説明

コンタクトおよびコネクタ

【課題】部品点数が少なく、組み付けに係る作業負担を低減し、コンタクトの小型化を実現するコンタクトおよびコネクタを提供すること。
【解決手段】一対の導電部材50と、一対の導電部材50間に取り付けられ一対の導電部材50を相互に接近させる方向に付勢する付勢部材60とを備え、一対の導電部材50は、ベース部51と取付部52とをそれぞれ有し、一方の導電部材50のベース部51と、他方の導電部材50のベース部51とは、相互に離間して配置され、一対の導電部材50のうち少なくとも一方は、ベース部51から他方の導電部材50に向けて延び他方の導電部材50に当接して他方の導電部材50を支持する支持部56、57を有しているコンタクト40。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトおよびコネクタに関し、特に、電源供給用として用いられるコンタクトおよびコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図17および図18に示すように、相互に上下方向に離間配置された一対の細長導電セグメント310と、細長導電セグメント310間に取り付けられ細長導電セグメント310同士を相互に接近させる方向に付勢するバネ手段320とを備え、挿入された接続対象物330を細長導電セグメント310間で挟持するコンタクト300が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来のコンタクト300では、細長導電セグメント310に形成された孔311に対して上下変位制限軸340を遊嵌状に貫挿することで、細長導電セグメント310の上下方向の変位量を規制するとともに、細長導電セグメント310を支持している。上下変位制限軸340の両端は、図18に示すように、細長導電セグメント310に並列配置されたフレーム350に連結され支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−218063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のコンタクト300では、対向して離間配置された細長導電セグメント310を支持するために、支持手段としての上下変位制限軸340およびフレーム350を必要とし、部品点数が多く、組み付けに係る作業負担が大きいという問題がある。
【0006】
また、従来のコンタクト300では、上下変位制限軸340により細長導電セグメント310を支持するために、細長導電セグメント310に孔311を形成する必要があり、この孔311の形成のために細長導電セグメント310の上下方向の寸法を小さくすることが困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、部品点数が少なく、組み付けに係る作業負担を低減し、コンタクトの小型化を実現するコンタクトおよびコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンタクトは、一対の導電部材と、前記一対の導電部材間に取り付けられ前記一対の導電部材を相互に接近させる方向に付勢する付勢部材とを備え、前記一対の導電部材間に挿入された接続対象物を挟持して前記接続対象物に接続されるコンタクトであって、前記一対の導電部材は、ベース部と、前記ベース部に形成され前記付勢部材が取り付けられる取付部とをそれぞれ有し、一方の前記導電部材の前記ベース部と、他方の前記導電部材の前記ベース部とは、相互に離間して配置され、前記一対の導電部材のうち少なくとも一方は、前記ベース部から他方の前記導電部材に向けて延び他方の前記導電部材に当接して他方の前記導電部材を支持する支持部を有していることにより、前述した課題を解決したものである。
【0009】
前記一対の導電部材は、前記接続対象物に接触する第1接触部と、前記取付部を挟んで前記第1接触部の反対側に形成され他の接続対象物に接触する第2接触部とをそれぞれ有し、一方の前記導電部材の前記第1接触部と、他方の前記導電部材の前記第1接触部とは、前記付勢部材の付勢方向に相互に対向し、一方の前記導電部材の前記第2接触部と、他方の前記導電部材の前記第2接触部とは、前記付勢方向に相互に対向していてもよい。
【0010】
前記一対の導電部材は、他方の前記導電部材の一部分に対して前記付勢方向とは異なる方向に当接し前記付勢方向とは異なる方向における前記一対の導電部材間の相対的な移動を規制する移動規制部をそれぞれ有していてもよい。
【0011】
前記一対の導電部材のうち少なくとも一方は、前記付勢方向に貫通形成された孔部を有し、他方の前記導電部材は、前記孔部内に前記付勢方向から挿入される突部を有し、前記孔部の内面と、前記突部の外面とは、前記移動規制部として機能していてもよい。
【0012】
前記一対の導電部材は、同一形状を有していてもよい。
【0013】
前記一対の導電部材は、純銅の導電率を100%とすると導電率が50%以上の金属または合金からそれぞれ成形されていてもよい。
【0014】
前記導電部材は、平面上に展開した場合に重複する部分の無い形状を有していてもよい。
【0015】
本発明のコネクタは、前記コンタクトを備えていることにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、付勢部材の付勢力に抗して他方の導電部材を支持する支持部を導電部材に形成することにより、追加部材を必要とすることなく組み付け後のコンタクトの立体形状を維持することが可能であるため、部品点数を低減できる。
【0017】
また、一対の導電部材に付勢部材を取り付けた後、一方の導電部材に形成された支持部が他方の導電部材の所定箇所に当接するように、一対の導電部材の相対的な姿勢を調整する作業のみで、コンタクトの組み付けを達成するため、コンタクト組み付けに係る作業負担を低減できる。
【0018】
また、従来技術のように、支持軸を導電部材に形成された孔に貫通させる支持構造を必要としないため、付勢方向における導電部材の寸法を低減でき、コンタクトの小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施例のコンタクトを第1ハウジングおよび第2ハウジングと共に示す斜視図である。
【図2】コネクタの使用態様図である。
【図3】コネクタを接続対象物と共に示す斜視図である。
【図4】第1ハウジングに対して第2ハウジングをスライドさせた際のコンタクトの状態を説明する説明図である。
【図5】コンタクトの組み付け前の状態を示す斜視図である。
【図6】コンタクトの組み付け途中の状態を示す斜視図、および、コンタクトを切断して示す説明図である。
【図7】コンタクトの組み付け後の状態を示す斜視図、および、コンタクトを切断して示す説明図である。
【図8】付勢方向に見た場合の、当接部、接触部、取付部の位置関係を模式的に示す説明図である。
