コンセンサス/先祖免疫原
【課題】幅広いHIV初代単離株を中和する抗体を誘導するための免疫原及び/又はT細胞免疫応答を誘導する免疫原を提供する。
【解決手段】コンピュータモデルを使用して、中心化されたHIV−1遺伝子のコンセンサス配列を作製することによって、ワクチン株と現在の流行ウイルス間の配列の不一致の程度を最小限に抑えるような免疫原を使用して、抗HIV抗体を誘導する方法及び/又はT細胞免疫応答を誘導する方法。さらに、前記免疫原となるコンセンサス配列からなるタンパク質のアミノ酸配列、並びに、前記タンパク質をコードする核酸配列。
【解決手段】コンピュータモデルを使用して、中心化されたHIV−1遺伝子のコンセンサス配列を作製することによって、ワクチン株と現在の流行ウイルス間の配列の不一致の程度を最小限に抑えるような免疫原を使用して、抗HIV抗体を誘導する方法及び/又はT細胞免疫応答を誘導する方法。さらに、前記免疫原となるコンセンサス配列からなるタンパク質のアミノ酸配列、並びに、前記タンパク質をコードする核酸配列。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年9月17日に出願された仮出願第60/503,460号及び2004年8月27日に出願された仮出願第60/604,722号の優先権を主張するものであり、これらの内容全体は、参照により、本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、概括的には免疫原に関し、具体的には、幅広いHIV初代単離株を中和する抗体を誘導するための免疫原及び/又はT細胞免疫応答を誘導する免疫原に関する。本発明は、このような免疫原を使用して、抗HIV抗体を誘導する方法及び/又はT細胞免疫応答を誘導する方法にも関する。本発明は、さらに、本発明の免疫原をコードする核酸配列に関する。
【背景技術】
【0003】
HIV−1の高レベルの遺伝的変異性は、AIDSワクチン開発にとって大きな障害となっている。HIV−1のグループM、N及びO間の遺伝的差異は大きく、gag及びenv遺伝子では、それぞれ30%から50%にわたる(Gurtler et al, J.Virol. 68:1581-1585(1994), Vanden Haesevelde et al, J. Virol. 68: 1586-1596(1994), Simon et al, Nat. Med. 4:1032-1037(1998), Kuiken et al, Human retroviruses and AIDS 2000: a compilation and analysis of nucleic acid and amino acid sequences (Theoretical Biology and Biophysics Group, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico))。グループMに属するウイルスは、さらに、遺伝的に異なる9つのサブタイプ(A−D、F−H、J及びK)に分類される(Kuiken et al, Human retroviruses and AIDS 2000: a compilation and analysis of nucleic acid and amino acid sequences (Theoretical Biology and Biophysics Group, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico, Robertson et al, Science 288:55-56(2000), Robertson et al, Human retroviruses and AIDS 1999: a compilation and analysis of nucleic acid and amino acid sequences, eds. Kuiken et al (Theoretical Biology and Biophysics Group, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico), pp. 492-505(2000))。HIV−1サブタイプ間のenv遺伝子中の遺伝的変動が30%にも達するため、全てのHIV−1サブタイプに対して、異なるサブタイプにわたり、T及びB細胞免疫応答を一貫して惹起することは困難であった。HIV−1は、しばしば、異なるサブタイプ間で組換えを行い、組換え型流行株(CRF;circulating recombinant form)を作り出す(Robertson et al, Science 288:55-56(2000), Robertson et al, Human retroviruses and AIDS 1999: a compilation and analysis of nucleic acid and amino acid sequences, eds. Kuiken et al (Theoretical Biology and Biophysics Group, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico), pp. 492-505 (2000), Carr et al, Human retroviruses and AIDS 1998: a compilation and analysis of nucleic acid and amino acid sequences, eds. Korber et al (Theoretical Biology and Biophysics Group, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico), pp. III-10-III-19(1998))。複数のサブタイプが一般的な地理的領域では、HIV−1単離株の20%超が組換え体であり(Robertson et al, Nature 374:124-126(1995), Cornelissen et al, J. virol.70:8209-8212(1996), Dowling et al, AIDS 16:1809-1820(2002))、組換えウイルスの発生頻度が高いことが、実験的なHIV−1免疫原の設計をさらに複雑にし得る。
【0004】
AIDSワクチン開発におけるこれらの困難な課題を克服するために、3つのコンピュータモデル(コンセンサス、先祖及び樹形中心(COT;center of the tree))を使用して、中心化されたHIV−1遺伝子(centralized HIV−1 gene)が生成されている(Gaschen et al, Science 296:2354-2360(2002), Gao et al, Science 299:1517-1518(2003), Nickle et al, Science 299:1515-1517 (2003), Novitsky et al, J. Virol. 76:5435-5451(2002), Ellenberger et al, Virology 302:155-163(2002), Korber et al, Science 288:1789-1796(2000))。HIVの生物学は、星状の系統発生を生じ、この結果、3種類の配列は互いに2から5%異なる(Gao et al, Science 299:517−1518 (2003))。3つの中心化された遺伝子戦略は何れも、免疫原と野生ウイルス株間のタンパク質距離を少なくするであろう。コンセンサス配列は、アラインメント中の各位置において最も一般的なアミノ酸を基礎として、人工配列を作製することによって、ワクチン株と現在の流行ウイルス間の配列の不一致の程度を最小限に抑える(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002))。先祖配列は、コンセンサス配列と類似するが、最大確率系統発生分析法を用いて作製される(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Nickle et al, Science 299:1515−1517(2003))。このようにする際には、本方法は、分析された現行の野生型配列の仮定的な先祖遺伝子を再現する(図26)。Nickleらは、樹形中心(COT)という、先祖配列と似ているが、外れ値による影響が先祖配列より低い中心化されたHIV−1配列を作製するための別の方法を提案した(Science 299:1515−1517(2003))。
【0005】
本発明は、中心化された免疫原がT及びBの両細胞免疫応答を動物に誘導できるかどうかを決定するために設計された研究の結果から、少なくとも部分的にはもたらされる。これらの研究では、人工のグループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)の作製、並びにCON6エンベロープを可溶性gp120及びgp140CFタンパク質として発現するためのDNAプラスミド及び組換えワクシニアウイルスの構築を行う。この結果は、CON6 Envタンパク質が生物学的に機能的であり、野生型HIVの線形、高次構造及びグリカン依存性エピトープを有しており、HIVサブタイプB及びCの両方のT細胞エピトープを認識するサイトカイン産生T細胞を誘導する。重要なことは、CON6、gp120及びgp140CFタンパク質は、サブタイプB及びCのHIV−1初代単離株のサブセットを中和する抗体を誘導するということである。
【0006】
中心化されたHIV−1遺伝子アプローチの研究の反復的性質は、HIV−1配列の急速に拡大する進化、及びHIV配列データベース(すなわち、 the Los Alamos National Database)に集められた配列は、毎年、継続的に新たな配列で更新されているという事実に由来する。CON6 gp120エンベロープ遺伝子は、Year 1999 Los Alamos National Databaseの配列に由来し、Con−sはYear 2000 Los Alamos National Databaseの配列に由来する。さらに、CON6は、チャイニーズサブタイプC V1、V2、V4及びV5 Env配列を有するのに対して、Con−Sは全て、最小長の可変ループへと短縮されたグループMコンセンサスEnv定常領域及び可変領域を有する。HIV−1初代単離株に対して幅広い反応性があるT及びB細胞応答を誘導するのに使用するために、野生型HIV−1 Env遺伝子の対応する系列を比較用に有するように、一連のYear 2003グループM及びサブタイプコンセンサス配列に対するコドン最適化遺伝子が設計されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、幅広いHIV初代単離株を中和する抗体を誘導するための免疫原及び/又はT細胞免疫応答を誘導する免疫原ならびに前記免疫原をコードする核酸配列に関する。本発明は、このような免疫原を使用して、抗HIV抗体を誘導する方法及び/又はT細胞免疫応答を誘導する方法にも関する。
【0008】
本発明の目的及び利点は、以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1−1】グループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)の作製及び発現。CON6 gp160の完全なアミノ酸配列が示されている。
【0010】
(図1A)野生型CRF08_BC(98CN006)env遺伝子から得られる5つの領域は、下線を付した文字によって記されている。可変領域は、配列の上にある括弧によって記されている。N結合型グリコシル化部位の候補は、太字で強調されている。
【図1−2】グループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)の作製及び発現。
【0011】
(図1B)CON6 gp120及びgp140CFの構築。CON6 gp120及びgp140CFプラスミドは、それぞれ、gp120切断部位の後、又は膜貫通ドメインの前に停止コドンを導入することによって作製された。gp120/gp41切断部位及びgp41の融合ドメインは、gp140CFタンパク質では欠失した。
【0012】
(図1C)CON6 gp120及びgp140CFの発現。CON6 gp120及びgp140CFは、galanthus Nivalisアルガロース−レクチンカラムを用いて、rWを感染させた293T細胞の細胞培養上清から精製された。gp120及びgp140CFの両者を、10%のSDS−ポリアクリルアミドゲルで分離し、Commassieブルーで染色した。
【0013】
(図1D.)高度に発現されるヒト遺伝子のコドン使用に基づいて、CON6 env遺伝子を最適化した。
【図2−1】CON6 gp120 gp140 CFの、可溶性CD4(sCD4)及び抗Env mAbへの結合。
【0014】
(図2A−2B)CM5センサーチップ(BIAcore)に、表記の各mab及びsCD4を共有結合によって固定し、CON6 gp120(図2A)又はgp140CF(図2B)(それぞれ、100g/mL及び300μg/mL)を各表面に注射した。CON6 gp120及びgp140CFへの結合が無視できる程度であったfor17b mabを除き、gp120及びgp140CF両タンパク質は、検査した各抗gp120mabと反応した。CON6 gp120及びgp140CFへの17b mab結合の誘導を測定するために、sCD4又はmab A32若しくはT8が固定化された各フローセル上にCON6 gp120(図2C)又はgp140CF(図2D)タンパク質を捕捉した(400から580RU)。各表面の安定化を行った後、mAb 17bを注入し、固定化された各フローセルの上に流した。曲線の重ね合わせにより、mab 17bのCON6 Envタンパク質への結合が、sCD4及びmab A32表面の両者で顕著に増加しているが、T8表面上では増加していないことが明らかである(図2C−2D)。
【図2−2】CON6 gp120 gp140 CFの、可溶性CD4(sCD4)及び抗Env mAbへの結合。
【0015】
CON6 gp120及びgp140CFのヒト mabへの結合をELISAで決定するために、CON6 gp120及びgp140CFに対するmab 447、F39F、A32、IgG1b12及び2F5の20μg/mLの原溶液を滴定した(図2E)。Mab 447(V3)、F39F(V3)A32(gp120)及びIgG1b12(CD4結合部位)は、それぞれ、CON6 gp120及び140ウェルの両方に結合したのに対して、2F5(抗gp41 ELDKWAS)はgp140CFのみを結合した。gp120に対するmab 447及びF39Fの結合の終末点力価における濃度は、それぞれ、0.003μg/mL未満及び0.006μg/mL未満であり、mab A32については、0.125μg/mL未満、IgG1b12については、0.002μg/mL未満、2F5については、0.016g/mLであった。
【図3】CON6エンベロープの感染性及び共同受容体使用。
【0016】
(図3A)CON6及び対照envプラスミドを、HIV−1/SG3Δenv骨格とともに、ヒト293T細胞中に同時形質移入して、Env擬ビリオンを作製した。JC53−BL細胞を感染させるために、等量の各擬ビリオン(5ng p24)を使用した。β−gal発現について感染細胞を染色した後、1μgの擬ビリオンのp24(IU/μg p24)当たりの青い細胞(感染単位、IU)の数を数えることによって、感染性を決定した。
【0017】
(図3B)AMD3100及び/又はTAK−799により、1時間(37℃)で処理した後、等量の各Env擬ビリオンのp24(5ng)に感染させたJC53BL細胞に対して、CON6 env遺伝子の共同受容体の使用を決定した。対照グループにおける感染性(遮断剤なし)を100%として設定した。遮断効率は、遮断剤なしの対照培養から得たものと比較した、遮断実験由来のIUのパーセントとして表した。示されているデータは、平均±SDである。
【図4】複数サブタイプの抗血清に対する複数サブタイプのEnvタンパク質のウェスタンブロット分析。等量のEnvタンパク質(100ng)を、10%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上で分離した。電気泳動後、タンパク質をHybond ECLニトロセルロース膜に転写し、HIV−1感染した患者から得た血清(1:1,000)、又はCON6 gp120 DNA初回刺激、rW追加刺激で免疫したモルモット(1:1,000)から得た血清(1:1,000)と反応させた。タンパク質が結合された抗体を、蛍光標識した二次抗体でプローブし、画像をスキャンし、赤外線撮像装置Odyssey(Li−Cor,Lincoln.NE.)上に記録した。サブタイプは、Envタンパク質及び血清IDの後に、一文字で表記されている。各サブタイプに対して4から6個の血清を検査し、反応パターンは、同じサブタイプから得た全ての血清間で類似していた。各サブタイプの血清に対して一つの代表的な結果が示されている。
【図5】マウス中のCON6 Env 免疫原によって誘導されたT細胞免疫応答。免疫化された各マウスから脾細胞を単離した(5匹のマウス/群)。CON6(黒のカラム)、サブタイプB(斜線入りカラム)、サブタイプC(白のカラム)及び溶媒(ペプチドなし;灰色のカラム)の重複するEnvペプチドプールで、脾細胞をインビトロで刺激した後、ELISPOTアッセイによってINF−γ産生細胞を決定した。CON6 gp120又はgp140CFによって誘導されたT細胞IFN−γ応答を、サブタイプ特異的なEnv免疫原(JRFL及び96ZM651)によって誘導された応答と比較した。各エンベロープペプチドのプールに対する総応答は、百万個の脾細胞当たりのSFCとして表される。各カラムに対する値は、IFN−γ SFCの平均±SEMである(n=5匹のマウス/群)。
【図6A】コドン使用を最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子の構築(それぞれ、図6A及び6B)。高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用を正確に反映させるために、先祖及びコンセンサスアミノ酸配列(それぞれ、図6C及び6D)を転写した。制限酵素部位EcoRI、BbsI、BamHI及びBsmBIを含む5’の不変配列を含有するように、20bpが重複するペアのオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBsmBIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなすオリゴマーを個別に段階的な様式で連結し、140bpのPCR産物を得た。これらをpGEM−T中にサブクローニングし、配列決定して意図しない変異/欠失の不存在を確認した。適切な挿入物を含有する4つの各pGEM−Tサブクローンを消化し、互いに連結してpcDNA3.1とした。全体の遺伝子がpcDNA3.1中に再構築されるまで、遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で多断片連結が段階的に繰り返し起こった。(図6Eの模式図参照)
【図6B】コドン使用を最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子の構築(それぞれ、図6A及び6B)。高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用を正確に反映させるために、先祖及びコンセンサスアミノ酸配列(それぞれ、図6C及び6D)を転写した。制限酵素部位EcoRI、BbsI、BamHI及びBsmBIを含む5’の不変配列を含有するように、20bpが重複するペアのオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBsmBIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなすオリゴマーを個別に段階的な様式で連結し、140bpのPCR産物を得た。これらをpGEM−T中にサブクローニングし、配列決定して意図しない変異/欠失の不存在を確認した。適切な挿入物を含有する4つの各pGEM−Tサブクローンを消化し、互いに連結してpcDNA3.1とした。全体の遺伝子がpcDNA3.1中に再構築されるまで、遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で多断片連結が段階的に繰り返し起こった。(図6Eの模式図参照)
【図6C】コドン使用を最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子の構築(それぞれ、図6A及び6B)。高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用を正確に反映させるために、先祖及びコンセンサスアミノ酸配列(それぞれ、図6C及び6D)を転写した。制限酵素部位EcoRI、BbsI、BamHI及びBsmBIを含む5’の不変配列を含有するように、20bpが重複するペアのオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBsmBIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなすオリゴマーを個別に段階的な様式で連結し、140bpのPCR産物を得た。これらをpGEM−T中にサブクローニングし、配列決定して意図しない変異/欠失の不存在を確認した。適切な挿入物を含有する4つの各pGEM−Tサブクローンを消化し、互いに連結してpcDNA3.1とした。全体の遺伝子がpcDNA3.1中に再構築されるまで、遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で多断片連結が段階的に繰り返し起こった。(図6Eの模式図参照)
【図6D】コドン使用を最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子の構築(それぞれ、図6A及び6B)。高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用を正確に反映させるために、先祖及びコンセンサスアミノ酸配列(それぞれ、図6C及び6D)を転写した。制限酵素部位EcoRI、BbsI、BamHI及びBsmBIを含む5’の不変配列を含有するように、20bpが重複するペアのオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBsmBIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなすオリゴマーを個別に段階的な様式で連結し、140bpのPCR産物を得た。これらをpGEM−T中にサブクローニングし、配列決定して意図しない変異/欠失の不存在を確認した。適切な挿入物を含有する4つの各pGEM−Tサブクローンを消化し、互いに連結してpcDNA3.1とした。全体の遺伝子がpcDNA3.1中に再構築されるまで、遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で多断片連結が段階的に繰り返し起こった。(図6Eの模式図参照)
【図6E】コドン使用を最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子の構築(それぞれ、図6A及び6B)。高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用を正確に反映させるために、先祖及びコンセンサスアミノ酸配列(それぞれ、図6C及び6D)を転写した。制限酵素部位EcoRI、BbsI、BamHI及びBsmBIを含む5’の不変配列を含有するように、20bpが重複するペアのオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBsmBIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなすオリゴマーを個別に段階的な様式で連結し、140bpのPCR産物を得た。これらをpGEM−T中にサブクローニングし、配列決定して意図しない変異/欠失の不存在を確認した。適切な挿入物を含有する4つの各pGEM−Tサブクローンを消化し、互いに連結してpcDNA3.1とした。全体の遺伝子がpcDNA3.1中に再構築されるまで、遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で多断片連結が段階的に繰り返し起こった。(図6Eの模式図参照)
【図7】JC53−BL細胞は、高レベルのCD4並びにHIV−1共同受容体CCR5及びCXCR4を発現するHeLa細胞から派生した細胞である。JC53−BL細胞は、それぞれ、HIV−1 LTRから発現されるルシフェラーゼとβ−ガラクトシダーゼのレポーターカセットも含有している。レポーター遺伝子の発現は、HIV−1 Tatの産生に依存する。簡潔に述べると、細胞を24又は96ウェルプレート中に播種し、37℃で24時間インキュベートし、37℃で30分間、DEAE−Dextranで処理した。1% DMEM中にウイルスを系列希釈し、DEAE−デキストラン中でインキュベートしている細胞に加え、37℃で3時間インキュベートした後、さらに細胞培地を各ウェルに添加する。37℃で48時間、最終インキュベーションを行った後、細胞を固定し、β−ガラクトシダーゼを発現している青色の病巣を可視化するために、X−Galを用いて染色するか、又はルシフェラーゼ活性を測定するために3回凍結融解した。
【図8】サブタイプC先祖及びコンセンサスenv遺伝子の配列アラインメント。95.5%の配列相同性を示すサブタイプC先祖(下の線)及びコンセンサス(上の線)env配列のアラインメント;アミノ酸配列の差が記されている。一つの顕著な差は、V1ループの基部にあるC先祖env遺伝子中にグリコシル化部位が追加されていることである。プラスの符号は、表記位置におけるアミノ酸がクラス内で異なることを表しており、バーは、アミノ酸のクラスが変化していることを表している。N−グリコシル化部位の候補は、青でマークされている。gp140遺伝子に対する末端切断の位置も示されている。
【図9】293T細胞中でのサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープの発現。コドンを最適化されたgp160、gp140又はgp120サブタイプC先祖及びコンセンサス遺伝子を含有するプラスミドを293T細胞中に形質移入し、細胞可溶化液のウェスタンブロット分析によって、タンパク質発現を調べた。形質移入から48時間後に、細胞可溶化液を集め、BCAタンパク質アッセイによって、総タンパク質含量を測定し、4から20%のSDS−PAGEゲル上のレーン当たり2μgの総タンパク質を載せた。タンパク質をPVDF膜に転写し、サブタイプCに感染した患者から得たHIV−1血漿でプローブした。
【図10】図10A。コドン最適化されたサブタイプ先祖C及びコンセンサスgp160及びgp140による、env欠失HIV−1のトランス相補性。コドン最適化された、サブタイプC先祖又はコンセンサスgp160若しくはgp140遺伝子を含有するプラスミドを、HIV−1SG3Δenvプロウイルスとともに、293T細胞中に同時形質移入した。形質移入から48時間後に、偽型ウイルスを含有する細胞上清を採集し、遠心によって清澄にし、0.2μMのフィルターを通してろ過し、20%のスクロースクッションを通して沈降させる。各ウイルスペレット中のp24の定量は、Coulter HIV−1 p24抗原アッセイを用いて決定した。コドン最適化されたエンベロープを含有する粒子については、4から20%のSDS−PAGEゲル上のレーン当たり25ngのp24を載せた。rev依存性野生型サブタイプC 96ZAM651env遺伝子の同時形質移入によって作製された粒子については、レーン当たり250ngのp24を載せた。レーン当たりに載せられたp24の量の差は、ウェスタンブロットによるrev依存性エンベロープの可視化を確保するために必要であった。タンパク質をPVDF膜に転写し、HIV−1サブタイプB及びサブタイプCに感染した個体から得た、プールされた血漿でプローブした。
【0018】
図10B。サブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ糖タンパク質を含有するウイルス粒子の感染性。JC53−BLアッセイを用いて、先祖又はコンセンサスgp160若しくはgp140エンベロープを含有する偽型ウイルスの感染性を決定した。Coulter p24抗原アッセイによって、スクロースクッションで精製されたウイルス粒子をアッセイし、DEAE−Dextran処理されたJC53−BL細胞とともに、各ペレットの5倍系列希釈をインキュベートした。48時間のインキュベーション期間後に、細胞を固定し、β−ガラクトシダーゼ発現細胞を可視化するために染色した。導入した擬ビリオンの濃度差を標準化するために、感染性は、1ngのp24当たりの感染単位として表されている。
【図11】サブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープの共同受容体の使用。先祖又はコンセンサスエンベロープを含有する偽型粒子を、AMD3100(CXCR4の特異的阻害剤)、TAK779(CCR5の特異的阻害剤)又はAMD3000+TAK779の存在下で、DEAE−Dextran処理されたJC53−BL細胞とともにインキュベートして、共同受容体の使用を測定した。CXCR4を使用することが知られた単離株NL4.3及びCCR5を使用する公知の単離株YU−2を対照として含めた。
【図12】サブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ糖タンパク質の中和感受性。先祖、コンセンサス又は96ZAM651 gp160エンベロープ(1,500感染単位)を含有する等量の擬ビリオンを、HIV−1サブタイプCに感染した患者から得た血漿試料のパネルとともに、プレインキュベートし、96ウェルプレート中のJC53−BL細胞単層に添加した。プレートを2日間培養し、ウイルスの感染性の指標として、ルシフェラーゼ活性を測定した。ウイルス感染性は、各濃度の抗体で生じたルシフェラーゼユニット(LU)を、対照感染によって生じたLUで除することによって算出する。次いで、各ウイルスに対して、平均50%阻害濃度(IC50)及び各抗体希釈における実際の%中和を算出する。平行する感染における青色の病巣を直接計数することによって、全てのルシフェラーゼ実験の結果を確認する。
【図13−1】293T細胞への形質移入後のコンセンサスサブタイプC Gag(図13A)とNef(図13B)のタンパク質発現。コンセンサスサブタイプC Gag及びNefアミノ酸配列は、それぞれ、図13C及び13Dに記されており、コードしている配列は、図13E及び13Fに記されている。
【図13−2】293T細胞への形質移入後のコンセンサスサブタイプC Gag(図13A)とNef(図13B)のタンパク質発現。コンセンサスサブタイプC Gag及びNefアミノ酸配列は、それぞれ、図13C及び13Dに記されており、コードしている配列は、図13E及び13Fに記されている。
【図14−1】図14Aおよび14Bは、それぞれ、Con−S Envのアミノ酸配列及びコード配列を示している。図14Cは、インビトロ転写及び翻訳系を用いたグループMコンセンサスCon−S Envタンパク質の発現を示している。
【図14−2】図14Aおよび14Bは、それぞれ、Con−S Envのアミノ酸配列及びコード配列を示している。図14Cは、インビトロ転写及び翻訳系を用いたグループMコンセンサスCon−S Envタンパク質の発現を示している。
【図15】哺乳類細胞中でのCon−S env遺伝子の発現。(図15A−細胞可溶化液、図15B−上清)
【図16】CON6及びCon−S env遺伝子の感染性(図16A)及び共同受容体の使用(図16B)。
【図17】CON6及びCon−S Env擬ビリオンへのEnvタンパク質の取り込み。(図17A−可溶化液、図17B−上清、図17C−ペレット。)
【図18−1】図18Aおよび18Bは、それぞれ、サブタイプAのコンセンサスEnvアミノ酸配列及びこれをコードする核酸配列を示している。
【図18−2】図18Aおよび18Bは、それぞれ、サブタイプAのコンセンサスEnvアミノ酸配列及びこれをコードする核酸配列を示している。
【図18−3】図18C及び18Dは、哺乳類細胞中でのA. con env遺伝子発現を示している(図18C−細胞可溶化液、図18D−上清)。
【図19−1】M.con.gag(図19A)、M.con.pol(図19B)、M.con.nef(図19C)及びC.con.pol(図19D)核酸配列及び対応するコードされたアミノ酸配列(それぞれ、図19E−19H)
【図19−2】M.con.gag(図19A)、M.con.pol(図19B)、M.con.nef(図19C)及びC.con.pol(図19D)核酸配列及び対応するコードされたアミノ酸配列(それぞれ、図19E−19H)
【図19−3】M.con.gag(図19A)、M.con.pol(図19B)、M.con.nef(図19C)及びC.con.pol(図19D)核酸配列及び対応するコードされたアミノ酸配列(それぞれ、図19E−19H)
【図19−4】M.con.gag(図19A)、M.con.pol(図19B)、M.con.nef(図19C)及びC.con.pol(図19D)核酸配列及び対応するコードされたアミノ酸配列(それぞれ、図19E−19H)
【図19−5】M.con.gag(図19A)、M.con.pol(図19B)、M.con.nef(図19C)及びC.con.pol(図19D)核酸配列及び対応するコードされたアミノ酸配列(それぞれ、図19E−19H)
【図20−1】サブタイプBコンセンサスgag(図20A)及びenv(図20B)遺伝子。対応するアミノ酸配列は、図20C及び20Dに示されている。
【図20−2】サブタイプBコンセンサスgag(図20A)及びenv(図20B)遺伝子。対応するアミノ酸配列は、図20C及び20Dに示されている。
【図20−3】サブタイプBコンセンサスgag(図20A)及びenv(図20B)遺伝子。対応するアミノ酸配列は、図20C及び20Dに示されている。
【図21】293T細胞中でのサブタイプBコンセンサスenv及びgag遺伝子の発現。コドンを最適化されたサブタイプBコンセンサスgp160、gp140及びgag遺伝子を含有するプラスミドを293T細胞中に形質移入し、細胞可溶化液のウェスタンブロット分析によって、タンパク質発現を調べた。形質移入から48時間後に、細胞可溶化液を集め、BCAタンパク質アッセイによって、総タンパク質含量を測定し、4から20%のSDS−PAGEゲル上のレーン当たり2μgの総タンパク質を載せた。タンパク質をPVDF膜に転写し、HIV−1サブタイプBに感染した個体から得た血清で探索した。
【図22】サブタイプBコンセンサスエンベロープの共同受容体の使用。サブタイプBコンセンサスgp160 Envを含有する偽型粒子を、AMD3100(CXCR4の特異的阻害剤)、TAK779(CCR5の特異的阻害剤)及びAMD3000+TAK779の存在下で、DEAE−Dextran処理されたJC53−BL細胞とともにインキュベートして、共同受容体の使用を測定した。CXCR4を使用することが知られた単離株NL4.3及びCCR5を使用する公知の単離株YU−2を対照として含めた。
【図23】コドン最適化されたサブタイプB並びにコンセンサスgp160及びgp140遺伝子による、env欠失HIV−1のトランス相補性。コドン最適化された、サブタイプBコンセンサスgp160若しくはgp140遺伝子を含有するプラスミドを、HIV−1SG3Δenvプロウイルスとともに、293T細胞中に同時形質移入した。形質移入から48時間後に、偽型ウイルスを含有する細胞上清を採集し、卓上遠心機で清澄にし、0.2μMのフィルターを通してろ過し、20%のスクロースクッションを通して沈降させる。各ウイルスペレット中のp24の定量は、Coulter HIV−1 p24抗原アッセイを用いて決定した。4から20%のSDS−PAGEゲル上のレーン当たり25ngのp24を載せた。タンパク質をPVDF膜に転写し、HIV−1サブタイプBに感染した患者の血清から得た抗HIV−1抗体でプローブした。対照のために、rev依存性NL4.3 envによるトランス相補性を含めた。図23B。サブタイプBコンセンサスエンベロープを含有するウイルス粒子の感染性。JC53−BLアッセイを用いて、コンセンサスB gp160若しくはgp140を含有する偽型ウイルスの感染性を決定した。Coulter p24抗原アッセイによって、スクロースクッションで精製されたウイルス粒子をアッセイし、DEAE−Dextran処理されたJC53−BL細胞とともに、各ペレットの5倍系列希釈をインキュベートした。48時間のインキュベーション期間後に、細胞を固定し、β−ガラクトシダーゼ発現細胞を可視化するために染色した。感染性は、1μgのp24当たりの感染単位として表されている。
【図24−1】サブタイプBコンセンサスgp160エンベロープを含有するビリオンの中和感受性。サブタイプBコンセンサス又はNL4.3 Env(gp160)(1,500感染単位)を含有する等量の擬ビリオンを、3つの異なるモノクローナル中和抗体及びHIV−1サブタイプBに感染した個体から得た血漿試料のパネルとともにプレインキュベートし、次いで、96ウェルプレート中のJC53−BL細胞単層中に添加した。プレートを2日間培養し、ウイルスの感染性の指標として、ルシフェラーゼ活性を測定した。ウイルス感染性は、各濃度の抗体で生じたルシフェラーゼユニット(LU)を、対照感染によって生じたLUで除することによって算出した。次いで、各ウイルスに対して、平均50%阻害濃度(IC50)及び各抗体希釈における実際の%中和を算出した。平行する感染における青色の病巣を直接計数することによって、全てのルシフェラーゼ実験の結果を確認した。図24A。サブタイプBコンセンサスEnv(gp160)を含有する擬ビリオンの中和。図24B。NL4.3 Env(gp160)を含有する擬ビリオンの中和。
【図24−2】サブタイプBコンセンサスgp160エンベロープを含有するビリオンの中和感受性。サブタイプBコンセンサス又はNL4.3 Env(gp160)(1,500感染単位)を含有する等量の擬ビリオンを、3つの異なるモノクローナル中和抗体及びHIV−1サブタイプBに感染した個体から得た血漿試料のパネルとともにプレインキュベートし、次いで、96ウェルプレート中のJC53−BL細胞単層中に添加した。プレートを2日間培養し、ウイルスの感染性の指標として、ルシフェラーゼ活性を測定した。ウイルス感染性は、各濃度の抗体で生じたルシフェラーゼユニット(LU)を、対照感染によって生じたLUで除することによって算出した。次いで、各ウイルスに対して、平均50%阻害濃度(IC50)及び各抗体希釈における実際の%中和を算出した。平行する感染における青色の病巣を直接計数することによって、全てのルシフェラーゼ実験の結果を確認した。図24C。サブタイプBコンセンサスEnv(gp160)を含有する擬ビリオンの中和。図24D。NL4.3 Env(gp160)を含有する擬ビリオンの中和。
【図25】図25A。ショ糖勾配画分の密度及びp24分析。20から60%のショ糖勾配から、0.5mLの画分を集めた。画分番号1は、勾配チューブの底から採取された最も密度の高い画分を表している。屈折計で密度を測定し、各画分中に存在するp24の量を、Coulter p24抗原アッセイによって決定した。画分6−9、10−15、16−21及び22−25を一緒にプールし、ウェスタンブロットによって分析した。予想通り、ビリオンは、1.16から1.18g/mLの密度で沈降した。
【0019】
図25B。サブタイプBコンセンサスgag及びenv遺伝子の同時形質移入によるVLPの産生。サブタイプBコンセンサスgag及びenv遺伝子で、293T細胞を同時形質移入した。形質移入から48時間後に細胞上清を採集し、20%のショ糖クッションを通して清澄にし、20から60%のショ糖勾配を通してさらに精製した。勾配由来の選択した画分をプールして、20mLのPBSに添加し、100,000×gで一晩遠心した。再懸濁したペレットを4から20%のSDS−PAGEゲル上に載せ、タンパク質をPVDF膜に転写し、HIV−1サブタイプBに感染した個体から得た血漿でプローブした。
【図26】図26A。2000 Con−S 140CFI.ENV.図26B。コドン最適化されたYear 2000 Con−S 140CFI.seq。
【図27】HIV−1エンベロープペプチドに対する各C57BL/6マウスT細胞応答。CON6 gp140CFI及びCon−S gp140CFIのC57BL/Cマウス中での比較免疫原性。DNA初回刺激、rW追加刺激投与計画、群当たり5匹のマウスで、HIV5305(サブタイプA)、2801(サブタイプB)、CON6又はCon−S Envelope遺伝子でマウスを免疫した。rW追加刺激から10日後に、HIV−1 UG37(A)、MN(B)、Chl9(C)、89.6(B)SF162(B)又は無ペプチド陰性対照のEnvから得た重複するペプチドの混合物を用いて、IFN−γスポット形成細胞に対して脾細胞をアッセイした。
【図28】図28A。Con−B 2003 Env.pep(841アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図28B。Con−B 140CF.pep(632アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図28C。コドン最適化された Con−B 140CF.seq(1927ヌクレオチド)。
【図29】図29A。CON_OF_CONS−2003(829アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図29B。ConS−2003 140CF.pep(620アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図29C。コドン最適化された ConS−2003 140CF.seq(1891ヌクレオチド)。
【図30】図30A。コンセンサス_A1−2003(845アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図30B。Con−A1−2003 140CF.pep(629アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図30C。コドン最適化された Con−A1−2003 seq。
【図31】図31A。コンセンサス_C−2003(835アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図31B。Con−C 2003 140CF.pep(619アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図31C。コドン最適化された Con−C 2003 140CF(1,888ヌクレオチド)。
