説明

コンセント装置

【課題】コンセント本体に設けた複数の差込口に対向してそれぞれ配設された刃受端子を、複数系統に区分けして管理する。
【解決手段】コンセント本体内には、各差込口の電圧側極孔に対応して電圧側刃受端子11aが、接地側極孔に対向して接地側刃受端子11bが配設されている。これら各電圧側刃受端子又は各接地側刃受端子のいずれか一方は、導電性を有する単一の帯板状の第1連結板23aに形成され、他方はコンセント本体に複数設置された差込口群ごとに分割して、別個に形成した複数の導電性を有する帯板状の第2連結板23bL、23bRにそれぞれ形成されている。第1連結板は、一本の接続導線22aを介して、電圧側接続線又は接地側接続線のうち同じ局のものと電気的に接続され、第2連結板は、差込口群と同じ数の複数系統に分岐した接続導線を介して、電圧側接続線又は接地側接続線のうち同じ局のものとそれぞれ電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の電源プラグの差込口を本体に備えるコンセント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコンセント装置として、本出願人は先に特許文献1記載のものを提案している。同文献1の電気接続器(コンセント装置)は、器体(3)の上面に複数の差込部(4)を並べて設けるとともに、これら差込部(4)の内側に極の異なる刃受端子(29、32、34)をそれぞれ配設した構成となっている。各差込部(4)に配設された刃受端子(29、32、34)は、同じ極どうしが同じ刃受端子板(26、27、28)によって連結され電気的に導通していた。これら刃受端子板(26、27、28)は、特許文献1の図2に示されるとおり一本の金属導体で構成され、各刃受端子(29、32、34)は当該刃受端子板(26、27、28)を介して直列に連なっていた。
【特許文献1】特開2004−319115号公報 (図2、図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した構成のコンセント装置にあっては、各差込部の刃受端子が直列につながって外部電源へ接続されるため、個々の差込部に電源プラグが差し込まれた電気使用機械器具を、区分けし別系統として管理することができない。例えば、一部の差込部における刃受端子から電源供給を受ける電気使用機械器具に過大電流が流れても、他の差込部の刃受端子に接続した電気機器は影響を受けないような構成を採ることができなかった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、本体に設けた複数の差込口に対向してそれぞれ配設された刃受端子を、複数系統に区分けして管理できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、電気使用機械器具の電源プラグが差し込まれる差込口を複数備えた本体と、各差込口と対向してそれぞれ本体内に配設された少なくとも二極の刃受端子と、当該刃受端子と同じ数の極を有し外部の供給電源に接続される接続コードとを備え、
各差込口に対向してそれぞれ配設された少なくとも二極の刃受端子は、それぞれ同じ極の刃受端子が接続導体で電気的に接続されるとともに、当該接続導体を介して接続コードと電気的に接続され、
複数系統に分岐したそれぞれの接続導体に、あらかじめ設定した値以上の電流を流さないようにする過電流保護装置を設け、複数設けた差込口と外部の供給電源に接続される接続コードとをそれぞれ異なる定格としたことを特徴とする。
【0006】
上述したように、同じ極の刃受端子を電気的に接続する接続導体のうち少なくとも一つは複数に分岐して構成することで、当該分岐点よりも先をそれぞれ別系統のコンセント領域として管理することが可能となる。
また、分岐した各接続導体に過電流保護装置を設けることで、いずれかの接続導体に設定値を超える過電流が流れてしまう事態を防止することができる。
【0007】
ここで、本体は、電気使用機械器具に配設されており、
接続コードは、分電盤から電気使用機械器具に至る低圧屋内電路に設けられたブレーカと電気的に繋げられ、
複数系統に分岐したそれぞれの接続導体に設けられた過電流保護装置の定格は、ブレーカの定格を当該接続導体の分岐系統数で除した値に設定した構成とすることができる。
【0008】
また、電気使用機械器具は、筐体の内部に複数の端末電気使用機械器具群を搭載した構成となっており、
本体は、筐体に配設され、
