管(301)及び第2流管(302)と、
前記各流管を、各流管の両端のノードを繋ぐ曲げ軸の回りに振動させるようになっている駆動システム(D)と、
前記第1流管に取り付けられた第1振動駆動システム構成要素(C)を含む第1振動構成要素(D、LPO、RPO)と、
前記第2流管に取り付けられた第2振動駆動システム構成要素(M)を含む第2振動構成要素と、を備えており、
前記第1及び第2振動駆動システム構成要素を、前記第1流管と前記第1振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントが、前記第2流管と前記第2振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントと実質的に等しくなるように、等価な寸法と位置を有しているコリオリ流量計であり、
前記第1流管の曲げ軸と、前記第1流管と前記第1振動駆動システム構成要素(C)を加えたものの組み合わせられた質量の中心(727)は、前記対称面(708)に平行な第1平衡面(716)上にあり、
前記第2流管の曲げ軸と、前記第2流管と前記第2振動駆動システム構成要素(M)を加えたものの組み合わせられた質量の中心(714)は、前記対称面(708)に平行な第2平衡面(717)上にあることを特徴とするコリオリ質量流量計。
【請求項2】
前記第1及び第2の振動駆動システム構成要素は、実質的に等しい質量を有する寸法に作られていることを特徴とする、請求項1に記載のコリオリ流量計。
【請求項3】
前記第1振動駆動システム構成要素は、前記第1流管に取り付けられたドライバのコイル構成要素(C)を含んでおり、
前記第2振動駆動システム構成要素は、前記第2流管に取り付けられ、前記コイル構成要素と同軸に整列している前記ドライバの磁石構成要素(M)を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のコリオリ流量計。
【請求項4】
前記第1振動構成要素は、更に、第1ピックオフ構成要素(602)を含んでおり、前記第2振動構成要素は第2ピックオフ構成要素(610)を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のコリオリ流量計。
【請求項5】
前記第1ピックオフ構成要素(602)は前記第1流管(301)に取り付けられ、
前記第2ピックオフ構成要素(610)は前記第2流管(302)に取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載のコリオリ流量計。
【請求項6】
前記第1及び第2振動駆動システム構成要素は、実質的に等しい質量を有するような寸法に作られていることを特徴とする、請求項5に記載のコリオリ流量計。
【請求項7】
コリオリ流量計を作動させる方法であって、
対称面の回りに逆位相で振動させるようになっている第1流管及び第2流管と、
前記各流管を、各流管の両端のノードを繋ぐ曲げ軸の回りに振動させるようになっている駆動システムと、の段階を備えており、前記方法は、
第1振動駆動システム構成要素を含んでいる第1振動構成要素を前記第1流管に取り付ける段階と、
第2振動駆動システム構成要素を含んでいる第2振動構成要素を前記第2流管に取り付ける段階と、
前記第1及び2振動駆動システム構成要素を、前記第1流管と前記第1振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントが、前記第2流管と前記第2振動駆動システム構成要素を加えたものの慣性モーメントと実質的に等しくなるように、等価な寸法にし、等価な位置に配置する段階と、を含んでいる方法であり、
前記第1流管の曲げ軸と、前記第1流管と前記第1振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心を、前記対称面に平行な第1平衡面上に配置する段階と、
前記第2流管の曲げ軸と、前記第2流管と前記第2振動駆動システム構成要素を加えたものの組み合わせられた質量の中心を、前記対称面に平行な第2平衡面上に配置する段階と、を更に含んでいることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の振動駆動システム構成要素を、実質的に等しい質量を有する寸法に作る段階を更に含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ドライバのコイル構成要素を含む前記第1振動駆動システム構成要素を、前記第1流管に取り付ける段階と、
前記ドライバの磁石構成要素を含む前記第2振動駆動システム構成要素を、前記第2流管に、前記コイル構成要素と同軸に整列させて取り付ける段階と、を更に含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1振動駆動システム構成要素が第1ピックオフ構成要素を更に含んでおり、前記第2振動駆動システム構成要素が第2ピックオフ構成要素を更に含んでいることを特徴とし、更に、
第1ピックオフ構成要素を前記第1流管に取り付ける段階と、
第2ピックオフ構成要素を前記第2流管に取り付ける段階と、を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2のピックオフ構成要素を、実質的に等しい質量を有する寸法に作る段階を更に含んでいる、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−50463(P2013−50463A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−248461(P2012−248461)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2007−507289(P2007−507289)の分割
【原出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【出願人】(592225504)マイクロ・モーション・インコーポレーテッド (95)
【氏名又は名称原語表記】Micro Motion Incorporated
【Fターム(参考)】