説明

コンクリート製品用吊り金具

【課題】コンクリート製品の表面を傷つけずに吊上げることができると共に、コンクリート製品に予め埋め込まれた埋設部材に吊り機構を容易に係止することができ作業効率の向上を図ることができるようになるコンクリート製品用吊り金具を提供する。
【解決手段】コンクリート製品用吊り金具10を、コンクリート製品50に一端面30Aが露出され他端面が埋設された埋設部材30と、埋設部材30に着脱自在な吊り機構20とを備えて構成する。吊り機構20の丸棒部材21を埋設部材30に挿入し、ノブ24により丸棒部材21を回せば、丸棒部材21の抜止め突起部21Bが埋設部材30の傾斜面部30Gに沿って移動した後、抜止め突起部用位置決め溝30Hに嵌り込み、丸棒部材21と埋設部材30とが係止し合う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート製品用吊り金具に係り、更に詳しくは、U字型側溝等のコンクリート製品の格納、運搬、敷設等の作業の際にそのコンクリート製品を吊上げるコンクリート製品用吊り金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、U字型側溝等のコンクリート製品は数トン単位の重量の物もあるため、それらのコンクリート製品の格納、運搬、敷設等の作業の際には、一般に吊り金具が使用されている。
この吊り金具としては、コンクリート製品に予め埋め込まれた筒状部材と、先端部が当該筒状部材の内部に挿入されると共に相互に係止される軸部本体材と、この軸部本体材に設けられた吊環とを備えて構成されたものが知られている。
吊り金具の使用に際しては、軸部本体材を筒状部材の内部に挿入して係止した後、ワイヤー等に連結されたフックを吊環に引掛けてコンクリート製品を吊り上げるようになっている。
【0003】
ここで、コンクリート製品の表面から吊環までの寸法が大きいと、コンクリート製品を吊上げる際に軸部本体材に掛かるモーメントが大きくなり、軸部本体材と筒状部材との係合部に荷重が集中し、場合によってはコンクリート製品の表面が剥がれる等の問題が生じるおそれがある。
そこで、本願出願人は、本願発明に遡って、コンクリート製品の表面に可能な限り近い位置で吊り上げるような構造とし、軸部本体材と筒状部材との係合部に掛かるモーメントを小さくして当該係合部に荷重が集中しないように構成したコンクリート製品用吊り金具を出願した(特願2010−087977号)。
【0004】
このコンクリート製品用吊り金具では、吊環を構成する金具本体のリング部材がコンクリート製品の表面に近接して設けられており、しかもリング部材の向きが、そのリング部材にフックを引掛けるとき当該フックの引掛け部がコンクリート製品の表面と直交する向きになるように設けられている。そのため、フックをリング部材に引掛けるときフックがコンクリート製品の表面に当たったり、あるいは、引掛けた後に吊り上げるとき、コンクリート製品の揺れ等の影響で表面にフックが当たり、その表面を傷つけたり、破損させたりすることが考えられる。
【0005】
これに対して、上記出願済みのコンクリート製品用吊り金具と目的、構成は異なるが、フックを吊環に引掛けるときフックがコンクリート製品の表面に当たらないように構成し、結果的にフックによるコンクリート製品の表面の破損等を防止できるように構成したコンクリート製品の吊上具が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に開示されたコンクリート製品の吊上具は、例えば、図14に示すような構成となっている。
すなわち、吊上具100は、吊部材112と予めコンクリート製品Cに埋め込まれた定着部材111とを備えて構成されている。吊部材112は、定着部材111に挿入される軸体113と、この軸体113に設けられた環体114と、軸体113において環体114の間に介装されたコイルバネ115とを備えて構成されている。そして、軸体113における軸本体113aの先端には係止突起113cが形成されている。
【0007】
上記のような構成の吊上具100を使用するには、まず、吊部材112の係止突起113cを定着部材111における定着部材本体121の挿入孔121aと対向させた後、コイルバネ115の付勢力に抗して係止フランジ113eを環体114の左側リング部114aがコンクリート製品Cの表面に当接するまで押圧する。
次いで、操作つまみ113fを回して、係止突起113cを、定着部材111に設けられた抜出阻止体122の係止溝122Bに嵌め込み、軸体113、ひいては吊部材112と定着部材111とを係止させる。
そして、その後、環体114に吊フックを引っ掛けてコンクリート製品Cを吊上げるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許4137531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたコンクリート製品の吊上具100では、次のような課題が生じている。
