コンタクトエレメント及びコネクタ
【課題】相手側コンタクトとの接続を容易にすることができるとともに信頼性を高めることができるコンタクトエレメント及びコネクタを提供する。
【解決手段】一定の間隔を介して互いに平行に延びる2つの連結部11間に所定の間隔で複数の梁部13をかけ渡す。梁部13の中心部に、コンタクト3に接触可能な第1接触部15と、板状コンタクト5に接触可能な第2接触部17とが連なる。第1接触部15を梁部13のピッチ方向DPと平行な第1方向D1へ突出させ、第2接触部17を第1方向D1と反対の第2方向D2へ突出させる。梁部13を梁部13の長手方向と平行な中心軸S周りへ捩じり、第1接触部15を連結部11の板厚方向DBと平行な第3方向D3へ突出させ、第2接触部17を第3方向D3と反対の第4方向D4へ突出させる。
【解決手段】一定の間隔を介して互いに平行に延びる2つの連結部11間に所定の間隔で複数の梁部13をかけ渡す。梁部13の中心部に、コンタクト3に接触可能な第1接触部15と、板状コンタクト5に接触可能な第2接触部17とが連なる。第1接触部15を梁部13のピッチ方向DPと平行な第1方向D1へ突出させ、第2接触部17を第1方向D1と反対の第2方向D2へ突出させる。梁部13を梁部13の長手方向と平行な中心軸S周りへ捩じり、第1接触部15を連結部11の板厚方向DBと平行な第3方向D3へ突出させ、第2接触部17を第3方向D3と反対の第4方向D4へ突出させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコンタクトエレメント及びそれを備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンタクトエレメントとベースコンタクトとを備えたコネクタが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
このコネクタは、図16に示すように、1つのベースコンタクト62と2つのコンタクトエレメント63とを備えている。
【0004】
ベースコンタクト62は導電性材料で形成されている。ベースコンタクト62には溝62aが形成されている。溝62aには導電性材料で形成されているベースコンタクト61が挿入される。ベースコンタクト62の相対する内壁面にはそれぞれ溝62cが形成されている。溝62cはアリ溝である。
【0005】
図17に示すように、コンタクトエレメント63は互いに平行に延びた2列の側部3aと、側部3a間に架け渡された複数のウェブ3cとを有する。コンタクトエレメント63は弾性を有する1枚の金属板にプレス加工を施すことによって形成されている。
【0006】
ウェブ3cの中央部3fの一側部には1つの凸部3iが形成され、ウェブ3cの中央部3fの他側部には1つの凹部3mが形成されている。凹部3mの両側に2つのウェブエッジ3kが形成されている。ウェブ3cはねじられ、凸部3iは側部3aの厚さ方向へ突出し、ウェブエッジ3kは凸部3iの突出方向と反対方向へ突出している。凸部3iはベースコンタクト61に接触可能であり、ウェブエッジ3kはベースコンタクト62に接触可能である。
【0007】
ウェブ3cがねじられる前、凸部3iは隣のウェブ3cの凹部3mに嵌合し、2つのウェブエッジ3kに挟まれる。
【0008】
コンタクトエレメント63はベースコンタクト62の溝62cに装着される。
【0009】
図16に示すように、ベースコンタクト61をベースコンタクト62の溝62aに挿入すると、コンタクトエレメント63の凸部3iはベースコンタクト61に接触し、コンタクトエレメント63のウェブエッジ3kはベースコンタクト62に接触する。この結果、ベースコンタクト61とベースコンタクト62とがコンタクトエレメント63を通じて導通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許5,261,840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、コンタクトエレメント63の1つのウェブ3cには1つの凸部3iと2つのウェブエッジ3kとが形成されている。ベースコンタクト61をベースコンタクト62の溝62aに挿入したときにウェブエッジ3kとベースコンタクト62との間に生じる接触力を、電流容量や接触信頼性の特性を出すために必要な値に設定すると、1つのウェブ3cに2つのウェブエッジ3kが形成されているため、1つの凸部3iとベースコンタクト61との間に生じる接触力が、一方のウェブエッジ3kとベースコンタクト62との間に生じる接触力のほぼ2倍になる。その結果、ベースコンタクト61の挿入力が大きくなり、ベースコンタクト61を溝62aに挿入しにくくなる。
【0012】
また、ウェブエッジ3kから側部3aまでの距離が短いため、ウェブ3cのばね定数が大きく、塑性変形のおそれがあり、コンタクトエレメント63の信頼性が低くなる。もしこれを回避しようとすればウェブエッジ3kから側部3aまでの距離を長くすればよいが、この方法ではウェブ3cが長くなり、コンタクトエレメント63が大きくなってしまう。
【0013】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は、梁部を多く確保し得るだけでなく、相手側コンタクトとの接続を容易にすることができるとともに信頼性を高めることができるコンタクトエレメント及びコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するため請求項1記載の発明は、金属板にプレス加工を施すことにより形成され、コンタクトに装着されるコンタクトエレメントにおいて、一定の間隔を介して互いに平行に延びる複数の連結部と、前記連結部間にかけ渡され、所定のピッチで配置される複数の梁部と、前記梁部の中心部に連なり、前記コンタクトに接触する第1接触部と、前記梁部の中心部に連なり、前記コンタクトが接続される相手側コンタクトに接触する第2接触部とを備え、前記第1接触部が前記梁部のピッチ方向と平行な第1方向へ突出し、前記第2接触部が前記第1方向と反対の第2方向へ突出し、前記梁部が前記梁部の長手方向と平行な中心軸周りへ捩じられて、前記第1接触部が前記連結部の板厚方向と平行な第3方向へ突出するとともに、前記第2接触部が前記第3方向と反対の第4方向へ突出し、前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸に沿って並んでいることを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のコンタクトエレメントにおいて、前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸と平行な仮想直線上にあることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のコンタクトエレメントにおいて、前記第1接触部とこの接触部が連なる梁部に連なる前記第2接触部とは、その梁部の中心に対して点対称であることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のコンタクトエレメントにおいて、前記ピッチ方向と平行で前記梁部の中心を通る仮想軸を回転中心とするモーメントを抑制するために前記中心軸が、前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して傾いていることを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のコンタクトエレメントにおいて、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸と前記連結部の板厚方向に平行な方向とに直交する直線上に、前記第1接触部とこの接触部が連なる梁部に連なる第2接触部とがあることを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のコンタクトエレメントにおいて、前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸方向で一体につながっており、前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記ピッチ方向で分断され、前記第2接触部とこの接触部に隣接する別の梁部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記ピッチ方向で分断されていることを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のコンタクトエレメントにおいて、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸が前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して傾いていることを特徴とする。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項6記載のコンタクトエレメントにおいて、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸が前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して平行であることを特徴とする。