【図32】図32A。コンセンサス_G−2003(842アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図32B。Con−G−2003 140CF.pep(626アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図32C。コドン最適化された Con−G−2003 seq。
【図33】図33A。コンセンサス_01_AE−2003(854アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図33B。Con−AE01−2003 140CF.pep(638アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図33C。コドン最適化された Con−AE01−2003 seq.(1945ヌクレオチド)。
【図34】図34A。野生型サブタイプA Env.00KE_MSA4076−A(サブタイプA、891アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図34B。00KE_MSA4076−A 140CF.pep(647アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図34C。コドン最適化された 00KE_MSA4076−A 140CF. seq.(1972ヌクレオチド)。
【図35】図35A。野生型サブタイプB.QH0515.1g gp160(861アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図35B。QH0515. lg 140CF (651アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図35C。コドン最適化された QH0515.1g 140CF.seq(1984ヌクレオチド)。
【図36】図36A。野生型サブタイプC DU123.6 gp160(854アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図36B。DU123.6 140CF(638アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図36C。コドン最適化されたDU123.6 140CF. seq(1945ヌクレオチド)。
【図37】図37A。野生型サブタイプCRF01_AE.97CNGX2F−AE(854アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図37B。97CNGX2F−AE 140CF. pep(629アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図37C。コドン最適化された 97CNGX2F−AE 140CF. seq(1921ヌクレオチド)。
【図38】図38A。野生型DRCBL−G(854アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図38B。DRCBL−G 140CF.pep(630アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図38C。コドン最適化されたDRCBL−G 140CF. seq(1921ヌクレオチド)。
【図39】図39A。2003 Con−S Env。図39B。2003 Con−S Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図40】図40A。2003 M. Group.Anc Env。Fig. 40B。2003 M. Group. anc Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図41】図41A。2003 CON_A1 Env。図41B。2003 CON A1 Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図42】図42A。2003 A1.Anc Env。図42B。2003 A1. anc Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図43】図43A。2003 Con_A2 Env。図43B。2003 CON_A2 Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図44】図44A。2003 CON_B Env。図44B。2003 CON_B Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図45】図45A。2003 B. anc Env。図45B。2003 B. anc Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図46】図46A。2003 CON_C Env。図46B。2003 CON_C Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図47】図47A。2003 C. anc Env。図47B。2003 C. anc Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図48】図48A。2003 CON_D Env。図48B。2003 CON_D Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図49】図49A。2003 CON_F1 Env。図49B。2003 CON_F1 Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図50】図50A。2003 CON_F2 Env。図50B。2003 CON_F2 Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図51】図51A。2003 CON_G Env。図51B。2003 CON_G Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図52】図52A。2003 CON_H Env。図52B。2003 CON_H Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図53】図53A。2003 CON_01_AE Env。図53B。2003 CON_01_AE Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図54】図54A。2003 CON_02_AG Env。図54B。2003 CON_02_AG Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図55】図55A。2003 CON_03_AB Env。図55B。2003 CON_03_AB Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図56】図56A。2003 CON_04_CPX Env。図56B。2003 CON_04_CPX Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図57】図57A。2003 CON_06_CPX Env。図57B。2003 CON_06_CPX Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図58】図58A。2003 CON_08_BC Env。図58B。2003 CON_08_BC Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図59】図59A。2003 CON_10_CD Env。図59B。2003 CON_10_CD Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図60】図60A。2003 CON_11_CPX Env。図60B。2003 CON_11_CPX Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図61】図61A。2003 CON_12_BF Env。図61B。2003 CON_12_BF Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図62】図62A。2003 CON_14_BG Env。図62B。2003 CON_14_BG Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図63】図63A。2003 CON_S gag PEP。図63B。2003_CON_S gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図64】図64A。2003_M.GROUP.anc gag.PEP。図64B。2003_M.GROUP.anc gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図65】図65A。2003_CON_A1 gag.PEP。図65B。2003_CON_A1 gag. OPT。図65C。2003_A1. anc gag.PEP。図65D。2003_A1.anc gag.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図66】図66A。2003_CON_A2 gag.PEP。図66B。2003_CON_A2 gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図67】図67A。2003_CON_B gag.PEP。図67B。2003_CON_B gag.OPT。図67C。2003_B. anc gag. PEP。図67D。2003_B. anc gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図68】図68A。2003_CON_C gag.PEP。図68B。2003_CON_C gag.OPT。図68C。2003_C.anc.gag.PEP。図68D。2003_C.anc.gag.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図69】図69A。2003_CON_D gag.PEP。図69B。2003_CON_D gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図70】図70A。2003_CON_F gag PEP。図70B。2003_CON_F gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図71】図71A。2003_CON_G gag.PEP。図71B。2003_CON_S gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図72】図72A。2003_CON_H gag.PEP。図72B。2003_CON_H gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図73】図73A。2003_CON_K gag.PEP。図73B。2003_CON_K gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図74】図74A。2003_CON_01_AE gag.PEP。図7B。2003_CON_01AE gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図75】図75A。2003_CON_02_AG gag.PEP。図75B。2003_CON_02AG gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図76】図76A。2003_CON_03_ABG gag.PEP。図76B。2003_CON_03_ABG gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図77】図77A。2003_CON_04_CFX gag.PEP。図77B。2003 CON_04_CFX gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図78】図78A。2003_CON_06_CPX gag.PEP。図78B。2003_CON_06_CPX gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図79】図79A。2003_CON_07_BC gag.PEP。図79B。2003_CON_07_BC gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図80】図80A。2003_CON_08_BC gag.PEP。図80B。2003_CON_08_BC gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図81】図81A。2003_CON_10_CD gag.PEP。図81B。2003_CON_10_CD gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図82】図82A。2003_CON_11_CPX gag.PEP。図82B。2003_CON_11_CPX gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図83】図83A。2003_CON_12_BF.gag.PEP。図83B。2003_CON_12_BF. gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図84】図84A。2003_CON_14_BG gag.PEP。図84B。2003_CON_14_BG gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図85】図85A。2003_CONS nef.PEP。図85B。2003_CONS nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図86】図86A。2003_M GROUP. anc nef.PEP。図86B。2003_M. GROUP.anc.nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図87】図87A。2003_CON_A nef.PEP。図87B。2003_CON_A nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図88】図88A。2003_CON_A1 nef. PEP。図88B。2003_CON_A1 nef.OPT。図88C。2003_A1. anc nef.PEP。図88D。2003_A1.anc nef.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図89】図89A。2003_CON_A2 nef. PEP。図89B。2003_CON_A2 nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図90】図90A。2003_CON_B nef.PEP。図90B。2003_CON−B nef.OPT。図90C。2003_B.anc nef.PEP。図90D。2003_B.anc nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図91】図91A。2003_CON_02_AG nef.PEP。図91B。2003_CON_02_AG nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図92】図92A。2003_CON_C nef.PEP。図92B。2003_CON_C nef.OPT。図92C。2003_C.anc nef.PEP。図92D。2003_C.anc.nef.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図93】図93A。2003_CON_D nef.PEP。図93B。2003_CON_D nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図94】図94A。2003_CON_F1 nef.PEP。図94B。2003_CON_F1 nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図95】図95A。2003_CON_F2 nef.PEP。図95B。2003_CON_F2 nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図96】図96A。2003_CON_G nef.PEP。図96B。2003_CON_G nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図97】図97A。2003_CON_H nef.PEP。図97B。2003_CON_H nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図98】図98A。2003_CON_01_AE nef.PEP。図98B。2003_CON_01 AE nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図99】図99A。2003_CON_03_AE nef.PEP。図99B。2003_CON_03_AE nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図100】図100A。2003_CON_04_CFX nef.PEP。図100B。2003_CON_04_CFX nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図101】図101A。2003_CON_06_CFX nef.PEP。図101B。2003_CON_06_CFX nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図102】図102A。2003_CON_08_BC nef.PEP。図102B。2003_CON_08_BC nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図103】図103A。2003_CON_10_CD nef.PEP。図103B。2003_CON_10_CD nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図104】図104A。2003_CON_11_CFX nef.PEP。図104B。2003_CON_11_CFX nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図105】図105A。2003_CON_12_BF nef.PEP。図105B。2003_CON_12_BF nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図106】図106A。2003_CON_14_BG nef.PEP。図106B。2003_CON_14_BG nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図107】図107A。2003_CON_S pol.PEP。図107B。2003_CON_S pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図108】図108A。2003_M. GROUP. anc pol.PEP。図108B。2003_M. GROUP. anc pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図109−1】図109A。2003_CON_A1 pol.PEP。図109B。2003_CON_A1 pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図109−2】図109C。2003_A1.anc pol.PEP。図109D。2003_A1.anc pol.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図110】図110A。2003_CON_A2 pol.PEP。図110B。2003_CON_A2 pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図111−1】図111A。2003_CON_B pol.PEP。図111B。2003_CON_B pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図111−2】図111C。2003_B.anc pol.PEP。図111D。2003_B.anc pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図112−1】図112A。2003_CON_C pol.PEP。図112B。2003_CON_C pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図112−2】図112C。2003_C.anc pol.PEP。図112D。2003_C.anc pol.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図113】図113A。2003_CON_D pol.PEP。図113B。2003_CON_D pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図114】図114A。2003_CON_F1 pol.PEP。図114B。2003_CON_F1 pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図115】図115A。2003_CON_F2 pol.PEP。図115B。2003_CON_F2 pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図116】図116A。2003_CON_G pol.PEP。図116B。2003_CON_G pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図117】図117A。2003_CON_H pol.PEP。図117B。2003_CON_H pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図118】図118A。2003_CON_01_AE pol.PEP。図118B。2003_CON_01_AE pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図119】図119A。2003_CON_02_AG pol.PEP。図119B。2003_CON_02_AG pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図120】図120A。2003_CON_03_AB pol.PEP。図120B。2003_CON_03_AB pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図121】図121A。2003_CON_04_CPX pol.PEP。図121B。2003_CON_04_CPX pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図122】図122A。2003_CON_06_CPX pol. PEP。図122B。2003_CON_06_CPX pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図123】図123A。2003_CON_08_BC pol.PEP。図123B。2003_CON_08_BC pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図124】図124A。2003_CON_10_CD pol.PEP。図124B。2003_CON_10_CD pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図125】図125A。2003_CON_ll_CPX pol.PEP。図125B。2003_CON_ll_CPX pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図126】図126A。2003_CON_12_BF pol.PEP。図126B。2003_CON_12_BF pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図127】図127A。2003_CON_14_BG pol.PEP。図127B。2003_CON_14_BG pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【発明の詳細な説明】
【0020】
本発明は、多様なヒト免疫不全ウイルス(HIV)初代単離株を中和する抗体を誘導する免疫原及び/又はT細胞応答を誘導する免疫原に関する。該免疫原は、少なくとも一つのコンセンサス若しくは先祖免疫原(例えば、Env、Gag、Nef又はPol)、又はそれらの一部、又は変異形を含む。本発明は、コンセンサス若しくは先祖免疫原をコードする核酸配列又はそれらの一部、又は変異形にも関する。本発明は、さらに、前記免疫原およびコード配列の両者を使用する方法に関する。本発明は、具体的なコンセンサス及び先祖免疫原(例えば、グループMコンセンサスEnv)を参照しながら、詳細に記載されているが、本明細書に記載されているアプローチは、様々なコンセンサス又は先祖免疫原(例えば、他のHIV−1グループに対するエンベロープ(例えば、N及びO))を作製するために使用できることが自明であろう。
【0021】
本発明の一実施形態に従えば、コンセンサスenv遺伝子は、例えば、Los Alamos HIV Sequence Database中の配列から(例えば、MASE(Multiple Aligned Sequence Editor)を用いて)特定のHIV−1グループの各サブタイプ(グループMは、サブタイプA−D、F−H、J及びKに分類される。)に対してenv遺伝子のコンセンサス配列を作製することによって構築することができる。次いで、重度に配列決定されたサブタイプを避けるために、全てのサブタイプコンセンサスのコンセンサス配列を生成することができる(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Korber et al, Science 288:1789−1796(2000))。実施例1に記載されたグループMコンセンサスenv遺伝子(CON6と表記)の場合には、CRF08_BC組換え株(98CN006)から得た5つの高度可変領域(V1、V2、V4、V5及びgp41の細胞質ドメイン中の領域)が、配列中の欠損領域中に充填するために使用される(しかし、Con−Sに対する対応領域を参照)。高レベルの発現を得るために、高度に発現されたヒト遺伝子に対するコドン使用に基づいて、コンセンサス又は先祖の遺伝子のコドンを最適化することができる(Haas et al, Curr. Biol. 6:315−324(2000), Andre et al, J. Virol. 72:1497−1503(1998))。
【0022】
Year1999コンセンサスグループM env遺伝子CON6を用いて、ELISPOTγインターフェロン脾臓スポット形成細胞の数及び2系統のマウス中で認められたエピトープの数によって、野生型B及びC envに比べて、CON6によるT細胞応答の誘導が優越していることを実証することが可能であった(表1及び2は、BALB/cマウス中のデータを示す。)。CON6 Envタンパク質がHIV−1初代単離株に対する中和抗体を誘導する能力を、幾つかのサブタイプB Envの誘導能力と比較した。CON6によって誘導された中和抗体の標的には、幾つかの非B HIV−1株を含まれる。
【表1】
【表2】
【0023】
Year 2000コンセンサスグループM env遺伝子Con−Sの場合、2系統のマウスでのT細胞γインターフェロンELISPOTアッセイにおいて、Con−SエンベロープがCON6エンベロープ遺伝子と同程度に免疫原性であることが示された(C57BL/6に対するデータが、図27に示されている。)。さらに、モルモットにおいて、抗体に対するタンパク質免疫原としてのCON6及びCon−S gp140 Envを比較すると(表3)、両gp140Envが、サブタイプB初代単離株を中和する抗体を誘導することが見出された。しかしながら、Con−S gp140も、サブタイプC単離株TV−1及びDU123並びに1つのサブタイプA HIV−1初代単離株の強固な中和を誘導したが、CON6は誘導しなかった。
【表3−1】
【表3−2】
【0024】
コンセンサス免疫原の次の反復として、及び実用的なHIV−1免疫原が複数サブタイプのコンセンサス遺伝子、サブタイプとコンセンサス遺伝子の混合物、又は中心化された遺伝子と野生型遺伝子の混合物であり得るという事実を認めて、Year 2003 Los Alamos National Database配列から得たサブタイプA、B、C、CRF AE01及びG並びにグループMコンセンサス遺伝子から、一連の11のサブタイプコンセンサス及び野生型遺伝子を設計した。野生型配列が早期に伝染したHIV−1株に由来することが知られているという理由で(これらの株は、ワクチンによって保護する必要性が最も高い。)、又はそのサブタイプのデータベース中で最も最近に登録された株であるという理由で、野生型配列を選択した。これらのヌクレオチド及びアミノ酸配列は、図28−38に示されている(図示されている全ての140CFデザインについては、140CF遺伝子が、Kozak配列(GCCACCATGG/A)とSalI部位を含有する5’配列「TTCAGTCGACGGCCACC」及び停止コドンとBglII部位を含有するTAAAGATCTTACAAの3’配列に隣接することができる。)。図39−62に示されているのは、2003中心化(コンセンサス及び先祖)HIV−1エンベロープタンパク質及びコドン最適化された遺伝子配列である。
【0025】
(非クレードB HIV株を中和しない)CON6 gp140と(非クレードB HIV株を中和する抗体を誘導する)Con−S gp140との主な差は、Con−S V1、V2、V4及びV5領域である。クレードB株の場合、V3領域のペプチドは、中和抗体を誘導することができる(Haynes et al, J. Immunol. 151:1646−1653(1993))。このように、Th−V1、Th−V2、Th−V4、Th−V5ペプチドの構築は、反応性が広い所望の抗非クレードB中和抗体を生じると予想することができる。従って、表4に示されたTh−Vペプチドは、Con−S gp140に由来するペプチド免疫原として使用することが想定される。免疫原性を促進するために、他のHIV株中のgag Th決定基(GTH、表4)又は任意の相同GTH配列を使用することが可能であり、HIV gp120のC4領域(KQIINMWQVVGKAMYA)又は他のHIV株からの任意の相同的なC4配列も使用することができる(Haynes et al, J. Immunol. 151:1646−1653(1993))。N末端のヘルパー決定基を有するCon−S V1、V2、V4、V5ペプチドは、CorixaのRC529などの適切なアジュバント中に調合したときに(Baldridge et al, J. Endotoxin Res. 8:453−458(2002))、非クレードB単離株に対する広い交叉反応性の中和抗体を誘導するために、単一又は一緒に使用することができる。
【表4】
【0026】
本発明は、本明細書に具体的に開示された配列の一部及び変異形を含むことが自明であろう。例えば、gp120/41が切断され、又は切断されていない、gp140CF、gp140CFI、gp120又はgp160形態として、コドン最適化コンセンサスコード化配列の形態を構築することができる。例えば、コンセンサス及び先祖エンベロープ配列に関していえば、本発明は、V3を欠くエンベロープ配列を包含する。あるいは、V3配列は、好ましい配列、例えば、米国特許出願第10/431,596号及び米国仮出願第60/471,327号に記載されている配列から選択することができる。さらに、幅広い応答を与えるのに最適な免疫原は、グループMコンセンサスgag、pol、nef及びenvコード化配列の混合物を含むことができ、gag、pol、nef及びenv HIV遺伝子に対するサブタイプコンセンサス又は先祖コード化配列の混合物からなることができる。ウイルス株における領域差を取り扱う場合、有効な混合物には、コンセンサス/先祖及び野生型コード化配列の混合物が含まれ得る。
【0027】
本発明のコンセンサス又は先祖エンベロープは、HIVビリオンの表面上に通常一過性に露出されているに過ぎないか、又は十分に露出されていない中和エピトープの中間高次構造を露出するために「活性化」することが可能である。免疫原は、Bリンパ球への提示のために特異的なエピトープを利用可能とする、「凍結された」誘導型のコンセンサス又は先祖エンベロープとすることができる。このエピトープ提示の結果、HIVを広く中和する抗体が産生される。(WO 02/024149及びその中に記載されている活性化/誘導されたエンベロープに注目されたい。)
融合中間体免疫原の概念は、gp41 HR−2領域ペプチドDP178が、コイル化されていない高次構造のgp41を捕捉することができるという観察(Furata et al, Nature Struct. Biol. 5:276(1998))、ホルマリン固定されたHIV感染細胞は中和抗体を広く生成することができるという観察(LaCasse et al, Science 283:357(1997))と合致する。最近、コイルドコイル領域に対するモノクローナル抗体は、コイルドコイルgp41構造のHR1及びHR2領域中のgp41の高次構造決定基に結合したが、HIVを中和しなかった(Jiang et al, J. Virol. 10213(1998))。しかしながら、この後者の研究は、正しい抗体が生成されれば、抗体が結合するためにコイルドコイル領域を使用できることを証明した。
【0028】
本発明の一側面の免疫原には、可溶性形態のコンセンサス若しくは先祖エンベロープ、又は、例えば細胞小胞中若しくは脂肪貫通二重層エンベロープを含有するリポソーム中に繋留されたコンセンサス若しくは先祖エンベロープが含まれる。より本来のエンベロープを作製するために、本来の三量体エンベロープを形成させるため、脂質二重層の中にgp140又はgp160コンセンサス又は先祖配列を設定することができる。あるいは、アルドリチオ1−2不活化されたHIV−1ビリオン中の誘発されたgp160を免疫原として使用することができる。gp160は、gp160又はgp140(gp140は、膜貫通領域を有し、及びおそらく他のgp41領域が欠失したgp160である。)の何れかとして、組換えタンパク質としても存在することができる。gp160又はgp140に結合に結合されるのは、組換えCCR5若しくはCXCR4共同受容体タンパク質(又はそれらの細胞外ドメインペプチド又はタンパク質断片)若しくはgp120上のCXCR4若しくはCCR5結合部位に結合する抗体若しくは他のリガンド、及び/又は可溶性CD4、若しくはCD4の結合作用を模倣する抗体若しくは他のリガンドであり得る。あるいは、CD4、CCR5(又はCXCR4)、又は可溶性CD4、CCR5若しくはCXCR4 gp120結合部位を反映するペプチドを含有する小胞又はリポソーム。あるいは、最適なCCR5ペプチドリガンドは、特定のチロシンが硫酸化されているCCR5のN末端から得られるペプチドであり得る(Bormier et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:5762(2001))。誘発された免疫原は、膜に結合される必要はなくてもよいが、溶液中に存在し、溶液中で誘発され得る。あるいは、可溶性CD4(sCD4)は、CD4ペプチドミメトープによって誘発されたエンベロープ(gp140又はgp160)によって置き換えることができる(Vitra et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:1301(1999))。細胞融合を誘導するgp160の構造と関連する変化をもたらすために、gp160又はgp140を「誘発する」他のHIV共同受容体分子も使用することができる。可溶性HIV gp140初代単離株HIV 89.6エンベロープを可溶性CD4(sCD4)に連結すると、gp41の高次構造の変化が誘導された。
【0029】
一実施形態において、本発明は、CCR5結合領域が露出された受容体(CD4)連結コンセンサス又は先祖エンベロープの特徴を有する免疫原に関するが、CD4結合部位が遮断されたCD4連結タンパク質とは異なり、この免疫原はCD4結合部位が露出(開放)されている。さらに、この免疫原は、宿主CD4を欠いているので、宿主に投与したときに、害を与える可能性がある抗CD4抗体の産生が避けられる。
【0030】
本免疫原は、A32モノクローナル抗体(mab)によって認識されるgp120上の部位に結合するリガンドが連結されたコンセンサス又は先祖エンベロープを含むことができる(Wyatt et al, J. Virol. 69:5723(1995),Boots et al, AIDS Res. Hum. Retro. 13:1549(1997), Moore et al, J. Virol. 68:8350(1994), Sullivan et al, J. Virol. 72:4694(1998), Fouts et al, J. Virol. 71:2779(1997), Ye et al, J. Virol. 74:11955(2000))。一つのA32 mabは、CD4を模倣し、gp120に結合したときに、CCR5結合部位を上方制御する(露出する)ことが示されている(Wyatt et al, J. Virol. 69:5723(1995))。gp120にこのようなリガンドを連結することによっても、CD4結合部位が上方制御され、gp120へのCD4の結合を遮断しない。有利には、このようなリガンドも、切断されたgp120、切断されていないgp140及び切断されたgp41に結合されたgp41のHR−2結合部位も上方制御し、これにより、これらのタンパク質上にあるHR−2結合部位(これらの各々が、抗HIV中和抗体に対する潜在的な標的である。)がさらに露出される。
【0031】
本実施形態の特定の側面において、前記免疫原は、無処置のA32 mab、A32 mabのFab2断片又はA32 mabのFab断片が連結された可溶性HIVコンセンサス又は先祖gp120エンベロープを含み、その結果、コンセンサス又は先祖エンベロープ上のCD4結合部位、CCR5結合部位及びHR−2結合部位は露出され/上方制御されることになる。前記免疫原は、A32 mab(又はその断片)が結合したコンセンサス若しくは先祖エンベロープを含むことができ、A32 mab(又はその断片)が結合し、3%ホルムアルデヒド若しくはDTSSP(Pierce Chemical Company)などの異種二価性架橋剤などの架橋剤で架橋されたコンセンサス若しくは先祖エンベロープを含むことができる。前記免疫原免疫原は、切断されていないコンセンサス若しくは先祖gp140又は切断されていないgp140、切断されたgp41及び切断されたgp120の混合物を含むこともできる。コンセンサス若しくは先祖gp140及び/又はgp120に結合され、又はgp41に非共有結合されたgp120に結合されたA32 mab(又はその断片)は、gp41、gp120及び切断されていないgp140中のHR−2結合部位の上方制御(露出)をもたらす。A32 mab(又はその断片)のgp120又はgp140への結合も、CD4結合部位及びCCR5結合部位の上方制御ももたらす。gp120を含有する複合体と同様、切断されていないgp140とA32mab(又はその断片)を含む複合体は、3%ホルムアルデヒド又はDTSSPなどの架橋剤で架橋されていない、又は架橋されている免疫原として使用することができる。一実施形態において、本発明は、Fab断片又は完全なA32 mabに結合及び架橋され、必要に応じて、HR−2結合タンパク質に結合及び架橋された可溶性非切断コンセンサス又は先祖gp140を含む免疫原に関する。
【0032】
gp120上のA32 mab結合部位に結合するリガンドによって誘発されたコンセンサス又は先祖エンベロープタンパク質は、A32 mab結合部位(mab 17bによって認識されるCCR5結合部位など)と異なる部位に結合するリガンドによって誘発された、第二のエンベロープを含む少なくとも一つの第二の免疫原と組み合わせて投与することができる。17b mab(AIDS Reference Repository, NIAID, NIHから入手できる、Kwong et al, Nature 393:648(1998))は、gp120へのsCD4結合を増強する。この第二の免疫原(単独で、又は上記のもの以外の誘発された免疫原と組み合わせて使用することもできる。)は、例えば、完全な17b mab、17mabのFab2断片又は17b mabのFab断片の何れかと連結された可溶性HIVコンセンサス又は先祖エンベロープを含むことができる。露出されているCD4結合部位をもたらす他の抗体(又はその断片)を含む他のCCR5リガンドを、17b mabに代えて使用できることが自明であろう。このさらなる免疫原は、17b mab若しくはその断片(又は上記他のCCR5リガンド)が結合したgp120を含むことができ、又は、17b mab若しくはその断片(又は上記した他のCCR5リガンド)が結合し、3%ホルムアルデヒド若しくはDTSSP(Pierce Chemical Company)などの異種二価性架橋剤のような物質で架橋されたgp120を含むことができる。あるいは、このさらなる免疫原は、単独で、又は切断されたgp41及び切断されたgp120の混合物として存在する非切断gp140を含むことができる。このような混合物中のgp140及び/又はgp120に結合されたMab 17b又はその断片(又は上記した他のCCR5リガンド)は、CD4結合領域を露出させる。17b mab 又はその断片(又は上記した他のCCR5リガンド)gp140複合体は、架橋されていない、又は3%ホルムアルデヒド若しくはDTSSPのような物質で架橋されて存在することができる。
【0033】
T649Q26L及びDP178などの可溶性HR−2ペプチドは、コンセンサスgp120とgp41上のエピトープ並びに切断されていないコンセンサスgp140分子を安定化させるために、上記複合体に追加し、該複合体と架橋して、又は架橋せずに投与することができる。
【0034】