差込口には、端末電気使用機械器具群の電源プラグが差しこまれる構成とすることもできる。
【0009】
さらに、本体は、分岐したそれぞれの接続導体に流れる電流値を計測して表示する電流計測表示装置を備えることもできる。
【0010】
また、本体は、分岐したそれぞれの接続導体に流れる電流値を計測する電流計測装置を備えることもできる。
この場合、本体は、分岐したそれぞれの接続導体に対し電流計測装置がそれぞれ計測した電流値を、各々表示する表示装置を備えてもよい。
一方、電流計測装置は、分岐したそれぞれの接続導体に流れる電流値を計測してそのデータ信号を出力する構成として、
本体は、電流計測装置から出力されるデータ信号を外部へ送出するためのデータ出力手段を備えることもできる。
【0011】
ここで、電流計測表示装置または電流計測装置は、分岐したそれぞれの接続導体の外周に装着した電流トランスと、各種電子部品を搭載した基板とを含み、電流トランスを接続導体の外周に装着したまま、当該基板が本体から着脱自在の構成とすることが好ましい。
【0012】
また、分岐したそれぞれの接続導体に対し電流計測装置がそれぞれ計測した電流値を各々表示する表示装置を、本体とは別体に備えてもよい。
【0013】
また、本体は、分岐したそれぞれの接続導体に対し電流計測装置がそれぞれ計測した電流値を各々表示する表示装置と、電流計測装置から出力されるデータ信号を外部へ送出するためのデータ出力手段とを備え、
電流計測装置は、分岐した各接続導体の外周にそれぞれ装着した第1の電流トランスと第2の電流トランスとを含み、第1の電流トランスが検出した電流値を信号処理して表示装置へ出力するとともに、第2の電流トランスが検出した電流値をデータ出力手段を介してそのまま外部へ送出する構成としてもよい。
【0014】
なお、本体は、押出成形で形成された上ケース体と下ケース体とを組合わせることにより角筒状に形成するとともに、複数の差込口が所定間隔をおいて並べて配置し、
当該差込口が並ぶ間の所定位置には、ラックや壁などに固定する際に使用する固定用ネジをガイドするガイド筒を配置した構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、本体に設けた複数の差込口に対向してそれぞれ配設された刃受端子を、複数系統に区分けして管理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
〔基本構造〕
まず、図1乃至図3を参照して、本発明の実施形態に係るコンセント装置の基本構造を説明する。図1は、同装置の外観を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。図2は、実施形態に係るコンセント装置の内部基本構造を示す図であり、(a)は平面図、(b)はA−A線断面図である。
る。
本実施形態のコンセント装置は、図1に示すように、長尺形状のコンセント本体10を備えている。このコンセント本体10には、上面に電気使用機器の電源プラグが差し込まれる差込口12が複数(図1では10個)形成されている。コンセント本体10の内部で、これら各差込口12と対向する位置には、刃受端子11a、11b、11cが配設してある(図2(b)参照)。
【0017】
また、コンセント本体10は、上ケース体13と下ケース体14とを上下に組み合わせて角筒状に形成した形状となっている。このコンセント本体10は、一端の開口部(図示せず)がエンドキャップで塞がれ、他端に形成した開口部15から接続コード20が内部へ引き込まれている(図2(a)参照)。接続コード20の先端には、図示しないが、接続プラグが設けてあり、この接続プラグを外部の供給電源に接続する構成である。具体的には、接続コード20は、分電盤から電気使用機械器具に至る低圧屋内電路に設けられたブレーカと電気的に繋げられる。
【0018】
コンセント本体10の上ケース体13は、アルミやアルミ合金を押し出し成形して下方が開口した断面略コ字状に形成したものである。この上ケース体13の上面は、後述するカバー部材17(図2(b)参照)のボス部17aと係合するボス部挿通口16が所定間隔毎に10個形成されている。また、上ケース体13の上面には、両端部側にそれぞれ一箇所と、ボス部挿通口16が並ぶ中間部分の一箇所(すなわちボス部挿通口16を5個づつに分ける位置)に長孔18が設けられている。
【0019】
