説明

コンテナトレーラ

【課題】長さの異なるコンテナを搭載することを可能とし、なおかつ、長さの短いコンテナを搭載する際の荷役作業性、路上等の占有効率を向上させる。
【解決手段】伸縮フレーム24がメインフレーム16の後端部に格納された状態で、20フィート型コンテナ28が搭載されたサブフレーム22を、メインレール12のグースネック12aの段差に当接する前進端部位置(a)と、伸縮フレーム24格納時における後退位置(b)との間でスライドさせる。又、サブフレーム22上にコンテナ未搭載の状態で、サブフレーム22のスライド動作と連動して、伸縮フレーム24を、突出限度位置(c)と格納位置との間で伸縮させる。伸縮フレーム24を突出限度位置まで突出させた状態とし、メインフレーム16及びサブフレーム24に跨って、40フィート型コンテナ30を搭載する(d)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長さの異なるコンテナを搭載することが可能なコンテナトレーラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ISOで定められた国際コンテナ規格に基づき、長さが20フィートのコンテナ(20フィート型コンテナ)と、40フィートのコンテナ(40フィート型コンテナ)の双方を搭載することが可能な、40フィート型コンテナ用トレーラが用いられている (例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−182057号公報(〔0003〕、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、40フィート型コンテナ用トレーラに20フィート型コンテナを搭載して走行する場合には、国内法規に適合させるための、トレーラの前方位置に20フィート型コンテナを固定する必要がある。しかしながら、トレーラの前方位置に20フィート型コンテナを固定した状態では、コンテナ後方に更にトレーラのメインフレームが延びることとなるので、トレーラにコンテナを搭載した状態でのコンテナ後方からの荷役作業が、極めて困難となるといった問題が生じている。
又、40フィート型コンテナ用トレーラに20フィート型コンテナを搭載する場合には、20フィート型コンテナ専用トレーラに20フィート型コンテナを搭載する場合に対し、路上や駐車スペースの占有効率の点で明らかに不利となる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンテナトレーラにおいて、長さの異なるコンテナを搭載することを可能とし、なおかつ、長さの短いコンテナを搭載する際の荷役作業性、路上等の占有効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、本発明の請求項1に係るコンテナトレーラは、グースネックが形成された左右一対のメインレールが複数の横梁によって固定され、前端部にボルスタが支持されてなるメインフレームと、該メインレールのグースネック後方上面に、前後にスライド自在に配置され、ボルスタを前後端部に有するサブフレームと、前記メインフレーム後端部に格納され、前記サブフレームのスライド動作と連動して後方の突出限度位置まで突出し又は格納位置へと復帰可能な伸縮フレームとを備え、前記メインレール前端部のボルスタにはコンテナ固定用ラッチが設けられ、前記サブフレームの前後各端部のボルスタにはコンテナ固定用ツイストロックが設けられ、かつ、サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックは出没自在に構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明によれば、伸縮フレームが格納位置にある時、メインフレームを構成するメインレールの、グースネック後方上面に設けられたサブフレームを、後方へとスライドさせることで、比較的全長の短いコンテナをサブフレーム上に載置した状態で、メインフレーム後端部へと移動させることができる。これと同様に、サブフレームを前方へとスライドさせることで、比較的全長の短いコンテナをサブフレーム上に載置した状態で、メインフレーム上の前進限度位置へと移動させることができる。当然に、サブフレーム上にコンテナを搭載していない状態でも、同様の移動が可能である。
なお、サブフレームは前後端部にボルスタを有し、サブフレームの前後各端部のボルスタにコンテナ固定用ツイストロックが設けられていることから、このコンテナ固定用ツイストロックによって、比較的全長の短いコンテナは、サブフレーム上に確実に固定される。
【0008】
又、メインフレーム後端部に格納された伸縮フレームが、サブフレームのスライド動作と連動して後方の突出限度位置まで突出し又は格納位置へと復帰可能であることから、サブフレームをメインフレーム後端部に移動させ、更にサブフレームを後方にスライドさせることで、サブフレームは伸縮フレームを後方へと押出しながら、伸縮フレームが後方の突出限度位置に突出するまで後方へとスライドする。更に、伸縮フレームを前方へとスライドさせることで、伸縮フレームはサブフレームに追従して格納位置へと復帰する。従って、伸縮フレームの伸縮動作が、サブフレームのスライドによってもたらされるので、伸縮フレームに係る駆動装置が不要となる。
しかも、メインレール前端部のボルスタとサブフレームの前後端部に位置するボルスタとは、コンテナ固定のための高さ関係の寸法が適合しているため、サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックは出没自在に構成されていることから、伸縮フレームがサブフレームのスライド動作と連動して、後方の突出限度位置まで突出した状態で、サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックをボルスタに没入させることで、メインフレーム前端部のボルスタと、サブフレーム後端部のボルスタとに設けられたコンテナ固定用ツイストロックにより、比較的全長の長いコンテナは、メインフレーム及びサブフレームに跨って、確実に固定されることとなる。
【0009】
又、本発明において、前記メインフレームには、前記サブフレームの、前進端部位置、前記伸縮フレーム格納時における後退位置、及び、前記伸縮フレームの突出限度位置への突出時における後退端部位置の各々にて、前記サブフレームの位置を固定するサブフレームロックピンと、前記サブフレームの駆動手段と、前記伸縮フレームの格納位置及び突出限度位置にて、前記伸縮フレームの位置を固定する伸縮フレームロックピンとが設けられ、前記伸縮フレームには、前記一対のメインレールに挟まれた空間内に収納される左右一対のレールと、該レールの後端部から上方に突出し、前記サブフレーム後端部のボルスタ後面に当接するサブフレームストッパと、前記サブフレーム後端部を下方から支持するサポートと、前記サブフレームの位置を固定するサブフレームロックピンと、前記サブフレーム後端部のボルスタ前面に対し選択的に係合するフックと、該フックの出没機構とが設けられていることが望ましい。
【0010】
本発明によれば、伸縮フレームが格納位置にある時、メインフレームを構成するメインレールの、グースネック後方上面に設けられたサブフレームを、メインフレームに設けられたサブフレームの駆動手段により、後方へとスライドさせることで、比較的全長の短いコンテナをサブフレーム上に載置した状態で、サブフレームをメインフレーム後端部へと移動させることができる。そして、伸縮フレームの、一対のメインレールに挟まれた空間内に収納される左右一対のレール後端部から上方に突出するサブフレームストッパに、サブフレーム後端部のボルスタ後面が当接することで、サブフレームは伸縮フレーム格納時における後退位置に停止する。
これと同様に、サブフレームの駆動手段によりサブフレームを前方へとスライドさせることで、比較的全長の短いコンテナをサブフレーム上に載置した状態で、サブフレームをメインフレーム上の前進限度位置へと移動させることができる。当然に、サブフレーム上にコンテナを搭載していない状態でも、同様の移動が可能である。
【0011】
又、サブフレームをメインフレーム後端部に移動させ、伸縮フレームロックピンをアンロック状態として、更にサブフレーム駆動手段によりサブフレームを後方にスライドさせる。このとき、伸縮フレームのレール後端部から上方に突出するサブフレームストッパに、サブフレーム後端部のボルスタ後面が当接しており、なおかつ、サブフレーム後端部は伸縮フレームのサポートによって下方から支持されているので、サブフレームは伸縮フレームを後方へと押出し、伸縮フレームが後方の突出限度位置に突出するまでスライドする。そして、伸縮フレームが後方の突出限度位置に突出した状態で、伸縮フレームロックピンにより、伸縮フレームの位置を固定することができる。
なお、伸縮フレームがサブフレームのスライド動作と連動して、後方の突出限度位置まで突出し又は格納位置へと復帰する間、サブフレームの後端部は、常時伸縮フレームのサポートによって下方から支持され、その姿勢は安定する。
【0012】
更に、伸縮フレームには、サブフレーム後端部のボルスタ前面に対し選択的に係合するフックと、フックの出没機構とが設けられていることから、サブフレームが、伸縮フレームの突出限度位置への突出時における後退端部位置にある状態で、サブフレーム駆動手段によりサブフレームを前方にスライドさせることで、サブフレームに係合したフックによって伸縮フレームは前方へと牽引されてサブフレームに追従し、伸縮フレームは格納位置へと復帰する。
