説明

コンクリートブロック装置

【課題】土圧に対して確実に支持しつつ造成地の面積を有効に利用できるプレキャストガレージを提供する。
【解決手段】基礎コンクリート12の上部に、境界17に対して略平行に凹部26,26を設け、ガレージ本体13の底版部35に、凹部26,26にそれぞれ嵌合可能な凸部41,41を境界17と交差する幅方向に離間して突設する。凸部41,41と凹部26,26との嵌合により側方からの土圧に対してプレキャストガレージ11を確実に支持してプレキャストガレージ11の側面滑動を防止でき、かつ、ガレージ本体13の側壁部36を境界17に沿って配設できるので、造成地14の面積を有効に利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被配設地とこの被配設地に隣接する隣接地との境界に沿って配設されるコンクリートブロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被配設地としての造成地の一部に配設されたコンクリートブロック装置としてのプレキャストボックスガレージがある。このようなプレキャストボックスガレージは、平面視四角形状の底版部と、この底版部の両側部から垂直上方に立ち上がる側壁部と、これら側壁部の上端部間に底版部と平行に設けられた頂版部とを有する複数のプレキャストコンクリートブロックを互いに接合して形成され、造成地に設けられた基礎コンクリート上に配設されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、図14に示すように、このようなプレキャストボックスガレージを、隣接地としての道路1との境界2に沿って配設する場合には、プレキャストコンクリートブロック3の底版部4が配設される造成地5の基礎コンクリート6の一側部を境界2に沿わせる。さらに、このように配設されたプレキャストボックスガレージでは、片側土圧となるため、基礎コンクリート6の一側部に、プレキャストコンクリートブロック3の側壁部7を土圧に対して支持する支持部8を突設する。
【特許文献1】実開平6−32611号公報(第7頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようなプレキャストボックスガレージでは、支持部8の上方にて境界2と側壁部7との間にデッドスペース9が形成されるため、造成地5の面積を有効に利用することが容易でないという問題点を有している。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、土圧に対して確実に支持しつつ被配設地の面積を有効に利用できるコンクリートブロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のコンクリートブロック装置は、被配設地とこの被配設地に隣接する隣接地との境界に沿って配設されるコンクリートブロック装置であって、底版部、および、この底版部の一側部から垂直上方に向けて突設された側壁部を備え、一側部が前記境界に沿うように前記被配設地に配設される基礎コンクリートの前記一側部に前記側壁部が沿うように前記底版部が前記基礎コンクリート上に配設されるコンクリートブロックを備え、前記コンクリートブロックが、前記境界と交差する方向に互いに離間されてそれぞれ前記底版部に設けられ、前記境界に対して略平行に前記基礎コンクリートに設けられた複数の基礎側嵌合部と嵌合する複数のブロック側嵌合部を有しているものである。
【0007】
そして、一側部が境界に沿うように被配設地に配設した基礎コンクリートに、境界に対して略平行に設けられた複数の基礎側凹部に、側壁部が基礎コンクリートの一側部に沿うように底版部が基礎コンクリート上に配設されるコンクリートブロックの底版部に境界と交差する方向に離間して設けた複数のブロック側嵌合部を嵌合させることで、これら各嵌合部の嵌合により側方からの土圧に対して確実に支持しつつ、コンクリートブロックの側壁部を境界に沿って配設できるので、被配設地の面積を有効に利用することが可能になる。
【0008】
請求項2記載のコンクリートブロック装置は、請求項1記載のコンクリートブロック装置において、ブロック側嵌合部が、コンクリートブロックの境界と交差する方向の中心線に対して線対称となるように設けられているものである。
【0009】
そして、コンクリートブロックの境界と交差する方向の中心線に対してブロック側嵌合部が線対称になるように設けることで、施工時のバランスが向上して施工性が良好になる。
【0010】
