説明

コンテナ及び貨物自動車

【課題】積載物を減容して輸送コストを削減するだけでなく、輸送時に積載物が飛散せず、貨物自動車などに使用するのに適したコンテナを提供する。
【解決手段】コンテナ20を、積載物を投入するための積載物投入口21が上面に設けられたものとし、積載物投入口21の両側に設けられた少なくとも1組の回動軸24L,24Rと、回動軸24L,24Rを駆動するための第一駆動手段26L,26Rと、それぞれの回動軸24L,24Rに基端を固定されて積載物投入口21の上方で開閉動作を行う少なくとも1組の開閉板25L,25Rと、開閉板25L,25Rが閉じられる際に開閉板25L,25Rの先端部上面を下方へ押し下げるための開閉板押下げ手段28L,28Rと、開閉板押下げ手段28L,28Rを駆動するための第二駆動手段29L,29Rとを備えたものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の解体時に発生するシュレッダーダストなどを運搬するのに適したコンテナと、該コンテナを備えた貨物自動車とに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の解体時には、内装材やシート材を破砕したシュレッダーダストと呼ばれる廃棄物が発生する。この種のシュレッダーダストの運搬には、荷台を傾斜させることにより積載物を排出可能なダンプアップ方式の貨物自動車や、荷台上の押出板を後方に移動させることにより積載物を排出可能な押出方式の貨物自動車などが使用されている(例えば特許文献1)。
【0003】
後者の押出方式の貨物自動車は、押出板を駆動するための特殊な機構が必要となるなど、製造コストが高くなる傾向にある。しかし、押出方式の貨物自動車は、荷台を傾斜させる必要がないので、40フィートの海上コンテナなど、長大なコンテナを流用することが可能であり、貨物自動車1台当たりの運搬量を多くすることができるため、輸送コストの削減を図ることができる。
【0004】
ところで、自動車の解体時に発生するシュレッダーダストは、ポリウレタンやポリエチレンなどの樹脂を破砕した異形のチップ状のものが大半を占め、非常に嵩張りやすいものの、軽量であるため、貨物自動車の荷台に満載しても制限重量に届かないことが多い。このため、積載したシュレッダーダストを圧縮して減容し、輸送コストのさらなる削減を図りたいとの要望が強まってきている。
【0005】
しかし、従来の押出方式の貨物自動車は、コンテナの上面に形成された開口部から積載物を投入し、該開口部に幌などを被せるものが殆どであったため、積載物の自重による圧縮に起因する減容効果以外は得ることができなかった。このような実状に鑑みてか、これまでには、コンテナの上面の開口部(積載物投入口)を、油圧などによって駆動する扉(
通常、コンテナの上縁に沿って配された左右一対の回動軸に取り付けられた左右一対の開閉板で構成される。)で塞ぐことができるようにした貨物自動車も提案されている。これにより、コンテナ内部の積載物を前記開閉板で上側から押さえることが可能になるので、積載物を減容することが可能になる。
【0006】
ところが、コンテナの上面に形成された積載物投入口を開閉板で塞ぐことができるようにした貨物自動車では、開閉板が完全に閉まりきらないことが多く、左側の開閉板の先端と右側の開閉板の先端との間に隙間が生じることがあった。このため、貨物自動車の走行時などに、前記隙間から積載物が飛散するおそれもあった。
【0007】
【特許文献1】特許第3062568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、積載物を減容して輸送コストを削減するだけでなく、輸送時に積載物が飛散せず、貨物自動車などに使用するのに適したコンテナを提供するものである。また、このコンテナを備えた貨物自動車を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、積載物を投入するための積載物投入口が上面に設けられたコンテナであって、積載物投入口の両側に設けられた少なくとも1組の回動軸と、該回動軸を駆動するための第一駆動手段と、それぞれの回動軸に基端を固定されて積載物投入口の上方で開閉動作を行う少なくとも1組の開閉板と、該開閉板が閉じられる際に開閉板の先端部上面を下方へ押し下げるための開閉板押下げ手段と、開閉板押下げ手段を駆動するための第二駆動手段とを備えたことを特徴とするコンテナを提供することによって解決される。これにより、開閉板が完全に閉じられた状態となるまで、或いはそれに近い状態となるまで、開閉板を閉じることが可能になり、開閉板を閉じた際に開閉板の先端に隙間が生じないようにすることが可能になる。