そして、伸縮フレームが格納位置へと復帰した状態において、フックを伸縮フレームに没入させ、伸縮フレームに対するサブフレームの連結を解除することで、サブフレーム駆動手段によりサブフレームを更に前方にスライドさせることが可能となる。
従って、サブフレーム駆動手段を動力源として、伸縮フレームの伸縮作業を行うことが可能となる。又、伸縮フレームの伸縮作業に要する操作を、サブフレームのスライドに要する操作と一連に行うことが可能となる。又、比較的全長の長いコンテナの搭載を可能としつつ、比較的全長の短いコンテナを搭載する際には、伸縮フレームがメインフレーム後端部に格納されるので、コンテナトレーラの全長が短縮されることとなる。
【0013】
しかも、サブフレームは、前進端部位置、前記伸縮フレーム格納時における後退位置、及び、前記伸縮フレームの突出限度位置への突出時における後退端部位置の各々にて、サブフレームロックピンにより、メインフレーム又は伸縮フレームに対するサブフレームの位置が固定される。従って、サブフレームのスライド時を除き、メインフレームに対するサブフレームの位置は、確実に固定されるものである。
【0014】
又、本発明においては、前記伸縮フレームが格納位置にあり、かつ前記伸縮フレームロックピンがロックされることにより前記フックが格納されるように、前記伸縮フレームロックピンと前記フックの出没機構とが連動する構造を有することが望ましい。
この構成によれば、伸縮フレームの伸縮作業に必要不可欠な伸縮フレームロックピンのロック、アンロック操作に連動して、フックの突出又は格納、伸縮フレームに対するサブフレームの連結及びその解除が行われ、伸縮フレームの伸縮操作の作業性が向上する。
【0015】
又、本発明において、前記サブフレームには、前記メインレールのグースネック後方上面を走行するためのローラが上下に出没自在に設けられ、前記伸縮フレームのサポートは、伸縮フレームの格納位置において前記メインレールの上面と部分的にオーバーラップして、前記メインレールと共に前記ローラを下方から支持可能な形状を有することが望ましい。
本発明によれば、サブフレームに、メインレールのグースネック後方上面を走行するためのローラが上下に出没自在に設けられていることで、サブフレームをスライドさせる必要がある場合にのみ、ローラをサブフレームから下方に突出させ、サブフレームをメインレールのグースネック後方上面から浮かせることで、サブフレームを円滑にスライドさせることが可能となる。一方、サブフレームの位置を固定させる必要がある場合には、ローラをサブフレームに格納することで、サブフレームをメインレールのグースネック後方上面に密着し、サブフレームはメインレール上に固定される。
又、伸縮フレームのサポートは、伸縮フレームの格納位置においてメインレールの上面と部分的にオーバーラップして、メインレールと共にローラを下方から支持可能な形状を有することから、サブフレームのローラの、メインレール上面と伸縮フレームのサポートとの間の乗移りも円滑に行われる。
【0016】
又、本発明においては、走行車輪と、該走行車輪のエアブレーキと、エアブレーキ用エア回路とを備え、該エアブレーキ用エア回路には、前記サブフレームの前進端部位置において、駐車ブレーキを開放するバルブが設けられていることが望ましい。
本発明によれば、サブフレームが前進端部位置に移動した状態、すなわち、サブフレームに比較的全長の短いコンテナが搭載され、なおかつ、かかるコンテナが、法令によって定められたトレーラ上の走行可能な位置にあるとき、駐車ブレーキが自動的に開放され、コンテナトレーラの走行が可能となる。
【0017】
又、本発明の請求項1記載のコンテナトレーラにおいて、前記メインフレームには、前記サブフレームの駆動手段と、前記伸縮フレームの格納位置及び突出限度位置にて、前記伸縮フレームの位置を固定する伸縮フレームロックピンが設けられ、前記伸縮フレームには、前記一対のメインレールに挟まれた空間内に収納される左右一対のレールと、該レールの後端部から上方に突出し、前記サブフレーム後端部のボルスタ後面に当接するサブフレームストッパと、前記サブフレームの位置を固定するサブフレームロックピンと、前記サブフレーム後端部のボルスタ前面に対し選択的に係合するフックと、該フックの出没機構とが設けられ、前記サブフレームには、前記メインフレームに対する、前進端部位置、前記伸縮フレーム格納時における後退位置、及び、前記伸縮フレームの突出限度位置への突出時における後退端部位置の各々に固定するサブフレームロックピンが設けられていることが望ましい。
【0018】
本発明によれば、伸縮フレームが格納位置にある時、メインフレームを構成するメインレールの、グースネック後方上面に設けられたサブフレームを、メインフレームに設けられたサブフレームの駆動手段により、後方へとスライドさせることで、比較的全長の短いコンテナをサブフレーム上に載置した状態で、サブフレームをメインフレーム後端部へと移動させることができる。そして、伸縮フレームの、一対のメインレールに挟まれた空間内に収納される左右一対のレール後端部から上方に突出するサブフレームストッパに、サブフレーム後端部のボルスタ後面が当接することで、サブフレームは伸縮フレーム格納時における後退位置に停止する。
これと同様に、サブフレームの駆動手段によりサブフレームを前方へとスライドさせることで、比較的全長の短いコンテナをサブフレーム上に載置した状態で、サブフレームをメインフレーム上の前進限度位置へと移動させることができる。当然に、サブフレーム上にコンテナを搭載していない状態でも、同様の移動が可能である。
【0019】
又、サブフレームをメインフレーム後端部に移動させ、伸縮フレームロックピンをアンロック状態として、更にサブフレーム駆動手段によりサブフレームを後方にスライドさせる。このとき、伸縮フレームのレール後端部から上方に突出するサブフレームストッパに、サブフレーム後端部のボルスタ後面が当接することにより、サブフレームは伸縮フレームを後方へと押出し、伸縮フレームが後方の突出限度位置に突出するまでスライドする。そして、伸縮フレームが後方の突出限度位置に突出した状態で、伸縮フレームロックピンにより、伸縮フレームの位置を固定することができる。
【0020】
更に、伸縮フレームには、サブフレーム後端部のボルスタ前面に対し選択的に係合するフックと、フックの出没機構とが設けられていることから、サブフレームが、伸縮フレームの突出限度位置への突出時における後退端部位置にある状態で、サブフレーム駆動手段によりサブフレームを前方にスライドさせることで、サブフレームに係合したフックによって伸縮フレームは前方へと牽引されてサブフレームに追従し、伸縮フレームは格納位置へと復帰する。
そして、伸縮フレームが格納位置へと復帰した状態において、フックを伸縮フレームに没入させ、伸縮フレームに対するサブフレームの連結を解除することで、サブフレーム駆動手段によりサブフレームを更に前方にスライドさせることが可能となる。
従って、サブフレーム駆動手段を動力源として、伸縮フレームの伸縮作業を行うことが可能となる。又、伸縮フレームの伸縮作業に要する操作を、サブフレームのスライドに要する操作と一連に行うことが可能となる。又、比較的全長の長いコンテナの搭載を可能としつつ、比較的全長の短いコンテナを搭載する際には、伸縮フレームがメインフレーム後端部に格納されるので、コンテナトレーラの全長が短縮されることとなる。
【0021】
又、本発明において、前記サブフレームには、前記メインレールのグースネック後方上面に対し摺接するスライドプレートが設けられていることが望ましい。
本発明によれば、サブフレームに、メインレールのグースネック後方上面に対し摺接するスライドプレートが設けられていることで、サブフレームを、メインレールのグースネック後方上面に対し円滑にスライドさせることが可能となる。
【0022】
又、本発明において、前記スライドプレートは、前記メインフレームのたわみに起因して、摺動時の面圧が高くなる部分に、比較的許容面圧の高い部材が用いられ、それ以外の部分に、比較的許容面圧の低い部材が用いられていることが望ましい。
本発明によれば、スライドプレートは、メインフレームのたわみに起因して、摺動時の面圧が高くなる部分に、比較的許容面圧の高い部材が用いられているが、それ以外の部分に、比較的許容面圧の低い部材が用いられていることで、高コストの高許容面圧部材の使用を一部の範囲に抑えつつ、必要な摺動性能を得ることが可能となる。
【0023】
しかも、本発明において、前記メインフレームには、前記サブフレームの、前進端部位置及び前記伸縮フレーム格納時における後退位置において、前記サブフレーム前端部のボルスタに当接して前記サブフレームを押し出し、前記サブフレームの起動を補助する補助駆動手段が設けられていることが望ましい。
本発明では、サブフレームは、スライドプレートを介して、メインレールのグースネック後方上面に対し常時摺接していることから、サブフレームが停止した状態から起動する際には、スライドプレートとメインレールのグースネック後方上面との間には、比較的大きな静摩擦力が作用する。特に、サブフレームが、前進端部位置から後方へと起動する際、及び、伸縮フレーム格納時における後退位置から前方へと起動する際には、比較的全長の短いコンテナをサブフレーム上に載置した状態で、サブフレームの起動が行われることがあるので、かかる起動時に、スライドプレートとメインレールのグースネック後方上面との間に作用する静摩擦力は、より大きなものとなる。そこで、補助駆動手段が、サブフレーム前端部のボルスタに当接して、サブフレームを押し出し、サブフレーム駆動手段を補助することで、サブフレームの起動を円滑に行うことが可能となる。
