コンテナ用天蓋
【課題】コンテナ上面の全面開口が可能な天蓋でありながら付勢手段となる部品に比較的大きな負荷がかからず、比較的小型の付勢手段によって天蓋の開閉補助装置を含めた全体構造を簡単化し、かつ耐久性を高めて低コスト化できるようにし、特に可及的に軽量化して開閉操作などを扱いやすくすることである。
【解決手段】コンテナ1の上面開口縁に天蓋2を設け、天蓋2の長手方向の両側縁と前記の開口縁にロープ3で固定した枠4とに跨ってヒンジ5を着脱可能に設け、天蓋2の一側縁または他側縁のいずれか一方のヒンジ5を支点として他方の側を持ち上げて開放可能なものである。そして、この開放を補助するために平行リンク機構6とガススプリング7からなる開閉補助装置を設ける。
【解決手段】コンテナ1の上面開口縁に天蓋2を設け、天蓋2の長手方向の両側縁と前記の開口縁にロープ3で固定した枠4とに跨ってヒンジ5を着脱可能に設け、天蓋2の一側縁または他側縁のいずれか一方のヒンジ5を支点として他方の側を持ち上げて開放可能なものである。そして、この開放を補助するために平行リンク機構6とガススプリング7からなる開閉補助装置を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上面の開放されたコンテナに装着されて開閉可能なコンテナ用天蓋およびコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トラックなどの車両で輸送される荷箱その他の貨物輸送用容器であるコンテナは、集荷した状態のまま車両に積載して処理場に輸送できるので、利便性が高く、その種のコンテナとして上面が開放されたものがよく知られている。
【0003】
このような上面開口の車載用のコンテナは、地上に配置して産業廃棄物などを集荷する場合にも用いられ、このものは通常、前後方向に長い略方形状の箱体状に形成され、車両に搭載された油圧駆動式の積み降ろしアームで、前壁に設けた係止部21(図1参照)を係止し、積み降ろしアームを操作してコンテナを車両から地上に積み降ろし、または積載できる。
【0004】
このような集荷および輸送兼用の上面開口のコンテナには、天蓋を設けてコンテナ収容物に雨水が浸入しないようにしたり、また収容された物を安全に散逸しないように保管しておいたり、移動や搬送の際に収容物が飛散しないようにすることが好ましい。
【0005】
そのために設ける天蓋として好ましいものには、適当な開閉手段によって比較的小さな力で開閉が自在であり、またコンテナの左右側面のいずれの側からでも廃棄物の収容が可能であり、また天蓋はコンテナに対して着脱容易に装着できる機構などが要望される。
【0006】
従来のコンテナ用天蓋としては、天蓋が左右に半割され、スライドしつつコンテナ側面に沿ってずり落ちるように開くスライド両開き式の天蓋開閉装置付きコンテナが知られている(特許文献1)。
【0007】
または、長方体状のコンテナの左右両縁側のうち、適当な側縁部を支点軸にして天蓋を左右両側のいずれにも開閉可能な両開きタイプのものがあり、ガススプリングによるアシストができるようにした天蓋開閉装置が知られている(特許文献2)。
【0008】
【特許文献1】特開2004−244056号公報
【特許文献2】特開2004−83026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記した従来の天蓋開閉装置では、コンテナの開口縁と天蓋の縁を直接にガススプリングで引き起こして天蓋の全体または半割部分を開閉させる補助装置を設けているため、駆動の初期にガススプリングなどの付勢手段となる部品に比較的大きな負荷がかかる。そのため、天蓋を半割してモータを併用するか、または比較的大型のガススプリングを装備しなければならず、これでは天蓋の開閉構造を簡単化して低コスト化したり、耐久性を高めたり、軽量化することは容易でないという問題点がある。
【0010】
また、天蓋の一部分に比較的小さな開口部を形成すれば、その小型化は可能であるが、物品の収容および取り出しに不便となり作業効率が悪くなる。
【0011】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、コンテナ上面の全面開口が可能な天蓋であり、かつ開閉の付勢手段となる部品に比較的大きな負荷がかからず、比較的小型の天蓋の開閉補助装置を採用できて構造が簡単化され、軽量で低コストでありかつ耐久性が高く、車両などへの着脱操作も容易なコンテナ用天蓋とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明においては、コンテナの上面開口に天蓋を設け、この天蓋の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げて開放可能であり、かつこの開放を補助する開閉補助装置を設けたコンテナ用天蓋とし、前記開閉補助装置が、天蓋とコンテナの開口縁に跨って連結される伸縮自在の平行リンク機構と、この平行リンク機構を伸ばす方向に付勢する付勢手段とからなることを特徴としたコンテナ用天蓋としたのである。
