説明

コンテクスト抽出サーバ、コンテクスト抽出方法、およびプログラム

【課題】編集によりメディアデータに付与されたメタ情報に基づき、他のメディアデータと関連付けられたコンテクストを抽出するコンテクスト抽出サーバ、コンテクスト抽出方法、およびプログラムを提供することにある。
【解決手段】特徴量算出機能部207により、映像中の物体の大まかな位置を検出するアルゴリズムや、平均の色を算出するアルゴリズム等の基礎的な特徴量を抽出するアルゴリズムをメディアデータに適用し、得られる時系列的な特徴量ベクトルと、メタ情報整形機能部206により、メディアデータに時系列的に付与されたコメントを、その発生頻度や言語自体の特性から形成されるメタ情報との相関が、相関計算機能部305により演算される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、映像や音楽などで構成されるメディアコンテンツの内容を認識し、多様な情報を含むメディアデータから、メディアデータ同士を関連付けるコンテクストを抽出するコンテクスト抽出サーバ、コンテクスト抽出方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
メディアデータから情報を抽出する技術として、例えば、メディアデータを認識し、認識した結果に基づいて検索することにより、メディアデータ内の文字を自動認識する技術が知られている。この技術を利用することにより、携帯電話等で取得されたメディアデータ内に含まれる看板の文字を読み取り、翻訳して検索するサービスなどが行われている。
また、イメージセンサなどから取得された情報に基づき、一番近い目標物の情報を目標物データベースから検索して出力するコンテクスト・アウェア画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、予め目標物に応じた特徴量がインデクシングされている目標物データベースを利用して、目標物を特定する際にインデクシングされた画像の特徴量データ同士を比較することにより、一番近い目標物の情報を目標物データベースから検索することができる構成となっている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−187218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の背景技術に記載の一例において、前者の検索サービスでは、認識対象のメタ情報は手動で用意する必要があり、手間がかかるという問題があった。一方、後者のような画像形成装置においては、目標物を特定する際にインデクシングされた画像の特徴量データ同士を比較するため、目標物のみが映っている画像をユーザが選択する必要があり、ユーザに負担がかかる問題があった。
【0005】
また、従来のメディア解析技術では、1つの情報を高精度に抽出するために特化したものが多く、この方法では、メディアに存在し得る多くの情報を抽出するためには、さまざまな種類の解析技術を適用する必要があり、処理負担が大きくなる問題があった。
さらに、従来のメディア解析技術では、データの特性の変化に追従するため、学習パラメータを更新するなどの何らかの方法で新たなメタ情報自体を取得する必要があるが、メタ情報を再度構築するためには、非常に手間がかかり、一旦学習したパラメータを使い続けるのが一般的であった。そのため、想定外のデータが適用された場合、誤認識が多く発生するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮し、上記の問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、編集によりメディアデータに付与されたメタ情報に基づき、他のメディアデータと関連付けられたコンテクストを抽出するコンテクスト抽出サーバ、コンテクスト抽出方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明は、メディアデータに基づき、メディアデータの内容を認識するためコンテクストを抽出するコンテクスト抽出サーバにおいて、前記メディアデータに付加されたメタ情報に基づき、時系列に表されたメタ情報行列を生成するメタ情報整形機能部と、前記メディアデータの属性を示す概要情報に基づき、予め設定されている特徴量抽出関数を特定し、特定された前記特徴量抽出関数に基づき、前記時系列と同間隔で表された特徴量行列を生成する特徴量算出機能部と、前記メタ情報整形機能部が生成した前記メタ情報行列と、前記特徴量算出機能部から受信した前記特徴量行列との相関を計算し、特徴量抽出への寄与率の高い前記特徴量抽出関数を決定する行列相関計算機能部と、前記相関計算機能部により算出された相関と、前記特徴量抽出関数を、学習結果として行列記憶する相関結果蓄積部と、を有することを特徴とするコンテクスト抽出サーバである。
【0008】
また、本発明は、前記メタ情報は、ネットワークを介して外部端末より受信する前記メディアデータに付加されたコメントであることを特徴とするコンテクスト抽出サーバである。
【0009】
また、本発明は、前記相関結果蓄積部は、前記学習結果として、前記相関と、前記特徴量抽出関数と、前記特徴量抽出関数に関連付けられた概要情報行列を記憶し、前記相関計算機能部は、決定した前記特徴量抽出関数行列と、この特徴量抽出関数行列に関連づけられた前記概要情報に基づき、前記メタ情報行列を算出することを特徴とするコンテクスト抽出サーバである。
【0010】
また、本発明は、前記コンテクスト抽出サーバは、前記メタ情報を含まない他のメディアデータを受信した場合、前記相関計算機能部により算出された相関と、特徴量抽出への寄与率の高い前記特徴量抽出関数と行列、前記概要情報を含む学習結果を用いて、前記他のメディアデータの属性を示す前記概要情報に基づき、この他のメディアデータからコンテクストを抽出する相関適用機能部と、更にネットワークを介して接続されている外部サーバに前記抽出されたコンテクストを送信する送信部を有することを特徴とするコンテクスト抽出サーバである。
【0011】
また、本発明は、受信したメディアデータに基づき、メディアデータの内容を認識するためコンテクストを抽出するコンテクスト抽出サーバにおけるコンテクスト抽出方法において、メタ情報整形機能部が、前記メディアデータに付加されたメタ情報に基づき、時系列に表されたメタ情報行列を生成し、特徴量算出機能部が、前記メディアデータの属性を示す概要情報に基づき、予め設定されている特徴量抽出関数を特定し、特定された前記特徴量抽出関数に基づき、前記時系列と同間隔で表された特徴量行列を生成し、相関計算機能部が、前記メタ情報整形機能部から受信した前記メタ情報行列と、前記特徴量算出機能部から受信した前記特徴量行列との相関を計算し、特徴量抽出への寄与率の高い前記特徴量抽出関数を決定し行列、相関結果蓄積部が、前記相関計算機能部により算出された相関と、前記特徴量抽出関数を、学習結果として行列記憶することを特徴とするコンテクスト抽出方法である。