【0024】
又、本発明では、前記サブフレームの前記伸縮フレーム格納時における後退位置において、前記サブフレームの起動を補助する補助駆動手段には、前記伸縮フレームが、前記サブフレームのスライド動作と連動して後方の突出限度位置まで突出し又は格納位置へと復帰する際に、前記サブフレームとの係合を解除する解除手段が設けられているものである。
本発明において、伸縮フレームが、サブフレームのスライド動作と連動して後方の突出限度位置まで突出し又は格納位置へと復帰する際には、サブフレームは、伸縮フレーム格納時における後退位置を越えて、更に後方の位置へと移動する必要がある。この際、サブフレーム後端部のボルスタ後面に当接して、サブフレームを押し出す補助駆動手段は、かかるサブフレームの移動を阻害する突起物となる。そこで、解除手段により、伸縮フレームが、サブフレームのスライド動作と連動して後方の突出限度位置まで突出し又は格納位置へと復帰する際には、補助駆動手段とサブフレームとの係合が解除されることにより、伸縮フレームを伸縮させる際の、サブフレームの移動が可能となる。
【0025】
更に、本発明において、前記解除手段には、前記サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックの没入位置への没入操作に連動して、前記補助駆動手段と前記サブフレームとの係合を解除する連動機構が設けられていることが望ましい。
本発明において、伸縮フレームを、サブフレームのスライド動作と連動して後方の突出限度位置まで突出させる必要があるのは、比較的全長の長いコンテナを、メインフレームおよびサブフレームに跨って載置する場合であり、この際、サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックは不要となり、没入位置へと格納する必要がある。又、サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックは、車体の両側部に露出しており、作業者による出没作業は比較的容易である。そこで、連動機構により、サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックの没入操作に連動して、解除手段による補助駆動手段とサブフレームとの係合を解除する操作を行うことで、補助駆動手段とサブフレームとの係合解除操作が容易となる。
【0026】
又、本発明において前記サブフレームに設けられた、サブフレームロックピンは、少なくとも前記サブフレームの前後左右の4箇所に設けられ、その全てが、一つの操作レバーにより連動可能にリンク結合されていることが望ましい。
本発明によれば、少なくともサブフレームの前後左右の4箇所に設けられたサブフレームロックピンが、一つの操作レバーの操作によって同時に操作可能となり、メインフレームに対するサブフレームの位置固定及び位置固定解除操作が容易となる。
【0027】
又、本発明においては、走行車輪と、該走行車輪のエアブレーキと、エアブレーキ用エア回路とを備え、該エアブレーキ用エア回路には、前記サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックの、ツイストロックの没入位置において、駐車ブレーキを開放するバルブが設けられていることが望ましい。
本発明によれば、前記サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックが没入位置にあるとき、すなわち、伸縮フレームが後方の突出限度位置に突出し、サブフレームが後退端部位置に位置して、比較的全長の長いコンテナをメインフレーム及びサブフレームに跨って搭載するべく、上記ツイストロックが没入した状態において、駐車ブレーキが自動的に開放され、コンテナトレーラの走行が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明はこのように構成したので、コンテナトレーラにおいて、長さの異なるコンテナを搭載することを可能とし、なおかつ、長さの短いコンテナを搭載する際の荷役作業性、占有効率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。本説明において、前方はコンテナトレーラの前進方向を、後方は同後退方向を意味し、左右方向は同車幅方向を意味するものである。
まず、本発明の第1の実施の形態を、図1から図11を参照しながら説明する。本発明の第1の実施の形態に係るコンテナトレーラ10は、図1に示されるように、グースネック12aが形成された左右一対のメインレール12の前端部に、ボルスタ14が支持されて構成されたメインフレーム16を備えている。又、メインレール12のグースネック後方上面12bに、サブフレーム22が前後にスライド自在に配置されている。サブフレーム22は、メインレール12前端部のボルスタ14に対し、比較的全長の長いコンテナを固定するための高さが関連づけられて取り付けられたボルスタ18、20を、前後端部に有している。更に、メインフレーム16後端部に格納され、サブフレーム22のスライド動作と連動して後方の突出限度位置(図1(c))まで突出し又は格納位置(図1(b))へと復帰可能な伸縮フレーム24を備えている。又、メインレール12の前端部のボルスタ14にはコンテナ固定用のラッチ14a(ボルスタ14の後面から、後方へと出没自在なピン部材)が設けられ、サブフレーム22の前後各端部のボルスタ18、20には、コンテナ固定用ツイストロック18a、20aが設けられ(図2(c)参照)、かつ、サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロック18aは、ボルスタ18に対し出没自在(図10参照)に構成されている。なお、コンテナトレーラ10は、当然に走行車輪26と、走行車輪26のエアブレーキと、エアブレーキ用エア回路(図11)とを備えるものである。
【0030】
コンテナトレーラ10は、図2(a)、(b)に示されるように、伸縮フレーム24がメインフレーム16の後端部に格納された状態で、20フィート型コンテナ28が搭載されたサブフレーム22を、メインレール12のグースネック12aの段差に当接する前進端部位置(図2(a))と、伸縮フレーム24格納時における後退位置(図2(b))との間でスライドさせることが可能となっている。
又、サブフレーム22上にコンテナ未搭載の状態で、図2(c)に示されるように、サブフレーム22の後方へのスライド動作と連動して、伸縮フレーム24を突出限度位置まで突出させることが可能である。同様に、サブフレーム22上にコンテナ未搭載の状態で、サブフレーム22の前方へのスライド動作と連動して、伸縮フレーム24を格納位置へと復帰させることが可能である。更に、図2(d)に示されるように、伸縮フレーム24を突出限度位置まで突出させた状態とすることで、メインフレーム16及びサブフレーム22に跨って、40フィート型コンテナ30を搭載することが可能である。
【0031】
続いて、コンテナトレーラ10の各部構造を、具体的に説明する。
メインフレーム16は、一対のメインレール12を、所定間隔を空けて平行に配置し、図1、図3に示されるように、横梁32等、複数の補強部材で強固に固定して構成したものである。又、メインフレーム16には、サブフレーム22の、前進端部位置(図2(a))、伸縮フレーム24格納時における後退位置(図2(b))、及び、伸縮フレーム12の突出限度位置への突出時における後退端部位置(図2(c)、(d))の各々にて、サブフレーム22の位置を固定するサブフレームロックピン34と、サブフレーム22の駆動手段36と、伸縮フレーム24の格納位置及び突出限度位置にて、伸縮フレーム24の位置を固定する伸縮フレームロックピン38(図5)とが設けられている。
【0032】
メインフレーム16の各構成要素について、更に詳しく説明する。
まず、サブフレームロックピン34は、図3(b)に示されるように、メインレール12のグースネック12aよりも後方の所定の3箇所に、図4に示されるように左右一対設けられている。このサブフレームロックピン34は、メインレールを左右方向に貫通するスリーブ40(図3(b)参照)によって、左右方向に摺動自在に支持されている。又、左右一対のサブフレームロックピン34の、メインレール12の外側又は内側への出没動作が連動するように、リンク機構42によって連結され、リンク機構42を操作するための操作レバー44がリンク機構42に軸着されている。更に、サブフレームロックピン34が常時メインレール12の外側へと突出するように、リンク機構42を付勢するコイルばね46が設けられている。図4では、コイルばね46が縮められて、サブフレームロックピン34がメインレールの内側に没入した状態が示されている。そして、かかるコイルばね46が縮められた状態を維持するための、図示しないストッパが設けられている。
なお、サブフレーム22の前後端部に配置されたボルスタ18、20には、サブフレームロックピン34が係合するための、ボス48が固定されている。
【0033】
サブフレーム22の駆動手段36としては、本発明の実施の形態では、図3(a)に示されるように、ウインチ50が用いられている。ウインチ50はいわゆる二胴式ウインチであり、各胴に捲回されるワイヤ52、52が、メインレールに軸着されたプーリ54、54を経由し、各ワイヤの端部が、サブフレーム22の前端部に設けられたボルスタ18に対し、ワイヤクランプ56によって固定されている。