請求項3記載のコンクリートブロック装置は、請求項1または2記載のコンクリートブロック装置において、境界に対して略平行に設けられた凹状の複数の基礎側嵌合部をコンクリートブロックの底版部に臨む上部に有し、一側部が前記境界に沿うように被配設地に配設される基礎コンクリートを備え、ブロック側嵌合部が、前記基礎側嵌合部に嵌合可能な凸状に形成されているものである。
【0011】
そして、基礎コンクリートのコンクリートブロックに底版部に臨む上部に複数設けられた基礎側嵌合部を凹状とすることで、これら基礎側嵌合部を容易に形成可能になるとともに、コンクリートブロックのブロック側嵌合部を、基礎側嵌合部に嵌合可能な凸状に形成することで、コンクリートブロックの強度を確保可能になる。
【0012】
請求項4記載のコンクリートブロック装置は、請求項1ないし3いずれか一記載のコンクリートブロック装置において、境界に対して略平行に設けられた複数の基礎側嵌合部をコンクリートブロックの底版部に臨む上部に有し、一側部が前記境界に沿うように被配設地に配設される基礎コンクリートを備え、前記基礎コンクリートが、前記境界に略平行に下方に突設され前記被配設地に嵌合する第1嵌合凸部と、この第1嵌合凸部に交差する方向に下方に突設され前記被配設地に嵌合する第2嵌合凸部とを有しているものである。
【0013】
そして、境界に対して略平行に設けられた複数の基礎側嵌合部をコンクリートブロックの底版部に臨む上部に有し、一側部が境界に沿うように被配設地に配設される基礎コンクリートの下方に、被配設地に嵌合する第1嵌合凸部を境界に略平行に突設するとともに、被配設地に嵌合する第2嵌合凸部を第1嵌合凸部に交差する方向に突設することで、基礎コンクリートを被配設地に対して確実に固定可能になる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のコンクリートブロック装置によれば、一側部が境界に沿うように被配設地に配設した基礎コンクリートに、境界に対して略平行に設けられた複数の基礎側凹部に、側壁部が基礎コンクリートの一側部に沿うように底版部が基礎コンクリート上に配設されるコンクリートブロックの底版部に境界と交差する方向に離間して設けた複数のブロック側嵌合部を嵌合させることで、これら各嵌合部の嵌合により側方からの土圧に対して確実に支持しつつ、コンクリートブロックの側壁部を境界に沿って配設できるので、被配設地の面積を有効に利用できる。
【0015】
請求項2記載のコンクリートブロック装置によれば、請求項1記載のコンクリートブロック装置の効果に加えて、コンクリートブロックの境界と交差する方向の中心線に対してブロック側嵌合部が線対称になるように設けることで、施工時のバランスが向上して施工性が良好になる。
【0016】
請求項3記載のコンクリートブロック装置によれば、請求項1または2記載のコンクリートブロック装置の効果に加えて、基礎側嵌合部を凹状とすることで、これら基礎側嵌合部を容易に形成できるとともに、ブロック側嵌合部を、基礎側嵌合部に嵌合可能な凸状に形成することで、コンクリートブロックの強度を確保できる。
【0017】
請求項4記載のコンクリートブロック装置によれば、請求項1ないし3いずれか一記載のコンクリートブロック装置の効果に加えて、基礎コンクリートの下方に、被配設地に嵌合する第1嵌合凸部を境界に略平行に突設するとともに、被配設地に嵌合する第2嵌合凸部を第1嵌合凸部に交差する方向に突設することで、基礎コンクリートを被配設地に対して確実に固定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0019】
図1ないし図3において、11はコンクリートブロック装置としてのプレキャストガレージを示し、このプレキャストガレージ11は、基礎コンクリート12と、この基礎コンクリート12上に配設されるコンクリートブロックとしてのガレージ本体13とを備え、被配設地としての造成地14に設けられた栗石基礎15上に、この造成地14に隣接する隣接地としての道路16との直線状の境界17に沿って配設されている。
【0020】
基礎コンクリート12は、現場打ちコンクリートにより形成されるもので、図4ないし図6に示すように、ガレージ本体13の形状および大きさに対応する形状、例えば平面視で四角形状の基礎コンクリート本体21と、この基礎コンクリート本体21の長手方向の一端部であるプレキャストガレージ11のガレージ本体13の入口13a側に上方に向けて突設される上側定着部23と、この基礎コンクリート本体21から下方に向けて突設される下側定着部24とを有している。
【0021】
基礎コンクリート本体21は、図1に示すように、境界17に一側部を沿わせて造成地14に配設されている。また、この基礎コンクリート本体21のガレージ本体13に臨む上部には、図4ないし図6に示すように、複数、例えば一対の基礎側嵌合部としての凹部26,26が設けられている。