【0012】
また、本発明は、前記メタ情報は、ネットワークを介して外部端末より前記メディアデータに付加されたコメントであることを特徴とするコンテクスト抽出方法である。
【0013】
また、本発明は、前記相関結果蓄積部は、前記学習結果として、前記相関と、前記特徴量抽出関数と、前記特徴量抽出関数に関連付けられた概要情報行列を記憶し、前記相関計算機能部は、決定した前記特徴量抽出関数行列と、この特徴量抽出関数行列に関連づけられた前記概要情報に基づき、前記メタ情報行列を算出することを特徴とするコンテクスト抽出方法である。
【0014】
また、本発明は、受信したメディアデータに基づき、メディアデータの内容を認識するためコンテクストを抽出するコンピュータを、前記メディアデータに付加されたメタ情報に基づき、時系列に表されたメタ情報行列を生成するメタ情報整形手段、前記メディアデータの属性を示す概要情報に基づき、予め設定されている特徴量抽出関数を特定し、特定された前記特徴量抽出関数に基づき、前記時系列と同間隔で表された特徴量行列を生成する特徴量算出手段、前記メタ情報整形手段から受信した前記メタ情報行列と、前記特徴量算出手段から受信した前記特徴量行列との相関を計算し、特徴量抽出への寄与率の高い前記特徴量抽出関数を決定する行列相関計算手段、前記相関計算手段により算出された相関と、前記特徴量抽出関数を、学習結果として行列記憶する相関結果蓄積手段、として機能させるためのプログラムである。
【0015】
また、本発明は、前記メタ情報は、ネットワークを介して外部端末より前記メディアデータに付加されたコメントであることを特徴とするプログラムである。
【0016】
また、本発明は、前記相関結果蓄積手段は、前記学習結果として、前記相関と、前記特徴量抽出関数と、前記特徴量抽出関数に関連付けられた概要情報行列を記憶し、前記相関計算手段は、決定した前記特徴量抽出関数行列と、この特徴量抽出関数行列に関連づけられた前記概要情報に基づき、前記メタ情報行列を算出することを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施の形態によるコンテクスト抽出サーバは、メディアデータに付加されたメタ情報に基づき、時系列に表されたメタ情報行列を生成するメタ情報整形機能部と、メディアデータの属性を示す概要情報に基づき、予め設定されている特徴量データを検出し、検出された特徴量データに基づき、時系列と同間隔で表された特徴量行列を生成する特徴量算出機能部と、メタ情報整形機能部が生成したメタ情報行列と、特徴量算出機能部から受信した特徴量行列との相関を計算し、相関の高い特徴量行列を算出する相関計算機能部と、相関計算機能部により算出された相関の高い特徴量行列を含む相関結果をコンテクストとして記憶する相関結果蓄積部とを有する。この構成により、コンテクスト抽出サーバは、メタ情報整形機能部により生成されたメタ情報行列に基づきメディアデータの認識情報(コンテクスト)を抽出することができる。よって、コンテクスト抽出サーバは、メディアデータの認識において、専門的な認識アルゴリズムを幾つも適用することなく、学習処理により更新される学習結果を利用することができ、効率よくメディアデータの認識をすることができる。
また、本発明の一実施の形態によれば、メタ情報として、ネットワークを介して外部端末より受信するメディアデータに付加されたコメント、例えば、ユーザの編集によりメディアデータに付加されたコメントを利用し、このメタ情報に基づき、コンテクストを抽出している。これにより、コンテクスト抽出サーバは、メディアデータに対して人間が与えた認識情報を、他のメディアデータの認識に対しても利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態によるコンテクスト抽出システム1の構成を示す概略ブロック図である。
図1に示すように、コンテクスト抽出システム1は、ネットワーク100を介して接続されているコンテクスト抽出サーバ101、複数のユーザ端末102A,102B,102C、およびアプリケーションサーバ103を備える。
【0019】
コンテクスト抽出サーバ101は、複数のユーザ端末102A〜102Cから送信されるメディアデータから取得したメタ情報と、予め用意されている特徴量データとの相関を演算し、コンテクストとして演算された相関結果を抽出する。詳細については、図2において説明する。
なお、メディアデータとは、映像や画像、音楽等を含むデータである。また、特徴量データとは、特徴量抽出関数識別子α,β,γ・・・で表される特徴量抽出関数を用いて算出されたものである。
【0020】
複数のユーザ端末102A〜102Cは、ネットワークを介してコンテクスト抽出サーバ101と、メディアデータの送受信・閲覧・編集を行う。
例えば、ユーザ端末102Aは、ユーザからのメディアデータをコンテクスト抽出サーバ101に送信するメディア送信端末である。ユーザ端末102Aは、ユーザにより決定されたメディアデータを公開するか否かの属性を付与して、メディアデータをメディア取得機能部201に送信する。
ユーザ端末102Bは、コンテクスト抽出サーバ101に記憶されているメディアデータを読み出すメディア閲覧端末であって、閲覧が許可されているメディアデータをメディア閲覧機能部202から受信する。
ユーザ端末102Cは、コンテクスト抽出サーバ101に記憶されているメディアデータを編集するメディア編集端末である。メディア編集端末としてのユーザ端末102Cは、編集が許可されている編集メディアデータを受信し、編集を加えたメディアデータをメディア編集機能部203に送信する。
【0021】
アプリケーションサーバ103は、ネットワークを介してコンテクスト抽出サーバ101から抽出されたコンテクストを利用したサービスを複数のユーザ端末102A〜102Cに提供する。アプリケーションサーバ103は、例えば、コンテクスト抽出サーバ101により算出された認識結果(コンテクスト)を利用して、ユーザ端末102A〜102Cから受信される映像に基づき検索サービスを提供する。
【0022】
次に、図2を用いて、コンテクスト抽出サーバ101の一例について詳細に説明する。
図2に示すとおり、コンテクスト抽出サーバ101は、メディア取得機能部201、メディア閲覧機能部202、メディア編集機能部203、メディア蓄積部204、編集内容蓄積部205、メタ情報整形機能部206、特徴量算出機能部207、相関計算機能部208、相関適用機能部209、相関結果蓄積部210、および送信部211を含む。なお、メディア取得機能部201〜相関結果蓄積部210までを、コンテクスト抽出機能部とも呼称する。
【0023】
