説明

コンクリートブロックによる舗装構造及び固定具

【課題】 植生部を安価に設けて容易に美観を向上させることができると共に、植生を枯化させずに維持することが容易なコンクリートブロックによる舗装構造及び固定具を提供する。
【解決手段】 隣接するコンクリートブロック11間に植生部19を介在させつつ多数のコンクリートブロック11を敷設してなる舗装構造10であって、4角形状の板部材17の各角部にインターロッキンブロック11の角部の形状に合わせた切り込み12を形成することで中央部分からスペーサ片13が突出する十字形状の固定具15を用い、これの各切り込み12に4個のコンクリートブロック11の角部を各々はめ込みつつコンクリートブロック11を縦横に多数敷並べる。コンクリートブロック間の間隔が連続することにより形成される格子状の溝16に植生を施して植生部19とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、隣接するコンクリートブロック間に植生部を介在させつつ多数の該コンクリートブロックを敷設してなる舗装構造、及び該舗装構造に用いるコンクリートブロックの固定具に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】遊歩道や公園の路面等に用いられる舗装用のコンクリートブロックは、多数のブロックが互いに噛み合うような形状に配置され、一体となって荷重等を支持すると共に、隣接するブロック間の隙間によって適度のフレキシビリティーを備える。
【0003】かかるコンクリートブロックを用いた舗装構造の景観を向上させるために、植生を施すことのできるブロックが種々に提案されている。このブロックは、例えばその内側部分に表面側に開口する空洞部が形成されており、これの内部に例えば芝等からなる植生を施して緑化を図るものである。
【0004】しかしながら、従来のコンクリートブロックを用いた舗装構造の植生部は、各植生用ブロックの空洞部に形成されるものであるため、植生のための単価が高くなり、また、各空洞部が各々分離していて空洞部の内部に空気が入りにくいため、植生が枯化しやすく、張り替え等を頻繁に行う必要を生じることになるという課題があった。
【0005】本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、植生部を安価に設けて容易に美観を向上させることができると共に、植生を枯化させずに維持することが容易なコンクリートブロックによる舗装構造、及び該舗装構造に用いるコンクリートブロックの固定具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、隣接するコンクリートブロック間に植生部を介在させつつ多数の該コンクリートブロックを敷設してなる舗装構造であって、4角形状の板部材の各角部に前記インターロッキンブロックの角部の形状に合わせた切り込みを形成することで中央部分から外側4方向にスペーサ片が突出する十字形状の固定具を用い、該固定具の各切り込みに4個の前記コンクリートブロックの角部を各々はめ込みつつ、且つ前記スペーサ片を介在させて隣接するコンクリートブロック間に間隔を保持しながら前記コンクリートブロックを縦横に多数敷並べ、コンクリートブロック間の前記間隔が連続することにより形成される平面視帯状且つ格子状の溝に植生を施して植生部とすることを特徴とするコンクリートブロックによる舗装構造を提供することにより、上記目的を達成したものである(請求項1記載の発明)。
【0007】本発明の舗装構造は、前記固定具のスペーサ片の先端部には、上方に立ち上がる立ち上がり片を設け、該立ち上がり片は、その側面が前記コンクリートブロックの側面に沿って配置されるようにすることが好ましい(請求項2記載の発明)。
【0008】また、本発明は、隣接するコンクリートブロック間に植生部を介在させつつ多数の該コンクリートブロックを敷設してなる舗装構造において用いるコンクリートブロックの固定具であって、4角形状の板部材の各角部に前記インターロッキンブロックの角部の形状に合わせた切り込みを形成することで中央部分から外側4方向にスペーサ片が突出する十字形状を備え、該固定具の各切り込みに4個の前記コンクリートブロックの角部を各々はめ込むようにしたことを特徴とする固定具を提供することにより、上記目的を達成したものである(請求項3記載の発明)。
【0009】本発明の固定具は、前記スペーサ片の先端部には、上方に立ち上がる立ち上がり片を設け、該立ち上がり片は、その側面が前記コンクリートブロックの側面に沿って配置されるようにすることが好ましい(請求項4記載の発明)。。
【0010】また、本発明の固定具は、生分解性プラスチック成形物であることが好ましい(請求項5記載の発明)。
