説明

コンクリート用バイブレータ

【課題】低周波の振動でコンクリートに分離を生じさせることなく高品質に突き固めることができ、省力化と安全性の向上とが図れるコンクリート用バイブレータ装置を提供する。
【解決手段】径方向への膨張変形に応じて長手方向の長さが縮まって弾性変形するゴムチューブ4と、該ゴムチューブの一端側の開口を密封閉塞する硬質材料からなる先端キャップ6と、該ゴムチューブの他端側の開口に設けられて高圧エアーホース10を接続させるためのカプラー9を有した口金8と、該高圧エアーホースを通じて該ゴムチューブ内に供給する空気を圧縮するコンプレッサー12と、 該ゴムチューブ内に供給される圧縮空気を所定のサイクルで給排気して該ゴムチューブを膨張収縮振動させる給排気バルブ16とを備えてコンクリート用バイブレータ装置2を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、低周波の振動でコンクリートに分離を生じさせることなく高品質に突き固めることができて、省力化と安全性の向上とが図れるコンクリート用バイブレータ装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンクリートを打設するにあたっては、固化したときに密実で空隙のない良質なコンクリート構造を得られるように、打設したコンクリートにバイブレータ装置で振動を与えて、砂利の分布を安定化させるとともに、モルタルやセメントペーストを砂利の周囲に十分にいきわたらせ、気泡を追い出して締め固めしている。
【0003】
また、近年にあっては、鉄筋や鉄骨の配設量が多い場合等に、高流動コンクリートを広範囲に亘って打設することがある。この高流動コンクリートは流動性と材料分離抵抗性に優れているので、当該高流動コンクリートを使用すると、狭隘な箇所や形状の複雑な箇所への打設が容易になるとともに、打設時の締め固め作業を簡素化し得るという利点がある。
【0004】
ここで、高流動コンクリートを広範囲に打設する場合に、その打設作業の迅速化を図るためには、当該高流動コンクリートを押し広げる必要があり、その押し広げ装置として、特開平8−100529号公報にて提案されているものが知られている。即ち、当該押し広げ装置は、高流動コンクリート中に挿入される送気パイプと、この送気パイプの先端部を包み込むようにして装着された高弾性を有しかつ気密性を有する作動袋と、送気パイプの基端部に連設されて、この送気パイプへ作動袋を膨張させるための加圧気体を送り込む給気パイプと、この給気パイプの上流側に連設されてこの給気パイプへ送り込まれる加圧気体を生成するコンプレッサーと、このコンプレッサーと給気パイプとの間に介装されて作動袋内の加圧気体の供給及び排出を反復して行なう給排気手段とからなるものである。
【特許文献1】特開平8−100529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンクリートの打設に際し、型枠で閉塞され、更に鉄筋や埋設配管などが詰まって配設された狭隘な部分や、形状が複雑な部分などでは、高流動コンクリートが多用されており、このような高流動コンクリートを使用した場合でも、その打設作業の迅速性を図るためには締め固め作業を行った方が良いのであるが、従来のコンクリート用バイブレータ装置では、その振動数が高流動コンクリートにとっては高すぎて、過度の振動が伝播されてしまうといった問題があった。即ち、高流動コンクリートに高い振動数の過度の振動が伝播されると、高流動コンクリートは締め固められるどころか、逆に分離が促進されて品質低下を招いてしまう虞があった。このため、コテや突棒などを用いて人力作業でコンクリートを突いて締め固めを行っている。しかしながら、当該人力よる締め固め作業は、甚だ重労働であって作業員の疲労を助長するので、作業を長時間に亘って継続させるためには配置人員を多く確保しなければならなかった。
【0006】
なお、上記特許文献1に示された押し広げ装置では、打設された高流動コンクリートを、径方向に膨張収縮する作動袋によって周囲に広く押し広げることは出来ても、鉄筋や埋設配管などが詰まって配設された狭隘な部分や、形状が複雑な部分に使用して、その鉄筋や埋設配管の間隙等に高流動コンクリートを突き固めるには不向きである。