メディア取得機能部201は、メディア送信端末としてのユーザ端末102Aから受信したメディアデータを、メディアデータの属性に応じて、メディア蓄積部204あるいは特徴量算出機能部207に記憶する。メディア取得機能部201は、メディア蓄積部204にメディアデータを記憶する場合、メディアデータが帰属するユーザ等により公開が許可されている公開メディアデータであるか、あるいは、公開が許可されていない未公開メディアデータあるかを、メディアデータに付与されている属性に基づき判断する。なお、この公開有無の属性は、ユーザの選択に基づき、ユーザ端末102Aにより付与される。メディア取得機能部201は、受信したメディアデータを、公開メディアデータあるか未公開メディアデータであるかという属性と関連付けてメディア蓄積部204に記憶する。
【0024】
メディア閲覧機能部202は、メディア閲覧端末としてのユーザ端末102Bから送信される閲覧リクエストを受信し、メディア蓄積部204から閲覧リクエストに対応するメディアデータを読み出す。メディア閲覧機能部202は、閲覧リクエストに対応するメディアデータの属性を検出し、閲覧リクエストに対応するメディアデータが公開メディアデータであった場合、対応するメディアデータをユーザ端末102Bに公開し、未公開メディアデータであった場合、閲覧リクエストに対応するメディアデータは閲覧できない旨をユーザ端末102Bに通知する。
【0025】
メディア編集機能部203は、メディア編集端末としてのユーザ端末102Cから送信される編集リクエストを受信し、メディア蓄積部204から編集リクエストに対応するメディアデータを読み出す。メディア編集機能部203は、編集リクエストに対応するメディアデータが、メディアデータが帰属するユーザ等により編集が許可されている編集メディアデータであるか、あるいは、編集が許可されていない禁編集メディアデータであるかをメディアデータに付与されている属性に基づく判断する。なお、この編集可否の属性は、公開有無の属性と同様、ユーザの選択に基づき、ユーザ端末102Aにより付与される。メディア編集機能部203は、編集リクエストに対応するメディアデータが編集メディアデータであった場合、対応するメディアデータをユーザ端末102Cに送信し、禁編集メディアデータであった場合、編集リクエストに対応するメディアデータは編集できない旨をユーザ端末102Cに通知する。
【0026】
なお、編集が許可されている編集メディアデータは、公開が許可されているメディアデータであって、メディアデータが帰属するユーザにより、編集ができるユーザや、コメント添付やトリミング等の編集操作が設定されている。例えば、編集メディアデータは、不特定多数のユーザにより、コメントの付与が許可されている。
メディア編集機能部203は、編集メディアデータごとに、編集したユーザ、編集操作、および編集内容等の編集履歴を時系列に管理し、編集されたメディアデータおよびその編集履歴を編集内容蓄積部205に記憶する。
【0027】
メディア蓄積部204は、メディアデータを、属性に応じて記憶する。例えば、メディア蓄積部204は、公開メディアデータと非公開メディアデータを区別して、それぞれ記憶する。
【0028】
編集内容蓄積部205は、編集されたメディアデータ、およびメディア編集機能部203により作成された編集履歴を記憶する。
【0029】
メタ情報整形機能部206は、編集内容蓄積部205から編集履歴を読み出し、この編集履歴からメタ情報を抽出する。例えば、メタ情報整形機能部206は、編集履歴における言語情報として、編集により添付されたコメント情報を抽出する。メタ情報整形機能部206は、抽出されたコメント情報に対して形態素解析を施し、意味のない単語や、品詞として不適切なものを削除した後、発生頻度の高い単語や編集操作情報をメタ情報として抽出する。
【0030】
図3,4を用いてより詳細に説明する。図3は、メタ情報行列Gの一例を説明する概念図であって、編集履歴対象として修学旅行の映像、すなわち時間軸方向に複数の画像を連続して有するメディアデータにおいて、時間軸方向に関連付けられたコメントに基づくメタ情報を利用している。図4は、メタ情報行列Gに基づき、分析メタ情報行列Sを算出する方法を説明する概念図を示す。
【0031】
編集内容蓄積部205は、編集履歴として、ユーザにより編集がなされた時を示す時間tと、この編集がなされた時に対応する、編集により付加されたコメント等を記憶する。メタ情報整形機能部206は、この編集履歴に基づき、図示するように、単語化されたメタ情報を時系列に管理し、メタ情報の発生状況を表したメタ情報行列Gを作成する。
【0032】
例えば、メタ情報整形機能部206は、メディアデータにおける所定の時間tを特定の量子化幅Δtで離散化し、ノイズが除去され選別されたメタ情報(ここでは、学生、僧侶、仏像、電車等のコメント内で発生頻度の高い単語)の発生頻度を行、時間Δtを列とするメタ情報行列G=(gi,j),0≦i≦l−1,0≦j≦n−1を作成する。
【0033】
メタ情報整形機能部206は、図4に示すように、メタ情報行列Gを時間軸方向に分解し、メタ情報ベクトル列Gi,0,Gi,1,・・・,Gi,n−1を作成する。メタ情報整形機能部206は、このメタ情報ベクトル列Gi,0,Gi,1,・・・,Gi,n−1を主成分分析し、固有ベクトル列R=ν,・・・,νk−1,ν,・・・,νl−1と、固有値λ,・・・,λk−1,λ,・・・,λl−1とを生成する。
メタ情報整形機能部206は、主成分分析によって生成された固有値λ,・・・,λk−1,λ,・・・,λl−1のうち、例えば0.001以下など、予め定められた閾値μ(例えば0.001)以下の固有値λ,・・・,λl−1に対応する固有ベクトルν,・・・,νl−1が張る空間を削除する。具体的には、例えばk個の固有値λ,・・・,λk−1が閾値μより大きい値であった場合、メタ情報行列Gを、生成された固有ベクトルを基底ベクトルとする基底変換行列(=射影子R=[ν,・・・,νk−1,ν,・・・,νl−1])で基底変換し、上k次元の部分行列を抽出することで実現できる。これにより、メタ情報整形機能部206は、言葉の言い換えや依存関係のある事象を圧縮した分析メタ情報行列Sを得ることができる。
よって、分析メタ情報行列S=(si,j),0≦i≦k−1,0≦j≦n−1であって、k≦i≦l−1の範囲の分析メタ情報行列Sは、所定の閾値μ以下であるとして、削除される。
【0034】
メタ情報整形機能部206は、主成分分析で生成された固有ベクトル、すなわち基底行列の変換における射影子Rを、メタ情報行列G毎に関連付けて、編集内容蓄積部205に記憶する。また、メタ情報整形機能部206は、分析メタ情報行列Sを編集内容蓄積部205に記憶する。
【0035】
特徴量算出機能部207は、メディアデータに基づき、ファイル名や撮影された位置情報などから概要情報を作成する。特徴量算出機能部207は、概要情報をキーとして、相関結果蓄積部210に記憶されている複数の特徴量抽出関数の特徴量識別子の集合α,β,γ・・・から、関連のある特徴量抽出関数の特徴量識別子α,βを取得する。
