説明

コリオリ流量計

【課題】 駆動回路自体の個体差、駆動パラメータを変更することによって、共通的な駆動回路の設計を可能とし、さらには駆動回路を演算器内部に組み込むことが可能にし、コストの削減と自己診断などの追加機能を容易に実現することのできるコリオリ流量計を提供すること。
【解決手段】 電磁オシレータを作動させる駆動装置を,電磁ピックオフからのアナログ入力信号を増幅するOPアンプと,OPアンプから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータと,A/Dコンバータから出力されるデジタル信号をDSPにおいて位相検波に基づいてデジタル処理し、そのデータ量のデジタル信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータと,D/Aコンバータから出力されるデジタル信号をDSPにおいて位相検波に基づいてデジタル処理し、そのデータ量のデジタル信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータとによって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流管に作用するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を検出することにより被計測流体の質量流量及び/又は密度を得るコリオリ流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
コリオリ流量計は、被測定流体の流通する流管の一端又は両端を支持し、その支持点回りに流管の流れ方向と垂直な方向に振動を加えたときに、流管(以下、振動が加えられるべき流管をフローチューブという)に作用するコリオリの力が質量流量に比例することを利用した質量流量計である。コリオリ流量計は周知のものであり、コリオリ流量計におけるフローチューブの形状は直管式と湾曲管式とに大別されている。
【0003】
そして、コリオリ流量計は、被測定流体が流れる測定管を両端で支持し、支持された測定管の中央部を支持線に対し、直角な方向に交番駆動したとき、測定管の両端支持部と中央部との間の対称位置に質量流量に比例した位相差信号を検出する質量流量計である。位相差信号は質量流量に比例している量であるが、駆動周波数を一定とすると、位相差信号は測定管の観測位置における時間差信号として検出することができる。
【0004】
測定管の交番駆動の周波数を測定管の固有の振動数と等しくすると、被測定流体の密度に応じた一定の駆動周波数が得られ、小さい駆動エネルギで駆動することが可能となることから、最近では測定管を固有振動数で駆動するのが一般的となっており、位相差信号は時間差信号として検出される。
【0005】
直管式のコリオリ流量計は、両端が支持された直管の中央部直管軸に垂直な方向の振動を加えたとき、直管の支持部と中央部との間でコリオリの力による直管の変位差、すなわち位相差信号が得られ、その位相差信号に基づいて質量流量を検知するように構成されている。このような直管式のコリオリ流量計は、シンプル、コンパクトで堅牢な構造を有している。しかしながら、高い検出感度を得ることができないという問題点もあわせ持っている。
【0006】
これに対して、湾曲管式のコリオリ流量計は、コリオリの力を有効に取り出すための形状を選択できる面で、直管式のコリオリ流量計よりも優れており、実際、高感度の質量流量を検出することができている。なお、湾曲管式のコリオリ流量計としては、一本のフローチューブを備えるもの(例えば特許文献1参照)や、並列二本のフローチューブを備えるもの(例えば特許文献2参照)、或いは一本のフローチューブをループさせた状態に備えるもの(例えば特許文献3参照)などが知られている。
【特許文献1】特公平4−55250号公報
【特許文献2】特許第2939242号公報
【特許文献3】特許第2951651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、フローチューブを駆動するための駆動手段としては、コイルとマグネットの組み合わせで用いられることが一般的になっている。そのコイルとマグネットの取り付けに関しては、フローチューブの振動方向に対してオフセットしてない位置に取り付けることが、コイルとマグネットの位置関係のズレを最小にする上で好ましいので、上記特許文献2に開示されるような並列二本のフローチューブにあっては、コイルとマグネットとを挟み込む状態に取り付けられている。そのため、相対する二本のフローチューブの距離が少なくともコイルとマグネットとを挟み込む分だけ離れるような設計がなされている。
【0008】
二本のフローチューブがそれぞれ平行する面内に存在するコリオリ流量計であって、口径が大きいコリオリ流量計やフローチューブの剛性が高いコリオリ流量計の場合には、駆動手段のパワーを高める必要があることから、大きな駆動手段を二本のフローチューブの間に挟み込まなければならない。そのため、フローチューブの根元である固定端部においても、そのフローチューブ同士の距離が必然的に広くなるように設計されている。
【0009】
一般的なコリオリ流量計1は、図6に示す如く、2本のU字管状のチューブ2,3の検出器4と変換器5とを有している。
検出器4の測定チューブ2,3には、加振器6、速度センサ7、温度センサ8が取り付けられており、それぞれ変換器5に接続されている。
コリオリ流量計変換器5は、位相計測部11と、温度計測部12と、駆動制御部13とによって構成されている。
【0010】
位相計測部11は以下のように構成されている。
信号処理のデジタル化に当たって、コリオリ流量計の位相計測11は、一対の速度センサの信号をA/D変換しデジタル変換処理をした後、変換された信号の位相差を求めている。
【0011】
次に、温度計測部12の計測方法について説明する。
コリオリ流量計には、チューブ温度の補償用に温度センサが設けられている。
一般に抵抗型温度センサが用いられており、抵抗値を計測することによつて温度を算出する。