すなわち、吊部材112と定着部材111とを係止させるには、まず、吊部材112の係止突起113cを定着部材111の挿入孔121aと対向させた後、コイルバネ115の付勢力に抗して係止フランジ113eを環体114の左側リング部114aがコンクリート製品Cの表面に当接するまで押圧する作業が必要となる。また、その状態で操作つまみ113fを回して、係止突起113cを、定着部材111に設けられた抜出阻止体122の係止溝122bに嵌め込む作業も必要となる。
そのため、吊部材112の係止突起113cを定着部材111における抜出阻止体122の挿入孔121aに挿入する際に、コイルバネ115の付勢力に抗して押圧するという大きな力と、押圧したままの状態で操作つまみ113fを回すという大きな力が必要となるので、吊部材112と定着部材111とを係止させるための作業が容易でない、という問題がある。
【0010】
ところで、U字型側溝等のコンクリート製品の製作は、図15に示すように、まず型枠内にコンクリートスラリーを流し込み、そのコンクリートスラリーが固化した後、型枠65を取り外す作業工程を経て行われるのが一般的である。
例えばU字型側溝用の型枠65は、両側面用の型枠65Aと、底面用の型枠65Bと、内側用の型枠(図略)とを備えて構成されている。
型枠65はコンクリート製品50の大きさに対応しており、数トンもの重量コンクリート製品50であれば、型枠65も当然ながら大きな物となっている。
【0011】
そして、そのような大きな型枠65を取り外す際、コンクリート製品50である例えばU字型側溝の両側面用の型枠65Aを左右に水平になるまで、つまり180度開いた場合、再度その型枠65Aを組み立てるとき起こさなくてはならず、重量も重いため作業が困難となり、作業効率が悪くなる。
また、両側面用の型枠65Aを左右に水平に開いた場合、その型枠65Aの占める面積が大きいので他の作業場が狭くなり、作業環境が悪くなる。
型枠65の取り外しには以上に述べたような問題があるため、一般的型枠の取り外しでは、コンクリート製品50の表面に対して、例えば20度程度の角度となるように開き角度が設定され、その角度に開いた後、型枠65をその位置に固定している。従って、コンクリート製品50の表面と両側面用の型枠65Aとの間の隙間は比較的狭い隙間となっている。
【0012】
ところが、引用文献1に開示された吊上具では、前述のように、吊部材112の係止突起113cを定着部材111の挿入孔121aと対向させた後、コイルバネ115の付勢力に抗して係止フランジ113eを環体114の左側リング部114aがコンクリート製品Cの表面に当接するまで押圧する作業が必要となるので、軸線方向に押圧力を加えるためには、係止フランジ113eの後方にある程度の作業空間が必要である。
【0013】
しかし、前述のように、両側面用の型枠65Aを取り外した後のコンクリート製品Cの表面と型枠65Aとの隙間が小さいため、引用文献1に開示された吊上具では上記作業が困難となる。
すなわち、吊部材112をコンクリート製品Cの表面と両側面用の型枠65Aとの狭い隙間に入れ、吊部材112の係止突起113cを定着部材111における定着部材本体121の挿入孔121aに差し込むことはできても、吊部材112の係止フランジ113eをコイルバネ115の付勢力に抗して回すためには、軸体113の軸線方向に力を加えなければならない。
ところが、上記隙間が、吊部材112の環体114がコンクリート製品Cの表面から出っ張っている分だけさらに狭くなり、軸線方向に力を加えることが困難となるので、軸線方向と略直交する方向から差し入れた手で係止フランジ113eを掴み、そのような状態で係止フランジ113eを押圧し、且つ回さなければならず、その作業が非常に困難であるという問題もある。
【0014】
本発明の目的は、上記課題を解決するために提案されたものであり、コンクリート製品の表面を傷つけずに吊上げることができると共に、コンクリート製品に予め埋め込まれた埋設部材に吊り機構を容易に係止することができ作業効率の向上を図ることができるようになるコンクリート製品用吊り金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のコンクリート製品用吊り金具は、コンクリート製品に予め向きが決められて一端面が露出されると共に他端面が埋設されかつ中心軸線上に端面側からの係合孔を有する埋設部材と、この埋設部材の前記係合孔に着脱自在に装備可能な吊り機構とを備え、この吊り機構を、一端部が前記埋設部材に挿入される丸棒部材と、この丸棒部材の他端側に設けられ前記コンクリート製品を吊上げる吊上げ部材としてのシャックルと、前記丸棒部材に装着され当該丸棒部材を前記シャックルに対して常時一方向に付勢する付勢部材と、前記丸棒部材に設けられ前記付勢部材の他端部を固定する付勢部材用固定リングと、前記丸棒部材の他端部に設けられ当該丸棒部材を回転駆動させる丸棒部材回転駆動手段と、を備えた構成とし、前記吊り機構と前記埋設部材とで前記コンクリート製品を吊上げ可能とするコンクリート製品用吊り金具であって、