特徴量算出機能部207は、図5に示すとおり、時間軸(t)方向に特定の量子化幅Δtで離散化された、特徴量識別子α,βを有する特徴量データDα,Dβを列方向に連結させ、特徴量抽出関数識別子を行番号、離散時間を列番号とする特徴量行列X=(xi,j),0≦i≦l−1,0≦j≦n−1を作成する。なお、離散化する量子化幅Δtは、メタ情報行列Gの量子化幅Δtと同じ間隔(時間幅)である。
【0036】
相関計算機能部208は、特徴量算出機能部207から特徴量行列Xを、メタ情報整形機能部206から分析メタ情報行列Sを取得し、これに基づき相関パラメータ(W,b)を計算する。すなわち、相関計算機能部208は、特徴量行列Xと、分析メタ情報行列Sとの相関を演算する。
なお、相関パラメータ(W,b)は、特徴量行列X、および分析メタ情報行列Sとの間に、式1,2,3に示すような関係を有する。
【0037】
【数1】

【0038】
【数2】

式2は、式1を整理したものである。
【0039】
【数3】

式3は、式2の両辺に、特徴量行列Xの一般化逆行列(例えばムーア・ペンローズ型逆行列)を作用させたものとしている。ただし、これは、数式上の表記であり、実際の計算ではQR分解などを行いながら誤差の影響を防ぐものとする。
なお、wは重み係数、bは固定値である。
【0040】
図6を用いて、相関計算機能部208の相関パラメータ(W,b)の計算について詳細に説明する。図6に示すとおり、相関計算機能部208は、相関パラメータWの中で、ノルムが所定の閾値(例えば0.001)よりも小さい列ベクトル(f列)が存在するか否かを検出する。相関計算機能部208は、f列を検出した場合、このf列に対応する特徴量行列Xのf行目を削除し、特徴量算出機能部207に代替の特徴量抽出関数の読み出しを指示し、それを用いて特徴量データを計算する。ここで、ノルムとは、相関パラメータのベクトル列の大きさを表すものであって、例えば、ベクトル列の各要素の2乗の総和をとった正の平方根を表す2−ノルムが利用可能である。
【0041】
相関計算機能部208は、特徴量算出機能部207により検出された、特徴量抽出関数識別子α,βに次いで概要情報と関連性の高い特徴量抽出関数識別子γを読み出し、このf行目と特徴量抽出関数識別子γに基づく特徴量データDγとを入れ替え、再度、特徴量データを計算し、特徴量行列Xを作成する。
なお、相関計算機能部208は、相関パラメータWのうち、ノルムが所定の閾値よりも小さい列ベクトルが多次元ベクトルの場合は、このノルムが全て所定の閾値よりも小さかった場合に、他の特徴量データDγと入れ替える。例えば、2次元の基礎特徴量データβは、2次元のノルムが全て所定の閾値よりも小さいか否かで、入れ替えが判断される。
相関計算機能部208は、上述の入れ替えを、ノルムが所定の閾値よりも小さい列ベクトルが検出されなくなるまで繰り返すことにより、特徴量抽出への寄与率の高い特徴量抽出関数の特徴量抽出関数識別子を決定する。相関計算機能部208は、決定した特徴量抽出への寄与率の高い特徴量抽出関数の特徴量抽出関数識別子(α,β・・・等)を、相関パラメータ(W,b)、概要情報(ファイル名等)、射影子R等とを関連付けて、学習結果のセットとして、相関結果蓄積部210に記憶する。
【0042】
相関適用機能部209は、相関計算機能部208により算出された学習結果のセットを受信し、送信部211に送信する。
また、相関適用機能部209は、メタ情報を含まないメディアデータに基づきコンテクストを抽出する場合、相関計算機能部208により算出された相関パラメータ(W,b)と、特徴量抽出への寄与率の高い特徴量抽出関数の特徴量抽出関数識別子と、概要情報と、射影子Rを含む学習結果のセットを用いて、このメディアデータの属性を示す前記概要情報に基づき、このメディアデータからコンテクストを抽出する。このように、コンテクスト抽出サーバ101は、学習結果を利用することにより、メタ情報を含まないメディアデータに基づきコンテクストを抽出することができる。
【0043】
相関結果蓄積部210は、相関計算機能部208により算出された学習結果のセットを記憶し、この学習結果のセットを繰り返し記憶することにより、学習能力を高めていく。
【0044】
送信部211は、受信した学習結果のセットをアプリケーションサーバ103あるいはメディア編集機能部203に送信する。
【0045】
次に、図7,8を用いて、本実施の形態にかかるコンテクスト抽出システムのコンテクスト抽出方法について説明する。
図7に示すとおり、メタ情報整形機能部206は、編集内容蓄積部205から編集履歴を読み出し(ステップS1)、この編集履歴に基づきメタ情報の発生状況を表したメタ情報行列Gを作成する。メタ情報整形機能部206は、このメタ情報行列Gに基づき、時間軸方向に分解されたメタ情報ベクトル列Gi,0,Gi,1,・・・,Gi,n−1と、さらに主成分分析されたベクトル列のうち所定の閾値μ以下の次元が削除された分析メタ情報行列Sを作成する。
相関計算機能部208は、このようにして作成された分析メタ情報行列Sを、メタ情報整形機能部206から読み出す(ステップS2)。
【0046】
一方、特徴量算出機能部207は、メディア蓄積部204からメディアデータを読み出し(ステップS3)、読み出したメディアデータの概要情報を作成し、相関結果蓄積部210に記憶する(ステップS4)。特徴量算出機能部207は、この概要情報をキーとして、概要情報と関連性の高い特徴量抽出関数識別子α,βを読み出し、メディアデータに適用して、特徴量抽出関数識別子α,βで表される特徴量抽出関数を取得する。特徴量算出機能部207は、得られた特徴量抽出関数に基づき特徴量データDα,Dβを算出し、連結させて特徴量行列Xを作成する(ステップS5)。
相関計算機能部208は、このようにして作成された特徴量行列Xを、特徴量算出機能部207から読み出す(ステップS6)。
【0047】
相関計算機能部208は、読み出した分析メタ情報行列Sと、特徴量行列Xに基づき、相関パラメータ(W,b)を計算する。相関計算機能部208は、相関パラメータWの中で、ノルムが所定の閾値よりも小さい列ベクトルがあるか否かを検出する。相関計算機能部208は、ノルムが所定の閾値よりも小さい列ベクトルとして特徴量抽出関数識別子αを検出した場合、相関値が低い特徴量抽出関数識別子αを削除し、特徴量算出機能部207に代替の特徴量抽出関数の読み出しを指示する(ステップS7)。
【0048】
特徴量算出機能部207は、この指示に基づき、ステップS4,5において概要情報をキーとして関連性が高いとされた特徴量抽出関数識別子α,βに次いで、概要情報との関連性が高い特徴量抽出関数識別子γを検出する(ステップS8)。特徴量算出機能部207は、この次候補である特徴量抽出関数識別子γを読み出し、これら特徴量抽出関数識別子β,γの特徴量データDβ,Dγを連結させて特徴量行列Xを作成する(ステップS9)。特徴量算出機能部207は、再度作成された特徴量行列Xと、分析メタ情報行列Sに基づき、相関パラメータ(W,b)を再計算する(ステップS10)。
【0049】