上記17b mabのほかに、gp120上のCD4結合部位に結合するmab IgG1b12(Roben et al, J. Virol. 68:482(1994), Mo et al, J. Virol. 71:6869(1997))、gp120上の高次構造決定基に結合するmab 2G12(Trkola et al, J. Virol. 70:1100 (1996))及びgp41の膜近傍領域に結合するmab 2F5(Muster et al, J. Virol. 68:4031(1994))など、多くのHIV初代単離株を中和する一連のモノクローナル抗体(mab)が作製されている。
【0035】
上記のように、本発明に従って、融合性エピトープを「凍結する」ために様々なアプローチを使用することができる。例えば、「凍結」は、コイルドコイル領域の一部に相当し、CD4によって誘発されたコンセンサス又は先祖エンベロープを添加したときに、融合の予防をもたらすDP−178又はT−649Q26Lペプチドを添加することによって実施することができる(Rimsky et al, J. Virol. 72 :986−993(1998))。HR−2ペプチドが結合したコンセンサス又は先祖gp120、gp140、gp41又はgp160は免疫原として使用することができ、又はDTSSP若しくはDSP(Pierce Co.)などの試薬、ホルムアルデヒド若しくは類似の効果を有する他の架橋剤によって架橋することができる。
【0036】
「凍結」は、CD4、CCR5若しくはCXCR4、HR−2ペプチドgp160複合体を安定化するために、又は「誘発された」gp41分子を安定化するために、又はその両方のために、0.1%から3%のホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒド(何れも、タンパク質架橋剤である。)を複合体に添加することによって実施することもできる(LaCasse et al, Science 283:357−362(1999))。
【0037】
さらに、コンセンサス又は先祖gp41又はgp120融合中間体の「凍結」は、CD4、CCR5若しくはCXCR4、HR−2ペプチドgp160複合体を架橋し、安定化するために、又は「誘発された」gp41分子を安定化するために、又はその両方のために、DSP(ジチオビス[スクシミジルプロピオネート])(Pierce Co. Rockford, ILL., No.22585ZZ)又はアミノ基と反応する2つのNHSエステルを使用する水溶性DTSSP(Pierce Co.)などの異種二機能性物質を添加することによって実施することができる。
【0038】
免疫又はワクチン接種された動物及びヒトでのT細胞免疫応答の解析は、エンベロープタンパク質が通常T細胞免疫応答に対する主要な標的ではないが、中和抗体を誘導し得る唯一の遺伝子であることを示している。HIV−1 Gag、Pol及びNefタンパク質は、強力なT細胞免疫応答を誘導する。従って、本発明には、液性及び細胞性の両免疫応答を誘導することができるコンセンサス又は先祖免疫原のレパートリーが含まれる。コンセンサス又は先祖配列のサブユニットは、T又はB細胞免疫原として使用することができる。(実施例6及び7、並びに同実施例で参照されている図、並びに図63−127を参照)。
【0039】
本発明の免疫原は、本分野で周知の技術を用いて、薬学的に許容される担体及び/又はアジュバント(alumなど)とともに調合することができる。本発明の免疫原の適切な投与経路には、全身経路(例えば、筋肉内又は皮内)が含まれる。免疫応答が粘膜の免疫系(例えば、鼻内)で求められるときには、別の経路を使用することができる。
【0040】
本発明の免疫原は、当業者に周知である方法を用いて、化学的に合成し、精製することができる。免疫原は、周知の組換えDNA技術によって合成することもできる。本発明の免疫原をコードする核酸は、例えば、コード配列が裸のDNAとして投与されるDNAワクチンの成分として使用することが可能であり、又は、例えば、前記免疫原をコードするミニ遺伝子がウイルスベクター中に存在することができる。コード化配列は、例えば、複製若しくは非複製アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、弱毒化された結核菌ベクター、ウシ型弱毒結核ワクチン(BCG)ベクター、ワクシニア若しくは修飾ワクシニア・アンカラ(MVA)ベクター、別のポックスウイルスベクター、組換えポリオ及びその他の腸内ウイルスベクター、サルモネラ種細菌ベクター、シゲラ種細菌ベクター、ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス(VEE)ベクター、セムリキ森林ウイルスベクター又はタバコモザイクウイルスベクター中に存在することができる。コード化配列は、例えば、CMVプロモーターなどの活性なプロモーターとともにDNAプラスミドとして発現することもできる。本発明の配列を発現するために、他の生ベクターも使用することができる。本発明の免疫原の発現は、好ましくは、ヒト細胞中での発現を最適化するコドンとプロモーターを使用して、免疫原をコードする核酸を患者自身の細胞中に導入することによって、患者自身の細胞中で誘導することができる。DNAワクチンを製造及び使用する方法の例は、米国特許第5,580,859号、第5,589,466号及び第5,703,055号に開示されている。
【0041】
本発明の組成物は、免疫学的に有効な量の本発明の免疫原、又はこれをコードする核酸配列を、薬学的に許容される送達系の中に含む。本組成物は、免疫不全ウイルス感染の予防及び/又は治療のために使用することができる。本発明の組成物は、アジュバント、乳化剤、薬学的に許容される担体又はワクチン組成物中に一般的に与えられる他の成分を用いて調合することができる。最適な製剤は、当業者によって容易に設計することができ、即時放出及び/又は持続的放出のための製剤並びに全身性免疫の誘導及び/又は局所的な粘膜免疫の誘導のための製剤(例えば、製剤は、鼻内投与のために設計することができる。)を含むことができる。本組成物は、皮下、鼻内、経口、筋肉内又は他の非経口若しくは経腸経路を含む任意の便利な経路によって投与することができる。前記免疫原は、単回投薬又は複数回投薬として投与することができる。最適な免疫化スケジュールは、当業者によって容易に決定することが可能であり、患者、組成物及び求められる効果に応じて変動することができる。
【0042】
本発明は、本発明の免疫原及び/又は該免疫原をコードする核酸及び/又は上記のベクター中でミニ遺伝子として発現された免疫原の両方を直接使用することを想定する。例えば、免疫原をコードするミニ遺伝子は、初回及び/又は追加免疫として使用することができる。
【0043】
本発明は、本明細書に開示されたあらゆる全てのアミノ酸配列、及び、適当な場合には、そのCF及びCFI形態、並びにこれをコードする核酸配列(及びこのようなコード配列と相補的な核酸)を含む。
【0044】
本発明の一部の側面は、以下に記載されている非限定的な実施例で、さらに詳細に記載することができる。
【実施例1】
【0045】
人工HIV−1グループMコンセンサスエンベロープ
実験の詳細
組換えワクシニアウイルス(VV)におけるCON6 gp120及びgp140タンパク質の発現。分泌型のHIV−1 CON6エンベロープタンパク質を発現及び精製するために、それぞれ、gp120切断部位(REKR)の後、及び膜貫通ドメイン(YIKIFIMIVGGLIGLRIVFAVLSIVN)の前に停止コドンを導入することによって、CON6 gp120及びgp140CFプラスミドを構築した。140CFタンパク質中では、gp120/gp41切断部位及びgp41の融合ドメインを欠失した。CON6gp120及びgp140CF DNA構築物の両者を、pSC65ベクター(Bernard Moss, NIH, Bethesda, MDから購入)中のSalI及びKpnI制限酵素部位にクローニングした。このベクターは、p7.5プロモーターによって調節されるlacZ遺伝子を含有する。CON6 env遺伝子を発現するために、逆並列P E/Lプロモーター(back−to−back P E/Lプロモーター)を使用した。BSC−1細胞を、6ウェルプレート中の各ウェル中に、2×105個で播種し、0.1pfu/細胞のMOIで野生型ワクシニアウイルス(WR)で感染させ、感染の2時間後に、CON6 env遺伝子を含有するpSC65由来のプラスミドをVV感染細胞中に形質移入し、記載どおりに(Moss and Earl, Current Protocols in Molecular Biology, eds, Ausubel et al (John Wiley & Sons, Inc. Indianapolis, IN) pp. 16.15.1−16.19.9(1998))、組換え(r)VVを選択した。PCR及び配列決定分析によって、CON6 env遺伝子を含有する組換えVVを確認した。CON6エンベロープタンパク質の発現は、SDS−PAGE及びウェスタンブロットアッセイによって確認した。アガロース ガランサス・ニヴァリスレクチンビーズ(Vector Labs, Burlingame, CA)で、組換えCON6 gp120及びgp140CFを精製し、使用するまで、−70℃に保存した。組換えVV発現JRFL(vCB−28)又は96ZM651(vT241R)gp160は、NIH AIDS Research and Reference Reagent Program(Bethesda,MD)から入手した。
【0046】
モノクローナル抗体及びgp120野生型エンベロープ
gp120(A32)、gp120 V3ループ(F39F)及びCCR5結合部位(17b)上の高次構造決定基に対するヒトmabは、Jame Robinsonから頂いた(Tulane Medical School, New Orleans, LA)(Wyatt et al, Nature 393;705-711(1998), Wyatt et al, J. Virol. 69:5723-5733(1995))。Mab 2F5、447、bl2、2G12及び可溶性CD4は、NIH AIDS Research and Reference Reagent Program(Bethesda, MD)(Gorny et al, J. Immunol. 159:5114-5122(1997), Nyambi et al, J. Virol. 70:6235-6243(1996), Purtscher et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses 10:1651-1658(1994), Trkola et al, J. Virol 70:1100-1108(1996))から入手した。T8は、gp120C1領域に位置するマウスのmapである(P.Earl, NIH, Bethesda, MDから頂いた。)。BaL(サブタイプB)、96ZM651(サブタイプC)及び93TH975(サブタイプE)gp120は、QBI, Inc.及びNIHのAIDS部門によって提供された。92U037(サブタイプA)及び93BR029(サブタイプF)gpl40(分泌及び非切断)を発現するCHO細胞株は、イギリスのNICBSから入手した。
【0047】
表面プラズモン共鳴バイオセンサー(SPR)測定及びELISA
SPRバイオセンサー測定は、BIAcore 3000装置(BIAcore Inc., Uppsala, Sweden)装置上で行い、データ解析は、BIAevaluation 3.0 software (BIAcore Inc, Upsaala, Sweden)を用いて行った。タンパク質固定化に対する標準的なアミンカップリングプロトコールを用いて、10mM 酢酸ナトリウム緩衝液、pH4.5中の抗gp120mab(T8、A32、17b、2G12)又はsCD4を、CM5センサーチップに直接固定した。FPLC精製されたCON6 gp120単量体又はgp140CFオリゴマー組換えタンパク質を、それぞれ、100及び300μg/mLの濃度で、CM5センサーチップ上に流した。非特異的応答又は一括応答を差し引くために、(アミンカップリングに対して活性化及び脱活性化された)盲検の直列参照表面又は非結合mab対照を使用した。それぞれ、陽性対照及び陰性対照として、CON6 Envタンパク質を注入する前に各mab表面の活性を確保するために、可溶性89.6 gp120及び無関係のIgGを使用した。CON6エンベロープタンパク質の結合は、PBS(150 mM NaCl、0.005%界面活性剤P20)、pH7.4を、10から30μL/分で連続的に流して、25℃でリアルタイムにモニターした。結合したタンパク質を除去し、5ないし10μLの再生溶液(10mM グリシン−HCl、pH2.9)を単回又は二回、短時間与えることによって、各結合サイクルの後に、センサー表面を再生した。記載のとおり(Haynes et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses 11:211−221(1995))、CON6 gp120及びgp140CFタンパク質に対する様々なのmabの反応性を決定するために、ELISAを行った。ヒトmabのrgp120又はgp140タンパク質への結合のアッセイの場合、終点力価は、mabが結合したCON6 gp120及びgp140CF Envタンパク質がバックグラウンド対照(非結合ヒトmab)に比べて3倍以上である、mabの最高力価(20μg/mLで開始)として定義した。
【0048】
感染性及び共同受容体使用アッセイ
HIV−1/SG3Δenv及びCON6又は対照envプラスミドをヒト293T細胞中に同時形質移入した。偽型ウイルスを採集し、ろ過し、p24濃度を定量した(DuPont/NEN Life Sciences, Boston, MA)。JC53−Bl細胞を感染させて、感染性を決定するために、各擬ビリオンに対して等量のp24(5ng)を使用した(Derdeyn et al, J. Virol. 74:8358−8367(2000), Wei et al, Antimicrob Agents Chemother. 46:1896−1905(2002))。JC53−BL細胞は、CD4、CCR5及びCXCR4受容体を発現し、HIV−1末端反復配列(LTR)の転写調節下で安定的に組み込まれたβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)遺伝子を含有する。これらの細胞は、β−gal発現を染色し、1μgの擬ビリオンのp24当たりの青い細胞の数(感染単位)(IU/μg p24)を計数することによって、擬ビリオン株の感染性力価を定量するために使用することができる(Derdeyn et al, J. Virol. 74:8358−8367(2000), Wei et al, Antimicrob Agents Chemother. 46:1896−1905(2002))。CON6 env遺伝子の共同受容体の使用を決定するために、JC53BL細胞を、1.2AM AMD3100及び4μM TAK−799により、1時間37℃で処理した後、等量の各Env偽型ウイルスのp24(5ng)に感染させた。遮断効率は、遮断剤なしの対照培養から得たものと比較した、遮断実験由来の感染単位のパーセントとして表した。対照グループからの感染性(遮断剤なし)を任意に100%として設定した。
【0049】
免疫化。全ての動物は、Duke University Animal Use and Care Committeeによって認可された動物使用プロトコールを使用し、AALACガイドラインに基づいて、Duke University Animal Facility中で飼育した。メーカー(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)によって提供されたプロトコールに基づき、RIBI−CWSアジュバントを加えた安定なエマルジョン中に、組換えCON6 gp120及びgp140CF糖タンパク質を調合した。抗エンベロープ抗体を誘導するために、非近交系の4匹の各モルモット(Harlan Sprague, Inc., Chicago, IL)に、精製された100μgのCON6 gp120又はgp140CFのうち何れかを3週ごとに皮下投与した(計5回の免疫化)。血清試料を熱で不活化し(56℃、1時間)、使用するまで−20℃で保存した。
【0050】
抗エンベロープT細胞応答を誘導するために、6から8週齢の雌のBALB/cマウス(Frederick Cancer Research and Developmental Center, NCI, Frederick, MD)の大腿四頭筋に、3週の間隔を置いて、50μgのプラスミドDNAを3回筋肉内投与して免疫した。最後のDNA免疫から3週後、Envタンパク質を発現する107PFUのrVVでマウスに強化免疫を行った。強化免疫から2週後、全てのマウスを安楽死させ、脾細胞を単離するために脾臓を取り出した。
【0051】
中和アッセイ。中和アッセイは、「Bures et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses 16 :2019−2035 (2000)」に記載されているMT−2アッセイ、HIV−1初代単離株のパネルを使用した、5.25.GPF.Luc.M7細胞中でのルシフェーラーゼを使用する多重複製サイクルHIV−1感染アッセイ(Bures et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses 16:2019−2035(2000), Bures et al, J. Virol. 76:2233−2244(2002)、又は不活化HIV−1ビリオンを用いた合胞体(fusion from without)阻害アッセイ(Rossio et al, J. Virol. 72:7992−8001(1998))のうち何れかを使用して行った。ルシフェラーゼを使用するアッセイでは、中和抗体は、Nathaniel R. Landau, Salk Institute, La Jolla, CAから頂いた5.25.EGFP.Luc.M7細胞(Brandt et al, J. Biol. Chem. 277:17291−17299 (2002))中でのルシフェラーゼ活性の減少の関数として測定した。組織培養感染用量50(TCID50)が500の無細胞ウイルスを、96ウェルの平底培養プレート中、三つ組みで、150μL中の表記の血清希釈度でインキュベートした(1時間、37℃)。DEAEデキストラン(10μg/mL)を含有する培地中に、5×105/mL培地の密度で5.25.EGFP.Luc.M7.細胞を懸濁した。細胞(100μL)を添加し、対照ウェル(検査血清試料なし)中の10%の細胞が、蛍光顕微鏡によって、GFP発現が陽性になるまで添加した。この時点で、培地の半分容量を除去することによって、細胞を2倍に濃縮した。Bright−GloTM基質(Promega,Madison,WI)を使用し、Wallac 1420 Multilabel Counter(PerkinElmer Life Sciences, Boston, MA)上でルシフェラーゼ活性を測定するために、50μLの細胞懸濁物を96ウェルの白色固体プレート(Costar,Cambridge, MA)に移した。MT−2及びルシフェラーゼアッセイでの中和力価とは、50%以上のウイルス感染が阻害される力価であった。力価が1:20を超える値のみ(すなわち、>1:30)を有意な陽性と考えた。合胞体阻害「fusion from without」アッセイでは、SupT1細胞に添加されたHIV−1サブタイプB株ADA及びAD8(Larry Arthur and Jeffrey Lifson, Frederick Research Cancer Facility, Frederick, MDから頂いた)から得たHIV−1アルドリチオールー2(AT−2)不活化ビリオンを使用し、合胞体阻害力価は、予め出血された血清と比べて、90%以上の合胞体が阻害される力価として測定した。
【0052】
酵素結合免疫スポット(ELISPOT)アッセイ
70μmのNylon細胞ろ過器(BD Labware, Franklin Lakes, NJ)を通して細分し、絞り取ることによって、免疫された各マウスから得た脾細胞の単一細胞懸濁液を調製した。CON6 gp140の重複するEnvペプチド(159ペプチド、11重複する15マー)は、BostonBioscence, Inc(Royal Oak, MI)から購入した。MN gp140の重複するEnvペプチド(サブタイプB;170ペプチド、11重複する15マー)及びChnl9 gp140(サブタイプC;69ペプチド、10重複する20マー)は、NIH AIDS Research and Reference Reagent Program (Bethesda, MD)から取得した。CON6、サブタイプB及びサブタイプC Envタンパク質から得られた重複するENVペプチドのプールにより、各マウスから得た脾細胞(5マウス/グループ)をインビトロで刺激した。96ウェルPVDFプレート(MultiScreen−IP, Millipore, Billerica, MA)を、抗IFNγ mab(5μg/ml, AN18; Mabtech, Stockholm, Sweden)でコートした。完全なHepes緩衝化RPMI培地を用いて、37℃で2時間、プレートをブロッキングし、50μLの前記プールされた重複するエンベロープペプチド(13のCON6およびMNプール、各プール中に13から14のペプチド;9のChn19プール、各プール中に7から8のペプチド)を、それぞれ5μg/mLの最終濃度でプレートに添加した。次いで、1.0×107/mLの濃度の脾細胞50μを二つ組みでウェルに添加し、5%CO2を与え、16時間37℃でインキュベートした。100μLの1:1000希釈のストレプトアビジンアルカリホスファターゼ(Mabtech, Stockholm, Sweden)とともにプレートをインキュベートし、100μLのBCIP/NBT(Plus)Alkaline Phosphatase Substrate (Moss, Pasadena, MD)を使用して、紫色のスポットを発生させた。Immunospot計数システム(CTL Analyzers, Cleveland, OH)を使用して、スポット形成細胞(SFC)を測定した。各エンベロープペプチドのプールに対する総応答は、106個の脾細胞当たりのSFCとして表される。
【0053】
結果
CON6エンベロープ遺伝子の設計、構築及び発現。人工グループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)は、Los Alamos HIV Sequence Database中の配列から各HIV−1サブタイプに対するenv遺伝子のコンセンサス配列を作製し、次いで、重度に配列決定されたサブタイプを避けるために、全てのサブタイプコンセンサスのコンセンサス配列を作製することによって構築した(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Korber et al, Science 288:1789−1796 (2000))。CRF08_BC組換え株(98CN006)から得た5つの高度可変領域(V1、V2、V4、V5及びgp41の細胞質ドメイン中の領域)をCON6配列中の欠損領域中に充填するために使用した。CON6 V3領域は、グループMコンセンサスである(図1A)。高レベルの発現を得るために、高度に発現されたヒト遺伝子に対するコドン使用に基づいて、CON6 env遺伝子のコドンを最適化した(Haas et al, Curr. Biol. 6:315−324(2000), Andre et al, J. Virol. 72:1497−1503(1998))(図1D参照)。コドンが最適化されたCON6 env遺伝子を構築し、pcDNA3.1 DNAのEcoRI及びBamHI部位中にサブクローニングした(Gao et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses, 19:817−823(2003))。293T細胞中への形質移入後、ウェスタンブロットアッセイを用いて、高レベルのタンパク質発現を確認した。性質決定のために組換えCON6 Envタンパク質を取得し、免疫原として使用し、分泌されたgp120及び非切断gp140CFを発現するためにrVVを作製した(図1B)。還元条件下のクマシーブルーゲルによって測定したところ、各タンパク質に対する純度は90%以上であった(図1C)。
【0054】
CD4結合ドメイン及びその他の野生型HIV−1エピトープは、CON6タンパク質上に保存される。CON6タンパク質がCD4に結合して、他の野生型HIV−1エピトープを発現するかどうかを決定するために、CON6 gp120及びgp140CFが可溶性CD4を結合する能力、特性が十分に決定された幾つかの抗gp120mabを結合する能力、並びにCD4によって誘導される高次構造を変化させる能力をアッセイした。まず、sCD4又はmabのCON6 Envタンパク質への結合活性をモニタリングするために、BIAcore CM5センサーチップをコートした。単量体のCON6 gp120及びオリゴマーのgp140CFは何れも、sCD4並びに抗gp120mab T8、2G12及びA32を効率的に結合するが、gp120のCCR5結合部位中のCD4誘導性エピトープを認識するmab17bを恒常的に結合しないことが見出された(図2A及び図2B)。sCD4及びA32は何れも、野生型gp120に結合した後、17b結合エピトープを露出することができる(Wyatt et al, Nature 393;705−711(1998), Wyatt et al, J. Virol. 69:5723−5733 (1995))。sCD4又はA32の何れかによって、17bエピトープをCON6 Envs上に誘導できるかどうかを決定するために、A32及びT8をセンサーチップ上にコートし、次いでCON6 gp120又はgp140CFを捕捉し、mab 17b結合活性をモニターした。sCD4又はmab A32を結合した後、CON6 gp120及びgp140CFは何れも高次構造の変化を生じ、mab 17bを結合するように誘発された(図2C及び2D)。これに対して、mab T8を結合した後には、17bエピトープは露出されなかった(図2C及び2D)。次に、gp120 V3 ロープ(447、F39F)、CD4結合部位(b12)及びgp41中和決定基(2F5)に対する一群のヒトmabの、CON6 gp120及びgp140CFに対する反応性を決定するために、ELISAを使用した(図2E)。CON6 rgp120及びrgp140CFタンパク質は、中和V3 mabである447及びF39F、並びに強力な中和CD4結合部位mab b12に良好に結合した。C末端のgp41エピトープに結合することによってHIV−1初代単離株を中和するMab 2F5も、CON6 gp140CFに良好に結合した(図2E)。
【0055】
CON6 env遺伝子は、生物学的に機能的であり、CCR5をその共同受容体として使用する。CON6エンベロープ遺伝子が生物学的に機能的であるかどうかを決定するために、env欠損SG3プロウイルスクローンとともに、293T細胞中に同時形質移入した。偽型ウイルスを採集し、JC53BL細胞を感染させた。CON6 Env偽型ウイルスに感染したJC53−BL細胞中に青い細胞が検出され、CON6 Envタンパク質が生物学的に機能的であることが示唆された(図3A)。しかしながら、感染力価は、YU2又はNL4−3野生型HIV−1エンベロープを有する擬ビリオンの感染力価より1から2桁小さかった。
【0056】
次に、CON6 env遺伝子に対して共同受容体の使用を決定した。CXCR4遮断剤AMD3100で処理すると、NL4−3 Env擬ビリオンの感染性は遮断されたのに対して、YU2又はCON6 Env−擬ビリオンの感染性は阻害されなかった(図3B)。これに対して、CCR5遮断剤TAK−779で処理すると、NL4−3 Env擬ビリオンの感染性は影響を受けなかったのに対して、YU2又はCON6 Env−擬ビリオンの感染性は阻害された。両遮断剤で処理すると、全ての擬ビリオンの感染性が阻害された。これらのデータを総合すると、CON6エンベロープは、標的細胞中に侵入するために、CCR5共同受容体を使用していることを示している。
【0057】
CON6 gp120の、異なるサブタイプの血清との反応。複数のサブタイプの直鎖エピトープがCON6 gp120上に保存されているかどうかを決定するために、組換えEnvタンパク質パネル(gp120及びgp140)を作製した。等量の各Envタンパク質(100ng)をSDS−ポリアクリルアミドゲル上に与え、ニトロセルロースに転写し、ウェスタンブロットアッセイにおいて、サブタイプAからGの患者の血清及び抗CON6 gp120モルモット血清(1:1000希釈)と反応させた。各HIV−1サブタイプについて、4から6人の患者血清を検査した。各サブタイプに対して代表的な一つの血清が図4に示されている。
【0058】
検査した全てのサブタイプ血清が、パネル中のEnvの中で可変的な反応性を示したが、全てのグループMサブタイプ患者血清はCON6 gv120 Envタンパク質と等しく良好に反応し、患者血清によって認識される野生型HIV−1 EnvエピトープはCON6 Envタンパク質上に良好に保存されることが実証された。次に、モルモット中に生じたCON6 gp120抗血清が異なるサブタイプのEnvタンパク質に対して反応できるかどうかについて、検査を行った。サブタイプA Envタンパク質を除き、CON6血清はそれ自身及び他のサブタイプEnvタンパク質に等しく良好に反応することが見出された(図4)。
【0059】
CON6、サブタイプB及びサブタイプCエンベロープ重複ペプチドに対するT細胞応答の誘導
CON6 Env免疫原によって誘導されるT細胞免疫応答を、サブタイプ特異的な免疫原によって誘導されたT細胞免疫応答と比較するために、さらに2つのマウスの群を、サブタイプB又はサブタイプC DNA及び対応するrVV発現サブタイプB又はCエンベロープタンパク質で免疫した。サブタイプB(JRFL)又はサブタイプC(96ZM651) Env免疫原で免疫したマウスは、主として、サブタイプ特異的なT細胞免疫反応を有した(図5)。サブタイプB(MN)ペプチドプールで刺激した後には、JRFL(サブタイプB)で免疫されたマウスから得られたIFN−γSFC免疫原が検出されたが、サブタイプC(Chnl9)又はCON6ペプチドプールで刺激した後には検出されなかった。サブタイプC(Chnl9)及びCON6ペプチドプールで刺激した後には、96ZM651(サブタイプC)免疫原で免疫されたマウスから得られたIFN−γ SFCが検出されたが、サブタイプB(MN)ペプチドプールで刺激した後には検出されなかった。これに対して、CON6ペプチドプール並びにサブタイプB又はCペプチドのプールで刺激すると、CON6 Env免疫原で免疫されたマウスからIFN−γ SFCが同定された(図5)。CON6 gp140によって誘導されたT細胞応答は、CON6 gp120によって誘導されたT細胞応答より強固であるように思われた。これらのデータを総合すると、CON6 gp120及びgp140CF免疫原は、野生型サブタイプB及びCエンベロープのT細胞エピトープを認識するT細胞応答を誘導することができることが実証された。
【0060】
組換えCON6 gp120及びgp140CFエンベロープによる、HIV−1サブタイプB及びC初代単離株を中和する抗体の誘導
CON6エンベロープ免疫原が、HIV−1初代単離株を中和する抗体を誘導することができるかどうかを決定するために、CON6 gp120又はgp140CFタンパク質でモルモットを免疫した。中和アッセイのために、4又は5回の免疫化の後に集めた血清を使用し、対応する出血前の血清と比較した。分胞体阻害アッセイ(表5A)で、2つのAT−2不活化HIV−1単離株(ADA及びAD8)を検査した。2つのサブタイプB SHIV単離株、8つのサブタイプ初代単離株、4つのサブタイプC並びに1つの各サブタイプA、D及びE初代単離株を、MT−2又はルシフェラーゼを使用するアッセイの何れかで検査した(表5B)。分胞体阻害アッセイでは、CON6 gp120及びgp140CFタンパク質によって誘導された抗体は、AT−2不活化ADA及びAD8によって誘導された分胞体を強力に阻害することが見出された(表5A)。MT−2アッセイでは、2つのSHIV単離株のうちの1つ(SHIV SF162P3)が2つのgp120及び1つのgp140CF血清によって弱く中和されることが見出された(表5B)。ルシフェラーゼを利用するアッセイでは、8つのサブタイプB初代単離株のうち4つ(BX08、SF162、SS1196及びBAL)が全てのgp120及びgp140CF血清によって強力に中和されることが見出され、8つのサブタイプB単離株のうち2つ(6101、0692)が多くのgp120及びgp140CF血清によって弱く中和されることが見出された。HIV−1 PAVOに対しては、中和は検出されなかった(表5B)。次に、CON6抗gp120及びgp140CF血清を4つのサブタイプC HIV−1単離株に対して検査すると、4つの単離株のうち3つ(DU179、DU368及びS080)で、主として抗CON6 gp120血清によって弱い中和が見られた。1つのgp140CF血清no.635は、DU179を強く中和し、S080を弱く中和した(表5B)。最後に、抗CON6 Env血清は、サブタイプD単離株(93ZR001)を強く中和し、サブタイプE(CM244)単離株を弱く中和したが、サブタイプA(92W020)単離株は中和しなかった。
【表5A】
【表5B】
【0061】
結論
ウイルスの侵入を媒介するためにCCR5共同受容体を使用することができる機能的Envタンパク質をコードする人工HIV−1グループMコンセンサスenv遺伝子(コード配列)(CON6及びCon−S)の作製について説明してきた。重要なことは、これらのグループMコンセンサスエンベロープ遺伝子が、サブタイプB及びC HIV−1初代単離株のエピトープを認識するT及びB細胞応答を誘導できるということである。さらに、Con−Sは、サブタイプC及びA HIV−1株を強力に中和する抗体を誘導する(表3参照)。
【0062】
HIV−1に対する保護の相関は、確定的には明らかとなっていない。動物モデル及びHIV−1感染患者での研究から得られた多くのデータは、HIV−1ワクチン開発の最終目標は、広い反応性を有するCD4+及びCD8+抗HIV−1 T細胞応答(Letvin et al, Annu. Rev. Immunol. 20:73−99(2002))及び複数のサブタイプのHIV−1初代単離株を中和する高レベルの抗体(Mascola et al, J. Virol. 73:4009−4018(1999), Mascola et al, Nat. Med. 6:270−210(2000))を誘導べきことを示唆する。
【0063】
HIV−1の高レベルな遺伝的可変性のため、臨床的に有用なほど十分に幅広い免疫応答を誘導できる免疫原の設計は困難であった。エピトープをベースとするT細胞及びB細胞応答に対するワクチン(McMichael et al, Vaccine 20:1918−1921(2002), Sbai et al, Curr. Drug Targets Infect, Disord. 1:303−313(2001), Haynes, Lancet 348:933−937(1996))、融合中間体を反映する拘束されたエンベロープ(Fouts et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:11842−22847(2002))並びに抗HIV−1中和抗体を誘導するための保存された高次構造の露出は、HIV−1の可変性を克服すると提案されてきた(Roben et al, J. Virol. 68:4821−4828(1994), Saphire et al, Science 293:1155−1159(2001))。しかしながら、増加し続けるHIV−1の多様性と急速な進化のため、ウイルスは急速に移動する厄介な標的であり、HIV−1の変化の複雑さの程度は、これらのアプローチを何れも問題のあるものとしている。HIV−1免疫原を設計するための現在最も一般的なアプローチは、野生型の野生HIV−1単離株を選択することであり、これは、ワクチンを検査すべき領域に由来してもよく、又は由来しなくてもよい複数のエンベロープ免疫原を取り込んだ多価エンベロープ免疫原が設計されている(Bartlett et al, AIDS 12:1291−1300(1998), Cho et al, J. Virol. 75:2224−2234(2001))。
【0064】
上記研究は、この候補免疫原と野生型の野生ウイルス株との遺伝的距離が減少したグループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)を作製することによって、HIV−1免疫原を設計するための新しい戦略を試すものである。ほとんどの位置で最も一般的なアミノ酸を選択することによって、全てのサブタイプに対してCON6 env遺伝子を作製した(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Korber et al, Science 288:1789−1796(2000))。最も一般的なアミノ酸のみを使用したので、抗体及びT細胞エピトープの大半は良好に保存された。重要なことは、グループMコンセンサスenv配列と任意のサブタイプenv配列の遺伝的距離は約15%であって、これは、野生型サブタイプ間の遺伝的距離(30%)の半分にすぎないということである(Gaschen et al, Science 296:2354−2360 (2002))。この距離は、同じサブタイプに属するウイルス間の距離と概ね同じである。さらに、CRFはサブタイプ間で総合的な遺伝的多様性を増加しないので、グループMコンセンサスenv遺伝子も、何れの組換えウイルスenv遺伝子から約15%相違していた。
【0065】
1ラウンドの感染系を用いて、CON6−Env擬ビリオンの感染性を確認したが、感染性は減弱されており、人工エンベロープは「最適な」機能的高次構造ではないが、なお、ウイルスの侵入を媒介できることを示唆した。HIV−1に感染した患者の大半が、当初、R5ウイルスに感染するので、CON6エンベロープがCCR5(R5)をその共同受容体として使用したことは重要である。
【0066】
BIAcore分析によって、CON6 gp120及びgp140CFが何れも、sCD4を結合し、野生型HIV−1 Envタンパク質に結合する多数のmabを結合することが示された。野生型HIV−1エンベロープと抗原的に類似するCON6 gp120及び140CFタンパク質の発現は、HIV−1免疫原の進行において重要な段階である。しかしながら、多くの野生型エンベロープタンパク質は強力な中和ヒトmabが結合するエピトープを発現しているが、免疫原自体として使用されたときには、中和ヒトmabの特異性を有する抗HIV−1中和抗体を広く誘導しない。
【0067】
中和抗体研究は、CON6 gp120、CON6 gp140CF及びCon−S gp140CFIが、特定のサブタイプB、C及びD HIV−1初代単離株を中和する抗体を誘導した点で有望なものであり、このうちCon−S gp140CFIが非サブタイプB初代HIV単離株の最も強固な中和を誘導する。しかしながら、最も中和が困難な初代単離株(PAVO、6101、BG1168、92RW020、CM244)は、抗CON−6 gp120又はgp140血清によって、弱く中和されるにすぎないか、又は中和されないことが明らかである(表4b)。それにもかかわらず、非サブタイプB HIV単離株に対して、Con−Sサブユニットgp140CFIエンベロープタンパク質が与えた応答の広さに鑑みると、中和抗体を誘導するCon−Sエンベロープの免疫原性は有望である。gp120及びgp160を発現するポックスウイルス構築物を用いた従前の研究は、高レベルの中和抗体を生成しなかった(Evans et al, J. Infect. Dis. 180:290-298(1999), Polacino et al, J. Virol. 73:618-630(1999), Ourmanov et al, J. Virol. 74:2960-2965(2000), Pal et al, J. Virol 76:292-302(2002), Excler and Plotkin, AIDS ll(Suppl A):S127-137(1997))。分泌型CON6 gp120及びgp140を発現するrVVが構築され、HIV−1初代単離株を中和する抗体が誘導された。HIV中和抗体免疫原は、Con−S gp140CFI又はそのサブユニットと、ほとんどのサブタイプB単離株を中和する免疫原との組み合わせであり得る。
【0068】
オリゴマーのgp140タンパク質の構造は、タンパク質の免疫原性を評価するときに極めて重要である。この点で、高性能液体クロマトグラフィー(FPLC)及び分析用超遠心による精製CON6 gp140CFタンパク質の研究は、精製gp140ピークが主に三量体からなり、二量体が微少成分であることを実証した。
【0069】
このように、CON6、Con−S又は2003グループMなどの中心化されたエンベロープ又は本明細書に記載されているサブタイプコンセンサス若しくは先祖のコード配列は、CD4−Env複合体、拘束されたエンベロープ構造及び三量体オリゴマー形態など、潜在的に「強化された」様々なエンベロープ免疫原を調製するための魅力的な候補である。CON6によって誘導されたT細胞応答及びB細胞応答が、SHIV誘発モデルにおいて、HIV−1感染及び/又は疾病に対して保護する能力は、ヒト以外の霊長類で研究されるであろう。
【0070】
上記研究は、グループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)及びCon−Sなどの中心化された人工のHIV−1遺伝子も、野生型サブタイプB及びC Envタンパク質中のT細胞エピトープに対するT細胞応答並びにグループMコンセンサスEnvタンパク質上のT細胞エピトープに対するT細胞応答も誘導することができる(図5)。CON6 gp140CF免疫原を用いたDNA初回刺激及びrVV強化刺激療法は、サブタイプB及びCエピトープを認識するIFN−γ産生性T細胞を明瞭に誘導したが、CON6エンベロープ中に見られるような中心化された配列が、野生型HIV−1遺伝子より、異なるクレード間にわたるT細胞応答を誘導する上で有意に優れているかどうかを決定するために、さらなる研究が必要とされる(Ferrari et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:1396-1401(1997), Ferrari et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses 16:1433-1443(2000))。しかしながら、CON6(及びCon−S;envコード配列)を初回刺激及び追加免疫した脾細胞T細胞がHIV−1サブタイプB及びCのT細胞エピトープを認識したという事実は、CON6(及びCONーS)が臨床的に有用であり得るT細胞応答を誘導できることを実証する上で重要な段階である。
【0071】