【0012】
駆動制御部13は、測定チューブに取り付けられた加振器6に、所定のモードの信号を送りチューブ2,3が共振振動できるようにする。
従来の駆動回路には、正帰還ループ構成したアナログ式のものが多用されており、チューブの形状などによって回路構成部品が異なり、そのために共通化した変換器の構成には難があった。
さらに、前記位相計測部12と独立した構成をなすため、性能機能を司ることができず、むしろコリオリ力の原理(位相計測)による計測手段の一構成要素として組み込まれ、優位的機能展開には活用されていないのが実状である。
【0013】
従来の駆動回路は、アナログ回路で構成されている。この従来の駆動回路の構成は、図7に示き構成を有している。
【0014】
図7に図示の駆動回路の動作原理について説明する。
まず、ピックオフの入力信号を振幅計測部20を構成する全波整流回路21において全波整流し、この全波整流回路21において全波整流したピックオフの入力信号を、振幅計測部20を構成するローパスフィルタ22に入力する。
このように振幅計測部20においては、ローパスフィルタ22に入力したピックオフの入力信号の入力波形の振幅値を求める。
この振幅計測部20において求めた振幅値は、加算器23において、加算器23に入力される基準電圧値Vrefから引き算され、掛け算器24において、振幅計測部20に入力されるピックオフの入力信号と掛け合わせられる。そして、この掛け算器24において掛け算した入力信号は、ドライブ出力用アンプ25に入力される。そして、このドライブ出力用アンプ25において、駆動信号として出力される。
ここで入力信号の振幅値がある一定のレベルに達していない場合、スタート回路26の出力が切り替わり出力アンプ25のゲインを切り替え、駆動信号のレベルが大きくなり入力信号は、はやく一定のレベルに収束するようになる。
【0015】
このように駆動する従来の駆動回路にあっては、駆動回路をアナログ回路で構成してあるため、入力信号の変化に対して非常に応答性が良いというメリットがあるが、以下のようなデメリットもある。
従来の駆動回路にあっては、回路の常数が固定されているので、駆動用のパラメータを変更していろいろな型式のセンサと結合するための、共通な駆動回路を設計することが難しいという問題点を有している。
また、従来の駆動回路にあっては、回路を構成する部品点数が多いためコストが高くなるという問題点を有している。
さらに、従来の駆動回路にあっては、駆動回路の自己診断などの機能を追加するために、回路自体の個体差の調整やさらに多くの部品の実装などが要求されるという問題点を有している。
【0016】
本発明の目的は、駆動回路をデジタル化することによって、駆動回路自体の個体差、駆動パラメータを変更することによって、共通的な駆動回路の設計を可能とし、さらには駆動回路を演算器内部に組み込むことが可能にし、コストの削減と自己診断などの追加機能を容易に実現することのできるコリオリ流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するためなされた請求項1に記載の本発明のコリオリ流量計は、測定用の流管を構成する一対のフローチューブを対向させ、駆動装置によって電磁オシレータを作動させ前記フローチューブを回転方向に交番駆動し該一対のフローチューブを振動させて、電磁ピックオフによって前記一対のフローチューブに作用するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を検出することにより、被計測流体の質量流量及び/又は密度を得るコリオリ流量計において,
前記駆動装置を,
前記電磁ピックオフからのアナログ入力信号を増幅するOPアンプと,
前記OPアンプから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータと,
前記A/Dコンバータから出力されるデジタル信号をDSP(デジタルシグナルプロセッサ)において位相検波に基づいてデジタル処理し、そのデータ量のデジタル信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータと,
によって構成したことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するためなされた請求項2に記載の本発明のコリオリ流量計は、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)を,
FFTを用いて共振周波数のスペクトル強度を振幅値として振幅を計算する振幅計測部と,
前記A/Dコンバータから入力されるデジタルデータの符号ビットが単位時間当たりに何回変わるかを計測し、その値をゼロクロスデータとして出力するゼロクロス計算部と,
PLLからの出力と前記振幅計測部からの振幅データを基に出力波形の振幅を決定し、出力波形を生成するドライブ波形生成部と,
PLLからの出力される位相データを基に周波数を計算する周波数演算部と,
前記ゼロクロスデータと前記A/Dコンバータとの出力データから位相検波を行うPLL(位相同期回路)と,
によって構成したことを特徴としている。
【0019】
上記課題を解決するためなされた請求項3に記載の本発明のコリオリ流量計は、PLL(位相同期回路)を,
前記電磁ピックオフからの入力アナログ信号をA/D変換したデジタル信号に基づいて、位相検波により得られる発信周波数より、入力信号に同期した発信周波数に基づきコイルを駆動するドライブ信号を生成するようにしたことを特徴としている。
【0020】
上記課題を解決するためなされた請求項4に記載の本発明のコリオリ流量計は、PLL(位相同期回路)を,掛け算器と、ローパスフィルタと、位相制御型発信器とによって構成し,
前記掛け算器を、前記A/Dコンバータから出力されるデジタル信号と前記位相制御型発信器から出力されるデジタル出力信号との位相を比較し、その差信号と和信号として出力するように構成し,
前記ローパスフィルタを、前記掛け算器からの出力信号から低い周波数の信号のみ取り出すように構成し,
