説明

コレステロール認識アプタマー

【課題】コレステロールに関連する疾患(特に、アルツハイマー、糖尿病など)を診断するための手段およびその利用法を提供すること。
【解決手段】1つの局面において、本発明は、UAAUCAAAからなる塩基配列を有し、ループ−ステム構造を有し、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNAを提供する。1つの局面において、本発明は、コレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体への結合を検出するための検出キットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプタマーRNAに関する。詳細には、コレステロール誘導体に対し結合能を有するアプタマーRNAに関する。
【背景技術】
【0002】
アプタマーRNAは、診断、予防および治療するための手段として注目されている(非特許文献1および2)。しかし、アプタマーRNAは、個々のターゲットごとに配列が異なり、その予想は困難である。したがって、適切なアプタマーRNAを入手することについて、当該分野において需要が存在する。
【非特許文献1】Tuerk C,Gold L.(1990)Systematic evolution of ligands by exponential enrichment:RNA ligands to bacteriophage T4 DNA polymerase.Science.Aug 3;249(4968):505−10.
【非特許文献2】Ellington AD,Szostak JW(1992)Selection in vitro of single−stranded DNA molecules that fold into specific ligand−binding structures.Nature.Feb 27;355(6363):850−2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、コレステロールに関連する疾患(特に、アルツハイマー、糖尿病など)を診断するための手段およびその利用法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、本発明者等は鋭意研究の結果、コレステロール誘導体に対し結合能を有するアプタマーRNAを取得することに成功した。それにより本発明は、酸化ストレスマーカー(例えば、酸化コレステロール)を検出することを可能とし、上記課題を解決するに至ったものである。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
(項目1)
UAAUCAAAからなる塩基配列を有し、ループ−ステム構造を有し、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とする、アプタマーRNA。
(項目2)
配列番号1で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNA。
(項目3)
配列番号2で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNA。
(項目4)
配列番号3で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNA。
(項目5)
配列番号4で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNA。
(項目6)
配列番号5で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNA。
(項目7)
コレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体への結合を検出するための検出キットであって、上記項目のいずれか一項に記載のアプタマーRNAを含有する試薬を備える、検出キット。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、コレステロール誘導体に対し結合能を有するアプタマーRNAを見出したことにより、酸化ストレスマーカー(例えば、酸化コレステロール)を検出することを可能とした。これにより、コレステロールに関連する疾患(例えば、アルツハイマー、糖尿病など)の診断に使用され得る試薬およびその利用法の開発が期待される。
【0007】
以下に、本発明の好ましい実施形態を示すが、当業者は本発明の説明および当該分野における周知慣用技術からその実施形態などを適宜実施することができ、本発明が奏する作用および効果を容易に理解することが認識されるべきである。
【0008】
以下、各発明について、実施形態を詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0010】
(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
【0011】
本明細書において使用される場合、用語「アプタマー」とは、種々の物質(タンパク質、化学物質など)の構造を認識し、結合し得る比較的分子量の小さい核酸をいう。これらとしては、例えば、アプタマーRNA、アプタマーDNA等が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書では、特に言及せずに「アプタマー」というときは、アプタマーRNAを指し、例えば、ヒドロキシコレステロールまたはコレステロールに結合することが可能な機能性RNA分子を指すが、これ以外の形態を排除する趣旨ではない。
【0012】
本明細書において「ループ構造」とは、一本鎖の核酸によるループ状の構造、すなわち、一本鎖核酸における一組の領域が自己分子内で二本鎖構造を形成したときに、当該一組の領域に挟まれる領域がとる構造をいう。ループ構造としては、一本鎖核酸において非塩基対部分にループをもつものを使用することが可能であり、このようなループ構造を作製し、適宜選択することは当業者の知識の範囲内である。
【0013】
本明細書において「ステム構造」とは、一本鎖核酸における一組の領域が塩基対合により二本鎖を形成した構造をいう。ステム構造としては、一本鎖核酸における一組の領域が塩基対合により二本鎖を形成するものを使用することが可能であり、このようなステム構造を作製し、適宜選択することは当業者の知識の範囲内である。
【0014】
本明細書において「ループ−ステム構造」とは、一本鎖の核酸において、当該核酸がループとステムを形成した構造をいう。ループ−ステム構造としては、一本鎖核酸における一組の領域が塩基対合により二本鎖を形成し、その端にループをもつものを使用することが可能であり、このようなループ−ステム構造を作製し、適宜選択することは当業者の知識の範囲内である。
【0015】
本明細書において「コレステロール」とは、以下の構造:
【0016】
【化1】

を有する化合物であり、動物性ステロールの代表的なものであり、主に肝臓、皮膚、腸で生合成される。副腎皮質ホルモン、ビタミンD、胆汁酸などの材料となる。
【0017】
本明細書において「ヒドロキシコレステロール」とは、コレステロールにおけるいずれかの炭素上の水素を水酸基に置換したコレステロールのことである。ヒドロキシコレステロールとしては、例えば、5−コレステン−3β,7β−ジオール、24−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、5−コレステン−3β,7α−ジオール、7ケト−ヒドロキシコレステロール、5β,6β−エポキシコレステロール、3,5,6−トリヒドロキシコレステロール、好ましくは、5−コレステン−3β,7β−ジオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書において「核酸」はまた、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用される。したがって、核酸は、アプタマーの代表的な原料として理解される。
【0019】
本明細書において「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。したがって、アプタマーも「ポリヌクレオチド」の一種といえる。この用語はまた、「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」を含む。「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチル−リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアミデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体およびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体などが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。
【0020】