なお、ウインチ50の動力源としては、電動モータ、油圧モータ、エアモータ、人力のいずれか又はこれらの組み合わせを用いることができる。更に、駆動手段36として、シリンダ等を用いることも可能である。
【0034】
伸縮フレームロックピン38は、図5に示されるように、メインフレーム16の最後端部に、左右一対設けられている。この伸縮フレームロックピン38は、メインレール12を左右方向に貫通するスリーブ58によって、左右方向に摺動自在に支持されている。又、伸縮フレームロックピン38を伸縮フレーム24に設けられたボス60に挿入するための操作レバー62が、メインレール12に固定されたステー64によって摺動自在に軸支されている。ボス60は、伸縮フレーム24が突出限度位置まで後退した状態で、伸縮フレームロックピン38が一致するように、伸縮フレーム24の後端部のみならず前端部にも設けられている。
なお、伸縮フレームロックピン38は、前後方向の位置が一致した状態(伸縮フレームが格納位置にある状態)で、後述する伸縮フレーム24に設けられたフックの出没機構が連動するようになっている。
【0035】
次に、伸縮フレーム24について説明する。伸縮フレーム24は、図6に示されるように、一対のメインレール12(図1)に挟まれた空間内に収納される左右一対のレール66と、レール66の後端部から上方に突出し、サブフレーム22後端部のボルスタ20(図1、図3)の後面に当接するサブフレームストッパ68と、サブフレーム22後端部を下方から支持するサポート70と、サブフレーム後端部のボルスタ20の前面に対し選択的に係合するフック72(図5)と、フック72の出没機構74とを有している。又、メインフレーム16と同様に、サブフレーム22の位置を固定するサブフレームロックピン34を、伸縮フレーム24の後端部近傍に左右一対備えている(図3参照)。
【0036】
ここで、伸縮フレーム24の各構成要素について、更に詳しく説明する。
伸縮フレーム24の一対のレール66は、メインフレーム16を構成する一対のメインレール12に挟まれた空間内に収納され得る高さに形成され、横梁76によって互いに固定されている。そして、レール66の後端部には、リヤエンドレール78が固定され、このリヤエンドレール78に、サブフレームストッパ68が固定されている。更に、リヤエンドレール78の下方には、リヤバンパ80が固定されている。サポート70は、図9に示されるように、伸縮フレーム24の格納位置においてメインレール12の上面12bと部分的にオーバーラップして、メインレール12と共にサブフレームのローラ100(後述する)を下方から支持可能な形状をなしている。図示の例では、サポート70は、レール66の後端部に垂直に厚板を立設することにより構成され、メインレール12には、このサポート70を受け入れるための切欠き12cが形成されている。又、サポート70の上端面は、メインレール12の上面12bと同一の高さに構成されている。
【0037】
図5に示されるように、フック72およびフックの出没機構74は、伸縮フレーム24の後端部近傍に設けられている。フック72は、サブフレーム22後端部のボルスタ20の前面に対し選択的に係合するものであり、前方には傾斜面72aが形成され、傾斜面72aの後端部にボルスタ20の前面が当接する肩部72bが形成され、肩部72bの更に後方で、左右方向へと延びるピボット82により伸縮フレーム24のリヤエンドレール78に軸着されている。さらに、フック72にはばね受け72cが形成されており、このばね受け72cと、伸縮フレーム24のリヤエンドレール78との間に、コイルばね84が設けられている。そして、コイルばね84の弾性力により、フック72は、常時突出方向(図5(a)では時計回り)へと付勢され、肩部72bがリヤエンドレール78から突出している。
【0038】
更に、フック72にはワイヤ86の一端が連結され、その他端は伸縮フレーム24に対し前後方向へと延びるピボット90を介して軸着されたL字アーム88の、一方のアーム88aに連結されている。更に、L字アーム88の他方のアーム88bには、伸縮フレーム24のレール66を貫通するボス60に先端部が挿入された、操作ピン92が軸着されている。操作ピン92は、ボス60に固定された軸受94によって、左右方向へと摺動自在に軸支されている。
【0039】
前述のごとく、フック72は常時突出方向に付勢されていることから、フック72に対しワイヤ86、L字アーム88を介して連動する操作ピン92先端部は、常時、図5に示されるように、ボス60を貫通しない突出位置にある。しかしながら、伸縮フレームロックピン38とボス60とが一致する状態(伸縮フレーム24が格納位置にある状態)で、伸縮フレームロックピン38によって、操作ピン92がボス60の奥へと押し込まれることで、操作ピン92と軸着するL字アーム88が図5(b)における時計回りに回転し、L字アーム88に連結されたワイヤ86が下方へと引かれ、フック72の肩部72bが伸縮フレーム24内に格納される。一方、伸縮フレームロックピン38による操作ピン92の押し込み操作を止めると、コイルばね84の弾性力によってフック72は突出方向へと回転し、ワイヤ86によりL字アームの一方のアーム88aが上方へと引き上げられ、L字アーム88は図5(b)の反時計回りに回転する。よって、操作ピン92は、図5に示される位置へと突出位置へと復帰する。又、コイルばね84の弾性力に対抗してフック72を伸縮フレーム24内に押し込むと、ワイヤ86が弛み、伸縮フレームロックピン38によって操作ピン92をボス60の奥へと押し込むことなく、フック72は伸縮フレーム24内に格納される。フック72は、以上のごとく作動するものであり、フックの出没機構74は、コイルばね84、ワイヤ86、L字アーム88、操作ピン92、軸受94、ボス60等によって構成されている。
なお、伸縮フレーム24のサブフレームロックピン34については、メインフレーム16のサブフレームロックピン34と同一構造であることから、詳しい説明を省略する。
【0040】
続いて、サブフレーム22の各構成要素について、更に詳しく説明する。
図7に示されるように、サブフレーム22は、前端部にボルスタ18、後端部にボルスタ20が配置され、これらボルスタが2本の前後方向に延びる一対のレール96で連結されている。又、一対のレール96がボルスタ18、20の間に配置された複数の横梁98によって補強されている。ボルスタ18、20の前後方向の距離は、20フィート型コンテナ28に合せて決定されている。又、一対のレール96の間隔は、メインフレーム16の一対のメインレール12と一致している。
【0041】
又、レール96とボルスタ18、20との4ヶ所の結合部分には、ローラ格納枠102が設けられている。ローラ格納枠102は、サブフレーム22がメインレール12のグースネック後方上面12bを走行するための、ローラ100(図8)を格納するものである。ローラ100には、メインレール12の上面12bを走行する際に、メインレール12から脱落することを防ぐためのフランジが、少なくとも左右方向外側に設けられている。又、ローラ100は、ローラホルダ104に左右方向へと延びるローラ軸106によって軸支されている。図8(b)に示されるように、ローラホルダ104は、ローラ軸106から所定距離を置いた位置で、ローラ格納枠102に対しローラ軸106と平行な揺動軸108によって軸着されている。更に、ローラ軸106には、シリンダ112のシリンダロッド112aと連動するリンク機構110が軸着されている。そして、シリンダロッド112aの伸縮力が、リンク機構110によって増力されて、ローラ軸106に伝達され、ローラ100は揺動軸108を中心として揺動し、サブフレーム22の下面から、上下に出没自在となっている。なお、ローラ100の出没動作は、サブフレーム22に20フィート型コンテナ28が搭載された状態で行う必要がある。したがって、シリンダ112が十分な駆動力を発揮するために、本発明の実施の形態では、ブレーキチャンバが用いられている。又、サブフレームの前後端部に設けられた4個のローラ100は、全て上記の昇降機構を備えている。
【0042】
更に、サブフレーム22の前後各端部のボルスタ18、20に設けられたコンテナ固定用ツイストロック18a、20aのうち、サブフレーム前端部のボルスタ18の、コンテナ固定用ツイストロック18aは、図10に示されるように出没自在に構成されている。具体的には、コンテナ固定用ツイストロック18aは、ボルスタ18に対し前後方向へと延びるピボット114を介して軸着されている。又、ボルスタ18には、コンテナ固定用ツイストロック18aを格納するための穴18bが形成されている。
なお、コンテナ固定用ツイストロック18aの出没動作は、手動にて行うことができる。
【0043】
図11には、コンテナトレーラ10の走行車輪のエアブレーキ用エア回路116を概略的に示している。このエア回路116は、トラクタから延びるエアホースに連結するためのカップリング118から、エアの供給を受ける。そして、走行車輪用エアブレーキを作動させるための各ブレーキチャンバ120に、エアが供給される。又、カップリング118から供給されたエアの一部は、サブフレーム22のローラ100を昇降させるための4つのブレーキチャンバ112へと供給される。
【0044】