前記位相制御型発信器を、前記ゼロクロス部からのゼロクロスデータをもとに基本出力波形の位相データを生成し、さらに前記ローパスフィルタからの出力データが0になるように演算し、該演算した位相に基づき波形を生成して出力するように構成したことを特徴としている。
【0021】
上記課題を解決するためなされた請求項5に記載の本発明のコリオリ流量計は、アナログスイッチから出力される出力信号を、前記アナログスイッチの出力端子に接続されるOPアンプによって増幅し,ドライブ出力信号として出力するように構成し,前記OPアンプのゲインを、前記アナログスイッチによって切り替えられるように回路構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、駆動回路自体の個体差、駆動パラメータを変更することによって、共通的な駆動回路の設計を可能とし、さらには駆動回路を演算器内部に組み込むことが可能にし、コストの削減と自己診断などの追加機能を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
駆動回路のデジタル化にあたっては、駆動回路をデジタル化することによって、アナログ回路での高速な応答性をどこまで再現できるかが重要なポイントとなっている。それには、高速で駆動する演算器を用いれば解決することができるが、高速駆動の演算器は、非常にコストが高くなってしまい、実現性に乏しくなるという新たな問題を生じさせる。
そこで、本発明者は、PLL(PLL; Phase-locked loop 位相同期回路)の考え方に基づく駆動方法を適用することにより実現するに至った。このPLL(PLL; Phase-locked loop 位相同期回路)は、入力される交流信号と周波数が等しく、かつ位相が同期した信号を、フィードバック制御により別の発振器から出力する電子回路である。
このようにPLLは、もともと位相を同期するための回路で、入力信号に対して位相の同期した信号を作ることができるようになっている。
このPLLは、演算器で構成することが比較的簡単で、さらに高速で演算することが可能であるため駆動回路を演算器に追加したことによる演算負荷の増加を抑えることが期待できる。
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。
図1には、PLL(Phase-Locked Loop:位相同期回路)30の回路構成図が示されている。
PLL(Phase-Locked Loop:位相同期回路)というのは、外部から入力された基準信号と、ループ内の発振器からの出力との位相差が一定になるよう、ループ内発振器にフィードバック制御をかけて発振をさせる発振回路である。
図1におけるPLL30は、位相比較器31と、ループフィルタ32と、VCO(電圧制御発信回路)33と、分周器34とによって構成されている。
【0025】
図1に図示のPLL30は、入力される交流信号と周波数が等しく、かつ位相が同期した信号を、フィードバック制御により別の発振器から出力する電子回路である。
このPLL30は、電圧に応じて周波数が変化するVCO(電圧制御発振回路)33の出力信号と入力(基準周波数)との位相差をVCO33にフィードバックすることにより、同期する。このとき、VCO(電圧制御発振回路)33の出力信号を分周したものを用いることにより入力信号の周波数を逓倍した信号を作ることもできる。
【0026】
図2には、PLL30の原理を用いたコリオリ流量計の駆動回路のブロック図が示されている。
図2において、駆動回路40は、OPアンプ41と、A/Dコンバータ42と、D/Aコンバータ43と、アナログスイッチ44とによって構成されている。
測定用の流管を構成する一対のフローチューブを対向させ、駆動装置によって電磁オシレータを作動させフローチューブを回転方向に交番駆動し、一対のフローチューブを振動させるためのドライブ出力信号は、アナログスイッチ44において、D/Aコンバータ43からの出力信号と、フローチューブを回転方向に交番駆動したときに一対のフローチューブに発生するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を電磁ピックオフによって検出されOPアンプ41から出力される入力信号の2つの信号を、それぞれ切り替えてドライブ出力用のアンプ45に出力できるように構成されている。
【0027】
このアナログスイッチ44は、同時にドライブ出力用のアンプ45のゲインをアナログスイッチ44による切り替えによって切り替えられるように回路構成されている。
また、A/Dコンバータ42からの出力信号は、A/Dコンバータ42に接続されるDSP(Digital Signal Processor :デジタルシグナルプロセッサ )50に入力される。
【0028】
図3には、DSP(Digital Signal Processor :デジタルシグナルプロセッサ )の原理を用いたコリオリ流量計の駆動回路のブロック図が示されている。
DSP(Digital Signal Processor, デジタルシグナルプロセッサ)50 は、デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサである。
次に、DSP50の内部構成について説明する。このDSP50は、振幅計測部51と、ゼロクロス計算部52と、ドライブ波形生成部53と、周波数演算部54と、PLL55(掛け算器56、ローパスフィルタ57、位相制御型発信器58)とによって構成されている。
これらDSP50を構成する各構成要素について、次に説明する。
【0029】
(1)振幅計測部51
振幅計測部51は、振幅の計算をするもので、この振幅の計算においては、FFTを用いて共振周波数のスペクトル強度を振幅値として、振幅計測部51の内部の演算に使用している。
【0030】
(2)ゼロクロス計算部52