【0022】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項記載のコンタクトエレメントにおいて、前記第1、第2接触部の先端部が円弧状に曲がっていることを特徴とする。
【0023】
請求項10記載の発明は、請求項9記載のコンタクトエレメントにおいて、前記金属板を打ち抜いたとき、前記第1、第2接触部の先端と前記中心軸とが平行であることを特徴とする。
【0024】
請求項11記載の発明のコネクタは、請求項1〜10のいずれか1項記載のコンタクトエレメントと、これが装着される前記コンタクトとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、梁部を多く確保し得るだけでなく、相手側コンタクトとの接続を容易にすることができるとともに信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態のコネクタのコンタクトに相手側コンタクトを挿入する前の状態を示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示すコネクタのコンタクトエレメントの一部を示す斜視図である。
【図3】図3は図2に示すコンタクトエレメントの斜視図である。
【図4】図4は図2に示すコンタクトエレメントの正面図である。
【図5】図5は図2に示すコンタクトエレメントの平面図である。
【図6】図6は図2に示すコンタクトエレメントの側面図である。
【図7】図7は打抜き加工後、折曲げ加工前のコンタクトエレメントの平面図である。
【図8】図8はこの発明の第2実施形態のコネクタのコンタクトエレメントを示し、打抜き加工後、折曲げ加工前のコンタクトエレメントの平面図である。
【図9】図9はこの発明の第3実施形態のソケット型のコネクタの断面図である。
【図10】図10は図9に示すソケット型のコネクタのコンタクトに挿入される相手側コンタクトの側面図である。
【図11】図11は図9に示すソケット型のコネクタのコンタクトに図10に示す相手側コンタクトを挿入した状態を示す部分断面図である。
【図12】図12はこの発明の第4実施形態のピン型のコネクタの側面図である。
【図13】図13は図12に示すピン型のコネクタのコンタクトが挿入される相手側コンタクトの断面図である。
【図14】図14はこの発明の第5実施形態のコネクタのコンタクトエレメントを示し、打抜き加工後、折曲げ加工前のコンタクトエレメントの平面図である。
【図15】図15はこの発明の第6実施形態のコネクタのコンタクトエレメントを示し、打抜き加工後、折曲げ加工前のコンタクトエレメントの平面図である。
【図16】図16は従来のコネクタのコンタクトに相手側コンタクトを挿入する前の状態を示す斜視図である。
【図17】図17は図16に示すコネクタのコンタクトエレメントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1に示すように、この発明の第1実施形態のコネクタ9は2つのコンタクトエレメント1と1つのコンタクト3とを備えている。
【0029】
コンタクト3は導電性材料で形成され、受容部31を有する。受容部31は板状のコンタクト(相手側コンタクト)5を受け容れる。受容部31はコンタクト3の前方、両側方ヘ開放されている。コンタクト3の高さ方向Hで受容部31を介して対向するコンタクト3の2つの内壁面にはそれぞれアリ溝32が形成されている。アリ溝32はコンタクト3の幅方向Wへ延びる。
【0030】
コンタクトエレメント1はコンタクト3の幅方向Wからアリ溝32に挿入される。図2、図3、図5、図7に示すように、コンタクトエレメント1は2つの連結部11と複数の梁部13とを備えている。図2、図3、図5、図7において、多数の梁部13のうちの3つの梁部13だけが描かれている。コンタクトエレメント1は弾性及び導電性を有する金属板に打抜き、切断、曲げ等のプレス加工を施すことによって形成されている。
【0031】
2つの連結部11は一定の間隔を介して互いに平行に延びている。
【0032】
複数の梁部13はそれぞれほぼ帯状であり、2つの連結部11間にかけ渡され、所定のピッチP(図7参照)で配置されている。
【0033】
梁部13の中心部に第1接触部15が連なる。第1接触部15はコンタクト3に接触する。
【0034】
梁部13の中心部に第2接触部17が連なる。第2接触部17は板状コンタクト5に接触する。
【0035】
第1接触部15は、梁部13のピッチ方向DPと平行な第1方向D1(図5参照)へ梁部13から突出している。
【0036】
第2接触部17は、第1方向D1と反対の第2方向D2(図5参照)へ梁部13から突出している。
【0037】
図6に示すように、梁部13は梁部13の長手方向と平行な中心軸S(図3参照)周りへ捩じられて、第1接触部15が連結部11の板厚方向DBと平行な第3方向D3へ突出するとともに、第2接触部17が第3方向D3と反対の第4方向D4へ突出する。
【0038】
図7に示すように、第1接触部15とこの第1接触部15に隣接する別の梁部13の第2接触部17とは、金属板の打抜き後、梁部13が捩じられる前、中心軸Sと平行な仮想直線L上にある。第1、第2接触部15,17はそれぞれほぼ四角形である。但し、後述のように、1つの梁部13の第1、第2接触部15,17とこの第1、第2接触部15,17の両隣の梁部13とはつながっているので、金属板の打抜き後、第1、第2接触部15,17とこれらの接触部15,17の両隣の梁部13とは境界線(図7の2点鎖線)で分断される。
【0039】
図7に示すように、第1接触部15と第2接触部17とは梁部13の中心Oに関して点対称の関係にある。
【0040】
また、第1接触部15及び第2接触部17の先端部(図7のピッチ方向DPの先端部)は円弧状に折り曲げられている(図6参照)。
【0041】
連結部11には複数の突起状の被保持部19が連なる。被保持部19はピッチ方向DPで隣接する2つの梁部13の間に位置している。
【0042】
図7に示すように、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部15の先端(図7の2点鎖線)と第2接触部17の先端(図7の2点鎖線)との間の間隔(ピッチ方向DPの間隔)aが梁部13のピッチPの長さよりも大きい。また、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部15とこれに隣接する別の梁部13(右隣の梁部13)とがつながっており、第2接触部17とこれに隣接する別の梁部13(左隣の梁部13)とがつながっている。更に、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部15とこの接触部15に隣接する別の梁部13(右隣の梁部13)の第2接触部17とが、中心軸Sに沿って並んでいる。この実施形態では、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部15とこの接触部15に隣接する別の梁部13の第2接触部17とが、仮想直線L上にある。したがって、梁部13の狭ピッチ化を図ることができ、コンタクトエレメント1のピッチ方向DPの寸法を大きくせずに梁部13の数を多くすることができ、電流容量を大きくすることができる。
【0043】
図7に示すように、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部15とこれに隣接する別の梁部13に形成された第2接触部17との間に孔1aが形成されるので、第1、第2接触部15,17を境界線(図7の2点鎖線)で分断するだけでよい。したがって、金属板の打抜き後、第1、第2接触部15,17の分断(切断)や、分断作業と同時に実施される梁部13の捩じりが容易になる。
【0044】
上述のように、打抜き加工により孔1aが形成されるので、図7に示すように、第1接触部15と第2接触部17との間に、ピッチ方向DPと連結部11の板厚方向DBとに直交する直交方向DRと平行な方向で、隙間Cが生じる。その結果、第1接触部15と第2接触部17とを結ぶ仮想直線(直線)1fは、ピッチ方向DPに対して傾く。この実施形態では、第1接触部15のコンタクト3に最も強く接触する点1dと第2接触部17のコンタクト5に最も強く接触する点1eとを結ぶ直線が仮想直線1fである。
【0045】
ピッチ方向DPに対して仮想直線1fが傾き、梁部13の長手方向と平行な中心軸Sがピッチ方向DPと直交していると、梁部13にはピッチ方向DPと平行で中心Oを通る仮想軸DPL(図7参照)を回転中心とするモーメントが生じる。この実施形態では、梁部13の長手方向と平行な中心軸Sは仮想直線1fと直交するので、梁部13に生じるピッチ方向DPと平行で中心Oを通る仮想軸DPLを回転中心とするモーメントを抑制することができる。金属板に打抜き加工を施したとき、中心軸Sと連結部11の板厚方向DBとに直交する仮想直線1f上に、第1接触部15とこの第1接触部15が連なる梁部13に連なる第2接触部17とがある。
【0046】
上述のように、各梁部13には1つの第1接触部15と1つの第2接触部17しか設けられていないので、第1接触部15と一方の連結部11との間の捩じり部分の長さと、第2接触部17と他方の連結部11との間の捩じり部分の長さとを長くすることができ、その結果、これらの捩じり部分のばね定数が小さくなり、梁部13が塑性変形しにくくなる。
【0047】
コンタクトエレメント1を形成するには、まず、図7に示すように、金属板に打抜き加工を施す。このとき、孔1a,1b,1c等が形成される。このとき、第1接触部15、第2接触部17はまだそれぞれ隣接する梁部13につながっている。