【0010】
本発明のコンテナにおいて、開閉板押下げ手段は、開閉板を押し下げることができるものであればその形態を特に限定されない。例えば、上下方向に移動する押下げアームなどを採用してもよい。しかし、この場合には、押下げアームを上下方向に配さなければならず、コンテナの高さが高くなってしまう。このため、開閉板押下げ手段は、閉塞途中で傾斜状態にある開閉板の先端部上面を先端側に押圧することにより開閉板の先端部を押し下げる押下げアームと、該押下げアームを第二駆動手段と連結して押下げアームを操作する押下げアーム操作機構とで構成されたものであると好ましい。このように、水平方向に移動する押下げアームを採用することにより、コンテナの高さを抑えることが可能になる。
【0011】
また、本発明のコンテナにおいて、開閉板は、積載物投入口の開閉を行うことができるのであれば特に限定されない。例えば、それぞれの先端同士が突き当たった完全閉塞時にその基端側の高さと先端側の高さとが同じになる形状としてもよい。しかし、この場合には、水平方向に移動する押下げアームによっては、開閉板の先端部を最後まで押し下げることが困難になる。このため、開閉板は、それぞれの先端同士が突き当たった完全閉塞時にその基端側よりも先端側が高く傾斜する形状とすると好ましい。これにより、水平方向に移動する押下げアームであっても、開閉板が完全に閉塞するまで開閉板を押し下げることが可能になる。また、積載量を増大することも可能になる。
【0012】
さらに、本発明のコンテナにおいて、回動軸や開閉板の配置は、特に限定されない。しかし、通常、コンテナは前後に細長く、その上面の積載物投入口も前後方向に長く形成されることを考慮すると、回動軸を、積載物投入口の左縁に沿って設けられた左側回動軸と、積載物投入口の右縁に沿って設けられた右側回動軸とで構成し、開閉板を、左側回動軸に固定されて前後方向に配列された複数の左側開閉板と、右側回動軸に固定されて前後方向に配列された複数の右側開閉板とで構成し、前後に隣り合う開閉板の間に、積載物投入口を左右に横切るブリッジを設け、該ブリッジに開閉板押下げ手段が固定すると好ましい。
【0013】
また、上記課題は、上記のコンテナを備えた貨物自動車を提供することによっても解決される。本発明の貨物自動車において、第一駆動手段や第二駆動手段は、回動軸や開閉板を駆動できるのであれば特に限定されず、例えば、電動機などを用いてもよい。しかし、回動軸や開閉板押下げ手段のトルクや押下げ力を強くするためには、いずれも油圧モータとすることが好ましい。この場合、それぞれの油圧モータは、コンテナや貨物自動車に設けられた共通の油圧源に接続すると好ましい。これにより、貨物自動車の油圧回路を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によって、積載物を減容して輸送コストを削減するだけでなく、輸送時に積載物が飛散せず、貨物自動車などに使用するのに適したコンテナを提供することが可能になる。また、このコンテナを備えた貨物自動車を提供することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のコンテナと、該コンテナを備えた貨物自動車の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明の貨物自動車の好適な実施態様を示した側面図である。図2は、図1の貨物自動車におけるコンテナ(開閉板展開時)を示した斜視図である。図3は、図2のコンテナ(開閉板展開時)における開閉板押下げ手段の周辺を拡大した平面図である。図4は、図1の貨物自動車におけるコンテナ(開閉板完全閉塞時)を示した斜視図である。図5は、図4のコンテナ(開閉板完全閉塞時)における開閉板押下げ手段の周辺を拡大した平面図である。図2と図4においては、紙面左下が貨物自動車の前方であり、右上が貨物自動車の後方である。
【0016】
1.貨物自動車
本実施態様の貨物自動車は、図1に示すように、運転席や荷台など備えた車体10と、車体10の荷台に載せられたコンテナ20とで構成されている。車体10は、運転席側と荷台側とが一体化されたものであってもよいが、コンテナ20が長く、荷台を長くする必要があるような場合には、運転席側と荷台側とが取外し可能な状態で連結された別体からなるものであってもよい。車体10における運転席と荷台との間には、後述する油圧ポンプ(油圧源)11が設けられている。油圧ポンプ11は、コンテナ20に設けてもよい。
【0017】
2.コンテナ