相関計算機能部208は、ノルムが所定の閾値よりも小さい列ベクトルが検出されなくなるまで、すなわち、分析メタ情報行列Sと、特徴量行列Xとの相関を演算し、特徴量抽出への寄与率が低い特徴量抽出関数が検出されなくなるまで、相関パラメータ(W,b)を計算し、概要情報と、特徴量抽出への寄与率が高い特徴量抽出関数の特徴量抽出関数識別子を決定する。相関計算機能部208は、この特徴量抽出への寄与率が高い特徴量抽出関数の特徴量抽出関数識別子、相関パラメータ(W,b)、概要情報(ファイル名等)、射影子Rを関連付けて、学習結果のセットとして、相関結果蓄積部210に記憶する(ステップS11)。
【0050】
上述のとおり、本発明によると、特徴量算出機能部207により、映像中の物体の大まかな位置を検出するアルゴリズムや、平均の色を算出するアルゴリズム等の基礎的な特徴量を抽出するアルゴリズムをメディアデータに適用し、時系列的な特徴量ベクトルを得る。また、メタ情報整形機能部206により、メディアデータに時系列的に付与されたコメントを、その発生頻度や言語自体の特性から形成されるメタ情報を得る。そして、相関計算機能部208は、このようにして得られた特徴ベクトルに基づく特徴量行列と、メタ情報に基づくメタ情報行列との相関を演算する。これにより、コンテクスト抽出サーバ101は、より少ない特徴量抽出関数で、メタ情報との相関を演算し、複数のメディアデータを効率的に認識することができる。
【0051】
次に、図8を用いて、相関結果蓄積部210に記憶されている学習結果を、まだコメント等が付与されていないメディアデータ、例えば、個人の撮影映像などに利用するコンテクスト抽出方法について説明する。
この場合、相関計算機能部208は、式4に示す演算式に従って、未知数である分析メタ情報行列Sを算出し、これを射影子Rで逆射影することで、メタ情報行列Gを推定する。
【0052】
【数4】

ここで、式4に示す相関パラメータ(W,b)および特徴量行列Xは、予め与えられている数値である。
【0053】
図8に示すとおり、例えば携帯電話等の通信端末212で撮影されたメディアデータがメディア取得機能部201により取得されると、メディア蓄積部204に記憶される。特徴量算出機能部207は、メディア蓄積部204からメディアデータを読み出し(ステップS21)、読み出したメディアデータの概要情報を作成し、相関結果蓄積部210に記憶する(ステップS22)。特徴量算出機能部207は、この概要情報をキーとして、概要情報と関連性の高い特徴量抽出関数識別子α,βを読み出し、メディアデータに適用して、特徴量抽出関数識別子α,βで表される特徴量抽出関数を取得する。特徴量算出機能部207は、得られた特徴量抽出関数に基づき特徴量データDα,Dβを算出し、連結させて特徴量行列Xを作成する(ステップS23)。また、特徴量算出機能部207は、特徴量行列Xに対応する相関パラメータ(W,b)を、相関結果蓄積部210に記憶されている学習結果のセットから読み出し、相関計算機能部208に送信する。
相関計算機能部208は、特徴量算出機能部207から特徴量行列Xおよび相関パラメータ(W,b)を受信する(ステップS24)。
【0054】
相関計算機能部208は、受信した特徴量行列Xと相関パラメータ(W,b)に基づき、分析メタ情報行列Sを計算する。相関計算機能部208は、この分析メタ情報行列Sを算出し、これを射影子Rで逆射影することで、メタ情報行列(ベクトル列)Gに変換し、それをメディアデータの編集結果として、通信端末212に送信する(ステップS25)。
通信端末212は、この編集結果を受信し、この編集結果に修正を施した修正結果を相関計算機能部208に送信し、再度、メタ情報行列(メタ情報ベクトル列)Gを計算し直すことも可能である(ステップS26)。
相関計算機能部208は、メディアデータの編集結果として通信端末212に送信したメタ情報行列(メタ情報ベクトル列)Gあるいは、通信端末212により施された修正に基づき再計算されたメタ情報行列(メタ情報ベクトル列)Gi,を相関結果蓄積部210に記憶することにより、学習処理による学習パラメータを更新することができる。
これにより、メディアデータに基づき、このメディアデータに対しての認識情報(コンテクスト)を抽出することができる。
なお、上述に説明したメタ情報行列(メタ情報ベクトル列)G抽出方法は、相関適用機能部209においても、適用することができる。
【0055】
[第2の実施形態]
次に、本発明にかかる他の実施の形態について説明する。図9は、第2の実施形態にかかるコンテクスト抽出システムを説明するための概念図である。なお、本実施の形態におけるコンテクスト抽出システムは、第1の実施形態において説明したコンテクスト抽出システムと同じ構成を有し、以下、図2の符号を引用して説明する。
本実施の形態にかかるコンテクスト抽出システムは、相関結果蓄積部210に記憶された学習結果のセットを利用して、例えば携帯電話のような低機能な入力デバイスしか有しない装置から送信される映像に基づき、関連するキーワードを推奨するサービスを利用するため、以下の構成・機能を有することを特徴とする。
【0056】
アプリケーションサーバ103は、例えば携帯電話のような入力デバイスから受信した映像に基づき、キーワードを検索し、このキーワードあるいは、キーワードに関連するメディアデータを推奨するサービスを提供する。
メディア取得機能部201は、入力デバイスから受信した映像(メディアデータ)をメディア蓄積部204に記憶する。
【0057】
特徴量算出機能部207は、メディア蓄積部204からメディアデータを読み出し、このメディアデータに付与されている位置情報(例えば、GPSから取得される情報)をキーとして、相関結果蓄積部210に記憶されている学習結果のセットを取得し、相関適用機能部209に送信する。
相関適用機能部209は、この学習結果のセットを送信部211を介してアプリケーションサーバ103に送信する。
アプリケーションサーバ103は、この学習結果のセットに基づき、関連付けられたメディアデータあるいはキーワードを検出し、これら検出された情報を入力デバイスとしての例えば携帯電話の画面に表示する。
これにより、入力された映像をキーとして、関連するキーワードやメディアデータを検索することができる。また、検索サービスを利用するユーザ端末102A〜102Cからの検索キーワードの入力が不要となり、ユーザの操作性を向上することができる。
【0058】
また、本実施の形態にかかるコンテクスト抽出サーバ101は、上述と同様に、受信した映像を公開し、編集により付与されたコメントに基づきコンテクストを抽出し、学習結果として蓄積していく構成を有する。
すなわち、メディア蓄積部204は、受信したメディアデータをアーカイブ化したコンテンツとして記憶し、メディア閲覧機能部202は、このコンテンツをさまざまなユーザに閲覧を許可し、メディア編集機能部203は、このコンテンツのメディアデータにコメントの付与を許可する。
【0059】