【0048】
次に、曲げ加工により、梁部13を所定方向へ捩じるとともに、第1接触部15、第2接触部17をそれぞれ隣接する梁部13から分断する。
【0049】
その後、曲げ加工により、第1接触部15、第2接触部17の先端部を円弧状に折り曲げる。
【0050】
最後に、曲げ加工により、被保持部19をL字形に折り曲げる。
【0051】
以上の工程によりコンタクトエレメント1が形成される。
【0052】
なお、上述のプレス加工では、打抜きの次に、梁部13を捩じると同時に第1接触部15、第2接触部17と梁部13との切断を行い、その後、第1接触部15、第2接触部17の先端部を折り曲げ、最後に、被保持部19を折り曲げるという順番であるが、コンタクトエレメント1のプレス加工の順番はこれに限定されない。例えば、打抜きの次に第1接触部15、第2接触部17と梁部13との切断だけを行い、その後、第1接触部15、第2接触部17の先端部の折曲げと被保持部19の折曲げとを行い、最後に、梁部13を捩じるという順番でもよい。
【0053】
コネクタ9を組み立てるには、図1に示すように、2つのコンタクトエレメント1をコンタクト3の2つのアリ溝32に挿入すればよい。コンタクトエレメント1がアリ溝32に挿入されると、被保持部19がアリ溝32の両側部に嵌り、コンタクト3に保持される。コンタクト3に保持されたコンタクトエレメント1の第1接触部15はコンタクト3に接触する。
【0054】
コネクタ9にコンタクト5を接続するには、図1に示すように、コンタクト5を嵌合方向DCからコンタクト3の受容部31に挿入すればよい。コンタクト5が受容部31に挿入されると、コンタクトエレメント1の第2接触部17はコンタクト5に接触する。1つの梁部13に連なる第1接触部15と第2接触部17とはそれぞれ1つであるので、コンタクト5をコンタクト3の受容部31に挿入したときの第2接触部17とコンタクト5との接触力が過剰に大きくならないので、コンタクト5の挿入力が大きくならない。
【0055】
この実施形態によれば、コンタクト5をコネクタ9の受容部31に小さな力で挿入することができる。
【0056】
また、第1接触部15から一方の連結部11までの距離、第2接触部17から他方の連結部12までの距離がそれぞれ長くなり、梁部13のばね定数が小さくなるので、梁部13は塑性変形しにくくなる。したがって、梁部13の長手方向寸法を大きくせずに、コンタクトエレメント1の信頼性を高くすることができる。
【0057】
更に、第1接触部15とこの接触部15に隣接する別の梁部13の第2接触部17とが、梁部13の中心軸Sと平行な仮想直線L上にあるので、梁部13の狭ピッチ化を図ることができ、コンタクトエレメント1のピッチ方向DPの寸法を大きくせずに梁部13の数を多くすることができる。
【0058】
また、中心軸Sと仮想直線1fとが直交するので、仮想軸DPLを回転中心とするモーメントを抑制でき、コンタクトエレメント1が第1接触部15、第2接触部17以外の部分でコンタクト5に接触するのを防止でき、コンタクトエレメント1の設計値通りにコンタクト5との接続を行うことができる。
【0059】
更に、1つの梁部13に連なる第1接触部15と第2接触部17とはそれぞれ1つであるので、コンタクト5をコンタクト3の受容部31に挿入したときの第2接触部17とコンタクト5との接触力が大きくならず、コンタクト5の挿入力も大きくならない。
【0060】
次に、この発明の第2実施形態のコンタクトエレメントを図8に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する部分についてだけ説明する。
【0061】
第1実施形態のコンタクトエレメント1では、図7に示すように、打抜き加工を施したとき、梁部13とこの梁部13の左隣の梁部13の第1接触部15との境界線(図7の2点鎖線)、梁部13とこの梁部13の右隣の梁部13の第2接触部17との境界線(図7の2点鎖線)は、いずれも直交方向DRと平行である。
【0062】
これに対し、第2実施形態のコンタクトエレメント101では、図8に示すように、打抜き加工を施したとき、梁部113とこの梁部113の左隣の梁部113の第1接触部115との境界線(図8の2点鎖線)、梁部113とこの梁部113の右隣の梁部113の第2接触部117との境界線(図8の2点鎖線)は、いずれも直交方向DRに対して傾き、梁部113の中心軸Sと平行である。
【0063】
第1実施形態のコネクタ9のコンタクトエレメント1では、打抜き後、梁部13を中心軸S周りに捩じるとともに第1接触部15、第2接触部17と両隣の梁部13とを分断し、その後、第1接触部15、第2接触部17の先端部を円弧状に折り曲げるが、打抜き時の境界線(図7参照)は中心軸Sに対して傾いているので、第1接触部15、第2接触部17の連結部11側部分の曲率半径を第1接触部15、第2接触部17の中心O側部分の曲率半径より大きくしなければならない。
【0064】
これに対し、第2実施形態のコンタクトエレメント101では、打抜き時の境界線(図8参照)は中心軸Sと平行であるので、第1接触部115、第2接触部117の先端部を円弧状に折り曲げるとき、第1接触部115、第2接触部117の連結部11側部分の曲率半径と第1接触部115、第2接触部117の中心O側部分の曲率半径とを同じにすることができる。したがって、単純な曲げ加工で第1接触部115、第2接触部117の先端部を円弧状に折り曲げることができる。
【0065】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、第1接触部115、第2接触部117の先端部の曲げ加工を容易にできる。
【0066】
次に、この発明の第3実施形態のコネクタを図9〜図11に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する部分についてだけ説明する。
【0067】
図9〜図11に示すように、第3実施形態は図2〜図6に示すコンタクトエレメント1をソケット型のコネクタ209に適用したものである。
【0068】
コネクタ209はソケット型の1つのコンタクト203と1つのコンタクトエレメント1とを備えている。
【0069】
コンタクト203は筒状であり、コンタクト203の内部空間が受容部231である。受容部231はコンタクト205を受け容れる。コンタクト203の内周面には、コンタクトエレメント1を装着するための溝232が、周方向に沿って形成されている。溝232はアリ溝ではなく、溝232の断面形状は矩形である。
【0070】
コネクタ209の相手側コンタクトであるコンタクト205はピン型である。
【0071】
コンタクトエレメント1をコンタクト203の溝232に装着するには、まず、帯状のコンタクトエレメント1を筒状に折り曲げる。このときのコンタクトエレメント1の外径は、コンタクト203の溝232の部分の内径よりも大きい。
【0072】
次に、筒状のコンタクトエレメント1の外径をコンタクト203の受容部231の内径よりも小さくし、その状態のままコンタクトエレメント1を受容部231を通じて溝232に装着する。溝232に装着されたコンタクトエレメント1はその弾性力により、その外径が大きくなり、溝232の底面に密着する。コンタクトエレメント1の外径は受容部231の内径よりも大きいので、コンタクトエレメント1は溝232から脱落しない。
【0073】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0074】
次に、この発明の第4実施形態のコネクタを図12、図13に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する部分についてだけ説明する。
【0075】
図12、図13に示すように、第4実施形態は図2〜図6に示すコンタクトエレメント1をピン型のコネクタ309に適用したものである、
【0076】
コネクタ309はピン型のコンタクト303とコンタクトエレメント1とを備えている。
【0077】
コンタクト303はピン状である。コンタクト303の外周面にはコンタクトエレメント1を装着するための溝332が形成されている。溝332はアリ溝ではなく、溝332の断面形状は矩形である。
【0078】
コネクタ309の相手側コンタクトであるコンタクト305はソケット型である。コンタクト305はコンタクト303を受け容れる受容部351を有する。
【0079】
コンタクトエレメント1をコンタクト303の溝332に装着するには、まず、帯状のコンタクトエレメント1を筒状に折り曲げる。このときのコンタクトエレメント1の内径は、コンタクト303の溝332の部分の外径よりも小さい。
【0080】
次に、筒状のコンタクトエレメント1の内径を、コンタクト303の外径よりも大きくしてコンタクトエレメント1をコンタクト303の溝332に装着する。溝332内に配置されたコンタクトエレメント1はその弾性力により、その内径が小さくなり、溝332の底面に密着する。コンタクトエレメント1の内径がコンタクト303の外径よりも小さいので、コンタクトエレメント1は溝332から脱落しない。
【0081】
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0082】
次に、この発明の第5実施形態のコネクタを図14に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する部分についてだけ説明する。