さらに、コンテナトレーラ10のエアブレーキ用エア回路116には、駐車ブレーキを開放するバルブ124が設けられている。図示の例では、バルブ124は、サブフレーム22がメインフレーム16上の前進端部位置まで移動した時に、サブフレーム22の前端に設けられたボルスタ18に押されて作動するプランジャ式バルブである。又、図示は省略するが、このバルブ124に代えて、又はこのバルブ124と共に、サブフレーム22前端部のコンテナ固定用ツイストロック18aの没入位置において、駐車ブレーキを開放するバルブが設けられていることとしても良い。
【0045】
上記構成を有する本発明の第1の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能となる。まず、伸縮フレーム24が格納位置にある時(図2(a))、メインフレーム16を構成するメインレール12の、グースネック12a後方上面12bに設けられたサブフレーム22を、メインフレーム16に設けられたサブフレーム22の駆動手段36(図3(a))により、後方へとスライドさせることで、比較的全長の短いコンテナ28をサブフレーム22上に載置した状態で、サブフレーム22をメインフレーム後端部へと移動させることができる。そして、伸縮フレーム24の、一対のメインレール12に挟まれた空間内に収納される左右一対のレール66後端部から、上方に突出するサブフレームストッパ68に、サブフレーム22後端部のボルスタ20後面が当接することで、サブフレーム22は伸縮フレーム24格納時における後退位置に停止する(図2(b))。この状態では、コンテナ28の後部扉とコンテナトレーラ10の後端部とが一致することから、コンテナトレーラ後方からの荷役作業が円滑に行われることとなる。
【0046】
一方、サブフレーム22の駆動手段36によりサブフレーム22を前方へとスライドさせることで、比較的全長の短いコンテナ28をサブフレーム22上に載置した状態で、サブフレーム22をメインフレーム16上の前進限度位置(図2(a))へと移動させることができる。この状態では、コンテナ28は、法令によって定められたトレーラ上の走行可能な位置にある。なお、当然に、サブフレーム22上にコンテナ28を搭載していない状態でも、上記と同様のサブフレーム22の移動が可能である。
【0047】
又、サブフレーム22をメインフレーム16後端部に移動させ(図2(b))、伸縮フレームロックピン38をアンロック状態として(図4)、更にサブフレーム駆動手段36によりサブフレーム22を後方にスライドさせる。このとき、伸縮フレーム24のレール後端部から上方に突出するサブフレームストッパ68に、サブフレーム後端部のボルスタ20後面が当接しており、なおかつ、サブフレーム後端部は伸縮フレーム24のサポート70によって下方から支持されているので、サブフレーム22は伸縮フレーム24を後方へと押出し、伸縮フレーム24は後方の突出限度位置(図2(c))に突出するまでスライドする。そして、伸縮フレーム24が後方の突出限度位置に突出した状態で、伸縮フレームロックピン38により、伸縮フレーム24の位置を固定することができる。
なお、伸縮フレーム24がサブフレーム22のスライド動作と連動して、後方の突出限度位置まで突出し又は格納位置へと復帰する間、サブフレーム22の後端部は、常時、伸縮フレーム24のサポート70(図6、図9)によって下方から支持され、その姿勢は安定する。
【0048】
更に、伸縮フレーム24には、サブフレーム後端部のボルスタ29前面に対し選択的に係合するフック72と、フック72の出没機構74とが設けられていることから、サブフレーム22が、伸縮フレーム24の突出限度位置への突出時における後退端部位置にある状態で(図2(c))、サブフレーム駆動手段36によりサブフレーム22を前方にスライドさせることで、サブフレーム22に係合したフック72によって伸縮フレーム24は前方へと牽引されてサブフレーム22に追従し、伸縮フレーム24は格納位置(図2(a)、(b))へと復帰する。
そして、伸縮フレーム24が格納位置へと復帰した状態において、フック72を伸縮フレーム24に没入させ、伸縮フレーム24に対するサブフレーム24の連結を解除することで、サブフレーム駆動手段36によりサブフレーム22を更に前方にスライドさせることが可能となる。
【0049】
従って、サブフレーム駆動手段36を動力源として、伸縮フレーム24の伸縮作業を行うことが可能となる。又、伸縮フレームの伸縮作業に要する操作を、サブフレームのスライドに要する操作と一連に行うことが可能となる。又、比較的全長の長いコンテナ30の搭載を可能としつつ(図2(d))、比較的全長の短いコンテナ28を搭載する際には、伸縮フレーム24がメインフレーム16後端部に格納されるので(図2(a)、(b))、コンテナトレーラ10の全長が短縮されることとなる。
【0050】
しかも、サブフレーム22は、前進端部位置(図2(a))、伸縮フレーム24格納時における後退位置(図2(b))、及び、伸縮フレーム24の突出限度位置への突出時における後退端部位置(図2(c)、(d))の各々にて、サブフレームロックピン34により、メインフレーム16又は伸縮フレーム24に対するサブフレーム22の位置が固定される。従って、サブフレーム22のスライド時を除き、メインフレーム16に対するサブフレームの位置は、確実に固定されるものである。
なお、本実施の形態におけるサブフレームロックピン34の配置によれば、サブフレーム22が前進端部位置(図2(a))及び伸縮フレーム24の突出限度位置への突出時における後退端部位置(図2(c)、(d))にある時、すなわち、コンテナトレーラ10が走行可能な状態にある時、サブフレーム22の前後端部に配置されたボルスタ18、20に固定された各ボス48と、サブフレームロックピン34とが係合し、サブフレーム22は、前後左右の4ヶ所において、メインフレーム16又は伸縮フレーム24に固定される。一方、サブフレーム22が伸縮フレーム24格納時における後退位置(図2(b))にある時、サブフレーム22後端部に配置されたボルスタ20に固定されたボス48と、サブフレームロックピン34とが係合するのみであるが、この場合は、比較的全長の短いコンテナ28の荷役作業時であることから、安全性に問題は生じない。
【0051】
又、伸縮フレーム24が格納位置(図2(a)、(b))にあり、かつ伸縮フレームロックピン38がロックされることによりフック72が格納されるように、伸縮フレームロックピン38とフック72の出没機構74とが連動する構造を有することから、伸縮フレーム24の伸縮作業に必要不可欠な伸縮フレームロックピン38のロック、アンロック操作に連動して、フック72の突出又は格納、伸縮フレーム24に対するサブフレーム22の連結及びその解除が行われ、伸縮フレーム22の伸縮操作の作業性が向上する。
【0052】
具体的には、伸縮フレーム24が格納位置にある時に、伸縮フレームロックピン38を、操作レバー62を用いて車体内側へと押し込むことで、伸縮フレームロックピン38によるロックが掛ると共に、フック72が格納される。フック72を格納することで、サブフレーム22は、前方へと移動することが可能となる。なお、実際の操作では、サブフレーム22が後退してフック72を越える際には、伸縮フレームロックピン38を引き出してフック72を突出させた状態であっても、フック前方の傾斜面72aにサブフレーム後端部のボルスタ20後面が当接することで、フック72を押し下げ、サブフレーム22は円滑に後方へと移動することができる。
【0053】
又、サブフレーム22に、メインレール12のグースネック後方上面12bを走行するためのローラ100が上下に出没自在に設けられていることにより(図8)、サブフレーム22をスライドさせる必要がある場合にのみ、ローラ100をサブフレーム22から下方に突出させることができる。そして、サブフレーム22をメインレール12のグースネック後方上面12bから浮かせることで、サブフレーム22を円滑にスライドさせることが可能となる。一方、サブフレーム22の位置を固定させる必要がある場合には、ローラ100をサブフレーム22に格納することで、サブフレーム22をメインレール12のグースネック後方上面12bに密着させ、サブフレーム22をメインレール16上に確実に固定することができる。
又、伸縮フレーム24のサポート70は、伸縮フレーム24の格納位置(図2(a)、(b))においてメインレール12の上面12bと部分的にオーバーラップして、メインレールと共にローラ100を下方から支持可能な形状を有することから(図9)、サブフレーム22のローラ100の、メインレール上面12bと伸縮フレーム24のサポート70との間の乗移りも円滑に行われる。
【0054】
又、本発明の実施の形態では、サブフレーム22が前進端部位置に移動した状態、すなわち、サブフレーム22に比較的全長の短いコンテナ28が搭載され、なおかつ、かかるコンテナ28が、法令によって定められたトレーラ上の走行可能な位置にあるとき(図2(a))、駐車ブレーキを開放するバルブ124によって駐車ブレーキが自動的に開放され、コンテナトレーラ10の走行が可能となる。
更に、サブフレーム22前端部のコンテナ固定用ツイストロック18aが没入位置にあるとき、すなわち、伸縮フレーム24が後方の突出限度位置に突出し、サブフレームが後退端部位置に位置して(図2(c))、比較的全長の長いコンテナ30をメインフレーム16及びサブフレーム22に跨って搭載するべく、ツイストロック18aが没入した状態において(図2(d))、駐車ブレーキが自動的に開放され、コンテナトレーラ10の走行が可能となる。