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低周波の振動でコンクリートに分離を生じさせることなく高品質に突き固めることができて、省力化と安全性の向上とが図れるコンクリート用バイブレータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明に係るコンクリート用バイブレータ装置は、径方向への膨張変形に応じて長手方向の長さが縮まって弾性変形するゴムチューブと、該ゴムチューブの一端側の開口を密封閉塞する硬質材料からなる先端キャップと、該ゴムチューブの他端側の開口に設けられて高圧エアーホースを接続させるためのカプラーを有した口金と、該高圧エアーホースを通じて該ゴムチューブ内に供給する空気を圧縮するコンプレッサーと、 該ゴムチューブ内に供給される圧縮空気を所定のサイクルで給排気して該ゴムチューブを膨張収縮振動させる給排気バルブと、を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、前記ゴムチューブ内には、少なくとも一端が前記口金に係止されるとともに他端が直線状に延出されて、該ゴムチューブ内の減圧時に該ゴムチューブの形状を直線状に保持する保持部材を設ける構成となし得る。
【0010】
また、前記保持部材が、前記口金側に一端部が係止されて設けられた第1保持部材と、前記先端キャップに一端部が係止されて設けられた第2保持部材とからなり、該第1保持部材と該第2保持部材の他端部同士が相互に長手方向に相対移動可能に重なり合って配置されている構成となし得る。
【0011】
また、前記第1保持部材と第2保持部材とには管体を採用する構成となし得る。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るコンクリート用バイブレータ装置によれば、ゴムチューブ内に所定サイクルで圧縮空気を給排させて、ゴムチューブを径方向に膨張収縮させて振動させると、当該ゴムチューブはその径方向への膨張時に長手方向の長さが縮って弾性変形し、径方向に弾性復帰する収縮時には長手方向の長さが長くなるので、径方向と長手方向(軸方向)とへの2方向の振動を得ることができ、長手の方向への振動で鉄筋や埋設配管等の狭い間隙管にもコンクリートを突き込んで締め固めることができ、省力化と安全性の向上とが図れる。また、給排気バルブの作動サイクルを調節することで、ゴムチューブの振動を低周波に抑えることができ、高流動コンクリートに対しても、分離を生じさせることなく高品質に突き固めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るコンクリート用バイブレータ装置2の全体構成を示す概略図であって、(a)は圧縮空気の供給を止めた排気状態時を、(b)は圧縮空気を供給している加圧状態時をそれぞれ示している。図示するように、このコンクリート用バイブレータ装置2は、径方向への膨張変形に応じて長手方向(軸方向)の長さが縮まって弾性変形する所定長さのゴムチューブ4と、このゴムチューブ4の一端側の開口に設けられてその開口を密封閉塞する硬質材料からなる先端キャップ6と、このゴムチューブ4の他端側の開口に設けられて高圧エアーホース10を接続させるための接続カプラー9を有するエア口金8と、この高圧エアーホース10を通じて上記ゴムチューブ4内に圧縮空気を供給するコンプレッサー12と、このコンプレッサの吐出口側に接続されて設けられたチャンバー14と、このチャンバー14の吐出口側に設けられて上記高圧エアーホース10を介して上記ゴムチューブ4内に供給する圧縮空気を所定のサイクルで給排気して当該ゴムチューブ4を膨張収縮振動させる給排気バルブ16とを備えている。
【0014】
即ち、ゴムチューブ4と先端キャップ6と口金8及びカプラー9とによって振動体が形成されていて、この振動体のゴムチューブ4内に圧縮空気を所定のサイクルで給排させることにより、当該ゴムチューブ4を径方向に弾性変形させて膨張収縮振動させるようになっている。
【0015】
図2と図3は上記ゴムチューブ4と先端キャップ6と口金8及びカプラー9とからなる振動体の平面図と側面図とを示しており、各図において(a)は圧縮空気が供給されていない未膨張の自然状態を示し、(b)は規定された最高圧力の圧縮空気が充填されている膨張状態を示している。また、図4(a),(b)は図2及び図3中に示すIVa−IVa線部の矢視断面図とIVb−IVb線部の矢視断面図である。
【0016】
図3(a)及び図4(a)に示すように、ゴムチューブ4は、自然状態では扁平に潰れており、その幅wは約80mm程度をなし、その長さLは1000mm程度の細長い筒状を呈している。また、図2〜図4に示すように、当該ゴムチューブ4は、外面ゴム層4aと内面ゴム層4bとの2層構造をなしており、その外面ゴム層4aと内面ゴム層4bとの間にはゴムチューブ4の長手方向(軸方向)に沿って補強繊維5が延設配置されている。 ここで、外面ゴム層4aには耐油・耐候・耐磨耗性に優れた、例えばクロロプレンゴム(CR)等の素材が適しており、内面ゴム層4bには耐磨耗・耐水性に優れ、かつ安価な、例えばスチレン− ブタジエンゴム(SBR)等の素材が適しているが、外面ゴム層4a及び内面ゴム層4bの双方を共に天然ゴム(NR)素材で形成するようにしても良い。