本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。「ヌクレオチド誘導体」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのようなヌクレオチド誘導体およびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのようなヌクレオチド誘導体およびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2’−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド型核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書において、特定のアプタマーが選択されると、その改変体も本発明の範囲内にあることが理解される。したがって、特定の塩基配列について、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつ生物学的能力(たとえば、コレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能)を有するものであれば、本発明の範囲内にあることが理解される。
【0022】
したがって、本明細書においてアプタマーの「改変体」とは、もとのアプタマーに対して、改変が施されている(たとえば、1または数個の塩基の欠失、置換もしくは付加)が、もとのアプタマーの活性が維持されたものをいう。
【0023】
本明細書において、アプタマーの改変体を選択し、作製する方法としては、例えば、(1)化学修飾(例えば、Osborne SE,Matsumura I,Ellington AD.(1997)Aptamers as therapeutic and diagnostic reagents:problems and prospects.Curr Opin Chem Biol.Jun;1(1):5−9:Faria M,Ulrich H.(2008)Sugar boost:when ribose modifications improve oligonucleotide performance.Curr Opin Mol Ther.Apr;10(2):168−175などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。)により作製する方法、(2)DNAテンプレート上において部位特異的に変異させ、その後DNAをRNAに転写する方法(例えば、下記(一般技術)に列挙された教科書に記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。
【0025】
本明細書においてアプタマーなどの核酸配列の「相同性」とは、その核酸配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの核酸配列の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類のアプタマーなどの核酸配列が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較によって調べられ得る。2つの核酸配列を直接比較する場合、そのアプタマーなどの核酸配列配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらのアプタマーなどの核酸配列は相同性を有する。
【0026】
本明細書では、塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。同一性の検索は例えば、NCBIのBLAST 2.2.9(2004.5.12発行)を用いて行うことができる。本明細書における同一性の値は通常は上記BLASTを用い、デフォルトの条件でアラインした際の値をいう。ただし、パラメーターの変更により、より高い値が出る場合は、最も高い値を同一性の値とする。複数の領域で同一性が評価される場合はそのうちの最も高い値を同一性の値とする。
【0027】
本明細書において「断片」または「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または下限としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。そのような意図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。しかし、本明細書では、「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。本明細書において有用なフラグメントの長さは、そのフラグメントの基準となる全長タンパク質の機能のうち少なくとも1つの機能が保持されているかどうかによって決定され得る。
【0028】
本明細書において「相補的」または「相補体」という用語は、本明細書では、相補領域全体がそのまま別の特定のポリヌクレオチドとWatson & Crick塩基対を形成することのできるポリヌクレオチドの配列を示す。本発明の目的で、第1のポリヌクレオチドの各塩基がその相補塩基と対になっている場合に、この第1のポリヌクレオチドは第2のポリヌクレオチドと相補であるとみなす。相補塩基は一般に、AとT(あるいはAとU)、またはCとGである。本願明細書では、「相補」という語を「相補ポリヌクレオチド」、「相補核酸」および「相補ヌクレオチド配列」の同義語として使用する。これらの用語は、その配列のみに基づいてポリヌクレオチドの対に適用されるものであり、2つのポリヌクレオチドが事実上結合状態にある特定のセットに適用されるものではない。相補体アプタマーは、「相補体」の利用法の一つとして、アプタマーの機能を相対的に評価するときにそのネガティブコントロールとして利用することが可能である。
【0029】
本明細書において、「改変体」とは、もとのポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。
【0030】
本発明において意図されるアプタマーの改変には、アプタマー塩基に対して、または、全体としてのアプタマーに対して、さらなる電荷、柔軟性、分極性、疎水性、水素結合形成、静電相互作用および/または流出性を組み入れる他の化学基を提供する様々な改変が含まれるが、それらに限定されない。ヌクレアーゼに対して抵抗性であるオリゴヌクレオチド集団を作製するための改変にはまた、1つまたは複数の代替ヌクレオチド間連結、変化させた糖、変化させた塩基、あるいは、それらの組合せが含まれ得る。そのような改変には、2’位の糖修飾、5位のピリミジン修飾、8位のプリン修飾、環外アミンにおける修飾、4−チオウリジンへの置換、5−ブロモウラシルまたは5−ヨードウラシルへの置換;骨格改変、ホスホロチオエート修飾またはアルキルホスホナート修飾、メチル化、および、非通常型塩基対形成の組合せ(例えば、イソ塩基のイソシチジンおよびイソグアノシンなど)が含まれるが、これらに限定されない。改変にはまた、3’修飾および5’修飾(例えば、キャッピングなど)も含まれ得る。
【0031】
1つの実施形態において、P(O)O基が、P(O)S(「チオアート」)、P(S)S(「ジチオアート」)、P(O)NR(「アミダート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH(「ホルムアセタール」)または3’−アミン(−NH−CH−CH−)(式中、それぞれのRまたはR’は独立してHまたは置換アルキルまたは非置換アルキルである)によって置換されるオリゴヌクレオチドが提供される。様々な連結基を、−O−連結、−N−連結または−S−連結を介して隣接ヌクレオチドに結合することができる。オリゴヌクレオチド内のすべての連結が同一であることは必ずしも要求されない。
【0032】
本明細書において、所望の配列の核酸は、周知のPCR法により得ることができ、化学的に合成することもできる。これらの方法に、例えば、部位特異的変位誘発法、ハイブリダイゼーション法などを組み合わせてもよい。
【0033】
本明細書において、ポリヌクレオチドの「置換、付加および/または欠失」とは、もとのポリヌクレオチドに対して、それぞれヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わること、または取り除かれることをいう。このような置換、付加および/または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。基準となる核酸分子におけるこれらの変化は、目的とする機能(例えば、コレステロール誘導体に対する結合能など)が保持される限り、この核酸分子の5’末端もしくは3’末端で生じ得るか、またはそれらの末端部位の間のどこにでも生じ得、基準配列中の残基間で個々に散在する。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能(例えば、コレステロール誘導体に対する結合能など)が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのような数は、1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの20%以内、15%以内、10%以内、5%以内、または150個以下、100個以下、50個以下、25個以下などであり得る。
【0034】
本発明のアプタマーを様々な改変用成分にコンジュゲート化することができ、例えば、高分子量のポリマー(例えば、PEG);ペプチド(例えば、Tat(HIVのTatタンパク質の13アミノ酸フラグメント(Vives,et al.(1997),J.Biol.Chem.、272(25):16010−7))、Ant(Drosophilaantennapediaのホメオティックタンパク質の第3ヘリックスに由来する16アミノ酸配列(Pietersz et al.(2001),Vaccine 19(11−12):1397−405))およびArg(ポリアルギニン(Arg)から構成される短い正荷電の細胞透過性ペプチド)(Rothbard,et al.(2000),Nat.Med.6(11):1253−7;Rothbard,J et al.(2002),J.Med.Chem.45(17):3612−8)));および小分子(例えば、親油性化合物(例えば、コレステロールなど))などにコンジュゲート化することができる。