【図9】第2実施例のコンタクトの組み付け前の状態を示す斜視図である。
【図10】第2実施例のコンタクトの組み付け途中の状態を示す斜視図、および、コンタクトを切断して示す説明図である。
【図11】第2実施例のコンタクトの組み付け後の状態を示す斜視図、および、コンタクトを切断して示す説明図である。
【図12】付勢方向に見た場合の、当接部、接触部、取付部の位置関係を模式的に示す説明図である。
【図13】第3実施例のコンタクトの組み付け前の状態を示す斜視図である。
【図14】第3実施例のコンタクトの組み付け後の状態を示す斜視図である。
【図15】第3実施例のコンタクトを構成する導電部材を示す斜視図である。
【図16】付勢方向に見た場合の、当接部、接触部、取付部の位置関係を模式的に示す説明図である。
【図17】従来のコンタクトを示す説明図である。
【図18】従来のコンタクトを図17とは異なる位置でみて示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の複数の実施例を図面に基づいて説明する。
【0021】
なお、以下の説明では、導電部材の長手方向を第1方向X、付勢部材の付勢方向を第2方向Y、第1方向Xおよび第2方向Yに直交する方向を第3方向Zとして規定する。なお、以下に示す実施例では、第1方向Xに対して第2方向Yが直交するものとして説明するが、第2方向Yが第1方向Xに直交しないものとして構成してもよい。
【実施例1】
【0022】
コネクタ10は、2次電池用コネクタであり、図1乃至図3に示すように、バッテリ(2次電池)82を内蔵した電池ユニット80のケーシング81に取り付けられ、電池ユニット80を収容ラック(図示しない)に挿入した際に、収容ラック(図示しない)に取り付けられたラック側コネクタ90に嵌合し、電池ユニット80に内蔵されバッテリ82に接続されたブスバー83と、ラック側コネクタ90に設けられたラック側コンタクト91との間を電気的に接続するものである。
【0023】
コネクタ10は、図1乃至図4に示すように、第1ハウジング20と、第1ハウジング20に対して相対的に第2方向Yにスライド可能に取り付けられる第2ハウジング30と、第1ハウジング20および第2ハウジング30により構成されたコンタクト収容部70に収容される電源供給用のコンタクト40と、第1ハウジング20に取り付けられ信号用コンタクト(図示しない)を保持する信号用ハウジング71とを備えている。
【0024】
第1ハウジング20は、絶縁性樹脂から形成され、電池ユニット80のケーシング81に形成された取り付け開口部81aに対して第2方向Yおよび第3方向Zに遊び(隙間)を有し、ケーシング81に対して第2方向Yおよび第3方向Zに移動可能な状態で、スペーサ84およびボルト85を用いて、ケーシング81に取り付けられている。
【0025】
第1ハウジング20は、図1乃至図4に示すように、コンタクト40の一部を収容する第1収容部21と、第1収容部21内へラック側コンタクト91を挿入させる第1開口部22と、後述する第2ハウジング30の取付バネ部33を第2方向Yにスライド可能な状態で支持するスライドガイド部23と、コンタクト収容部70内におけるコンタクト40の位置および姿勢を制御する第1制御部24と、第3方向Zにおけるコンタクト40の位置を規制する第1位置規制部(図示しない)と、信号用ハウジング71を保持する信号用ハウジング保持部26とを一体に有している。
【0026】
第1収容部21は、図1や図4に示すように、第2ハウジング30側において開口し、第2ハウジング30に形成された第2収容部31と共にコンタクト収容部70を構成している。
第1制御部24は、図1乃至図4に示すように、第1収容部21を規定する第1ハウジング20の内壁から第1収容部21内に向けて第3方向Zに沿って延出され、第1方向Xにおけるコンタクト40の支持部56、57と第1接触部53との間の領域で、一対の導電部材50間に介在している。第1制御部24は、第2ハウジング30に形成された第2制御部34と協働して、コンタクト収容部70内におけるコンタクト40の姿勢(具体的には、第1方向Xおよび第2方向Yにより規定される平面内における姿勢)を制御している。更に詳しくは、第1制御部24は、第1ハウジング20と第2ハウジング30との間の相対的な位置関係に関わらず、第1開口部22から挿入されるラック側コンタクト91が第1接触部53間に入り込むことが可能である程度に、第1ハウジング20に形成された第1開口部22と第1接触部53との位置関係を制御する。また、第1制御部24は、第1接触部53間に対するラック側コンタクト91の挿入時に、第1方向Xにおけるラック側コンタクト91の挿入位置(挿入の深さ)を規制する部位として機能する。
【0027】
第2ハウジング30は、絶縁性樹脂から形成され、第1ハウジング20に対して第2方向Yにスライド可能な状態で取り付けられている。
【0028】
第2ハウジング30は、図1や図4に示すように、コンタクト40の一部を収容する第2収容部31と、第2収容部31内へブスバー83を挿入させる第2開口部32と、第1ハウジング20のスライドガイド部23に取り付けられる取付バネ部33と、コンタクト収容部70内におけるコンタクト40の位置および姿勢を制御する第2制御部34と、第3方向Zにおけるコンタクト40の位置を規制する第2位置規制部(図示しない)と、ブスバー83を第2開口部32に向けて誘導するガイド部36とを一体に有している。
【0029】
第2収容部31は、図4に示すように、第1ハウジング20側において開口し、第1ハウジング20に形成された第1収容部21と共にコンタクト収容部70を構成している。
第2制御部34は、図4に示すように、第2収容部31を規定する第2ハウジング30の内壁から第2収容部31内に向けて第3方向Zに沿って延出され、第1方向Xにおけるコンタクト40の支持部56、57と第2接触部54との間の領域で、一対の導電部材50間に介在している。第2制御部34は、第1ハウジング20に形成された第1制御部24と協働して、コンタクト収容部70内におけるコンタクト40の姿勢(具体的には、第1方向Xおよび第2方向Yにより規定される平面内における姿勢)を制御している。更に詳しくは、第2制御部34は、第1ハウジング20と第2ハウジング30との間の相対的な位置関係に関わらず、第2開口部32から挿入されたブスバー83が第2接触部54間に入り込むことが可能である程度に、第2ハウジング30に形成された第2開口部32と第2接触部54との位置関係を制御する。また、第2制御部34は、第2接触部54間に対するブスバー83の挿入時に、第1方向Xにおけるブスバー83の挿入位置(挿入の深さ)を規制する部位として機能する。
【0030】