ゼロクロス計算部52は、A/Dコンバータ42から出力される電磁ピックオフによって検出されたフローチューブを回転方向に交番駆動したときに一対のフローチューブに発生するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数の入力データ(sinα)の符号ビットが単位時間当たりに何回変わるかを計測するものである。そして、このゼロクロス計算部52においては、計測した値をゼロクロスデータとして、位相制御型発信器58に送るものである。
【0031】
(3)ドライブ波形生成部53
ドライブ波形生成部53は、位相制御型発信器58から出力される位相データδを基に出力波形の位相と振幅計測部51から出力される振幅データXMAGを基にドライブ波形生成部53において出力波形の振幅を決定し、ドライブ波形生成部53から出力される出力波形を生成する。
【0032】
(4)周波数演算部54
周波数演算部54は、位相制御型発信器58から出力される位相データδを基に電磁ピックオフによって検出されるコリオリの力に比例した振動周波数を計算するものである。
【0033】
(5)掛け算器56
掛け算器56は、フローチューブを回転方向に交番駆動したときに一対のフローチューブに発生するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を、電磁ピックオフによって検出し、OPアンプ41によって増幅して、A/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力データ(sinα)と、位相制御型発信器58から出力される出力信号cosδの位相を比較し、その差信号と和信号としてローパスフィルタ57に出力するものである。
【0034】
(6)ローパスフィルタ57
ローパスフィルタ57は、掛け算器56から出力される出力信号を周波数フィルタを通して、低い周波数の信号のみ取り出す回路である。
したがって、ここでは、掛け算器56から出力される出力信号のなかで差の成分のみを取り出している。
【0035】
(7)位相制御型発信器58
位相制御型発信器58は、ゼロクロス部(ゼロクロス計算部52)から出力されるゼロクロスデータ(α)を基に出力波形の位相データδを生成するものである。
そして、この位相制御型発信器58においては、掛け算器56に出力信号cosδを出力し、この掛け算器56において、A/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力データ(sinα)の位相と、出力信号cosδの位相とが比較され、その差信号と和信号としてローパスフィルタ57から出力され、このローパスフィルタ57によって濾波出力される差の成分のみの出力データVnが0になるように算出し、その算出した位相データδをドライブ波形生成部53に出力する。
このドライブ波形生成部53において、位相制御型発信器58から出力されるに位相データδに基づき波形を生成して、出力データ(XAMPsinγ)としてD/Aコンバータ43に出力する。
【0036】
次に、DSP(Digital Signal Processor :デジタルシグナルプロセッサ)50のドライブスタートの方法について説明する。
駆動回路40の初期状態においては、対向する測定用の流管を構成する一対のフローチューブは電磁オシレータによって交番駆動されておらず、一対のフローチューブが振動していない。したがって、駆動回路40のOPアンプ41には、入力信号が入っておらず、駆動回路40のOPアンプ41からも出力信号が出力されていないため、アンプ45からドライブ出力信号は出ていない。
【0037】
ここで、OPアンプ41から出力されるA/Dコンバータ42に入力される入力信号が0(振幅が0)の場合は、図2に図示のアナログスイッチ44により出力アンプ45のゲインを切り替え、さらにOPアンプ41から出力されるA/Dコンバータ42に入力される入力信号がアンプ45に直接入力されるように接続し、アンプ45から出力される出力信号として出力することによって初期振動をドライブコイルに与える。
このOPアンプ41から出力されるA/Dコンバータ42に入力される入力信号の振幅値がある程度大きくなった後、アナログスイッチ44のOPアンプ41から出力されるA/Dコンバータ42に入力される入力信号がアンプ45に直接入力される接続状態を、元に戻して通常の接続の駆動状態に戻す。
【0038】
次に、DSP50の内部の各構成要素における計算方法について説明する。
(1)振幅計測部
振幅計測部51においては、フローチューブを回転方向に交番駆動したときに一対のフローチューブに発生するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を、電磁ピックオフによって検出し、OPアンプ41によって増幅して、A/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力データ(sinα)の実数成分と虚数成分をFFT(高速フーリエ変換)の計算でもとめ(1)式によって、振幅値XMAGを入力信号のパワースペクトラムによって求めている。
【0039】
〔式1〕

この振幅計測部51における振幅の計算には、FFT(高速フーリエ変換)を用いて共振周波数のスペクトル強度を計算し、このスペクトル強度を振幅値XMAGとみなして、振幅計測部51の内部の演算で用いている。
【0040】
(2)ゼロクロス
ゼロクロス計測部52においては、フローチューブを回転方向に交番駆動したときに一対のフローチューブに発生するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を、電磁ピックオフによって検出し、OPアンプ41によって増幅して、A/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力データ(sinα)信号の符号ビットが0.5secの間で何回変わるかをカウントする。そして、A/Dコンバータ42から出力される信号の入力周波数のおおよその値を求める。このゼロクロス計算部52において求めた値は、ゼロクロスデータより計算したベースとなる位相αとして位相制御型発信器58へ送出される。