この上ケース体13の背面には、絶縁性を有する樹脂製のカバー部材17が備えられる(図2(b)参照)。このカバー部材17には、上ケース体13のボス部挿通口16に対向する位置に、方形状に膨出したボス部17aが10個設けられており、各ボス部の上面には差込口12が形成されている。コンセント本体10を組み立てる際は、これらのボス部17aが上ケース体13の各ボス部挿通口16に挿入され、上ケース体13からやや突き出ることになる。これにより差込口12は、コンセント本体10の組立後に、その上面から露出するようになる。
【0020】
図2(b)に示すように、ボス部17aに形成される各差込口12は、電圧側の刃受端子11aを内部に備える電圧側極孔12aと、接地側の刃受端子11bを内部に備える接地側極孔12bと、アースに接続する刃受端子11cを内部に備えるアース用極孔12cの3極によって構成される。この差込口12は、上ケース体13の上面において所定間隔で配置されるとともに、ちょうど中央部分にある長孔18を間に介して、5個づつに分けて形成されている(以下、図1の右側にある5個の差込口12を右側差込口群R、左側にある5個の差込口12を左側差込口群Lと称する)。
なお、本実施形態のコンセント装置は、差込口12をアース用の極が付属した3極構造としているが、これに限定されないことは勿論であり、例えば、差込口は2極構造であってもよく、また各極孔の形状も図1に示す形状以外を適用することができる。
【0021】
一方、下ケース体14は、上記上ケース体13と同様にアルミやアルミ合金を押し出し成形で形成したものである。この下ケース体14には、上ケース体13の長孔18に対向する位置に同形状の長孔18が形成されており、上ケース体13と下ケース体14を組み合わせた際に両長孔18、18が貫通したガイド筒19を形成する。このガイド筒19は、固定用のネジ等を用いて挿入することで、ラックや壁面などに設置・固定することができるようになっている。
【0022】
図2(b)に示すように、コンセント本体10の下ケース体14には、コンセント装置の電気配線を案内する支持台21が備えられている。支持台21は、絶縁性を有する樹脂によって形成され、この支持台21に各種の部品が組み込まれている。
【0023】
刃受端子は、銅などの導電性を有する帯板状の連結板23に形成される。具体的には、電圧側連結板23aに電圧側刃受端子11a、接地側連結板23bに接地側刃受端子11b、アース用連結板23cにアース用刃受端子11cが、それぞれ形成されている。各連結板23は、下ケース体14に備えられた支持台21に収容されるようにセットすることで、各刃受端子11a、11b、11cをカバー部材17のボス部17aに形成した差込口12の各極孔12a、12b、12cに対応する位置にそれぞれ配置することができる。
【0024】
本実施形態のコンセント装置では、接地側刃受端子11bが形成された接地側連結板23bを、コンセント本体10の右側差込口群Rと左側差込口群Lに対応して、右側連結板23bRと左側連結板23bLとの二系統に分割して下ケース体14に配置している。その他の電圧側連結板23a及びアース用連結板23cは、右側差込口群Rと左側差込口群Lに関係なく一体的に形成されて下ケース体14に配置している。ここでは接地側極を分割したが、電圧側極を分割しても良い。
【0025】
また、コンセント本体10の接続コード20が導入される開口部15側の下ケース体14には、接続コード20の電源側接続線20a、接地側接続線20b、アース用接続線20cを端子にねじ止めする接続部24が形成されている。これら各接続線20a、20b、20cが接続される端子の他端には、電圧側導線22a、接地側導線22b、アース用導線22cが同じようにねじ止めされており、これにより各接続線20a、20b、20cと各導線22a、22b、22c(接続導線)が電気的に接続される。
【0026】
接続部24から延びる各導線22a、22b、22cは、支持台21に配置された各連結板23a、23b、23cの端部に圧着カシメ等によって連結される。また接続部24から延びる接地側導線22bは、二系統に分岐しており、この分岐した一方の接地側導線22bRが右側連結板23bRを介して右側差込口群Rの刃受端子11bに、他方の接地側導線22bLが左側連結板23bLを介して左側差込口群Lの刃受端子11bに、それぞれ連結されている。したがって、右側連結板23bRと左側連結板23bLには、接地側導線22bの分岐にしたがって電流が分流され、コンセント本体10の右側差込口群Rと左側差込口群Lとが別系統のコンセントとして管理することが可能となる。
【0027】