コンタクト40は、電源供給用のソケットコンタクトであり、図1に示すように、コネクタ10に形成された各コンタクト収容部70内に、第3方向Zに並列した状態で、2つ1組で配置されている。各コンタクト40は、第1ハウジング20および第2ハウジング30を含むいずれの部材との間においても遊び(隙間)をもった状態で収容され、換言すると、各コンタクト40は、第1ハウジング20および第2ハウジング30を含むいずれの部材に対しても固定されていない。
【0031】
各コンタクト40は、図5に示すように、一対の導電部材50と、一対の導電部材50間に取り付けられ一対の導電部材50を相互に接近させる方向に付勢する付勢部材60とから構成されている。なお、本実施例では、付勢部材60は、図6に示すように、コイルバネから構成されているが、具体的な態様はこれに限定されず、例えば、ゴム等の弾性部材から構成されてもよい。
【0032】
一対の導電部材50は、非弾性の導電性金属(タフピッチ銅、純度99%程度の銅)から形成され、それぞれ同一形状を有している。本実施例では、導電部材50は、純銅の導電率を100%とすると50%以上の導電率を有する。導電部材50は、金属板を所定形状に打抜き加工した後に所定箇所に曲げ加工を施すことにより形成され、平面上に展開した場合に重複する部分の無い形状を有している。
【0033】
各導電部材50は、図5に示すように、一対の導電部材50間で対向して離間配置されるベース部51と、各ベース部51に形成され付勢部材60が取り付けられる取付部52と、第1方向Xにおける取付部52の両側にそれぞれ形成される第1接触部53および第2接触部54と、ベース部51および第1支持部56および第2支持部57に跨って形成される取付用孔部55と、第3方向Zにおけるベース部51の両端から他方の導電部材50に向けてそれぞれ延び付勢部材60による付勢力に抗して他方の導電部材50を支持する第1支持部56および第2支持部57とをそれぞれ有している。
【0034】
ベース部51は、第1方向Xにおける寸法が、第3方向Zにおける寸法より長く形成されている。
取付部52は、ベース部51から取付用孔部55側へ延出し、フック状に形成されている。一方の導電部材50の取付部52と、他方の導電部材50の取付部52とは、第2方向Yにおいて対向している。
第1接触部53は、第1方向Xにおけるベース部51の一端から第2方向Yに沿って突出形成され、コンタクト40の組み付け後の状態で、第2方向Yにおいて他方の導電部材50の第1接触部53に対向する。第1接触部53は、第1収容部21内に配置され、他方の導電部材50の第1接触部53と協働してラック側コンタクト91を挟持しラック側コンタクト91に接続される。
第2接触部54は、第1方向Xにおけるベース部51の他端から第2方向Yに沿って突出形成され、コンタクト40の組み付け後の状態で、第2方向Yにおいて他方の導電部材50の第2接触部54に対向する。第2接触部54は、第2収容部31内に配置され、他方の導電部材50の第2接触部54と協働してブスバー83を挟持しブスバー83に接続される。
取付用孔部55は、付勢部材60を取付部52に取り付ける際の取付スペースとして機能する。
第1支持部56は、ベース部51の第3方向Zにおける一端から第2方向Yに沿って立設されている。第1支持部56は、他方の導電部材50に対向する側面から第2方向Yに沿って突出形成された第1突部56aを、第1方向Xにおける両端にそれぞれ有している。
第2支持部57は、ベース部51の第3方向Zにおける他端から第2方向Yに沿って立設されている。第2支持部57は、他方の導電部材50に対向する側面から第2方向Yに沿って突出形成された第2突部57aを有している。この第2突部57aは、コンタクト40の組み付け後の状態で、他方の導電部材50の一対の第1突部56aの間に、第1方向Xに遊びを持った状態で配置される。
【0035】
第1接触部53と、取付部52と、第2接触部54とは、第1方向Xに、ほぼ一直線上に配置されている方が、コンタクト40の動きがスムーズであり、良好な接触となる。
【0036】
各コンタクト40は、図7に示すように、一対の導電部材50に付勢部材60を取り付け、一対の導電部材50間で第1支持部56と第2支持部57とを相互に係合させた状態で、組み付け後の立体構造が自律的に維持されるように構成されている。
【0037】
具体的には、本実施例では、コンタクト40の組み付け状態で、他方の導電部材50に対向する第2突部57aの側面と、他方の導電部材50に対向する第1支持部56の側面とが、第2方向Yに相互に当接する当接部58としてそれぞれ機能する。
【0038】
ここで、上記のコンタクト40の組み付け後の状態を、コンタクト40に対して接続対象物が挿入されていない場合、第2接触部54間にのみ接続対象物が挿入された場合、第1接触部53間にのみ接続対象物が挿入された場合の3つの場合に分けて、図8に基づいて詳細に説明する。なお、上記の第1接触部53間にのみ接続対象物が挿入された場合については、本実施例では実現しないが、仮想的に説明する。また、図8(a)乃至図8(c)は、付勢部材60の付勢方向(第2方向Y)に見た場合の、当接部58、第1接触部53および第2接触部54、取付部52の位置関係を模式的に示している。
【0039】
まず、コンタクト40の組み付け後であって、コンタクト40に対して接続対象物(ブスバー83、ラック側コンタクト91)が挿入されていない状態では、他方の導電部材50に対向する第2突部57aの側面全体が、第1支持部56に当接し、当接部58として機能する。そして、この状態では、図8(a)に示すように、取付部52を基準とした当接部58の最外点を結んで規定される領域の内側に、取付部52が位置するため、付勢部材60の付勢力に抗して、一対の導電部材50間の相対的な姿勢を維持できる。
【0040】
また、コンタクト40の組み付け後であって、第2接触部54間にのみ接続対象物(ブスバー83)が挿入された状態では、接続対象物の挿入により第2接触部54間が広がり、第1接触部53側の第2突部57aの端部が、第1支持部56に当接し、当接部58として機能する。そして、この状態においても、図8(b)に示すように、取付部52を基準とした当接部58および第2接触部54の最外点を結んで規定される領域の内側に、取付部52が位置するため、付勢部材60の付勢力に抗して、一対の導電部材50間の相対的な姿勢を維持できる。
【0041】
また、コンタクト40の組み付け後であって、第1接触部53間にのみ接続対象物(ラック側コンタクト91)が挿入された状態では、接続対象物の挿入により第1接触部53間が広がり、第2接触部54側の第2突部57aの端部が、第1支持部56に当接し、当接部58として機能する。そして、この状態においても、図8(c)に示すように、取付部52を基準とした当接部58および第1接触部53の最外点を結んで規定される領域の内側に、取付部52が位置するため、付勢部材60の付勢力に抗して、一対の導電部材50間の相対的な姿勢を維持できる。
【0042】