前記丸棒部材を、
前記埋設部材の軸線に沿った軸部本体と、当該軸部本体の前記一端部に形成され一部が前記軸部本体より外方に突設した抜止め突起部とで形成し、
前記シャックルを、
半円形状の吊り環部と、この吊り環部の両端部からそれぞれ延設した一方脚部および他方脚部とを有する形状に形成すると共に、その一方脚部および他方脚部とを前記軸部本体の軸線に沿って当該軸部本体に設け、
前記埋設部材を、
有底筒状に形成すると共に前記軸部本体を挿入可能とする軸部本体用挿入孔と、前記抜止め突起部を挿入可能とする抜止め突起部用挿入溝と、前記軸部本体の挿入方向奥側に設けられ前記軸部本体用挿入孔および抜止め突起部用挿入溝に連続すると共に前記底部とにより形成され前記軸部本体の回動時に前記抜止め突起部を収容可能な拡張室とを有する形状とし、
前記軸部本体用挿入孔の前記拡張室側端面に、前記丸棒部材を挿入した後当該丸棒部材を一方向に回転させた時前記抜止め突起部の後端面が乗上げる傾斜面部と、この傾斜面部に連続すると共に当該傾斜面部を乗越えた時前記抜止め突起部の位置を決める抜止め突起部用位置決め溝を設け、
前記抜止め突起部と前記傾斜面部の乗上げスタート点との相互位置関係を前記付勢部材が圧縮する直前のとき前記抜止め突起部の後端面が前記傾斜面部の乗上げスタート点に位置するように設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコンクリート製品用吊り金具は以上のように構成されているので、これによれば、シャックルの一方脚部と他方脚部とが軸部本体の軸線に沿ってその軸部本体に設けられており、半円形状の吊り環部がコンクリート製品の表面と直交している。そのため、コンクリート製品吊上げ用フックを吊り環部に引掛けるとき、そのフックはコンクリート製品の表面と平行になる。そのため、吊上げ用フックの先端等がコンクリート製品の表面に当たらないので、その表面が剥がれたり、破損したりすることがなくなり、その結果、コンクリート製品の表面を傷つけずに吊上げることができる。
【0017】
また、丸棒部材を埋込み部材に挿入し、丸棒部材の抜止め突起部が埋込み部材の傾斜面部の基端部に接したとき、丸棒部材回転駆動手段を回して抜止め突起部を傾斜面部に沿って移動させると、傾斜面部の頂点を越えた時点で、抜止め突起部が抜止め突起部用位置決め溝に嵌り込んで確実にロックされる。その結果、抜止め突起部が傾斜面部を乗り越える分だけ丸棒部材回転駆動手段を回せば抜止め突起部と埋込み部材とをロック状態とすることができるので、力を入れて押したりする必要もなく、操作が簡単であると共に短時間で容易に行える。
【0018】
さらに、丸棒部材と埋込み部材との係止は、丸棒部材を埋込み部材に挿入した後、丸棒部材回転駆動手段により丸棒部材を回して抜止め突起部と抜止め突起部用位置決め溝とを嵌合させればよく、丸棒部材を回すだけでよいので、型枠を外したときコンクリート製品と型枠との隙間が狭くても、丸棒部材と埋込み部材との係止を容易に行うことができる。
【0019】
また、付勢部材が圧縮する直前のとき、丸棒部材の抜止め突起部の後端面が傾斜面部の基端部に位置するように、丸棒部材の長さと付勢部材の長さ等の相互位置関係が設定されているので、抜止め突起部の後端面が傾斜面部の基端部に当接した時点で丸棒部材回転駆動手段を回す作業に移行することができる。その結果、丸棒部材回転駆動手段を回すタイミングを容易に確認でき、無駄な作業をしなくてもよくなり、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本願発明に係るコンクリート製品用吊り金具の一実施形態を示す全体側面図である。
【図2】前記実施形態のコンクリート製品用吊り金具を構成する吊り機構を示す全体側面図である。
【図3】図2におけるIII矢視図で吊り機構の全体正面図である。
【図4】図2におけるIV矢視図で吊り機構の全体背面図である。
【図5】前記実施形態のコンクリート製品用吊り金具を構成する埋込部材を示す縦断面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った縦断面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面を埋込部材の抜止め突起用溝を水平に配置した状態を示す縦断面図である。
【図8】埋込部材が予めコンクリート製品に埋込まれる際の方向を示す正面図である。
【図9】前記実施形態の吊り機構が埋込部材に挿入された状態を示す縦断面図である。
【図10】図9の状態から吊り機構を回転させた状態を示す縦断面図である。
【図11】図10の状態から吊り機構をさらに回転させ吊り機構と埋込部材とをロックさせた状態を示す縦断面図である。
【図12】前記実施形態のコンクリート製品用吊り金具を利用してコンクリート製品を吊上げた状態を示す図である。
【図13】図11の状態で吊上げたコンクリート製品を反転させる作業を含めて順次積み重ねた状態を示す斜視図である。