中心化されたHIV−1遺伝子を作製するために、3つのコンピュータモデル(コンセンサス、先祖及び樹形の中心(COT;center of the tree))が提案されている(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Gao et al, Science 299:1517−1518(2003), Nickle et al, Science 299:1515−1517(2003), Korber et al, Science 288:1789−1796(2000)。それらは全て、サブタイプ内又はサブタイプ間の殆どのHIV−1配列について、星状の系統樹の根元に位置する傾向がある。実験的ワクチンとして、それらは全て、免疫原と野生ウイルス株間の遺伝的距離を減少させることができる。しかしながら、コンセンサス、先祖及びCOT配列には、それぞれ一長一短がある(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Gao et al, Science 299:1517−1518(2003), Nickle et al, Science 299:1515−1517(2003))。コンセンサス及びCOTは、サンプルとされた現行の野生型ウイルス中の配列又はエピトープを代表し、外れたHIV−1配列によって影響を受けにくいが、先祖は外れた配列によって著しい影響を受け得る先祖配列を代表する。しかしながら、現時点では、中心化された配列の何れが最高の免疫原としての役割を果たして、多様なHIV−1株に対する広い免疫応答を惹起することができるかは不明であり、これらの異なる戦略を調べるための研究が進行中である。
【0072】
総合すると、このデータは、HIV−1人工CON6及びCon−Sエンベロープは、野生型HIV−1エピトープに対するT細胞応答を誘導し、HIV−1初代単離株を中和する抗体を誘導することが可能なことを示しており、このため、HIV−1ワクチン設計において人工的の中心化されたHIV−1配列を使用することの実現可能性と有望性を実証している。
【実施例2】
【0073】
HIV−1サブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ糖タンパク質
実験の詳細
HIV−1サブタイプC先祖及びコンセンサスenv遺伝子をLos Alamos HIV Molecular Immunology Database(http://hiv−web.lanl.gov/immunology),から取得し、哺乳類細胞の発現に対してコドンの使用を最適化し、合成した(図6)。最適な発現を確保するために、Kozak配列(GCCGCCGCC)を、開始コドンのすぐ上流に挿入した。完全長の遺伝子の他に、gp41膜貫通ドメイン(IVNR)及びgp120/gp41切断部位(REKR)の直後に停止コドンを導入することによって、末端切断された2つのenv遺伝子を作製し、それぞれ、gp140及びgp120形態の糖タンパク質を得た(図8)。
【0074】
インビトロ転写/翻訳系で遺伝子の完全性を調べ、哺乳類細胞中で発現させた。先祖及びコンセンサスサブタイプCエンベロープが融合及び侵入を媒介できるかどうかを決定するために、gp160及びgp140遺伝子をHIV−1/SG3Δenvプロウイルスとともに同時形質移入し、JC53−BL細胞アッセイを用いて、得られた擬ビリオンの感染性を検査した(図7)。JC53−BLアッセイを僅かに改変して、共同受容体の使用及びエンベロープの中和感受性も決定した。コドン使用が最適化されたrev依存性96ZAM651 env遺伝子を、現サブタイプC対照として使用した。
【0075】
結果
コドンを最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子(gp160、gp140、gp120)は、哺乳類細胞中で高レベルのenv糖タンパク質を発現する(図9)。
【0076】
コドンを最適化されたサブタイプC gp160及びgp140糖タンパク質は、ウイルス粒子中に効率的に取り込まれる。ショ糖精製された擬ビリオンのウェスタンブロット分析から、rev依存性の現エンベロープ対照と比べて、コドンを最適化されたエンベロープのビリオン取り込みが10倍高いレベルであることが明らかである(図10A)。
【0077】
サブタイプCコンセンサスgp160又はgp140エンベロープの何れかで偽型化されたビリオンは、対応するgp160及びgp140先祖エンベロープを含有する擬ビリオンより感染性が高かった。さらに、gp160エンベロープは、それらの対応するgp140より一貫して感染性が高かった(図10B)。
【0078】
サブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープは何れも、ウイルス侵入を媒介するために、共同受容体としてCCR5を使用する(図11)。
【0079】
擬ビリオンを含有するサブタイプC先祖及びコンセンサスgp160の感染性は、サブタイプCに感染した患者から得た血漿によって中和された。このことは、これらの人工エンベロープが、固有のHIV−1 env 糖タンパク質と類似した構造を有すること、及び共通の中和エピトープが保存されていることを示唆している。サブタイプC先祖及びコンセンサスenv糖タンパク質(gp160)の間には、中和能に有意な差は見られなかった(図12)。
【0080】
結論
HIV−1サブタイプCウイルスは、最も広く流行している単離株であり、世界中の新しい感染のうち約50%を占める。世界的に流行しているHIV−1株における遺伝的多様性は、ワクチン設計に対して困難な問題を提起する。HIV−1 Envタンパク質は可変性が高いが、感染した宿主中で液性免疫と細胞性免疫をともに誘導することができる。70のHIV−1完全サブタイプC env配列を分析することによって、コンセンサス及び先祖サブタイプC env遺伝子が作製された。両配列は、現サブタイプC株と概ね等距離にあり、このため、さらに優れた交叉保護免疫を誘導すると予想される。再構築された先祖又はコンセンサス配列由来の免疫原は、ワクチン候補と現単離株間の遺伝的差異の程度を最小限に抑える。しかしながら、コンセンサス及び先祖サブタイプC env遺伝子は、アミノ酸配列が5%異なる。コンセンサス配列と先祖配列の両方を分析のために合成した。コドンを最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子を構築し、発現された糖タンパク質のインビトロでの生物特性を決定した。合成サブタイプCコンセンサス及び先祖env遺伝子は、現サブタイプC野生型エンベロープ糖タンパク質と構造、機能及び抗原性が類似する糖タンパク質を発現する。
【実施例3】
【0081】
サブタイプC gag及びnef遺伝子のコンセンサス(C. con. gag及びC. con. nef)のコドン使用の最適化
サブタイプCウイルスは、グループMウイルスの全サブタイプ中、世界で最も多く蔓延しているウイルスとなった。現在、50%を超えるHIV−1感染者が、HIV−1サブタイプCウイルスを保有している。さらに、サブタイプC内にかなりの可変性が存在する。すなわち、異なるサブタイプCウイルスは、Gag、Pol、Env及びNefタンパク質がそれぞれ10%、6%、17%及び16%も異なることがある。最も重要なことは、ある国から得られるサブタイプCウイルスは、世界の他の地域から単離されたウイルスと同程度に異なり得ることである。唯一の例外は、サブタイプCがより最近に導入されたインド/中国、ブラジル及びエチオピア/ジブチから得られるHIV−1株である。単一の国内でさえ、サブタイプCウイルスの遺伝的多様性は高いので、単一のウイルス単離株に基づく免疫原は、同じ地域中で流行する他の単離株に対して防御免疫を誘発しない場合がある。
【0082】
このため、サブタイプCウイルスのgag及びnef遺伝子配列を集め、50%のコンセンサス閾値を使用することによって、両遺伝子に対するコンセンサス配列を作製した。創始ウイルスに対して生じ得る偏りを避けるために、インド/中国、ブラジル及びエチオピア/ジブチから、それぞれ一つだけ配列を使用して、サブタイプCコンセンサス配列(C.con.gag及びC.con.nef)を作製した。C.con.gag及びC.con.nef遺伝子のコドンは、高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用に基づいて最適化された。293T細胞中への形質移入後のタンパク質発現が、図13に示されている。図から明らかなように、コンセンサスサブタイプC Gag及びNefタンパク質は効率的に発現され、Gag及びNef特異的抗体によって認識された。C.con.gag及びC.con.nef両遺伝子のタンパク質発現レベルは、元のサブタイプenv遺伝子(96ZM651)のタンパク質発現レベルと同等である。
【実施例4】
【0083】
「コンセンサス可変領域を有するコンセンサスenv遺伝子の完全長コンセンサス」(CON−S)の合成
合成された「コンセンサスenv遺伝子のコンセンサス」(CON6)では、可変領域が、現サブタイプCウイルス由来の対応する領域(98CN006)で置換されている。さらに、コンセンサス可変領域も有するcon/con遺伝子(CON−s)も設計された。Con−S env遺伝子のコドンは、高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用に基づいて最適化された。(アミノ酸配列及び核酸配列については、それぞれ、図14A及び14Bを参照。)
3’末端が20bp重複し、5’末端及び3’末端に不変の配列(それぞれ、制限酵素部位EcoRI及びBbsI並びにBsmBI及びBamHIを含む。)を含有する、対を成すオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBamHIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。それらは、18bpの不変領域に隣接する最初の4つの残基を切断して、後続の連結工程のために各断片の末端に、4塩基の5’突出を残すように、オリゴマー中に配置された。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなす26のオリゴマーを個別に連結した。
【0084】
T/Aクローニング法を用いて、pGEM−T(Promega)中に各対をクローニングし、不慮の変異/欠失の不存在を確認するために配列を決定した。次いで、適切なインサートを含有するpGEM−Tサブクローンを消化し、1%のアガロースゲルを走行させ、ゲル精製した(Qiagen)。マルチ断片連結反応において、4つの各108マーをpcDNA3.1(Invitrogen)中に連結した。遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で四方向の連結が段階的に起こった。遺伝子全体がpcDNA3.1ベクター中に再構築されるまで、このプロセスを繰り返した。
【0085】
コドン使用が最適化されたオリゴ対を一緒に連結することによって、完全なCon−S遺伝子を構築した。そのオープンリーディングフレームを確認するために、インビトロ転写及び翻訳アッセイを行った。翻訳工程の間に、S35−メチオニンによってタンパク質産物を標識し、10%のSDS−PAGE上で分離し、ラジオオートグラフィーによって検出した。予想されたサイズの発現されたCon−S gp160が、7つのクローンのうち4つで同定された(図14C)。
【0086】
ウェスタンブロットアッセイを用いた、293T細胞中に形質移入後の、哺乳類細胞中でのCONs Envタンパク質発現(図15)。Con−S Envタンパク質の発現レベルは、コンセンサス保存領域と98CN006ウイルス単離株から得られる可変ループとを含有する以前のCON6 envクローンから観察されたものと極めて類似していた。
【0087】
Env−擬ビリオンは、Con−S envクローンとenv欠損SG3プロウイルスクローンを293T細胞中に同時形質移入することによって作製された。形質移入から2日後に、擬ビリオンを採集し、JC53BL−13細胞中に感染させた。感染単位(IU)は、3つの独立した実験において、X−galで染色した後、青色の細胞を計数することによって決定した。CON6 envクローンと比較したときに、Con−S envクローンは、JC53BL−13細胞中で同じような数のIUを産生する(図16)。両者に対するIC力価は、SG3骨格クローン対照(Envなし)より約3桁高い。しかしながら、この力価も、陽性対照(固有のHIV−1 env遺伝子、NL4−3又はYU2)より約2桁低い。これらのデータは、両コンセンサスグループM envクローンが生物学的に機能であることを示唆している。しかしながら、それらの機能は低下していた。機能的コンセンサスenv遺伝子は、これらのEnvタンパク質が正しく折り畳まれ、固有のEnvタンパク質の基本的高次構造を保存しており、普遍的なEnv免疫原として発達できることを示唆する。
【0088】
次に、Con−S EnvがJC53−BL細胞中に侵入するためにどの共同受容体を使用しているかを決定した。CXCR4遮断剤AMD3100で処理すると、NL4−3 Env擬ビリオンの感染性は遮断されたのに対して、YU2、Con−S又はCON6 Env−擬ビリオンの感染性は阻害されなかった。これに対して、CCR5遮断剤TAK779で処理すると、NL4−3 Env擬ビリオンの感染性は影響を受けなかったのに対して、YU2、Con−S又はCON6 Env−擬ビリオンの感染性は阻害された。両遮断剤で処理すると、全ての擬ビリオンの感染性が阻害された。これらのデータを総合すると、Con−S及びCON6エンベロープは、標的細胞中に侵入するために、CCR5共同受容体を使用し、CXCR4共同受容体をしていないことを示している。
【0089】
次に、CON6又はCon−S Envタンパク質が擬ビリオン中に等しく効率的に取り込まれ得るかどうかを決定した。Envタンパク質がいくつの擬ビリオン中に取り込まれたかを正確に比較できるようにするために、細胞可溶化液に対して、同じ濃度:5μg総タンパク質(細胞培養上清では25ngのp24、又は精製されたウイルス株(超高速遠心後の濃縮された擬ビリオン)では150ngのp24)で各擬ビリオンをSDS−PAGE上に与える。何れの調製物においても、CON6又はCon−S Env擬ビリオン中に取り込まれたEnvタンパク質の量に差は存在しなかった(細胞可溶化液、細胞培養上清又は精製されたウイルス株)(図17)。
【実施例5】
【0090】
コンセンサスサブタイプA完全長env(A.con.env)遺伝子の合成
サブタイプAウイルスは、70%を超えるHIV−1感染が文献で報告されているアフリカ大陸において、二番目に多く広まっているHIV−1である。アフリカ及び世界で最も多く蔓延しているサブタイプCウイルスに対するコンセンサスgag、env及びnef遺伝子は既に作製された。サブタイプAとCウイルスの遺伝的距離は、env遺伝子中では、30%にも達し、両サブタイプ間の交叉反応性又は保護は最適ではないであろう。全てのサブタイプに対して、2つのグループMコンセンサスenv遺伝子も作製した。しかしながら、サブタイプコンセンサス遺伝子と同じサブタイプから得られる野生ウイルス間の遺伝的距離は、グループMコンセンサス遺伝子とこれらの同じウイルス間の遺伝的距離より小さいので、特定のサブタイプウイルスを標的とするためには、サブタイプ特異的コンセンサス遺伝子がより効果的であろう。従って、サブタイプA特異的免疫原を開発するためには、コンセンサス遺伝子を作製することが必要である。A.con.env遺伝子のコドンは、高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用に基づいて最適化された。(アミノ酸配列及び核酸配列については、それぞれ、図18A及び18Bを参照。)
オリゴの各対を増幅し、クローニングし、連結し、配列を決定した。A.con env遺伝子のオープンリーディングフレームを、インビトロでの転写及び翻訳系によって確認した後、A.con env遺伝子を293T細胞中に形質移入し、タンパク質の発現と特性をウェスタンブロットアッセイを用いて確認した(図18)。次いで、A.conエンベロープが生物学的に機能的であるか否かを決定した。これを、env欠損SG3プロウイルスクローンとともに、293T細胞中に同時形質移入した。偽型ウイルスを採集し、JC53BL細胞を感染させるために使用した。A.con Env擬ビリオンに感染したJC53−BL細胞中に青い細胞が検出され、A.con Envタンパク質が生物学的に機能的であることが示唆された(表6)。しかしながら、A. con Env擬ビリオンの感染力価は、野生型サブタイプCエンベロープを有する擬ビリオンの約1/7であった(表6)。総合すると、生物学的に機能的なA.con Envタンパク質は、A.con Envタンパク質が正しく折り畳まれており、Env免疫原として使用されれば、直鎖及び高次構造のT及びB細胞エピトープを誘導し得ることを示唆する。
【表6】
【実施例6】
【0091】
完全長「コンセンサスgag、pol及びnef遺伝子のコンセンサス」(M.con.gag、M.con.pol及びM.con.nef)及びサブタイプCコンセンサスpol遺伝子(C.con.pol)の設計
グループMコンセンサス遺伝子については、ウイルス特異的な可変領域を有するenv遺伝子(CON6)とコンセンサス可変領域を有するenv遺伝子(Con−S)という2つの異なるenv遺伝子を構築した。しかしながら、免疫又はワクチン接種された動物及びヒトでのT細胞免疫応答の解析は、env遺伝子が通常T細胞免疫応答に対する主要な標的ではないが、中和抗体を誘導し得る唯一の遺伝子であることを示している。代わりに、HIV−1 Gag、Pol及びNefタンパク質が、強力なT細胞免疫応答を誘導するために重要であることが見出される。全てのサブタイプに対して、さらに広い液性及び細胞性免疫応答を誘導することができる免疫原のレパートリーを作製するためには、env遺伝子のみ以外に、他のグループMコンセンサス遺伝子を構築することが必要であるかもしれない。gag、pol及びnef遺伝子「コンセンサスのコンセンサス」(M.con.gag、M.con.pol及びM.con.nef)が設計された。サブタイプコンセンサスpol遺伝子を作製するために、サブタイプCコンセンサスpol遺伝子(C.con.pol)も設計した。M.con.gag.、M.con.pol、M.con.nef及びC.con.po.遺伝子のコドンは、高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用に基づいて、最適化された。(核酸配列及びアミノ酸配列については、図19を参照。)
【実施例7】
【0092】
合成サブタイプBコンセンサスgag及びenv遺伝子
実験の詳細
それぞれ、37及び137個の現HIV−1株から、サブタイプBコンセンサスgag及びenv配列を得て、哺乳類細胞発現に対してコドン使用を最適化し、合成した(図20A及び20B)。最適な発現を確保するために、Kozak配列(GCCGCCGCC)を、開始コドンのすぐ上流に挿入した。完全長のenv遺伝子に加えて、gp145遺伝子を作製するために、gp41膜貫通ドメイン(IVNR)の直後に停止コドンを導入することにより、末端切断されたenv遺伝子を作製した。インビトロ転写/翻訳系で遺伝子の完全性を調べ、哺乳類細胞中で発現させた。(サブタイプBコンセンサスGag及びEnv配列は、それぞれ、図20C及び20Dに記載されている。)
サブタイプBコンセンサスエンベロープが融合及び侵入を媒介できるかどうかを決定するために、gp160及びgp145遺伝子をHIV−1/SG3Δenvプロウイルスとともに同時形質移入し、JC53−BL細胞アッセイを用いて、得られた擬ビリオンの感染性を検査した。JC53−BL細胞は、高レベルのCD4並びにHIV−1共同受容体CCR5及びCXCR4を発現するHeLa細胞から派生した細胞である。JC53−BL細胞は、それぞれ、HIV−1 LTRから発現されるルシフェラーゼとガラクトシダーゼのレポーターカセットも含有している。レポーター遺伝子の発現は、HIV−1 Tatの産生に依存する。簡潔に述べると、細胞を24ウェルプレート中に播種し、37℃で24時間インキュベートし、37℃で30分間、DEAE−Dextranで処理した。1% DMEM中にウイルスを系列希釈し、DEAE−デキストラン中でインキュベートしている細胞に加え、37℃で3時間インキュベートした後、さらに500μLの細胞培地を各ウェルに添加する。37℃で48時間、最終インキュベーションを行った後、細胞を固定し、X−Galを用いて染色し、青色の病巣を顕微鏡で計数するために、PBSを重層した。偽感染されたウェルに対するカウント(バックグラウンドを決定するために使用)を、試料ウェルに対するカウントから差し引く。JC53−BLアッセイを僅かに改変して、共同受容体の使用及びエンベロープの中和感受性も決定した。サブタイプBコンセンサスGagタンパク質が、Env糖タンパク質を取り込んだウイルス様粒子(VLP)を産生できるかどうかを決定するために、293T細胞をサブタイプBコンセンサスgag及びenv遺伝子で同時形質移入した。形質移入から48時間後に、VLPを含有する細胞上清を集め、卓上遠心機で清澄にし、0.2mMのフィルターを通してろ過し、20%のショ糖クッションを通して沈降させる。VLPペレットをPBS中に再懸濁し、20から60%の連続スクロース勾配上に転写した。100,000×gで一晩遠心した後、0.5mLの画分を集め、p24含量をアッセイした。各画分の屈折率も測定した。VLPに対する正しい密度を有し、最高レベルのp24を含有する画分をプールし、最後に沈降する。VLP含有ペレットをPBS中に再懸濁し、4から20%のSDS−PAGEゲル上に載せた。タンパク質をPVDF膜に転写し、サブタイプBのHIV−1に感染した個体から得た血清でプローブした。
【0093】
結果
コドン使用を最適化されたサブタイプBコンセンサスエンベロープ(gp160、gp145)及びgag遺伝子は、哺乳類細胞中で高レベルの糖タンパク質を発現する(図21)。
【0094】
サブタイプCgp160及びgp145糖タンパク質は、ウイルス粒子中に効率的に取り込まれる。ショ糖精製された擬ビリオンのウェスタンブロット分析から、rev依存性の現エンベローの取り込みと比べて、コンセンサスBエンベロープの取り込みレベルは少なくとも5倍であることを示唆する(図23A)。サブタイプBコンセンサスgp160及びgp145エンベロープの何れかで偽型化されたビリオンは、rev依存性の現エンベロープを含有する擬ビリオンより感染性が高い(図23B)。
【0095】
サブタイプBコンセンサスエンベロープは、CD4を有する標的細胞中に侵入するための共同受容体としてCCR5を使用する(図22)。
【0096】
サブタイプBコンセンサスgp160エンベロープを含有する擬ビリオンの感染性は、HIV−1サブタイプBに感染した患者から得た血漿(図24C)及び中和モノクローナル抗体(図24A)によって中和された。このことは、サブタイプB合成コンセンサスBエンベロープの全体的な構造が固有のNIV−1 Env糖タンパク質と類似していること、及び共通する中和エピトープがそのままの状態を保っていることを示唆する。図24B及び24Dは、サブタイプB対照エンベロープ(NL4.3 Env)の中和プロファイルを示している。
【0097】
サブタイプBコンセンサスGagタンパク質は、細胞膜から出芽し、ウイルス様粒子を形成することができる(図25A)。コドンを最適化されたサブタイプBコンセンサスがgag及びがp160遺伝子の同時形質移入によって、取り込まれたエンベロープを有するVLPが産生される(図25B)。
【0098】
結論
合成サブタイプBコンセンサスenv及びgag遺伝子は、現サブタイプB Env及びGagタンパク質と構造、機能及び抗原性が類似するウイルスタンパク質を発現する。サブタイプBコンセンサス遺伝子を基礎とする免疫原は、幅広い一群のHIV−1単離株に対して保護的であるCTL及び中和免疫応答を惹起するであろう。
【0099】
上記に引用されている全ての文献及びその他の情報源は、参照により、それらの全体が本明細書に援用される。Liao et al, J. Virol. 78:5270(2004))も、参照により援用される。
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年9月17日に出願された仮出願第60/503,460号及び2004年8月27日に出願された仮出願第60/604,722号の優先権を主張するものであり、これらの内容全体は、参照により、本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、概括的には免疫原に関し、具体的には、幅広いHIV初代単離株を中和する抗体を誘導するための免疫原及び/又はT細胞免疫応答を誘導する免疫原に関する。本発明は、このような免疫原を使用して、抗HIV抗体を誘導する方法及び/又はT細胞免疫応答を誘導する方法にも関する。本発明は、さらに、本発明の免疫原をコードする核酸配列に関する。
【背景技術】
【0003】
HIV−1の高レベルの遺伝的変異性は、AIDSワクチン開発にとって大きな障害となっている。HIV−1のグループM、N及びO間の遺伝的差異は大きく、gag及びenv遺伝子では、それぞれ30%から50%にわたる(Gurtler et al, J.Virol. 68:1581-1585(1994), Vanden Haesevelde et al, J. Virol. 68: 1586-1596(1994), Simon et al, Nat. Med. 4:1032-1037(1998), Kuiken et al, Human retroviruses and AIDS 2000: a compilation and analysis of nucleic acid and amino acid sequences (Theoretical Biology and Biophysics Group, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico))。グループMに属するウイルスは、さらに、遺伝的に異なる9つのサブタイプ(A−D、F−H、J及びK)に分類される(Kuiken et al, Human retroviruses and AIDS 2000: a compilation and analysis of nucleic acid and amino acid sequences (Theoretical Biology and Biophysics Group, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico, Robertson et al, Science 288:55-56(2000), Robertson et al, Human retroviruses and AIDS 1999: a compilation and analysis of nucleic acid and amino acid sequences, eds. Kuiken et al (Theoretical Biology and Biophysics Group, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico), pp. 492-505(2000))。HIV−1サブタイプ間のenv遺伝子中の遺伝的変動が30%にも達するため、全てのHIV−1サブタイプに対して、異なるサブタイプにわたり、T及びB細胞免疫応答を一貫して惹起することは困難であった。HIV−1は、しばしば、異なるサブタイプ間で組換えを行い、組換え型流行株(CRF;circulating recombinant form)を作り出す(Robertson et al, Science 288:55-56(2000), Robertson et al, Human retroviruses and AIDS 1999: a compilation and analysis of nucleic acid and amino acid sequences, eds. Kuiken et al (Theoretical Biology and Biophysics Group, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico), pp. 492-505 (2000), Carr et al, Human retroviruses and AIDS 1998: a compilation and analysis of nucleic acid and amino acid sequences, eds. Korber et al (Theoretical Biology and Biophysics Group, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, New Mexico), pp. III-10-III-19(1998))。複数のサブタイプが一般的な地理的領域では、HIV−1単離株の20%超が組換え体であり(Robertson et al, Nature 374:124-126(1995), Cornelissen et al, J. virol.70:8209-8212(1996), Dowling et al, AIDS 16:1809-1820(2002))、組換えウイルスの発生頻度が高いことが、実験的なHIV−1免疫原の設計をさらに複雑にし得る。
【0004】
AIDSワクチン開発におけるこれらの困難な課題を克服するために、3つのコンピュータモデル(コンセンサス、先祖及び樹形中心(COT;center of the tree))を使用して、中心化されたHIV−1遺伝子(centralized HIV−1 gene)が生成されている(Gaschen et al, Science 296:2354-2360(2002), Gao et al, Science 299:1517-1518(2003), Nickle et al, Science 299:1515-1517 (2003), Novitsky et al, J. Virol. 76:5435-5451(2002), Ellenberger et al, Virology 302:155-163(2002), Korber et al, Science 288:1789-1796(2000))。HIVの生物学は、星状の系統発生を生じ、この結果、3種類の配列は互いに2から5%異なる(Gao et al, Science 299:517−1518 (2003))。3つの中心化された遺伝子戦略は何れも、免疫原と野生ウイルス株間のタンパク質距離を少なくするであろう。コンセンサス配列は、アラインメント中の各位置において最も一般的なアミノ酸を基礎として、人工配列を作製することによって、ワクチン株と現在の流行ウイルス間の配列の不一致の程度を最小限に抑える(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002))。先祖配列は、コンセンサス配列と類似するが、最大確率系統発生分析法を用いて作製される(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Nickle et al, Science 299:1515−1517(2003))。このようにする際には、本方法は、分析された現行の野生型配列の仮定的な先祖遺伝子を再現する(図26)。Nickleらは、樹形中心(COT)という、先祖配列と似ているが、外れ値による影響が先祖配列より低い中心化されたHIV−1配列を作製するための別の方法を提案した(Science 299:1515−1517(2003))。
【0005】
本発明は、中心化された免疫原がT及びBの両細胞免疫応答を動物に誘導できるかどうかを決定するために設計された研究の結果から、少なくとも部分的にはもたらされる。これらの研究では、人工のグループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)の作製、並びにCON6エンベロープを可溶性gp120及びgp140CFタンパク質として発現するためのDNAプラスミド及び組換えワクシニアウイルスの構築を行う。この結果は、CON6 Envタンパク質が生物学的に機能的であり、野生型HIVの線形、高次構造及びグリカン依存性エピトープを有しており、HIVサブタイプB及びCの両方のT細胞エピトープを認識するサイトカイン産生T細胞を誘導する。重要なことは、CON6、gp120及びgp140CFタンパク質は、サブタイプB及びCのHIV−1初代単離株のサブセットを中和する抗体を誘導するということである。
【0006】
中心化されたHIV−1遺伝子アプローチの研究の反復的性質は、HIV−1配列の急速に拡大する進化、及びHIV配列データベース(すなわち、 the Los Alamos National Database)に集められた配列は、毎年、継続的に新たな配列で更新されているという事実に由来する。CON6 gp120エンベロープ遺伝子は、Year 1999 Los Alamos National Databaseの配列に由来し、Con−sはYear 2000 Los Alamos National Databaseの配列に由来する。さらに、CON6は、チャイニーズサブタイプC V1、V2、V4及びV5 Env配列を有するのに対して、Con−Sは全て、最小長の可変ループへと短縮されたグループMコンセンサスEnv定常領域及び可変領域を有する。HIV−1初代単離株に対して幅広い反応性があるT及びB細胞応答を誘導するのに使用するために、野生型HIV−1 Env遺伝子の対応する系列を比較用に有するように、一連のYear 2003グループM及びサブタイプコンセンサス配列に対するコドン最適化遺伝子が設計されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、幅広いHIV初代単離株を中和する抗体を誘導するための免疫原及び/又はT細胞免疫応答を誘導する免疫原ならびに前記免疫原をコードする核酸配列に関する。本発明は、このような免疫原を使用して、抗HIV抗体を誘導する方法及び/又はT細胞免疫応答を誘導する方法にも関する。
【0008】
本発明の目的及び利点は、以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1−1】グループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)の作製及び発現。CON6 gp160の完全なアミノ酸配列が示されている。
【0010】
(図1A)野生型CRF08_BC(98CN006)env遺伝子から得られる5つの領域は、下線を付した文字によって記されている。可変領域は、配列の上にある括弧によって記されている。N結合型グリコシル化部位の候補は、太字で強調されている。
【図1−2】グループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)の作製及び発現。
【0011】
(図1B)CON6 gp120及びgp140CFの構築。CON6 gp120及びgp140CFプラスミドは、それぞれ、gp120切断部位の後、又は膜貫通ドメインの前に停止コドンを導入することによって作製された。gp120/gp41切断部位及びgp41の融合ドメインは、gp140CFタンパク質では欠失した。
【0012】
(図1C)CON6 gp120及びgp140CFの発現。CON6 gp120及びgp140CFは、galanthus Nivalisアルガロース−レクチンカラムを用いて、rWを感染させた293T細胞の細胞培養上清から精製された。gp120及びgp140CFの両者を、10%のSDS−ポリアクリルアミドゲルで分離し、Commassieブルーで染色した。
【0013】
(図1D.)高度に発現されるヒト遺伝子のコドン使用に基づいて、CON6 env遺伝子を最適化した。
【図2−1】CON6 gp120 gp140 CFの、可溶性CD4(sCD4)及び抗Env mAbへの結合。
【0014】
(図2A−2B)CM5センサーチップ(BIAcore)に、表記の各mab及びsCD4を共有結合によって固定し、CON6 gp120(図2A)又はgp140CF(図2B)(それぞれ、100g/mL及び300μg/mL)を各表面に注射した。CON6 gp120及びgp140CFへの結合が無視できる程度であったfor17b mabを除き、gp120及びgp140CF両タンパク質は、検査した各抗gp120mabと反応した。CON6 gp120及びgp140CFへの17b mab結合の誘導を測定するために、sCD4又はmab A32若しくはT8が固定化された各フローセル上にCON6 gp120(図2C)又はgp140CF(図2D)タンパク質を捕捉した(400から580RU)。各表面の安定化を行った後、mAb 17bを注入し、固定化された各フローセルの上に流した。曲線の重ね合わせにより、mab 17bのCON6 Envタンパク質への結合が、sCD4及びmab A32表面の両者で顕著に増加しているが、T8表面上では増加していないことが明らかである(図2C−2D)。
【図2−2】CON6 gp120 gp140 CFの、可溶性CD4(sCD4)及び抗Env mAbへの結合。
【0015】
CON6 gp120及びgp140CFのヒト mabへの結合をELISAで決定するために、CON6 gp120及びgp140CFに対するmab 447、F39F、A32、IgG1b12及び2F5の20μg/mLの原溶液を滴定した(図2E)。Mab 447(V3)、F39F(V3)A32(gp120)及びIgG1b12(CD4結合部位)は、それぞれ、CON6 gp120及び140ウェルの両方に結合したのに対して、2F5(抗gp41 ELDKWAS)はgp140CFのみを結合した。gp120に対するmab 447及びF39Fの結合の終末点力価における濃度は、それぞれ、0.003μg/mL未満及び0.006μg/mL未満であり、mab A32については、0.125μg/mL未満、IgG1b12については、0.002μg/mL未満、2F5については、0.016g/mLであった。
【図3】CON6エンベロープの感染性及び共同受容体使用。
【0016】
(図3A)CON6及び対照envプラスミドを、HIV−1/SG3Δenv骨格とともに、ヒト293T細胞中に同時形質移入して、Env擬ビリオンを作製した。JC53−BL細胞を感染させるために、等量の各擬ビリオン(5ng p24)を使用した。β−gal発現について感染細胞を染色した後、1μgの擬ビリオンのp24(IU/μg p24)当たりの青い細胞(感染単位、IU)の数を数えることによって、感染性を決定した。
【0017】
(図3B)AMD3100及び/又はTAK−799により、1時間(37℃)で処理した後、等量の各Env擬ビリオンのp24(5ng)に感染させたJC53BL細胞に対して、CON6 env遺伝子の共同受容体の使用を決定した。対照グループにおける感染性(遮断剤なし)を100%として設定した。遮断効率は、遮断剤なしの対照培養から得たものと比較した、遮断実験由来のIUのパーセントとして表した。示されているデータは、平均±SDである。
【図4】複数サブタイプの抗血清に対する複数サブタイプのEnvタンパク質のウェスタンブロット分析。等量のEnvタンパク質(100ng)を、10%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上で分離した。電気泳動後、タンパク質をHybond ECLニトロセルロース膜に転写し、HIV−1感染した患者から得た血清(1:1,000)、又はCON6 gp120 DNA初回刺激、rW追加刺激で免疫したモルモット(1:1,000)から得た血清(1:1,000)と反応させた。タンパク質が結合された抗体を、蛍光標識した二次抗体でプローブし、画像をスキャンし、赤外線撮像装置Odyssey(Li−Cor,Lincoln.NE.)上に記録した。サブタイプは、Envタンパク質及び血清IDの後に、一文字で表記されている。各サブタイプに対して4から6個の血清を検査し、反応パターンは、同じサブタイプから得た全ての血清間で類似していた。各サブタイプの血清に対して一つの代表的な結果が示されている。
【図5】マウス中のCON6 Env 免疫原によって誘導されたT細胞免疫応答。免疫化された各マウスから脾細胞を単離した(5匹のマウス/群)。CON6(黒のカラム)、サブタイプB(斜線入りカラム)、サブタイプC(白のカラム)及び溶媒(ペプチドなし;灰色のカラム)の重複するEnvペプチドプールで、脾細胞をインビトロで刺激した後、ELISPOTアッセイによってINF−γ産生細胞を決定した。CON6 gp120又はgp140CFによって誘導されたT細胞IFN−γ応答を、サブタイプ特異的なEnv免疫原(JRFL及び96ZM651)によって誘導された応答と比較した。各エンベロープペプチドのプールに対する総応答は、百万個の脾細胞当たりのSFCとして表される。各カラムに対する値は、IFN−γ SFCの平均±SEMである(n=5匹のマウス/群)。
【図6A】コドン使用を最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子の構築(それぞれ、図6A及び6B)。高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用を正確に反映させるために、先祖及びコンセンサスアミノ酸配列(それぞれ、図6C及び6D)を転写した。制限酵素部位EcoRI、BbsI、BamHI及びBsmBIを含む5’の不変配列を含有するように、20bpが重複するペアのオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBsmBIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなすオリゴマーを個別に段階的な様式で連結し、140bpのPCR産物を得た。これらをpGEM−T中にサブクローニングし、配列決定して意図しない変異/欠失の不存在を確認した。適切な挿入物を含有する4つの各pGEM−Tサブクローンを消化し、互いに連結してpcDNA3.1とした。全体の遺伝子がpcDNA3.1中に再構築されるまで、遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で多断片連結が段階的に繰り返し起こった。(図6Eの模式図参照)
【図6B】コドン使用を最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子の構築(それぞれ、図6A及び6B)。高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用を正確に反映させるために、先祖及びコンセンサスアミノ酸配列(それぞれ、図6C及び6D)を転写した。制限酵素部位EcoRI、BbsI、BamHI及びBsmBIを含む5’の不変配列を含有するように、20bpが重複するペアのオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBsmBIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなすオリゴマーを個別に段階的な様式で連結し、140bpのPCR産物を得た。これらをpGEM−T中にサブクローニングし、配列決定して意図しない変異/欠失の不存在を確認した。適切な挿入物を含有する4つの各pGEM−Tサブクローンを消化し、互いに連結してpcDNA3.1とした。全体の遺伝子がpcDNA3.1中に再構築されるまで、遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で多断片連結が段階的に繰り返し起こった。(図6Eの模式図参照)