【0013】
上記したように構成されるこの発明のコンテナ用天蓋は、天蓋の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として天蓋の一側を持ち上げて開閉する際に、伸縮自在の平行リンク機構を用い、それを伸ばす方向に付勢する付勢手段を用いるので、天蓋の開放動作の初期には、付勢手段によって平行リンク機構の伸ばす方向と天蓋を持ち上げる力の方向を略同一方向に一致させることができ、付勢手段で平行リンク機構を伸ばす力を効率よく天蓋を持ち上げる力の助力として作用させることができるので、天蓋の一側を持ち上げる場合に、当初から付勢力が充分に効率よく発揮され、大型の天蓋でも比較的小さな力で開閉することができる。
【0014】
また、ある程度(例えば45度程度)の高さまで天蓋の一側が傾斜した状態で持ち上がった際には、天蓋の荷重の大半を支点が支えることになるため、さらに小さな力で天蓋を持ち上げることが可能になる。
【0015】
このような平行リンク機構は、比較的小型の付勢手段を用いても機能し、天蓋の開閉補助装置を含めた全体構造を簡単化できるので、開閉装置を低コスト化でき、また装置を軽量化して開閉操作などをより操作しやすくできる。
【0016】
また、平行リンク機構の隣り合う2辺のフレームのうち、一部または全部を重ねた際に、前記2辺のフレームの交差角度を固定するロック手段を設けることが好ましい。
【0017】
このようにロック手段を設けると、平行リンク機構が高さを低くして折り畳まれた状態で、その状態を仮固定できるので、平行リンク機構を天蓋の裏側にかなり嵩を小さくした状態にでき、そのためコンテナの上面開口に平行リンク機構付きの天蓋を取り付ける作業が容易にできる。
【0018】
また、前記した支点は、コンテナの開口縁と天蓋の縁に跨って着脱可能なヒンジの回転ロッドであることが、天蓋の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げて開放するために好ましい。
【0019】
さらにヒンジを、天蓋とその縁に整合する枠に跨って着脱自在に設け、前記枠をコンテナの上面開口部の縁に着脱自在に取り付ける手段を設けたコンテナ用天蓋とすることが好ましい。このようにすると、先ず枠だけをコンテナの上面開口部の縁に固定して取り付けておき、その後にヒンジが取り付けられた天蓋をコンテナの開口部に載せ、ヒンジと枠を固定することによってコンテナ用天蓋をコンテナの開口部へ簡単に取り付けることができる。
また、上記いずれかのコンテナ用天蓋を設けたコンテナとすることもできる。
【発明の効果】
【0020】
この発明は、天蓋の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げて開放可能とし、かつこの開放を補助する開閉補助装置を設け、開閉補助装置が、伸縮自在の平行リンク機構と、この平行リンク機構を伸ばす付勢手段としたので、コンテナ上面の左右側面のいずれ側からも全面開口が可能な天蓋になると共に、比較的小型の付勢手段によって天蓋の開閉補助装置を含めた全体構造を簡単化、軽量化および低コスト化でき、しかも開閉時の操作性が向上するコンテナ用天蓋またはそのような利点を有するコンテナ用天蓋付きのコンテナになるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明の実施形態を以下に添付図面の図1〜12に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態は、直方体状のコンテナ1の上面開口縁に透明性樹脂シート材を金属格子で補強した蒲鉾型の天蓋2を開閉自在に設けたものである。この天蓋2の長手方向の両側縁とコンテナ1の上面開口縁には、ロープ3でコンテナ1に固定した長方形状の枠4を介在させ、この枠4と天蓋2の長手方向の両側縁とに跨ってヒンジ5を着脱可能に設けている。この構造により天蓋2の一側縁または他側縁のいずれか一方のヒンジ5を支点として、他方の側を持ち上げて開放可能になる。そして、この開放を補助するために菱形状の平行リンク機構6とガススプリング7からなる開閉補助装置を設けている。
【0022】