【0017】
また、補強繊維5にはポリエステルやナイロンなどの化学繊維が適しており、この補強繊維5はゴムチューブ4の長手方向(軸方向)に沿って延設配置されて、当該ゴムチューブ4の長手方向への弾性変形による延びを抑制する機能を発揮するようになっている。つまり、この長手方向への弾性変形による延びを抑制する機能により、ゴムチューブ4内に圧縮空気が充填された径方向への膨張時には、その径の拡大に応じて、ゴムチューブ4の長手方向(軸方向)の長さL’が縮まる様になっている。即ち、ゴムチューブ4の軸方向の伸長率を低く抑制し得れば、補強繊維5は必ずしも上記のように長手方向(軸方向)に沿って延設しなくても良く、例えば、網目状に配置して構成しても良い。
【0018】
そして、ゴムチューブ4には、上記してあるように、その軸方向一端部側の開口に、当該開口を密封閉塞する硬質材料からなる先端キャップ6が設けられている。本実施形態では、この先端キャップ6には、有蓋筒体状に形成された硬質な金属製のものが使用されており、その筒体部6aがゴムチューブ4の先端側の内周部に嵌入されている。筒体部6aの外周面にはゴムチューブ4からの抜け止め防止用の環状段部6bが断面三角形状に径方向外方に突出されて複数条形成されており、この筒体部6aの外側にはゴムチューブ4を挟んで締め付け固定する金属製スリーブ7が設けられていて、当該金属製スリーブ7がカシメられることでゴムチューブ4を筒体部6aの外周面に強固に圧着固定している。また、先端キャップ6の有蓋部6cは筒体部6aよりもゴムチューブ4のほぼ厚み相当分だけ拡径形成されてゴムチューブ4の先端部から突出して露出しており、その突出部の先端は略半球形状に丸く湾曲形成されている。
【0019】
また、ゴムチューブ4の軸方向他端部側には、金属製のエア口金8が嵌入装着されている。このエア口金8はその軸方向の両端が開口された筒状体に形成されており、その外周面には、上記先端キャップ6と同様の抜け止め用の環状段部8aが断面三角形状に径方向外方に突出されて複数条形成されている。そして、当該エア口金8の外側にもゴムチューブ4を挟んで締め付け固定するための金属製スリーブ11が設けられていて、当該金属製スリーブ11がカシメられてゴムチューブ4をエア口金8の外周面に強固に圧着固定している。また、このエア口金8には、高圧エアーホース10を着脱自在に接続可能な金属製の接続カプラー9が内周側に嵌め込まれて固定装着されている。
【0020】
また、ゴムチューブ4の内部には、当該ゴムチューブ4内の減圧時にその形状を直線状に保持するための保持部材13が、少なくともその一端をエア口金8に係止されて設けられている。本実施形態では、この保持部材13はその幅がエア口金8の内径寸法に符合された金属板131でなり、その金属板131の一端がエア口金8の内周部に嵌め込まれて固定係止されている。そして、この金属板131の他端はゴムチューブ4内をその先端側に向けて先端キャップ6の近傍まで直線状に延出形成されていて、金属板131の他端と先端キャップ6との間には、ゴムチューブ4の長さ変化を許容するためのクリアランスが設けられている。
【0021】
また、図1(a),(b)に示すように、コンプレッサー12から吐出された圧縮空気はチャンバー14に一時的に貯められて圧力が平滑化されるようになっている。このコンプレッサー12は0.2〜0.7MPaの吐出圧力能力を有するが、本実施形態では、チャンバー14内には0.5MPaの圧縮空気が貯留されるように設定されている。そして、このチャンバー14からゴムチューブ4内に圧縮空気を導く高圧エアーホース10の途中に給排気バルブ16が設けられている。この給排気バルブ16は給気ポジションと排気ポジションとの2位置を選択的に切り替える2ポジション替え式の電磁弁でなり、図1(a)に示す給気時には、給気位置に切り替えられてチャンバー14とゴムチューブ4とを連通させて、チャンバー14内に貯留した圧縮空気をゴムチューブ4内に供給するようになっている。また、図1(b)に示す排気時には、排気位置に切り替えられてチャンバー14側を閉塞する一方、ゴムチューブ4側を大気開放して、当該ゴムチューブ4内の圧縮空気を排気放出するようになっている。
【0022】