【0035】
本発明のアプタマーはポリアルキレングリコール成分により誘導体化することができる。PAGにより誘導体化された核酸の例が米国特許出願公開第2004/0180360号明細書(これはその全体を参考として本明細書において援用する)に見出される。本発明において使用される典型的なポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)(これはまたポリエチレンオキシドとして知られている)およびポリプロピレングリコール(ポリイソプロピレングリコールを含む)が含まれる。加えて、種々のアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド)のランダム共重合体またはブロック共重合体を多くの適用において使用することができる。その最も一般的な形態において、ポリアルキレングリコール(例えば、PEGなど)は、ヒドロキシル基が両末端に存在する線状ポリマー、すなわち、HO−CHCHO−(CHCHO)−CHCH−OHである。このポリマー(α,ω−ジヒドロキシルポリエチレングリコール)はまた、HO−PEG−OHとして表すことができ、この場合、−PEG−の記号は下記の構造ユニットを表すことが理解される:−CHCHO−(CHCHO)−CHCH−、式中、nは典型的には約4〜約10,000の範囲である。
【0036】
本明細書において「キット」とは、通常2つ以上の区画に分けて、提供されるべき部分(例えば、アプタマーRNAなど)が提供されるユニットをいう。混合されて提供されるべきでなく、使用直前に混合して使用することが好ましいような組成物の提供を目的とするときに、このキットの形態は好ましい。そのようなキットは、好ましくは、提供される部分(例えば、試薬をどのように処理すべきかを記載する指示書または説明書を備えていることが有利である。本明細書においてキットが試薬キットとして使用される場合、キットには、通常、抗体の使い方などを記載した指示書などが含まれる。
【0037】
本明細書において「指示書」は、試薬の取り扱い、使用方法、調合方法、作製方法、収縮方法など、本発明の医薬などを投与する方法または処置・診断する方法などを医師、患者など投与を行う人、診断する人(患者本人であり得る)に対して記載したものである。この指示書は、本発明の診断薬、医薬などを投与する手順を指示する文言が記載されている。この指示書は、本発明が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(FDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、いわゆる添付文書(package insert)であり、通常は紙媒体で提供されるが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ(ウェブサイト)、PDF、電子メール)のような形態でも提供され得る。
【0038】
本明細書において「被験体」とは、本発明の処置が適用される生物をいい、「患者」ともいわれる。患者または被験体は好ましくは、ヒトであり得る。
【0039】
(一般技術)
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J.et al.(1989).Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001);Ausubel,F.M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley−Interscience;Ausubel,F.M.(1989).Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley−Interscience;Innis,M.A.(1990).PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press;Ausubel,F.M.(1992).Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Ausubel,F.M.(1995).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Innis,M.A.et al.(1995).PCR Strategies,Academic Press;Ausubel,F.M.(1999).Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Wiley,and annual updates;Sninsky,J.J.et al.(1999).PCR Applications:Protocols for Functional Genomics,Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
【0040】
本明細書において用いられるアプタマーに関する一般技術は当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、The Aptamer Handbook.Functional Oligonucleotides and Their Applications」edited by Sven Klussmann,2006,WILEY−VCH Verlag GmbH & Co.KGaA,Weinheim、「遺伝子医学MOCK(4)RNAと創薬」メディカルドゥ(2006)、「RNA工学の最前線」シーエムシー出版(2005)などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される)。
【0041】
人工的に合成した遺伝子を作製するためのDNA合成技術および核酸化学については、例えば、Gait,M.J.(1985).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRLPress;Gait,M.J.(1990).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein,F.(1991).Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approac,IRL Press;Adams,R.L.etal.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids,Chapman&Hall;Shabarova,Z.et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,Weinheim;Blackburn,G.M.et al.(1996).Nucleic Acids in Chemistry and Biology,Oxford University Press;Hermanson,G.T.(I996).Bioconjugate Techniques,Academic Pressなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
【0042】
(好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでない。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
【0043】
(アプタマーRNA)
1つの局面において、本発明は、UAAUCAAAからなる塩基配列を有し、ループ−ステム構造を有し、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とする、アプタマーRNAを提供する。
【0044】
当業者は、いったんこのようなコンセンサス配列が決まれば、ループ−ステム構造を有する適宜の配列を組み込んでアプタマーを生産することができることが理解される。その際、当該分野で知られるループ構造およびステム構造に関する情報知見を用いることができる。ループ構造としては、一本鎖核酸において非塩基対部分にループをもつものを使用することが可能であり、このようなループ構造を作製し、適宜選択することは当業者の知識の範囲内である。そして、ステム構造としては、一本鎖核酸における一組の領域が塩基対合により二本鎖を形成するものを使用することが可能であり、このようなステム構造を作製し、適宜選択することは当業者の知識の範囲内である。ループ−ステム構造としては、一本鎖核酸における一組の領域が塩基対合により二本鎖を形成し、その端にループをもつものを使用することが可能であり、このようなループ−ステム構造を作製し、適宜選択することは当業者の知識の範囲内である。そして、上記ループ構造とステム構造とを組み合わせることは当業者の知識の範囲内である。
【0045】
これらの知識を用いて、当業者は、本明細書において得られた情報をもとに、種々のアプタマー改変体を生産することができることが理解される。
【0046】
他の局面において、本発明は、配列番号1で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNAを提供する。
【0047】
別の局面において、本発明は、配列番号2で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNAを提供する。
【0048】
別の局面において、本発明は、配列番号3で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNAを提供する。