【図14】従来のコンクリート製品の吊上具を示す分解側面図である。
【図15】一般的なコンクリート製品とそのコンクリート製品を製造する型枠との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図1〜図11を参照して本発明のコンクリート製品用吊り金具の一実施形態を説明する。
【0022】
図1には、本実施形態のコンクリート製品用吊り金具(以下、単に吊り金具という)10を構成する吊り機構20と埋設部材である埋込み部材30との全体側面が示され、図2には吊り機構20の全体側面が示され、図3には吊り機構20の全体正面が示され、図4には吊り機構20の全体背面が示されている。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の吊り金具10は、上記吊り機構20と、当該吊り機構20を装着する埋設部材である埋込み部材30とを備えて構成され、埋込み部材30は、予めコンクリート製品50の所定箇所に埋込まれている。
【0024】
図2〜図4に詳細を示すように、吊り機構20は、丸棒部材21と、この丸棒部材21と係合した吊り部材としてのシャックル22と、このシャックル22に対して丸棒部材21を常時離れる方向に付勢する付勢部材であるロック用コイルスプリング23と、丸棒部材21の他端に設けられ当該丸棒部材21を回転させる丸棒部材回転駆動手段であるノブ24とを備えて構成されている。
【0025】
丸棒部材21は、所定長さの軸部本体21Aと、この軸部本体21Aの一端に形成された抜止め突起部21Bとで形成されている。そして、軸部本体21Aおよび抜止め突起部21Bは、例えば2トン程度のコンクリート製品50を吊上げることができる強度を有する寸法に設定されている。
また、丸棒部材21とシャックル22とは互いに緩い嵌合状態で連結され、丸棒部材21はシャックル22に対して、図1に矢印B1、B2で示すように往復移動自在となっている。
【0026】
抜止め突起部21Bは、軸部本体21Aの一端部に当該軸部本体21Aから軸線方向および径方向に突出して設けられ、軸部本体21Aの外径寸法より大きな寸法の外径寸法d、幅寸法w、高さ寸法(厚さ寸法)hの形状に形成されている。つまり、抜止め突起部21Bは略角柱形状に形成され、この略角柱形状部材が軸部本体21Aの一端部に設けられた形状となっている。
抜止め突起部21Bと軸部本体21Aとは一体物で形成されている。すなわち、両者21B,21Aは上記外径寸法dの軸部本体材を削り出し、それぞれ、上記各寸法d,w,hの抜止め突起部21Bと、外径寸法d1の軸部本体21Aとが形成されている。
【0027】
軸部本体21Aの後端には、後述するシャックル22の一方脚部22Aから所定寸法離れた位置に、前記丸棒部材回転駆動手段であるノブ24が取り付けられている。このノブ24は、図3に示すように平面形状が略楕円形状に形成され、図1、図2に示すように、表面が湾曲状に形成されている。そして、ノブ24はその裏面に形成された取付け孔部に前記丸棒部材21の端部を差込んだ後、ビス25により丸棒部材21に固着されている。
上記ノブ24は、作業者が手で掴んで、丸棒部材21を埋込み部材30に挿入させると共に丸棒部材21を回すための操作用部材である。
【0028】
この際、ノブ24はその長さ方向が前記抜止め突起部21Bの長手方向と一致するように設定されている。従って、丸棒部材21を回転させると、それに連れて抜止め突起部21Bとノブ24とが同じ向きで回転するので、抜止め突起部21Bが係止状態であれば、その抜止め突起部21Bの向きをノブ24の向きで知ることができる。
その結果、ノブ24の向きを見ることで抜止め突起部21Bの係止状態を容易に確認することができる。つまり、ノブ24は丸棒部材回転駆動手段を構成すると共に、丸棒部材21と埋込み部材30との係止状態を確認する係止状態確認手段をも構成していることになる。
【0029】
そして、本実施形態では、図3に仮想線で示したように、ノブ24の長手方向が水平状態になっている場合が、丸棒部材21を埋込み部材30に差し込んだ時の状態であり、その状態から図3中において矢印A1で示すように時計回り方向に略90度回転し、ノブ24の長手方向が実線で示すように垂直状態になっている場合が、丸棒部材21と埋込み部材30とが係止した状態、つまり両者21,30がロックされた状態となるように設定されている。
このとき、抜止め突起部21Bもノブ24の回転と同時に回転するが、図4ではノブ24側からとは反対側から見ているため、矢印A2で示す反時計回り方向に回転する。
【0030】
図2に戻って、軸部本体21Aの途中には前記シャックル22が設けられている。このシャックル22はJIS規格の市販品で構成され、付属部品としての連結軸が通されるU字の一方脚部22Aおよび他方脚部22Bの孔部に、上記連結軸に代えて丸棒部材21の軸部本体21Aが挿入されている。
【0031】