【図6C】コドン使用を最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子の構築(それぞれ、図6A及び6B)。高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用を正確に反映させるために、先祖及びコンセンサスアミノ酸配列(それぞれ、図6C及び6D)を転写した。制限酵素部位EcoRI、BbsI、BamHI及びBsmBIを含む5’の不変配列を含有するように、20bpが重複するペアのオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBsmBIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなすオリゴマーを個別に段階的な様式で連結し、140bpのPCR産物を得た。これらをpGEM−T中にサブクローニングし、配列決定して意図しない変異/欠失の不存在を確認した。適切な挿入物を含有する4つの各pGEM−Tサブクローンを消化し、互いに連結してpcDNA3.1とした。全体の遺伝子がpcDNA3.1中に再構築されるまで、遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で多断片連結が段階的に繰り返し起こった。(図6Eの模式図参照)
【図6D】コドン使用を最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子の構築(それぞれ、図6A及び6B)。高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用を正確に反映させるために、先祖及びコンセンサスアミノ酸配列(それぞれ、図6C及び6D)を転写した。制限酵素部位EcoRI、BbsI、BamHI及びBsmBIを含む5’の不変配列を含有するように、20bpが重複するペアのオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBsmBIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなすオリゴマーを個別に段階的な様式で連結し、140bpのPCR産物を得た。これらをpGEM−T中にサブクローニングし、配列決定して意図しない変異/欠失の不存在を確認した。適切な挿入物を含有する4つの各pGEM−Tサブクローンを消化し、互いに連結してpcDNA3.1とした。全体の遺伝子がpcDNA3.1中に再構築されるまで、遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で多断片連結が段階的に繰り返し起こった。(図6Eの模式図参照)
【図6E】コドン使用を最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子の構築(それぞれ、図6A及び6B)。高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用を正確に反映させるために、先祖及びコンセンサスアミノ酸配列(それぞれ、図6C及び6D)を転写した。制限酵素部位EcoRI、BbsI、BamHI及びBsmBIを含む5’の不変配列を含有するように、20bpが重複するペアのオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBsmBIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなすオリゴマーを個別に段階的な様式で連結し、140bpのPCR産物を得た。これらをpGEM−T中にサブクローニングし、配列決定して意図しない変異/欠失の不存在を確認した。適切な挿入物を含有する4つの各pGEM−Tサブクローンを消化し、互いに連結してpcDNA3.1とした。全体の遺伝子がpcDNA3.1中に再構築されるまで、遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で多断片連結が段階的に繰り返し起こった。(図6Eの模式図参照)
【図7】JC53−BL細胞は、高レベルのCD4並びにHIV−1共同受容体CCR5及びCXCR4を発現するHeLa細胞から派生した細胞である。JC53−BL細胞は、それぞれ、HIV−1 LTRから発現されるルシフェラーゼとβ−ガラクトシダーゼのレポーターカセットも含有している。レポーター遺伝子の発現は、HIV−1 Tatの産生に依存する。簡潔に述べると、細胞を24又は96ウェルプレート中に播種し、37℃で24時間インキュベートし、37℃で30分間、DEAE−Dextranで処理した。1% DMEM中にウイルスを系列希釈し、DEAE−デキストラン中でインキュベートしている細胞に加え、37℃で3時間インキュベートした後、さらに細胞培地を各ウェルに添加する。37℃で48時間、最終インキュベーションを行った後、細胞を固定し、β−ガラクトシダーゼを発現している青色の病巣を可視化するために、X−Galを用いて染色するか、又はルシフェラーゼ活性を測定するために3回凍結融解した。
【図8】サブタイプC先祖及びコンセンサスenv遺伝子の配列アラインメント。95.5%の配列相同性を示すサブタイプC先祖(下の線)及びコンセンサス(上の線)env配列のアラインメント;アミノ酸配列の差が記されている。一つの顕著な差は、V1ループの基部にあるC先祖env遺伝子中にグリコシル化部位が追加されていることである。プラスの符号は、表記位置におけるアミノ酸がクラス内で異なることを表しており、バーは、アミノ酸のクラスが変化していることを表している。N−グリコシル化部位の候補は、青でマークされている。gp140遺伝子に対する末端切断の位置も示されている。
【図9】293T細胞中でのサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープの発現。コドンを最適化されたgp160、gp140又はgp120サブタイプC先祖及びコンセンサス遺伝子を含有するプラスミドを293T細胞中に形質移入し、細胞可溶化液のウェスタンブロット分析によって、タンパク質発現を調べた。形質移入から48時間後に、細胞可溶化液を集め、BCAタンパク質アッセイによって、総タンパク質含量を測定し、4から20%のSDS−PAGEゲル上のレーン当たり2μgの総タンパク質を載せた。タンパク質をPVDF膜に転写し、サブタイプCに感染した患者から得たHIV−1血漿でプローブした。
【図10】図10A。コドン最適化されたサブタイプ先祖C及びコンセンサスgp160及びgp140による、env欠失HIV−1のトランス相補性。コドン最適化された、サブタイプC先祖又はコンセンサスgp160若しくはgp140遺伝子を含有するプラスミドを、HIV−1SG3Δenvプロウイルスとともに、293T細胞中に同時形質移入した。形質移入から48時間後に、偽型ウイルスを含有する細胞上清を採集し、遠心によって清澄にし、0.2μMのフィルターを通してろ過し、20%のスクロースクッションを通して沈降させる。各ウイルスペレット中のp24の定量は、Coulter HIV−1 p24抗原アッセイを用いて決定した。コドン最適化されたエンベロープを含有する粒子については、4から20%のSDS−PAGEゲル上のレーン当たり25ngのp24を載せた。rev依存性野生型サブタイプC 96ZAM651env遺伝子の同時形質移入によって作製された粒子については、レーン当たり250ngのp24を載せた。レーン当たりに載せられたp24の量の差は、ウェスタンブロットによるrev依存性エンベロープの可視化を確保するために必要であった。タンパク質をPVDF膜に転写し、HIV−1サブタイプB及びサブタイプCに感染した個体から得た、プールされた血漿でプローブした。
【0018】
図10B。サブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ糖タンパク質を含有するウイルス粒子の感染性。JC53−BLアッセイを用いて、先祖又はコンセンサスgp160若しくはgp140エンベロープを含有する偽型ウイルスの感染性を決定した。Coulter p24抗原アッセイによって、スクロースクッションで精製されたウイルス粒子をアッセイし、DEAE−Dextran処理されたJC53−BL細胞とともに、各ペレットの5倍系列希釈をインキュベートした。48時間のインキュベーション期間後に、細胞を固定し、β−ガラクトシダーゼ発現細胞を可視化するために染色した。導入した擬ビリオンの濃度差を標準化するために、感染性は、1ngのp24当たりの感染単位として表されている。
【図11】サブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープの共同受容体の使用。先祖又はコンセンサスエンベロープを含有する偽型粒子を、AMD3100(CXCR4の特異的阻害剤)、TAK779(CCR5の特異的阻害剤)又はAMD3000+TAK779の存在下で、DEAE−Dextran処理されたJC53−BL細胞とともにインキュベートして、共同受容体の使用を測定した。CXCR4を使用することが知られた単離株NL4.3及びCCR5を使用する公知の単離株YU−2を対照として含めた。
【図12】サブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ糖タンパク質の中和感受性。先祖、コンセンサス又は96ZAM651 gp160エンベロープ(1,500感染単位)を含有する等量の擬ビリオンを、HIV−1サブタイプCに感染した患者から得た血漿試料のパネルとともに、プレインキュベートし、96ウェルプレート中のJC53−BL細胞単層に添加した。プレートを2日間培養し、ウイルスの感染性の指標として、ルシフェラーゼ活性を測定した。ウイルス感染性は、各濃度の抗体で生じたルシフェラーゼユニット(LU)を、対照感染によって生じたLUで除することによって算出する。次いで、各ウイルスに対して、平均50%阻害濃度(IC50)及び各抗体希釈における実際の%中和を算出する。平行する感染における青色の病巣を直接計数することによって、全てのルシフェラーゼ実験の結果を確認する。
【図13−1】293T細胞への形質移入後のコンセンサスサブタイプC Gag(図13A)とNef(図13B)のタンパク質発現。コンセンサスサブタイプC Gag及びNefアミノ酸配列は、それぞれ、図13C及び13Dに記されており、コードしている配列は、図13E及び13Fに記されている。
【図13−2】293T細胞への形質移入後のコンセンサスサブタイプC Gag(図13A)とNef(図13B)のタンパク質発現。コンセンサスサブタイプC Gag及びNefアミノ酸配列は、それぞれ、図13C及び13Dに記されており、コードしている配列は、図13E及び13Fに記されている。
【図14−1】図14Aおよび14Bは、それぞれ、Con−S Envのアミノ酸配列及びコード配列を示している。図14Cは、インビトロ転写及び翻訳系を用いたグループMコンセンサスCon−S Envタンパク質の発現を示している。
【図14−2】図14Aおよび14Bは、それぞれ、Con−S Envのアミノ酸配列及びコード配列を示している。図14Cは、インビトロ転写及び翻訳系を用いたグループMコンセンサスCon−S Envタンパク質の発現を示している。
【図15】哺乳類細胞中でのCon−S env遺伝子の発現。(図15A−細胞可溶化液、図15B−上清)
【図16】CON6及びCon−S env遺伝子の感染性(図16A)及び共同受容体の使用(図16B)。
【図17】CON6及びCon−S Env擬ビリオンへのEnvタンパク質の取り込み。(図17A−可溶化液、図17B−上清、図17C−ペレット。)
【図18−1】図18Aおよび18Bは、それぞれ、サブタイプAのコンセンサスEnvアミノ酸配列及びこれをコードする核酸配列を示している。
【図18−2】図18Aおよび18Bは、それぞれ、サブタイプAのコンセンサスEnvアミノ酸配列及びこれをコードする核酸配列を示している。
【図18−3】図18C及び18Dは、哺乳類細胞中でのA. con env遺伝子発現を示している(図18C−細胞可溶化液、図18D−上清)。
【図19−1】M.con.gag(図19A)、M.con.pol(図19B)、M.con.nef(図19C)及びC.con.pol(図19D)核酸配列及び対応するコードされたアミノ酸配列(それぞれ、図19E−19H)
【図19−2】M.con.gag(図19A)、M.con.pol(図19B)、M.con.nef(図19C)及びC.con.pol(図19D)核酸配列及び対応するコードされたアミノ酸配列(それぞれ、図19E−19H)
【図19−3】M.con.gag(図19A)、M.con.pol(図19B)、M.con.nef(図19C)及びC.con.pol(図19D)核酸配列及び対応するコードされたアミノ酸配列(それぞれ、図19E−19H)
【図19−4】M.con.gag(図19A)、M.con.pol(図19B)、M.con.nef(図19C)及びC.con.pol(図19D)核酸配列及び対応するコードされたアミノ酸配列(それぞれ、図19E−19H)
【図19−5】M.con.gag(図19A)、M.con.pol(図19B)、M.con.nef(図19C)及びC.con.pol(図19D)核酸配列及び対応するコードされたアミノ酸配列(それぞれ、図19E−19H)
【図20−1】サブタイプBコンセンサスgag(図20A)及びenv(図20B)遺伝子。対応するアミノ酸配列は、図20C及び20Dに示されている。
【図20−2】サブタイプBコンセンサスgag(図20A)及びenv(図20B)遺伝子。対応するアミノ酸配列は、図20C及び20Dに示されている。
【図20−3】サブタイプBコンセンサスgag(図20A)及びenv(図20B)遺伝子。対応するアミノ酸配列は、図20C及び20Dに示されている。
【図21】293T細胞中でのサブタイプBコンセンサスenv及びgag遺伝子の発現。コドンを最適化されたサブタイプBコンセンサスgp160、gp140及びgag遺伝子を含有するプラスミドを293T細胞中に形質移入し、細胞可溶化液のウェスタンブロット分析によって、タンパク質発現を調べた。形質移入から48時間後に、細胞可溶化液を集め、BCAタンパク質アッセイによって、総タンパク質含量を測定し、4から20%のSDS−PAGEゲル上のレーン当たり2μgの総タンパク質を載せた。タンパク質をPVDF膜に転写し、HIV−1サブタイプBに感染した個体から得た血清で探索した。
【図22】サブタイプBコンセンサスエンベロープの共同受容体の使用。サブタイプBコンセンサスgp160 Envを含有する偽型粒子を、AMD3100(CXCR4の特異的阻害剤)、TAK779(CCR5の特異的阻害剤)及びAMD3000+TAK779の存在下で、DEAE−Dextran処理されたJC53−BL細胞とともにインキュベートして、共同受容体の使用を測定した。CXCR4を使用することが知られた単離株NL4.3及びCCR5を使用する公知の単離株YU−2を対照として含めた。
【図23】コドン最適化されたサブタイプB並びにコンセンサスgp160及びgp140遺伝子による、env欠失HIV−1のトランス相補性。コドン最適化された、サブタイプBコンセンサスgp160若しくはgp140遺伝子を含有するプラスミドを、HIV−1SG3Δenvプロウイルスとともに、293T細胞中に同時形質移入した。形質移入から48時間後に、偽型ウイルスを含有する細胞上清を採集し、卓上遠心機で清澄にし、0.2μMのフィルターを通してろ過し、20%のスクロースクッションを通して沈降させる。各ウイルスペレット中のp24の定量は、Coulter HIV−1 p24抗原アッセイを用いて決定した。4から20%のSDS−PAGEゲル上のレーン当たり25ngのp24を載せた。タンパク質をPVDF膜に転写し、HIV−1サブタイプBに感染した患者の血清から得た抗HIV−1抗体でプローブした。対照のために、rev依存性NL4.3 envによるトランス相補性を含めた。図23B。サブタイプBコンセンサスエンベロープを含有するウイルス粒子の感染性。JC53−BLアッセイを用いて、コンセンサスB gp160若しくはgp140を含有する偽型ウイルスの感染性を決定した。Coulter p24抗原アッセイによって、スクロースクッションで精製されたウイルス粒子をアッセイし、DEAE−Dextran処理されたJC53−BL細胞とともに、各ペレットの5倍系列希釈をインキュベートした。48時間のインキュベーション期間後に、細胞を固定し、β−ガラクトシダーゼ発現細胞を可視化するために染色した。感染性は、1μgのp24当たりの感染単位として表されている。
【図24−1】サブタイプBコンセンサスgp160エンベロープを含有するビリオンの中和感受性。サブタイプBコンセンサス又はNL4.3 Env(gp160)(1,500感染単位)を含有する等量の擬ビリオンを、3つの異なるモノクローナル中和抗体及びHIV−1サブタイプBに感染した個体から得た血漿試料のパネルとともにプレインキュベートし、次いで、96ウェルプレート中のJC53−BL細胞単層中に添加した。プレートを2日間培養し、ウイルスの感染性の指標として、ルシフェラーゼ活性を測定した。ウイルス感染性は、各濃度の抗体で生じたルシフェラーゼユニット(LU)を、対照感染によって生じたLUで除することによって算出した。次いで、各ウイルスに対して、平均50%阻害濃度(IC50)及び各抗体希釈における実際の%中和を算出した。平行する感染における青色の病巣を直接計数することによって、全てのルシフェラーゼ実験の結果を確認した。図24A。サブタイプBコンセンサスEnv(gp160)を含有する擬ビリオンの中和。図24B。NL4.3 Env(gp160)を含有する擬ビリオンの中和。
【図24−2】サブタイプBコンセンサスgp160エンベロープを含有するビリオンの中和感受性。サブタイプBコンセンサス又はNL4.3 Env(gp160)(1,500感染単位)を含有する等量の擬ビリオンを、3つの異なるモノクローナル中和抗体及びHIV−1サブタイプBに感染した個体から得た血漿試料のパネルとともにプレインキュベートし、次いで、96ウェルプレート中のJC53−BL細胞単層中に添加した。プレートを2日間培養し、ウイルスの感染性の指標として、ルシフェラーゼ活性を測定した。ウイルス感染性は、各濃度の抗体で生じたルシフェラーゼユニット(LU)を、対照感染によって生じたLUで除することによって算出した。次いで、各ウイルスに対して、平均50%阻害濃度(IC50)及び各抗体希釈における実際の%中和を算出した。平行する感染における青色の病巣を直接計数することによって、全てのルシフェラーゼ実験の結果を確認した。図24C。サブタイプBコンセンサスEnv(gp160)を含有する擬ビリオンの中和。図24D。NL4.3 Env(gp160)を含有する擬ビリオンの中和。
【図25】図25A。ショ糖勾配画分の密度及びp24分析。20から60%のショ糖勾配から、0.5mLの画分を集めた。画分番号1は、勾配チューブの底から採取された最も密度の高い画分を表している。屈折計で密度を測定し、各画分中に存在するp24の量を、Coulter p24抗原アッセイによって決定した。画分6−9、10−15、16−21及び22−25を一緒にプールし、ウェスタンブロットによって分析した。予想通り、ビリオンは、1.16から1.18g/mLの密度で沈降した。
【0019】
図25B。サブタイプBコンセンサスgag及びenv遺伝子の同時形質移入によるVLPの産生。サブタイプBコンセンサスgag及びenv遺伝子で、293T細胞を同時形質移入した。形質移入から48時間後に細胞上清を採集し、20%のショ糖クッションを通して清澄にし、20から60%のショ糖勾配を通してさらに精製した。勾配由来の選択した画分をプールして、20mLのPBSに添加し、100,000×gで一晩遠心した。再懸濁したペレットを4から20%のSDS−PAGEゲル上に載せ、タンパク質をPVDF膜に転写し、HIV−1サブタイプBに感染した個体から得た血漿でプローブした。
【図26】図26A。2000 Con−S 140CFI.ENV.図26B。コドン最適化されたYear 2000 Con−S 140CFI.seq。
【図27】HIV−1エンベロープペプチドに対する各C57BL/6マウスT細胞応答。CON6 gp140CFI及びCon−S gp140CFIのC57BL/Cマウス中での比較免疫原性。DNA初回刺激、rW追加刺激投与計画、群当たり5匹のマウスで、HIV5305(サブタイプA)、2801(サブタイプB)、CON6又はCon−S Envelope遺伝子でマウスを免疫した。rW追加刺激から10日後に、HIV−1 UG37(A)、MN(B)、Chl9(C)、89.6(B)SF162(B)又は無ペプチド陰性対照のEnvから得た重複するペプチドの混合物を用いて、IFN−γスポット形成細胞に対して脾細胞をアッセイした。
【図28】図28A。Con−B 2003 Env.pep(841アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図28B。Con−B 140CF.pep(632アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図28C。コドン最適化された Con−B 140CF.seq(1927ヌクレオチド)。
【図29】図29A。CON_OF_CONS−2003(829アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図29B。ConS−2003 140CF.pep(620アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図29C。コドン最適化された ConS−2003 140CF.seq(1891ヌクレオチド)。
【図30】図30A。コンセンサス_A1−2003(845アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図30B。Con−A1−2003 140CF.pep(629アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図30C。コドン最適化された Con−A1−2003 seq。
【図31】図31A。コンセンサス_C−2003(835アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図31B。Con−C 2003 140CF.pep(619アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図31C。コドン最適化された Con−C 2003 140CF(1,888ヌクレオチド)。
【図32】図32A。コンセンサス_G−2003(842アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図32B。Con−G−2003 140CF.pep(626アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図32C。コドン最適化された Con−G−2003 seq。
【図33】図33A。コンセンサス_01_AE−2003(854アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図33B。Con−AE01−2003 140CF.pep(638アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図33C。コドン最適化された Con−AE01−2003 seq.(1945ヌクレオチド)。
【図34】図34A。野生型サブタイプA Env.00KE_MSA4076−A(サブタイプA、891アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図34B。00KE_MSA4076−A 140CF.pep(647アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図34C。コドン最適化された 00KE_MSA4076−A 140CF. seq.(1972ヌクレオチド)。
【図35】図35A。野生型サブタイプB.QH0515.1g gp160(861アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図35B。QH0515. lg 140CF (651アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図35C。コドン最適化された QH0515.1g 140CF.seq(1984ヌクレオチド)。
【図36】図36A。野生型サブタイプC DU123.6 gp160(854アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図36B。DU123.6 140CF(638アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図36C。コドン最適化されたDU123.6 140CF. seq(1945ヌクレオチド)。
【図37】図37A。野生型サブタイプCRF01_AE.97CNGX2F−AE(854アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図37B。97CNGX2F−AE 140CF. pep(629アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図37C。コドン最適化された 97CNGX2F−AE 140CF. seq(1921ヌクレオチド)。
【図38】図38A。野生型DRCBL−G(854アミノ酸)。下線が付されているアミノ酸配列は、140CFデザインでは欠失している融合ドメインであり、下線が付されている「W」はC末端に存在する最後のアミノ酸であり、「W」以降の全てのアミノ酸は、140CFデザインでは、欠失している。図38B。DRCBL−G 140CF.pep(630アミノ酸)。太字のアミノ酸は、欠失された融合切断部位の合流部を表している。図38C。コドン最適化されたDRCBL−G 140CF. seq(1921ヌクレオチド)。
【図39】図39A。2003 Con−S Env。図39B。2003 Con−S Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図40】図40A。2003 M. Group.Anc Env。Fig. 40B。2003 M. Group. anc Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図41】図41A。2003 CON_A1 Env。図41B。2003 CON A1 Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図42】図42A。2003 A1.Anc Env。図42B。2003 A1. anc Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図43】図43A。2003 Con_A2 Env。図43B。2003 CON_A2 Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図44】図44A。2003 CON_B Env。図44B。2003 CON_B Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図45】図45A。2003 B. anc Env。図45B。2003 B. anc Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図46】図46A。2003 CON_C Env。図46B。2003 CON_C Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図47】図47A。2003 C. anc Env。図47B。2003 C. anc Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図48】図48A。2003 CON_D Env。図48B。2003 CON_D Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図49】図49A。2003 CON_F1 Env。図49B。2003 CON_F1 Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図50】図50A。2003 CON_F2 Env。図50B。2003 CON_F2 Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図51】図51A。2003 CON_G Env。図51B。2003 CON_G Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図52】図52A。2003 CON_H Env。図52B。2003 CON_H Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図53】図53A。2003 CON_01_AE Env。図53B。2003 CON_01_AE Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図54】図54A。2003 CON_02_AG Env。図54B。2003 CON_02_AG Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図55】図55A。2003 CON_03_AB Env。図55B。2003 CON_03_AB Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図56】図56A。2003 CON_04_CPX Env。図56B。2003 CON_04_CPX Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図57】図57A。2003 CON_06_CPX Env。図57B。2003 CON_06_CPX Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図58】図58A。2003 CON_08_BC Env。図58B。2003 CON_08_BC Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図59】図59A。2003 CON_10_CD Env。図59B。2003 CON_10_CD Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図60】図60A。2003 CON_11_CPX Env。図60B。2003 CON_11_CPX Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図61】図61A。2003 CON_12_BF Env。図61B。2003 CON_12_BF Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図62】図62A。2003 CON_14_BG Env。図62B。2003 CON_14_BG Env.seq.opt.(Seq.opt.=コドン最適化されたコード配列)。
【図63】図63A。2003 CON_S gag PEP。図63B。2003_CON_S gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図64】図64A。2003_M.GROUP.anc gag.PEP。図64B。2003_M.GROUP.anc gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図65】図65A。2003_CON_A1 gag.PEP。図65B。2003_CON_A1 gag. OPT。図65C。2003_A1. anc gag.PEP。図65D。2003_A1.anc gag.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図66】図66A。2003_CON_A2 gag.PEP。図66B。2003_CON_A2 gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図67】図67A。2003_CON_B gag.PEP。図67B。2003_CON_B gag.OPT。図67C。2003_B. anc gag. PEP。図67D。2003_B. anc gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図68】図68A。2003_CON_C gag.PEP。図68B。2003_CON_C gag.OPT。図68C。2003_C.anc.gag.PEP。図68D。2003_C.anc.gag.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図69】図69A。2003_CON_D gag.PEP。図69B。2003_CON_D gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図70】図70A。2003_CON_F gag PEP。図70B。2003_CON_F gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図71】図71A。2003_CON_G gag.PEP。図71B。2003_CON_S gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図72】図72A。2003_CON_H gag.PEP。図72B。2003_CON_H gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図73】図73A。2003_CON_K gag.PEP。図73B。2003_CON_K gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図74】図74A。2003_CON_01_AE gag.PEP。図7B。2003_CON_01AE gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図75】図75A。2003_CON_02_AG gag.PEP。図75B。2003_CON_02AG gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図76】図76A。2003_CON_03_ABG gag.PEP。図76B。2003_CON_03_ABG gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図77】図77A。2003_CON_04_CFX gag.PEP。図77B。2003 CON_04_CFX gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図78】図78A。2003_CON_06_CPX gag.PEP。図78B。2003_CON_06_CPX gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図79】図79A。2003_CON_07_BC gag.PEP。図79B。2003_CON_07_BC gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図80】図80A。2003_CON_08_BC gag.PEP。図80B。2003_CON_08_BC gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図81】図81A。2003_CON_10_CD gag.PEP。図81B。2003_CON_10_CD gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図82】図82A。2003_CON_11_CPX gag.PEP。図82B。2003_CON_11_CPX gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図83】図83A。2003_CON_12_BF.gag.PEP。図83B。2003_CON_12_BF. gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図84】図84A。2003_CON_14_BG gag.PEP。図84B。2003_CON_14_BG gag.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図85】図85A。2003_CONS nef.PEP。図85B。2003_CONS nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図86】図86A。2003_M GROUP. anc nef.PEP。図86B。2003_M. GROUP.anc.nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図87】図87A。2003_CON_A nef.PEP。図87B。2003_CON_A nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図88】図88A。2003_CON_A1 nef. PEP。図88B。2003_CON_A1 nef.OPT。図88C。2003_A1. anc nef.PEP。図88D。2003_A1.anc nef.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図89】図89A。2003_CON_A2 nef. PEP。図89B。2003_CON_A2 nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図90】図90A。2003_CON_B nef.PEP。図90B。2003_CON−B nef.OPT。図90C。2003_B.anc nef.PEP。図90D。2003_B.anc nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図91】図91A。2003_CON_02_AG nef.PEP。図91B。2003_CON_02_AG nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図92】図92A。2003_CON_C nef.PEP。図92B。2003_CON_C nef.OPT。図92C。2003_C.anc nef.PEP。図92D。2003_C.anc.nef.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図93】図93A。2003_CON_D nef.PEP。図93B。2003_CON_D nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図94】図94A。2003_CON_F1 nef.PEP。図94B。2003_CON_F1 nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図95】図95A。2003_CON_F2 nef.PEP。図95B。2003_CON_F2 nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図96】図96A。2003_CON_G nef.PEP。図96B。2003_CON_G nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図97】図97A。2003_CON_H nef.PEP。図97B。2003_CON_H nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図98】図98A。2003_CON_01_AE nef.PEP。図98B。2003_CON_01 AE nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図99】図99A。2003_CON_03_AE nef.PEP。図99B。2003_CON_03_AE nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図100】図100A。2003_CON_04_CFX nef.PEP。図100B。2003_CON_04_CFX nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図101】図101A。2003_CON_06_CFX nef.PEP。図101B。2003_CON_06_CFX nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図102】図102A。2003_CON_08_BC nef.PEP。図102B。2003_CON_08_BC nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図103】図103A。2003_CON_10_CD nef.PEP。図103B。2003_CON_10_CD nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図104】図104A。2003_CON_11_CFX nef.PEP。図104B。2003_CON_11_CFX nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図105】図105A。2003_CON_12_BF nef.PEP。図105B。2003_CON_12_BF nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図106】図106A。2003_CON_14_BG nef.PEP。図106B。2003_CON_14_BG nef.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図107】図107A。2003_CON_S pol.PEP。図107B。2003_CON_S pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図108】図108A。2003_M. GROUP. anc pol.PEP。図108B。2003_M. GROUP. anc pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図109−1】図109A。2003_CON_A1 pol.PEP。図109B。2003_CON_A1 pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図109−2】図109C。2003_A1.anc pol.PEP。図109D。2003_A1.anc pol.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図110】図110A。2003_CON_A2 pol.PEP。図110B。2003_CON_A2 pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図111−1】図111A。2003_CON_B pol.PEP。図111B。2003_CON_B pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図111−2】図111C。2003_B.anc pol.PEP。図111D。2003_B.anc pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図112−1】図112A。2003_CON_C pol.PEP。図112B。2003_CON_C pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図112−2】図112C。2003_C.anc pol.PEP。図112D。2003_C.anc pol.OPT.(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図113】図113A。2003_CON_D pol.PEP。図113B。2003_CON_D pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図114】図114A。2003_CON_F1 pol.PEP。図114B。2003_CON_F1 pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図115】図115A。2003_CON_F2 pol.PEP。図115B。2003_CON_F2 pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図116】図116A。2003_CON_G pol.PEP。図116B。2003_CON_G pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図117】図117A。2003_CON_H pol.PEP。図117B。2003_CON_H pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図118】図118A。2003_CON_01_AE pol.PEP。図118B。2003_CON_01_AE pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図119】図119A。2003_CON_02_AG pol.PEP。図119B。2003_CON_02_AG pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図120】図120A。2003_CON_03_AB pol.PEP。図120B。2003_CON_03_AB pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図121】図121A。2003_CON_04_CPX pol.PEP。図121B。2003_CON_04_CPX pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図122】図122A。2003_CON_06_CPX pol. PEP。図122B。2003_CON_06_CPX pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図123】図123A。2003_CON_08_BC pol.PEP。図123B。2003_CON_08_BC pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図124】図124A。2003_CON_10_CD pol.PEP。図124B。2003_CON_10_CD pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図125】図125A。2003_CON_ll_CPX pol.PEP。図125B。2003_CON_ll_CPX pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図126】図126A。2003_CON_12_BF pol.PEP。図126B。2003_CON_12_BF pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【図127】図127A。2003_CON_14_BG pol.PEP。図127B。2003_CON_14_BG pol.OPT(OPT=コドン最適化されたコード配列)。