このように、本実施例のコンタクト40は、コンタクト40に対して接続対象物が挿入されていない場合、第2接触部54間にのみ接続対象物が挿入された場合、第1接触部53間にのみ接続対象物が挿入された場合、のいずれの場合であっても、後述する移動規制部59を構成する部分等に過度な負荷がかかることやコンタクト40の円滑な動作性が損なわれることを回避しつつ、付勢部材60の付勢力に抗して、一対の導電部材50間の相対的な姿勢を維持できるように構成されている。
【0043】
また、第1方向Xにおける第1突部56aの内側面と、第1方向Xにおける第2突部57aの外側面とが、第1方向Xに相互に当接(対向)し、第1方向Xにおける一対の導電部材50間の相対的な移動を規制する移動規制部59としてそれぞれ機能する。
ここで、第2方向Yにおける第1突部56aの寸法は、コンタクト40に対して接続対象物が挿入されていない場合、第2接触部54間にのみ接続対象物が挿入された場合、第1接触部53間にのみ接続対象物が挿入された場合、第2接触部54間および第1接触部53に接続対象物が挿入された場合、のいずれの場合であっても、第2突部57aの外側面に対して第1方向Xに当接(対向)するように設定されている。
【0044】
各コンタクト40は、前述したように、第1ハウジング20に形成された第1制御部24と、第2ハウジング30に形成された第2制御部34とにより、コンタクト収容部70内における姿勢および位置(具体的には、第1方向Xおよび第2方向Yにより規定される平面内における位置および姿勢)を制御され、また、第1ハウジング20に形成された第1位置規制部(図示しない)と、第2ハウジング30に形成された第2位置規制部(図示しない)とにより、コンタクト収容部70内における第3方向Zにおける位置を規制されている。
【0045】
付勢部材60は、図6や図7に示すように、一対の導電部材50にそれぞれ形成された取付部52間に取り付けられ、コンタクト40を構成する一対の導電部材50にそれぞれ形成されたベース部51および第1支持部56および第2支持部57により規定された空間内に配置されている。
【0046】
つぎに、コンタクト40の組み付け方法について、図6および図7に基づいて以下に説明する。
【0047】
まず、図6に示すように、各導電部材50を第3方向Zに相互にずらして配置し、各導電部材50に形成された取付部52に付勢部材60の両端を係合させることが可能な位置まで、取付部52同士を接近させる。
【0048】
次に、図6に示すように、各導電部材50に形成された取付部52に付勢部材60の両端を係合させる。
【0049】
次に、図7に示すように、一対の導電部材50間の相対的な姿勢を調整し、付勢部材60を伸ばして、一方の導電部材50の第1支持部56と他方の導電部材50の第2支持部57とを係合させることにより、コンタクト40の組み付けが完了する。
【0050】
つぎに、コネクタ10の組み付け方法について、主に図1に基づいて説明する。
【0051】
まず、第1ハウジング20の第1収容部21に対して、コンタクト40を挿入する。
ここで、第2方向Yに対向する第1接触部53間の間隔は、第1ハウジング20に形成された第1制御部24の幅寸法(第2方向Yにおける幅寸法)より狭く設定されている。そのため、第1ハウジング20に対するコンタクト40の挿入時には、第1制御部24により第1接触部53間の間隔が一旦は広げられ、更にコンタクト40の挿入を押し進めると、第1接触部53が第1制御部24を乗り越えて第1接触部53間の間隔が元の間隔に復帰し、コンタクト40が第1制御部24により第1方向Xに抜け止めされる。
このように、第1ハウジング20に対するコンタクト40の取り付けは、第1収容部21に対するコンタクト40の挿入の一動作により達成される。
【0052】
次に、取付バネ部33側を先頭にして第2ハウジング30を第1ハウジング20に対して挿入する。
この際、第1ハウジング20に接触して取付バネ部33が一旦は弾性変形し、更に第1ハウジング20への挿入を押し進めると、取付バネ部33が弾性復帰し、第1ハウジング20のスライドガイド部23に係合して、第2ハウジング30が第1ハウジング20に対して抜け止めされる。
ここで、第2方向Yに対向する第2接触部54間の間隔は、第2制御部34の幅寸法(第2方向Yにおける幅寸法)以上に設定されている。そのため、第1ハウジング20に対する第2ハウジング30の挿入時には、第2接触部54と第2制御部34とが相互に引っ掛かることなく、第1ハウジング20に対する第2ハウジング30の挿入を円滑に行うことができる。
このように、第1ハウジング20に対する第2ハウジング30の取り付けは、第1ハウジング20に対する第2ハウジング30の挿入の一動作により達成される。
なお、第1制御部24と同様に、第2制御部34の幅寸法を、第2接触部54間の間隔より大きく設定してもよい。
【0053】
このようにして得られた本実施例では、付勢部材60の付勢力に抗して他方の導電部材50を支持する支持部56、57を導電部材50に一体に形成することにより、追加部材を必要とすることなく組み付け後のコンタクト40の立体形状を維持することが可能であるため、部品点数を低減できる。
【0054】
また、一対の導電部材50に形成された取付部52に付勢部材60を取り付けた後、一方の導電部材50に形成された支持部56、57が他方の導電部材50の所定箇所に当接するように、一対の導電部材50の相対的な姿勢を調整する作業のみで、コンタクト40の組み付けを達成するため、コンタクト組み付けに係る作業負担を低減できる。
【0055】
また、従来技術のように、支持軸を導電部材50に形成された孔に貫通させる支持構造を必要としないため、第2方向Yにおける導電部材50の寸法を低減でき、コンタクト40の小型化を実現できる。
【0056】
また、第1方向Xにおいて相互に当接する移動規制部59を各導電部材50が有していることにより、第1方向Xにおける一対の導電部材50間の相対的な移動を規制できる。
【実施例2】
【0057】
つぎに、本発明の第2実施例について、図9乃至図12に基づいて説明する。なお、第1実施例と第2実施例とは、コンタクト以外の構成については全く同じであるため、相違点であるコンタクトに関してのみ説明する。
【0058】
まず、第2実施例におけるコンタクト140は、電源供給用のソケットコンタクトであり、コネクタ10に形成された各コンタクト収容部70内に、第3方向Zに並列した状態で、2つ1組で配置されている。各コンタクト140は、第1ハウジング20および第2ハウジング30を含むいずれの部材との間においても遊び(隙間)をもった状態で収容され、換言すると、各コンタクト140は、第1ハウジング20および第2ハウジング30を含むいずれの部材に対しても固定されていない。
【0059】