図2〜4に示すように、支点となるヒンジ5は、鉄製の枠4の外側に係止用環8を複数個(図示では片側2個である。)間隔を開けて溶接して設け、天蓋2の両側縁には複数のブラケット9で回転可能に保持されたフック10付きの回転ロッド11を設け、この回転ロッド11はバネ12で軸回りに回転力を付勢しておくと共に、バネ12の回転力に抗して回転ロッド11の回動を操作するハンドル13を設けたものである。このヒンジ5は、ハンドル13の回動操作と回転ロッド11の回転力でフック10を係止用環8に係合させた際にヒンジ5の機能を奏し、または必要に応じてハンドル13の逆回動操作でフック10を係止用環8から抜脱して係合を解くことにより、ヒンジ5の機能をなくさせて天蓋2を開放し開閉できるようになる。
このようにしてヒンジ5を、天蓋2とその縁に整合する枠4とに跨って着脱自在に設けることができる。
【0023】
次に、この発明に用いる開閉補助装置は、天蓋2がその左側縁または右側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げて開口部を開放する際に、持ち上げ側にかかる重量を軽減できるアシスト機能を有する。
【0024】
図5〜8に示す実施形態の開閉補助装置は、伸縮自在の平行四辺形状の平行リンク機構6を構成部品とし、平行リンク機構6を伸ばす方向に付勢する付勢手段としてのガススプリング7を採用し、天蓋2とコンテナ1の開口縁と一体に固定された枠4に跨ってその対角部分がボルト16、17とブラケット14、15とによって回動自在に連結保持されている。
このような回動自在なボルト16、17止めなどのように回動可能な軸によって平行リンク機構6を枠4と天蓋2に(枠を省略する場合にはコンテナと天蓋に)取り付けることにより、枠4から持ち上げられた天蓋2は、その一側縁または他側縁のいずれの一側を下にして他側を高く持ち上げても安定性よく傾斜させることができる。
【0025】
図6および図7に示すように、天蓋2に固定して設けられるブラケット14は、ボルト16で固定されているが、図8に示されるように、枠4に固定されるブラケット15は、ボルト17を上方から載せて受けることができるように軸受部分が上方に向けて開環された受け口の形状であり、枠4に対して平行リンク機構6を載せるだけで組み立てられる。
【0026】
この発明に用いる付勢手段は、四辺形型の平行リンク機構の隣り合う2辺のフレーム18に跨ってこれら2辺のフレームの交差角度を広げるように付勢する機能を有するものが好ましいが、このような平行リンク機構を設けない場合には、天蓋2と枠4またはコンテナ1の開口縁とに直接に跨ってガススプリングなどを連結させることもできる。
【0027】
付勢手段としては、ガススプリング、オイルスプリング、空気バネなどの流体圧力を利用したバネの他、機械バネの弾性を利用するものであってもよい。
【0028】
このような付勢手段による付勢(弾性)力を平行リンク機構6に常時作用させておくことは、天蓋2をコンテナ1に取り付けた後においては問題ないのであるが、取り付け時に長く伸ばした平行リンク機構6が、天蓋2と枠4の距離を離間させるので、取り付け作業が身長との関係で困難になる場合がある。
【0029】
そこで、平行リンク機構6の隣り合う2辺のフレーム18のうち、一部または全部が重なって、平行リンク機構6付きの天蓋2を嵩低くできるように、2辺のフレーム18の交差角度θを固定するロック手段を設けておくことが好ましい。
【0030】
図9および図10に示すロック手段は、2辺のフレーム18の隅部が重なり合うように所定狭小の交差角度となった状態で、鍵穴状の貫通穴19が整合する配置に設け、貫通穴19に嵌り合う形状のピン20を天蓋側壁2aに形成した孔2bから差し込んで2辺のフレーム18の交差角度を固定するものである。
【0031】
図8に示す状態の平行リンク機構6において、鍵穴状の貫通穴19にピン20を差し込んで2辺のフレーム18の交差角度θを固定しておくと、天蓋2が嵩張らないので、予めコンテナ1に枠4を固定しておき、これに対して付勢手段を設けた天蓋2を載せてヒンジ5を固定する作業が容易にできる。
【0032】
図1および図11、図12に示すように、コンテナ1の開口縁に枠4と共に固定された実施形態のコンテナ用天蓋およびコンテナは、ハンドル13を持ち上げる操作でヒンジ5のフック10を係止用環から抜脱分離して係合を解くことにより、任意側のヒンジ5の枠4と天蓋2との接続機能をなくして、天蓋2の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げ開放可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態の外観を示す斜視図
【図2】図1の上面図
【図3】図1の要部拡大の正面図
【図4】(a)、(b)、(c)はそれぞれ図3のa−a線、b−b線、c−c線断面図