なお、ゼロクロスの計測時間は、0.5secに限定されるものでなく、例えば、1secであってもよい。
【0041】
(3)掛け算器56
PLL55の掛け算器56においては、フローチューブを回転方向に交番駆動したときに一対のフローチューブに発生するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を、電磁ピックオフによって検出し、OPアンプ41によって増幅して、A/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力データ(sinα)信号と位相制御型発信器58から出力される出力信号の出力波形を掛け算する。
ここで仮に位相制御型発信器の出力をcosδとした場合、掛け算器56における演算(sinα・cosδ)は、
〔式2〕

と表される。
【0042】
(4)ローパスフィルタ57
次に、ローパスフィルタ57においては、掛け算器56から出力される出力データをローパスフィルタ57において低域通過フィルタに通すことによって、低い周波数成分だけを取り出す。この低域通過フィルタに通すことによって、式(2)の高い周波数成分が完全に除去されたと仮定し、式(2)の係数の1/2を省略して考えたとき、ローパスフィルタ57の低域通過フィルタからの出力Vnは、
〔式3〕
Vn=sin(α−δ) …………………………………(3)
となる。
【0043】
ここで、さらに、式(3)の(α−δ)が十分小さい値とすると、ローパスフィルタ57の低域通過フィルタからの出力Vnは、
〔式4〕
Vn=α−δ …………………………………(4)
のように近似することができる。
【0044】
以上のことから位相制御型発信器58から出力される出力信号の出力波形cosδをコントロールして、繰り返し演算を行うことによってVn≒0となり、最終的には、位相制御型発信器58における演算結果としての基本出力波形の位相データδは、
〔式5〕
δ=α …………………………………(5)
となる。
このように演算することより、入力信号位相αと同相の出力信号の位相δを計算することができる。
【0045】
(5)位相制御型発信器58
この位相制御型発信器58においては、ローパスフィルタ57から出力される出力信号Vnによって発信周波数を変化させると、式(3)から式(4)の近似式の条件によって、入力周波数と位相制御型発信器の出力周波数が前述の如く同相となる。しかし、位相制御が確立しない条件下、例えば、同相化できない制御初期状態やアンチロック時では、ロッキングタイムを上げることが必要となる。
このような場合、ローパスフィルタ57から出力される出力信号Vn値をVn=1=0として、ゼロクロス計測部52における計測結果より、ベースとなる位相αから基底の位相制御発信出力を算出し、さらにローパスフィルタ57の出力結果を用いて式(6)の如く位相御型発信器の発信周波数を決定する。
【0046】
まず、ドライブ波形生成部53において、位相制御型発信器58から出力されるに位相データδの生成においては、位相データδは、
〔式6〕
δ=α+Vn ………………………(6)
と求められる。
【0047】
この式(6)から得られる位相データδを基にsin関数を適用して、発信波形を生成し、π/2シフトして、位相制御型発信器58からの出力が、
〔式7〕
sin(δ+π/2)=cosδ ………………………(7)
と得ることができる。
この式(7)で得られる出力cosδは、前述の掛け算器へ入力される。
【0048】
(6)ドライブ波形生成部53
位相御型発信器58から出力された位相情報δと、ドライブ波形生成部53から出力される出力信号の振幅値XAMPは、振幅計測部51からの出力データXMAGの関数として、
〔式8〕
AMP=Fx(XMAG) ………………………(8)
と生成される。
【0049】
また、同様にしてドライブ波形生成部53から出力される出力信号の位相γは、式(9)により求められるδの関数として表現することができる。
〔式9〕
γ=Fa(δ) ………………………………(9)
このようにして、ドライブ波形生成部53より出力される駆動信号γは、
〔式10〕
AMP・sinγ …………………………………(10)
と表される。
なお、Fx、Faは、それぞれ出力波形の振幅、位相を生成するための関数を表す。
【0050】
式(8)のFxと、式(9)のFaは、それぞれコリオリ検出器の口径や型式によって異なる関数となる。
例えば、入力波形の目標振幅値がZで、位相がπ(rad)シフトしたドライブ波形を作る場合の関数、式(8)のFxと、式(9)のFaは、
〔式11〕
Fx=Z−XMAG 、 Fa=δ+π …………………(11)
となる。
【0051】
(7)周波数演算部54
位相制御型発信器58から出力される出力信号の位相データδは、
〔式12〕
δ=2・π・f・t ………………………(12)
但し)π:円周率
f:ドライブ周波数
t:サンプリングレート
で表すことができる。
以上のことから、式(13)に示すのように図3に図示の位相制御型発信器58から出力される出力信号の位相データδを2π・tで割ることによって周波数fを、
〔式13〕

と求めることができる。
この式(13)によって求められた周波数fの値をドライブ周波数として用いれば、応答性の高い極めて安定で、かつQの高いセンサチューブの共振振動駆動を提供することができる。
【0052】
次に、DSP50における同期フィードバックと周波数演算の処理について、図4に図示のフローチャートに基づいて説明する。
図4において、ステップ100において、PLL55の位相制御型発信器58から出力される位相データδと、PLL55のローパスフィルタ57から出力される出力信号Vnについて、初期設定(δ=0,V=0)を行う。
さらに、ステップ101においては、A/Dコンバータ42から出力されるデータを取り込み、ゼロクロス計測部52において、この取り込んだA/Dコンバータ42からのデータの値を用いてベースとなる初期位相αの演算を行う。
【0053】