軸部本体21Aにおいてシャックル22の一方脚部22Aおよび他方脚部22Bの対向する部位には、バネ固定リング26とバネ押えリング28とが設けられている。
バネ固定リング26は、その外周均等2箇所にあけられたビス孔に取付けビス27を差し込み、その取付けビス27を軸部本体21Aにあけられたねじ穴(図略)にねじ込んで軸部本体21Aに固定されるようになっている。
【0032】
また、軸部本体21Aにおいてバネ固定リング26とバネ押えリング28との間には前記ロック用コイルスプリング23が介装されている。このコイルスプリング23は、丸棒部材21をシャックル22に対して埋込み部材30側から常時離れる方向に付勢するようになっている。つまり、シャックル22に対してノブ24が離れる方向に付勢されるようになっている。
【0033】
ここで、シャックル22とノブ24との間の距離は、ノブ24、言い換えれば軸部本体21Aを回し、抜止め突起部21Bが埋込み部材30の後述する傾斜面部30Gを乗り越えることができる寸法に設定されている。
従って、ノブ24をコイルスプリング23の付勢力に抗して押し込み、軸部本体21Aの抜止め突起部21Bが抜止め突起部用位置決め溝30Hに嵌り込み、両者21B、30Hが係止した後、手を離すと、ノブ24はコイルスプリング23の付勢力により初期位置、つまりノブ24を押込まない場合におけるシャックル22とノブ24との間の上記距離に戻るようになっている。
【0034】
軸部本体21Aにおいてシャックル22の他方脚部22Bに設けられたバネ押えリング28の反対側には、コンクリート製品50の表面と当接する当接リング29が設けられている。
この当接リング29も前記各リング26、28と同様の円板状に形成され、この当接リング29の外径寸法Dは、図5に示すように埋込み部材30の外径寸法Dと略同じ大きさに形成されている。
なお、当接リング29の外径寸法Dを埋込部材30の外径寸法Dより大きく形成してもよい。
【0035】
前記埋込み部材30は、図1、図5〜図7に示すような形状となっている。
埋込み部材30は例えば塩化ビニール製とされ、低面部30Bを有する筒状に形成されている。そして、埋込み部材30は、コンクリート製品50の成型時に、上述のように、埋込み部材30の一端面30Aがコンクリート製品50の表面と同一面となるように、つまり表面から露出した状態で所定の位置に予め埋込まれるようになっている。
【0036】
埋込み部材30の内径には、その中心部に、前記丸棒部材21の抜止め突起部21Bを含む軸部本体21Aが着脱自在となった係合孔30Cが形成されている。
この係合孔30Cは、前記軸部本体21Aが挿入可能となった軸部本体用挿入孔30Dと、この軸部本体用挿入孔30Dの径方向両側に延出し、前記抜止め突起部21Bが挿入可能となった抜止め突起部用溝30Eとで構成されている。
【0037】
埋込み部材30の内径において低面部30B側の奥には、抜止め突起部21Bを収容可能な拡張室30Fが形成されている。そして、この拡張室30Fは、埋込み部材30の内壁と、低面部30Bと、軸部本体用挿入孔30Dおよび抜止め突起部用溝30Eの低面部30B側の端面とで形成されている。
【0038】
拡張室30Fにおいて埋込み部材30の一端面30A側の端面、つまり上記軸部本体用挿入孔30Dおよび抜止め突起部用溝30Eの低面部30B側の端面には、傾斜面部30Gと抜止め突起部用位置決め溝30Hおよび突起部30Iが形成されている。
そして、図6に示すように、傾斜面部30G、位置決め溝30Hおよび突起部30Iは、軸部本体用挿入孔30Dに対して径方向の対称位置に形成されている。
【0039】
傾斜面部30Gは、前記丸棒部材21の抜止め突起部21Bが乗上げる乗上げスタート点としての基端部30Jから図6中反時計回り方向に、かつ低面部30B側に向かって高くなる傾斜となっており、傾斜の先端が上記抜止め突起部用位置決め溝30Hに連続している。従って、作業者は、図3に示すように丸棒部材21を埋込み部材30の一端面30A側から時計回り方向に回すことになる。
なお、傾斜面部30Gの傾斜先端は、低面部30Bとの間の間隔がH1となるような高さに設定されている。
【0040】
この位置決め溝30Hは、抜止め突起部用溝30Eの幅寸法と略同一の幅寸法に形成され、抜止め突起部21Bの前記幅寸法w(図4参照)を収納可能な幅寸法となっている。位置決め溝30Hは傾斜面部30Gの傾斜の先端から寸法Hで一端面30A側に凹んで形成されている。
そして、凹寸法Hは、例えば5〜10mmの範囲に設定されると好適であり、また、前記コイルスプリング23は、5〜10mmの範囲で縮小するように設定すればよい。
このため、前記シャックル22の一方脚部22Aとノブ24との間の初期設定間隔は5〜10mm以上に設定すればよい。
【0041】
また、傾斜面部30Gの頂点と低面部30Bとの隙間H1は、図6に示すように、丸棒部材21の回転に連れその抜止め突起部21Bが傾斜面部30Gに沿って低面部30B側に向かって移動し、抜止め突起部21Bが傾斜面部30Gの頂点に達したとき、その抜止め突起部21Bの先端面が低面部30Bに接触しないような寸法に設定されている。