【図5】図1のV−V線断面図
【図6】図5の要部拡大断面図
【図7】図5のVII-VII線断面図
【図8】実施形態の部品を分解して示す断面図
【図9】実施形態のロック手段を示す断面図
【図10】実施形態のロック手段を示す部品分解説明図
【図11】図1の実施形態を示し、左開きした外観を示す断面図
【図12】図1の実施形態を示し、右開きした外観を示す断面図
【符号の説明】
【0034】
1 コンテナ
2 天蓋
2a 側壁
2b 孔
3 ロープ
4 枠
5 ヒンジ
6 平行リンク機構
7 ガススプリング
8 係止用環
9 ブラケット
10 フック
11 回転ロッド
12 バネ
13 ハンドル
14、15 ブラケット
16、17 ボルト
18 フレーム
19 貫通穴
20 ピン
21 係止部
【技術分野】
【0001】
この発明は、上面の開放されたコンテナに装着されて開閉可能なコンテナ用天蓋およびコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トラックなどの車両で輸送される荷箱その他の貨物輸送用容器であるコンテナは、集荷した状態のまま車両に積載して処理場に輸送できるので、利便性が高く、その種のコンテナとして上面が開放されたものがよく知られている。
【0003】
このような上面開口の車載用のコンテナは、地上に配置して産業廃棄物などを集荷する場合にも用いられ、このものは通常、前後方向に長い略方形状の箱体状に形成され、車両に搭載された油圧駆動式の積み降ろしアームで、前壁に設けた係止部21(図1参照)を係止し、積み降ろしアームを操作してコンテナを車両から地上に積み降ろし、または積載できる。
【0004】
このような集荷および輸送兼用の上面開口のコンテナには、天蓋を設けてコンテナ収容物に雨水が浸入しないようにしたり、また収容された物を安全に散逸しないように保管しておいたり、移動や搬送の際に収容物が飛散しないようにすることが好ましい。
【0005】
そのために設ける天蓋として好ましいものには、適当な開閉手段によって比較的小さな力で開閉が自在であり、またコンテナの左右側面のいずれの側からでも廃棄物の収容が可能であり、また天蓋はコンテナに対して着脱容易に装着できる機構などが要望される。
【0006】
従来のコンテナ用天蓋としては、天蓋が左右に半割され、スライドしつつコンテナ側面に沿ってずり落ちるように開くスライド両開き式の天蓋開閉装置付きコンテナが知られている(特許文献1)。
【0007】
または、長方体状のコンテナの左右両縁側のうち、適当な側縁部を支点軸にして天蓋を左右両側のいずれにも開閉可能な両開きタイプのものがあり、ガススプリングによるアシストができるようにした天蓋開閉装置が知られている(特許文献2)。
【0008】
【特許文献1】特開2004−244056号公報
【特許文献2】特開2004−83026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記した従来の天蓋開閉装置では、コンテナの開口縁と天蓋の縁を直接にガススプリングで引き起こして天蓋の全体または半割部分を開閉させる補助装置を設けているため、駆動の初期にガススプリングなどの付勢手段となる部品に比較的大きな負荷がかかる。そのため、天蓋を半割してモータを併用するか、または比較的大型のガススプリングを装備しなければならず、これでは天蓋の開閉構造を簡単化して低コスト化したり、耐久性を高めたり、軽量化することは容易でないという問題点がある。
【0010】
また、天蓋の一部分に比較的小さな開口部を形成すれば、その小型化は可能であるが、物品の収容および取り出しに不便となり作業効率が悪くなる。
【0011】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、コンテナ上面の全面開口が可能な天蓋であり、かつ開閉の付勢手段となる部品に比較的大きな負荷がかからず、比較的小型の天蓋の開閉補助装置を採用できて構造が簡単化され、軽量で低コストでありかつ耐久性が高く、車両などへの着脱操作も容易なコンテナ用天蓋とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明においては、コンテナの上面開口に天蓋を設け、この天蓋の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げて開放可能であり、かつこの開放を補助する開閉補助装置を設けたコンテナ用天蓋とし、前記開閉補助装置が、天蓋とコンテナの開口縁に跨って連結される伸縮自在の平行リンク機構と、この平行リンク機構を伸ばす方向に付勢する付勢手段とからなることを特徴としたコンテナ用天蓋としたのである。