【0083】
図14に示すように、金属板を打ち抜いたとき、折曲げ加工前、第1接触部515の中心O側の端部と、その第1接触部515に隣接する別の(図14で右隣の)梁部13の第2接触部517の中心O側の端部とは、中心軸S方向で一体につながっている。
【0084】
また、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部515の先端(ピッチ方向DPの先端)と、その第1接触部515に隣接する別の(図14で右隣の)梁部13とは分断されている。第2接触部517の先端(ピッチ方向DPの先端)と、その第2接触部517に隣接する別の(図14で左隣の)梁部13とは分断されている。
【0085】
梁部13の中心軸Sは直交方向DRに対して傾いている。
【0086】
第1接触部515、第2接触部517の先端は中心軸Sと平行である。
【0087】
第5実施形態のコネクタのコンタクトエレメント501は第1実施形態のコネクタ9のコンタクトエレメント1と同様の加工手順で形成される。
【0088】
第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、第1接触部515とそれに隣接する梁部13の第2接触部517との結合部分(打抜き後切断される部分)が短いので、第1接触部515と第2接触部517とを容易に分離することができる。
【0089】
次に、この発明の第6実施形態のコネクタを図15に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する部分についてだけ説明する。
【0090】
図15に示すように、金属板を打ち抜いたとき、折曲げ加工前、第1接触部615の中心O側の端部と、その第1接触部615に隣接する別の(図15で右隣の)梁部13の第2接触部617の中心O側の端部とは、中心軸S方向で一体につながっている。
【0091】
また、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部615の先端(ピッチ方向DPの先端)と、その第1接触部615に隣接する別の(図15で右隣の)梁部13とは分断されている。第2接触部617の先端(ピッチ方向DPの先端)と、その第2接触部617に隣接する別の(図15で左隣の)梁部13とは分断されている。
【0092】
梁部13の中心軸Sは直交方向DRに対して平行である。
【0093】
第1接触部615、第2接触部617の先端は中心軸Sと平行である。
【0094】
第6実施形態のコネクタのコンタクトエレメント601は第1実施形態のコネクタ9のコンタクトエレメント1と同様の加工手順で製造される。
【0095】
第6実施形態によれば、第5実施形態と同様の作用効果を奏する。また、梁部13の中心軸Sとピッチ方向DPとが直交しているので、コンタクトエレメント601の打抜き加工の型を製造しやすく、コンタクトエレメント601の製造コストを少なくすることができる。
【0096】
なお、上述の実施形態では、第1接触部15,115、第2接触部17,117が梁部13の中心Oに対して点対称であるが、必ずしもそうする必要はない。
【0097】
また、上述の実施形態では、梁部13,113の中心軸Sと仮想直線1fとが直交しているが、必ずしもそうする必要はない。
【0098】
なお、上述の実施形態では、第1接触部15,115、第2接触部17,117の先端部を円弧状に曲げたが、必ずしもそうする必要はない。
【0099】
また、上述の実施形態では、コンタクトエレメント1,101の連結部11は2つであるが、3つ以上の連結部11を採用し、それらの連結部11間に複数の梁部13,113をかけ渡してもよい。
【0100】
なお、上述の実施形態以外の実施形態のコネクタとしては、上面にアリ溝を形成した平板状のコンタクトと、このコンタクトのアリ溝に挿入される上述のコンタクトエレメント1とで構成されるコネクタがある。このコネクタの相手側コンタクトとして平板状の相手側コンタクトがある。この実施形態では、コネクタのコンタクトの上面に相手側コンタクトを重ね、ボルト、ナットによってコネクタのコンタクトと相手側コンタクトとを結合する。ボルト、ナットによって結合されたコネクタのコンタクトと相手側コンタクトとは、コンタクトエレメント1によって互いに導通する。
【0101】
また、上述の第1実施形態では、連結部11に被保持部19を連ね、被保持部19をコンタクト3のアリ溝32に保持させるようにしてコンタクトエレメント1をコンタクト3に装着したが、コンタクトエレメント1に被保持部19を設けないとともに、また、コンタクト3のアリ溝32を設けず、コンタクトエレメント1の連結部11をコンタクト3にねじ止めするようにしてもよい。
【0102】
なお、上述の実施形態の他の実施形態として、コンタクト3,203,303の後端部が絶縁材料で形成された図示しないハウジングに保持されたものがある。
【符号の説明】
【0103】
1,101,501,601:コンタクトエレメント、11:連結部、13,113:梁部、15,115,515,615:第1接触部、17,117,517,617:第2接触部、19:被保持部、1a,1b,1c:孔、1d,1e:点、1f:仮想直線(直線)、3,203,303:コンタクト、31,231,351:受容部、32:アリ溝、232,332:溝、5,205,305:コンタクト(相手側コンタクト)、9,209,309:コネクタ、a:間隔、C:隙間、DB:板厚方向、DC:嵌合方向、DP:ピッチ方向、DPL:仮想軸、DR:直交方向、D1:第1方向、D2:第2方向、D3:第3方向、D4:第4方向、H:高さ方向、L:仮想直線、O:梁部13,113の中心、P:ピッチ、S:中心軸、W:幅方向。
【技術分野】
【0001】
この発明はコンタクトエレメント及びそれを備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンタクトエレメントとベースコンタクトとを備えたコネクタが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
このコネクタは、図16に示すように、1つのベースコンタクト62と2つのコンタクトエレメント63とを備えている。
【0004】
ベースコンタクト62は導電性材料で形成されている。ベースコンタクト62には溝62aが形成されている。溝62aには導電性材料で形成されているベースコンタクト61が挿入される。ベースコンタクト62の相対する内壁面にはそれぞれ溝62cが形成されている。溝62cはアリ溝である。
【0005】
図17に示すように、コンタクトエレメント63は互いに平行に延びた2列の側部3aと、側部3a間に架け渡された複数のウェブ3cとを有する。コンタクトエレメント63は弾性を有する1枚の金属板にプレス加工を施すことによって形成されている。
【0006】
ウェブ3cの中央部3fの一側部には1つの凸部3iが形成され、ウェブ3cの中央部3fの他側部には1つの凹部3mが形成されている。凹部3mの両側に2つのウェブエッジ3kが形成されている。ウェブ3cはねじられ、凸部3iは側部3aの厚さ方向へ突出し、ウェブエッジ3kは凸部3iの突出方向と反対方向へ突出している。凸部3iはベースコンタクト61に接触可能であり、ウェブエッジ3kはベースコンタクト62に接触可能である。
【0007】
ウェブ3cがねじられる前、凸部3iは隣のウェブ3cの凹部3mに嵌合し、2つのウェブエッジ3kに挟まれる。
【0008】
コンタクトエレメント63はベースコンタクト62の溝62cに装着される。
【0009】
図16に示すように、ベースコンタクト61をベースコンタクト62の溝62aに挿入すると、コンタクトエレメント63の凸部3iはベースコンタクト61に接触し、コンタクトエレメント63のウェブエッジ3kはベースコンタクト62に接触する。この結果、ベースコンタクト61とベースコンタクト62とがコンタクトエレメント63を通じて導通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許5,261,840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、コンタクトエレメント63の1つのウェブ3cには1つの凸部3iと2つのウェブエッジ3kとが形成されている。ベースコンタクト61をベースコンタクト62の溝62aに挿入したときにウェブエッジ3kとベースコンタクト62との間に生じる接触力を、電流容量や接触信頼性の特性を出すために必要な値に設定すると、1つのウェブ3cに2つのウェブエッジ3kが形成されているため、1つの凸部3iとベースコンタクト61との間に生じる接触力が、一方のウェブエッジ3kとベースコンタクト62との間に生じる接触力のほぼ2倍になる。その結果、ベースコンタクト61の挿入力が大きくなり、ベースコンタクト61を溝62aに挿入しにくくなる。
【0012】
また、ウェブエッジ3kから側部3aまでの距離が短いため、ウェブ3cのばね定数が大きく、塑性変形のおそれがあり、コンタクトエレメント63の信頼性が低くなる。もしこれを回避しようとすればウェブエッジ3kから側部3aまでの距離を長くすればよいが、この方法ではウェブ3cが長くなり、コンタクトエレメント63が大きくなってしまう。