【0049】
別の局面において、本発明は、配列番号4で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNAを提供する。
【0050】
別の局面において、本発明は、配列番号5で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNAを提供する。
【0051】
配列番号1〜5のような全長の配列に基づく改変体の作製においても、上記のようなループ−ステム構造における知識を活用することができることが理解される。そして、その結果、以下のような配列がアプタマーとして有用であることが予測される。理論に束縛されることを望まないが、既存のアプタマーと標的分子との複合体に関する多くの解析例から、本発明のアプタマーのループ領域あるいはループからステムにまたがる領域が、コレステロールまたはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体との結合部位と予測される。従って、この領域を改変することは結合活性を高める可能性をもち、大変有用と考えられる。
【0052】
本発明のアプタマーRNAは、酸化ストレスマーカー(例えば、酸化コレステロール)の検出および診断に使用され得る。生体に過酸化脂質が蓄積すると、細胞障害のみならず、生活習慣病(例えば、動脈硬化、糖尿病)、痴呆、癌などの様々な疾病の発症および進展の原因となると考えられている。本発明によるアプタマーRNAは、特に、アルツハイマーの診断に応用され得る。理論に束縛されることを望まないが、例えば、アルツハイマー病では、コレステロール代謝物である24S−ヒドロキシコレステロールがバイオマーカーとして知られているので、本発明のアプタマーRNAにより、24S−ヒドロキシコレステロールを検出することによってアルツハイマー病の診断に応用することが可能と考えられる。
【0053】
本発明のアプタマーRNAは、糖尿病の診断に応用され得る。理論に束縛されることを望まないが、糖尿病における持続性高血糖状態では酸化ストレスが誘導され、この酸化ストレスの刺激が糖尿病合併症(例えば、腎症、網膜症、神経症など)の一因となると考えられている。その指標となる酸化ストレスマーカーのひとつであるヒドロキシコレステロールを検出することにより、糖尿病合併症の発症を未然に予想することができれば、糖尿病患者に対してより良好な血糖コントロールを保つよう指導することが可能となり、患者のQOLの向上につながると考えられる。
【0054】
さらに、本発明のアプタマーRNAは、コレステロールを検出することによる各種疾患の簡易検査にも応用され得る。総コレステロール値が高値を示す疾患としては、例えば、糖尿病、甲状腺機能低下症、原発性高コレステロール血症が挙げられる。加えて、近年、健康診断の項目にあがっているメタボリックシンドロームの診断もまた可能であると考えられる。また、逆にコレステロールが低値を示す疾患として、例えば、本態性低コレステロール血症、甲状腺機能亢進症、肝疾患などが挙げられる。これらの疾患は、本発明のアプタマーRNAを用いてコレステロールを測定することにより、容易に検査することができる。例えば、血中ヒドロキシコレステロールの検出は、(1)本発明のアプタマーRNAを支持体に固定する、(2)血清サンプル、および標識したヒドロキシコレステロールまたは標識した核酸を添加することにより行うことができる。この検出方法では、血清中にヒドロキシコレステロールが存在する場合には、標識したヒドロキシコレステロールまたは標識した核酸の検出は抑制され、他方、血清中にヒドロキシコレステロールが存在しない場合には、標識したヒドロキシコレステロールまたは標識した核酸は高頻度に検出される。
【0055】
(検出キット)
別の局面おいて、本発明は、コレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体への結合を検出するための検出キットを提供する。このキットは、本発明のアプタマーRNAを含有する試薬を備え得る。ここで、本発明の検出キットは、上述の(アプタマーRNA)に記載される任意のものを使用することができる。
【0056】
(診断)
本発明はまた、本発明のアプタマーを含有する診断組成物を提供する。
【0057】
本明細書において「診断」とは、被検体における疾患、障害、状態などに関連する種々のパラメータを同定し、そのような疾患、障害、状態の現状または未来を判定することをいう。本発明の方法、装置、システムを用いることによって、体内の状態を調べることができ、そのような情報を用いて、被検体における疾患、障害、状態、投与すべき処置または予防のための処方物または方法などの種々のパラメータを選定することができる。
【0058】
本発明の診断方法は、原則として、身体から出たものを利用することができることから、医師などの医療従事者の手を離れて実施することができることから、産業上有用である。本明細書において、医師などの医療従事者の手を離れて実施することができることを明確にするために、特に「診断を支援」すると称することがある。
【0059】
本発明の糖尿病の診断方法においては、糖尿病のマーカー物質として、ヒドロキシコレステロールの濃度を測定する。そして、その測定値を健常値と比較することにより、糖尿病の診断を行う。ここで、「糖尿病の診断」とは、糖尿病に罹患しているか否かを判定することのみではなく、糖尿病の予防を目的として糖尿病に罹患するおそれの有無を判定することや、糖尿病の改善状態や再発のモニタリングを行うことも含みうる。本発明の糖尿病の診断方法においては、1種類のアプタマーを用いてもよいし、複数種のアプタマーを用いて測定してもよい。特に、複数種、全種類のアプタマーマーカーを用いて測定する場合は、多方面から糖尿病の診断を行うことができ、診断の精度が高い。
【0060】
本発明の疾病の診断方法は、被検者の体液中におけるヒドロキシコレステロールの濃度を健常値と比較し、糖尿病の発症の有無または将来の発症リスクを判定することによって実施することができる。
【0061】
本発明の疾病の診断方法の好ましい実施形態においては、ヒドロキシコレステロールに対する親和性を有する物質であるアプタマーを固定化した担体を使用する。そして、該担体に体液または体液成分を接触させて、体液または体液成分に含まれるヒドロキシコレステロールを、ヒドロキシコレステロールに対する親和性を有する物質であるアプタマーを介して担体上に捕捉し、捕捉されたヒドロキシコレステロールの量に基づいて体液中のヒドロキシコレステロールの濃度を算出する。本発明の疾患の診断方法によれば、担体上に捕捉されたヒドロキシコレステロールを測定対象とするので、測定試料中に含まれる夾雑物質の影響を低減させることができ、より高感度かつ高精度でヒドロキシコレステロールの濃度を測定することができる。なお、体液成分の例としては、体液が血液である場合の血清または血漿が挙げられる。
【0062】
本発明の疾病の診断方法の好ましい実施形態では、平面部分を有する担体を用い、ヒドロキシコレステロールに対する親和性を有する物質であるアプタマーは該平面部分の一部に固定化されている。かかる構成により、ヒドロキシコレステロールに対する親和性を有する物質であるアプタマーを、担体上の複数箇所にスポット的に固定化することができる。その結果、1個の担体で複数の測定試料を同時処理することや、1個の担体で複数のヒドロキシコレステロールの濃度を同時測定することが可能となり、作業効率がよい。さらに、各スポットの面積を小さくすることにより、微量の測定試料からでもヒドロキシコレステロールの濃度を測定することができる。なお、平面部分を有する担体の例としては、チップ等の基板が挙げられる。
【0063】
したがって、本発明は、コレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に関連する疾患(たとえば、アルツハイマー病、糖尿病など)のリスクまたは罹患を診断するための診断キットを提供する。このキットは、本発明のアプタマーRNAを含有する試薬および診断のための標準(たとえば、既知濃度のコレステロールまたはヒドロキシコレステロール、あるいは、これらと反応したアプタマー複合体(必要に応じてこれらは標識が結合される。))を備え得る。ここで、本発明の診断キットは、上述の(アプタマーRNA)に記載される任意のものを使用することができる。
【0064】
本明細書において「標識」とは、目的となる分子または物質を他から識別するための存在(たとえば、物質、エネルギー、電磁波など)をいう。そのような標識方法としては、RI(ラジオアイソトープ)法、蛍光法、ビオチン法、化学発光法等を挙げることができる。アプタマーを蛍光法によって標識する場合には、蛍光発光極大波長が互いに異なる蛍光物質によって標識を行う。蛍光発光極大波長の差は、10nm以上であることが好ましい。蛍光物質としては、核酸の塩基部分と結合できるものであれば何れも用いることができるが、シアニン色素(例えば、CyDyeTMシリーズのCy3、Cy5等)、ローダミン6G試薬、N−アセトキシ−N−2−アセチルアミノフルオレン(AAF)、AAIF(AAFのヨウ素誘導体)等を使用することが好ましい。蛍光発光極大波長の差が10nm以上である蛍光物質としては、例えば、Cy5とローダミン6G試薬との組み合わせ、Cy3とフルオレセインとの組み合わせ、ローダミン6G試薬とフルオレセインとの組み合わせ等を挙げることができる。本発明では、このような標識を利用して、使用される検出手段に検出され得るように目的とする対象を改変することができる。そのような改変は、当該分野において公知であり、当業者は標識におよび目的とする対象に応じて適宜そのような方法を実施することができる。
【0065】