【0022】
これら凹部26は、断面U字状の溝形鋼27により基礎コンクリート12を現場打ちする際にそれぞれ凹状に形成されるもので、境界17に対して略平行、すなわち基礎コンクリート本体21の長手方向に沿ってそれぞれ形成されている。また、これら凹部26は、断面視で四角形状に形成され、基礎コンクリート本体21の長手方向全体に連続して形成されている。
【0023】
さらに、上側定着部23は、ガレージ本体13の入口13a側である前端部を地震時などの土圧に対して支持するもので、ガレージ本体13を基礎コンクリート本体21に対して接合した後に設けられて基礎コンクリート本体21およびガレージ本体13と一体となっている。
【0024】
そして、下側定着部24は、基礎コンクリート12を造成地14上の栗石基礎15に対して固定するもので、基礎コンクリート本体21を打設する際に同時に設けられ、境界17に略平行な第1嵌合凸部28と、この第1嵌合凸部28と交差、例えば直交する方向に設けられた第2嵌合凸部29とを備えた平面視十字状となっている。
【0025】
第1嵌合凸部28は、基礎コンクリート本体21の幅方向の一側部に偏倚した位置に、基礎コンクリート本体21の前後方向全体に亘って連続して直線状に形成されている。
【0026】
また、第2嵌合凸部29は、基礎コンクリート本体21の前側に偏倚した位置に、基礎コンクリート本体21の幅方向全体に亘って連続して直線状に形成されている。
【0027】
さらに、これら各嵌合凸部28,29は、それぞれ下端部が略同じ高さに位置している。
【0028】
一方、ガレージ本体13は、図示しない車両などを内部に収容するもので、図7ないし図9に示すように、プレキャストコンクリート製の角筒状のブロック31,32,33をそれぞれ前後方向となる軸方向に接合することで形成され、基礎コンクリート12上に配設される平面視で四角形状の底版部35と、この底版部35の両側部から垂直上方に向けて突設された側壁部36,36と、これら側壁部36,36の上端部を連結し底版部35と略平行な頂版部37と、ガレージ本体13の後側を閉塞する奥壁部38とを備え、内部に車両などを収容する空間部39が区画されている。また、底版部35には、複数、例えば一対のブロック側嵌合部としての凸部41,41がガレージ本体13の幅方向である図1に示す左右方向に互いに離間されて設けられている。さらに、側壁部36,36には、複数、例えばそれぞれ上下2箇所ずつに、各ブロック31,32,33を接合する際に図示しないグラウトを注入する注入孔42が前後方向に穿設されている。
【0029】
そして、ブロック31は、ガレージ本体13の入口13a側を構成するもので、底版部35の一部をなす平面視横長四角形状の底版部35aと、この底版部35aの両側部から垂直上方に向けて突設され側壁部36,36のそれぞれの一部をなす側壁部36a,36aと、これら側壁部36a,36aの上端部を連結し底版部35aと略平行で頂版部37の一部をなす頂版部37aとを有し、この頂版部37aの前側には、ガレージ本体13の入口13aを開閉可能とする図示しないシャッタを巻き取るドラムなどが収納される収納部45が空間部39に連続して形成されている。なお、この収納部45は、ガレージ本体13の入口13aを開閉する開閉体の形態によっては必要ない場合もある。また、底版部35aの下部には、凸部41,41のそれぞれの一部をなす凸部41a,41aが突設されている。さらに、側壁部36a,36aには、注入孔42の前部をなす注入孔42aがそれぞれ前後方向に貫通して設けられている。そして、この注入孔42aの中間部には、拡大部43aが設けられている。
【0030】
同様に、ブロック32は、底版部35の一部をなす平面視横長四角形状の底版部35bと、この底版部35bの両側部から垂直上方に向けて突設され側壁部36のそれぞれの一部をなす側壁部36b,36bと、これら側壁部36b,36bの上端部を連結し底版部35bと略平行で頂版部37の一部をなす頂版部37bとを有し、底版部35bの下部には、凸部41,41のそれぞれの一部をなす凸部41b,41bが突設され、かつ、側壁部36b,36bには、注入孔42のそれぞれの一部をなす注入孔42bがそれぞれ前後方向に貫通して設けられている。なお、このブロック32は、形成するガレージ本体13の長さに応じて個数を適宜設定する。
【0031】