【0011】さらに、本発明の固定具は、生分解性プラスチック100重量部に対して、飛粉を10〜90重量部含有する生分解性プラスチック成形物であることが好ましい(請求項6記載の発明)。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態のコンクリートブロックによる舗装構造10は、図1に示すように、隣接するコンクリートブロック11間に植生部19を介在させつつ多数の該コンクリートブロック11を縦横に敷設してなる舗装構造である。
【0013】そして、本実施形態の舗装構造10は以下に述べる方法によって設けられる。すなわち、図2〜図4R>4に示すように、基礎底盤14上に各コンクリートブロック11を縦横に敷並べる際に、正方形状の板部材17の各角部にインターロッキンブロック11の角部の形状に合わせた切り込み12を形成することで、中央部分から外側4方向にスペーサ片13が突出する十字形状の固定具15を用いる(図4参照)。この固定具15の各切り込み12に、前後左右に配置される4個のコンクリートブロック11の角部を各々はめ込みつつ、且つスペーサ片13を隣接するコンクリートブロック11間に介在させて間隔を保持しながら、コンクリートブロックを縦横に多数敷並べる(図2参照)。このようにして前後左右に配設される各4個のコンクリートブロック11の中心部分に固定具15を配置しながら、多数のコンクリートブロック11を縦横に並べて敷設することにより、各隣接するコンクリートブロック11間の間隔が連続して、平面で視て帯状且つ格子状に延設される矩形断面の溝16が形成される。この溝16に植生土を埋め立て、植生を施すことにより植生部19が格子状に設けられる。なお、固定具15は植生土の中に埋め込まれる。
【0014】コンクリートブロック11は、例えば幅100mm、長さ200mm、厚さ60mm程度の大きさの、直方体形状のコンクリート製のブロックであって、クラッシャラン、粒度調整砕石、砂等を敷設して形成された基礎底盤14上に、縦横に多数敷並べられる。
【0015】図4に示す本実施形態の固定具15は、上述したように、例えば一辺が130mm程度の大きさの正方形状の板部材17の各角部に、インターロッキンブロック11の角部の形状に合わせた、例えば一辺が40mm程度の大きさの正方形状の切り込み12を形成することで、中央部分から外側4方向に例えば幅が50mm程度の大きさのスペーサ片13が突出する十字形の平面形状を備える。また、本実施形態によれば、各スペーサ片13の先端部には、当該先端部から湾曲して垂直に上方に立ち上がる、例えば高さが40mm程度の立ち上がり片18が設けられている。
【0016】そして、本実施形態の固定具15は、基礎底盤14上に各コンクリートブロック11を縦横に敷並べる際に、板部材17がコンクリートブロック11の下部に配置されるようにして各4体のコンクリートブロック11の中央部分に設置される(図2及び図3参照)。また、切り込み12にはめこまれたインターロッキンブロック11の各角部の側面が、スペーサ片13の側面に密着するようにして当接する。さらに、スペーサ片13の先端の立ち上がり片18は、その側面がコンクリートブロック11の側面に沿って密着するように配置される。
【0017】したがって、本実施形態によれば、互いに間隔を置いて縦横に敷並べられた多数のコンクリートブロック11は、これの側面に密着する各角部に配置された固定具15を介して互いに噛み合うようにして一体化し、コンクリートブロック11としての機能を大幅に低下させることなく、一体となって効率良く荷重を支持する。
【0018】また、本実施形態によれば、固定具15はコンクリートブロック11の側面に沿って縦方向に延設される立ち上がり片18を備えていることにより、周囲に配置されたコンクリートブロック11を三次元的にロックすることができ、これによって、コンクリートブロック11の回転変位を効果的に抑制して、固定具15の板部材17を大幅に厚くすることなく、コンクリートブロック11としての機能をさらに効果的に発揮させることを可能にする。
【0019】そして、固定具15をコンクリートブロック11の角部に介在させながら、多数のコンクリートブロック11を縦横に敷き並べることにより形成される、上記帯状且つ格子状に延設される矩形断面の溝16には、植生土を埋め立て、植生を施すことにより植生部19が設けられる(図1参照)。植生土としては、造園用或いは法面防護用等に用いられる公知の種々のものを使用することができ、例えば肥沃な土やこれに植物種子を混入したもの等を使用することができる。この植生土に例えば芝等を貼り付けたり、植物種子を生育させたりすることによって植生を施して、格子状に設けられた植生部19が形成され、緑化による景観の向上が図られることになる。
【0020】すなわち、本実施形態によれば、内側部分に空洞部が形成された植生のための専用のブロックを特に用いることなく、コンクリートブロック11による舗装構造10に、植生部19を容易かつ安価に設けることができると共に、設けられた植生部19は、帯状且つ格子状に縦横に連続的に形成されていることにより、通気性や通水性に優れ、空気や水分の流通を良好に保持して、植生を枯化させずに維持することが容易となる。