このステップ100において初期設定(δ=0,V=0)を行った後、ステップ101において、PLL55の掛け算器56へのOPアンプ41によって増幅して、A/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力データ(sinα)のデータ取り込みと、PLL55の位相制御型発信器58へのゼロクロス計測部52から出力される位相データαのデータ取り込みを行う。
【0054】
このステップ101において入力データ(sinα)と位相データαのデータ取り込みを行うと、ステップ102において、初期位相αと、位相データδの初期設定値δn−1と、PLL55のローパスフィルタ57から出力される出力信号Vの初期設定値Vn−1とから、位相制御型発信器58から出力される位相データδnを、
δ=δn−1+α+Vn−1
と演算して求める。
【0055】
このステップ102において位相制御型発信器58から出力される位相データδの演算を行うと、ステップ103において、初期位相αと、位相データδの初期設定値δn−1と、PLL55のローパスフィルタ57から出力される出力信号Vの初期設定値Vn−1を用いて位相制御型発信器58から掛け算器56に出力される出力信号cosδの位相の演算を行う。そして、この演算した出力信号cosδと、A/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力データsinαと掛け算して、ローパスフィルタ57において出力信号Vnを、
=sinα×cosδ
と求める。
【0056】
このステップ103においてローパスフィルタ57における出力信号Vnを求めると、ステップ104において、低域通過フィルタに通してローパスフィルタ57から実際に出力する出力信号Vを求める。
すなわち、ローパスフィルタ57において、掛け算器56から出力される出力データを低域通過フィルタを通すことによって、低い周波数成分だけを取り出して、A/Dコンバータ42から出力する出力信号Vnとする。
【0057】
このステップ104において低域通過フィルタに通してローパスフィルタ57から実際に出力する出力信号Vnを求めると、ステップ105において、位相比較演算時の値δを用いて、周波数の演算を行う。
すなわち、ステップ105においては、周波数演算部54で、位相制御型発信器58から出力される位相データδを2π・tで割ることによって周波数Fを、
F=(δ−δn−1)/2π・t
と求める。このように位相比較演算時の値δnを用いて周波数Fを演算することによって非常に高速に演算を行うことができる。
【0058】
このステップ105において位相比較演算時の値δを用いて、周波数の演算を行うと、ステップ106において、周波数Fの計算時の周波数演算部54への入力信号の振幅値XMAGを演算する。
すなわち、周波数演算部54において周波数Fの計算時の入力信号の振幅値XMAGを演算するため、その入力信号の振幅値XMAGによって周期が正確にとれているかを判断することができる。
この周波数Fの計算時の入力信号の振幅値XMAGの演算には、FFT(高速フーリエ変換)を用いて行っている。しかし、入力波形の移動平均を行っても同様な結果を得ることができる。
【0059】
ステップ106において周波数Fの計算時の周波数演算部54への入力信号の振幅値XMAGを演算すると、ステップ101に戻り、このステップ101からステップ106の演算を繰り返し行うことによって、より正確で高速な周波数演算を行うことができる。
また、DSP50における同期フィードバックと周波数演算においては、図4に示す如く、維持用のループ計算を繰り返すことによって周波数(位相)が入力周波数に収束する。
もし、ドライブ周波数が入力信号と異なる周波数にロック、もしくは収束しない場合は、振幅値の計算結果が非常に小さくなるため、振幅値の計算結果で位相がロックしているか、していないかを判断することができる。
【0060】
次に、駆動制御の処理について、図5に図示のフローチャートに基づいて説明する。
図5においてに、ステップ200において、DSP(Digital Signal Processor :デジタルシグナルプロセッサ )50を起動し、DSP50の初期化、すなわち、PLL55の位相制御型発信器58から出力される位相データδと、PLL55のローパスフィルタ57から出力される出力信号Vnについて、初期設定(δ=0,V=0)を行う。
【0061】
このステップ200において初期化を行った後、ステップ201において、DSP50の振幅計測部51にA/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力データ(sinα)を入力し、A/Dコンバータ42のスパンに対して振幅値が何%であるのかを演算する。
すなわち、フローチューブを回転方向に交番駆動したときに一対のフローチューブに発生するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を、電磁ピックオフによって検出し、OPアンプ41によって増幅して、A/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力データ(sinα)を振幅計測部51において、実数成分と虚数成分をFFT(高速フーリエ変換)の計算で求め、A/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力信号のパワースペクトラムを求める。
【0062】
このステップ201においてDSP50の振幅計測部51にA/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力データ(sinα)を入力し、この入力データ(sinα)の振幅値XMAGが、A/Dコンバータ42のスパンに対して何%であるのかを演算する。
【0063】
このステップ201においてDSP50の振幅計測部51に入力される入力データ(sinα)の振幅値XMAGが、A/Dコンバータ42のスパンに対して何%であるのかを演算するすると、ステップ202において、入力データ(sinα)の振幅値XMAGが、A/Dコンバータ42のスパンに対して90%以上であるか否かを判定する。
