説明

コルゲートチューブ

【課題】軸方向における屈曲位置を規制することができるコルゲートチューブを提供する。
【解決手段】周壁部4に凸条5と凹溝6とが軸方向に沿って交互に配設されたワイヤハーネス外装用のコルゲートチューブ1において、周壁部4が、通常部分21と、該通常部分21に軸方向に連接して設けられ且つ所定方向の曲げに対する剛性が通常部分21より低い軟弱部分11と、を有し、周壁部4の肉厚が、通常部分21より軟弱部分11の方が薄く成形され、周壁部4の外径が、軸方向にわたって均一にされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に備えられたスライドドアやスライドシートなどへの給電に用いられるワイヤハーネスの外装部材であるコルゲートチューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スライドドアを備える車両には、該スライドドアに取り付けられた補機などに常時給電を行うために、複数の電線からなるワイヤハーネスが車両ボディとスライドドアとの間に亘って配策されており、そして、このようなワイヤハーネスは、それを挿通する外装部材としてのコルゲートチューブを備えている。
【0003】
例えば、特許文献1に示されるコルゲートチューブ51は、図11に示すように、合成樹脂を材料として、周方向の凸条52と凹溝53とをチューブ長手方向に交互に等ピッチで複数並列に成形したものにおいて、各凹溝53の間で各凸条52をチューブ長手方向の屈曲防止用のリブ54で一直線上に相互に連結し、各凹溝53の間でリブ54の両側壁を断面半円状に湾曲させた湾曲壁55としたものである。
【0004】
このコルゲートチューブ51によれば、屈曲防止用のリブ54を備えることにより、リブ54の中心から両側の湾曲壁55に向かう方向(矢印Y方向)の良好な屈曲性を確保するととともに、リブ54の頂部56に向かう方向(矢印Z方向、つまり、図の奥から手前に向かう方向)及びその反対方向の強い剛性を確保することができた。そのため、このコルゲートチューブ51を、リブ54が上側(若しくは下側)に位置するように、車両ボディとスライドドアとの間に亘って配設することにより、水平方向の屈曲を容易にすることができるとともに、鉛直方向の屈曲を制限して重力による垂れ下がりを防止することができた。
【特許文献1】特開2007−60754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、図12に示すように、上述したコルゲートチューブ51が、車両ボディ31と該車両ボディ31にスライド自在に取り付けられたスライドドア41との間に水平に配策された場合において、コルゲートチューブ51はスライドドア41のスライド動作に応じて水平方向に曲げられるが、該コルゲートチューブ51は軸方向に均一で且つ軸方向に直交する断面(横断面)が左右対称に成形されているので、水平方向の曲げ(即ち、所定方向の曲げ)に対する剛性が軸方向に亘って均一であり、そのため、屈曲位置や屈曲方向がチューブの湾曲状態や曲がりぐせ等の影響をうけて不定となって、所定方向の曲げに対してその屈曲を規制することができなかった。そのため、スライドドア41全閉状態からスライドドア41を開方向にスライド動作させたときに、コルゲートチューブ51がその中央部分から屈曲を始めて車両ボディ31に干渉したり、図12とは逆に屈曲方向がスライドドア41側になり(つまり、屈曲部分がスライドドア41側に張り出して)、スライドドア41に干渉したりするおそれがあり、これら干渉によって、不快な異音や、コルゲートチューブ51の損傷によって引き起こされるワイヤハーネスの断線など、の不具合が生じるという問題があった。また、ワイヤハーネスの屈曲位置及び屈曲方向の予測が難しく、ワイヤハーネスの配策が困難という問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、軸方向における屈曲位置を規制することができるコルゲートチューブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、周壁部に凸条と凹溝とが軸方向に沿って交互に配設されたワイヤハーネス外装用のコルゲートチューブにおいて、前記周壁部が、通常部分と、該通常部分に前記軸方向に連接して設けられ且つ所定方向の曲げに対する剛性が前記通常部分より低い軟弱部分と、を有し、前記周壁部の肉厚が、前記通常部分より前記軟弱部分の方が薄く成形され、前記周壁部の外径が、前記軸方向にわたって均一にされていることを特徴とするコルゲートチューブである。
【0008】