本発明において用いられるアプタマーは、ヒドロキシコレステロールとコレステロールとの間の識別が十分でないとがある。そのような場合でも、ヒドロキシコレステロールを含むサンプルを識別することができるので、診断において、少なくとも一次スクリーニングとして使用され、産業上の有用性が見出されうることが理解される。
【0066】
本明細書において、「システム」とは、診断するための任意の系をいい、一般に、1または複数の構成要素からなり、複数の構成要素がある場合それらの要素は互いに作用・関連し合っており、全体として調和のとれた挙動・機能を示すという3条件を満足する系をいう。システムは、装置、組成物、診断薬など任意の形態であり得る。従って、システムは、例えば、測定装置を備える大掛かりなシステムから、クロマトグラフィーを備えるシステム、免疫反応を利用したキット、本発明のアプタマーを含む組成物(すなわち、アプタマーを含む、体外医薬品である診断薬)などを包含することが理解される。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、システム等において使用される測定手段は、質量分析装置、核磁気共鳴測定装置、X線解析装置、SPR、クロマトグラフィー(例えば、HPLC、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー)、免疫学的手段(例えば、ウェスタンブロッティング、ELISA、RIA)、生化学的手段(例えば、pI電気泳動、サザンブロッティング、二次元電気泳動)、電気泳動機器、化学的分析機器、蛍光二次元ディファレンシャル電気泳動法(2DE−DIGE)、同位体標識法(ICAT)、タンデムアフィニティ精製法(TAP法)、物理学的手段、レーザーマイクロダイセクションおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0068】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のシステムは、さらに、コレステロールまたはヒドロキシコレステロールの標準を含む。このような標準は、既知量の当該物質であることが通常であり、本発明のアプタマーが正常に機能しているかどうかを確認するために用いられる。
【0069】
好ましい実施形態では、本発明では、対象となるサンプル(たとえば、血液)を精製する手段をさらに備え得る。このような精製手段としては、例えば、クロマトグラフィーなどを挙げることができる。精製することによって、診断の精度を上げることができることから、好ましい実施形態において使用され得るが、これは必須ではない。
【0070】
(使用)
1つの局面において、本発明は、被験体由来のサンプル(たとえば、血液)中のコレステロールまたはヒドロキシコレステロール、またはそれに関連する疾患(たとえば、アルツハイマー病、糖尿病)を診断するための医薬を製造するにおける、本発明のアプタマーの使用を提供する。ここで、サンプルの取得は、どのような手段であっても良い。通常、医師以外の担当者が測定に従事する場合は、何らかの形で医師が取得したものであり得る。測定結果から、アルツハイマー病、糖尿病またはその可能性があるかどうかを決定する工程は、正常値と比べて、各々のヒドロキシコレステロール等に比較して異常であるかどうかを判定することによって実施することができる。
【0071】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本明細書の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【0072】
以下、実施例により、本発明の構成をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において使用した試薬類は、特に言及した場合を除いて、市販されているものを使用した。
【実施例】
【0073】
(実施例1:アプタマーの製造)
本発明者らが鋭意研究することによって同定したコレステロールに対するアプタマーの代表的なクローンとして、クローン1、3、5、6、11を選択し、実施例を行った。これらのクローンは以下の配列を有している。
配列番号1:クローン1のアプタマー全長配列である。
配列番号2:クローン3のアプタマー全長配列である。
配列番号3:クローン5のアプタマー全長配列である。
配列番号4:クローン6のアプタマー全長配列である。
配列番号5:クローン11のアプタマー全長配列である。
【0074】
(アプタマーの製造)
精製したプラスミドDNA150ngに100μlのPCR反応液(2mM Tris−HCl pH8.0、10mM KCl、3mM MgCl、0.05% Tween、2.5U Taq polymerase(タカラバイオ RR001A)、0.2mM dNTP mixture 、1.5μM 両プライマー(配列は5’−TCTAATACGACTCACTATAGGAGCTCAGCCTTCACTGC−3’(配列番号6)、5’−GTGGATCCGACCGTGGTGCC−3’ (配列番号7)である)を入れ、94℃ 3分間、55℃ 30秒間、68℃ 1分間の条件で、3サイクル、94℃ 1分間、55℃ 30秒間、68℃ 1分間の条件で15サイクルPCRにかけた。そのPCR産物をエタノール沈殿し、次いで、T7 Ampliscribe kit(Arbrown AS3107)で37℃、4時間で転写した。DNase(終濃度0.05MBU)で20分、37℃にて処理した後、尿素を含む12%アクリルアミドゲルで電気泳動した。電気泳動後、ゲルに紫外線を当て、目的のRNAが含まれるゲルを切り出した。切り出したゲルをMWCOが2000の透析膜(家田貿易 132620)にRNaseを含まない水1mlと共に入れてTBE(0.09M Tris、0.09M ホウ酸、0.002M EDTA)中で1時間、定圧100Vで電流を流した。1時間後、定圧100Vで20秒、逆向きに電流を流した。その後1Lの水を外液として3時間透析した。(途中1度外液を交換した)透析膜内の溶液を回収し、ultrafree−MC(アミコン UFC30HVNB)で濾過し、ゲル片を除去した。この溶液を乾燥させてサンプルRNAとした。
【0075】
(アプタマーの活性測定)
本実施例で製造したアプタマーは、以下のプロトコールに基づいて、結合アッセイを行うことによって、生物学的活性を確認した。これにより、コレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有するアプタマーであると確認することができる。
【0076】
結合アッセイのために必要なアプタマーの準備におけるPCR条件は、以下のとおりである。精製したプラスミドDNA150ngに100μlのPCR反応液(2mM Tris−HCl pH8.0、10mM KCl、3mM MgCl、0.05% Tween、2.5U Taq polymerase(タカラバイオ RR001A)、0.2mM dNTP mixture 、1.5μM 両プライマー(配列は5’−TCTAATACGACTCACTATAGGAGCTCAGCCTTCACTGC−3’(配列番号6)、5’−GTGGATCCGACCGTGGTGCC−3’(配列番号7)である)を入れ、94℃ 3分間、55℃ 30秒間、68℃ 1分間の条件で、3サイクル、94℃ 1分間、55℃ 30秒間、68℃ 1分間の条件で15サイクルPCRにかけ、エタノール沈殿した。
【0077】
得られたDNAを0.5mCi/ml[α−32P]ATPを混合したT7 Ampliscribe kit(Arbrown AS3107)で37℃、3時間転写した。DNaseで処理後、尿素を含む12%アクリルアミドゲルで電気泳動し、ゲルより抽出した。具体的なプロトコールを以下に示す。
【0078】
電気泳動後、ゲルに紫外線を照射し、目的のRNAが含まれるゲルを切り出した。切り出したゲルをMWCOが2000の透析膜(家田貿易 132620)にRNaseを含まない水1mlと共に入れてTBE(0.09M Tris、0.09M ホウ酸、0.002M EDTA)中で1時間、定圧100Vで電流を流した。1時間後、定圧100Vで20秒、逆向きに電流を流した。その後1Lの水を外液として3時間透析した。(途中1度外液を交換した)透析膜内の溶液を回収し、ultrafree−MC(アミコン UFC30HVNB)で濾過し、ゲル片を除去した。この溶液を乾燥させてサンプルRNAとした。
【0079】
(対照の調製)
初めに作製したRNAライブラリーを逆転写し、PCRで増幅し、上記のとおりアイソトープ標識したATPを含む転写キット(0.5mCi/ml[α−32P]ATPを混合したT7 Ampliscribe kit)で転写した。ついで、実施例と同様の方法により電気泳動し、ゲルより抽出したものを対照のRNAサンプルとした(図1のpool 0に結果を示す)。
【0080】
(結合アッセイ)
標識したRNAサンプルをRNA結合緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.5、150mM NaCl)に溶解し、95℃で2分間変性した。これを室温に置いて冷まし、100mM MgClを加えて混合した。ついで、5−コレステン−3β,7β−ジオール(実施例中では、「ヒドロキシコレステロール」と称する。)溶液またはコレステロール溶液を以下のように調製した。ヒドロキシコレステロールまたはコレステロールをナスフラスコに取り、クロロホルム1mlで溶解した。次いでクロロホルムを除去した。これにより得られたヒドロキシコレステロールまたはコレステロールの薄膜にRNA結合緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.5、150mM NaCl)を添加し、バス型超音波照射装置(AS ONE VS−100III)で10分間、超音波を照射した。(濃度は、ヒドロキシコレステロール20mM、40mMまたは80mM、あるいはコレステロール40mMまたは80mMとした。)これにより径が100nmから1000nmのヒドロキシコレステロールまたはコレステロールの複合体が作製された。、5−コレステン−3β,7β−ジオール(ヒドロキシコレステロール)溶液、またはコレステロール溶液および未標識のtRNA(標識したRNAの非特異的なフィルター上への結合を減らすため)を混合し、室温で10分撹拌した。このときの各終濃度は、それぞれ、RNA 20nM、tRNA 200nM、ヒドロキシコレステロールまたはヒドロキシコレステロール(20、40または80mM)、MgCl 10mMであった。