このステップ202においてDSP50の振幅計測部51に入力される入力データ(sinα)の振幅値XMAGが、A/Dコンバータ42のスパンに対して90%以上であると判定すると、ステップ203において、ドライブ波形生成部53から出力する振幅値XAMPを0にする。
【0064】
すなわち、ドライブ波形生成部53においては、振幅計測部51から入力される振幅値XMAGを基に出力信号(XAMPsinγ)の振幅を決定し、ドライブ波形生成部53から出力される出力信号(XAMPsinγ)を生成する。
このステップ202においてDSP50の振幅計測部51に入力される入力データ(sinα)の振幅値XMAGが、A/Dコンバータ42のスパンに対して90%以上と判定、ステップ203において、ドライブ波形生成部53から出力する振幅値XAMPを0にすると、ステップ201に移る。
【0065】
このステップ204においてDSP50の振幅計測部51に入力される入力データ(sinα)の振幅値XMAGが、A/Dコンバータ42のスパンに対して10%以上であると判定すると、ステップ205において、ドライブ波形生成部53から出力する振幅値XAMPをA/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力波形(sinα)の振幅値XMAGを基に演算して決定する。
すなわち、ドライブ波形生成部53においては、振幅計測部51から入力されるA/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力波形(sinα)の振幅値XMAGを基に出力信号(XAMPsinγ)の振幅を決定し、ドライブ波形生成部53から出力される出力信号(XAMPsinγ)を生成する。
【0066】
このステップ204においてDSP50の振幅計測部51に入力される入力データ(sinα)の振幅値XMAGが、A/Dコンバータ42のスパンに対して10%以上と判定し、ステップ205においてドライブ波形生成部53から出力する振幅値XAMPをA/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力波形(sinα)の振幅値XMAGを基に演算すると、ステップ201に移る。
【0067】
さらに、ステップ206においてDSP50の振幅計測部51に入力される入力データ(sinα)の振幅値XMAGが、A/Dコンバータ42のスパンに対して5%以上であると判定すると、ステップ207において、ドライブ波形生成部53から出力する振幅値XAMPを最大値にする。
すなわち、ドライブ波形生成部53においては、振幅計測部51から入力される振幅値XMAGを基に出力信号(XAMPsinγ)の振幅を決定し、ドライブ波形生成部53から出力される出力信号(XAMPsinγ)を生成する。
【0068】
このステップ206においてDSP50の振幅計測部51に入力される入力データ(sinα)の振幅値XMAGが、A/Dコンバータ42のスパンに対して5%以上と判定し、ステップ207においてドライブ波形生成部53から出力する振幅値XAMPを最大値にすると、ステップ201に移る。
【0069】
ステップ208においては、A/Dコンバータ42においデジタル値に変換された入力波形(sinα)の振幅値XMAGが小さい場合、同期が取れていないと判断し、駆動回路40のアナログスイッチ44を切り替えて起動処理を行う。
このようにA/Dコンバータ42においデジタル値に変換されて入力される入力波形(sinα)の振幅幅がA/Dコンバータのスパンに対して90%以上の場合は、入力が飽和してしまう可能性があるためドライブ出力の振幅値を小さくし、また入力振幅の大きさが10%未満で5%以上の時ドライブ出力の振幅幅を大きくし、それより値が小さい場合(入力振幅の大きさが5%未満の時)は、入力信号が無いと判断し、起動処理を行う。
【0070】
なお、図5において、振幅値の振幅の判定で90%、10%、5%にて判定するとしてあるが、これは具体的な一例である。好ましくは本システム構成と要求される条件により、最適に選ぶことが望ましい。
また、ドライブ波形生成部53から出力されるドライブ出力信号の振幅値の計算は、目標値(設定値)と入力波形の振幅値との差を求め、その差に応じてドライブ波形を計算し、入力波形の振幅値が目標値になるようにドライブ出力がコントロールされる。
先に述べたように、フィードバック系の同期が取れない場合、周波数計測が不定となり、振幅計測値がほぼ0になり、起動処理に入る。
【0071】
次ぎに、本発明に係る制御方法によるドライブ駆動方法および、その周波数の計測方法の特長について説明する。
《駆動方法の特長》
今回の駆動方法の最大の特長は、位相同期能力が高くまた耐ノイズ性に強いことが挙げられる。
また、構成及び機能に係わる制御系の全域に渉ってDSPの内部に組み込むことができるので、非常にコンパクトに構成することができ、さらに、DSPの内部のパラメータ(Fx,Fa)を変えることによって様々なセンサに対応することができるという利点を持つ。
【0072】
《周波数計測の特長》
周波数計測方法の特長としては、煩わしく、プログラムステップ数の増大を招く、例えば、ヒルベルト変換(90°シフト演算)やTAN−1の計算を排除できるので、非常に計算を高速化でき、また、駆動方法の特長でも述べたように、ローパスフィルタを用いているので、ノイズに強い点が挙げられる。
【0073】
上述の如く本システムは、大幅に計算速度を高速化できるので、フィードバックループは、常に同期し、演算が動いているので、周波数の計測は極限に収束した安定したものとなる。
例えば、通常の計測において、100msec程度を予要するに比して極端に縮め、1msecの能力を引き出すことができる。
さらに、制御機能がデジタル表現でき、この結果、ドライブ駆動のダイアグノスティックや自己診断への活路を提供することになり、現状望まれといる顧客ニーズへの対応が可能となる。このことは、大変大きな視点であり、極大な利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】PLL(Phase-Locked Loop:位相同期回路)の構成図を示す図である。