【0013】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は、梁部を多く確保し得るだけでなく、相手側コンタクトとの接続を容易にすることができるとともに信頼性を高めることができるコンタクトエレメント及びコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するため請求項1記載の発明は、金属板にプレス加工を施すことにより形成され、コンタクトに装着されるコンタクトエレメントにおいて、一定の間隔を介して互いに平行に延びる複数の連結部と、前記連結部間にかけ渡され、所定のピッチで配置される複数の梁部と、前記梁部の中心部に連なり、前記コンタクトに接触する第1接触部と、前記梁部の中心部に連なり、前記コンタクトが接続される相手側コンタクトに接触する第2接触部とを備え、前記第1接触部が前記梁部のピッチ方向と平行な第1方向へ突出し、前記第2接触部が前記第1方向と反対の第2方向へ突出し、前記梁部が前記梁部の長手方向と平行な中心軸周りへ捩じられて、前記第1接触部が前記連結部の板厚方向と平行な第3方向へ突出するとともに、前記第2接触部が前記第3方向と反対の第4方向へ突出し、前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸に沿って並んでいることを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のコンタクトエレメントにおいて、前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸と平行な仮想直線上にあることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のコンタクトエレメントにおいて、前記第1接触部とこの接触部が連なる梁部に連なる前記第2接触部とは、その梁部の中心に対して点対称であることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のコンタクトエレメントにおいて、前記ピッチ方向と平行で前記梁部の中心を通る仮想軸を回転中心とするモーメントを抑制するために前記中心軸が、前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して傾いていることを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のコンタクトエレメントにおいて、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸と前記連結部の板厚方向に平行な方向とに直交する直線上に、前記第1接触部とこの接触部が連なる梁部に連なる第2接触部とがあることを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のコンタクトエレメントにおいて、前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸方向で一体につながっており、前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記ピッチ方向で分断され、前記第2接触部とこの接触部に隣接する別の梁部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記ピッチ方向で分断されていることを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のコンタクトエレメントにおいて、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸が前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して傾いていることを特徴とする。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項6記載のコンタクトエレメントにおいて、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸が前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して平行であることを特徴とする。
【0022】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項記載のコンタクトエレメントにおいて、前記第1、第2接触部の先端部が円弧状に曲がっていることを特徴とする。
【0023】
請求項10記載の発明は、請求項9記載のコンタクトエレメントにおいて、前記金属板を打ち抜いたとき、前記第1、第2接触部の先端と前記中心軸とが平行であることを特徴とする。
【0024】
請求項11記載の発明のコネクタは、請求項1〜10のいずれか1項記載のコンタクトエレメントと、これが装着される前記コンタクトとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、梁部を多く確保し得るだけでなく、相手側コンタクトとの接続を容易にすることができるとともに信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態のコネクタのコンタクトに相手側コンタクトを挿入する前の状態を示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示すコネクタのコンタクトエレメントの一部を示す斜視図である。
【図3】図3は図2に示すコンタクトエレメントの斜視図である。
【図4】図4は図2に示すコンタクトエレメントの正面図である。
【図5】図5は図2に示すコンタクトエレメントの平面図である。
【図6】図6は図2に示すコンタクトエレメントの側面図である。
【図7】図7は打抜き加工後、折曲げ加工前のコンタクトエレメントの平面図である。
【図8】図8はこの発明の第2実施形態のコネクタのコンタクトエレメントを示し、打抜き加工後、折曲げ加工前のコンタクトエレメントの平面図である。
【図9】図9はこの発明の第3実施形態のソケット型のコネクタの断面図である。
【図10】図10は図9に示すソケット型のコネクタのコンタクトに挿入される相手側コンタクトの側面図である。
【図11】図11は図9に示すソケット型のコネクタのコンタクトに図10に示す相手側コンタクトを挿入した状態を示す部分断面図である。
【図12】図12はこの発明の第4実施形態のピン型のコネクタの側面図である。
【図13】図13は図12に示すピン型のコネクタのコンタクトが挿入される相手側コンタクトの断面図である。
【図14】図14はこの発明の第5実施形態のコネクタのコンタクトエレメントを示し、打抜き加工後、折曲げ加工前のコンタクトエレメントの平面図である。
【図15】図15はこの発明の第6実施形態のコネクタのコンタクトエレメントを示し、打抜き加工後、折曲げ加工前のコンタクトエレメントの平面図である。
【図16】図16は従来のコネクタのコンタクトに相手側コンタクトを挿入する前の状態を示す斜視図である。
【図17】図17は図16に示すコネクタのコンタクトエレメントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1に示すように、この発明の第1実施形態のコネクタ9は2つのコンタクトエレメント1と1つのコンタクト3とを備えている。
【0029】
コンタクト3は導電性材料で形成され、受容部31を有する。受容部31は板状のコンタクト(相手側コンタクト)5を受け容れる。受容部31はコンタクト3の前方、両側方ヘ開放されている。コンタクト3の高さ方向Hで受容部31を介して対向するコンタクト3の2つの内壁面にはそれぞれアリ溝32が形成されている。アリ溝32はコンタクト3の幅方向Wへ延びる。
【0030】
コンタクトエレメント1はコンタクト3の幅方向Wからアリ溝32に挿入される。図2、図3、図5、図7に示すように、コンタクトエレメント1は2つの連結部11と複数の梁部13とを備えている。図2、図3、図5、図7において、多数の梁部13のうちの3つの梁部13だけが描かれている。コンタクトエレメント1は弾性及び導電性を有する金属板に打抜き、切断、曲げ等のプレス加工を施すことによって形成されている。
【0031】
2つの連結部11は一定の間隔を介して互いに平行に延びている。
【0032】
複数の梁部13はそれぞれほぼ帯状であり、2つの連結部11間にかけ渡され、所定のピッチP(図7参照)で配置されている。
【0033】
梁部13の中心部に第1接触部15が連なる。第1接触部15はコンタクト3に接触する。
【0034】
梁部13の中心部に第2接触部17が連なる。第2接触部17は板状コンタクト5に接触する。
【0035】
第1接触部15は、梁部13のピッチ方向DPと平行な第1方向D1(図5参照)へ梁部13から突出している。
【0036】
第2接触部17は、第1方向D1と反対の第2方向D2(図5参照)へ梁部13から突出している。
【0037】
図6に示すように、梁部13は梁部13の長手方向と平行な中心軸S(図3参照)周りへ捩じられて、第1接触部15が連結部11の板厚方向DBと平行な第3方向D3へ突出するとともに、第2接触部17が第3方向D3と反対の第4方向D4へ突出する。
【0038】
図7に示すように、第1接触部15とこの第1接触部15に隣接する別の梁部13の第2接触部17とは、金属板の打抜き後、梁部13が捩じられる前、中心軸Sと平行な仮想直線L上にある。第1、第2接触部15,17はそれぞれほぼ四角形である。但し、後述のように、1つの梁部13の第1、第2接触部15,17とこの第1、第2接触部15,17の両隣の梁部13とはつながっているので、金属板の打抜き後、第1、第2接触部15,17とこれらの接触部15,17の両隣の梁部13とは境界線(図7の2点鎖線)で分断される。