【発明の詳細な説明】
【0020】
本発明は、多様なヒト免疫不全ウイルス(HIV)初代単離株を中和する抗体を誘導する免疫原及び/又はT細胞応答を誘導する免疫原に関する。該免疫原は、少なくとも一つのコンセンサス若しくは先祖免疫原(例えば、Env、Gag、Nef又はPol)、又はそれらの一部、又は変異形を含む。本発明は、コンセンサス若しくは先祖免疫原をコードする核酸配列又はそれらの一部、又は変異形にも関する。本発明は、さらに、前記免疫原およびコード配列の両者を使用する方法に関する。本発明は、具体的なコンセンサス及び先祖免疫原(例えば、グループMコンセンサスEnv)を参照しながら、詳細に記載されているが、本明細書に記載されているアプローチは、様々なコンセンサス又は先祖免疫原(例えば、他のHIV−1グループに対するエンベロープ(例えば、N及びO))を作製するために使用できることが自明であろう。
【0021】
本発明の一実施形態に従えば、コンセンサスenv遺伝子は、例えば、Los Alamos HIV Sequence Database中の配列から(例えば、MASE(Multiple Aligned Sequence Editor)を用いて)特定のHIV−1グループの各サブタイプ(グループMは、サブタイプA−D、F−H、J及びKに分類される。)に対してenv遺伝子のコンセンサス配列を作製することによって構築することができる。次いで、重度に配列決定されたサブタイプを避けるために、全てのサブタイプコンセンサスのコンセンサス配列を生成することができる(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Korber et al, Science 288:1789−1796(2000))。実施例1に記載されたグループMコンセンサスenv遺伝子(CON6と表記)の場合には、CRF08_BC組換え株(98CN006)から得た5つの高度可変領域(V1、V2、V4、V5及びgp41の細胞質ドメイン中の領域)が、配列中の欠損領域中に充填するために使用される(しかし、Con−Sに対する対応領域を参照)。高レベルの発現を得るために、高度に発現されたヒト遺伝子に対するコドン使用に基づいて、コンセンサス又は先祖の遺伝子のコドンを最適化することができる(Haas et al, Curr. Biol. 6:315−324(2000), Andre et al, J. Virol. 72:1497−1503(1998))。
【0022】
Year1999コンセンサスグループM env遺伝子CON6を用いて、ELISPOTγインターフェロン脾臓スポット形成細胞の数及び2系統のマウス中で認められたエピトープの数によって、野生型B及びC envに比べて、CON6によるT細胞応答の誘導が優越していることを実証することが可能であった(表1及び2は、BALB/cマウス中のデータを示す。)。CON6 Envタンパク質がHIV−1初代単離株に対する中和抗体を誘導する能力を、幾つかのサブタイプB Envの誘導能力と比較した。CON6によって誘導された中和抗体の標的には、幾つかの非B HIV−1株を含まれる。
【表1】
【表2】
【0023】
Year 2000コンセンサスグループM env遺伝子Con−Sの場合、2系統のマウスでのT細胞γインターフェロンELISPOTアッセイにおいて、Con−SエンベロープがCON6エンベロープ遺伝子と同程度に免疫原性であることが示された(C57BL/6に対するデータが、図27に示されている。)。さらに、モルモットにおいて、抗体に対するタンパク質免疫原としてのCON6及びCon−S gp140 Envを比較すると(表3)、両gp140Envが、サブタイプB初代単離株を中和する抗体を誘導することが見出された。しかしながら、Con−S gp140も、サブタイプC単離株TV−1及びDU123並びに1つのサブタイプA HIV−1初代単離株の強固な中和を誘導したが、CON6は誘導しなかった。
【表3−1】
【表3−2】
【0024】
コンセンサス免疫原の次の反復として、及び実用的なHIV−1免疫原が複数サブタイプのコンセンサス遺伝子、サブタイプとコンセンサス遺伝子の混合物、又は中心化された遺伝子と野生型遺伝子の混合物であり得るという事実を認めて、Year 2003 Los Alamos National Database配列から得たサブタイプA、B、C、CRF AE01及びG並びにグループMコンセンサス遺伝子から、一連の11のサブタイプコンセンサス及び野生型遺伝子を設計した。野生型配列が早期に伝染したHIV−1株に由来することが知られているという理由で(これらの株は、ワクチンによって保護する必要性が最も高い。)、又はそのサブタイプのデータベース中で最も最近に登録された株であるという理由で、野生型配列を選択した。これらのヌクレオチド及びアミノ酸配列は、図28−38に示されている(図示されている全ての140CFデザインについては、140CF遺伝子が、Kozak配列(GCCACCATGG/A)とSalI部位を含有する5’配列「TTCAGTCGACGGCCACC」及び停止コドンとBglII部位を含有するTAAAGATCTTACAAの3’配列に隣接することができる。)。図39−62に示されているのは、2003中心化(コンセンサス及び先祖)HIV−1エンベロープタンパク質及びコドン最適化された遺伝子配列である。
【0025】
(非クレードB HIV株を中和しない)CON6 gp140と(非クレードB HIV株を中和する抗体を誘導する)Con−S gp140との主な差は、Con−S V1、V2、V4及びV5領域である。クレードB株の場合、V3領域のペプチドは、中和抗体を誘導することができる(Haynes et al, J. Immunol. 151:1646−1653(1993))。このように、Th−V1、Th−V2、Th−V4、Th−V5ペプチドの構築は、反応性が広い所望の抗非クレードB中和抗体を生じると予想することができる。従って、表4に示されたTh−Vペプチドは、Con−S gp140に由来するペプチド免疫原として使用することが想定される。免疫原性を促進するために、他のHIV株中のgag Th決定基(GTH、表4)又は任意の相同GTH配列を使用することが可能であり、HIV gp120のC4領域(KQIINMWQVVGKAMYA)又は他のHIV株からの任意の相同的なC4配列も使用することができる(Haynes et al, J. Immunol. 151:1646−1653(1993))。N末端のヘルパー決定基を有するCon−S V1、V2、V4、V5ペプチドは、CorixaのRC529などの適切なアジュバント中に調合したときに(Baldridge et al, J. Endotoxin Res. 8:453−458(2002))、非クレードB単離株に対する広い交叉反応性の中和抗体を誘導するために、単一又は一緒に使用することができる。
【表4】
【0026】
本発明は、本明細書に具体的に開示された配列の一部及び変異形を含むことが自明であろう。例えば、gp120/41が切断され、又は切断されていない、gp140CF、gp140CFI、gp120又はgp160形態として、コドン最適化コンセンサスコード化配列の形態を構築することができる。例えば、コンセンサス及び先祖エンベロープ配列に関していえば、本発明は、V3を欠くエンベロープ配列を包含する。あるいは、V3配列は、好ましい配列、例えば、米国特許出願第10/431,596号及び米国仮出願第60/471,327号に記載されている配列から選択することができる。さらに、幅広い応答を与えるのに最適な免疫原は、グループMコンセンサスgag、pol、nef及びenvコード化配列の混合物を含むことができ、gag、pol、nef及びenv HIV遺伝子に対するサブタイプコンセンサス又は先祖コード化配列の混合物からなることができる。ウイルス株における領域差を取り扱う場合、有効な混合物には、コンセンサス/先祖及び野生型コード化配列の混合物が含まれ得る。
【0027】
本発明のコンセンサス又は先祖エンベロープは、HIVビリオンの表面上に通常一過性に露出されているに過ぎないか、又は十分に露出されていない中和エピトープの中間高次構造を露出するために「活性化」することが可能である。免疫原は、Bリンパ球への提示のために特異的なエピトープを利用可能とする、「凍結された」誘導型のコンセンサス又は先祖エンベロープとすることができる。このエピトープ提示の結果、HIVを広く中和する抗体が産生される。(WO 02/024149及びその中に記載されている活性化/誘導されたエンベロープに注目されたい。)
融合中間体免疫原の概念は、gp41 HR−2領域ペプチドDP178が、コイル化されていない高次構造のgp41を捕捉することができるという観察(Furata et al, Nature Struct. Biol. 5:276(1998))、ホルマリン固定されたHIV感染細胞は中和抗体を広く生成することができるという観察(LaCasse et al, Science 283:357(1997))と合致する。最近、コイルドコイル領域に対するモノクローナル抗体は、コイルドコイルgp41構造のHR1及びHR2領域中のgp41の高次構造決定基に結合したが、HIVを中和しなかった(Jiang et al, J. Virol. 10213(1998))。しかしながら、この後者の研究は、正しい抗体が生成されれば、抗体が結合するためにコイルドコイル領域を使用できることを証明した。
【0028】
本発明の一側面の免疫原には、可溶性形態のコンセンサス若しくは先祖エンベロープ、又は、例えば細胞小胞中若しくは脂肪貫通二重層エンベロープを含有するリポソーム中に繋留されたコンセンサス若しくは先祖エンベロープが含まれる。より本来のエンベロープを作製するために、本来の三量体エンベロープを形成させるため、脂質二重層の中にgp140又はgp160コンセンサス又は先祖配列を設定することができる。あるいは、アルドリチオ1−2不活化されたHIV−1ビリオン中の誘発されたgp160を免疫原として使用することができる。gp160は、gp160又はgp140(gp140は、膜貫通領域を有し、及びおそらく他のgp41領域が欠失したgp160である。)の何れかとして、組換えタンパク質としても存在することができる。gp160又はgp140に結合に結合されるのは、組換えCCR5若しくはCXCR4共同受容体タンパク質(又はそれらの細胞外ドメインペプチド又はタンパク質断片)若しくはgp120上のCXCR4若しくはCCR5結合部位に結合する抗体若しくは他のリガンド、及び/又は可溶性CD4、若しくはCD4の結合作用を模倣する抗体若しくは他のリガンドであり得る。あるいは、CD4、CCR5(又はCXCR4)、又は可溶性CD4、CCR5若しくはCXCR4 gp120結合部位を反映するペプチドを含有する小胞又はリポソーム。あるいは、最適なCCR5ペプチドリガンドは、特定のチロシンが硫酸化されているCCR5のN末端から得られるペプチドであり得る(Bormier et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:5762(2001))。誘発された免疫原は、膜に結合される必要はなくてもよいが、溶液中に存在し、溶液中で誘発され得る。あるいは、可溶性CD4(sCD4)は、CD4ペプチドミメトープによって誘発されたエンベロープ(gp140又はgp160)によって置き換えることができる(Vitra et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:1301(1999))。細胞融合を誘導するgp160の構造と関連する変化をもたらすために、gp160又はgp140を「誘発する」他のHIV共同受容体分子も使用することができる。可溶性HIV gp140初代単離株HIV 89.6エンベロープを可溶性CD4(sCD4)に連結すると、gp41の高次構造の変化が誘導された。
【0029】
一実施形態において、本発明は、CCR5結合領域が露出された受容体(CD4)連結コンセンサス又は先祖エンベロープの特徴を有する免疫原に関するが、CD4結合部位が遮断されたCD4連結タンパク質とは異なり、この免疫原はCD4結合部位が露出(開放)されている。さらに、この免疫原は、宿主CD4を欠いているので、宿主に投与したときに、害を与える可能性がある抗CD4抗体の産生が避けられる。
【0030】
本免疫原は、A32モノクローナル抗体(mab)によって認識されるgp120上の部位に結合するリガンドが連結されたコンセンサス又は先祖エンベロープを含むことができる(Wyatt et al, J. Virol. 69:5723(1995),Boots et al, AIDS Res. Hum. Retro. 13:1549(1997), Moore et al, J. Virol. 68:8350(1994), Sullivan et al, J. Virol. 72:4694(1998), Fouts et al, J. Virol. 71:2779(1997), Ye et al, J. Virol. 74:11955(2000))。一つのA32 mabは、CD4を模倣し、gp120に結合したときに、CCR5結合部位を上方制御する(露出する)ことが示されている(Wyatt et al, J. Virol. 69:5723(1995))。gp120にこのようなリガンドを連結することによっても、CD4結合部位が上方制御され、gp120へのCD4の結合を遮断しない。有利には、このようなリガンドも、切断されたgp120、切断されていないgp140及び切断されたgp41に結合されたgp41のHR−2結合部位も上方制御し、これにより、これらのタンパク質上にあるHR−2結合部位(これらの各々が、抗HIV中和抗体に対する潜在的な標的である。)がさらに露出される。
【0031】
本実施形態の特定の側面において、前記免疫原は、無処置のA32 mab、A32 mabのFab2断片又はA32 mabのFab断片が連結された可溶性HIVコンセンサス又は先祖gp120エンベロープを含み、その結果、コンセンサス又は先祖エンベロープ上のCD4結合部位、CCR5結合部位及びHR−2結合部位は露出され/上方制御されることになる。前記免疫原は、A32 mab(又はその断片)が結合したコンセンサス若しくは先祖エンベロープを含むことができ、A32 mab(又はその断片)が結合し、3%ホルムアルデヒド若しくはDTSSP(Pierce Chemical Company)などの異種二価性架橋剤などの架橋剤で架橋されたコンセンサス若しくは先祖エンベロープを含むことができる。前記免疫原免疫原は、切断されていないコンセンサス若しくは先祖gp140又は切断されていないgp140、切断されたgp41及び切断されたgp120の混合物を含むこともできる。コンセンサス若しくは先祖gp140及び/又はgp120に結合され、又はgp41に非共有結合されたgp120に結合されたA32 mab(又はその断片)は、gp41、gp120及び切断されていないgp140中のHR−2結合部位の上方制御(露出)をもたらす。A32 mab(又はその断片)のgp120又はgp140への結合も、CD4結合部位及びCCR5結合部位の上方制御ももたらす。gp120を含有する複合体と同様、切断されていないgp140とA32mab(又はその断片)を含む複合体は、3%ホルムアルデヒド又はDTSSPなどの架橋剤で架橋されていない、又は架橋されている免疫原として使用することができる。一実施形態において、本発明は、Fab断片又は完全なA32 mabに結合及び架橋され、必要に応じて、HR−2結合タンパク質に結合及び架橋された可溶性非切断コンセンサス又は先祖gp140を含む免疫原に関する。
【0032】
gp120上のA32 mab結合部位に結合するリガンドによって誘発されたコンセンサス又は先祖エンベロープタンパク質は、A32 mab結合部位(mab 17bによって認識されるCCR5結合部位など)と異なる部位に結合するリガンドによって誘発された、第二のエンベロープを含む少なくとも一つの第二の免疫原と組み合わせて投与することができる。17b mab(AIDS Reference Repository, NIAID, NIHから入手できる、Kwong et al, Nature 393:648(1998))は、gp120へのsCD4結合を増強する。この第二の免疫原(単独で、又は上記のもの以外の誘発された免疫原と組み合わせて使用することもできる。)は、例えば、完全な17b mab、17mabのFab2断片又は17b mabのFab断片の何れかと連結された可溶性HIVコンセンサス又は先祖エンベロープを含むことができる。露出されているCD4結合部位をもたらす他の抗体(又はその断片)を含む他のCCR5リガンドを、17b mabに代えて使用できることが自明であろう。このさらなる免疫原は、17b mab若しくはその断片(又は上記他のCCR5リガンド)が結合したgp120を含むことができ、又は、17b mab若しくはその断片(又は上記した他のCCR5リガンド)が結合し、3%ホルムアルデヒド若しくはDTSSP(Pierce Chemical Company)などの異種二価性架橋剤のような物質で架橋されたgp120を含むことができる。あるいは、このさらなる免疫原は、単独で、又は切断されたgp41及び切断されたgp120の混合物として存在する非切断gp140を含むことができる。このような混合物中のgp140及び/又はgp120に結合されたMab 17b又はその断片(又は上記した他のCCR5リガンド)は、CD4結合領域を露出させる。17b mab 又はその断片(又は上記した他のCCR5リガンド)gp140複合体は、架橋されていない、又は3%ホルムアルデヒド若しくはDTSSPのような物質で架橋されて存在することができる。
【0033】
T649Q26L及びDP178などの可溶性HR−2ペプチドは、コンセンサスgp120とgp41上のエピトープ並びに切断されていないコンセンサスgp140分子を安定化させるために、上記複合体に追加し、該複合体と架橋して、又は架橋せずに投与することができる。
【0034】
上記17b mabのほかに、gp120上のCD4結合部位に結合するmab IgG1b12(Roben et al, J. Virol. 68:482(1994), Mo et al, J. Virol. 71:6869(1997))、gp120上の高次構造決定基に結合するmab 2G12(Trkola et al, J. Virol. 70:1100 (1996))及びgp41の膜近傍領域に結合するmab 2F5(Muster et al, J. Virol. 68:4031(1994))など、多くのHIV初代単離株を中和する一連のモノクローナル抗体(mab)が作製されている。
【0035】
上記のように、本発明に従って、融合性エピトープを「凍結する」ために様々なアプローチを使用することができる。例えば、「凍結」は、コイルドコイル領域の一部に相当し、CD4によって誘発されたコンセンサス又は先祖エンベロープを添加したときに、融合の予防をもたらすDP−178又はT−649Q26Lペプチドを添加することによって実施することができる(Rimsky et al, J. Virol. 72 :986−993(1998))。HR−2ペプチドが結合したコンセンサス又は先祖gp120、gp140、gp41又はgp160は免疫原として使用することができ、又はDTSSP若しくはDSP(Pierce Co.)などの試薬、ホルムアルデヒド若しくは類似の効果を有する他の架橋剤によって架橋することができる。
【0036】
「凍結」は、CD4、CCR5若しくはCXCR4、HR−2ペプチドgp160複合体を安定化するために、又は「誘発された」gp41分子を安定化するために、又はその両方のために、0.1%から3%のホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒド(何れも、タンパク質架橋剤である。)を複合体に添加することによって実施することもできる(LaCasse et al, Science 283:357−362(1999))。
【0037】
さらに、コンセンサス又は先祖gp41又はgp120融合中間体の「凍結」は、CD4、CCR5若しくはCXCR4、HR−2ペプチドgp160複合体を架橋し、安定化するために、又は「誘発された」gp41分子を安定化するために、又はその両方のために、DSP(ジチオビス[スクシミジルプロピオネート])(Pierce Co. Rockford, ILL., No.22585ZZ)又はアミノ基と反応する2つのNHSエステルを使用する水溶性DTSSP(Pierce Co.)などの異種二機能性物質を添加することによって実施することができる。
【0038】
免疫又はワクチン接種された動物及びヒトでのT細胞免疫応答の解析は、エンベロープタンパク質が通常T細胞免疫応答に対する主要な標的ではないが、中和抗体を誘導し得る唯一の遺伝子であることを示している。HIV−1 Gag、Pol及びNefタンパク質は、強力なT細胞免疫応答を誘導する。従って、本発明には、液性及び細胞性の両免疫応答を誘導することができるコンセンサス又は先祖免疫原のレパートリーが含まれる。コンセンサス又は先祖配列のサブユニットは、T又はB細胞免疫原として使用することができる。(実施例6及び7、並びに同実施例で参照されている図、並びに図63−127を参照)。
【0039】
本発明の免疫原は、本分野で周知の技術を用いて、薬学的に許容される担体及び/又はアジュバント(alumなど)とともに調合することができる。本発明の免疫原の適切な投与経路には、全身経路(例えば、筋肉内又は皮内)が含まれる。免疫応答が粘膜の免疫系(例えば、鼻内)で求められるときには、別の経路を使用することができる。
【0040】
本発明の免疫原は、当業者に周知である方法を用いて、化学的に合成し、精製することができる。免疫原は、周知の組換えDNA技術によって合成することもできる。本発明の免疫原をコードする核酸は、例えば、コード配列が裸のDNAとして投与されるDNAワクチンの成分として使用することが可能であり、又は、例えば、前記免疫原をコードするミニ遺伝子がウイルスベクター中に存在することができる。コード化配列は、例えば、複製若しくは非複製アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、弱毒化された結核菌ベクター、ウシ型弱毒結核ワクチン(BCG)ベクター、ワクシニア若しくは修飾ワクシニア・アンカラ(MVA)ベクター、別のポックスウイルスベクター、組換えポリオ及びその他の腸内ウイルスベクター、サルモネラ種細菌ベクター、シゲラ種細菌ベクター、ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス(VEE)ベクター、セムリキ森林ウイルスベクター又はタバコモザイクウイルスベクター中に存在することができる。コード化配列は、例えば、CMVプロモーターなどの活性なプロモーターとともにDNAプラスミドとして発現することもできる。本発明の配列を発現するために、他の生ベクターも使用することができる。本発明の免疫原の発現は、好ましくは、ヒト細胞中での発現を最適化するコドンとプロモーターを使用して、免疫原をコードする核酸を患者自身の細胞中に導入することによって、患者自身の細胞中で誘導することができる。DNAワクチンを製造及び使用する方法の例は、米国特許第5,580,859号、第5,589,466号及び第5,703,055号に開示されている。
【0041】
本発明の組成物は、免疫学的に有効な量の本発明の免疫原、又はこれをコードする核酸配列を、薬学的に許容される送達系の中に含む。本組成物は、免疫不全ウイルス感染の予防及び/又は治療のために使用することができる。本発明の組成物は、アジュバント、乳化剤、薬学的に許容される担体又はワクチン組成物中に一般的に与えられる他の成分を用いて調合することができる。最適な製剤は、当業者によって容易に設計することができ、即時放出及び/又は持続的放出のための製剤並びに全身性免疫の誘導及び/又は局所的な粘膜免疫の誘導のための製剤(例えば、製剤は、鼻内投与のために設計することができる。)を含むことができる。本組成物は、皮下、鼻内、経口、筋肉内又は他の非経口若しくは経腸経路を含む任意の便利な経路によって投与することができる。前記免疫原は、単回投薬又は複数回投薬として投与することができる。最適な免疫化スケジュールは、当業者によって容易に決定することが可能であり、患者、組成物及び求められる効果に応じて変動することができる。
【0042】
本発明は、本発明の免疫原及び/又は該免疫原をコードする核酸及び/又は上記のベクター中でミニ遺伝子として発現された免疫原の両方を直接使用することを想定する。例えば、免疫原をコードするミニ遺伝子は、初回及び/又は追加免疫として使用することができる。
【0043】
本発明は、本明細書に開示されたあらゆる全てのアミノ酸配列、及び、適当な場合には、そのCF及びCFI形態、並びにこれをコードする核酸配列(及びこのようなコード配列と相補的な核酸)を含む。
【0044】
本発明の一部の側面は、以下に記載されている非限定的な実施例で、さらに詳細に記載することができる。
【実施例1】
【0045】
人工HIV−1グループMコンセンサスエンベロープ
実験の詳細
組換えワクシニアウイルス(VV)におけるCON6 gp120及びgp140タンパク質の発現。分泌型のHIV−1 CON6エンベロープタンパク質を発現及び精製するために、それぞれ、gp120切断部位(REKR)の後、及び膜貫通ドメイン(YIKIFIMIVGGLIGLRIVFAVLSIVN)の前に停止コドンを導入することによって、CON6 gp120及びgp140CFプラスミドを構築した。140CFタンパク質中では、gp120/gp41切断部位及びgp41の融合ドメインを欠失した。CON6gp120及びgp140CF DNA構築物の両者を、pSC65ベクター(Bernard Moss, NIH, Bethesda, MDから購入)中のSalI及びKpnI制限酵素部位にクローニングした。このベクターは、p7.5プロモーターによって調節されるlacZ遺伝子を含有する。CON6 env遺伝子を発現するために、逆並列P E/Lプロモーター(back−to−back P E/Lプロモーター)を使用した。BSC−1細胞を、6ウェルプレート中の各ウェル中に、2×105個で播種し、0.1pfu/細胞のMOIで野生型ワクシニアウイルス(WR)で感染させ、感染の2時間後に、CON6 env遺伝子を含有するpSC65由来のプラスミドをVV感染細胞中に形質移入し、記載どおりに(Moss and Earl, Current Protocols in Molecular Biology, eds, Ausubel et al (John Wiley & Sons, Inc. Indianapolis, IN) pp. 16.15.1−16.19.9(1998))、組換え(r)VVを選択した。PCR及び配列決定分析によって、CON6 env遺伝子を含有する組換えVVを確認した。CON6エンベロープタンパク質の発現は、SDS−PAGE及びウェスタンブロットアッセイによって確認した。アガロース ガランサス・ニヴァリスレクチンビーズ(Vector Labs, Burlingame, CA)で、組換えCON6 gp120及びgp140CFを精製し、使用するまで、−70℃に保存した。組換えVV発現JRFL(vCB−28)又は96ZM651(vT241R)gp160は、NIH AIDS Research and Reference Reagent Program(Bethesda,MD)から入手した。
【0046】
モノクローナル抗体及びgp120野生型エンベロープ
gp120(A32)、gp120 V3ループ(F39F)及びCCR5結合部位(17b)上の高次構造決定基に対するヒトmabは、Jame Robinsonから頂いた(Tulane Medical School, New Orleans, LA)(Wyatt et al, Nature 393;705-711(1998), Wyatt et al, J. Virol. 69:5723-5733(1995))。Mab 2F5、447、bl2、2G12及び可溶性CD4は、NIH AIDS Research and Reference Reagent Program(Bethesda, MD)(Gorny et al, J. Immunol. 159:5114-5122(1997), Nyambi et al, J. Virol. 70:6235-6243(1996), Purtscher et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses 10:1651-1658(1994), Trkola et al, J. Virol 70:1100-1108(1996))から入手した。T8は、gp120C1領域に位置するマウスのmapである(P.Earl, NIH, Bethesda, MDから頂いた。)。BaL(サブタイプB)、96ZM651(サブタイプC)及び93TH975(サブタイプE)gp120は、QBI, Inc.及びNIHのAIDS部門によって提供された。92U037(サブタイプA)及び93BR029(サブタイプF)gpl40(分泌及び非切断)を発現するCHO細胞株は、イギリスのNICBSから入手した。
【0047】
表面プラズモン共鳴バイオセンサー(SPR)測定及びELISA
SPRバイオセンサー測定は、BIAcore 3000装置(BIAcore Inc., Uppsala, Sweden)装置上で行い、データ解析は、BIAevaluation 3.0 software (BIAcore Inc, Upsaala, Sweden)を用いて行った。タンパク質固定化に対する標準的なアミンカップリングプロトコールを用いて、10mM 酢酸ナトリウム緩衝液、pH4.5中の抗gp120mab(T8、A32、17b、2G12)又はsCD4を、CM5センサーチップに直接固定した。FPLC精製されたCON6 gp120単量体又はgp140CFオリゴマー組換えタンパク質を、それぞれ、100及び300μg/mLの濃度で、CM5センサーチップ上に流した。非特異的応答又は一括応答を差し引くために、(アミンカップリングに対して活性化及び脱活性化された)盲検の直列参照表面又は非結合mab対照を使用した。それぞれ、陽性対照及び陰性対照として、CON6 Envタンパク質を注入する前に各mab表面の活性を確保するために、可溶性89.6 gp120及び無関係のIgGを使用した。CON6エンベロープタンパク質の結合は、PBS(150 mM NaCl、0.005%界面活性剤P20)、pH7.4を、10から30μL/分で連続的に流して、25℃でリアルタイムにモニターした。結合したタンパク質を除去し、5ないし10μLの再生溶液(10mM グリシン−HCl、pH2.9)を単回又は二回、短時間与えることによって、各結合サイクルの後に、センサー表面を再生した。記載のとおり(Haynes et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses 11:211−221(1995))、CON6 gp120及びgp140CFタンパク質に対する様々なのmabの反応性を決定するために、ELISAを行った。ヒトmabのrgp120又はgp140タンパク質への結合のアッセイの場合、終点力価は、mabが結合したCON6 gp120及びgp140CF Envタンパク質がバックグラウンド対照(非結合ヒトmab)に比べて3倍以上である、mabの最高力価(20μg/mLで開始)として定義した。
【0048】
感染性及び共同受容体使用アッセイ
HIV−1/SG3Δenv及びCON6又は対照envプラスミドをヒト293T細胞中に同時形質移入した。偽型ウイルスを採集し、ろ過し、p24濃度を定量した(DuPont/NEN Life Sciences, Boston, MA)。JC53−Bl細胞を感染させて、感染性を決定するために、各擬ビリオンに対して等量のp24(5ng)を使用した(Derdeyn et al, J. Virol. 74:8358−8367(2000), Wei et al, Antimicrob Agents Chemother. 46:1896−1905(2002))。JC53−BL細胞は、CD4、CCR5及びCXCR4受容体を発現し、HIV−1末端反復配列(LTR)の転写調節下で安定的に組み込まれたβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)遺伝子を含有する。これらの細胞は、β−gal発現を染色し、1μgの擬ビリオンのp24当たりの青い細胞の数(感染単位)(IU/μg p24)を計数することによって、擬ビリオン株の感染性力価を定量するために使用することができる(Derdeyn et al, J. Virol. 74:8358−8367(2000), Wei et al, Antimicrob Agents Chemother. 46:1896−1905(2002))。CON6 env遺伝子の共同受容体の使用を決定するために、JC53BL細胞を、1.2AM AMD3100及び4μM TAK−799により、1時間37℃で処理した後、等量の各Env偽型ウイルスのp24(5ng)に感染させた。遮断効率は、遮断剤なしの対照培養から得たものと比較した、遮断実験由来の感染単位のパーセントとして表した。対照グループからの感染性(遮断剤なし)を任意に100%として設定した。
【0049】
免疫化。全ての動物は、Duke University Animal Use and Care Committeeによって認可された動物使用プロトコールを使用し、AALACガイドラインに基づいて、Duke University Animal Facility中で飼育した。メーカー(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)によって提供されたプロトコールに基づき、RIBI−CWSアジュバントを加えた安定なエマルジョン中に、組換えCON6 gp120及びgp140CF糖タンパク質を調合した。抗エンベロープ抗体を誘導するために、非近交系の4匹の各モルモット(Harlan Sprague, Inc., Chicago, IL)に、精製された100μgのCON6 gp120又はgp140CFのうち何れかを3週ごとに皮下投与した(計5回の免疫化)。血清試料を熱で不活化し(56℃、1時間)、使用するまで−20℃で保存した。
【0050】
抗エンベロープT細胞応答を誘導するために、6から8週齢の雌のBALB/cマウス(Frederick Cancer Research and Developmental Center, NCI, Frederick, MD)の大腿四頭筋に、3週の間隔を置いて、50μgのプラスミドDNAを3回筋肉内投与して免疫した。最後のDNA免疫から3週後、Envタンパク質を発現する107PFUのrVVでマウスに強化免疫を行った。強化免疫から2週後、全てのマウスを安楽死させ、脾細胞を単離するために脾臓を取り出した。
【0051】
中和アッセイ。中和アッセイは、「Bures et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses 16 :2019−2035 (2000)」に記載されているMT−2アッセイ、HIV−1初代単離株のパネルを使用した、5.25.GPF.Luc.M7細胞中でのルシフェーラーゼを使用する多重複製サイクルHIV−1感染アッセイ(Bures et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses 16:2019−2035(2000), Bures et al, J. Virol. 76:2233−2244(2002)、又は不活化HIV−1ビリオンを用いた合胞体(fusion from without)阻害アッセイ(Rossio et al, J. Virol. 72:7992−8001(1998))のうち何れかを使用して行った。ルシフェラーゼを使用するアッセイでは、中和抗体は、Nathaniel R. Landau, Salk Institute, La Jolla, CAから頂いた5.25.EGFP.Luc.M7細胞(Brandt et al, J. Biol. Chem. 277:17291−17299 (2002))中でのルシフェラーゼ活性の減少の関数として測定した。組織培養感染用量50(TCID50)が500の無細胞ウイルスを、96ウェルの平底培養プレート中、三つ組みで、150μL中の表記の血清希釈度でインキュベートした(1時間、37℃)。DEAEデキストラン(10μg/mL)を含有する培地中に、5×105/mL培地の密度で5.25.EGFP.Luc.M7.細胞を懸濁した。細胞(100μL)を添加し、対照ウェル(検査血清試料なし)中の10%の細胞が、蛍光顕微鏡によって、GFP発現が陽性になるまで添加した。この時点で、培地の半分容量を除去することによって、細胞を2倍に濃縮した。Bright−GloTM基質(Promega,Madison,WI)を使用し、Wallac 1420 Multilabel Counter(PerkinElmer Life Sciences, Boston, MA)上でルシフェラーゼ活性を測定するために、50μLの細胞懸濁物を96ウェルの白色固体プレート(Costar,Cambridge, MA)に移した。MT−2及びルシフェラーゼアッセイでの中和力価とは、50%以上のウイルス感染が阻害される力価であった。力価が1:20を超える値のみ(すなわち、>1:30)を有意な陽性と考えた。合胞体阻害「fusion from without」アッセイでは、SupT1細胞に添加されたHIV−1サブタイプB株ADA及びAD8(Larry Arthur and Jeffrey Lifson, Frederick Research Cancer Facility, Frederick, MDから頂いた)から得たHIV−1アルドリチオールー2(AT−2)不活化ビリオンを使用し、合胞体阻害力価は、予め出血された血清と比べて、90%以上の合胞体が阻害される力価として測定した。
【0052】
酵素結合免疫スポット(ELISPOT)アッセイ