各コンタクト140は、図9に示すように、一対の導電部材150と、一対の導電部材150間に取り付けられ一対の導電部材150を相互に接近させる方向に付勢する付勢部材160とから構成されている。なお、本実施例では、付勢部材160は、図10や図11に示すように、コイルバネから構成されているが、具体的な態様はこれに限定されず、例えば、ゴム等の弾性部材から構成されてもよい。
【0060】
一対の導電部材150は、非弾性の導電性金属(タフピッチ銅、純度99%程度の銅)から形成され、それぞれ同一形状を有している。本実施例では、導電部材150は、純銅の導電率を100%とすると50%以上の導電率を有する。導電部材150は、金属板を所定形状に打抜き加工した後に所定箇所に曲げ加工を施すことにより形成され、平面上に展開した場合に重複する部分の無い形状を有している。
【0061】
各導電部材150は、図9に示すように、一対の導電部材150間で対向して離間配置されるベース部151と、各ベース部151に形成され付勢部材160が取り付けられる取付部152と、第1方向Xにおける取付部152の両側にそれぞれ形成される第1接触部153および第2接触部154と、ベース部151および支持部156に跨って形成される取付用孔部155と、第3方向Zにおけるベース部151の一端から他方の導電部材150に向けて延び付勢部材160による付勢力に抗して他方の導電部材150を支持する支持部156とをそれぞれ有している。
【0062】
ベース部151は、第1方向Xにおける寸法が、第3方向Zにおける寸法より長く形成されている。ベース部151は、第2方向Yに沿って貫通形成された孔部151aを2つ有している。この孔部151aには、コンタクト140の組み付け後の状態で、他方の導電部材150に形成された突部156aが挿入される。
取付部152は、ベース部151から取付用孔部155側へ延出し、フック状に形成されている。一方の導電部材150の取付部152と、他方の導電部材150の取付部152とは、第2方向Yにおいて対向している。
第1接触部153は、第1方向Xにおけるベース部151の一端から第2方向Yに沿って突出形成され、コンタクト140の組み付け後の状態で、第2方向Yにおいて他方の導電部材150の第1接触部153に対向する。第1接触部153は、第1収容部21内に配置され、他方の導電部材150の第1接触部153と協働してラック側コンタクト91を挟持しラック側コンタクト91に接続される。
第2接触部154は、第1方向Xにおけるベース部151の他端から第2方向Yに沿って突出形成され、コンタクト140の組み付け後の状態で、第2方向Yにおいて他方の導電部材150の第2接触部154に対向する。第2接触部154は、第2収容部31内に配置され、他方の導電部材150の第2接触部154と協働してブスバー83を挟持しブスバー83に接続される。
取付用孔部155は、付勢部材160を取付部152に取り付ける際の取付スペースとして機能する。
支持部156は、ベース部151の第3方向Zにおける一端から第2方向Yに沿って立設されている。支持部156は、他方の導電部材150に対向する側面から第2方向Yに沿って突出形成された突部156aを、第1方向Xにおける両端にそれぞれ有している。突部156aは、コンタクト140の組み付け後の状態で、他方の導電部材150のベース部151に形成された孔部151a内に、第1方向Xおよび第3方向Zに遊びを持った状態で、第2方向Yからそれぞれ挿入される。
【0063】
第1接触部153と、取付部152と、第2接触部154とは、第1方向Xに、ほぼ一直線上に配置されている方が、コンタクト140の動きがスムーズであり、良好な接触となる。
【0064】
各コンタクト140は、図11に示すように、一対の導電部材150に付勢部材160を取り付け、ベース部151に形成された孔部151a内に支持部156に形成された突部156aを係合させた状態で、組み付け後の立体構造が自律的に維持されるように構成されている。
【0065】
具体的に説明すると、本実施例では、コンタクト140の組み付け状態で、他方の導電部材150に対向する支持部156の側面(正確には一対の突部156aの内側の部分)と、他方の導電部材150に対向するベース部151の側面とが、第2方向Yに相互に当接する当接部158としてそれぞれ機能する。
【0066】
ここで、上記のコンタクト140の組み付け後の状態を、コンタクト140に対して接続対象物が挿入されていない場合、第2接触部154間にのみ接続対象物が挿入された場合、第1接触部153間にのみ接続対象物が挿入された場合の3つの場合に分けて、図12に基づいて詳細に説明する。
なお、上記の第1接触部153間にのみ接続対象物が挿入された場合については、本実施例では実現しないが、仮想的に説明する。
また、図12(a)乃至図12(c)は、付勢部材160の付勢方向(第2方向Y)に見た場合の、当接部158、第1接触部153および第2接触部154、取付部152の位置関係を模式的に示している。
【0067】
まず、コンタクト140の組み付け後であって、コンタクト140に対して接続対象物(ブスバー83、ラック側コンタクト91)が挿入されていない状態では、他方の導電部材150に対向する支持部156の側面が、ベース部151に当接し、当接部158として機能する。そして、この状態では、図12(a)に示すように、取付部152を基準とした当接部158の最外点を結んで規定される領域の内側に、取付部152が位置するため、付勢部材160の付勢力に抗して、一対の導電部材150間の相対的な姿勢を維持できる。
【0068】
また、コンタクト140の組み付け後であって、第2接触部154間にのみ接続対象物(ブスバー83)が挿入された状態では、接続対象物の挿入により第2接触部154間が広がり、第1接触部153側の支持部156の端部が、ベース部151に当接し、当接部158として機能する。そして、この状態においても、図12(b)に示すように、取付部152を基準とした当接部158および第2接触部154の最外点を結んで規定される領域の内側に、取付部152が位置するため、付勢部材160の付勢力に抗して、一対の導電部材150間の相対的な姿勢を維持できる。
【0069】
また、コンタクト140の組み付け後であって、第1接触部153間にのみ接続対象物(ラック側コンタクト91)が挿入された状態では、接続対象物の挿入により第1接触部153間が広がり、第2接触部154側の支持部156の端部が、ベース部151に当接し、当接部158として機能する。そして、この状態においても、図12(c)に示すように、取付部152を基準とした当接部158および第1接触部153の最外点を結んで規定される領域の内側に、取付部152が位置するため、付勢部材160の付勢力に抗して、一対の導電部材150間の相対的な姿勢を維持できる。
【0070】