本実施形態のコンセント装置は、上述したとおり差込口が複数系統に分岐した基本構造を有しており、この基本構造に後述するような付加構造を備えた構成となっている。付加構造の主要部としては、分岐した各接地側導線22bRと22bLに、あらかじめ設定した値以上の電流を流さないようにする過電流保護装置がそれぞれ設けられる。なお、図2(a)では接地側導線22bの分岐経路を明示するために、過電流保護装置を省略してある。この過電流保護装置については、後述する(図5(a)参照)。
【0028】
ここで、各接地側導線22bRと22bLが繋がる各系統の右側差込口群Rと左側差込口群Lは、外部の供給電源に繋がる接続コード20とは異なる定格に設定してある。例えば、接続コード20の定格電流を30Aとした場合、右側差込口群R及び左側差込口群Lの定格電流をそれぞれ15Aに設定し、各差込口群R、Lの定格電流の総和が接続コード20の定格電流を越えないように調整してある。
さらに、各接地側導線22bRと22bLに設けられる過電流保護装置も、右側差込口群R及び左側差込口群Lの定格に合わせて、それぞれ15Aを越える過電流を遮断する構成となっている。
換言すれば、各接地側導線22bRと22bLに設けられる過電流保護装置の定格は、接続コード20が繋がるブレーカの定格を、差込口の分岐系統数で除した値に設定してある。なお、上述した基本構造では、差込口をR、Lの2系統に分岐したが、これに限らず、3系統以上に分岐することもできる。
【0029】
〔使用例〕
図3は、本発明の実施形態に係るコンセント装置の使用例を示す斜視図である。
本実施形態のコンセント装置は、例えば、複数台のコンピュータ(端末電気使用機械器具群)をラック(筐体)100に収納した構成のサーバシステム(電気使用機械器具)に適用することができる。すなわち、コンセント本体10をラック100の内部や外部に配設し、コンピュータ(図示せず)の電源プラグを差込口12へ差し込む。このとき、ラック100内のコンピュータを複数系統に区分けしておき、複数系統に分割された差込口群をコンピュータの各系統に割り当てれば、いずれかの系統に過電流が流れても、当該系統のコンピュータのみがダウンするだけで、他の系統のコンピュータは稼働し続けることができ、サーバシステムの安定化を図ることができる。
【0030】
〔付加構成例〕
図4は、本実施形態に係るコンセント装置の付加構成含む全体構造を示す平面図である。また図5は、同じくコンセント装置の付加構成部分を拡大して示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。
図4及び図5に示すように、本実施形態のコンセント装置は、過電流保護装置30と、電流計測装置40と、電流表示装置50がそれぞれ付加構成として設けられている。
【0031】
過電流保護装置30は、コンセント本体10内において、分岐した各接地側導線22bRと22bLのそれぞれに挿入されている。これら過電流保護装置30は、入力部31と出力部32とを備えている。各接地側導線22bRと22bLは中間でそれぞれ切断し、切断端の一方(接続コード20に近い側)が入力部31へ、他方が出力部32へ接続される。過電流保護装置30は、各接地側導線22bRと22bLに定格を越える過電流が流れようとした場合、その過電流を遮断する機能を有している。この種の過電流保護装置は既に公知であるため、その詳細な説明は省略する。
【0032】
例えば、接続コード20の定格電流が30Aで、右側差込口群Rと左側差込口群Lの差込口数が均等に分割されているコンセント本体10の場合、二つの過電流保護装置30は各々15A以上の過電流から各系統の差込口群R、Lを保護する構成とすればよい。このように構成すれば、例えば、右側差込口群Rに過電流が発生して、過電流保護装置30により出力電流を遮断したとしても、左側差込口群Lへの電源の供給はそのまま継続させることができる。
【0033】
電流計測装置40は、コンセント本体10の上面に別体で取り付けられる。この電流計測装置40は、ケース41内部に計測用回路基板42が備えてある。この計測用回路基板42の背面には、2個の電流トランス(CT)44が設けてあり、各電流トランス44の中空部に、分岐した各接地側導線22bR、22bLがそれぞれ挿通してある。各電流トランス44には、計測用回路基板42のスルーホールに装着された挿入接続端子43に挿入されるリード端子44aが形成されており、電流計測装置40の取付時には挿入接続端子43にリード端子44aが挿入される構成である。
【0034】