請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載された発明において、前記周壁部の肉厚が、前記通常部分から前記軟弱部分に向かって徐々に薄く成形されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載された発明によれば、周壁部が、通常部分と、該通常部分に前記軸方向に連接して設けられ且つ所定方向の曲げに対する剛性が通常部分より低い軟弱部分と、を有し、前記周壁部の肉厚が、前記通常部分より前記軟弱部分の方が薄く成形され、前記周壁部の外径が、前記軸方向にわたって均一にされているので、軟弱部分の屈曲性が通常部分のそれより向上して所定方向の曲げに対する屈曲性の差異が生じ、そのため、軟弱部分を適切に配置することで特定の部分を屈曲しやすくして、屈曲位置を規制することができる。したがって、不快な異音やワイヤハーネスの断線などの不具合を防止するとともに、ワイヤハーネスの配策を容易にすることができる。
【0010】
また、軟弱部分が、軸方向に沿って通常部分に連接して設けられているので、軸方向における特定の部分を屈曲しやすくして、軸方向における屈曲位置を規制することができる。
【0011】
また、周壁部の肉厚が、通常部分より軟弱部分の方が薄く成形されているので、容易に軟弱部分における所定方向の曲げに対する剛性を通常部分のそれより低くすることができ、そのため、軸方向における特定の部分を屈曲しやすくして、軸方向における屈曲位置を容易に規制することができる。
【0012】
請求項2に記載された発明によれば、周壁部の肉厚が、通常部分から軟弱部分に向かって徐々に薄く成形されているので、容易に軟弱部分における所定方向の曲げに対する剛性を通常部分のそれより低くすることができ、そのため、軸方向における特定の部分を屈曲しやすくして、軸方向における屈曲位置を容易に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すコルゲートチューブの正面図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿う断面を模式的に示した図である。
【図3】図1のコルゲートチューブの屈曲状態を示す正面図である。
【図4】各実施形態におけるコルゲートチューブの屈曲動作を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示すコルゲートチューブの正面図である。
【図6】図5におけるB−B線に沿う断面を模式的に示した図である。
【図7】図5のコルゲートチューブの屈曲状態を示す正面図である。
【図8】本発明の参考例を示すコルゲートチューブの正面図である。
【図9】図8におけるC−C線に沿う概略断面を示した図である。
【図10】図8のコルゲートチューブの屈曲状態を示す正面図である。
【図11】従来のコルゲートチューブを示す正面図である。
【図12】従来のコルゲートチューブの屈曲動作を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を示すコルゲートチューブについて、図1〜3を参照して説明する。
【0015】
コルゲートチューブ1は、柔軟性を有する合成樹脂等を材料として、その軸方向に直交する断面(横断面)が円形状または長円形状の円筒体であり、図1に示すように、その周壁部4に周方向の凸条5と凹溝6とが軸方向に沿って交互に等ピッチで複数並列に成形されたものであって、通常部分21と、周壁部4の肉厚が通常部分21に比べて薄くされている軟弱部分11と、が互いに連接して設けられている。
【0016】
図2は、コルゲートチューブ1の軸方向に沿った断面を模式的に示す図である。図2に示すように、コルゲートチューブ1には、通常部分21が一端部7及び他端部8それぞれ接して2つ成形されており、軟弱部分11が2つの通常部分21の間で一端部7寄りの位置に通常部分21と連接して成形されている。通常部分21及び軟弱部分11における周壁部4の肉厚は、各部分において一定である。また、コルゲートチューブ1は、その外径が軸方向に沿って同一に成形されており、つまり、軟弱部分11における内径は、通常部分21における内径より拡大されて成形されている。
【0017】
軟弱部分11は、図2の一方の拡大円(左側)に示すように、その周壁部4の肉厚が0.3mmとなるように成形されている。軟弱部分11において、その周壁部4における周方向全周の肉厚が薄くなるように成形されていても良く、若しくは、その周壁部4における互いに相対する一対の部分の肉厚のみ薄くなるように成形されていても良い。また、通常部分21は、図2の他方の拡大円(右側)に示すように、その周壁部4の肉厚が0.8mmとなるように成形されている。つまり、コルゲートチューブ1は、周壁部4の肉厚がその軸方向に沿って変化するように成形されている。一般的に、構造物においてはその肉厚が薄い方が、その剛性が弱まるので、その部分の屈曲性が向上する。即ち、軟弱部分11は通常部分21に比べて屈曲しやすく成形されている。そして、コルゲートチューブ1に、所定方向に曲げる力が加えられたとき、図3に示すように、屈曲しやすい軟弱部分11からその屈曲を開始する。なお、上述した肉厚の数値は一例であり、軟弱部分11の肉厚が通常部分21より相対的に薄く、且つ、外装部材として機能するものであれば、肉厚の数値は任意である。