すなわち、本発明の実施の形態に係るコンテナトレーラ10は、比較的全長の短いコンテナを搬送する場合と、比較的全長の長いコンテナを搬送する場合の何れの場合であっても、コンテナの搭載が完了した時点で駐車ブレーキが解除されていることとなり、操作性が向上する。
【0055】
続いて、図12から図18を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係るコンテナトレーラの説明を行う。なお、本発明の第1の実施の形態と同一部分、若しくは、相当する部分については、同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
【0056】
本発明の第2の実施の形態における、第1の実施の形態との主な相違部分は、第1の実施の形態では、サブフレーム22は、メインレール16のグースネック後方上面12bを、ローラ100によってスライドするものであり、サブフレーム22には、メインレール16のグースネック後方上面12bを走行するためのローラ100が上下に出没自在に設けられていたのに対し、本発明の第2の実施の形態では、図12に示されるように、サブフレーム22には、メインレール12のグースネック後方上面12bに対し摺接する、スライドプレート126、128が設けられている点にある。したがって、本発明の第2の実施の形態では、スライドプレート126、128と、メインレール12のグースネック後方上面12bとが、常時摺接している。
スライドプレート126は、固体潤滑剤(黒鉛)が埋め込まれた高力黄銅系合金等、比較的許容面圧の高い部材からなるプレートが用いられている。一方、スライドプレート128は、超高分子量ポリエチレン等の、比較的許容面圧の低い部材からなるプレートが用いられている。なお、スライドプレート126は、メインフレーム16のたわみに起因して、摺動時の面圧が高くなる部分に限定して用いられている。又、スライドプレート126、128の何れも、サブフレーム22の一対のレール96の下面に、ボルト固定されている。そして、必要に応じ、メインレール16のグースネック後方上面12bに潤滑剤を塗布し、又は、グースネック後方上面12bをステンレス磨き板等の低摩擦材で覆うことにより、スライドプレート126、128の摺動性を高めることとしても良い。
【0057】
又、図13(a)に示されるように、メインフレーム16には、サブフレーム22の前進端部位置(図2(a))、及び、図13(b)に示されるように、伸縮フレーム格納時における後退位置(図2(b))において、サブフレーム前端部のボルスタ18の、前面又は後面に当接してサブフレーム22を押し出し、サブフレーム22の起動を補助する補助駆動手段130、132が設けられている。なお、補助駆動手段130、132は、第1の実施の形態においてサブフレーム22のローラ100を昇降させるための駆動手段としても用いられていた、ブレーキチャンバ134、136を動力源として備えている。
【0058】
図13(a)に示されるように、サブフレーム22の前進端部位置(図2(a))に係る補助動力手段130の、ブレーキチャンバ134は、ピストンロッド134aが後方へと向けられて、メインレール16のグースネック12aのグースネック後方上面12bとの段差部分に収まるように、ブラケット138を介して、一対のメインレール12を連結する横梁32に固定されている。なお、ブレーキチャンバ134は、車幅方向中央部に一つ設けられている。そして、サブフレーム22が前進端部位置(図2(a))にあるとき、ブレーキチャンバ134のピストンロッド134aが、サブフレーム22の前端部のボルスタ18の前面18fに対し、直接的に当接する。そして、ピストンロッド134aのストローク分だけ、サブフレーム22を後方へと押し出し、ウインチ50を動力源とするサブフレームの駆動手段38(図3(a)参照)を補助するようになっている。なお、本実施の形態では、ウインチ50はエアモータにより駆動されるものであることが望ましく、この場合、ウインチ50の起動指令に連動してブレーキチャンバ134のピストンロッド134aが伸張するように、エア回路が構成されている。
【0059】
一方、伸縮フレーム格納時に係る後退位置(図2(b))補助動力手段132の、ブレーキチャンバ136は、図13(b)、図14(a)(b)に示されるように、ピストンロッド136aが後方へと向けられ、サブフレーム22との干渉を防ぐために、グースネック12a後方の、一対のメインレール12を連結する横梁32に対し、ブラケット140を介して、グースネック後方上面12bよりも下方に収まるように固定されている。なお、ブレーキチャンバ136は、車幅方向中央部に一つ設けられている。又、ブラケット140には、車幅方向に延びるピボット142によって、シーソーアーム144が軸着されている。シーソーアーム144の一端部144aには、ピストンロッド136が軸着され、シーソーアーム144のもう一方の端部144bには、ローラ146が軸着されている。そして、グースネック後方上面12bからは、シーソーアーム144の端部に固定されたローラ146が突出し、グースネック後方上面12bよりも下方に収まるように固定されたブレーキチャンバ136の動力を、サブフレーム22に対し伝えることが可能となっている。更に、サブフレーム22の前端部のボルスタ18の後ろ面18rには、車幅方向に延びるピボット148を介して、係合爪150が軸着され、係合爪150は、図13(b)に実線で示される係合位置と、二点差線で示される非係合位置との間を揺動可能となっている。
【0060】
係合爪150は、図13(b)に二点差線で示される非係合位置では、ローラ146を避けるようにして上方へと退避していることから、サブフレーム22を、伸縮フレーム24を突出限度位置(図2(c))まで突出させるべく、伸縮フレーム格納時における後退位置(図2(b))を越えて更に後方へとスライドさせることが可能となる。
一方、図13(b)に実線で示される係合位置では、係合爪150は、シーソーアーム144のローラ146と高さ方向にオーバーラップする。なお、係合爪150は、後述する連動機構により、揺動角度が制限されており、実線で示される係合位置が揺動端となって、これ以上の(図中時計回りの)角度変化は阻止される。そして、サブフレーム22が伸縮フレーム格納時における後退位置(図2(b))にあり、なおかつ、係合爪150が実線で示される係合位置にあるとき、ブレーキチャンバ136のピストンロッド136aの伸張動作が、シーソーアーム144a、ローラ146を介して係合爪150に伝えられる。すなわち、後方へと向けて伸縮するピストンロッド136aの伸張動作が、シーソーアーム144により前方へのローラ146の揺動動作に変換され、ローラ146によりサブフレーム22を前方へと押し出し、ウインチ50を動力源とするサブフレームの駆動手段38(図3(a)参照)を補助するようになっている。なお、ブレーキチャンバ136についても、ウインチ50の起動指令に連動してピストンロッド136aが伸張するように、エア回路が構成されている。
【0061】
以上のごとく、補助動力手段132とサブフレーム22とは、その係合状態を任意に解除することが可能となっており、シーソーアーム144、ローラ146、係合爪150によって、伸縮フレーム24が、サブフレーム22のスライド動作と連動して後方の突出限度位置(図2(c))まで突出し又は格納位置(図2(b))へと復帰する際に、補助駆動手段132とサブフレーム22との係合を解除する解除手段152が構成されている。
【0062】
又、解除手段132には、図14に示されるように、サブフレーム22前端部のコンテナ固定用ツイストロック18aの没入位置への没入操作(図14(b)の矢印A)に連動して、補助駆動手段132とサブフレーム22(ボルスタ18)との係合を解除する連動機構154が設けられている。
この連動機構154は、次の構造を有している。まず、コンテナ固定用ツイストロック18aのピボット114(図10参照)に固定されたカム156に、ロッド158の一端部が軸着され、更に、ロッド158の他端部が、ボルスタ18に対し前後方向へと延びるピボット160を介して軸着されたL字カム162の一辺162aに軸着されている。L字カム162のもう一辺162bには、ピン164が水平に固定され、ピン164が、解除手段152の係合爪150と一体に回動するL字ピン166に対し、下方から当接している。そして、コンテナ固定用ツイストロック18aを没入させると、カム156も矢印A方向へと回転して、その動作が、ロッド158を介してL字カム162に伝えられて、L字カム162に固定されたピン164により、L字ピン166を押し上げ、係合爪150を、図13(b)に二点差線で示される非係合位置へと回動させることが可能となる。反対に、格納されたコンテナ固定用ツイストロック18aを起立させることで、連動機構154により、係合爪150を、図13(b)に実線で示される係合位置へと戻すことが可能となる。
なお、本実施の形態に係る連動機構154を構成するリンク機構は一例であり、同様の動作をする別構造のリンク機構を用いることも可能である。更には、連動機構154を上記のごとき機械式リンク機構に換え、コンテナ固定用ツイストロック18aの出没動作に連動して、電動モータ、エアシリンダ等により係合爪150を駆動するものとしても良い。
【0063】