各電流トランス44の中空部に、二系統に分岐した接地側導線22bR、22bLをそれぞれ挿通したので、電流計測装置40は、コンセント本体10の右側差込口群Rと左側差込口群Lとに分流される電流値を、それぞれ検出することが可能である。電流計測装置40は、これら各電流トランス44から各接地側導線22bR、22bLに流れる電流値を自動的に検出して、計測用回路基板42においてデータ信号に変換される。電流計測装置40によって計測された電流値(データ信号)は、計測用回路基板42に接続された出力端子45(データ出力手段)から外部に出力される。
【0035】
図6は、コンセント本体とは別体の電流表示装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。
電流表示装置50は、図4及び図6に示すように、コンセント本体10及び電流計測装置40と別体となっている。電流表示装置50は、電流値をデジタル表示する画面51、送信用ケーブルが接続される入力端子52、電流値の表示の設定を操作する操作部53、54、コンセント本体の過電流等を知らせるアラーム部55を含んでいる。
【0036】
電流表示装置50は、入力端子52が送信用ケーブル56を介して電流計測装置40の出力端子45に接続されており、電流計測装置40から出力された電流値を示すデータ信号が送信用ケーブル56を介して入力され、その入力信号に基づいて電流値を画面51に表示する構成である。コンセント装置の利用者は、電流表示装置50に表示された電流値を確認することで、該コンセント本体10に接続してある電気使用機械器具の使用電流量を知ることができる。
また、コンセント本体10に過電流が生じた場合は、アラーム部55から信号音を発信させ、利用者に異常を喚起することもできる。
なお、本実施形態の電流表示装置50は、コンセント本体10と別体に設けられているため、例えば、図3に示したラック100の背面側にコンセント本体10が取り付けられたとしても、電流表示装置50をラック100の表面側に配置することができ、コンセント本体10に流れる電流値の良好な視認性を確保することができる。
【0037】
また、本実施形態のコンセント装置は、電流計測装置40が既述したように二系統に分岐した接地側導線22bR、22bLの各電流量を検出し、右側差込口群Rと左側差込口群Lに流れる電流量を計測している。したがって、電流表示装置50の画面51を、電流値の検出対象となる各系統の差込口群R、Lで共用する場合には、時分割で交互に表示させることができる。このとき、表示部が3桁あれば、R12のようにRL表示+電流値とすることが出来る。2桁表示の場合はRL表示の後に電流値を表示させることや、RLについては別途LED表示とすることもできる。コンセント装置の差込口を3系統以上にした場合は、各系統を意味する記号を特定し、それを交互に表示して各系統の電流値表示とすればよい。これら各系統の識別は、電流計測装置40から出力されるデータ信号に当該識別データを含ませておき、その識別データに基づいて電流表示装置50が判断する構成とすればよい。
【0038】
このように右側差込口群Rと左側差込口群Lに流れる電流を交互に表示することで、現状の電流がどのように分流しているのか容易に判別することができる。したがって、新たに電気使用機械器具の電源プラグを差し込む場合は、電流量の少ない側の差込口群の差込口12に差し込むことで、電流をバランスよく配分することができる。また電流表示装置50の電流値の表示方法は、上記以外にも、いずれか一方の差込口群の電流値を表示したり、二つ電流値を加えて合計の電流値を表示したりすることもできる。
【0039】
図7は、コンセント本体から電流計測装置を取り外した状態を示す側面断面図である。
本実施形態の電流計測装置40は、コンセント本体10へ組み込む際に、計測用回路基盤基板42のスルーホールに装着された挿入接続端子43に、電流トランス44のリード端子44aを挿入する構成である。すなわち、計測用回路基板42に対して電流トランス44は着脱自在となっており、電流計測装置40のケース41や計測用回路基盤基板42等を、コンセント本体10から容易に取り外すことができる。このように、電流計測装置40の取り外しを容易にしたことで、例えば、計測回路基板42に搭載された電子部品などが長期の使用で故障した際に、コンセント本体10の電源供給を維持したまま、電流計測装置40のみを取り外すことができる。これは、コンセント本体10に接続されている電気使用機械器具が、大型サーバ等の恒常的に情報処理している装置である場合、サーバへの電源供給を継続したまま電流計測装置40を取り外して、新しい計測回路基板42に交換することが可能となる。よってコンセント装置は、故障時の対応性に優れた装置として使用できる。