【0018】
次に、コルゲートチューブ1の屈曲動作について、図4を参照して説明する。
【0019】
図4は、コルゲートチューブ1を、車両ボディ31とスライドドア41との間に亘って配策したときにおける、スライドドア41のスライド動作に伴うコルゲートチューブ1の屈曲動作を示している。図中、右側が車両前方、左側が車両後方、手前が車両上方、そして、奥が車両下方である。また、図4においては、スライドドア41の全閉状態(右側)、半開状態(中央)、全開状態(左側)、をそれぞれ重ねて示している。
【0020】
コルゲートチューブ1は、その他端部8を、車両ボディ31に配設された固定部32に取り付けられて固定されており、一端部7を、レール42上に前後方向にスライド自在に設けられ且つ首振り部材を備えるスライダ43を介して、スライドドア41に揺動自在に取り付けられている。つまり、軟弱部分11が、スライドドア41寄りに位置づけられている。また、軟弱部分11が、その周壁部4における互いに相対する一対の部分の肉厚のみ薄くなるように成形されているときには、コルゲートチューブ1は、該一対の部分が水平方向に互いに相対して位置づくように配設される。コルゲートチューブ1の曲げ方向(特許請求の範囲の所定方向に相当)は、水平方向と平行である。
【0021】
スライドドア41が全閉状態のとき、コルゲートチューブ1は、固定部32とスライダ43との間に略直線状になるように位置づけられている。そして、スライドドア41を開く方向にスライド動作させると、最初に、軟弱部分11が車両前方に張り出すように屈曲され、そして、スライド動作が進むと、屈曲部分が軟弱部分11から徐々に他端部8に向かって移動し、最後に、スライドドア41が全開状態になると、軟弱部分11が伸ばされて通常部分21が屈曲されて、屈曲部分が他端部8寄りに位置づけられる。つまり、軟弱部分11から屈曲を始めるように、コルゲートチューブ1の屈曲位置を規制することができる。
【0022】
以上より、本発明によれば、周壁部4が、通常部分21と、該通常部分21に連接して設けられ且つ所定方向の曲げに対する剛性が通常部分21より低い軟弱部分11と、を有しているので、軟弱部分11の屈曲性が通常部分のそれより向上して所定方向の曲げに対する屈曲性の差異が生じ、そのため、軟弱部分11を適切に配置することで特定の部分を屈曲しやすくして、屈曲位置を規制することができる。したがって、不快な異音やワイヤハーネスの断線などの不具合を防止するとともに、ワイヤハーネスの配策を容易にすることができる。
【0023】
また、軟弱部分11が、軸方向に沿って通常部分21に連接して設けられており、そして、周壁部4の肉厚が、通常部分21より軟弱部分11の方が薄く成形されているので、容易に軟弱部分11における所定方向の曲げに対する剛性を通常部分21のそれより低くすることができ、そのため、軸方向における特定の部分を屈曲しやすくして、軸方向における屈曲位置を規制することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態を示すコルゲートチューブについて、図5〜7を参照して説明する。なお、上述した第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0025】
コルゲートチューブ2は、柔軟性を有する合成樹脂等を材料として、その軸方向に直交する断面(横断面)が円形または長円形の円筒体であり、図5に示すように、その周壁部4に周方向の凸条5と凹溝6とが軸方向に沿って交互に等ピッチで複数並列に成形されたものであって、周壁部4の肉厚が、他端部8から一端部7に向けて徐々に薄くなるように成形されており、特に一端部7において周壁部4の肉厚が最も薄くなるように成形されている。
【0026】
図6は、コルゲートチューブ2の軸方向に沿った断面を模式的に示す図である。図6に示すように、コルゲートチューブ2は、その外径が軸方向に沿って同一に、且つ、その内径が他端部8から一端部7に向かって拡大されて成形されている。また、他端部8寄りに位置する部分を通常部分22とし、通常部分22に連接して一端部7寄りに位置する部分を軟弱部分12として、以下、説明する。
【0027】