図1の貨物自動車におけるコンテナ20は、図2に示すように、積載物を投入するための積載物投入口21が上面に設けられたものとなっている。積載物を排出するための積載物排出口22(図2を参照)は、コンテナ20の背面に設けられており、コンテナ20の内部に設けられた押出板23(図1を参照)を前方(運転席側)から後方へスライドさせることにより、積載物を後方へ押し出すことができるようになっている。本実施態様のコンテナ20において、積載物排出口22には、左右外側に開く両開きの扉が備えられている。
【0018】
図2に示すように、積載物投入口21の左縁には、該左縁に沿って左側回動軸24Lが設けられており、積載物投入口21の右縁には、該右縁に沿って右側回動軸24Rが設けられている。左側回動軸24Lには、前後方向に所定距離を隔てて配された2枚の左側開閉板25L(開閉板)の基端が固定されており、右側回動軸24Rには、前後方向に所定方向に所定距離を隔てて配された2枚の右側開閉板25R(開閉板)の基端が固定されている。本実施態様のコンテナ20において、前後2枚の左側開閉板25Lは、共通の左側回動軸24Lに固定されており、前後2枚の右側開閉板25Rは、共通の右側回動軸24Rに固定されている。
【0019】
左側回動軸24Lの前端及び後端と、右側回動軸24Rの前端及び後端には、図2に示すように、左側回動軸24L及び右側回動軸24Rを回転駆動するための第一駆動手段26L,26Rがそれぞれ設けられている。本実施態様のコンテナ20において、それぞれの第一駆動手段26L,26Rには、油圧モータを用いている。それぞれの油圧モータは、図示省略の油圧パイプによって、図1に示す油圧ポンプ11と接続されている。左側開閉板25Lと右側開閉板25Rは、図4に示すように、それぞれの先端同士が突き当たった完全閉塞時にその基端側よりも先端側が高く傾斜する形状とされている。
【0020】
前方に配された左側開閉板25L及び右側開閉板25Rと、後方に配された左側開閉板25L及び右側開閉板25Rとの間には、図2に示すように、積載物投入口21を左右に横切るブリッジ27が設けられている。ブリッジ27の下面には、左側開閉板25Lが閉じられる際に左側開閉板25Lの先端部上面を下方へ押し下げるための左側開閉板押下げ手段28Lと、左側開閉板押下げ手段28Lを駆動するための左側第二駆動手段29Lと、右側開閉板25Rが閉じられる際に右側開閉板25Rの先端部上面を下方へ押し下げるための右側開閉板押下げ手段28Rと、右側開閉板押下げ手段28Rを駆動するための右側第二駆動手段29Rとが固定されている。
【0021】
本実施態様のコンテナ20において、左側第二駆動手段29Lと右側第二駆動手段29Rには、油圧モータを用いている。それぞれの油圧モータは、図示省略の油圧パイプによって、図1に示す油圧ポンプ11と接続されている。左側第二駆動手段29Lと右側第二駆動手段29Rに接続される油圧パイプは、前方の第一駆動手段26L,26Rと後方の第一駆動手段26L,26Rとを連結する油圧パイプ(左側回動軸24Lと右側回動軸24Rとに沿って配されている。)から分岐させると、油圧回路を簡素化することができる。
【0022】
左側開閉板押下げ手段28Lは、図2〜5に示すように、閉塞途中で傾斜状態にある左側開閉板25Lの先端部上面を先端側に押圧することにより、左側開閉板25Lの先端部上面を下方へ押し下げる一対の押下げアーム28Aと、一対の押下げアーム28Aを左側第二駆動手段29Lと連結して操作する押下げアーム操作機構28Bとで構成されている。本実施態様のコンテナ20において、押下げアーム操作機構28Bは、一対の押下げアーム28Aの基端側に固定された一対の摩擦車28Bと、左右方向にスライドすることにより一対の摩擦車28Bを回転させる摩擦軸28Bとを用いたラックピニオン機構としている。
【0023】
すなわち、図3に示すように、摩擦軸28Bの先端が左側第二駆動手段29Lから離れた位置まで移動した場合には、押下げアーム28Aが左側第二駆動手段29Lの側に閉じてブリッジ27の下側に入った状態となり、図5に示すように、摩擦軸28Bの先端が左側第二駆動手段29Lに近い位置まで移動した場合には、押下げアーム28Aが左側第二駆動手段29Lから離れるように開いてブリッジ27の両側から突き出るようになっている。
【0024】
したがって、図2に示すように、左側開閉板25Lを開く場合には、押下げアーム28Aを閉じて押下げアーム28Aが左側開閉板25Lに干渉しないようにしながらも、図4に示すように、左側開閉板25Lを閉じる場合には、押下げアーム28Aを開いて押下げアーム28Aで左側開閉板25Lを下方へ押圧することが可能となっている。ブリッジ27の両側から突き出た押下げアーム28Aは、左側開閉板25Lを下方へ押下げてコンテナ20の内部の積載物を圧縮するだけでなく、左側開閉板25Lの先端部と右側開閉板25Rの先端部との間の隙間を狭くして、積載物がコンテナ20の外部へと飛散しないようにする作用がある。同様の動作は、押下げアーム操作機構28Bとしてラックピニオン機構を採用した場合だけでなく、例えばリンク機構などの他の機構を採用することでも実現することができる。