【0039】
図7に示すように、第1接触部15と第2接触部17とは梁部13の中心Oに関して点対称の関係にある。
【0040】
また、第1接触部15及び第2接触部17の先端部(図7のピッチ方向DPの先端部)は円弧状に折り曲げられている(図6参照)。
【0041】
連結部11には複数の突起状の被保持部19が連なる。被保持部19はピッチ方向DPで隣接する2つの梁部13の間に位置している。
【0042】
図7に示すように、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部15の先端(図7の2点鎖線)と第2接触部17の先端(図7の2点鎖線)との間の間隔(ピッチ方向DPの間隔)aが梁部13のピッチPの長さよりも大きい。また、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部15とこれに隣接する別の梁部13(右隣の梁部13)とがつながっており、第2接触部17とこれに隣接する別の梁部13(左隣の梁部13)とがつながっている。更に、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部15とこの接触部15に隣接する別の梁部13(右隣の梁部13)の第2接触部17とが、中心軸Sに沿って並んでいる。この実施形態では、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部15とこの接触部15に隣接する別の梁部13の第2接触部17とが、仮想直線L上にある。したがって、梁部13の狭ピッチ化を図ることができ、コンタクトエレメント1のピッチ方向DPの寸法を大きくせずに梁部13の数を多くすることができ、電流容量を大きくすることができる。
【0043】
図7に示すように、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部15とこれに隣接する別の梁部13に形成された第2接触部17との間に孔1aが形成されるので、第1、第2接触部15,17を境界線(図7の2点鎖線)で分断するだけでよい。したがって、金属板の打抜き後、第1、第2接触部15,17の分断(切断)や、分断作業と同時に実施される梁部13の捩じりが容易になる。
【0044】
上述のように、打抜き加工により孔1aが形成されるので、図7に示すように、第1接触部15と第2接触部17との間に、ピッチ方向DPと連結部11の板厚方向DBとに直交する直交方向DRと平行な方向で、隙間Cが生じる。その結果、第1接触部15と第2接触部17とを結ぶ仮想直線(直線)1fは、ピッチ方向DPに対して傾く。この実施形態では、第1接触部15のコンタクト3に最も強く接触する点1dと第2接触部17のコンタクト5に最も強く接触する点1eとを結ぶ直線が仮想直線1fである。
【0045】
ピッチ方向DPに対して仮想直線1fが傾き、梁部13の長手方向と平行な中心軸Sがピッチ方向DPと直交していると、梁部13にはピッチ方向DPと平行で中心Oを通る仮想軸DPL(図7参照)を回転中心とするモーメントが生じる。この実施形態では、梁部13の長手方向と平行な中心軸Sは仮想直線1fと直交するので、梁部13に生じるピッチ方向DPと平行で中心Oを通る仮想軸DPLを回転中心とするモーメントを抑制することができる。金属板に打抜き加工を施したとき、中心軸Sと連結部11の板厚方向DBとに直交する仮想直線1f上に、第1接触部15とこの第1接触部15が連なる梁部13に連なる第2接触部17とがある。
【0046】
上述のように、各梁部13には1つの第1接触部15と1つの第2接触部17しか設けられていないので、第1接触部15と一方の連結部11との間の捩じり部分の長さと、第2接触部17と他方の連結部11との間の捩じり部分の長さとを長くすることができ、その結果、これらの捩じり部分のばね定数が小さくなり、梁部13が塑性変形しにくくなる。
【0047】
コンタクトエレメント1を形成するには、まず、図7に示すように、金属板に打抜き加工を施す。このとき、孔1a,1b,1c等が形成される。このとき、第1接触部15、第2接触部17はまだそれぞれ隣接する梁部13につながっている。
【0048】
次に、曲げ加工により、梁部13を所定方向へ捩じるとともに、第1接触部15、第2接触部17をそれぞれ隣接する梁部13から分断する。
【0049】
その後、曲げ加工により、第1接触部15、第2接触部17の先端部を円弧状に折り曲げる。
【0050】
最後に、曲げ加工により、被保持部19をL字形に折り曲げる。
【0051】
以上の工程によりコンタクトエレメント1が形成される。
【0052】
なお、上述のプレス加工では、打抜きの次に、梁部13を捩じると同時に第1接触部15、第2接触部17と梁部13との切断を行い、その後、第1接触部15、第2接触部17の先端部を折り曲げ、最後に、被保持部19を折り曲げるという順番であるが、コンタクトエレメント1のプレス加工の順番はこれに限定されない。例えば、打抜きの次に第1接触部15、第2接触部17と梁部13との切断だけを行い、その後、第1接触部15、第2接触部17の先端部の折曲げと被保持部19の折曲げとを行い、最後に、梁部13を捩じるという順番でもよい。
【0053】
コネクタ9を組み立てるには、図1に示すように、2つのコンタクトエレメント1をコンタクト3の2つのアリ溝32に挿入すればよい。コンタクトエレメント1がアリ溝32に挿入されると、被保持部19がアリ溝32の両側部に嵌り、コンタクト3に保持される。コンタクト3に保持されたコンタクトエレメント1の第1接触部15はコンタクト3に接触する。
【0054】
コネクタ9にコンタクト5を接続するには、図1に示すように、コンタクト5を嵌合方向DCからコンタクト3の受容部31に挿入すればよい。コンタクト5が受容部31に挿入されると、コンタクトエレメント1の第2接触部17はコンタクト5に接触する。1つの梁部13に連なる第1接触部15と第2接触部17とはそれぞれ1つであるので、コンタクト5をコンタクト3の受容部31に挿入したときの第2接触部17とコンタクト5との接触力が過剰に大きくならないので、コンタクト5の挿入力が大きくならない。
【0055】
この実施形態によれば、コンタクト5をコネクタ9の受容部31に小さな力で挿入することができる。
【0056】
また、第1接触部15から一方の連結部11までの距離、第2接触部17から他方の連結部12までの距離がそれぞれ長くなり、梁部13のばね定数が小さくなるので、梁部13は塑性変形しにくくなる。したがって、梁部13の長手方向寸法を大きくせずに、コンタクトエレメント1の信頼性を高くすることができる。
【0057】
更に、第1接触部15とこの接触部15に隣接する別の梁部13の第2接触部17とが、梁部13の中心軸Sと平行な仮想直線L上にあるので、梁部13の狭ピッチ化を図ることができ、コンタクトエレメント1のピッチ方向DPの寸法を大きくせずに梁部13の数を多くすることができる。
【0058】
また、中心軸Sと仮想直線1fとが直交するので、仮想軸DPLを回転中心とするモーメントを抑制でき、コンタクトエレメント1が第1接触部15、第2接触部17以外の部分でコンタクト5に接触するのを防止でき、コンタクトエレメント1の設計値通りにコンタクト5との接続を行うことができる。
【0059】
更に、1つの梁部13に連なる第1接触部15と第2接触部17とはそれぞれ1つであるので、コンタクト5をコンタクト3の受容部31に挿入したときの第2接触部17とコンタクト5との接触力が大きくならず、コンタクト5の挿入力も大きくならない。
【0060】
次に、この発明の第2実施形態のコンタクトエレメントを図8に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する部分についてだけ説明する。
【0061】
第1実施形態のコンタクトエレメント1では、図7に示すように、打抜き加工を施したとき、梁部13とこの梁部13の左隣の梁部13の第1接触部15との境界線(図7の2点鎖線)、梁部13とこの梁部13の右隣の梁部13の第2接触部17との境界線(図7の2点鎖線)は、いずれも直交方向DRと平行である。
【0062】
これに対し、第2実施形態のコンタクトエレメント101では、図8に示すように、打抜き加工を施したとき、梁部113とこの梁部113の左隣の梁部113の第1接触部115との境界線(図8の2点鎖線)、梁部113とこの梁部113の右隣の梁部113の第2接触部117との境界線(図8の2点鎖線)は、いずれも直交方向DRに対して傾き、梁部113の中心軸Sと平行である。
【0063】
第1実施形態のコネクタ9のコンタクトエレメント1では、打抜き後、梁部13を中心軸S周りに捩じるとともに第1接触部15、第2接触部17と両隣の梁部13とを分断し、その後、第1接触部15、第2接触部17の先端部を円弧状に折り曲げるが、打抜き時の境界線(図7参照)は中心軸Sに対して傾いているので、第1接触部15、第2接触部17の連結部11側部分の曲率半径を第1接触部15、第2接触部17の中心O側部分の曲率半径より大きくしなければならない。
【0064】