さらに、ブロック33は、底版部35の一部をなす平面視横長四角形状の底版部35cと、この底版部35cの両側部から垂直上方に向けて突設され側壁部36のそれぞれの一部をなす側壁部36c,36cと、これら側壁部36c,36cの上端部を連結し底版部35bと略平行で頂版部37の一部をなす頂版部37cと、これら底版部35c、側壁部36c,36cおよび頂版部37cの後側を閉塞する奥壁部38とを有し、底版部35bの下部には、凸部41,41のそれぞれの一部をなす凸部41c,41cが突設され、かつ、側壁部36c,36cには、注入孔42のそれぞれの一部をなす注入孔42cが前後方向の中心部近傍まで穿設されている。そして、この注入孔42の端部には、拡大部43cが設けられている。
【0032】
底版部35は、各ブロック31,32,33が接合された状態で底版部35a,35b,35cがそれぞれ略面一に連結されて上部が上側定着部23の上端部と略面一な平面状に形成されるもので、ガレージ本体13に収容される車両の大きさなどに対応した所定の長手寸法および基礎コンクリート本体21の幅寸法と略等しい幅寸法を有している。
【0033】
また、各側壁部36は、各ブロック31,32,33が接合された状態で側壁部36a,36b,36cがそれぞれ略面一に連結されて内側部および外側部がそれぞれ平面状に形成されるものである。
【0034】
さらに、頂版部37は、各ブロック31,32,33が接合された状態で頂版部37a,37b,37cがそれぞれ略面一に連結されて下部が平面状に形成されるものである。
【0035】
そして、一方の側壁部36は、境界17に沿って配設され、他方の側壁部36および頂版部37は、それぞれ盛り土47から土圧を受けている。すなわち、ガレージ本体13は、いわゆる片側土圧となっている。
【0036】
また、各凸部41は、各ブロック31,32,33が接合された状態で凸部41a,41b,41cが互いに連結されて形成され、ガレージ本体13の幅方向の中心線に対して線対称となる位置に形成されている。さらに、これら凸部41は、先端部が幅狭となるように両側面が傾斜している。そして、これら凸部41は、凹部26の深さ寸法と略等しい突出寸法を有し、ガレージ本体13の底版部35の下面を基礎コンクリート本体21の上面に接触させて配設した状態で凹部26の底部に対して先端部が接触している。
【0037】
なお、各凸部41の幅寸法は、土圧に対する支持力を考慮して適宜設定する。
【0038】
次に、上記第1の実施の形態の施工方法を図10を参照して説明する。
【0039】
まず、図10(a)に示すように、造成地14上に設けた栗石基礎15の上に基礎鉄筋51を縦横に配筋し、これら基礎鉄筋51の所定位置に、一対の凹部26をそれぞれ形成する一対の溝形鋼27をそれぞれ配設して、これら溝形鋼27の両側部に基礎補強筋52を長手方向に所定の間隔で順次溶接して強度を確保した後、図示しない型枠を配設してコンクリートを打ち、基礎コンクリート本体21を形成する。このとき、基礎コンクリート本体21の上面が溝形鋼27の上端部に対して若干下側に位置するようにコンクリートを打つ(基礎コンクリート打ち工程)。
【0040】
さらに、図10(b)に示すように、基礎コンクリート本体21の上部と溝形鋼27の上端部との段差に、敷きモルタル53を敷きならす(モルタル敷き工程)。
【0041】
この状態で、ブロック31,32,32,33のそれぞれを、凸部41a,41b,41b,41cを凹部26に嵌合させて基礎コンクリート本体21上に順次配設して、図10(c)に示すように凸部41を凹部26に嵌合させ、図示しないジャッキなどにてPC鋼棒、あるいはPC鋼より線にて各ブロック31,32,33を互いに接合し、各注入孔42から図示しないポンプによりグラウトを注入し、ブロック31,32,32,33をそれぞれ接合してガレージ本体13を形成する(接合工程)とともに、図10(d)および図10(e)に示すように、ガレージ本体13の奥壁部38の後側に型枠54を配設した状態で凹部26と凸部41との隙間にポンプPなどにてガレージ本体13の前側からグラウト55を注入し、ガレージ本体13と基礎コンクリート本体21とを固定する(設置工程)。なお、ブロック31,32,32,33の間の目地は、防水ウレタン材などで内側からシールする。
【0042】
そして、図10(d)の破線に示すように、基礎コンクリート本体21の前端部に、上側定着部23を打設する(定着工程)。
【0043】
上述したように、上記第1の実施の形態では、基礎コンクリート12の上部に、境界17に対して略平行に凹部26,26を設け、ガレージ本体13の底版部35に、凹部26,26にそれぞれ嵌合可能な凸部41,41を境界17と交差する幅方向に離間して突設する構成とした。
【0044】