【0040】
ここで、計測回路基板42の上方に設けた基板46に搭載されたネットワーク用出力端子47(データ出力手段)は、情報処理センターなどで使用される多数のコンピュータ用のラックに設置されたコンセント装置を、管理センターのコンピュータで集中管理するための出力端子である。
さらに、計測回路基板42の下方に設けた基板48に搭載されたスイッチ49は、ケース41を取り外した場合に計測回路基板42への電源を遮断する安全装置としてのマイクロスイッチである。
計測回路基板42と、その上下に配置される各基板46、48とは、コネクタ60a、60b、61a、61b、62a、62bを介して接続されており、相互間は分解可能となっている。
【0041】
なお、本発明のコンセント装置は、上述した構成に限定されるものではなく、必要に応じて種々の応用例または変形例が可能であることは勿論である。例えば、上述した構成のコンセント本体10では、過電流保護装置30と電流計測装置40を別々に設けているが、これらを一体に備えて、電流量の計測を実施するとともに過電流を設定値に従って遮断する装置を適用することもできる。また、電流計測装置40には電圧計測機能と温度計測機能を付加することができる。これにより、電源電圧の管理とラック内部の温度管理が可能となり、コンピュータサーバの温度上昇によるダウン等の障害を未然に防ぐことができる。
【0042】
〔変形例〕
第2実施形態のコンセント装置は、コンセント本体10に電流計測装置40を取り付け、この電流計測装置40に電流表示装置50を接続する構成としたが、これら電流計測装置40、電流表示装置50は電流計測表示装置として一体に形成することもできる。このように一体型の電流計測表示装置を適用することで、電流計測装置及び電流表示装置が別々の場合よりも、部品点数や製造コストを大幅に節約することができる。また電流計測表示装置は、電流計測装置40と同様に、コンセント本体10に着脱自在に取り付けられることも可能であり、故障時の対応性に優れた装置として使用できる。
【0043】
〔他の使用例〕
図8は、本発明のコンセント装置を適用した電流集中管理システムを示すブロック図であり、図9は、同じく電流集中管理システムに用いるコンセント装置の構成を示す平面図である。
図8に示すように、複数のコンセント本体10を用いて、各コンセント本体10の電流量を一括に管理する電流集中管理システムを構築している。この電流集中管理システムは、電気使用機械器具に使用される電流量を集中管理する管理センター200が設置されており、この管理センター200にある管理コンピュータ(集中管理装置)210が、ネットワーク201を通して、各コンセント本体10に接続されている。
【0044】
このような電流集中管理システムに本発明のコンセント装置を適用するために、電流計測装置30には、計測回路基板42からネットワーク201に接続するためのネットワーク用出力端子47(データ出力手段)が設けられている(図5、図7、図9参照)。このネットワーク用出力端子47には、通信用ケーブル202が接続され、さらに通信用ケーブル202はネットワーク201を経由して管理コンピュータ210に接続される。電流計測装置40は、電流トランス44によって検出した電流値を、ネットワーク出力端子47から管理コンピュータ210に自動的に送信する機能を有している。
【0045】
電流集中管理システムの管理コンピュータ210は、データ通信可能な汎用コンピュータを適用している。この管理コンピュータ210は、CPU(中央演算装置)211、メモリ212、入力インタフェース213、モニタ214等が備えられている。また管理コンピュータ210には、電流値を自動的に受信して適宜処理するための管理プログラム215がメモリ212に予め記憶してある。
【0046】
管理コンピュータ210は、各コンセント本体10から送信されてくる電流値のデータを入力インタフェース213が受信すると、CPU211により起動している管理プログラム215が送信されてきたコンセント本体10を識別して分類する。さらに管理プログラム215は、各コンセント本体10毎の電流値として一覧表を形成し、モニタ214に表示する。これにより、管理者はコンセント本体10に流れる電流量、すなわち電気使用機械器具に供給されている電流量を一括して確認することができ、システム全体の電源供給の状態を把握することができる。また管理プログラム215は、過電流が生じたコンセント本体10を判別すると、そのコンセント本体10を特定表示して管理者に異常を知らせることができる。