【0081】
1分間以上、RNaseを含まない水に浸したニトロセルロースフィルター(ミリポアHAWP01300、0.45μm、13mm)をPop−topフィルターホルダーに固定し、シリンジをホルダーに装着してRNA結合緩衝液(RNA結合緩衝液に10mM MgClを添加したもの(+10mM MgClと略す。))1mlで1回洗浄した。RNA、およびヒドロキシコレステロールまたはヒドロキシコレステロールの混合溶液をフィルターに通し、RNA結合緩衝液(+10mM MgCl)1mlで3回洗浄した。
【0082】
フィルター上のアイソトープ量はBAS2000(Fuji Film)を用いて定量および撮影した。
【0083】
(結果)
RIを用いた結合アッセイの結果、全てのクローン(クローン1、3、5、6、11)が、ヒドロキシコレステロールおよびコレステロールの両方に結合することが判明した。特に、クローン3、6、11の結合性は高く、クローン3、6には共通配列があることから、この部分が結合に関与していることが推測された。
【0084】
(実施例2:クローン3、6、11の結合部位の特定(mapping))
アプタマーのどのサイトが結合部位であるかどうかを同定するためにリン酸基修飾解析を行うRNAを子ウシのフォスファターゼで一時間37℃で処理した後に、フェノールで抽出し、エタノールで沈殿する。RNAは[γ−32P]ATPとT4ポリヌクレオチドキナーゼでラベルし、8% ポリアクリルアミド/7M 尿素ゲルで電気泳動を行う。ラベルしたRNAは95℃で2分間熱して構造をほぐし、室温までゆっくり冷却して正しく折りたたまれた構造に戻す。5’末端をラベルした RNA(1100 Kcpmのカウントをもつ)を緩衝液(20 mM HEPES,pH 8.0,1 mM EDTA,2.5μg tRNA)で溶かし、N−ニトロソ−N−エチル−尿素で飽和した5μlのエタノールで混合する。90℃で2分間修飾反応し、15μgのキャリア tRNAを加えて反応を止める。
【0085】
なお、N−ニトロソ−N−エチル−尿素はリン酸基と反応し、ホスホトリエステルをつくり、これはアルカリ処理により容易に加水分解できる。
上記修飾反応によりホスホトリエステル化されたアプタマーはエタノール沈殿により回収することができる。アプタマー−コレステロールまたはアプタマー−ヒドロキシコレステロール複合体を得るため、20pMのサンプルを25μlのセレクション結合緩衝液で92℃で2分間処理して変性させ、10分かけて室温までゆっくり冷却する。複合体はニトロセルロースフィルターを通して分離し、100 mM Tris/HCl pH 9.0の200 μl溶液で50℃、5分間処理して、アプタマーを溶出させる。アプタマーを加水分解したRNA産物はエタノール沈殿により回収し、次に8% ポリアクリルアミド/7 M尿素ゲルで分離する。確認のため、アプタマーのアルカリ加水分解物とRNase T1分解物は同時に電気泳動する。ゲルを乾燥しX線照射し放射性物質を検出する。
【0086】
(実施例3:短いアプタマーと、コレステロールまたはヒドロキシコレステロールとの結合アッセイ)
本実施例では、クローン3、6において共通配列と推測された配列以外の部分を、一部削除した短いアプタマーを作製し、コレステロールまたはヒドロキシコレステロールとの結合アッセイをおこなった。
【0087】
クローン3および6についてより短いアプタマー(それぞれ、図3および図5に示す点線で囲った部分配列からなる)を調製した。
【0088】
精製したプラスミドDNA150ngに100μlのPCR反応液(2mM Tris−HCl pH8.0、10mM KCl、3mM MgCl、0.05% Tween、2.5U Taq polymerase(タカラバイオ RR001A)、0.2mM dNTP mixture、1.5μM 両プライマー)を入れ、94℃ 3分間、55℃ 30秒間、68℃ 1分間の条件で、3サイクル、94℃ 1分間、55℃ 30秒間、68℃ 1分間の条件で15サイクルPCRにかけ全量アガロースゲル電気泳動した。
【0089】
クローン3の場合の両プライマー:
5’−GATCGGGCGATAGCG−3’(配列番号16)、
5’−GTCCGTGGTGCCAGAGAT−3’(配列番号17)
クローン6の場合の両プライマー:
5’−GCTCATAGGACGG−3’(配列番号18)、
5’−GCCCGGACAATTAGTT−3’(配列番号19)
目的DNAを含むゲルを切り出し、Wizard SV Gel and PCR Clean−Up System(プロメガ A9340)を用いてゲルからDNAを抽出し、エタノール沈殿した。このDNA3.75ngに、100μlのPCR反応液(2mM Tris−HCl pH8.0、10mM KCl、3mM MgCl、0.05% Tween、2.5U Taq polymerase(タカラバイオ RR001A)、0.2mM dNTP mixture、1.5μM 両プライマー)を入れ、94℃ 3分間、55℃ 30秒間、68℃ 1分間の条件で、3サイクル、94℃ 1分間、55℃ 30秒間、68℃ 1分間の条件で15サイクルPCRにかけエタノール沈殿した。
【0090】
クローン3の場合の両プライマー:
5’−TCTAATACGACTCACTATAGGGATCGGGCGATAGC−3’(配列番号20)、
5’−GTCCGTGGTGCCAGAGAT−3’(配列番号17)、
クローン6の場合の両プライマー:
5’−TCTAATACGACTCACTATAGGGCTCATAGGACGGG−3’(配列番号21)、
5’−GCCCGGACAATTAGTT−3’(配列番号19)
T7 Ampliscribe kit(Arbrown AS3107)で37℃、4時間で転写した。DNase(終濃度0.05MBU)で20分、37℃にて処理した後、尿素を含む12%アクリルアミドゲルで電気泳動した。電気泳動後、ゲルに紫外線を当て、目的のRNAが含まれるゲルを切り出した。切り出したゲルをMWCOが2000の透析膜(家田貿易 132620)にRNaseを含まない水1mlと共に入れてTBE(0.09M Tris、0.09M ホウ酸、0.002M EDTA)中で1時間、定圧100Vで電流を流した。1時間後、定圧100Vで20秒、逆向きに電流を流した。その後1Lの水を外液として3時間透析した。(途中1度外液を交換した)透析膜内の溶液を回収し、ultrafree−MC(アミコン UFC30HVNB)で濾過し、ゲル片を除去した。この溶液を乾燥させてサンプルRNAとした。
【0091】
(対照の調製)
初めに作製したRNAライブラリーを逆転写し、PCRで増幅し、上記のとおりアイソトープ標識したATPを含む転写キット(0.5mCi/ml[α−32P]ATPを混合したT7 Ampliscribe kit)で転写した。ついで、実施例と同様の方法により電気泳動し、ゲルより抽出したものを対照のRNAサンプルとした(図8のpool 0に結果を示す)。
【0092】
(結合アッセイ)
実施例1と同様に、標識したRNAサンプルをRNA結合緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.5、150mM NaCl)に溶解し、95℃で2分間変性した。これを室温に置いて冷まし、100mM MgClを加えて混合した。ついで、5−コレステン−3β,7β−ジオール(ヒドロキシコレステロール)溶液またはコレステロール溶液を以下のように調製した。ヒドロキシコレステロールまたはコレステロールをナスフラスコに取り、クロロホルム1mlで溶解した。次いでクロロホルムを除去した。これにより得られたヒドロキシコレステロールまたはコレステロールの薄膜にRNA結合緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.5、150mM NaCl)を添加し、バス型超音波照射装置(AS ONE VS−100III)で10分間、超音波を照射した。(濃度は、ヒドロキシコレステロール125mM、250mMまたは500mM、あるいはコレステロール125mM、250mMまたは500mMとした。)、5−コレステン−3β,7β−ジオール(ヒドロキシコレステロール)溶液、またはコレステロール溶液および未標識のtRNA(標識したRNAの非特異的なフィルター上への結合を減らすため)を混合し、室温で10分撹拌した。このときの各終濃度は、それぞれ、RNA、tRNAの濃度は、アプタマーの濃度の十倍とした。MgClは、終濃度10mMであった。
【0093】
1分間以上、RNaseを含まない水に浸したニトロセルロースフィルター(ミリポアHAWP01300、0.45μm、13mm)をPop−topフィルターホルダーに固定し、シリンジをホルダーに装着してRNA結合緩衝液(RNA結合緩衝液に10mM MgClを添加したもの(+10mM MgClと略す。))1mlで1回洗浄した。RNA、およびコレステロールまたはヒドロキシコレステロールの混合溶液をフィルターに通し、RNA結合緩衝液(+10mM MgCl)1mlで3回洗浄した。