このように、本実施例のコンタクト140は、コンタクト140に対して接続対象物が挿入されていない場合、第2接触部154間にのみ接続対象物が挿入された場合、第1接触部153間にのみ接続対象物が挿入された場合、のいずれの場合であっても、後述する移動規制部159を構成する部分等に過度な負荷がかかることやコンタクト140の円滑な動作性が損なわれることを回避しつつ、付勢部材160の付勢力に抗して、一対の導電部材150間の相対的な姿勢を維持できるように構成されている。
【0071】
また、ベース部151に形成された孔部151aの内側面と、支持部156に形成された突部156aの外側面とが、第1方向Xおよび第3方向Zに相互に当接(対向)し、第1方向Xおよび第3方向Zにおける一対の導電部材150間の相対的な移動を規制する移動規制部159としてそれぞれ機能する。
ここで、第2方向Yにおける突部156aの寸法は、コンタクト140に対して接続対象物が挿入されていない場合、第2接触部154間にのみ接続対象物が挿入された場合、第1接触部153間にのみ接続対象物が挿入された場合、第2接触部154間および第1接触部153に接続対象物が挿入された場合、のいずれの場合であっても、突部156aが孔部151a内に位置し、孔部151aの内側面に対して第1方向Xおよび第3方向Zに当接(対向)するように設定されている。
【0072】
各コンタクト140は、前述したように、第1ハウジング20に形成された第1制御部24と、第2ハウジング30に形成された第2制御部34とにより、コンタクト収容部70内における姿勢および位置(具体的には、第1方向Xおよび第2方向Yにより規定される平面内における位置および姿勢)を制御され、また、第1ハウジング20に形成された第1位置規制部(図示しない)と、第2ハウジング30に形成された第2位置規制部(図示しない)とにより、コンタクト収容部70内における第3方向Zにおける位置を規制されている。
【0073】
付勢部材160は、図11に示すように、一対の導電部材150にそれぞれ形成された取付部152間に取り付けられ、コンタクト140を構成する一対の導電部材150にそれぞれ形成されたベース部151および支持部156により規定された空間内に配置されている。
【0074】
つぎに、コンタクト140の組み付け方法について、図10および図11に基づいて以下に説明する。
【0075】
まず、図10に示すように、各導電部材150を第3方向Zに相互にずらして配置し、各導電部材150に形成された取付部152に付勢部材160の両端を係合させることが可能な位置まで、取付部152同士を接近させる。
【0076】
次に、図10に示すように、各導電部材150に形成された取付部152に付勢部材160の両端を係合させる。
【0077】
次に、図11に示すように、一対の導電部材150間の相対的な姿勢を調整し、付勢部材160を伸ばして、一方の導電部材150の孔部151aと他方の導電部材150の突部156aとを係合させることにより、コンタクト140の組み付けが完了する。
【0078】
このようにして得られた本実施例では、前述した第1実施例における効果に加えて、第1方向Xおよび第3方向Zにおいて相互に当接する移動規制部159を各導電部材150が有していることにより、第1方向Xに加えて、第3方向Zにおいても一対の導電部材50間の相対的な移動を規制できる。
【実施例3】
【0079】
つぎに、本発明の第3実施例について、図13乃至図16に基づいて説明する。なお、第1実施例と第3実施例とは、コンタクト以外の構成については全く同じであるため、相違点であるコンタクトに関してのみ説明する。
【0080】
まず、本実施例におけるコンタクト240は、電源供給用のソケットコンタクトであり、コネクタ10に形成された各コンタクト収容部70内に、第3方向Zに並列した状態で、2つ1組で配置されている。各コンタクト240は、第1ハウジング20および第2ハウジング30を含むいずれの部材との間においても遊び(隙間)をもった状態で収容され、換言すると、各コンタクト240は、第1ハウジング20および第2ハウジング30を含むいずれの部材に対しても固定されていない。
【0081】
各コンタクト240は、図13に示すように、一対の導電部材250と、一対の導電部材250間に取り付けられ一対の導電部材250を相互に接近させる方向に付勢する付勢部材260とから構成されている。なお、本実施例では、付勢部材260は、図13に示すように、コイルバネから構成されているが、具体的な態様はこれに限定されず、例えば、ゴム等の弾性部材から構成されてもよい。
【0082】
一対の導電部材250は、非弾性の導電性金属(タフピッチ銅、純度99%程度の銅)から形成され、それぞれ同一形状を有している。本実施例では、導電部材250は、純銅の導電率を100%とすると50%以上の導電率を有する。導電部材250は、金属板を所定形状に打抜き加工した後に所定箇所に曲げ加工を施すことにより形成され、平面上に展開した場合に重複する部分の無い形状を有している。
【0083】
各導電部材250は、図13に示すように、一対の導電部材250間で対向して離間配置されるベース部251と、各ベース部251に形成され付勢部材260が取り付けられる取付部252と、第1方向Xにおける取付部252の両側にそれぞれ形成される第1接触部253および第2接触部254と、ベース部251に形成される取付用孔部255と、第3方向Zにおけるベース部251の一端から他方の導電部材250に向けて延び付勢部材260による付勢力に抗して他方の導電部材250を支持する支持部256とをそれぞれ有している。
【0084】
ベース部251は、第1方向Xにおける寸法が、第3方向Zにおける寸法より長く形成されている。本実施例では、ベース部251に、圧印加工による強度補強部251bが形成されている。
取付部252は、ベース部251から取付用孔部255側へ延出し、フック状に形成されている。一方の導電部材250の取付部252と、他方の導電部材250の取付部252とは、第2方向Yにおいて対向している。
第1接触部253は、第1方向Xにおけるベース部251の一端から第2方向Yに沿って突出形成され、コンタクト240の組み付け後の状態で、第2方向Yにおいて他方の導電部材250の第1接触部253に対向する。第1接触部253は、第1収容部21内に配置され、他方の導電部材250の第1接触部253と協働してラック側コンタクト91を挟持しラック側コンタクト91に接続される。
第2接触部254は、第1方向Xにおけるベース部251の他端から第2方向Yに沿って突出形成され、コンタクト240の組み付け後の状態で、第2方向Yにおいて他方の導電部材250の第2接触部254に対向する。第2接触部254は、第2収容部31内に配置され、他方の導電部材250の第2接触部254と協働してブスバー83を挟持しブスバー83に接続される。