又、本実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、図15から図17に示されるように、サブフレームロックピン34は、メインフレーム12にではなく、サブフレーム22の前後左右の4箇所に設けられている。そして、全てのサブフレームロックピン34が、一つの操作レバー44により連動可能となっている。図17に示されるように、サブフレームロックピン34は、サブフレーム22のボルスタ18、20の下面に固定されたスリーブ40によって、左右方向に摺動自在に支持されている。又、図16に示されるように、左右一対のサブフレームロックピン34の、メインレール12の外側又は内側への出没動作が連動するように、サブフレームロックピン34は、シーソーアーム168、ロッド170、T字アーム172からなる左右連動リンク機構174によって連結されている。そして、左右連動リンク機構174を操作するための操作レバー44が、T字アーム172に軸着されている。更に、サブフレームロックピン34が常時メインレール12の内側へと突出するように、左右連動リンク機構174を付勢するコイルばね46が設けられている。図15から図17では、コイルばね46が伸び、サブフレームロックピン34がメインレールを貫通するように固定されたボス48と係合した状態が示されている。又、かかるコイルばね46が縮められた状態を維持するための、図示しないストッパが設けられている。更に、図15に示されるように、サブフレーム22の前後に設けられたサブフレームロックピン34の、左右連動リンク機構174のT字アーム172同士が、ロッド176で連結されることにより、全てのサブフレームロックピン34が、一つの操作レバー44により連動可能にリンク結合されている。
なお、サブフレームロックピン34がサブフレーム22に設けられ、かつ、その全てが、一つの操作レバー44により連動可能にリンク結合された構造は、本発明の第1の実施の形態にも採用することが可能である。
【0064】
又、本実施の形態では、図18に示されるように、左右一対の伸縮フレームロックピン38についても、一つの操作レバー62により連動可能となるように、リンク機構178を設けている。この、伸縮フレームロックピン38のリンク機構178は、サブフレームロックピン34の左右連動リンク機構174(シーソーアーム168、ロッド170、T字アーム172)と同様の構成を有しているものであり、詳しい説明を省略する。
【0065】
その他、本実施の形態では、スライドプレート126、128と、メインレール12のグースネック後方上面12bとが、常時摺接したスライド機構を採用していることから、第1の実施の形態における、ローラ100の乗り移りを円滑にする伸縮フレーム24のサポート70(及びメインレール12の切欠き12c(図9))は、必ずしも必要ではなくなるが、その他の伸縮フレーム24の構造については、図6と同様である。又、フックの出没機構74についても、図5に示された第1の実施の形態と同様である。
又、コンテナトレーラ10の走行車輪のエアブレーキ用エア回路116についても、図11中の、サブフレーム22のローラ100を昇降させるための4つのブレーキチャンバ112へのエア供給管路が不要となる代りに、ブレーキチャンバ134、136へのエア供給管路が設けられる点を除き、第1の実施の形態と同様である。
【0066】
上記構成をなす本発明の第2の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能となる。まず、サブフレーム22に、メインレール12のグースネック後方上面12bに対し摺接するスライドプレート126、128が設けられていることで、サブフレーム22を、メインレール12のグースネック後方上面12bに対し、円滑にスライドさせることが可能となる。
しかもスライドプレート126は、メインフレーム16のたわみに起因して、摺動時の面圧が高くなる部分に用いられるものであり、比較的許容面圧の高い部材が用いられている。一方、それ以外の部分のスライドプレート128には、比較的許容面圧の低い部材が用いられていることで、高コストの高許容面圧部材の使用を一部の範囲に抑えつつ、必要な摺動性能を得ることが可能となる。
【0067】
又、サブフレーム22が、スライドプレート126、128を介して、メインレール12のグースネック後方上面12bに対し常時摺接していることから、サブフレーム22が停止した状態から起動する際には、スライドプレート126、128とメインレール12のグースネック後方上面12bとの間には、比較的大きな静摩擦力が作用する。特に、サブフレーム22が、前進端部位置(図2(a))から後方へと起動する際、及び、伸縮フレーム格納時における後退位置(図2(b))から前方へと起動する際には、比較的全長の短いコンテナ28をサブフレーム22上に載置した状態で、サブフレームの起動が行われることがあるので(図2(a)、(b))、かかる起動時に、スライドプレート22とメインレール12のグースネック後方上面12bとの間に作用する静摩擦力は、より大きなものとなる。そこで、補助駆動手段130、132が、サブフレーム22前端部のボルスタ18に当接して、サブフレーム22を押し出し、サブフレーム駆動手段36を補助することで、サブフレーム22の起動を円滑に行うことが可能となる。又、補助動力手段130、132を設けることで、サブフレーム駆動手段36の駆動力を増加する必要がなくなる。
【0068】
又、伸縮フレーム24が、サブフレーム22のスライド動作と連動して後方の突出限度位置(図2(c))まで突出し又は格納位置(図2(b))へと復帰する際には、サブフレーム22は、伸縮フレーム24の格納時における後退位置を越えて、更に後方の位置へと移動する必要がある。この際、サブフレーム後端部のボルスタ後面に当接して、サブフレームを押し出す補助駆動手段は、かかるサブフレームの移動を阻害する突起物となる。そこで、解除手段152(図13、図14)により、伸縮フレーム24が、サブフレーム22のスライド動作と連動して後方の突出限度位置まで突出し又は格納位置へと復帰する際には、補助駆動手段132とサブフレーム22との係合が解除されることにより、伸縮フレーム24を伸縮させる際の、サブフレーム22の移動が可能となる。
【0069】
又、伸縮フレーム24を、サブフレーム22のスライド動作と連動して後方の突出限度位置(図2(c))まで突出させる必要があるのは、比較的全長の長いコンテナ30(図2(d))を、メインフレーム12およびサブフレーム22に跨って載置する場合であり、この際、サブフレーム22前端部のコンテナ固定用ツイストロックは18a不要となり、没入位置へと格納する必要がある。又、サブフレーム22前端部のコンテナ固定用ツイストロック18aは、車体の両側部に露出しており、作業者による出没作業は比較的容易である。そこで、連動機構154(図14)により、サブフレーム22前端部のコンテナ固定用ツイストロック18aの没入操作(図14(b)の矢印A)に連動して、解除手段152による補助駆動手段132とサブフレーム22との係合を解除する操作を行うことで、補助駆動手段132とサブフレーム22との係合解除操作が容易となる。
【0070】
又、サブフレーム22の前後左右の4箇所に設けられたサブフレームロックピン34(図15から図17)が、一つの操作レバー44の操作によって同時に操作可能となり、メインフレーム16に対するサブフレーム22の位置固定及び位置固定解除操作が容易となる。
その他、本発明の第1の実施の形態と同様の作用効果については、詳しい説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンテナトレーラの斜視図であり、(a)は伸縮フレームの格納状態を示す全体図、(b)は伸縮フレームが突出限度位置にある状態を示す部分図である。
【図2】図1に示すコンテナトレーラの各態様を示す側面図であり、(a)は20フィート型コンテナ搭載時の走行可能状態を示し、(b)は20フィート型コンテナ搭載時の荷役作業状態を示し、(c)は伸縮フレームが突出限度位置にある状態を示し、(d)は40フィート型コンテナ搭載時を示している。
【図3】図1に示すコンテナトレーラの、メインフレームのグースネックよりも後方の部分を示す模式図であり、(a)は、メインフレームにサブフレーム及び伸縮フレームを重ねて示し、(b)はサブフレームを除いて示したものである。
【図4】図1に示すコンテナトレーラの、メインフレーム及びサブフレームの幅方向断面図である。
【図5】(a)は、図1に示すコンテナトレーラの、伸縮フレームに設けられたフック及びフックの出没機構を示す側面図であり、(b)はその背面図である。
【図6】図1に示すコンテナトレーラの、伸縮フレーム単体図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図7】図1に示すコンテナトレーラの、サブフレームの単体図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図8】図1に示すコンテナトレーラの、サブフレームのローラ出没機構を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図9】図1に示すコンテナトレーラの、伸縮フレームに設けられた、サブフレームのローラを下方から支持するサポートと、メインレールとのオーバーラップ状態を示す模式図である。