相関計算機能部208は、このようにして編集されたメディアデータのメタ情報を利用して相関を演算し、学習結果のセットを相関結果蓄積部210に記憶する。
これにより、コンテクスト抽出サーバ101は、どのような映像ならば、どのようなキーワードが推奨されるかを学習することができ、例えば携帯電話のカメラで撮影された映像に基づき、映像に関連するキーワードを推奨するサービスを提供することができる。よって、携帯電話のような低機能な入力デバイスしか有しない装置であっても、簡単な検索サービスを提供することができる。
【0060】
[第3の実施形態]
次に、本発明にかかる他の実施の形態について説明する。図10は、第3の実施形態にかかるコンテクスト抽出システム3の一例を説明するためのブロック図である。図11は、第3の実施形態にかかるコンテクスト抽出システム2を説明するための概念図である。なお、本実施の形態におけるコンテクスト抽出システムは、第1の実施形態において説明したコンテクスト抽出システムと異なる構成を有するが、同じ機能を有する構成においては図2に示す符号と同じ符号を付し、追加的な機能のみ以下説明することで、重複する説明を省略する。
【0061】
本実施の形態にかかるコンテクスト抽出システムは、監視カメラやライブカメラ等により取得されたメディアデータのリアル再生・閲覧を提供するシステムにおいて、この提供されるメディアデータと、このメディアデータに対して閲覧者により編集されたコメントからコンテクストを抽出するシステムである。このコンテクスト抽出システムは、抽出されたコンテクストとメディアデータの特徴量抽出関数との相関を演算することにより、アーカイブ化されているメディアデータのアーカイブ構成を自律的に変化させるため、以下の構成・機能を有することを特徴とする。
【0062】
メディア取得機能部201は、カメラ300により取得された映像を、コンテンツ化して公開されるよう、メディア蓄積部204に記憶する。例えば、カメラ300として監視カメラやライブカメラ等により取得されたメディアデータは、アーカイブ化されたコンテンツとして、メディア閲覧機能部202により公開される。
【0063】
メディア閲覧機能部202は、メディア蓄積部204に記憶されているメディアデータの閲覧を、メディア閲覧端末としてのユーザ端末102Bを介して、複数のユーザに許可する。また、メディア閲覧機能部202は、特徴的な映像・画面がサムネイル化され、このサムネイルと関連づけられたメディアデータの閲覧を許可することができる。これにより、ユーザ端末102Bからは、サムネイル化により閲覧できるメディアデータが判断しやすいように整理されたメディアデータを閲覧することができる。
【0064】
メディア蓄積部204は、メディアデータを、メディア閲覧機能部202によりコンテンツ化して作成されたメディアデータと、アーカイブ編集部501によりサムネイル化されたメディアデータを記憶する。メディア蓄積部204は、サムネイル化されたメディアデータを、メタ情報整形機能部206により抽出されたメタ情報に関連付けて記憶する。
編集内容蓄積部205は、編集により付加されたコメント、およびメディア編集機能部203により作成された編集履歴等を記憶する。
【0065】
メタ情報整形機能部206は、編集内容蓄積部205に記憶されている編集により付加されたコメント、および編集履歴を読み出し、コメント情報に基づきフィルタリングされたメタ情報を抽出する。例えば、メタ情報整形機能部206は、メディア蓄積部204からメディアデータを読み出し、所定間隔ごとに離散化し、情報性の高いコメントが付与されているメディアデータを抽出し、情報性の低いコメントやノイズが付与されているだけのメディアデータは破棄する。
メタ情報整形機能部206は、このようにフィルタリングされ、抽出されたメタ情報に基づき、メタ情報行列Gを作成し、時間軸方向に分解されたメタ情報ベクトル列Gi,0,Gi,1,・・・,Gi,n−1、主成分分析によって生成された固有値λ,・・・,λk−1,λ,・・・,λl−1のうち、閾値μ=0.001以下の固有ベクトルν,・・・,νl−1が張る空間を削除することにより、圧縮された分析メタ情報行列Sを作成する。
【0066】
特徴量算出機能部207は、メディア蓄積部204からコメント情報を読み出し、コメント情報をキーに利用して、相関結果蓄積部210に記憶されている複数の特徴量抽出関数識別子α,β,γ・・・から関連性のある特徴量抽出関数識別子を取得する。特徴量算出機能部207は、上述と同様にして、取得した特徴量抽出関数識別子に基づき特徴量行列Xを作成する。
相関計算機能部208は、上述と同様にして、特徴量行列Xと、分析メタ情報行列Sk−1,んー1との相関を演算する。相関計算機能部208は、特徴量行列Xの中でノルムが所定の閾値よりも小さい列ベクトルを検出した場合、コメント情報と関連性の高い特徴量抽出関数識別子の次候補を読み出し、入れ替る。相関計算機能部208は、上述の入れ替えを、ノルムが所定の閾値よりも小さい列ベクトルが検出されなくなるまで繰り返すことにより、特徴量抽出への寄与率が高い特徴量抽出関数を決定する。相関計算機能部208は、決定した特徴量抽出への寄与率が高い特徴量抽出関数の特徴量抽出関数識別子と、相関パラメータ(W,b)、コメント情報、射影子Rとを関連付けて、学習結果のセットとして、相関結果蓄積部210に記憶する。
【0067】
アーカイブ編集部301は、相関計算機能部208の学習結果のセットに基づき、高い情報性を有するメタ情報を含むメディアデータを検出する。アーカイブ編集部501は、検出されたメディアデータをサムネイル化し、メタ情報の関連性に基づきそれぞれ関連付けて、メディア蓄積部204に記憶する。ここで、高い情報性を有するメタ情報は、例えば、コメント情報のうち、出現頻度の高い単語や、強調したい単語を含むコメント等である。また、アーカイブ編集部301は、検出されたメディアデータのうち、高い情報性を有するメタ情報に関連付けられる映像や画像をサムネイル化する。
また、アーカイブ編集部301は、相関計算機能部208の学習結果のセットに基づき、不適切な情報性を有するメタ情報を含むメディアデータを検出することができる。アーカイブ編集部501は、不適切な情報性を有するメディアデータを検出した場合、メディア蓄積部204からこのメディアデータを削除する。
【0068】
これにより、コンテクスト抽出サーバ101は、監視カメラ等の映像から、適切なコメントが付与されたメディアデータをアーカイブ化することができるため、例えばCMコンテンツ等に利用することができる。
また、アーカイブ編集部301は、メディア蓄積部204に、閲覧者のコメント編集に応じて自律的に変化されるアーカイブ映像を作成することができる。
また、アーカイブ編集部301は、高い情報性を有するコメント情報を含むメディアデータに基づき、アーカイブ化することにより、多くのコメントが付加されていると推定される部分がアーカイブ化され、効率的なアーカイブ映像を作成することができる。このアーカイブ映像を利用することにより、デパートやイベント会場での広告映像等を提供するCM(コマーシャル)コンテンツを簡単に作成することができる。