従って、以上のようにしてなるコンクリート用バイブレータ装置2にあっては、コンプレッサー12から吐出された圧縮空気は圧力が所定値の0.5MPaに平滑化された状態でチャンバー14に貯められ、給排気バルブ16が給気位置に切り替え作動されるとチャンバー14内に貯留された圧縮空気が高圧エアーホース10を通じてゴムチューブ4内に給気される。圧縮空気が供給されるとゴムチューブ4内の圧力は所定値の0.5MPaまで上昇し、ゴムチューブ4は径方向外方に弾性変形して拡径膨張する。
【0023】
そして、この径方向外方への拡径膨張に伴い、ゴムチューブ4はその長さ方向の弾性変形が補強繊維によって抑制されているので、その径方向への膨張量に応じてゴムチューブの長手方向の(軸方向)長さが縮まる。ここで、本実施形態では、ゴムチューブ4には外面ゴム層4aと内面ゴム層4bとに共に天然ゴムが採用されたものを使用している。そして、当該ゴムチューブ4は加圧していない自然状態において、その諸寸法は、外面ゴム層4aの厚みが2mm、内面ゴム層4bの厚みが1.5mm、外周長(外径)が165mm、長さが1000mmになっている。そして、当該ゴムチューブ4の場合では、その内部に0.5MPaの圧縮空気を充填すると、その径方向の外径はφ60mm程度にまで膨張し、長さは20%ほど縮んで約800mm程度になって200mm程短くなるようになっている。
【0024】
また、この膨張状態から、給排気弁16を切り替え作動させて排気ポジションにすると高圧エアーホース10はチャンバー14側が閉塞される一方、ゴムチューブ4側が大気開放され、このゴムチューブ4内の圧縮空気が大気中に放出排気されてゴムチューブ4がその弾性力によって縮径収縮し、その縮径収縮した分だけ長さが伸びて復元することになる。
【0025】
そして、当該給排気バルブ16の切り替え作動によるゴムチューブ4内への圧縮空気の給排は、給排気バルブ16の切り替え作動を所定のサイクルに制御して行われ、この制御サイクル数に応じて、ゴムチューブ4は膨張収縮を繰り返して振動されることになる。つまり、ゴムチューブ4は径方向に拡径膨張振動するとともに、長手方向に(軸方向)に伸縮振動することになる。なお、当該給排気バルブ16の切り替え作動は毎秒10回以下にして10Hz以下の低周波振動を起こさせる様にするのが好ましく、本実施形態では給排気バルブ16の切り替え作動は毎分10回程度にしている。
【0026】
従って、打設したコンクリート内、にこのコンクリート用バイブレータ装置2のゴムチューブ16を挿入した状態で、当該ゴムチューブ4内に圧縮空気を給排して振動させることで、コンクリートの締め固めを容易に行うことができ、特に、長手方向(軸方向)の伸縮振動によるコンクリートの突き固めを行うことができるようになる。よって、当該長手方向(軸方向)の伸縮振動によって、コンクリートの打設に際し、型枠で閉塞され、更に鉄筋や埋設配管などが詰まって配設された狭隘な部分や、形状が複雑な部分などに打設するコンクリートを容易に、かつ効果的に突き固めることができるようになる。
【0027】
また、給排気バルブ16の切り替え作動サイクルを任意に設定することで、ゴムチューブ4の振動数は所望値に容易に設定でき、高流動コンクリートを使用する場合には、その振動数を高流動コンクリートに分離が生じない低周波数に設定して、高流動コンクリートを高品質に突き固めることができる。
【0028】
さらに、締め固め時にはこのコンクリート用バイブレータ装置2のゴムチューブ4の部分をコンクリート打設箇所に運んで保持するだけで良く、しかも当該ゴムチューブ4には高圧エアーホース10が接続されているだけなので、従来の機械振動式のバイブレータに比して極めて軽量であり、もって作業員の疲労を可及的に軽減できる。これ故、配置人員も少なくて済むようになって省力化が図れるばかりか、安全性の向上も図れるようになる。
【0029】
図5と図6はゴムチューブ4と先端キャップ6と口金8及びカプラー9とからなる振動体の変形実施例を示している。ここで、この変形実施例の振動体はそのゴムチューブ4と先端キャップ6と口金8及びカプラー9、スリーブ7,11等の構成は、図2と図3とに示してある前述の実施形態例と全く同じであるが、保持部材が第1保持部材13aと第2保持部材13bとからなっている。即ち、第1保持部材13aは口金側に一端部が係止されて設けられている一方、第2保持部材13bは先端キャップ6に一端部が係止されて設けられており、当該第1保持部材13aと第2保持部材13bの各々の他端部同士が相互に長手方向に相対移動可能に重なり合って配置されている構成となっている。
【0030】