取付用孔部255は、第2方向Yに沿ってベース部251に貫通形成され、付勢部材260を取付部252に取り付ける際の取付スペースとして機能する孔部であり、本実施例では、第3方向Zの一方向に向けて開口しており、これにより、付勢部材260を取付部252に対して第3方向Zから取り付けることが可能であり、付勢部材260の取り付けが容易になる。取付用孔部255は、第1方向Xおよび第3方向Zにより規定される平面内で湾曲する内側面を有している。
支持部256は、ベース部251の第3方向Zにおける一端から第2方向Yに沿って立設されている。支持部256は、第1方向Xの外側に向けて突出形成された突部256aを、第1方向Xにおける両側面にそれぞれ有している。支持部256の先端は、コンタクト240の組み付け後の状態で、第1方向Xおよび第3方向Zに遊びを持った状態で、ベース部251に形成された取付用孔部255内に第2方向Yから挿入され係合する。
【0085】
第1接触部253と、取付部252と、第2接触部254とは、第1方向Xに、ほぼ一直線上に配置されている方が、コンタクト240の動きがスムーズであり、良好な接触となる。
【0086】
各コンタクト240は、図14に示すように、一対の導電部材250に付勢部材260を取り付け、ベース部251に形成された取付用孔部255内に支持部256の先端を挿入し係合させた状態で、組み付け後の立体構造が自律的に維持されるように構成されている。
【0087】
具体的に説明すると、本実施例では、コンタクト240の組み付け状態で、他方の導電部材250に対向する突部256aの側面と、他方の導電部材250に対向するベース部251の側面とが、第2方向Yに相互に当接する当接部258としてそれぞれ機能する。
【0088】
ここで、上記のコンタクト240の組み付け後の状態を、コンタクト240に対して接続対象物が挿入されていない場合、第2接触部254間にのみ接続対象物が挿入された場合、第1接触部253間にのみ接続対象物が挿入された場合の3つの場合に分けて、図16に基づいて詳細に説明する。
なお、上記の第1接触部253間にのみ接続対象物が挿入された場合については、本実施例では実現しないが、仮想的に説明する。
また、図16(a)乃至図16(c)は、付勢部材260の付勢方向(第2方向Y)に見た場合の、当接部258、第1接触部253および第2接触部254、取付部252の位置関係を模式的に示している。
【0089】
まず、コンタクト240の組み付け後であって、コンタクト240に対して接続対象物(ブスバー83、ラック側コンタクト91)が挿入されていない状態では、他方の導電部材250に対向する突部256aの側面が、ベース部251に当接し、当接部258として機能する。そして、この状態では、図16(a)に示すように、取付部252を基準とした当接部258の最外点を結んで規定される領域の内側に、取付部252が位置するため、付勢部材260の付勢力に抗して、一対の導電部材250間の相対的な姿勢を維持できる。
【0090】
また、コンタクト240の組み付け後であって、第2接触部254間にのみ接続対象物(ブスバー83)が挿入された状態では、接続対象物の挿入により第2接触部254間が広がり、第1接触部253側の突部256aが、ベース部251に当接し、当接部258として機能する。そして、この状態においても、図16(b)に示すように、取付部252を基準とした当接部258および第2接触部254の最外点を結んで規定される領域の内側に、取付部252が位置するため、付勢部材260の付勢力に抗して、一対の導電部材250間の相対的な姿勢を維持できる。
【0091】
また、コンタクト240の組み付け後であって、第1接触部253間にのみ接続対象物(ラック側コンタクト91)が挿入された状態では、接続対象物の挿入により第1接触部253間が広がり、第2接触部254側の突部256aが、ベース部151に当接し、当接部258として機能する。そして、この状態においても、図16(c)に示すように、取付部252を基準とした当接部258および第1接触部253の最外点を結んで規定される領域の内側に、取付部252が位置するため、付勢部材260の付勢力に抗して、一対の導電部材250間の相対的な姿勢を維持できる。
【0092】
このように、本実施例のコンタクト240は、コンタクト240に対して接続対象物が挿入されていない場合、第2接触部254間にのみ接続対象物が挿入された場合、第1接触部253間にのみ接続対象物が挿入された場合、のいずれの場合であっても、後述する移動規制部259を構成する部分等に過度な負荷がかかることやコンタクト240の円滑な動作性が損なわれることを回避しつつ、付勢部材260の付勢力に抗して、一対の導電部材250間の相対的な姿勢を維持できるように構成されている。
【0093】
また、取付用孔部255の湾曲した内側面と、支持部256の先端の外側面とが、第1方向Xおよび第3方向Zに相互に当接(対向)し、第1方向Xおよび第3方向Zにおける一対の導電部材250間の相対的な移動を規制する移動規制部259としてそれぞれ機能する。
ここで、他方の導電部材250に対向する突部256aの側面(当接部258)より先端側の支持部256の第2方向Yにおける寸法は、コンタクト240に対して接続対象物が挿入されていない場合、第2接触部254間にのみ接続対象物が挿入された場合、第1接触部253間にのみ接続対象物が挿入された場合、第2接触部254間および第1接触部253に接続対象物が挿入された場合、のいずれの場合であっても、取付用孔部255の内側面に対して第1方向Xおよび第3方向Zに当接(対向)するように設定されている。
【0094】
各コンタクト240は、前述したように、第1ハウジング20に形成された第1制御部24と、第2ハウジング30に形成された第2制御部34とにより、コンタクト収容部70内における姿勢および位置(具体的には、第1方向Xおよび第2方向Yにより規定される平面内における位置および姿勢)を制御され、また、第1ハウジング20に形成された第1位置規制部(図示しない)と、第2ハウジング30に形成された第2位置規制部(図示しない)とにより、コンタクト収容部70内における第3方向Zにおける位置を規制されている。
【0095】
付勢部材260は、図14に示すように、一対の導電部材250にそれぞれ形成された取付部252間に取り付けられ、コンタクト240を構成する一対の導電部材250にそれぞれ形成されたベース部251および支持部256により規定された空間内に配置されている。
【0096】
つぎに、コンタクト240の組み付け方法について、図13および図14に基づいて以下に説明する。
【0097】
まず、各導電部材250を第3方向Zに相互にずらして配置し、各導電部材250に形成された取付部252に付勢部材260の両端を係合させることが可能な位置まで、取付部252同士を接近させる。
【0098】
次に、各導電部材250に形成された取付部252に付勢部材260の両端を係合させる。
【0099】
次に、一対の導電部材250間の相対的な姿勢を調整し、付勢部材260を伸ばして、図14に示すように、一方の導電部材250の支持部256の先端と他方の導電部材250の取付用孔部255とを係合させることにより、コンタクト240の組み付けが完了する。