このため、基礎コンクリートの一側部にガレージ本体を支持する支持部を設ける従来の場合と同様に、凸部41,41と凹部26,26との嵌合により側方からの土圧に対してプレキャストガレージ11を確実に支持してプレキャストガレージ11の側面滑動を防止でき、かつ、ガレージ本体13の側壁部36を境界17に沿って配設できるので、基礎コンクリートの一側部にガレージ本体を支持する支持部を設ける従来の場合のように支持部の上方にデッドスペースが形成されることがなく、造成地14の面積を有効に利用できる。
【0045】
しかも、凸部41,41と凹部26,26とを嵌合させるだけでガレージ本体13を基礎コンクリート12に固定できるので、例えばアンカーなどを用いてガレージ本体を基礎コンクリートに固定する場合と比較して、現場での作業が低減し、施工性が良好になる。
【0046】
また、ガレージ本体13の幅方向の中心線に対して凸部41,41が線対称になるように設けることで、施工時のブロック31,32,33のバランスが向上して施工性がより良好になるとともに、ブロック32は軸方向に対して逆にしても使用できるので、施工性がより向上する。
【0047】
さらに、凸部41の先端部を基端部に対して幅狭とすることで、凸部41,41を凹部26,26に容易に嵌合でき、施工性が向上する。
【0048】
そして、第1嵌合凸部28を境界17に略平行に基礎コンクリート12から下方に突設するとともに、第2嵌合凸部29を第1嵌合凸部28に交差する方向に基礎コンクリート12から下方に突設することで、基礎コンクリート12を造成地14に対して確実に固定できる。
【0049】
また、第1嵌合凸部28を、基礎コンクリート本体21の幅方向の一側部に偏倚した位置に設けることにより、例えば第1嵌合凸部28を基礎コンクリート本体21の幅方向の他側部に偏倚した位置に設ける場合と比較して、ガレージ本体13の他側部の盛り土47からの土圧に対する第1嵌合凸部28の支持力を向上できる。
【0050】
同様に、第2嵌合凸部29を、基礎コンクリート本体21の前側に偏倚した位置に設けることにより、例えば第1嵌合凸部28を基礎コンクリート本体21の後側に偏倚した位置に設ける場合と比較して、ガレージ本体13の後側の盛り土47からの土圧に対する第2嵌合凸部29の支持力を向上できる。
【0051】
さらに、ガレージ本体13の前側を上側定着部23で支持することで、プレキャストガレージ11が前方へと滑動することを防止できる。
【0052】
特に、プレキャストガレージ11では、車両などを出し入れし易くするために入口13a側を道路よりも造成地14側に下げることが一般的であるため、上側定着部23により造成地14にデッドスペースが形成されることもない。
【0053】
そして、基礎コンクリート12側に凹状の凹部26を形成することで、基礎コンクリート12側に凸状の基礎側嵌合部を設ける場合と比較して、溝形鋼27を配設してコンクリートを打つだけで凹部26を容易かつ均一に形成できるとともに、ガレージ本体13側に凸状の凸部41を形成することで、ガレージ本体13側に凹状のブロック側嵌合部を設ける場合と比較して、ガレージ本体13の強度を確保できる。
【0054】
また、プレキャストコンクリート製のブロック31,32,33を上記施工方法のように接合してガレージ本体13を形成することで、現場打ちコンクリートによりガレージ本体を形成する場合などと比較して工期を短縮でき、かつ、寸法精度などを向上することが可能となる。
【0055】
次に、第2の実施の形態を図11を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図11において、61はコンクリートブロック装置としてのプレキャストボックスカルバート装置を示し、このプレキャストボックスカルバート装置61は、基礎コンクリート12と、この基礎コンクリート12上に配設されるプレキャストコンクリート製のコンクリートブロックとしての例えば複数のボックスカルバート63とを備えている。
【0057】
これらボックスカルバート63は、平面視四角形状の底版部65と、この底版部65の両側部から垂直上方に向けて突設された側壁部66,66と、これら側壁部66,66の上端部を連結し底版部65と略平行な頂版部67とを有する角筒状に形成されている。また、これらボックスカルバート63は、一方の側壁部66が境界17に沿うように底版部65が基礎コンクリート12上にそれぞれ配設され、軸方向に順次液密に連結されて、排水が通過する排水路68が内部に区画されている。さらに、各底版部65の下部には、複数、例えば一対のブロック側嵌合部としての凸部69,69が突設されている。これら凸部69は、ボックスカルバート63の境界17と交差する方向、すなわち図11に示す左右方向に互いに離間され、この左右方向の中心線に対して互いに線対称となるように設けられて、基礎コンクリート12の凹部26にそれぞれ嵌合している。