【0021】なお、固定具15は、その板部材17が、各コンクリートブロック11の下部に配置され、また立ち上がり片18は、コンクリートブロック11の上方に突出することなく、その上端が溝16の内部に配置されることにより(図3参照)、各固定具15は、溝16内に充填された植生土の中に完全に埋設されることになる。
【0022】そして、本実施形態によれば、固定具15は、生分解性プラスチック成形物からなる。生分解性プラスチックは、自然界に存在する微生物の酵素によって分解され、生態系の循環サイクルに還元することのできる材料であって、自然環境の中においてなかなか分解されずに焼却処分や埋立処理を必要とする一般のプラスチック材料とは異なり、環境に与える影響が極めて少ない材料である。
【0023】また、本実施形態によれば、固定具15は、特に、生分解性プラスチック100重量部に対して、飛粉を10〜90重量部含有する生分解性プラスチック成形物からなる。従来より公知の生分解性プラスチックは、汎用プラスチックに比べて極めて高価であり、付加価値を伴わない一般の製品には実質的に利用されていないのが現状であったが、本実施形態の固定具15は、上記配合の生分解性プラスチック成形物であることにより、安価で優れた機械的特性を有し、しかも良好な生分解性を有する。すなわち、本発明者らは、検討の結果、生分解性プラスチックに、乾燥コンニャク芋チップからコンニャク粉を製造する際に副生される飛粉を一定量含有させることによって、上記物性を有する生分解性プラスチック成形物が安価且つ容易に得られることを知見した。
【0024】ここで、本実施形態の生分解性プラスチック成形物である固定具15に用いられる生分解性プラスチックは、特に制限されず、例えば糖質(澱粉、キトサン、セルロース等)等の天然物を他のプラスチック(PVA等)と混合したもの、微生物により合成されたもの(微生物産生ポリエステル等)、化学的に合成されたもの(脂肪族ポリエステル、乳酸等)がある。
【0025】ここでいう生分解とは、高分子物質(タンパク質、核酸、多糖類、ポリエステル等)を微生物が体外に分泌する加水分解酵素によって、高分子鎖が切断され低分子物質(アミノ酸、単糖類、脂肪酸)の化合物となり、次いで、分解生成物(低分子物質)は、微生物体内に送りこまれて各種の生体分子や二酸化炭素と水に代謝されることをいう。
【0026】また、飛粉(とびこ)とは、乾燥コンニャク芋チップ(荒粉:あらこ)からコンニャク粉(精粉:せいこ)を製造する際に副生される微粉末状の副産物であり、精粉の70〜80重量%に相当する量が生成する。飛粉の主成分は澱粉や微粉化精粉等の炭水化物であるが、タンパク質も22〜26重量%含まれる。この飛粉は、その特有な臭気とえぐ味のため一部が飼料のバインダーとして使用されているほか、蚊取り線香や鋳物の金型のバインダーとして利用されている例を除けば、大半が産業廃棄物として取り扱われている。飛粉の価格は1kg当たり数円と安く、従来から工業用有機資源としての有効な利用が切望されていた。
【0027】本実施形態の生分解性プラスチック成形物において、飛粉は生分解性プラスチック100重量部に対して、10〜90重量部、好ましくは30〜70重量部含有される。飛粉の含有量が10重量部未満では、得られる生分解性プラスチック成形物が高価となり、種々の用途に供することができず、飛粉の含有量が90重量部を超えると得られる生分解性プラスチック成形物が機械的強度に劣ったものとなる。
【0028】本実施形態の生分解性プラスチック成形物には、その用途に応じて通常のプラスチックに用いられる各種の配合剤を含有することができる。例えば無機充填剤、可塑剤、安定剤、充填剤、補強剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤等である。
【0029】本実施形態の生分解性プラスチック成形物である固定具15の製造方法は、特に制限されないが、例えば次の方法によって製造される。すなわち、まず上記した各種の生分解性プラスチックと飛粉、さらに必要に応じて各種配合剤を混合し、チップとする。この混合に際して、飛粉は水分吸収率が高いため、よく乾燥する必要がある。次に、このチップを射出成形し、ペレットとする。さらに、上述の固定具15の形状に二次加工し、生分解性プラスチック成形物とする。
【0030】このようにして得られた固定具15は、飛粉特有の魚臭は感じられず、優れた機械的特性を有する。また、飛粉は天然の完全分解型ポリマーでもあり、しかも水分吸収が容易であることから、土壌中の微生物も発生し易くなり、良好な生分解性を有する。このため、本実施形態の生分解性プラスチック成形物である固定具15は植生土中に埋立されて、長期にわたる時間の経過と共に自然に分解することになる。