【0069】
[第4の実施形態]
次に、本発明にかかる他の実施の形態について説明する。図12は、第4の実施形態にかかるコンテクスト抽出システムを説明するための概念図である。なお、第4の実施形態におけるコンテクスト抽出システムは、第1の実施形態において説明したコンテクスト抽出システムと同じ構成を有し、以下、図2の符号を引用して説明する。
本実施の形態にかかるコンテクスト抽出システムは、アプリケーションサーバ103により個人撮影映像の自動編集を支援するサービスが提供されるため、以下の構成・機能を有することを特徴とする。
【0070】
アプリケーションサーバ103は、例えば携帯電話のような入力デバイスから受信したメディアデータに基づき、個人撮影映像の自動編集を支援するサービスを提供する。
メディア蓄積部204は、この入力デバイスから入力されたメディアデータをアーカイブ化して記憶する。例えば、メディア蓄積部204は、ユーザの設定により、このメディアデータを非公開メディアデータとして記憶する。
【0071】
特徴量算出機能部207は、メディア蓄積部204からメディアデータを読み出し、このメディアデータに付与されている概要情報(ファイル名やコメント)をキーとして、相関結果蓄積部210に記憶されている学習結果のセットを取得し、相関適用機能部209に送信する。
相関適用機能部209は、この学習結果のセットを送信部211を介してメディア編集機能部203に送信する。
メディア編集機能部203は、この学習結果のセットに基づきメディアデータを認識し、メディア蓄積部204に記憶されているメディアデータのアーカイブ構成を編集する。
これにより、個人で撮影した映像を非公開メディアデータとしてメディア蓄積部204に記憶しておくだけで、コンテクスト抽出サーバ101が自動的にメディアデータを認識し、関連映像を含むアーカイブ映像が編集される。
【0072】
なお、メタ情報整形機能部206に利用されるメタ情報としては、例えば動画共有サイトのように、公開が許可された映像も保有し、その動画に対して多数のユーザがコメントを付与するようなメディアデータから取得される。
本実施の形態にかかるコンテクスト抽出サーバ101は、これにより、動画共有サイト等において公開・編集が許可されているメディアデータに基づき学習結果のセットを蓄積させ、この学習結果のセットを利用して、個人の非公開映像を認識し、自動編集を支援することができる。
【0073】
これにより、個人で撮り溜めた映像を効率的に閲覧しやすいアーカイブ化されたメディアをメディア蓄積部204に記憶することができる。また、これにより、映像編集経験が少ない初心者であっても、簡単に編集が可能となるため、更なるコンテンツの投稿による動画共有サイトの活性化につながる。
【0074】
以上のとおり、本発明にかかるコンテクスト抽出システムは、Webコンテンツやセンサ情報に基づくメディアデータのように、明示的に登録されない情報を利用する場合であっても、画像や編集履歴に基づきコンテクストを抽出し、メディアデータの関連付けを推測することができる。
また、メタ情報整形機能部206により抽出されるメタ情報の設定を適宜変更することにより、多種類の情報が混在しているメディアデータから、適切なコンテクストを抽出することができる。
さらに、相関結果蓄積部210に記憶される学習結果のセットの作成を積み重ねることにより、メディアデータと抽出されたメタ情報との関連性の幅を広げることができ、端末の性能にかかわらず、多種類のコンテクストを取得することができる。
また、公開されたメディアデータの内容は、概ね、時系列に付与されたコメントの内容に起因していることが多いため、コメント等からメタ情報を抽出し、特徴データとの相関を演算することにより、メディアデータの内容を推測することができる。
【0075】
また、本発明にかかるコンテクスト抽出システムは、メディアデータおよびコメント等のメタ情報を取得するためのインターフェースとして、近年、利用者が増加している動画共有サイトを利用することができる。この動画共有サイトとして、投稿されたメディアデータに対して複数のユーザがコメントを付与する機能を有するサイトを利用することにより、ユーザが楽しみながら、メディアデータの認識情報としてのコメントを付与できるようになるため、より効果的である。
また、従来においては、人間の知覚による認識情報を収集するためには、予め多くのモニタを集めてデータを収集しなければならず、また新たな認識情報の更新作業が手間であるという問題があったが、本発明により、映像共有サイトといった娯楽色の高いインターフェースを利用することにより、より簡単に、大量の知覚情報を収集することが可能である。
また、メディアデータに基づくメタ情報により学習された学習結果のセットを、他のメディアデータに適用することにより、人間が具体的にメディアデータの内容を認識しなくても、ある程度の制度でメディアデータの内容が推定され、自動的にメディアデータ同士の関連付けを実現することができる。これにより、大人数のユーザによりコメントなどの情報が付与されない個人的に保有されているメディアデータからも、メタ情報を取得し、メディアデータ同士を関連付ける認識情報として学習結果に反映することができる。
【0076】
なお、上述のコンテクスト抽出サーバ101の動作の過程は、コンピュータに実行させるためのプログラムや、このプログラムとしてコンピュータ読み取り可能な記録媒体として利用可能であり、コンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0077】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に記憶したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施の形態にかかるコンテクスト抽出システムの一例を示す概念図である。
【図2】本実施の形態にかかるコンテクスト抽出システムの一例を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態にかかるメタ情報行列Gの一例を説明する概念図である。
【図4】本実施の形態にかかる分析メタ情報行列Sの一例を説明する概念図である。
【図5】本実施の形態にかかる特徴量行列Xの一例を説明する概念図である。
【図6】本実施の形態にかかる特徴量行列Xの選別の一例を説明する概念図である。
【図7】本実施に形態にかかるコンテクスト抽出方法の一例を示す概略図である。
【図8】本実施の形態にかかるコンテクスト抽出方法の他の一例を示す概略図である。
【図9】本実施の形態にかかるコンテクスト抽出システムの他の一例を示す概念図である。
【図10】本実施の形態にかかるコンテクスト抽出システムの他の一例を示す概念図である。
【図11】図10に示したコンテクスト抽出システムの一例を示すブロック図である。