【0042】
前記突起部30Iは、前記傾斜面部30Gの頂点より低面部30B側に突出しており、抜止め突起部21Bを抜止め突起部用位置決め溝30Hから外すとき、最初に傾斜面部30Gに乗り移るため突起部30Iには絶対に乗り移らないようになっている。いわば、丸棒部材21の回転を一方向に規制するものである。
【0043】
本実施形態では、以上のような形状の埋込み部材30は、図8に示すように、埋込み部材30の相対する2箇所の突起部用溝30Eを水平方向に位置させて予めコンクリート製品50に埋め込まれている。そして、このような埋込み部材30に対して吊り機構20を係止させる際は、抜止め突起部21Bおよびノブ24が図3、図4中仮想線で示す位置にある状態で吊り機構20の丸棒部材21を埋込み部材30に差し込むようになっている。
【0044】
次に、図1および図9〜図11に基づいて、丸棒部材21およびその抜止め突起部21Bと埋込み部材30との係合状態を説明する。
まず、図1に示すように、予めコンクリート製品50に埋め込まれている埋込み部材30の軸線上に吊り機構20の丸棒部材21の軸線が一致するように互いを対向させる。
【0045】
次いで、作業者は手でシャックル22を掴んで、図9に示すように、丸棒部材21を埋込み部材30内に、矢印B1で示すように、前記当接リング29の一面全面が埋込み部材30の一端面30Aに当接するまで挿入する。このとき、丸棒部材21の抜止め突起部21Bの後端面が埋込み部材30の傾斜面部30Gの基端部30Jに接し、傾斜面部30Gに乗り上げ可能な状態となっている。
ここで、前記ロック用コイルスプリング23が圧縮する直前のとき、丸棒部材21の抜止め突起部12Gの後端面が傾斜面部31Gの前記基端部31Jに位置するように、丸棒部材21の長さとロック用コイルスプリング23の長さ等の相互位置関係が設定されている。
【0046】
図9の状態から、前記ノブ24を作業者側から見て時計回り方向(図3の矢印A方向)に回転させると、図10に示すように、その丸棒部材21の抜止め突起部21Bの後端面が傾斜面部30Gに乗上げ、かつ傾斜面部30Gの傾斜に沿って低面部30Eに近づく方向に移動する。このとき、前記コイルスプリング23は丸棒部材21の移動に連れて圧縮される。
【0047】
図10の状態から、ノブ24をさらに回して丸棒部材21を回転させると、抜止め突起部21Bが傾斜面部30Gの頂点に達した後、図11に示すように、抜止め突起部用位置決め溝30Hに嵌り込む。
ここで、抜止め突起部21Bが傾斜面部30Gに乗上げた後、傾斜面部30Gの頂点に達するまでの間、丸棒部材21および抜止め突起部21Bには、コイルスプリング23の付勢力により埋込み部材30から離れる方向の力が作用するので、抜止め突起部21Bが傾斜面部30Gの頂点を越えたとき、その付勢力により丸棒部材21が矢印B2方向に移動し、抜止め突起部21Bが抜止め突起部用位置決め溝30Hに嵌り込むことになる。
このとき、ノブ24および抜止め突起部21Bは、図3および図4に示すように、その長手方向が垂直方向に向いている。
【0048】
この後、図11に示すように、シャックル22にフック等の先端係合部56を引掛けることによりコンクリート製品50が吊上げ可能となる。
この場合、シャックル22がU字形状となるように使用されその湾曲部の中心部に先端係合部56が引掛けられるので、コンクリート製品50の表面から湾曲部の半分の寸法分だけ離れた位置で、且つコンクリート製品50の表面と平行に先端係合部56が設けられることになるので、先端係合部56を構成する例えばフックの先端がコンクリート製品50の表面に当接することがなくなる。その結果、吊上げ時および吊上げ後の移動等にコンクリート製品50の表面が傷付いたり、破損したりすることがない。
【0049】
抜止め突起部21Bひいては吊り機構20を埋込み部材30から取外すには、前述の取付け作業と逆の動作をすればよい。
すなわち、ノブ24を押圧して抜止め突起部21Bを抜止め突起部用位置決め溝30Hから抜き出し、抜止め突起部21Bの後端面が埋込み部材30の傾斜面部30Gの頂点に達した時点でノブ24を反時計回り方向に回し、手を離すと、丸棒部材21および抜止め突起部21Bがコイルスプリング23の付勢力により埋込み部材30から離れる方向に引っ張られる。
次いで、作業者は吊り機構20を埋込み部材30から抜き出せばよい。
【0050】
次に、図12に基づいて本実施形態の吊り金具10によりコンクリート製品50を吊上げる作業を説明する。
【0051】
まず、コンクリート製品50を吊上げるための吊上げ装置55について説明する。
この吊上げ装置55は、左右の吊り金具10のそれぞれのシャックル22に係合するフックを含む各先端係合部材56と、これらの先端係合部材56に連結された各ワイヤー57と、これらの各ワイヤー57を略垂直状態に保持する水平部材58と、水平部材58の両端に係合すると共にクレーン用ワイヤー59のフックに係合可能なワイヤー60とを備えて構成されている。