【0094】
フィルター上のアイソトープ量はBAS2000(Fuji Film)を用いて定量および撮影した。
【0095】
(結果)
本実施例で調製した、クローン3および6のそれぞれについて短くしたアプタマーは、ともに、ヒドロキシコレステロールにもコレステロールにも、コントロールの0 poolと比較して、結合能に違いが見られなかった(図8)。また、ヒドロキシコレステロールの有無によっても結合能の違いは見られず、ヒドロキシコレステロール濃度依存的に結合するアプタマーの量が増加することもなかった。このことから、クローン3および6では図3および図5に示す点線で囲った部分配列まで配列を短くすると、結合能が無くなったと考えられる。
【0096】
(実施例4:Kdの特定)
アプタマーは上述のアプタマー製造方法と同様の方法で製造する。RNA結合緩衝液(+10mM MgCl)290μlのCDスペクトルをとる。(ブランクとして)この緩衝液へ30.5μMのアプタマー20μlを混合し(RNA終濃度2μM)アプタマーのCDスペクトルをとる。次に、このRNA溶液に3μlのクロロホルムを混合し、CDスペクトルをとる。ここへ3μlのクロロホルムに溶解したコレステロールまたはヒドロキシコレステロールを混合して(終濃度50μMとなる)CDスペクトルをとる。その後、同じ方法にてコレステロールまたはヒドロキシコレステロールを終濃度が50μMずつ増加するように加えていき、CDスペクトルをとる。そのスペクトルの変動からKdを算出することができる。
【0097】
(実施例5:血中コレステロールの検出)
5’末端にアミノ基を融合したポリT(DNA:24mer)を受託で合成する。このポリTをカルボキシル基を提示しているプレートに共有結合で固相化する。次にアプタマーの3’末端にポリAを付加する。方法は次の通りである。プラスミドDNAを100μlのPCR反応液(2mM Tris−HCl pH8.0、10mM KCl、3mM MgCl、0.05% Tween、2.5U Taq polymerase、0.2mM dNTP mixture、1.5μM 両プライマー(配列は5’−TCTAATACGACTCACTATAGGAGCTCAGCCTTCACTGC−3’(配列番号6)、5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGTGGATCCGACCGTGGTGCC−3’(配列番号15)である)に入れ、94℃ 1分間、55℃ 40秒間、68℃ 1分間の条件で、10サイクルPCRにかける。次いで、T7 Ampliscribe kit(Arbrown AS3107)で37℃、4時間で転写する。DNase(終濃度0.05MBU)で20分、37℃にて処理した後、尿素を含む12%アクリルアミドゲルで電気泳動する。
【0098】
電気泳動後、ゲルに紫外線を当て、目的のRNAが含まれるゲルを切り出す。切り出したゲルをMWCOが2000の透析膜(家田貿易 132620)にRNaseを含まない水1mlと共に入れてTBE(0.09M Tris、0.09M ホウ酸、0.002M EDTA)中で1時間、定圧100Vで電流を流す。1時間後、定圧100Vで20秒、逆向きに電流を流す。その後1Lの水を外液として3時間透析する。(途中1度外液を交換する)透析膜内の溶液を回収し、ultrafree−MC(アミコン UFC30HVNB)で濾過し、ゲル片を除去する。この溶液を乾燥させる。
【0099】
このようにして得られたポリAアプタマーをプレートに添加することでポリTと相補鎖を形成することができる。そこへ希釈した血清サンプルを添加し、室温でインキュベートする。上清は除去し、RNA結合緩衝液で洗浄する。そこへCy3で標識したアプタマーと相補的な配列をもつ核酸を添加し、室温でインキュベート後、上清の除去及び洗浄をする。蛍光強度を測定することで、血中コレステロール量を推定することができる。
【0100】
(実施例6:改変体の活性検出)
以下の改変体を作製して、コレステロール結合活性のあるものをスクリーニングした。
共通配列−可変配列−共通配列という構造において、可変配列を、5’末端から順に一つずつ、あるいは2つ以上ずつ改変を導入した分子を作製する。
【0101】
(プロトコール)
アプタマーの塩基配列を端から1塩基ずつ変えたtemplate DNAを受託で合成する(変える塩基は基の塩基以外の3種である。プライマー結合領域は除く)。そのDNAをテンプレートとして用い、100μlのPCR反応液(2mM Tris−HCl pH8.0、 10mM KCl、3mM MgCl、0.05% Tween、2.5U Taq polymerase、0.2mM dNTP mixture 、1.5μM 両プライマー(配列は5’−TCTAATACGACTCACTATAGGAGCTCAGCCTTCACTGC−3’(配列番号6)、5’−GTGGATCCGACCGTGGTGCC−3’(配列番号7)である)に入れ、94℃1分間、55℃ 40秒間、68℃ 1分間の条件で、4サイクルPCRにかける。
【0102】
次いで、0.5mCi/ml[α−32P]ATPを混合した、T7 Ampliscribe kit(Arbrown AS3107)で37℃、4時間で転写することでアイソトープ標識したRNAを作製する。DNase(終濃度0.05MBU)で20分、37℃にて処理した後、尿素を含む12%アクリルアミドゲルで電気泳動する。電気泳動後、ゲルに紫外線を当て、目的のRNAが含まれるゲルを切り出す。切り出したゲルをMWCOが2000の透析膜(家田貿易 132620)にRNaseを含まない水1mlと共に入れてTBE(0.09M Tris、0.09M ホウ酸、0.002M EDTA)中で1時間、定圧100Vで電流を流す。1時間後、定圧100Vで20秒、逆向きに電流を流す。その後1Lの水を外液として3時間透析する。(途中1度外液を交換した)透析膜内の溶液を回収し、ultrafree−MC(アミコン UFC30HVNB)で濾過し、ゲル片を除去する。この溶液を乾燥させる。
【0103】
標識したRNAサンプルをRNA結合緩衝液に溶解し、95℃で2分間denatureする。これを室温に置いて冷まし、100mM MgClを加えて混合する。これに5−コレステン−3β,7β−ジオール(ヒドロキシコレステロール)溶液又は、コレステロール溶液と、未標識のtRNA(標識したRNAの非特異的なフィルター上への結合を減らすため)を混合し、室温で10分撹拌する。このときの各終濃度は、それぞれ、RNA 20nM、tRNA 200nM、コレステロールまたはヒドロキシコレステロール(20、40または80)、MgCl 10mMである。
【0104】
1分以上RNase を含まない水に浸したニトロセルロースフィルターをPop−topフィルターホルダーに固定し、シリンジをホルダーに装着してRNA結合バッファー(+10mM MgCl)1mlで1回洗浄する。RNAと、コレステロールまたはヒドロキシコレステロールの混合溶液をフィルターに通し、RNA結合緩衝液(+10mM MgCl)1mlで3回洗浄する。
【0105】
フィルター上のアイソトープ量はBAS2000(Fuji Film)を用いて定量及び撮影することにより改変体の活性を検出することができる。
【0106】
(実施例7:本発明のアプタマーを用いたアルツハイマー病の診断)
5’末端にアミノ基を融合したポリT(DNA:24mer)を受託で合成する。このポリTをカルボキシル基を提示しているプレートに共有結合で固相化する。次にアプタマーの3’末端にポリAを付加する。方法は次の通りである。プラスミドDNAを100μlのPCR反応液(2mM Tris−HCl pH8.0、 10mM KCl、3mM MgCl、0.05% Tween、2.5U Taq polymerase、0.2mM dNTP mixture、1.5μM 両プライマー(配列は5’−TCTAATACGACTCACTATAGGAGCTCAGCCTTCACTGC−3’(配列番号6)、5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGTGGATCCGACCGTGGTGCC−3’(配列番号15)である)に入れ、94℃ 1分間、55℃ 40秒間、68℃ 1分間の条件で、10サイクルPCRにかける。次いで、T7 Ampliscribe kit(Arbrown AS3107)で37℃、4時間で転写する。DNase(終濃度0.05MBU)で20分、37℃にて処理した後、尿素を含む12%アクリルアミドゲルで電気泳動する。
【0107】
電気泳動後、ゲルに紫外線を当て、目的のRNAが含まれるゲルを切り出す。切り出したゲルをMWCOが2000の透析膜(家田貿易 132620)にRNaseを含まない水1mlと共に入れてTBE(0.09M Tris、0.09M ホウ酸、0.002M EDTA)中で1時間、定圧100Vで電流を流す。1時間後、定圧100Vで20秒、逆向きに電流を流す。その後1Lの水を外液として3時間透析する。(途中1度外液を交換する)透析膜内の溶液を回収し、ultrafree−MC(アミコン UFC30HVNB)で濾過し、ゲル片を除去する。この溶液を乾燥させる。
【0108】
このようにして得られたポリAアプタマーをプレートに添加することでポリTと相補鎖を形成する。そこへ希釈した血清サンプルを添加し、室温でインキュベートする。上清は除去し、RNA結合緩衝液で洗浄する。そこへCy3で標識したアプタマーと相補的な配列をもつ核酸を添加し、室温でインキュベート後、上清の除去及び洗浄をする。蛍光強度を測定することで、血中ヒドロキシコレステロール量を推定することができる。
【0109】