軟弱部分12は、コルゲートチューブ2の一端部7側に位置しており、図6の一方の拡大円(左側)に示すように、その一端部7における周壁部4の肉厚が0.3mmとなるように成形されている。コルゲートチューブ2において、その周壁部4における周方向全周の肉厚が薄くなるように成形されていても良く、若しくは、その周壁部4における互いに相対する一対の部分の肉厚のみ薄くなるように成形されていても良い。また、通常部分22は、コルゲートチューブ2の他端部8側に位置しており、図6の他方の拡大円(右側)に示すように、他端部8における周壁部の肉厚が0.8mmとなるように成形されている。そして、周壁部4の肉厚が、他端部8から一端部7に向かうにしたがって徐々に薄くなり、肉厚の薄くなる軟弱部分12は通常部分22に比べて屈曲しやすく成形されている。そして、コルゲートチューブ2に、所定方向に曲げる力が加えられたとき、図7に示すように、屈曲しやすい軟弱部分12からその屈曲を開始する。なお、上述した肉厚の数値は一例であり、コルゲートチューブ2の周壁部4の肉厚が他端部8から一端部7に向けて徐々に薄くなり、且つ、外装部材として機能するものであれば、肉厚の数値は任意である。
【0028】
コルゲートチューブ2の屈曲動作については、上述した第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0029】
以上より、本発明によれば、周壁部4が、通常部分22と、該通常部分22に連接して設けられ且つ所定方向の曲げに対する剛性が通常部分22より低い軟弱部分12と、を有しているので、軟弱部分12の屈曲性が通常部分のそれより向上して所定方向の曲げに対する屈曲性の差異が生じ、そのため、軟弱部分12を適切に配置することで特定の部分を屈曲しやすくして、屈曲位置を規制することができる。したがって、不快な異音やワイヤハーネスの断線などの不具合を防止するとともに、ワイヤハーネスの配策を容易にすることができる。
【0030】
また、軟弱部分12が、軸方向に沿って通常部分22に連接して設けられており、そして、周壁部4の肉厚が、他端部8から一端部7に向かって徐々に薄く成形されており、即ち、周壁部4の肉厚が、通常部分22から軟弱部分12に向かって徐々に薄く成形されているので、容易に軟弱部分12における所定方向の曲げに対する剛性を通常部分22のそれより低くすることができ、そのため、軸方向における特定の部分を屈曲しやすくして、軸方向における屈曲位置を容易に規制することができる。
【0031】
また、本実施形態では、周壁部4の肉厚が、他端部8から一端部7に向けて徐々に薄くなるように成形されているものであったが、これに限定するものではなく、例えば、周壁部4の肉厚が、コルゲートチューブ2の長手方向中央付近から一端部7に向けて徐々に薄くなるように成形するなどしてもよい。
【0032】
(参考例)
以下、本発明の参考例を示すコルゲートチューブについて、図8〜10を参照して説明する。なお、上述した第1、第2の実施形態と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0033】
コルゲートチューブ3は、柔軟性を有する合成樹脂等を材料として、図8に示すように、その周壁部4に周方向の凸条5と凹溝6とが交互に複数並列に成形されたものであって、軟弱部分16と通常部分26とが、その周方向に沿ってコルゲートチューブ3の全長に亘って互いに連接して設けられている。
【0034】
図9は、コルゲートチューブ3の概略横断面を示す図である。図9に示すように、コルゲートチューブ3は、その軸方向に直交する断面(横断面)が、その軸芯Pを通り且つ曲げ方向Fに直交する対称軸Sの両側で非対称に成形されており、対称軸Sを挟んだ一方側(図9右側)が軟弱部分16となり、他方側(図9左側)が通常部分26となる。
【0035】
軟弱部分16には、曲部15a、15bと、この曲部15a、15bの間に周方向に沿って連接された平面部13と、がコルゲートチューブ3の全長に亘って設けられている。通常部分26には、曲部15c、15dと、この曲部15c、15dの間に周方向に沿って連接された平面部14と、がコルゲートチューブ3の全長に亘って設けられている。そして、曲部15aと曲部15cとが周方向に互いに連接され、且つ、曲部15bと曲部15dとが周方向に互いに連接されることによって、軟弱部分16と通常部分26とが周方向に沿って互いに連接されて設けられている。
【0036】
コルゲートチューブ3の横断面形状において、4つある曲部15のうち、軟弱部分16における2つの曲部15a、15bが、通常部分26における2つの曲部15c、15dに比べて曲率がより大きく(即ち、曲率半径が小さく)なるように成形され、また、軟弱部分16における平面部13が、通常部分26における平面部14より図9縦方向に大きくなるように成形されている。つまり、軟弱部分16における周壁部4の方が、通常部分26における周壁部4より剛性が低くなるように、対称軸Sについて軟弱部分16と通常部分26の横断面が非対称形状に成形されている。コルゲートチューブ3は、その全長に亘ってその横断面形状が同一に非対称に成形されていても良く、若しくは、コルゲートチューブ3の一部区間のみ横断面形状を非対称としても良い。そして、コルゲートチューブ3に、所定方向に曲げる力が加えられたとき、図10に示すように、軟弱部分16が屈曲の内側に位置付くように、屈曲部分が曲げ方向Fの反対方向に向かって張り出して屈曲する。なお、上述した横断面形状は一例であり、所定の曲げ方向について非対称であり、且つ、外装部材としての機能するものであれば、その横断面形状は任意である。