【0031】なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、固定具は、必ずしも生分解性プラスチック成形物である必要はなく、生分解性を有しない一般のプラスチック材料や鋼製の成形物であっても良い。また、固定具は、必ずしもスペーサ片の先端部に立ち上がり片を備えている必要はなく、板部材を厚くして立体形状とすることにより、コンクリートブロック11を三次元的にロックするようにすることもできる。
【0032】さらに、板部材は、必ずしも正方形状のである必要はなく、長方形状や台形状のものであっても良い。さらにまた、切り込みの形状は、コンクリートブロックの角部の形状に合わせて任意に形成することができ、スペーサ片の幅や長さも、必要とする植生部の幅やコンクリートブロックのロック力等を鑑みて適宜設計することができる。例えば、図5(a)及び(b)に示すように、凹凸形状の外周面を有するコンクリートブロック20((a)参照)や、放射状に配置されるコンクリートブロック30((b)参照)を多数敷設する際に採用することもできる。
【0033】
【発明の効果】本発明のコンクリートブロックによる舗装構造及び固定具によれば、植生を安価に設けて容易に美観を向上させることができると共に、植生を枯化させずに維持することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る舗装構造の、植生を施した後の状況を示す部分平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る舗装構造の、植生を施す前の状況を示す部分平面図である。
【図3】図2のA−Aに沿った断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る固定具を示す斜視図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の他の実施形態に係る舗装構造の、植生を施す前の状況を示す部分平面図である。
【符号の説明】
10 舗装構造
11 コンクリートブロック
12 切り込み
13 スペーサ片
14 基礎底盤
15 固定具
16 溝
17 板部材
18 立ち上がり片
19 植生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 隣接するコンクリートブロック間に植生部を介在させつつ多数の該コンクリートブロックを敷設してなる舗装構造であって、4角形状の板部材の各角部に前記コンクリートブロックの角部の形状に合わせた切り込みを形成することで中央部分から外側4方向にスペーサ片が突出する十字形状の固定具を用い、該固定具の各切り込みに4個の前記コンクリートブロックの角部を各々はめ込みつつ、且つ前記スペーサ片を介在させて隣接するコンクリートブロック間に間隔を保持しながら前記コンクリートブロックを縦横に多数敷並べ、コンクリートブロック間の前記間隔が連続することにより形成される平面視帯状且つ格子状の溝に植生を施して植生部とすることを特徴とするコンクリートブロックによる舗装構造。
【請求項2】 前記固定具のスペーサ片の先端部には、上方に立ち上がる立ち上がり片が設けられ、該立ち上がり片は、その側面が前記コンクリートブロックの側面に沿って配置されることを特徴とする請求項1記載のコンクリートブロックによる舗装構造。
【請求項3】 隣接するコンクリートブロック間に植生部を介在させつつ多数の該コンクリートブロックを敷設してなる舗装構造において用いるコンクリートブロックの固定具であって、4角形状の板部材の各角部に前記インターロッキンブロックの角部の形状に合わせた切り込みを形成することで中央部分から外側4方向にスペーサ片が突出する十字形状を備え、該固定具の各切り込みに4個の前記コンクリートブロックの角部を各々はめ込むようにしたことを特徴とする固定具。
【請求項4】 前記スペーサ片の先端部には、上方に立ち上がる立ち上がり片が設けられ、該立ち上がり片は、その側面が前記コンクリートブロックの側面に沿って配置されることを特徴とする請求項3記載の固定具。
【請求項5】 生分解性プラスチック成形物であることを特徴とする請求項3又は4に記載の固定具。
【請求項6】 生分解性プラスチック100重量部に対して、飛粉を10〜90重量部含有する生分解性プラスチック成形物であることを特徴とする請求項5記載の固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−319804(P2000−319804A)
【公開日】平成12年11月21日(2000.11.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−129952
【出願日】平成11年5月11日(1999.5.11)
【出願人】(000208204)大林道路株式会社 (31)
【出願人】(599062726)株式会社 昭和通商 (2)
【Fターム(参考)】