70μmのNylon細胞ろ過器(BD Labware, Franklin Lakes, NJ)を通して細分し、絞り取ることによって、免疫された各マウスから得た脾細胞の単一細胞懸濁液を調製した。CON6 gp140の重複するEnvペプチド(159ペプチド、11重複する15マー)は、BostonBioscence, Inc(Royal Oak, MI)から購入した。MN gp140の重複するEnvペプチド(サブタイプB;170ペプチド、11重複する15マー)及びChnl9 gp140(サブタイプC;69ペプチド、10重複する20マー)は、NIH AIDS Research and Reference Reagent Program (Bethesda, MD)から取得した。CON6、サブタイプB及びサブタイプC Envタンパク質から得られた重複するENVペプチドのプールにより、各マウスから得た脾細胞(5マウス/グループ)をインビトロで刺激した。96ウェルPVDFプレート(MultiScreen−IP, Millipore, Billerica, MA)を、抗IFNγ mab(5μg/ml, AN18; Mabtech, Stockholm, Sweden)でコートした。完全なHepes緩衝化RPMI培地を用いて、37℃で2時間、プレートをブロッキングし、50μLの前記プールされた重複するエンベロープペプチド(13のCON6およびMNプール、各プール中に13から14のペプチド;9のChn19プール、各プール中に7から8のペプチド)を、それぞれ5μg/mLの最終濃度でプレートに添加した。次いで、1.0×107/mLの濃度の脾細胞50μを二つ組みでウェルに添加し、5%CO2を与え、16時間37℃でインキュベートした。100μLの1:1000希釈のストレプトアビジンアルカリホスファターゼ(Mabtech, Stockholm, Sweden)とともにプレートをインキュベートし、100μLのBCIP/NBT(Plus)Alkaline Phosphatase Substrate (Moss, Pasadena, MD)を使用して、紫色のスポットを発生させた。Immunospot計数システム(CTL Analyzers, Cleveland, OH)を使用して、スポット形成細胞(SFC)を測定した。各エンベロープペプチドのプールに対する総応答は、106個の脾細胞当たりのSFCとして表される。
【0053】
結果
CON6エンベロープ遺伝子の設計、構築及び発現。人工グループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)は、Los Alamos HIV Sequence Database中の配列から各HIV−1サブタイプに対するenv遺伝子のコンセンサス配列を作製し、次いで、重度に配列決定されたサブタイプを避けるために、全てのサブタイプコンセンサスのコンセンサス配列を作製することによって構築した(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Korber et al, Science 288:1789−1796 (2000))。CRF08_BC組換え株(98CN006)から得た5つの高度可変領域(V1、V2、V4、V5及びgp41の細胞質ドメイン中の領域)をCON6配列中の欠損領域中に充填するために使用した。CON6 V3領域は、グループMコンセンサスである(図1A)。高レベルの発現を得るために、高度に発現されたヒト遺伝子に対するコドン使用に基づいて、CON6 env遺伝子のコドンを最適化した(Haas et al, Curr. Biol. 6:315−324(2000), Andre et al, J. Virol. 72:1497−1503(1998))(図1D参照)。コドンが最適化されたCON6 env遺伝子を構築し、pcDNA3.1 DNAのEcoRI及びBamHI部位中にサブクローニングした(Gao et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses, 19:817−823(2003))。293T細胞中への形質移入後、ウェスタンブロットアッセイを用いて、高レベルのタンパク質発現を確認した。性質決定のために組換えCON6 Envタンパク質を取得し、免疫原として使用し、分泌されたgp120及び非切断gp140CFを発現するためにrVVを作製した(図1B)。還元条件下のクマシーブルーゲルによって測定したところ、各タンパク質に対する純度は90%以上であった(図1C)。
【0054】
CD4結合ドメイン及びその他の野生型HIV−1エピトープは、CON6タンパク質上に保存される。CON6タンパク質がCD4に結合して、他の野生型HIV−1エピトープを発現するかどうかを決定するために、CON6 gp120及びgp140CFが可溶性CD4を結合する能力、特性が十分に決定された幾つかの抗gp120mabを結合する能力、並びにCD4によって誘導される高次構造を変化させる能力をアッセイした。まず、sCD4又はmabのCON6 Envタンパク質への結合活性をモニタリングするために、BIAcore CM5センサーチップをコートした。単量体のCON6 gp120及びオリゴマーのgp140CFは何れも、sCD4並びに抗gp120mab T8、2G12及びA32を効率的に結合するが、gp120のCCR5結合部位中のCD4誘導性エピトープを認識するmab17bを恒常的に結合しないことが見出された(図2A及び図2B)。sCD4及びA32は何れも、野生型gp120に結合した後、17b結合エピトープを露出することができる(Wyatt et al, Nature 393;705−711(1998), Wyatt et al, J. Virol. 69:5723−5733 (1995))。sCD4又はA32の何れかによって、17bエピトープをCON6 Envs上に誘導できるかどうかを決定するために、A32及びT8をセンサーチップ上にコートし、次いでCON6 gp120又はgp140CFを捕捉し、mab 17b結合活性をモニターした。sCD4又はmab A32を結合した後、CON6 gp120及びgp140CFは何れも高次構造の変化を生じ、mab 17bを結合するように誘発された(図2C及び2D)。これに対して、mab T8を結合した後には、17bエピトープは露出されなかった(図2C及び2D)。次に、gp120 V3 ロープ(447、F39F)、CD4結合部位(b12)及びgp41中和決定基(2F5)に対する一群のヒトmabの、CON6 gp120及びgp140CFに対する反応性を決定するために、ELISAを使用した(図2E)。CON6 rgp120及びrgp140CFタンパク質は、中和V3 mabである447及びF39F、並びに強力な中和CD4結合部位mab b12に良好に結合した。C末端のgp41エピトープに結合することによってHIV−1初代単離株を中和するMab 2F5も、CON6 gp140CFに良好に結合した(図2E)。
【0055】
CON6 env遺伝子は、生物学的に機能的であり、CCR5をその共同受容体として使用する。CON6エンベロープ遺伝子が生物学的に機能的であるかどうかを決定するために、env欠損SG3プロウイルスクローンとともに、293T細胞中に同時形質移入した。偽型ウイルスを採集し、JC53BL細胞を感染させた。CON6 Env偽型ウイルスに感染したJC53−BL細胞中に青い細胞が検出され、CON6 Envタンパク質が生物学的に機能的であることが示唆された(図3A)。しかしながら、感染力価は、YU2又はNL4−3野生型HIV−1エンベロープを有する擬ビリオンの感染力価より1から2桁小さかった。
【0056】
次に、CON6 env遺伝子に対して共同受容体の使用を決定した。CXCR4遮断剤AMD3100で処理すると、NL4−3 Env擬ビリオンの感染性は遮断されたのに対して、YU2又はCON6 Env−擬ビリオンの感染性は阻害されなかった(図3B)。これに対して、CCR5遮断剤TAK−779で処理すると、NL4−3 Env擬ビリオンの感染性は影響を受けなかったのに対して、YU2又はCON6 Env−擬ビリオンの感染性は阻害された。両遮断剤で処理すると、全ての擬ビリオンの感染性が阻害された。これらのデータを総合すると、CON6エンベロープは、標的細胞中に侵入するために、CCR5共同受容体を使用していることを示している。
【0057】
CON6 gp120の、異なるサブタイプの血清との反応。複数のサブタイプの直鎖エピトープがCON6 gp120上に保存されているかどうかを決定するために、組換えEnvタンパク質パネル(gp120及びgp140)を作製した。等量の各Envタンパク質(100ng)をSDS−ポリアクリルアミドゲル上に与え、ニトロセルロースに転写し、ウェスタンブロットアッセイにおいて、サブタイプAからGの患者の血清及び抗CON6 gp120モルモット血清(1:1000希釈)と反応させた。各HIV−1サブタイプについて、4から6人の患者血清を検査した。各サブタイプに対して代表的な一つの血清が図4に示されている。
【0058】
検査した全てのサブタイプ血清が、パネル中のEnvの中で可変的な反応性を示したが、全てのグループMサブタイプ患者血清はCON6 gv120 Envタンパク質と等しく良好に反応し、患者血清によって認識される野生型HIV−1 EnvエピトープはCON6 Envタンパク質上に良好に保存されることが実証された。次に、モルモット中に生じたCON6 gp120抗血清が異なるサブタイプのEnvタンパク質に対して反応できるかどうかについて、検査を行った。サブタイプA Envタンパク質を除き、CON6血清はそれ自身及び他のサブタイプEnvタンパク質に等しく良好に反応することが見出された(図4)。
【0059】
CON6、サブタイプB及びサブタイプCエンベロープ重複ペプチドに対するT細胞応答の誘導
CON6 Env免疫原によって誘導されるT細胞免疫応答を、サブタイプ特異的な免疫原によって誘導されたT細胞免疫応答と比較するために、さらに2つのマウスの群を、サブタイプB又はサブタイプC DNA及び対応するrVV発現サブタイプB又はCエンベロープタンパク質で免疫した。サブタイプB(JRFL)又はサブタイプC(96ZM651) Env免疫原で免疫したマウスは、主として、サブタイプ特異的なT細胞免疫反応を有した(図5)。サブタイプB(MN)ペプチドプールで刺激した後には、JRFL(サブタイプB)で免疫されたマウスから得られたIFN−γSFC免疫原が検出されたが、サブタイプC(Chnl9)又はCON6ペプチドプールで刺激した後には検出されなかった。サブタイプC(Chnl9)及びCON6ペプチドプールで刺激した後には、96ZM651(サブタイプC)免疫原で免疫されたマウスから得られたIFN−γ SFCが検出されたが、サブタイプB(MN)ペプチドプールで刺激した後には検出されなかった。これに対して、CON6ペプチドプール並びにサブタイプB又はCペプチドのプールで刺激すると、CON6 Env免疫原で免疫されたマウスからIFN−γ SFCが同定された(図5)。CON6 gp140によって誘導されたT細胞応答は、CON6 gp120によって誘導されたT細胞応答より強固であるように思われた。これらのデータを総合すると、CON6 gp120及びgp140CF免疫原は、野生型サブタイプB及びCエンベロープのT細胞エピトープを認識するT細胞応答を誘導することができることが実証された。
【0060】
組換えCON6 gp120及びgp140CFエンベロープによる、HIV−1サブタイプB及びC初代単離株を中和する抗体の誘導
CON6エンベロープ免疫原が、HIV−1初代単離株を中和する抗体を誘導することができるかどうかを決定するために、CON6 gp120又はgp140CFタンパク質でモルモットを免疫した。中和アッセイのために、4又は5回の免疫化の後に集めた血清を使用し、対応する出血前の血清と比較した。分胞体阻害アッセイ(表5A)で、2つのAT−2不活化HIV−1単離株(ADA及びAD8)を検査した。2つのサブタイプB SHIV単離株、8つのサブタイプ初代単離株、4つのサブタイプC並びに1つの各サブタイプA、D及びE初代単離株を、MT−2又はルシフェラーゼを使用するアッセイの何れかで検査した(表5B)。分胞体阻害アッセイでは、CON6 gp120及びgp140CFタンパク質によって誘導された抗体は、AT−2不活化ADA及びAD8によって誘導された分胞体を強力に阻害することが見出された(表5A)。MT−2アッセイでは、2つのSHIV単離株のうちの1つ(SHIV SF162P3)が2つのgp120及び1つのgp140CF血清によって弱く中和されることが見出された(表5B)。ルシフェラーゼを利用するアッセイでは、8つのサブタイプB初代単離株のうち4つ(BX08、SF162、SS1196及びBAL)が全てのgp120及びgp140CF血清によって強力に中和されることが見出され、8つのサブタイプB単離株のうち2つ(6101、0692)が多くのgp120及びgp140CF血清によって弱く中和されることが見出された。HIV−1 PAVOに対しては、中和は検出されなかった(表5B)。次に、CON6抗gp120及びgp140CF血清を4つのサブタイプC HIV−1単離株に対して検査すると、4つの単離株のうち3つ(DU179、DU368及びS080)で、主として抗CON6 gp120血清によって弱い中和が見られた。1つのgp140CF血清no.635は、DU179を強く中和し、S080を弱く中和した(表5B)。最後に、抗CON6 Env血清は、サブタイプD単離株(93ZR001)を強く中和し、サブタイプE(CM244)単離株を弱く中和したが、サブタイプA(92W020)単離株は中和しなかった。
【表5A】
【表5B】
【0061】
結論
ウイルスの侵入を媒介するためにCCR5共同受容体を使用することができる機能的Envタンパク質をコードする人工HIV−1グループMコンセンサスenv遺伝子(コード配列)(CON6及びCon−S)の作製について説明してきた。重要なことは、これらのグループMコンセンサスエンベロープ遺伝子が、サブタイプB及びC HIV−1初代単離株のエピトープを認識するT及びB細胞応答を誘導できるということである。さらに、Con−Sは、サブタイプC及びA HIV−1株を強力に中和する抗体を誘導する(表3参照)。
【0062】
HIV−1に対する保護の相関は、確定的には明らかとなっていない。動物モデル及びHIV−1感染患者での研究から得られた多くのデータは、HIV−1ワクチン開発の最終目標は、広い反応性を有するCD4+及びCD8+抗HIV−1 T細胞応答(Letvin et al, Annu. Rev. Immunol. 20:73−99(2002))及び複数のサブタイプのHIV−1初代単離株を中和する高レベルの抗体(Mascola et al, J. Virol. 73:4009−4018(1999), Mascola et al, Nat. Med. 6:270−210(2000))を誘導べきことを示唆する。
【0063】
HIV−1の高レベルな遺伝的可変性のため、臨床的に有用なほど十分に幅広い免疫応答を誘導できる免疫原の設計は困難であった。エピトープをベースとするT細胞及びB細胞応答に対するワクチン(McMichael et al, Vaccine 20:1918−1921(2002), Sbai et al, Curr. Drug Targets Infect, Disord. 1:303−313(2001), Haynes, Lancet 348:933−937(1996))、融合中間体を反映する拘束されたエンベロープ(Fouts et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:11842−22847(2002))並びに抗HIV−1中和抗体を誘導するための保存された高次構造の露出は、HIV−1の可変性を克服すると提案されてきた(Roben et al, J. Virol. 68:4821−4828(1994), Saphire et al, Science 293:1155−1159(2001))。しかしながら、増加し続けるHIV−1の多様性と急速な進化のため、ウイルスは急速に移動する厄介な標的であり、HIV−1の変化の複雑さの程度は、これらのアプローチを何れも問題のあるものとしている。HIV−1免疫原を設計するための現在最も一般的なアプローチは、野生型の野生HIV−1単離株を選択することであり、これは、ワクチンを検査すべき領域に由来してもよく、又は由来しなくてもよい複数のエンベロープ免疫原を取り込んだ多価エンベロープ免疫原が設計されている(Bartlett et al, AIDS 12:1291−1300(1998), Cho et al, J. Virol. 75:2224−2234(2001))。
【0064】
上記研究は、この候補免疫原と野生型の野生ウイルス株との遺伝的距離が減少したグループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)を作製することによって、HIV−1免疫原を設計するための新しい戦略を試すものである。ほとんどの位置で最も一般的なアミノ酸を選択することによって、全てのサブタイプに対してCON6 env遺伝子を作製した(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Korber et al, Science 288:1789−1796(2000))。最も一般的なアミノ酸のみを使用したので、抗体及びT細胞エピトープの大半は良好に保存された。重要なことは、グループMコンセンサスenv配列と任意のサブタイプenv配列の遺伝的距離は約15%であって、これは、野生型サブタイプ間の遺伝的距離(30%)の半分にすぎないということである(Gaschen et al, Science 296:2354−2360 (2002))。この距離は、同じサブタイプに属するウイルス間の距離と概ね同じである。さらに、CRFはサブタイプ間で総合的な遺伝的多様性を増加しないので、グループMコンセンサスenv遺伝子も、何れの組換えウイルスenv遺伝子から約15%相違していた。
【0065】
1ラウンドの感染系を用いて、CON6−Env擬ビリオンの感染性を確認したが、感染性は減弱されており、人工エンベロープは「最適な」機能的高次構造ではないが、なお、ウイルスの侵入を媒介できることを示唆した。HIV−1に感染した患者の大半が、当初、R5ウイルスに感染するので、CON6エンベロープがCCR5(R5)をその共同受容体として使用したことは重要である。
【0066】
BIAcore分析によって、CON6 gp120及びgp140CFが何れも、sCD4を結合し、野生型HIV−1 Envタンパク質に結合する多数のmabを結合することが示された。野生型HIV−1エンベロープと抗原的に類似するCON6 gp120及び140CFタンパク質の発現は、HIV−1免疫原の進行において重要な段階である。しかしながら、多くの野生型エンベロープタンパク質は強力な中和ヒトmabが結合するエピトープを発現しているが、免疫原自体として使用されたときには、中和ヒトmabの特異性を有する抗HIV−1中和抗体を広く誘導しない。
【0067】
中和抗体研究は、CON6 gp120、CON6 gp140CF及びCon−S gp140CFIが、特定のサブタイプB、C及びD HIV−1初代単離株を中和する抗体を誘導した点で有望なものであり、このうちCon−S gp140CFIが非サブタイプB初代HIV単離株の最も強固な中和を誘導する。しかしながら、最も中和が困難な初代単離株(PAVO、6101、BG1168、92RW020、CM244)は、抗CON−6 gp120又はgp140血清によって、弱く中和されるにすぎないか、又は中和されないことが明らかである(表4b)。それにもかかわらず、非サブタイプB HIV単離株に対して、Con−Sサブユニットgp140CFIエンベロープタンパク質が与えた応答の広さに鑑みると、中和抗体を誘導するCon−Sエンベロープの免疫原性は有望である。gp120及びgp160を発現するポックスウイルス構築物を用いた従前の研究は、高レベルの中和抗体を生成しなかった(Evans et al, J. Infect. Dis. 180:290-298(1999), Polacino et al, J. Virol. 73:618-630(1999), Ourmanov et al, J. Virol. 74:2960-2965(2000), Pal et al, J. Virol 76:292-302(2002), Excler and Plotkin, AIDS ll(Suppl A):S127-137(1997))。分泌型CON6 gp120及びgp140を発現するrVVが構築され、HIV−1初代単離株を中和する抗体が誘導された。HIV中和抗体免疫原は、Con−S gp140CFI又はそのサブユニットと、ほとんどのサブタイプB単離株を中和する免疫原との組み合わせであり得る。
【0068】
オリゴマーのgp140タンパク質の構造は、タンパク質の免疫原性を評価するときに極めて重要である。この点で、高性能液体クロマトグラフィー(FPLC)及び分析用超遠心による精製CON6 gp140CFタンパク質の研究は、精製gp140ピークが主に三量体からなり、二量体が微少成分であることを実証した。
【0069】
このように、CON6、Con−S又は2003グループMなどの中心化されたエンベロープ又は本明細書に記載されているサブタイプコンセンサス若しくは先祖のコード配列は、CD4−Env複合体、拘束されたエンベロープ構造及び三量体オリゴマー形態など、潜在的に「強化された」様々なエンベロープ免疫原を調製するための魅力的な候補である。CON6によって誘導されたT細胞応答及びB細胞応答が、SHIV誘発モデルにおいて、HIV−1感染及び/又は疾病に対して保護する能力は、ヒト以外の霊長類で研究されるであろう。
【0070】
上記研究は、グループMコンセンサスenv遺伝子(CON6)及びCon−Sなどの中心化された人工のHIV−1遺伝子も、野生型サブタイプB及びC Envタンパク質中のT細胞エピトープに対するT細胞応答並びにグループMコンセンサスEnvタンパク質上のT細胞エピトープに対するT細胞応答も誘導することができる(図5)。CON6 gp140CF免疫原を用いたDNA初回刺激及びrVV強化刺激療法は、サブタイプB及びCエピトープを認識するIFN−γ産生性T細胞を明瞭に誘導したが、CON6エンベロープ中に見られるような中心化された配列が、野生型HIV−1遺伝子より、異なるクレード間にわたるT細胞応答を誘導する上で有意に優れているかどうかを決定するために、さらなる研究が必要とされる(Ferrari et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:1396-1401(1997), Ferrari et al, AIDS Res. Hum. Retroviruses 16:1433-1443(2000))。しかしながら、CON6(及びCon−S;envコード配列)を初回刺激及び追加免疫した脾細胞T細胞がHIV−1サブタイプB及びCのT細胞エピトープを認識したという事実は、CON6(及びCONーS)が臨床的に有用であり得るT細胞応答を誘導できることを実証する上で重要な段階である。
【0071】
中心化されたHIV−1遺伝子を作製するために、3つのコンピュータモデル(コンセンサス、先祖及び樹形の中心(COT;center of the tree))が提案されている(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Gao et al, Science 299:1517−1518(2003), Nickle et al, Science 299:1515−1517(2003), Korber et al, Science 288:1789−1796(2000)。それらは全て、サブタイプ内又はサブタイプ間の殆どのHIV−1配列について、星状の系統樹の根元に位置する傾向がある。実験的ワクチンとして、それらは全て、免疫原と野生ウイルス株間の遺伝的距離を減少させることができる。しかしながら、コンセンサス、先祖及びCOT配列には、それぞれ一長一短がある(Gaschen et al, Science 296:2354−2360(2002), Gao et al, Science 299:1517−1518(2003), Nickle et al, Science 299:1515−1517(2003))。コンセンサス及びCOTは、サンプルとされた現行の野生型ウイルス中の配列又はエピトープを代表し、外れたHIV−1配列によって影響を受けにくいが、先祖は外れた配列によって著しい影響を受け得る先祖配列を代表する。しかしながら、現時点では、中心化された配列の何れが最高の免疫原としての役割を果たして、多様なHIV−1株に対する広い免疫応答を惹起することができるかは不明であり、これらの異なる戦略を調べるための研究が進行中である。
【0072】
総合すると、このデータは、HIV−1人工CON6及びCon−Sエンベロープは、野生型HIV−1エピトープに対するT細胞応答を誘導し、HIV−1初代単離株を中和する抗体を誘導することが可能なことを示しており、このため、HIV−1ワクチン設計において人工的の中心化されたHIV−1配列を使用することの実現可能性と有望性を実証している。
【実施例2】
【0073】
HIV−1サブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ糖タンパク質
実験の詳細
HIV−1サブタイプC先祖及びコンセンサスenv遺伝子をLos Alamos HIV Molecular Immunology Database(http://hiv−web.lanl.gov/immunology),から取得し、哺乳類細胞の発現に対してコドンの使用を最適化し、合成した(図6)。最適な発現を確保するために、Kozak配列(GCCGCCGCC)を、開始コドンのすぐ上流に挿入した。完全長の遺伝子の他に、gp41膜貫通ドメイン(IVNR)及びgp120/gp41切断部位(REKR)の直後に停止コドンを導入することによって、末端切断された2つのenv遺伝子を作製し、それぞれ、gp140及びgp120形態の糖タンパク質を得た(図8)。
【0074】
インビトロ転写/翻訳系で遺伝子の完全性を調べ、哺乳類細胞中で発現させた。先祖及びコンセンサスサブタイプCエンベロープが融合及び侵入を媒介できるかどうかを決定するために、gp160及びgp140遺伝子をHIV−1/SG3Δenvプロウイルスとともに同時形質移入し、JC53−BL細胞アッセイを用いて、得られた擬ビリオンの感染性を検査した(図7)。JC53−BLアッセイを僅かに改変して、共同受容体の使用及びエンベロープの中和感受性も決定した。コドン使用が最適化されたrev依存性96ZAM651 env遺伝子を、現サブタイプC対照として使用した。
【0075】
結果
コドンを最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子(gp160、gp140、gp120)は、哺乳類細胞中で高レベルのenv糖タンパク質を発現する(図9)。
【0076】
コドンを最適化されたサブタイプC gp160及びgp140糖タンパク質は、ウイルス粒子中に効率的に取り込まれる。ショ糖精製された擬ビリオンのウェスタンブロット分析から、rev依存性の現エンベロープ対照と比べて、コドンを最適化されたエンベロープのビリオン取り込みが10倍高いレベルであることが明らかである(図10A)。
【0077】
サブタイプCコンセンサスgp160又はgp140エンベロープの何れかで偽型化されたビリオンは、対応するgp160及びgp140先祖エンベロープを含有する擬ビリオンより感染性が高かった。さらに、gp160エンベロープは、それらの対応するgp140より一貫して感染性が高かった(図10B)。
【0078】
サブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープは何れも、ウイルス侵入を媒介するために、共同受容体としてCCR5を使用する(図11)。
【0079】
擬ビリオンを含有するサブタイプC先祖及びコンセンサスgp160の感染性は、サブタイプCに感染した患者から得た血漿によって中和された。このことは、これらの人工エンベロープが、固有のHIV−1 env 糖タンパク質と類似した構造を有すること、及び共通の中和エピトープが保存されていることを示唆している。サブタイプC先祖及びコンセンサスenv糖タンパク質(gp160)の間には、中和能に有意な差は見られなかった(図12)。
【0080】
結論
HIV−1サブタイプCウイルスは、最も広く流行している単離株であり、世界中の新しい感染のうち約50%を占める。世界的に流行しているHIV−1株における遺伝的多様性は、ワクチン設計に対して困難な問題を提起する。HIV−1 Envタンパク質は可変性が高いが、感染した宿主中で液性免疫と細胞性免疫をともに誘導することができる。70のHIV−1完全サブタイプC env配列を分析することによって、コンセンサス及び先祖サブタイプC env遺伝子が作製された。両配列は、現サブタイプC株と概ね等距離にあり、このため、さらに優れた交叉保護免疫を誘導すると予想される。再構築された先祖又はコンセンサス配列由来の免疫原は、ワクチン候補と現単離株間の遺伝的差異の程度を最小限に抑える。しかしながら、コンセンサス及び先祖サブタイプC env遺伝子は、アミノ酸配列が5%異なる。コンセンサス配列と先祖配列の両方を分析のために合成した。コドンを最適化されたサブタイプC先祖及びコンセンサスエンベロープ遺伝子を構築し、発現された糖タンパク質のインビトロでの生物特性を決定した。合成サブタイプCコンセンサス及び先祖env遺伝子は、現サブタイプC野生型エンベロープ糖タンパク質と構造、機能及び抗原性が類似する糖タンパク質を発現する。
【実施例3】
【0081】
サブタイプC gag及びnef遺伝子のコンセンサス(C. con. gag及びC. con. nef)のコドン使用の最適化
サブタイプCウイルスは、グループMウイルスの全サブタイプ中、世界で最も多く蔓延しているウイルスとなった。現在、50%を超えるHIV−1感染者が、HIV−1サブタイプCウイルスを保有している。さらに、サブタイプC内にかなりの可変性が存在する。すなわち、異なるサブタイプCウイルスは、Gag、Pol、Env及びNefタンパク質がそれぞれ10%、6%、17%及び16%も異なることがある。最も重要なことは、ある国から得られるサブタイプCウイルスは、世界の他の地域から単離されたウイルスと同程度に異なり得ることである。唯一の例外は、サブタイプCがより最近に導入されたインド/中国、ブラジル及びエチオピア/ジブチから得られるHIV−1株である。単一の国内でさえ、サブタイプCウイルスの遺伝的多様性は高いので、単一のウイルス単離株に基づく免疫原は、同じ地域中で流行する他の単離株に対して防御免疫を誘発しない場合がある。
【0082】
このため、サブタイプCウイルスのgag及びnef遺伝子配列を集め、50%のコンセンサス閾値を使用することによって、両遺伝子に対するコンセンサス配列を作製した。創始ウイルスに対して生じ得る偏りを避けるために、インド/中国、ブラジル及びエチオピア/ジブチから、それぞれ一つだけ配列を使用して、サブタイプCコンセンサス配列(C.con.gag及びC.con.nef)を作製した。C.con.gag及びC.con.nef遺伝子のコドンは、高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用に基づいて最適化された。293T細胞中への形質移入後のタンパク質発現が、図13に示されている。図から明らかなように、コンセンサスサブタイプC Gag及びNefタンパク質は効率的に発現され、Gag及びNef特異的抗体によって認識された。C.con.gag及びC.con.nef両遺伝子のタンパク質発現レベルは、元のサブタイプenv遺伝子(96ZM651)のタンパク質発現レベルと同等である。
【実施例4】
【0083】
「コンセンサス可変領域を有するコンセンサスenv遺伝子の完全長コンセンサス」(CON−S)の合成
合成された「コンセンサスenv遺伝子のコンセンサス」(CON6)では、可変領域が、現サブタイプCウイルス由来の対応する領域(98CN006)で置換されている。さらに、コンセンサス可変領域も有するcon/con遺伝子(CON−s)も設計された。Con−S env遺伝子のコドンは、高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用に基づいて最適化された。(アミノ酸配列及び核酸配列については、それぞれ、図14A及び14Bを参照。)
3’末端が20bp重複し、5’末端及び3’末端に不変の配列(それぞれ、制限酵素部位EcoRI及びBbsI並びにBsmBI及びBamHIを含む。)を含有する、対を成すオリゴヌクレオチド(80マー)を設計した。BbsI及びBamHIは、それらの認識配列の外側を切断するII型の制限酵素である。それらは、18bpの不変領域に隣接する最初の4つの残基を切断して、後続の連結工程のために各断片の末端に、4塩基の5’突出を残すように、オリゴマー中に配置された。PCR及び18bpの不変配列に相補的なプライマーを用いて、対をなす26のオリゴマーを個別に連結した。
【0084】
T/Aクローニング法を用いて、pGEM−T(Promega)中に各対をクローニングし、不慮の変異/欠失の不存在を確認するために配列を決定した。次いで、適切なインサートを含有するpGEM−Tサブクローンを消化し、1%のアガロースゲルを走行させ、ゲル精製した(Qiagen)。マルチ断片連結反応において、4つの各108マーをpcDNA3.1(Invitrogen)中に連結した。遺伝子の5’から3’末端へ、断片群の間で四方向の連結が段階的に起こった。遺伝子全体がpcDNA3.1ベクター中に再構築されるまで、このプロセスを繰り返した。
【0085】
コドン使用が最適化されたオリゴ対を一緒に連結することによって、完全なCon−S遺伝子を構築した。そのオープンリーディングフレームを確認するために、インビトロ転写及び翻訳アッセイを行った。翻訳工程の間に、S35−メチオニンによってタンパク質産物を標識し、10%のSDS−PAGE上で分離し、ラジオオートグラフィーによって検出した。予想されたサイズの発現されたCon−S gp160が、7つのクローンのうち4つで同定された(図14C)。
【0086】
ウェスタンブロットアッセイを用いた、293T細胞中に形質移入後の、哺乳類細胞中でのCONs Envタンパク質発現(図15)。Con−S Envタンパク質の発現レベルは、コンセンサス保存領域と98CN006ウイルス単離株から得られる可変ループとを含有する以前のCON6 envクローンから観察されたものと極めて類似していた。
【0087】
Env−擬ビリオンは、Con−S envクローンとenv欠損SG3プロウイルスクローンを293T細胞中に同時形質移入することによって作製された。形質移入から2日後に、擬ビリオンを採集し、JC53BL−13細胞中に感染させた。感染単位(IU)は、3つの独立した実験において、X−galで染色した後、青色の細胞を計数することによって決定した。CON6 envクローンと比較したときに、Con−S envクローンは、JC53BL−13細胞中で同じような数のIUを産生する(図16)。両者に対するIC力価は、SG3骨格クローン対照(Envなし)より約3桁高い。しかしながら、この力価も、陽性対照(固有のHIV−1 env遺伝子、NL4−3又はYU2)より約2桁低い。これらのデータは、両コンセンサスグループM envクローンが生物学的に機能であることを示唆している。しかしながら、それらの機能は低下していた。機能的コンセンサスenv遺伝子は、これらのEnvタンパク質が正しく折り畳まれ、固有のEnvタンパク質の基本的高次構造を保存しており、普遍的なEnv免疫原として発達できることを示唆する。
【0088】
次に、Con−S EnvがJC53−BL細胞中に侵入するためにどの共同受容体を使用しているかを決定した。CXCR4遮断剤AMD3100で処理すると、NL4−3 Env擬ビリオンの感染性は遮断されたのに対して、YU2、Con−S又はCON6 Env−擬ビリオンの感染性は阻害されなかった。これに対して、CCR5遮断剤TAK779で処理すると、NL4−3 Env擬ビリオンの感染性は影響を受けなかったのに対して、YU2、Con−S又はCON6 Env−擬ビリオンの感染性は阻害された。両遮断剤で処理すると、全ての擬ビリオンの感染性が阻害された。これらのデータを総合すると、Con−S及びCON6エンベロープは、標的細胞中に侵入するために、CCR5共同受容体を使用し、CXCR4共同受容体をしていないことを示している。
【0089】
次に、CON6又はCon−S Envタンパク質が擬ビリオン中に等しく効率的に取り込まれ得るかどうかを決定した。Envタンパク質がいくつの擬ビリオン中に取り込まれたかを正確に比較できるようにするために、細胞可溶化液に対して、同じ濃度:5μg総タンパク質(細胞培養上清では25ngのp24、又は精製されたウイルス株(超高速遠心後の濃縮された擬ビリオン)では150ngのp24)で各擬ビリオンをSDS−PAGE上に与える。何れの調製物においても、CON6又はCon−S Env擬ビリオン中に取り込まれたEnvタンパク質の量に差は存在しなかった(細胞可溶化液、細胞培養上清又は精製されたウイルス株)(図17)。
【実施例5】
【0090】
コンセンサスサブタイプA完全長env(A.con.env)遺伝子の合成
サブタイプAウイルスは、70%を超えるHIV−1感染が文献で報告されているアフリカ大陸において、二番目に多く広まっているHIV−1である。アフリカ及び世界で最も多く蔓延しているサブタイプCウイルスに対するコンセンサスgag、env及びnef遺伝子は既に作製された。サブタイプAとCウイルスの遺伝的距離は、env遺伝子中では、30%にも達し、両サブタイプ間の交叉反応性又は保護は最適ではないであろう。全てのサブタイプに対して、2つのグループMコンセンサスenv遺伝子も作製した。しかしながら、サブタイプコンセンサス遺伝子と同じサブタイプから得られる野生ウイルス間の遺伝的距離は、グループMコンセンサス遺伝子とこれらの同じウイルス間の遺伝的距離より小さいので、特定のサブタイプウイルスを標的とするためには、サブタイプ特異的コンセンサス遺伝子がより効果的であろう。従って、サブタイプA特異的免疫原を開発するためには、コンセンサス遺伝子を作製することが必要である。A.con.env遺伝子のコドンは、高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用に基づいて最適化された。(アミノ酸配列及び核酸配列については、それぞれ、図18A及び18Bを参照。)
オリゴの各対を増幅し、クローニングし、連結し、配列を決定した。A.con env遺伝子のオープンリーディングフレームを、インビトロでの転写及び翻訳系によって確認した後、A.con env遺伝子を293T細胞中に形質移入し、タンパク質の発現と特性をウェスタンブロットアッセイを用いて確認した(図18)。次いで、A.conエンベロープが生物学的に機能的であるか否かを決定した。これを、env欠損SG3プロウイルスクローンとともに、293T細胞中に同時形質移入した。偽型ウイルスを採集し、JC53BL細胞を感染させるために使用した。A.con Env擬ビリオンに感染したJC53−BL細胞中に青い細胞が検出され、A.con Envタンパク質が生物学的に機能的であることが示唆された(表6)。しかしながら、A. con Env擬ビリオンの感染力価は、野生型サブタイプCエンベロープを有する擬ビリオンの約1/7であった(表6)。総合すると、生物学的に機能的なA.con Envタンパク質は、A.con Envタンパク質が正しく折り畳まれており、Env免疫原として使用されれば、直鎖及び高次構造のT及びB細胞エピトープを誘導し得ることを示唆する。
【表6】
【実施例6】
【0091】
完全長「コンセンサスgag、pol及びnef遺伝子のコンセンサス」(M.con.gag、M.con.pol及びM.con.nef)及びサブタイプCコンセンサスpol遺伝子(C.con.pol)の設計
グループMコンセンサス遺伝子については、ウイルス特異的な可変領域を有するenv遺伝子(CON6)とコンセンサス可変領域を有するenv遺伝子(Con−S)という2つの異なるenv遺伝子を構築した。しかしながら、免疫又はワクチン接種された動物及びヒトでのT細胞免疫応答の解析は、env遺伝子が通常T細胞免疫応答に対する主要な標的ではないが、中和抗体を誘導し得る唯一の遺伝子であることを示している。代わりに、HIV−1 Gag、Pol及びNefタンパク質が、強力なT細胞免疫応答を誘導するために重要であることが見出される。全てのサブタイプに対して、さらに広い液性及び細胞性免疫応答を誘導することができる免疫原のレパートリーを作製するためには、env遺伝子のみ以外に、他のグループMコンセンサス遺伝子を構築することが必要であるかもしれない。gag、pol及びnef遺伝子「コンセンサスのコンセンサス」(M.con.gag、M.con.pol及びM.con.nef)が設計された。サブタイプコンセンサスpol遺伝子を作製するために、サブタイプCコンセンサスpol遺伝子(C.con.pol)も設計した。M.con.gag.、M.con.pol、M.con.nef及びC.con.po.遺伝子のコドンは、高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用に基づいて、最適化された。(核酸配列及びアミノ酸配列については、図19を参照。)
【実施例7】
【0092】
合成サブタイプBコンセンサスgag及びenv遺伝子
実験の詳細
それぞれ、37及び137個の現HIV−1株から、サブタイプBコンセンサスgag及びenv配列を得て、哺乳類細胞発現に対してコドン使用を最適化し、合成した(図20A及び20B)。最適な発現を確保するために、Kozak配列(GCCGCCGCC)を、開始コドンのすぐ上流に挿入した。完全長のenv遺伝子に加えて、gp145遺伝子を作製するために、gp41膜貫通ドメイン(IVNR)の直後に停止コドンを導入することにより、末端切断されたenv遺伝子を作製した。インビトロ転写/翻訳系で遺伝子の完全性を調べ、哺乳類細胞中で発現させた。(サブタイプBコンセンサスGag及びEnv配列は、それぞれ、図20C及び20Dに記載されている。)
サブタイプBコンセンサスエンベロープが融合及び侵入を媒介できるかどうかを決定するために、gp160及びgp145遺伝子をHIV−1/SG3Δenvプロウイルスとともに同時形質移入し、JC53−BL細胞アッセイを用いて、得られた擬ビリオンの感染性を検査した。JC53−BL細胞は、高レベルのCD4並びにHIV−1共同受容体CCR5及びCXCR4を発現するHeLa細胞から派生した細胞である。JC53−BL細胞は、それぞれ、HIV−1 LTRから発現されるルシフェラーゼとガラクトシダーゼのレポーターカセットも含有している。レポーター遺伝子の発現は、HIV−1 Tatの産生に依存する。簡潔に述べると、細胞を24ウェルプレート中に播種し、37℃で24時間インキュベートし、37℃で30分間、DEAE−Dextranで処理した。1% DMEM中にウイルスを系列希釈し、DEAE−デキストラン中でインキュベートしている細胞に加え、37℃で3時間インキュベートした後、さらに500μLの細胞培地を各ウェルに添加する。37℃で48時間、最終インキュベーションを行った後、細胞を固定し、X−Galを用いて染色し、青色の病巣を顕微鏡で計数するために、PBSを重層した。偽感染されたウェルに対するカウント(バックグラウンドを決定するために使用)を、試料ウェルに対するカウントから差し引く。JC53−BLアッセイを僅かに改変して、共同受容体の使用及びエンベロープの中和感受性も決定した。サブタイプBコンセンサスGagタンパク質が、Env糖タンパク質を取り込んだウイルス様粒子(VLP)を産生できるかどうかを決定するために、293T細胞をサブタイプBコンセンサスgag及びenv遺伝子で同時形質移入した。形質移入から48時間後に、VLPを含有する細胞上清を集め、卓上遠心機で清澄にし、0.2mMのフィルターを通してろ過し、20%のショ糖クッションを通して沈降させる。VLPペレットをPBS中に再懸濁し、20から60%の連続スクロース勾配上に転写した。100,000×gで一晩遠心した後、0.5mLの画分を集め、p24含量をアッセイした。各画分の屈折率も測定した。VLPに対する正しい密度を有し、最高レベルのp24を含有する画分をプールし、最後に沈降する。VLP含有ペレットをPBS中に再懸濁し、4から20%のSDS−PAGEゲル上に載せた。タンパク質をPVDF膜に転写し、サブタイプBのHIV−1に感染した個体から得た血清でプローブした。