【図2】図1に図示のPLLの原理を用いたコリオリ流量計の駆動回路のブロック図である。
【図3】DSP(Digital Signal Processor :デジタルシグナルプロセッサ )の原理を用いたコリオリ流量計の駆動回路のブロック図である。
【図4】同期フィードバックと周波数演算のフローチャートを示す図である。
【図5】駆動制御のフローチャートを示す図である。
【図6】本発明が適用される一般的なコリオリ流量計の構成図である。
【図7】図6に図示のコリオリ流量計の駆動回路の動作原理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0075】
1………………………コリオリ流量計
2,3…………………チューブ
30……………………PLL
31……………………位相比較器
32……………………ループフィルタ
33……………………VCO(電圧制御発信回路)
34……………………分周器
40……………………駆動回路
41……………………OPアンプ
42……………………A/Dコンバータ
43……………………D/Aコンバータ
44……………………アナログスイッチ
50……………………DSP(デジタルシグナルプロセッサ )
51……………………振幅計測部
52……………………ゼロクロス計算部
53……………………ドライブ波形生成部
54……………………周波数演算部
55……………………PLL
56……………………掛け算器
57……………………ローパスフィルタ
58……………………位相制御型発信器












【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定用の流管を構成する一対のフローチューブを対向させ、駆動装置によって電磁オシレータを作動させ前記フローチューブを回転方向に交番駆動し該一対のフローチューブを振動させて、電磁ピックオフによって前記一対のフローチューブに作用するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を検出することにより、被計測流体の質量流量及び/又は密度を得るコリオリ流量計において,
前記駆動装置を,
前記電磁ピックオフからのアナログ入力信号を増幅するOPアンプと,
前記OPアンプから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータと,
前記A/Dコンバータから出力されるデジタル信号をDSP(デジタルシグナルプロセッサ)において位相検波に基づいてデジタル処理し、そのデータ量のデジタル信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータと,
によって構成したことを特徴とするコリオリ流量計。
【請求項2】
前記DSP(デジタルシグナルプロセッサ)は,
FFTを用いて共振周波数のスペクトル強度を振幅値として振幅を計算する振幅計測部と,
前記A/Dコンバータから入力されるデジタルデータの符号ビットが単位時間当たりに何回変わるかを計測し、その値をゼロクロスデータとして出力するゼロクロス計算部と,
PLLからの出力と前記振幅計測部からの振幅データを基に出力波形の振幅を決定し、出力波形を生成するドライブ波形生成部と,
PLLからの出力される位相データを基に周波数を計算する周波数演算部と,
前記ゼロクロスデータと前記A/Dコンバータとの出力データから位相検波を行うPLL(位相同期回路)と,
によって構成したものである請求項1に記載のコリオリ流量計。
【請求項3】
前記PLL(位相同期回路)は,
前記電磁ピックオフからの入力アナログ信号をA/D変換したデジタル信号に基づいて、位相検波により得られる発信周波数より、入力信号に同期した発信周波数に基づきコイルを駆動するドライブ信号を生成するものである請求項2に記載のコリオリ流量計。
【請求項4】
前記PLL(位相同期回路)は、掛け算器と、ローパスフィルタと、位相制御型発信器とによって構成し,
前記掛け算器は、前記A/Dコンバータから出力されるデジタル信号と前記位相制御型発信器から出力されるデジタル出力信号との位相を比較し、その差信号と和信号として出力し,
前記ローパスフィルタは、前記掛け算器からの出力信号から低い周波数の信号のみ取り出し,
前記位相制御型発信器は、前記ゼロクロス部からのゼロクロスデータをもとに基本出力波形の位相データを生成し、さらに前記ローパスフィルタからの出力データが0になるように演算し、該演算した位相に基づき波形を生成して出力する,
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のコリオリ流量計。
【請求項5】
前記アナログスイッチから出力される出力信号は、前記アナログスイッチの出力端子に接続されるOPアンプによって増幅されて,ドライブ出力信号として出力するように構成し,
前記OPアンプのゲインは、前記アナログスイッチによって切り替えられるように回路構成してある
ことを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載のコリオリ流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−121996(P2010−121996A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294355(P2008−294355)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【特許番号】特許第4469008号(P4469008)
【特許公報発行日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000103574)株式会社オーバル (82)
【Fターム(参考)】