【0058】
そして、このようにプレキャストボックスカルバート装置61を構成することで、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
次に、第3の実施の形態を図12を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図12において、71はコンクリートブロック装置としてのプレキャスト擁壁装置を示し、このプレキャスト擁壁装置71は、基礎コンクリート12と、この基礎コンクリート12上に配設されるプレキャストコンクリート製のコンクリートブロックとしての例えば複数のL型擁壁73とを備えている。
【0061】
これらL型擁壁73は、平面視四角形状の底版部75と、この底版部75の一側部から垂直上方に向けて突設され盛り土76の土圧を受ける側壁部77と有する正面視略L字状に形成され、側壁部77が境界17に沿うように底版部75が基礎コンクリート12上にそれぞれ配設され、図12の紙面に垂直な方向に互いに接合されている。さらに、各底版部75の下部には、複数、例えば一対のブロック側嵌合部としての凸部78,78が突設されている。これら凸部78は、各L型擁壁73の境界17と交差する方向、すなわち図12に示す左右方向に互いに離間され、この左右方向の中心線に対して互いに線対称となるように設けられて、基礎コンクリート12の凹部26にそれぞれ嵌合している。
【0062】
そして、このようにプレキャスト擁壁装置71を構成することで、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
次に、第4の実施の形態を図13を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図13において、81はコンクリートブロック装置としてのプレキャスト遊水池を示し、このプレキャスト遊水池81は、基礎コンクリート12と、この基礎コンクリート12上に配設されるコンクリートブロックとしての複数の遊水池ブロック83とを備え、雨水を一時的に貯溜するものである。
【0065】
基礎コンクリート12は、境界17から離間される方向に延設され、対をなす凹部26が遊水池ブロック83に対応する個数設けられている。
【0066】
一方、各遊水池ブロック83は、平面視四角形状の底版部85と、この底版部85の両側部から垂直上方に向けて突設された側壁部86,86と、これら側壁部86,86の上端部を連結し底版部85略平行でその上部を人工基盤として利用する頂版部87とを有する角筒状に形成されている。さらに、底版部85の下部には、複数、例えば一対のブロック側嵌合部としての凸部88,88が突設されている。これら凸部88は、遊水池ブロック83の境界17と交差する方向、すなわち図13に示す左右方向に互いに離間され、この左右方向の中心線に対して互いに線対称となるように設けられて、基礎コンクリート12の凹部26にそれぞれ嵌合している。
【0067】
また、遊水池ブロック83は、一方の側壁部86が境界17に沿うように基礎コンクリート12上に底版部85が配設されているものと、この遊水池ブロック83から境界17に交差する方向に、境界17から離間されるように順次配設されているものとがあり、これら遊水池ブロック83の間には、底版部85,85間に現場打ちコンクリートにより底版91がそれぞれ形成され、かつ、頂版部87,87間にプレキャストコンクリート製の頂版92がそれぞれ橋架されている。さらに、各遊水池ブロック83は、遊水池ブロック83の軸方向、すなわち図13の紙面に垂直な方向に、図示しない梁体などにより連結されている。
【0068】
そして、このようにプレキャスト遊水池を構成することで、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0069】
なお、上記各実施の形態において、凹部26および凸部41,69,78,88は、各底版部35,65,75,85および各基礎コンクリート12の上部に、それぞれ3つ以上設ける構成も可能である。
【0070】
また、基礎側嵌合部を凸状に形成し、ブロック側嵌合部を凹状に形成する構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態のコンクリートブロック装置を示す横断面図である。
【図2】同上コンクリートブロック装置の配設状態を示す平面図である。
【図3】同上コンクリートブロック装置を示す斜視図である。
【図4】同上コンクリートブロック装置の基礎コンクリートを示す平面図である。
【図5】同上基礎コンクリートを示す側面図である。