【図10】図1に示すコンテナトレーラの、サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックの出没機構を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図11】図1に示すコンテナトレーラの、エアブレーキ用のエア回路図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るコンテナトレーラのサブフレームを示すものであり、(a)は側面図、(b)は(a)のB部拡大図、(c)は(b)の矢視C図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るコンテナトレーラの、サブフレームの補助駆動手段を示す側面図であり、(a)は前進端部位置、(b)は伸縮フレーム格納時における後退位置に係る補助駆動手段を示したものである。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るコンテナトレーラの、サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックの没入位置への没入操作に連動して、補助駆動手段とサブフレームとの係合を解除する連動機構を示すものであり、(a)は平面図、(b)は背面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係るコンテナトレーラの、サブフレームの平面図である。
【図16】(a)は図15のD部拡大図、(b)は(a)の側面図である。
【図17】図16(a)の矢視E図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係るコンテナトレーラの、伸縮フレームロックピンのリンク機構を示す背面図である。
【符号の説明】
【0072】
10:コンテナトレーラ、12:メインレール、12a:グースネック、12b:グースネック後方上面、14:ボルスタ、 14a、18a、20a:コンテナ固定用ツイストロック、16:メインフレーム、 18、20:ボルスタ、22:サブフレーム、24:伸縮フレーム、 28:20フィート型コンテナ、 30:40フィート型コンテナ、34:サブフレームロックピン、36:サブフレームの駆動手段、38:伸縮フレームロックピン、66:レール、68:サブフレームストッパ、72:フック、74:フックの出没機構、84:コイルばね、86:ワイヤ、88:L字アーム、92:操作ピン、96:レール、100:ローラ、106:ローラ軸、108:揺動軸、110:リンク機構、112:シリンダ、116:エア回路、 120、122:ブレーキチャンバ、124:バルブ、 126、128:スライドプレート、 130、132:補助駆動手段、 134、136:ブレーキチャンバ、 134a、136a:ピストンロッド、 138、140:ブラケット、142:ピボット、144:シーソーアーム、144a:一端部、144b:もう一方の端部、146:ローラ、148:ピボット、150:係合爪、152:解除手段、154:連動機構、156:カム、158:ロッド、160:ピボット、162:L字カム、162a:一辺、162b:もう一辺、164:ピン、166:L字ピン、168:シーソーアーム、170:ロッド、172:T字アーム、174:左右連動リンク機構、176:ロッド、178:リンク機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グースネックが形成された左右一対のメインレールが複数の横梁によって固定され、前端部にボルスタが支持されてなるメインフレームと、
該メインレールのグースネック後方上面に、前後にスライド自在に配置され、ボルスタを前後端部に有するサブフレームと、
前記メインフレーム後端部に格納され、前記サブフレームのスライド動作と連動して後方の突出限度位置まで突出し又は格納位置へと復帰可能な伸縮フレームとを備え、
前記メインレール前端部のボルスタにはコンテナ固定用ラッチが設けられ、前記サブフレームの前後各端部のボルスタにはコンテナ固定用ツイストロックが設けられ、かつ、サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックは出没自在に構成されていることを特徴とするコンテナトレーラ。
【請求項2】
前記メインフレームには、前記サブフレームの、前進端部位置、前記伸縮フレーム格納時における後退位置、及び、前記伸縮フレームの突出限度位置への突出時における後退端部位置の各々にて、前記サブフレームの位置を固定するサブフレームロックピンと、前記サブフレームの駆動手段と、前記伸縮フレームの格納位置及び突出限度位置にて、前記伸縮フレームの位置を固定する伸縮フレームロックピンとが設けられ、
前記伸縮フレームには、前記一対のメインレールに挟まれた空間内に収納される左右一対のレールと、該レールの後端部から上方に突出し、前記サブフレーム後端部のボルスタ後面に当接するサブフレームストッパと、前記サブフレーム後端部を下方から支持するサポートと、前記サブフレームの位置を固定するサブフレームロックピンと、前記サブフレーム後端部のボルスタ前面に対し選択的に係合するフックと、該フックの出没機構とが設けられていることを特徴とする請求項1記載のコンテナトレーラ。
【請求項3】
前記伸縮フレームが格納位置にあり、かつ前記伸縮フレームロックピンがロックされることにより前記フックが格納されるように、前記伸縮フレームロックピンと前記フックの出没機構とが連動する構造を有することを特徴とする請求項2記載のコンテナトレーラ。
【請求項4】
前記サブフレームには、前記メインレールのグースネック後方上面を走行するためのローラが上下に出没自在に設けられ、前記伸縮フレームのサポートは、伸縮フレームの格納位置において前記メインレールの上面と部分的にオーバーラップして、前記メインレールと共に前記ローラを下方から支持可能な形状を有することを特徴とする請求項2又は3記載のコンテナトレーラ。
【請求項5】
走行車輪と、該走行車輪のエアブレーキと、エアブレーキ用エア回路とを備え、該エアブレーキ用エア回路には、前記サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックの、ツイストロックの没入位置において、駐車ブレーキを開放するバルブが設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のコンテナトレーラ。
【請求項6】
前記メインフレームには、前記サブフレームの駆動手段と、前記伸縮フレームの格納位置及び突出限度位置にて、前記伸縮フレームの位置を固定する伸縮フレームロックピンが設けられ、
前記伸縮フレームには、前記一対のメインレールに挟まれた空間内に収納される左右一対のレールと、該レールの後端部から上方に突出し、前記サブフレーム後端部のボルスタ後面に当接するサブフレームストッパと、前記サブフレームの位置を固定するサブフレームロックピンと、前記サブフレーム後端部のボルスタ前面に対し選択的に係合するフックと、該フックの出没機構とが設けられ、
前記サブフレームには、前記メインフレームに対する、前進端部位置、前記伸縮フレーム格納時における後退位置、及び、前記伸縮フレームの突出限度位置への突出時における後退端部位置の各々に固定するサブフレームロックピンが設けられていることを特徴とする請求項1記載のコンテナトレーラ。
【請求項7】
前記サブフレームには、前記メインレールのグースネック後方上面に対し摺接するスライドプレートが設けられていることを特徴とする請求項6記載のコンテナトレーラ。
【請求項8】
前記スライドプレートは、前記メインフレームのたわみに起因して、摺動時の面圧が高くなる部分に、比較的許容面圧の高い部材が用いられ、それ以外の部分に、比較的許容面圧の低い部材が用いられていることを特徴とする請求項7記載のコンテナトレーラ。
【請求項9】
前記メインフレームには、前記サブフレームの、前進端部位置及び前記伸縮フレーム格納時における後退位置において、前記サブフレーム前端部のボルスタに当接して前記サブフレームを押し出し、前記サブフレームの起動を補助する補助駆動手段が設けられていることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項記載のコンテナトレーラ。
【請求項10】
前記サブフレームの前記伸縮フレーム格納時における後退位置において、前記サブフレームの起動を補助する補助駆動手段には、前記伸縮フレームが、前記サブフレームのスライド動作と連動して後方の突出限度位置まで突出し又は格納位置へと復帰する際に、前記サブフレームとの係合を解除する解除手段が設けられていることを特徴とする請求項9記載のコンテナトレーラ。
【請求項11】
前記解除手段には、前記サブフレーム前端部のコンテナ固定用ツイストロックの没入位置への没入操作に連動して、前記補助駆動手段と前記サブフレームとの係合を解除する連動機構が設けられていることを特徴とする請求項10記載のコンテナトレーラ。
【請求項12】
前記サブフレームに設けられた、サブフレームロックピンは、少なくとも前記サブフレームの前後左右の4箇所に設けられ、その全てが、一つの操作レバーにより連動可能にリンク結合されていることを特徴とする請求項5から11のいずれか1項記載のコンテナトレーラ。
【請求項13】
走行車輪と、該走行車輪のエアブレーキと、エアブレーキ用エア回路とを備え、該エアブレーキ用エア回路には、前記サブフレームの前進端部位置において、駐車ブレーキを開放するバルブが設けられていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載のコンテナトレーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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