【図12】本実施の形態にかかるコンテクスト抽出システムの他の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0079】
100 ネットワーク
101 コンテクスト抽出サーバ
102A〜102C ユーザ端末
103 アプリケーションサーバ
201 メディア取得機能部
202 メディア閲覧機能部
203 メディア編集機能部
204 メディア蓄積部
205 編集内容蓄積部
206 メタ情報整形機能部
207 特徴量算出機能部
208 相関計算機能部
209 相関適用機能部
210 相関結果蓄積部
211 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアデータに基づき、メディアデータの内容を認識するためコンテクストを抽出するコンテクスト抽出サーバにおいて、
前記メディアデータに付加されたメタ情報に基づき、時系列に表されたメタ情報行列を生成するメタ情報整形機能部と、
前記メディアデータの属性を示す概要情報に基づき、予め設定されている特徴量抽出関数を特定し、特定された前記特徴量抽出関数に基づき、前記時系列と同間隔で表された特徴量行列を生成する特徴量算出機能部と、
前記メタ情報整形機能部が生成した前記メタ情報行列と、前記特徴量算出機能部から受信した前記特徴量行列との相関を計算し、特徴量抽出への寄与率の高い前記特徴量抽出関数を決定する行列相関計算機能部と、
前記相関計算機能部により算出された相関と、前記特徴量抽出関数を、学習結果として行列記憶する相関結果蓄積部と、
を有することを特徴とするコンテクスト抽出サーバ。
【請求項2】
前記メタ情報は、ネットワークを介して外部端末より受信する前記メディアデータに付加されたコメントであることを特徴とする請求項1に記載のコンテクスト抽出サーバ。
【請求項3】
前記相関結果蓄積部は、前記学習結果として、前記相関と、前記特徴量抽出関数と、前記特徴量抽出関数に関連付けられた概要情報行列を記憶し、
前記相関計算機能部は、決定した前記特徴量抽出関数行列と、この特徴量抽出関数行列に関連づけられた前記概要情報に基づき、前記メタ情報行列を算出することを特徴とする請求項1あるいは2に記載のコンテクスト抽出サーバ。
【請求項4】
前記コンテクスト抽出サーバは、
前記メタ情報を含まない他のメディアデータを受信した場合、前記相関計算機能部により算出された相関と、特徴量抽出への寄与率の高い前記特徴量抽出関数と、前記概要情報を含む学習結果を用いて、前記他のメディアデータの属性を示す前記概要情報に基づき、この他のメディアデータからコンテクストを抽出する相関適用機能部と、
更にネットワークを介して接続されている外部サーバに前記抽出されたコンテクストを送信する送信部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコンテクスト抽出サーバ。
【請求項5】
受信したメディアデータに基づき、メディアデータの内容を認識するためコンテクストを抽出するコンテクスト抽出サーバにおけるコンテクスト抽出方法において、
メタ情報整形機能部が
前記メディアデータに付加されたメタ情報に基づき、時系列に表されたメタ情報行列を生成し、
特徴量算出機能部が、
前記メディアデータの属性を示す概要情報に基づき、予め設定されている特徴量抽出関数を特定し、特定された前記特徴量抽出関数に基づき、前記時系列と同間隔で表された特徴量行列を生成し、
相関計算機能部が、
前記メタ情報整形機能部から受信した前記メタ情報行列と、前記特徴量算出機能部から受信した前記特徴量行列との相関を計算し、特徴量抽出への寄与率の高い前記特徴量抽出関数を決定し行列、
相関結果蓄積部が、
前記相関計算機能部により算出された相関と、前記特徴量抽出関数を、学習結果として行列記憶する
ことを特徴とするコンテクスト抽出方法。
【請求項6】
前記メタ情報は、ネットワークを介して外部端末より前記メディアデータに付加されたコメントであることを特徴とする請求項5に記載のコンテクスト抽出方法。
【請求項7】
前記相関結果蓄積部は、前記学習結果として、前記相関と、前記特徴量抽出関数と、前記特徴量抽出関数に関連付けられた概要情報行列を記憶し、
前記相関計算機能部は、決定した前記特徴量抽出関数行列と、この特徴量抽出関数行列に関連づけられた前記概要情報に基づき、前記メタ情報行列を算出することを特徴とする請求項5あるいは6に記載のコンテクスト抽出方法。
【請求項8】
受信したメディアデータに基づき、メディアデータの内容を認識するためコンテクストを抽出するコンピュータを
前記メディアデータに付加されたメタ情報に基づき、時系列に表されたメタ情報行列を生成するメタ情報整形手段、
前記メディアデータの属性を示す概要情報に基づき、予め設定されている特徴量抽出関数を特定し、特定された前記特徴量抽出関数に基づき、前記時系列と同間隔で表された特徴量行列を生成する特徴量算出手段、
前記メタ情報整形手段から受信した前記メタ情報行列と、前記特徴量算出手段から受信した前記特徴量行列との相関を計算し、特徴量抽出への寄与率の高い前記特徴量抽出関数を決定する行列相関計算手段、
前記相関計算手段により算出された相関と、前記特徴量抽出関数を、学習結果として行列記憶する相関結果蓄積手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
前記メタ情報は、ネットワークを介して外部端末より前記メディアデータに付加されたコメントであることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記相関結果蓄積手段は、前記学習結果として、前記相関と、前記特徴量抽出関数と、前記特徴量抽出関数に関連付けられた概要情報行列を記憶し、
前記相関計算手段は、決定した前記特徴量抽出関数行列と、この特徴量抽出関数行列に関連づけられた前記概要情報に基づき、前記メタ情報行列を算出することを特徴とする請求項8あるいは9に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−55174(P2010−55174A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216726(P2008−216726)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年6月5日 「第4回ネットワークソフトウェア研究会(ユビキタスコンピューティングを実現するネットワークソフトウェア技術〜アドホック・センサネットワーク+一般〜)」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年6月6日 「ネットワークソフトウェア研究会」において文書をもって発表
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】