各ワイヤー57,57は、コンクリート製品50に装着された吊り金具10のそれぞれのシャックル22を略垂直に吊上げることができるように、水平部材58の両端部で各ワイヤー57,57の取付け位置を調整できるようになっている。
【0052】
図12に示すように、以上のような吊上げ装置55を用いてU字型側溝であるコンクリート製品50を吊上げる場合、それぞれ吊り機構20の丸棒部材21を埋込み部材30に挿入させた後ロックし、左右の吊り機構20のシャックル22にワイヤーロープ53と一体となったフック52を引っ掛けてクレーン等で吊上げる。
そして、吊上げたコンクリート製品50を所定位置まで搬送し、作業者が適宜反転するなどして、図13に示すように順次積み上げて保管する。
【0053】
以上のような構成のコンクリート製品用吊り金具10によれば、次のような効果が得られる。
(1)シャックル22の一方脚部22Aと他方脚部22Bとが軸部本体21Aの軸線に沿ってその軸部本体21Aに設けられ、半円形状の吊り環部がコンクリート製品50の表面と直交しているので、コンクリート製品吊上げ用フック56を吊り環部に引掛けるとき、そのフック56はコンクリート製品50の表面と平行になる。そのため、吊上げ用フック56の先端等がコンクリート製品50の表面に当たらないので、吊上げ時および吊上げ後の移動等にコンクリート製品50の表面が傷付いたり、破損したりすることがなくなり、その結果、コンクリート製品50の表面を傷付けずに吊上げることができる。
【0054】
(2)丸棒部材21を埋込み部材30に挿入し、丸棒部材21の抜止め突起部21Bが埋込み部材30の傾斜面部30Gの基端部30Jに接したとき、ノブ24を回して抜止め突起部21Bを傾斜面部30Gに沿って移動させると、その傾斜面部30Gの頂点を越えた時点で、抜止め突起部21Bが抜止め突起部用位置決め溝30Hに嵌り込んで確実にロックされる。その結果、抜止め突起部21Bが傾斜面部30Gを乗り越える分だけノブ24を回せば抜止め突起部21Bと埋込み部材30とをロック状態とすることができるので、丸棒部材21と埋込み部材30との係止作業を、力を入れて押したり回したりする必要もなく、簡単な操作で且つ短時間で容易に行えるようになる。
【0055】
(3)丸棒部材21と埋込み部材30との係止は、丸棒部材21を埋込み部材30に挿入した後、ノブ24により丸棒部材21を回して抜止め突起部21Bと抜止め突起部用位置決め溝30Hとを嵌合させればよく、丸棒部材21を回すだけでよい。その結果、型枠65を構成する側面用型枠65A,60Aを外したとき、その側面用型枠65A,60Aとコンクリート製品50との隙間が狭くても丸棒部材21を収容する空間で、手が届く範囲の空間であればよいので、丸棒部材21と埋込み部材との係止を容易に行うことができる。
【0056】
(4)ロック用コイルスプリング23が圧縮する直前のとき、丸棒部材21の抜止め突起部21Bの後端面が傾斜面部30Gの基端部30Jに位置するように、丸棒部材21の長さとロック用コイルスプリング23の長さ等の相互位置関係が設定されているので、抜止め突起部21Bの後端面が傾斜面部30Gの基端部30Jに当接した時点でノブ24を回す作業に移行することができる。その結果、ノブ24を回すタイミングを容易に確認でき、無駄な作業をしなくてもよくなり、作業効率の向上を図ることができる。
【0057】
(5)ノブ24の長手方向が垂直状態になっているときが、丸棒部材21と埋込み部材30とが係止した状態、つまり両者21,30がロックされた状態を示すようになっているので、例えば使用説明書にその旨記載しておくことで、ロック状態を容易に確認することができ、これにより、より確実に安全な吊上げ作業に移行することができる。
【0058】
(6)丸棒部材21を埋込み部材30に挿入したとき、埋込み部材30の一端面30Aと丸棒部材21に設けられた当接リング29とが当接するようになっており、この当接リング29は、シャックル22の他方脚部22Bの側面に配置されているので、シャックル22の他方脚部22Bの側面がコンクリート製品50の表面と直接当接しない。その結果、コンクリート製品50の吊上げ時に風等の影響でその製品50が揺れたりしても、シャックル22の他方脚部22Bの側面によるコンクリート製品50の表面の擦れ等を防止することができ、製品の品質を維持することができる。
【0059】
(7)ノブ24は、丸棒部材21を埋込み部材30に挿入させ且つ丸棒部材21を回すための操作用部材を構成すると共に、ノブ24の向きを見ることで抜止め突起部21Bの係止状態を容易に確認する係止状態確認手段をも構成する。そのため、1つの部材で複数の役割を果たしていることになり省部材化を図ることができる。
【0060】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を適宜組み合わせたものも含まれる。
【0061】