【0100】
このようにして得られた本実施例では、前述した第1実施例における効果に加えて、第1方向Xおよび第3方向Zにおいて相互に当接する移動規制部259を各導電部材250が有していることにより、第1方向Xに加えて、第3方向Zにおいても一対の導電部材250間の相対的な移動を規制できる。
【0101】
なお、上述した実施例では、コンタクトが、一方の接続対象物に接触する第1接触部と、他方の接続対象物に接触する第2接触部とを有しているものとして説明したが、コネクタに対して外部から嵌合される接続対象物が1つである場合には、片方の接触部のみをコンタクトに形成すればよい。
【0102】
また、上述した実施例では、コンタクトの導電部材に形成された支持部の一部が移動規制部として機能するものとして説明したが、支持部とは別途に移動規制部として機能する部分を導電部材に形成してもよい。
【0103】
また、上述した実施例では、ハウジングが、第1ハウジングと第2ハウジングとから構成されているものとして説明したが、単一のハウジングによりコンタクトを収容または保持するように構成してもよい。
【0104】
また、上述した実施例では、コンタクト全体がコンタクト収容部内に収容されているものとして説明したが、コンタクトの一部をコンタクト収容部の外部に突出させてもよい。
【0105】
また、上述した実施例では、コンタクトが、電源供給用コンタクトであるものとして説明したが、信号コンタクトとして用いてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10 ・・・ コネクタ
20 ・・・ 第1ハウジング
21 ・・・ 第1収容部
22 ・・・ 第1開口部
23 ・・・ スライドガイド部
24 ・・・ 第1制御部
26 ・・・ 信号用ハウジング保持部
30 ・・・ 第2ハウジング
31 ・・・ 第2収容部
32 ・・・ 第2開口部
33 ・・・ 取付バネ部
34 ・・・ 第2制御部
36 ・・・ ガイド部
40、140、240 ・・・ コンタクト
50、150、250 ・・・ 導電部材
51、151、251 ・・・ ベース部
151a ・・・ 孔部
251b・・・ 強度補強部
52、152、252 ・・・ 取付部
53、153、253 ・・・ 第1接触部
54、154、254 ・・・ 第2接触部
55、155、255 ・・・ 取付用孔部
56、156、256 ・・・ 支持部(第1支持部)
56a、156a、256a ・・・ 突部(第1突部)
57 ・・・ 第2支持部
57a ・・・ 第2突部
58、158、258 ・・・ 当接部
59、159、259 ・・・ 移動規制部
60、160、260 ・・・ 付勢部材
70 ・・・ コンタクト収容部
71 ・・・ 信号用ハウジング
80 ・・・ 電池ユニット
81 ・・・ ケーシング
81a ・・・ 取り付け開口部
82 ・・・ バッテリ
83 ・・・ ブスバー(接続対象物)
84 ・・・ スペーサ
85 ・・・ ボルト
90 ・・・ ラック側コネクタ
91 ・・・ ラック側コンタクト(他の接続対象物)
92 ・・・ ラック側ハウジング
92a ・・・ ガイド部
X ・・・ 第1方向
Y ・・・ 第2方向
Z ・・・ 第3方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の導電部材と、前記一対の導電部材間に取り付けられ前記一対の導電部材を相互に接近させる方向に付勢する付勢部材とを備え、前記一対の導電部材間に挿入された接続対象物を挟持して前記接続対象物に接続されるコンタクトであって、
前記一対の導電部材は、ベース部と、前記ベース部に形成され前記付勢部材が取り付けられる取付部とをそれぞれ有し、
一方の前記導電部材の前記ベース部と、他方の前記導電部材の前記ベース部とは、相互に離間して配置され、
前記一対の導電部材のうち少なくとも一方は、前記ベース部から他方の前記導電部材に向けて延び他方の前記導電部材に当接して他方の前記導電部材を支持する支持部を有していることを特徴とするコンタクト。
【請求項2】
前記一対の導電部材は、前記接続対象物に接触する第1接触部と、前記取付部を挟んで前記第1接触部の反対側に形成され他の接続対象物に接触する第2接触部とをそれぞれ有し、
一方の前記導電部材の前記第1接触部と、他方の前記導電部材の前記第1接触部とは、前記付勢部材の付勢方向に相互に対向し、
一方の前記導電部材の前記第2接触部と、他方の前記導電部材の前記第2接触部とは、前記付勢方向に相互に対向していることを特徴とする請求項1に記載のコンタクト。
【請求項3】
前記一対の導電部材は、他方の前記導電部材の一部分に対して前記付勢方向とは異なる方向に当接し前記付勢方向とは異なる方向における前記一対の導電部材間の相対的な移動を規制する移動規制部をそれぞれ有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンタクト。
【請求項4】
前記一対の導電部材のうち少なくとも一方は、前記付勢方向に貫通形成された孔部を有し、
他方の前記導電部材は、前記孔部内に前記付勢方向から挿入される突部を有し、
前記孔部の内面と、前記突部の外面とは、前記移動規制部として機能していることを特徴とする請求項3に記載のコンタクト。
【請求項5】
前記一対の導電部材は、同一形状を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコンタクト。
【請求項6】
前記一対の導電部材は、純銅の導電率を100%とすると導電率が50%以上の金属または合金からそれぞれ成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のコンタクト。
【請求項7】
前記導電部材は、平面上に展開した場合に重複する部分の無い形状を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のコンタクト。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のコンタクトを備えていることを特徴とするコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−8617(P2013−8617A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141575(P2011−141575)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【特許番号】特許第4938148号(P4938148)
【特許公報発行日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)