【0093】
結果
コドン使用を最適化されたサブタイプBコンセンサスエンベロープ(gp160、gp145)及びgag遺伝子は、哺乳類細胞中で高レベルの糖タンパク質を発現する(図21)。
【0094】
サブタイプCgp160及びgp145糖タンパク質は、ウイルス粒子中に効率的に取り込まれる。ショ糖精製された擬ビリオンのウェスタンブロット分析から、rev依存性の現エンベローの取り込みと比べて、コンセンサスBエンベロープの取り込みレベルは少なくとも5倍であることを示唆する(図23A)。サブタイプBコンセンサスgp160及びgp145エンベロープの何れかで偽型化されたビリオンは、rev依存性の現エンベロープを含有する擬ビリオンより感染性が高い(図23B)。
【0095】
サブタイプBコンセンサスエンベロープは、CD4を有する標的細胞中に侵入するための共同受容体としてCCR5を使用する(図22)。
【0096】
サブタイプBコンセンサスgp160エンベロープを含有する擬ビリオンの感染性は、HIV−1サブタイプBに感染した患者から得た血漿(図24C)及び中和モノクローナル抗体(図24A)によって中和された。このことは、サブタイプB合成コンセンサスBエンベロープの全体的な構造が固有のNIV−1 Env糖タンパク質と類似していること、及び共通する中和エピトープがそのままの状態を保っていることを示唆する。図24B及び24Dは、サブタイプB対照エンベロープ(NL4.3 Env)の中和プロファイルを示している。
【0097】
サブタイプBコンセンサスGagタンパク質は、細胞膜から出芽し、ウイルス様粒子を形成することができる(図25A)。コドンを最適化されたサブタイプBコンセンサスがgag及びがp160遺伝子の同時形質移入によって、取り込まれたエンベロープを有するVLPが産生される(図25B)。
【0098】
結論
合成サブタイプBコンセンサスenv及びgag遺伝子は、現サブタイプB Env及びGagタンパク質と構造、機能及び抗原性が類似するウイルスタンパク質を発現する。サブタイプBコンセンサス遺伝子を基礎とする免疫原は、幅広い一群のHIV−1単離株に対して保護的であるCTL及び中和免疫応答を惹起するであろう。
【0099】
上記に引用されている全ての文献及びその他の情報源は、参照により、それらの全体が本明細書に援用される。Liao et al, J. Virol. 78:5270(2004))も、参照により援用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1Aに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項2】
CON6 HIV gp160タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項3】
前記核酸が図1Dに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項2に記載の核酸。
【請求項4】
サブタイプC先祖HIVエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項5】
前記核酸が図6Aに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項4に記載の核酸。
【請求項6】
サブタイプCコンセンサスHIVエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項7】
前記核酸が図6Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の核酸。
【請求項8】
図6C又は6Dに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項9】
サブタイプCコンセンサスHIV gagタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項10】
前記核酸が図13Eに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項9に記載の核酸。
【請求項11】
サブタイプCコンセンサスHIV nefタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項12】
前記核酸が図13Fに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項11に記載の核酸。
【請求項13】
グループMコンセンサスHIVエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項14】
前記核酸が図14Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項13に記載の核酸。
【請求項15】
サブタイプAコンセンサスHIVエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項16】
前記核酸が図18Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載の核酸。
【請求項17】
グループMコンセンサスHIVgagタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項18】
前記核酸が図19Aに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項17に記載の核酸。
【請求項19】
グループMコンセンサスHIVpolタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項20】
前記核酸が図19Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載の核酸。
【請求項21】
グループMコンセンサスHIV nefタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項22】
前記核酸が図19Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項21に記載の核酸。
【請求項23】
サブタイプCコンセンサスHIV polタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項24】
前記核酸が図19Dに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項23に記載の核酸。
【請求項25】
サブタイプBコンセンサスHIV gagタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項26】
前記核酸が図20Aに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項25に記載の核酸。
【請求項27】
サブタイプBコンセンサスHIVエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項28】
前記核酸が図20Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項27に記載の核酸。
【請求項29】
図20C又は20Dに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項30】
図26Aに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項31】
請求項30に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項32】
前記核酸が図26Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項31に記載の核酸。
【請求項33】
図28Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項34】
請求項33に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項35】
前記核酸が図28Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項34に記載の核酸配列。
【請求項36】
図29Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項37】
請求項36に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項38】
前記核酸が図29Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項37に記載の核酸配列。
【請求項39】
図30Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項40】
請求項39に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項41】
前記核酸が図30Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項40に記載の核酸配列。
【請求項42】
図31Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項43】
請求項42に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項44】
前記核酸が図31Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項43に記載の核酸配列。
【請求項45】
図32Bに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項46】
請求項45に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項47】
前記核酸が図32Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項46に記載の核酸配列。
【請求項48】
図33Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項49】
請求項48に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項50】
前記核酸が図33Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項49に記載の核酸配列。
【請求項51】
図34Bに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項52】
請求項51に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項53】
前記核酸が図34Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項52に記載の核酸配列。
【請求項54】
図35Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項55】
請求項54に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項56】
前記核酸が図35Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項55に記載の核酸配列。
【請求項57】
図36Bに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項58】
請求項57に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項59】
前記核酸が図36Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項58に記載の核酸配列。
【請求項60】
図37Bに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項61】
請求項60に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項62】
前記核酸が図37Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項61に記載の核酸配列。
【請求項63】
図38Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項64】
請求項63に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項65】
前記核酸が図38Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項64に記載の核酸配列。
【請求項66】
図39Aから127Aの何れか一つに記されているアミノ酸配列のCF又はCFI形態を含む単離されたタンパク質。
【請求項67】
図39Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項68】
図40Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項69】
図41Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項70】
図42Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項71】
図43Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項72】
図44Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項73】
図45Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項74】
図46Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項75】
図47Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項76】
図48Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項77】
図49Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項78】
図50Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項79】
図51Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項80】
図52Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項81】
図53Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項82】
図54Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項83】
図55Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項84】
図56Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項85】
図57Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項86】
図58Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項87】
図59Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項88】
図60Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項89】
図61Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項90】
図62Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項91】
図63Bから84B、65D、67D及び68Dの何れか一つに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項92】
図85Bから106B、88D、90D及び92Dの何れか一つに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項93】
図107Bから127B、109D、111D及び112Dの何れか一つに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項94】
請求項2から7、9から28、31、32、34、35、37、38、40、41、43、44、46、47、49、50、52、53、55、56、58、59、61、62、64、65及び67から93の何れか一項に記載の核酸を含むベクター。
【請求項95】
請求項1から93の何れか一項に記載の少なくとも一つのタンパク質又は核酸と、担体とを含む組成物。
【請求項96】
哺乳動物に免疫応答を誘導するのに十分な量の、請求項1から93の何れか一項に記載の少なくとも一つのタンパク質及び/又は核酸を前記哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物に免疫応答を誘導する方法。
【請求項1】
図1Aに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項2】
CON6 HIV gp160タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項3】
前記核酸が図1Dに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項2に記載の核酸。
【請求項4】
サブタイプC先祖HIVエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項5】
前記核酸が図6Aに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項4に記載の核酸。
【請求項6】
サブタイプCコンセンサスHIVエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項7】
前記核酸が図6Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の核酸。
【請求項8】
図6C又は6Dに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項9】
サブタイプCコンセンサスHIV gagタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項10】
前記核酸が図13Eに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項9に記載の核酸。
【請求項11】
サブタイプCコンセンサスHIV nefタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項12】
前記核酸が図13Fに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項11に記載の核酸。
【請求項13】
グループMコンセンサスHIVエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項14】
前記核酸が図14Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項13に記載の核酸。
【請求項15】
サブタイプAコンセンサスHIVエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項16】
前記核酸が図18Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載の核酸。
【請求項17】
グループMコンセンサスHIVgagタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項18】
前記核酸が図19Aに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項17に記載の核酸。
【請求項19】
グループMコンセンサスHIVpolタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項20】
前記核酸が図19Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載の核酸。
【請求項21】
グループMコンセンサスHIV nefタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項22】
前記核酸が図19Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項21に記載の核酸。
【請求項23】
サブタイプCコンセンサスHIV polタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項24】
前記核酸が図19Dに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項23に記載の核酸。
【請求項25】
サブタイプBコンセンサスHIV gagタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項26】
前記核酸が図20Aに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項25に記載の核酸。
【請求項27】
サブタイプBコンセンサスHIVエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列がヒト細胞中での発現のために最適化されているコドンを含む、核酸。
【請求項28】
前記核酸が図20Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項27に記載の核酸。
【請求項29】
図20C又は20Dに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項30】
図26Aに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項31】
請求項30に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項32】
前記核酸が図26Bに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項31に記載の核酸。
【請求項33】
図28Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項34】
請求項33に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項35】
前記核酸が図28Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項34に記載の核酸配列。
【請求項36】
図29Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項37】
請求項36に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項38】
前記核酸が図29Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項37に記載の核酸配列。
【請求項39】
図30Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項40】
請求項39に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項41】
前記核酸が図30Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項40に記載の核酸配列。
【請求項42】
図31Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項43】
請求項42に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項44】
前記核酸が図31Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項43に記載の核酸配列。
【請求項45】
図32Bに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項46】
請求項45に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項47】
前記核酸が図32Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項46に記載の核酸配列。
【請求項48】
図33Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項49】
請求項48に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項50】
前記核酸が図33Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項49に記載の核酸配列。
【請求項51】
図34Bに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項52】
請求項51に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項53】
前記核酸が図34Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項52に記載の核酸配列。
【請求項54】
図35Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項55】
請求項54に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項56】
前記核酸が図35Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項55に記載の核酸配列。
【請求項57】
図36Bに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項58】
請求項57に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項59】
前記核酸が図36Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項58に記載の核酸配列。
【請求項60】
図37Bに記載されたアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項61】
請求項60に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項62】
前記核酸が図37Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項61に記載の核酸配列。
【請求項63】
図38Bに記されているアミノ酸の配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項64】
請求項63に記載されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項65】
前記核酸が図38Cに記されているヌクレオチド配列を含む、請求項64に記載の核酸配列。
【請求項66】
図39Aから127Aの何れか一つに記されているアミノ酸配列のCF又はCFI形態を含む単離されたタンパク質。
【請求項67】
図39Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項68】
図40Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項69】
図41Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項70】
図42Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項71】
図43Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項72】
図44Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項73】
図45Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項74】
図46Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項75】
図47Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項76】
図48Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項77】
図49Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項78】
図50Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項79】
図51Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項80】
図52Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項81】
図53Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項82】
図54Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項83】
図55Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項84】
図56Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項85】
図57Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項86】
図58Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項87】
図59Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項88】
図60Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項89】
図61Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項90】
図62Bに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項91】
図63Bから84B、65D、67D及び68Dの何れか一つに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項92】
図85Bから106B、88D、90D及び92Dの何れか一つに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項93】
図107Bから127B、109D、111D及び112Dの何れか一つに記されているヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項94】
請求項2から7、9から28、31、32、34、35、37、38、40、41、43、44、46、47、49、50、52、53、55、56、58、59、61、62、64、65及び67から93の何れか一項に記載の核酸を含むベクター。
【請求項95】
請求項1から93の何れか一項に記載の少なくとも一つのタンパク質又は核酸と、担体とを含む組成物。
【請求項96】
哺乳動物に免疫応答を誘導するのに十分な量の、請求項1から93の何れか一項に記載の少なくとも一つのタンパク質及び/又は核酸を前記哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物に免疫応答を誘導する方法。
【図1−1】
【図1−2】
【図2−1】
【図2−2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13−1】
【図13−2】
【図14−1】
【図14−2】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18−1】
【図18−2】
【図18−3】
【図19−1】
【図19−2】
【図19−3】
【図19−4】
【図19−5】
【図20−1】
【図20−2】
【図20−3】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24−1】
【図24−2】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
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【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
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【図65】
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【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
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【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
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【図80】
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【図84】
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【図89】
【図90】
【図91】
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【図96】
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【図99】
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【図101】
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【図104】
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【図106】
【図107】
【図108】
【図109−1】
【図109−2】
【図110】
【図111−1】
【図111−2】
【図112−1】
【図112−2】
【図113】
【図114】
【図115】
【図116】
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【図118】
【図119】
【図120】
【図121】
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【図123】
【図124】
【図125】
【図126】
【図127】
【図1−2】
【図2−1】
【図2−2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13−1】
【図13−2】
【図14−1】
【図14−2】
【図15】
【図16】
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【図18−1】
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【図19−1】
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【図20−1】
【図20−2】
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【図21】
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【図23】
【図24−1】
【図24−2】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
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【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
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【図45】
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【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
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【図59】
【図60】
【図61】
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【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
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【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【図85】
【図86】
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【図88】
【図89】
【図90】
【図91】
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【図94】
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【図99】
【図100】
【図101】
【図102】
【図103】
【図104】
【図105】
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【図107】
【図108】
【図109−1】
【図109−2】
【図110】
【図111−1】
【図111−2】
【図112−1】
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【図117】
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【図120】
【図121】
【図122】
【図123】
【図124】
【図125】
【図126】
【図127】
【公開番号】特開2011−136997(P2011−136997A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−275(P2011−275)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【分割の表示】特願2006−527030(P2006−527030)の分割
【原出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(507189666)デューク ユニバーシティ (25)
【出願人】(506090484)ザ・ユニバーシティー・オブ・アラバマ・アット・バーミンガム・リサーチ・ファウンデーション (2)
【出願人】(592034548)ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティー・オブ・カリフォルニア (8)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CALIFORNIA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−275(P2011−275)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【分割の表示】特願2006−527030(P2006−527030)の分割
【原出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(507189666)デューク ユニバーシティ (25)
【出願人】(506090484)ザ・ユニバーシティー・オブ・アラバマ・アット・バーミンガム・リサーチ・ファウンデーション (2)
【出願人】(592034548)ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティー・オブ・カリフォルニア (8)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CALIFORNIA
【Fターム(参考)】
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