例えば、前記実施形態では、埋込部材30の傾斜面部30Gの傾斜を、図6において反時計回り方向に高くなるように形成したが、これに限らない。図6中、抜止め突起部用挿入溝30Eを挟んで傾斜面部30Gと突起部30Iとの位置を逆の位置に配置し、傾斜面部30Gの傾斜を時計回り方向に高くなるように形成してもよい。
【0062】
また、前記実施形態におけるノブ24の表面に、そのノブ24の長手方向に沿って、例えば白色のペイントを塗布するようにしてもよい。このようにすれば、ノブ24の長手方向をより確実に認識することができるので、丸棒部材21と埋込部材30との係止状態をより確実に確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、U字型側溝等のコンクリート製品の格納、運搬、敷設等の作業の際に利用できる。
【符号の説明】
【0064】
10 コンクリート製品用吊り金具
20 コンクリート製品用吊り金具を構成する吊り機構
21 丸棒部材
21A 軸部本体
21B 抜止め突起部
22 吊部材であるシャックル
23 ロック用コイルスプリングバネ
30 コンクリート製品用吊り金具を構成する埋込み部材
30C 係合孔
30D 軸部本体用挿入孔
30E 抜止め突起部用挿入溝
30G 傾斜面部
30H 抜止め突起部用位置決め溝
30J 乗上げスタート点である基端部
50 コンクリート製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製品に予め向きが決められて一端面が露出されると共に他端面が埋設されかつ中心軸線上に端面側からの係合孔を有する埋設部材と、この埋設部材の前記係合孔に着脱自在に装備可能な吊り機構とを備え、この吊り機構を、一端部が前記埋設部材に挿入される丸棒部材と、この丸棒部材の他端側に設けられ前記コンクリート製品を吊上げる吊上げ部材としてのシャックルと、前記丸棒部材に装着され当該丸棒部材を前記シャックルに対して常時一方向に付勢する付勢部材と、前記丸棒部材に設けられ前記付勢部材の他端部を固定する付勢部材用固定リングと、前記丸棒部材の他端部に設けられ当該丸棒部材を回転駆動させる丸棒部材回転駆動手段と、を備えた構成とし、前記吊り機構と前記埋設部材とで前記コンクリート製品を吊上げ可能とするコンクリート製品用吊り金具であって、
前記丸棒部材を、
前記埋設部材の軸線に沿った軸部本体と、当該軸部本体の前記一端部に形成され一部が前記軸部本体より外方に突設した抜止め突起部とで形成し、
前記シャックルを、
半円形状の吊り環部と、この吊り環部の両端部からそれぞれ延設した一方脚部および他方脚部とを有する形状に形成すると共に、その一方脚部および他方脚部とを前記軸部本体の軸線に沿って当該軸部本体に設け、
前記埋設部材を、
有底筒状に形成すると共に前記軸部本体を挿入可能とする軸部本体用挿入孔と、前記抜止め突起部を挿入可能とする抜止め突起部用挿入溝と、前記軸部本体の挿入方向奥側に設けられ前記軸部本体用挿入孔および抜止め突起部用挿入溝に連続すると共に前記底部とにより形成され前記軸部本体の回動時に前記抜止め突起部を収容可能な拡張室とを有する形状とし、
前記軸部本体用挿入孔の前記拡張室側端面に、前記丸棒部材を挿入した後当該丸棒部材を一方向に回転させた時前記抜止め突起部の後端面が乗上げる傾斜面部と、この傾斜面部に連続すると共に当該傾斜面部を乗越えた時前記抜止め突起部の位置を決める抜止め突起部用位置決め溝を設け、
前記抜止め突起部と前記傾斜面部の乗上げスタート点との相互位置関係を前記付勢部材が圧縮する直前のとき前記抜止め突起部の後端面が前記傾斜面部の乗上げスタート点に位置するように設定したことを特徴とするコンクリート製品用吊り金具。
【請求項2】
請求項1に記載のコンクリート製品用吊り金具において、
前記丸棒部材回転駆動手段を幅方向に対して長さ方向が長い形状のノブで構成し、このノブを、前記丸棒部材と前記埋設部材とが係止したとき前記ノブの上記長さ方向が垂直方向に向くように前記丸棒部材と前記埋設部材との位置関係を設定したことを特徴とするコンクリート製品用吊り金具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンクリート製品用吊り金具において、
前記丸棒部材の前記吊り部材の他方脚部の側面に設けられ前記軸部本体が前記埋設部材に挿入された時当該埋設部材の一端面と当接する当接リングを備えていることを特徴とするコンクリート製品用吊り金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−25580(P2012−25580A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168642(P2010−168642)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(598140021)京新工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】