これに対し、第2実施形態のコンタクトエレメント101では、打抜き時の境界線(図8参照)は中心軸Sと平行であるので、第1接触部115、第2接触部117の先端部を円弧状に折り曲げるとき、第1接触部115、第2接触部117の連結部11側部分の曲率半径と第1接触部115、第2接触部117の中心O側部分の曲率半径とを同じにすることができる。したがって、単純な曲げ加工で第1接触部115、第2接触部117の先端部を円弧状に折り曲げることができる。
【0065】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、第1接触部115、第2接触部117の先端部の曲げ加工を容易にできる。
【0066】
次に、この発明の第3実施形態のコネクタを図9〜図11に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する部分についてだけ説明する。
【0067】
図9〜図11に示すように、第3実施形態は図2〜図6に示すコンタクトエレメント1をソケット型のコネクタ209に適用したものである。
【0068】
コネクタ209はソケット型の1つのコンタクト203と1つのコンタクトエレメント1とを備えている。
【0069】
コンタクト203は筒状であり、コンタクト203の内部空間が受容部231である。受容部231はコンタクト205を受け容れる。コンタクト203の内周面には、コンタクトエレメント1を装着するための溝232が、周方向に沿って形成されている。溝232はアリ溝ではなく、溝232の断面形状は矩形である。
【0070】
コネクタ209の相手側コンタクトであるコンタクト205はピン型である。
【0071】
コンタクトエレメント1をコンタクト203の溝232に装着するには、まず、帯状のコンタクトエレメント1を筒状に折り曲げる。このときのコンタクトエレメント1の外径は、コンタクト203の溝232の部分の内径よりも大きい。
【0072】
次に、筒状のコンタクトエレメント1の外径をコンタクト203の受容部231の内径よりも小さくし、その状態のままコンタクトエレメント1を受容部231を通じて溝232に装着する。溝232に装着されたコンタクトエレメント1はその弾性力により、その外径が大きくなり、溝232の底面に密着する。コンタクトエレメント1の外径は受容部231の内径よりも大きいので、コンタクトエレメント1は溝232から脱落しない。
【0073】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0074】
次に、この発明の第4実施形態のコネクタを図12、図13に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する部分についてだけ説明する。
【0075】
図12、図13に示すように、第4実施形態は図2〜図6に示すコンタクトエレメント1をピン型のコネクタ309に適用したものである、
【0076】
コネクタ309はピン型のコンタクト303とコンタクトエレメント1とを備えている。
【0077】
コンタクト303はピン状である。コンタクト303の外周面にはコンタクトエレメント1を装着するための溝332が形成されている。溝332はアリ溝ではなく、溝332の断面形状は矩形である。
【0078】
コネクタ309の相手側コンタクトであるコンタクト305はソケット型である。コンタクト305はコンタクト303を受け容れる受容部351を有する。
【0079】
コンタクトエレメント1をコンタクト303の溝332に装着するには、まず、帯状のコンタクトエレメント1を筒状に折り曲げる。このときのコンタクトエレメント1の内径は、コンタクト303の溝332の部分の外径よりも小さい。
【0080】
次に、筒状のコンタクトエレメント1の内径を、コンタクト303の外径よりも大きくしてコンタクトエレメント1をコンタクト303の溝332に装着する。溝332内に配置されたコンタクトエレメント1はその弾性力により、その内径が小さくなり、溝332の底面に密着する。コンタクトエレメント1の内径がコンタクト303の外径よりも小さいので、コンタクトエレメント1は溝332から脱落しない。
【0081】
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0082】
次に、この発明の第5実施形態のコネクタを図14に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する部分についてだけ説明する。
【0083】
図14に示すように、金属板を打ち抜いたとき、折曲げ加工前、第1接触部515の中心O側の端部と、その第1接触部515に隣接する別の(図14で右隣の)梁部13の第2接触部517の中心O側の端部とは、中心軸S方向で一体につながっている。
【0084】
また、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部515の先端(ピッチ方向DPの先端)と、その第1接触部515に隣接する別の(図14で右隣の)梁部13とは分断されている。第2接触部517の先端(ピッチ方向DPの先端)と、その第2接触部517に隣接する別の(図14で左隣の)梁部13とは分断されている。
【0085】
梁部13の中心軸Sは直交方向DRに対して傾いている。
【0086】
第1接触部515、第2接触部517の先端は中心軸Sと平行である。
【0087】
第5実施形態のコネクタのコンタクトエレメント501は第1実施形態のコネクタ9のコンタクトエレメント1と同様の加工手順で形成される。
【0088】
第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、第1接触部515とそれに隣接する梁部13の第2接触部517との結合部分(打抜き後切断される部分)が短いので、第1接触部515と第2接触部517とを容易に分離することができる。
【0089】
次に、この発明の第6実施形態のコネクタを図15に基づいて説明する。第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する部分についてだけ説明する。
【0090】
図15に示すように、金属板を打ち抜いたとき、折曲げ加工前、第1接触部615の中心O側の端部と、その第1接触部615に隣接する別の(図15で右隣の)梁部13の第2接触部617の中心O側の端部とは、中心軸S方向で一体につながっている。
【0091】
また、金属板を打ち抜いたとき、第1接触部615の先端(ピッチ方向DPの先端)と、その第1接触部615に隣接する別の(図15で右隣の)梁部13とは分断されている。第2接触部617の先端(ピッチ方向DPの先端)と、その第2接触部617に隣接する別の(図15で左隣の)梁部13とは分断されている。
【0092】
梁部13の中心軸Sは直交方向DRに対して平行である。
【0093】
第1接触部615、第2接触部617の先端は中心軸Sと平行である。
【0094】
第6実施形態のコネクタのコンタクトエレメント601は第1実施形態のコネクタ9のコンタクトエレメント1と同様の加工手順で製造される。
【0095】
第6実施形態によれば、第5実施形態と同様の作用効果を奏する。また、梁部13の中心軸Sとピッチ方向DPとが直交しているので、コンタクトエレメント601の打抜き加工の型を製造しやすく、コンタクトエレメント601の製造コストを少なくすることができる。
【0096】
なお、上述の実施形態では、第1接触部15,115、第2接触部17,117が梁部13の中心Oに対して点対称であるが、必ずしもそうする必要はない。
【0097】
また、上述の実施形態では、梁部13,113の中心軸Sと仮想直線1fとが直交しているが、必ずしもそうする必要はない。
【0098】
なお、上述の実施形態では、第1接触部15,115、第2接触部17,117の先端部を円弧状に曲げたが、必ずしもそうする必要はない。
【0099】
また、上述の実施形態では、コンタクトエレメント1,101の連結部11は2つであるが、3つ以上の連結部11を採用し、それらの連結部11間に複数の梁部13,113をかけ渡してもよい。
【0100】
なお、上述の実施形態以外の実施形態のコネクタとしては、上面にアリ溝を形成した平板状のコンタクトと、このコンタクトのアリ溝に挿入される上述のコンタクトエレメント1とで構成されるコネクタがある。このコネクタの相手側コンタクトとして平板状の相手側コンタクトがある。この実施形態では、コネクタのコンタクトの上面に相手側コンタクトを重ね、ボルト、ナットによってコネクタのコンタクトと相手側コンタクトとを結合する。ボルト、ナットによって結合されたコネクタのコンタクトと相手側コンタクトとは、コンタクトエレメント1によって互いに導通する。
【0101】
また、上述の第1実施形態では、連結部11に被保持部19を連ね、被保持部19をコンタクト3のアリ溝32に保持させるようにしてコンタクトエレメント1をコンタクト3に装着したが、コンタクトエレメント1に被保持部19を設けないとともに、また、コンタクト3のアリ溝32を設けず、コンタクトエレメント1の連結部11をコンタクト3にねじ止めするようにしてもよい。
【0102】
なお、上述の実施形態の他の実施形態として、コンタクト3,203,303の後端部が絶縁材料で形成された図示しないハウジングに保持されたものがある。
【符号の説明】
【0103】