この図示例では、第1保持部材13aと第2保持部材13bとには、ともに管体132a,132bが使用されており、第1保持部材13aの管体132aが若干大径に形成されて、この管体132aの他端部にこれより小径に形成した第2保持部材13bの管体132bの他端部が、長手方向に相対移動可能に挿入されて重なり合っている。また、管体132a,132bのそれぞれの一端部は扁平に潰されており、その扁平に潰された幅がそれぞれ筒状の口金8の内径寸法、及び先端キャップ6の筒体部6aの内径寸法に符合されて形成され、各々それらの内周面に嵌め込まれて係止されている。そして、これら第1保持部材13aと第2保持部材13bとは、共にゴムチューブ4の形状を一直線状に保持する芯材として機能する。
【0031】
なお、上記各管体132a,132bは一端部を扁平に潰して口金8及び先端キャップ6に嵌合係止させるようにしているが、管体132a側の周面に空気孔を適当数開口形成しておけば、管体状のまま潰さずに口金8及び先端キャップ6の内周部に嵌合させて係止させるように構成することもできる。また、第1保持部材13aと第2保持部材13bとは、必ずしも管体にする必要はなく、それらの双方を板状に形成してその他端部同士を長手方向(軸方向)に相対移動可能に係合させる様にしても良く、さらに第1保持部材13aと第2保持部材13bとのいずれか一方を2枚構成にして、他方を両面から挟んで重なり合うような構成となしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るコンクリート用バイブレータ装置の全体構成を示す概略図であって、(a)は圧縮空気の供給を止めた排気状態時を、(b)は圧縮空気を供給している加圧状態時をそれぞれ示している。
【図2】図1中にのゴムチューブと先端キャップと口金及びカプラーとからなる振動体の詳細を示す平面図であり、(a)は圧縮空気が供給されていない未膨張の自然状態を示し、(b)は規定された最高圧力の圧縮空気が充填されている膨張状態を示している。
【図3】図1中にのゴムチューブと先端キャップと口金及びカプラーとからなる振動体の詳細を示す側面図であり、(a)は圧縮空気が供給されていない未膨張の自然状態を示し、(b)は規定された最高圧力の圧縮空気が充填されている膨張状態を示している。
【図4】図2及び図3中に示すIVa−IVa線部の矢視断面図とIVb−IVb線部の矢視断面図である。
【図5】振動体の変形実施例の示すもので、図3に相当する。
【図6】同上、振動体の変形実施例の示すもので、図4に相当する。
【符号の説明】
【0033】
2 コンクリート用バイブレータ装置
4 ゴムチューブ
4a 外面ゴム層
4b 内面ゴム層
5 補強繊維
6 先端キャップ
8 口金
9 カプラー
10 高圧エアーホース
12 コンプレッサー
16 給排気バルブ
13 保持部材
13a 第1保持部材
13b 第2保持部材
132a,132b 管体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向への膨張変形に応じて長手方向の長さが縮まって弾性変形するゴムチューブと、
該ゴムチューブの一端側の開口を密封閉塞する、硬質材料からなる先端キャップと、
該ゴムチューブの他端側の開口に設けられて高圧エアーホースを接続させるためのカプラーを有した口金と、
該高圧エアーホースを通じて該ゴムチューブ内に供給する空気を圧縮するコンプレッサーと、
該ゴムチューブ内に供給される圧縮空気を所定のサイクルで給排気して該ゴムチューブを膨張収縮振動させる給排気バルブと、
を備えたことを特徴とするコンクリート用バイブレータ装置。
【請求項2】
前記ゴムチューブ内に、少なくとも一端が前記口金に係止されるとともに他端が直線状に延出されて、該ゴムチューブ内の減圧時に該ゴムチューブの形状を直線状に保持する保持部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート用バイブレータ装置。
【請求項3】
前記保持部材が、前記口金側に一端部が係止されて設けられた第1保持部材と、前記先端キャップに一端部が係止されて設けられた第2保持部材とからなり、該第1保持部材と該第2保持部材との他端部同士は相互に長手方向に相対移動可能に重なり合って配置されていることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート用バイブレータ装置。
【請求項4】
前記第1保持部材と第2保持部材とが管体でなることを特徴とする請求項3に記載のコンクリート用バイブレータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−285614(P2009−285614A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143136(P2008−143136)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】