【図6】同上基礎コンクリートを示す正面図である。
【図7】同上コンクリートブロック装置のコンクリートブロックを示す平面図である。
【図8】同上コンクリートブロックを示す側面図である。
【図9】同上コンクリートブロックを示す正面図である。
【図10】(a)は同上コンクリートブロック装置の施工方法の基礎コンクリート打ち工程を示す横断面図、(b)は同上コンクリートブロック装置の施工方法のモルタル敷き工程を示す横断面、(c)は同上コンクリートブロック装置の施工方法の接合工程を示す横断面、(d)は同上コンクリートブロック装置の施工方法の設置工程および定着工程を示す側面図、(e)は同上設置工程を示す横断面である。
【図11】本発明の第2の実施の形態のコンクリートブロック装置を示す横断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態のコンクリートブロック装置を示す横断面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態のコンクリートブロック装置を示す横断面図である。
【図14】従来例のコンクリートブロック装置を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0072】
11 コンクリートブロック装置としてのプレキャストガレージ
12 基礎コンクリート
13 コンクリートブロックとしてのガレージ本体
14 被配設地としての造成地
16 隣接地としての道路
17 境界
26 基礎側嵌合部としての凹部
28 第1嵌合凸部
29 第2嵌合凸部
35,65,75,85 底版部
36,66,77,86 側壁部
41,69,78,88 ブロック側嵌合部としての凸部
61 コンクリートブロック装置としてのプレキャストボックスカルバート装置
63 コンクリートブロックとしてのボックスカルバート
71 コンクリートブロック装置としてのプレキャスト擁壁装置
73 コンクリートブロックとしてのL型擁壁
81 コンクリートブロック装置としてのプレキャスト遊水池
83 コンクリートブロックとしての遊水池ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被配設地とこの被配設地に隣接する隣接地との境界に沿って配設されるコンクリートブロック装置であって、
底版部、および、この底版部の一側部から垂直上方に向けて突設された側壁部を備え、一側部が前記境界に沿うように前記被配設地に配設される基礎コンクリートの前記一側部に前記側壁部が沿うように前記底版部が前記基礎コンクリート上に配設されるコンクリートブロックを備え、
前記コンクリートブロックは、前記境界と交差する方向に互いに離間されてそれぞれ前記底版部に設けられ、前記境界に対して略平行に前記基礎コンクリートに設けられた複数の基礎側嵌合部と嵌合する複数のブロック側嵌合部を有している
ことを特徴としたコンクリートブロック装置。
【請求項2】
ブロック側嵌合部は、コンクリートブロックの境界と交差する方向の中心線に対して線対称となるように設けられている
ことを特徴とした請求項1記載のコンクリートブロック装置。
【請求項3】
境界に対して略平行に設けられた凹状の複数の基礎側嵌合部をコンクリートブロックの底版部に臨む上部に有し、一側部が前記境界に沿うように被配設地に配設される基礎コンクリートを備え、
ブロック側嵌合部は、前記基礎側嵌合部に嵌合可能な凸状に形成されている
ことを特徴とした請求項1または2記載のコンクリートブロック装置。
【請求項4】
境界に対して略平行に設けられた複数の基礎側嵌合部をコンクリートブロックの底版部に臨む上部に有し、一側部が前記境界に沿うように被配設地に配設される基礎コンクリートを備え、
前記基礎コンクリートは、
前記境界に略平行に下方に突設され前記被配設地に嵌合する第1嵌合凸部と、
この第1嵌合凸部に交差する方向に下方に突設され前記被配設地に嵌合する第2嵌合凸部とを有している
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載のコンクリートブロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−207133(P2006−207133A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16798(P2005−16798)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(391034499)鶴見コンクリート株式会社 (15)
【Fターム(参考)】