1,101,501,601:コンタクトエレメント、11:連結部、13,113:梁部、15,115,515,615:第1接触部、17,117,517,617:第2接触部、19:被保持部、1a,1b,1c:孔、1d,1e:点、1f:仮想直線(直線)、3,203,303:コンタクト、31,231,351:受容部、32:アリ溝、232,332:溝、5,205,305:コンタクト(相手側コンタクト)、9,209,309:コネクタ、a:間隔、C:隙間、DB:板厚方向、DC:嵌合方向、DP:ピッチ方向、DPL:仮想軸、DR:直交方向、D1:第1方向、D2:第2方向、D3:第3方向、D4:第4方向、H:高さ方向、L:仮想直線、O:梁部13,113の中心、P:ピッチ、S:中心軸、W:幅方向。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板にプレス加工を施すことにより形成され、コンタクトに装着されるコンタクトエレメントにおいて、
一定の間隔を介して互いに平行に延びる複数の連結部と、
前記連結部間にかけ渡され、所定のピッチで配置される複数の梁部と、
前記梁部の中心部に連なり、前記コンタクトに接触する第1接触部と、
前記梁部の中心部に連なり、前記コンタクトが接続される相手側コンタクトに接触する第2接触部と
を備え、
前記第1接触部が前記梁部のピッチ方向と平行な第1方向へ突出し、
前記第2接触部が前記第1方向と反対の第2方向へ突出し、
前記梁部が前記梁部の長手方向と平行な中心軸周りへ捩じられて、前記第1接触部が前記連結部の板厚方向と平行な第3方向へ突出するとともに、前記第2接触部が前記第3方向と反対の第4方向へ突出し、
前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸に沿って並んでいる
ことを特徴とするコンタクトエレメント。
【請求項2】
前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸と平行な仮想直線上にある
ことを特徴とする請求項1記載のコンタクトエレメント。
【請求項3】
前記第1接触部とこの接触部が連なる梁部に連なる前記第2接触部とは、その梁部の中心に対して点対称である
ことを特徴とする請求項1又は2記載のコンタクトエレメント。
【請求項4】
前記ピッチ方向と平行で前記梁部の中心を通る仮想軸を回転中心とするモーメントを抑制するために前記中心軸が、前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して傾いている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のコンタクトエレメント。
【請求項5】
前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸と前記連結部の板厚方向に平行な方向とに直交する直線上に、前記第1接触部とこの接触部が連なる梁部に連なる第2接触部とがある
ことを特徴とする請求項4記載のコンタクトエレメント。
【請求項6】
前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸方向で一体につながっており、
前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記ピッチ方向で分断され、
前記第2接触部とこの接触部に隣接する別の梁部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記ピッチ方向で分断されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のコンタクトエレメント。
【請求項7】
前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸が前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して傾いていることを特徴とする請求項6記載のコンタクトエレメント。
【請求項8】
前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸が前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して平行であることを特徴とする請求項6記載のコンタクトエレメント。
【請求項9】
前記第1、第2接触部の先端部が円弧状に曲がっている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のコンタクトエレメント。
【請求項10】
前記金属板を打ち抜いたとき、前記第1、第2接触部の先端と前記中心軸とが平行であることを特徴とする請求項9記載のコンタクトエレメント。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載のコンタクトエレメントと、これが装着される前記コンタクトとを備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項1】
金属板にプレス加工を施すことにより形成され、コンタクトに装着されるコンタクトエレメントにおいて、
一定の間隔を介して互いに平行に延びる複数の連結部と、
前記連結部間にかけ渡され、所定のピッチで配置される複数の梁部と、
前記梁部の中心部に連なり、前記コンタクトに接触する第1接触部と、
前記梁部の中心部に連なり、前記コンタクトが接続される相手側コンタクトに接触する第2接触部と
を備え、
前記第1接触部が前記梁部のピッチ方向と平行な第1方向へ突出し、
前記第2接触部が前記第1方向と反対の第2方向へ突出し、
前記梁部が前記梁部の長手方向と平行な中心軸周りへ捩じられて、前記第1接触部が前記連結部の板厚方向と平行な第3方向へ突出するとともに、前記第2接触部が前記第3方向と反対の第4方向へ突出し、
前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸に沿って並んでいる
ことを特徴とするコンタクトエレメント。
【請求項2】
前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸と平行な仮想直線上にある
ことを特徴とする請求項1記載のコンタクトエレメント。
【請求項3】
前記第1接触部とこの接触部が連なる梁部に連なる前記第2接触部とは、その梁部の中心に対して点対称である
ことを特徴とする請求項1又は2記載のコンタクトエレメント。
【請求項4】
前記ピッチ方向と平行で前記梁部の中心を通る仮想軸を回転中心とするモーメントを抑制するために前記中心軸が、前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して傾いている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のコンタクトエレメント。
【請求項5】
前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸と前記連結部の板厚方向に平行な方向とに直交する直線上に、前記第1接触部とこの接触部が連なる梁部に連なる第2接触部とがある
ことを特徴とする請求項4記載のコンタクトエレメント。
【請求項6】
前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部の第2接触部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸方向で一体につながっており、
前記第1接触部とこの接触部に隣接する別の梁部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記ピッチ方向で分断され、
前記第2接触部とこの接触部に隣接する別の梁部とが、前記金属板を打ち抜いたとき、前記ピッチ方向で分断されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のコンタクトエレメント。
【請求項7】
前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸が前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して傾いていることを特徴とする請求項6記載のコンタクトエレメント。
【請求項8】
前記金属板を打ち抜いたとき、前記中心軸が前記連結部の板厚方向と前記ピッチ方向とに直交する直交方向に対して平行であることを特徴とする請求項6記載のコンタクトエレメント。
【請求項9】
前記第1、第2接触部の先端部が円弧状に曲がっている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のコンタクトエレメント。
【請求項10】
前記金属板を打ち抜いたとき、前記第1、第2接触部の先端と前記中心軸とが平行であることを特徴とする請求項9記載のコンタクトエレメント。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載のコンタクトエレメントと、これが装着される前記コンタクトとを備えていることを特徴とするコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−238500(P2012−238500A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107247(P2011−107247)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
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