【0047】
このように、コンセント本体10に流れる電流量を、管理センター200において一括に処理することで、電気使用機械器具に流れる電流量を確実に管理することができる。したがって、大型サーバを多数保持して稼働させているサーバ室にこの電流集中管理システムを構築することで、例えば、コンセント本体10が過電流により破損して一つのサーバの稼働が停止したとしても、管理コンピュータ210がすぐに特定することができるため、サーバ室のメンテナンスの効率化を図ることができる。
【0048】
〔他の付加構成例〕
図10は、本実施形態に係るコンセント装置の付加構成部分拡大して示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。
同図に示す付加構成例では、接地側導線22bRに対して、それぞれ第1の電流トランスと第2の電流トランスを並べて設け、これら各電流トランスの中空部に接地側導線22bRを挿通してある。同様に、接地側導線22bLに対しても、それぞれ第1の電流トランスと第2の電流トランスを並べて設け、これら各電流トランスの中空部に接地側導線22bLを挿通してある。
【0049】
第1の電流トランスは、検出した電流値を信号処理して既述した電流表示装置50(図6参照)へ出力するためのものである。すなわち、第1の電流トランスで検出した電流値が、計測用回路基板42においてデータ信号に変換され、電流表示装置50へ出力される。
【0050】
一方、第2の電流トランスは、検出した電流値をネットワーク用出力端子47(データ出力手段)を介してそのまま外部へ送出するためのものである。コンピュータラックに搭載されたサーバ機器類の電源環境の集中管理システムは、各メーカーそれぞれ独自の信号処理方式を採用しているので、それら全てに対応するのは不経済である。このため、第2の電流トランスで検出した電流値をデータ信号に変換することなく、ネットワーク用出力端子47を介してそのまま集中管理システムへ送り、集中管理システム側で独自のデータ処理をする方式としてある。これにより、コンセント装置の汎用性が高まるとともに、製品コストの低価格化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係るコンセント装置の基本構造を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るコンセント装置の内部基本構造を示す図であり、(a)は平面図、(b)はA−A線断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るコンセント装置の使用例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るコンセント装置の付加構成含む全体構造を示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るコンセント装置の付加構成部分を拡大して示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。
【図6】コンセント本体とは別体の電流表示装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。
【図7】コンセント本体から電流計測装置を取り外した状態を示す側面断面図である。
【図8】本発明のコンセント装置を適用した電流集中管理システムを示すブロック図ある。
【図9】同じく電流集中管理システムに用いるコンセント装置の構成を示す平面図である。
【図10】本実施形態に係るコンセント装置の付加構成部分拡大して示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10:コンセント本体、11a、11b、11c:刃受端子、12:差込口、13:上ケース体、14:下ケース体、15:開口部、16:ボス部挿通口、17:カバー部材、18:長孔、19:ガイド筒、
20:接続コード、21:支持台、22a、22b(22bR、22bL)、22c:接続導線、23:連結板、24:接続部、
30:過電流保護装置、31:入力部、32:出力部、