推定した血中ヒドロキシコレステロール量により、アルツハイマー病と診断するための基準をご教示ください。70ng/mlから200ng/ml好ましくは90ng/mlから120ng/mlであれば、アルツハイマー病と診断することができ、70ng/ml以下であれば、アルツハイマー病ではないと診断することができる。
【0110】
(実施例8:本発明のアプタマーを用いた糖尿病の診断)
5’末端にアミノ基を融合したポリT(DNA:24mer)を受託で合成する。このポリTをカルボキシル基を提示しているプレートに共有結合で固相化する。次にアプタマーの3’末端にポリAを付加する。方法は次の通りである。プラスミドDNAを100μlのPCR反応液(2mM Tris−HCl pH8.0、10mM KCl、3mM MgCl、0.05% Tween、2.5U Taq polymerase、0.2mM dNTP mixture、1.5μM 両プライマー(配列は5’−TCTAATACGACTCACTATAGGAGCTCAGCCTTCACTGC−3’(配列番号6)、5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGTGGATCCGACCGTGGTGCC−3’(配列番号15)である)に入れ、94℃ 1分間、55℃ 40秒間、68℃ 1分間の条件で、10サイクルPCRにかける。次いで、T7 Ampliscribe kit(Arbrown AS3107)で37℃、4時間で転写する。DNase(終濃度0.05MBU)で20分、37℃にて処理した後、尿素を含む12%アクリルアミドゲルで電気泳動する。
【0111】
電気泳動後、ゲルに紫外線を当て、目的のRNAが含まれるゲルを切り出す。切り出したゲルをMWCOが2000の透析膜(家田貿易 132620)にRNaseを含まない水1mlと共に入れてTBE(0.09M Tris、0.09M ホウ酸、0.002M EDTA)中で1時間、定圧100Vで電流を流す。1時間後、定圧100Vで20秒、逆向きに電流を流す。その後1Lの水を外液として3時間透析する。(途中1度外液を交換する)透析膜内の溶液を回収し、ultrafree−MC(アミコン UFC30HVNB)で濾過し、ゲル片を除去する。この溶液を乾燥させる。
【0112】
このようにして得られたポリAアプタマーをプレートに添加することでポリTと相補鎖を形成する。そこへ希釈した血清サンプルを添加し、室温でインキュベートする。上清は除去し、RNA結合緩衝液で洗浄する。そこへCy3で標識したアプタマーと相補的な配列をもつ核酸を添加し、室温でインキュベート後、上清の除去及び洗浄をする。蛍光強度を測定することで、血中ヒドロキシコレステロール量を推定する。
【0113】
推定した血中ヒドロキシコレステロール量により、糖尿病と診断するための基準をご教示ください。70ng/mlから200ng/ml、好ましくは90ng/mlから120ng/mlであれば、糖尿病と診断することができ、70ng/ml以下であれば、糖尿病ではないと診断することができる。
【0114】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明のアプタマーRNAは、コレステロール誘導体に対し結合能を有する。従って、コレステロールに関連する疾患(例えば、アルツハイマー、糖尿病など)の診断に使用され得る試薬として利用するという有用性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1は、実施例1により得られたクローン1、3、5、6および11について、ヒドロキシコレステロールおよびコレステロールに対する結合能を調べた結果である。(a)の縦軸:Pool 0はネガティブコントロール(対照)、「−」はサンプルを添加していないもの。Clones 1、3、5、6および11は、それぞれクローン1、3、5、6および11を示す。Aはヒドロキシコレステロール20nMを添加したもの、Bはヒドロキシコレステロール40nMを添加したもの、Cはヒドロキシコレステロール80nMを添加したもの、Dはコレステロール40nMを添加したもの、およびEはコレステロール80nMを添加したもの。各スポットの前後に記載された数字は各クローンにおいてアプタマーRNAが結合した比率(%)を示す。(b)は、(a)におけるアプタマーRNAの結合比率(%)をグラフにしたものである。縦軸はRNA結合比率(%)であり、横軸は(a)におけるA〜Eに対応する。グラフは上からクローン1、3、5、6および11を示す。
【図2】図2は、実施例1により得られたクローン1の核酸配列から予測されたアプタマーの二次構造である。
【図3】図3は、実施例1により得られたクローン3の核酸配列から予測されたアプタマーの二次構造である。
【図4】図4は、実施例1により得られたクローン5の核酸配列から予測されたアプタマーの二次構造である。
【図5】図5は、実施例1により得られたクローン6の核酸配列から予測されたアプタマーの二次構造である。
【図6】図6は、実施例1により得られたクローン11の核酸配列から予測されたアプタマーの二次構造である。
【図7】図7は、実施例1により得られたクローン1、3、5、6および11の核酸配列を示す。
【図8】図8は、クローン3および6から作製した短いアプタマーについて、ヒドロキシコレステロールおよびコレステロールに対する結合能を調べた結果である。縦軸:Pool 0はネガティブコントロール(対照)、Clone 3、Clone 6は、それぞれクローン3および6を示す。Total RNAは添加したRNA総量を示す。左から、−:サンプルを未添加していないもの、125:ヒドロキシコレステロール125nMを添加したもの、250:ヒドロキシコレステロール250nMを添加したもの、500:ヒドロキシコレステロール500nMを添加したもの、125:コレステロール125nMを添加したもの、250:コレステロール250nMを添加したもの、および500:コレステロール500nMを添加したもの。各スポットの前後に記載された数字は各クローンにおいてアプタマーRNAが結合した比率(%)を示す。Position marker:陽性マーカーを示す。
【配列表フリーテキスト】
【0117】
配列番号1:クローン1のアプタマー全長配列である。
配列番号2:クローン3のアプタマー全長配列である。
配列番号3:クローン5のアプタマー全長配列である。
配列番号4:クローン6のアプタマー全長配列である。
配列番号5:クローン11のアプタマー全長配列である。
配列番号6:実施例1、5、6および8において使用したプライマーである。
配列番号7:実施例1および6において使用したプライマーである。
配列番号8:実施例1において得られたクローンの5’末端側の共通な核酸配列を示す。
配列番号9:実施例1において得られたクローンの3’末端側の共通な核酸配列を示す。
配列番号10:クローン1の可変領域の核酸配列を示す。
配列番号11:クローン3の可変領域の核酸配列を示す。
配列番号12:クローン5の可変領域の核酸配列を示す。
配列番号13:クローン6の可変領域の核酸配列を示す。
配列番号14:クローン11の可変領域の核酸配列を示す。
配列番号15:実施例5、7および8において使用したプライマーである。
配列番号16:実施例3において使用したプライマーである。
配列番号17:実施例3において使用したプライマーである。
配列番号18:実施例3において使用したプライマーである。
配列番号19:実施例3において使用したプライマーである。
配列番号20:実施例3において使用したプライマーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
UAAUCAAAからなる塩基配列を有し、ループ−ステム構造を有し、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とする、アプタマーRNA。
【請求項2】
配列番号1で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNA。
【請求項3】
配列番号2で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNA。
【請求項4】
配列番号3で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNA。
【請求項5】
配列番号4で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNA。
【請求項6】
配列番号5で示される塩基配列からなるか、あるいは該塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含み、かつコレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体に対し結合能を有することを特徴とするアプタマーRNA。
【請求項7】
コレステロールあるいはヒドロキシコレステロールを含むコレステロール誘導体への結合を検出するための検出キットであって、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアプタマーRNAを含有する試薬を備える、検出キット。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−130933(P2010−130933A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309174(P2008−309174)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(390016377)片山化学工業株式会社 (9)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】