【0037】
次に、コルゲートチューブ3の屈曲動作について、図4を参照して説明する。
【0038】
コルゲートチューブ3は、その他端部8を、車両ボディ31に配設された固定部32に取り付けられて固定されており、一端部7を、レール42上に前後方向にスライド自在に設けられ且つ首振り部材を備えるスライダ43を介して、スライドドア41に揺動自在に取り付けられている。また、コルゲートチューブ3は、平面部13と平面部14とが水平方向に互いに相対して(即ち、対称軸Sが鉛直方向と平行に)位置づけられるとともに、スライドドア41の全閉状態において、平面部13がスライドドア41寄りに、平面部14が車両ボディ31寄りに、配置されるように取り付けられている。コルゲートチューブ3の曲げ方向(即ち、特許請求の範囲に記載した所定方向)は、水平方向と平行である。
【0039】
スライドドア41が全閉状態のとき、コルゲートチューブ3は、固定部32とスライダ43との間に略直線状になるように位置づけられている。そして、スライドドア41を開く方向にスライド動作させると、コルゲートチューブ3が、その一端部7近傍を車両前方に向かって張り出すように、軟弱部分16を内側に通常部分26を外側にして屈曲され始め、そして、この屈曲方向を保ちながらスライドドア41全開状態まで移行する。つまり、屈曲部分が張り出す方向が車両前方となるように、コルゲートチューブ3の屈曲方向を規制することができる。
【0040】
以上より、本参考例によれば、周壁部4が、通常部分26と、該通常部分26に連接して設けられ且つ所定方向の曲げに対する剛性が通常部分26より低い軟弱部分16と、を有しているので、軟弱部分16の屈曲性が通常部分26のそれより向上して所定方向の曲げに対する屈曲性の差異が生じ、そのため、軟弱部分16を適切に配置することで特定の部分を屈曲しやすくして、屈曲方向を規制することができる。したがって、不快な異音やワイヤハーネスの断線などの不具合を防止するとともに、ワイヤハーネスの配策を容易にすることができる。
【0041】
また、軟弱部分16と通常部分26とが、周壁部4の周方向に沿って互いに連接して設けられているので、軟弱部分16と通常部分26とを所定方向に沿って相対して配置したときに、軟弱部分16が屈曲内側に位置づけられる所定方向の曲げに対する剛性と、軟弱部分16が屈曲外側に位置づけられる前記所定方向と反対方向の曲げに対する剛性と、を異ならせることができ、そのため、所定方向に曲げやすく、その反対方向に曲げにくくすることができ、屈曲方向を規制することができる。
【0042】
なお、上述した各実施形態及び参考例においては、それぞれ個別に、軟弱部分と通常部分とを軸方向に沿って設けるもの、若しくは、軟弱部分と通常部分とを周方向に沿って設けるものであったが、これらを組み合わせて適用してもよい。
【0043】
なお、上述した各実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
1、2、3、 コルゲートチューブ
4 周壁部
5 凸条
6 凹溝
7 一端部
8 他端部
11、12、16 軟弱部分
21、22、26 通常部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁部に凸条と凹溝とが軸方向に沿って交互に配設されたワイヤハーネス外装用のコルゲートチューブにおいて、
前記周壁部が、通常部分と、該通常部分に前記軸方向に連接して設けられ且つ所定方向の曲げに対する剛性が前記通常部分より低い軟弱部分と、を有し、
前記周壁部の肉厚が、前記通常部分より前記軟弱部分の方が薄く成形され、
前記周壁部の外径が、前記軸方向にわたって均一にされていることを特徴とするコルゲートチューブ。
【請求項2】
前記周壁部の肉厚が、前記通常部分から前記軟弱部分に向かって徐々に薄く成形されていることを特徴とする請求項1に記載のコルゲートチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−249518(P2012−249518A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185437(P2012−185437)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【分割の表示】特願2008−17186(P2008−17186)の分割
【原出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】