40:電流計測装置、41:ケース、42:計測用回路基板、43:差込刃、44:電流トランス、45:出力端子、46:基板、47:ネットワーク用出力端子、48:基板、49:マイクロスイッチ、
50:電流表示装置、51:画面、52:入力端子、53:操作部、55:アラーム部、56:送信用ケーブル
60a、60b、61a、61b、62a、62b:コネクタ
100:ラック、
200:管理センター、201:ネットワーク、202:通信用ケーブル、210:管理コンピュータ、211:CPU、212:メモリ、213:入力インタフェース、214:モニタ、215:管理プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺形状のコンセント本体と、少なくとも電圧側接続線と接地側接続線を含み外部の供給電源に接続される接続コードとを含むコンセント装置において、
前記コンセント本体の上面に複数系統の差込口群を設定し、
各差込口群には、それぞれ複数の差込口が形成してあり、
それら各差込口は、電圧側極孔と接地側極孔を有しており、
前記コンセント本体内には、前記各差込口に対してそれぞれ、前記電圧側極孔に対応して電圧側刃受端子が配設されるとともに、前記接地側極孔に対向して接地側刃受端子が配設されており、
これら各電圧側刃受端子又は各接地側刃受端子のいずれか一方は、導電性を有する単一の帯板状の第1連結板に形成されており、他方は前記コンセント本体に複数設置された前記差込口群ごとに分割して、別個に形成した複数の導電性を有する帯板状の第2連結板にそれぞれ形成されており、
前記第1連結板は、一本の接続導線を介して、前記電圧側接続線又は接地側接続線のうち同じ局のものと電気的に接続され、
前記第2連結板は、前記差込口群と同じ数の複数系統に分岐した接続導線を介して、前記電圧側接続線又は接地側接続線のうち同じ局のものとそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とするコンセント装置。
【請求項2】
一本の導線が中間で前記差込口群と同じ数の導線に分岐した分岐導線を使用して、
前記分岐した側の導線に、前記差込口群ごとに分かれた前記第2の連結板がそれぞれ電気的に接続されるとともに、当該分岐導線における分岐していない側の導線が、前記電圧側接続線又は接地側接続線のうち同じ局のものと電気的に接続されていることを特徴とする請求項1のコンセント装置。
【請求項3】
前記コンセント本体内において、前記複数の第2連結板を、直線上に配置するとともに、これら第2連結板と前記第1連結板とを平行に並べて配置したことを特徴とする請求項1又は2のコンセント装置。
【請求項4】
前記複数系統に分岐したそれぞれの接続導体に、あらかじめ設定した値以上の電流を流さないようにする過電流保護装置を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンセント装置。
【請求項5】
前記接続コードは、さらにアース用接続線を含み、
前記各差込口は、さらにアース用極孔を有しており、
前記コンセント本体内には、前記各差込口に対してそれぞれ、前記アース用極孔に対応してアース用刃受端子が配設されており、
これら各アース用刃受端子は、導電性を有する単一の帯板状の第3連結板に形成され、
前記第3連結板は、一本の接続導線を介して前記アース用接続線と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンセント装置。
【請求項6】
前記コンセント本体内において、前記第3連結板を、前記第1連結板及び前記第2連結板と平行に並べて配置したことを特徴とする請求項5のコンセント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−58489(P2013−58489A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−241620(P2012−241620)
【出願日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【分割の表示】特願2007−332418(P2007−332418)の分割
【原出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(390005038)神保電器株式会社 (50)
【出願人】(502129977)インターフェイス工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】