【0025】
右側開閉板押下げ手段28Rは、上述した左側開閉板押下げ手段28Lと左右対称であり、その動作は同様であるため、説明を割愛する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の貨物自動車の好適な実施態様を示した側面図である。
【図2】図1の貨物自動車におけるコンテナ(開閉板展開時)を示した斜視図である。
【図3】図2のコンテナ(開閉板展開時)における開閉板押下げ手段の周辺を拡大した平面図である。
【図4】図1の貨物自動車におけるコンテナ(開閉板完全閉塞時)を示した斜視図である。
【図5】図4のコンテナ(開閉板完全閉塞時)における開閉板押下げ手段の周辺を拡大した平面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 車体
11 油圧ポンプ(油圧源)
20 コンテナ
21 積載物投入口
22 積載物排出口
23 押出板
24L 左側回動軸(回動軸)
24R 右側回動軸(回動軸)
25L 左側開閉板(開閉板)
25R 右側開閉板(開閉板)
26L 左側第一駆動手段(第一駆動手段)
26R 右側第一駆動手段(第一駆動手段)
27 ブリッジ
28A 押下げアーム
28B 押下げアーム操作機構
28B 摩擦車
28B 摩擦軸
28L 左側開閉板押下げ手段(開閉板押下げ手段)
28R 右側開閉板押下げ手段(開閉板押下げ手段)
29L 左側第二駆動手段(第二駆動手段)
29R 右側第二駆動手段(第二駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載物を投入するための積載物投入口が上面に設けられたコンテナであって、積載物投入口の両側に設けられた少なくとも1組の回動軸と、該回動軸を駆動するための第一駆動手段と、それぞれの回動軸に基端を固定されて積載物投入口の上方で開閉動作を行う少なくとも1組の開閉板と、該開閉板が閉じられる際に開閉板の先端部上面を下方へ押し下げるための開閉板押下げ手段と、開閉板押下げ手段を駆動するための第二駆動手段とを備えたことを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
開閉板押下げ手段が、閉塞途中で傾斜状態にある開閉板の先端部上面を先端側に押圧することにより開閉板の先端部を押し下げる押下げアームと、該押下げアームを第二駆動手段と連結して押下げアームを操作する押下げアーム操作機構とで構成された請求項1記載のコンテナ。
【請求項3】
開閉板が、それぞれの先端同士が突き当たった完全閉塞時にその基端側よりも先端側が高く傾斜する形状とされた請求項1又は2記載のコンテナ。
【請求項4】
回動軸が、積載物投入口の左縁に沿って設けられた左側回動軸と、積載物投入口の右縁に沿って設けられた右側回動軸とで構成され、開閉板が、左側回動軸に固定されて前後方向に配列された複数の左側開閉板と、右側回動軸に固定されて前後方向に配列された複数の右側開閉板とで構成され、前後に隣り合う開閉板の間に、積載物投入口を左右に横切るブリッジが設けられ、該ブリッジに開閉板押下げ手段が固定された請求項1〜3いずれか記載のコンテナ。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載のコンテナを備えた貨物自動車。
【請求項6】
第一駆動手段と第二駆動手段とがいずれも油圧モータであり、それぞれの油圧モータが共通の油圧源に接続された請求項5記載の貨物自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−149914(P2010−149914A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332405(P2008−332405)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【特許番号】特許第4416049号(P4416049)
【特許公報発行日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(508293678)
【出願人】(508293003)朝倉運輸株式会社 (4)
【Fターム(参考)】