【0013】
上記したように構成されるこの発明のコンテナ用天蓋は、天蓋の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として天蓋の一側を持ち上げて開閉する際に、伸縮自在の平行リンク機構を用い、それを伸ばす方向に付勢する付勢手段を用いるので、天蓋の開放動作の初期には、付勢手段によって平行リンク機構の伸ばす方向と天蓋を持ち上げる力の方向を略同一方向に一致させることができ、付勢手段で平行リンク機構を伸ばす力を効率よく天蓋を持ち上げる力の助力として作用させることができるので、天蓋の一側を持ち上げる場合に、当初から付勢力が充分に効率よく発揮され、大型の天蓋でも比較的小さな力で開閉することができる。
【0014】
また、ある程度(例えば45度程度)の高さまで天蓋の一側が傾斜した状態で持ち上がった際には、天蓋の荷重の大半を支点が支えることになるため、さらに小さな力で天蓋を持ち上げることが可能になる。
【0015】
このような平行リンク機構は、比較的小型の付勢手段を用いても機能し、天蓋の開閉補助装置を含めた全体構造を簡単化できるので、開閉装置を低コスト化でき、また装置を軽量化して開閉操作などをより操作しやすくできる。
【0016】
また、平行リンク機構の隣り合う2辺のフレームのうち、一部または全部を重ねた際に、前記2辺のフレームの交差角度を固定するロック手段を設けることが好ましい。
【0017】
このようにロック手段を設けると、平行リンク機構が高さを低くして折り畳まれた状態で、その状態を仮固定できるので、平行リンク機構を天蓋の裏側にかなり嵩を小さくした状態にでき、そのためコンテナの上面開口に平行リンク機構付きの天蓋を取り付ける作業が容易にできる。
【0018】
また、前記した支点は、コンテナの開口縁と天蓋の縁に跨って着脱可能なヒンジの回転ロッドであることが、天蓋の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げて開放するために好ましい。
【0019】
さらにヒンジを、天蓋とその縁に整合する枠に跨って着脱自在に設け、前記枠をコンテナの上面開口部の縁に着脱自在に取り付ける手段を設けたコンテナ用天蓋とすることが好ましい。このようにすると、先ず枠だけをコンテナの上面開口部の縁に固定して取り付けておき、その後にヒンジが取り付けられた天蓋をコンテナの開口部に載せ、ヒンジと枠を固定することによってコンテナ用天蓋をコンテナの開口部へ簡単に取り付けることができる。
また、上記いずれかのコンテナ用天蓋を設けたコンテナとすることもできる。
【発明の効果】
【0020】
この発明は、天蓋の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げて開放可能とし、かつこの開放を補助する開閉補助装置を設け、開閉補助装置が、伸縮自在の平行リンク機構と、この平行リンク機構を伸ばす付勢手段としたので、コンテナ上面の左右側面のいずれ側からも全面開口が可能な天蓋になると共に、比較的小型の付勢手段によって天蓋の開閉補助装置を含めた全体構造を簡単化、軽量化および低コスト化でき、しかも開閉時の操作性が向上するコンテナ用天蓋またはそのような利点を有するコンテナ用天蓋付きのコンテナになるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明の実施形態を以下に添付図面の図1〜12に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態は、直方体状のコンテナ1の上面開口縁に透明性樹脂シート材を金属格子で補強した蒲鉾型の天蓋2を開閉自在に設けたものである。この天蓋2の長手方向の両側縁とコンテナ1の上面開口縁には、ロープ3でコンテナ1に固定した長方形状の枠4を介在させ、この枠4と天蓋2の長手方向の両側縁とに跨ってヒンジ5を着脱可能に設けている。この構造により天蓋2の一側縁または他側縁のいずれか一方のヒンジ5を支点として、他方の側を持ち上げて開放可能になる。そして、この開放を補助するために菱形状の平行リンク機構6とガススプリング7からなる開閉補助装置を設けている。
【0022】
図2〜4に示すように、支点となるヒンジ5は、鉄製の枠4の外側に係止用環8を複数個(図示では片側2個である。)間隔を開けて溶接して設け、天蓋2の両側縁には複数のブラケット9で回転可能に保持されたフック10付きの回転ロッド11を設け、この回転ロッド11はバネ12で軸回りに回転力を付勢しておくと共に、バネ12の回転力に抗して回転ロッド11の回動を操作するハンドル13を設けたものである。このヒンジ5は、ハンドル13の回動操作と回転ロッド11の回転力でフック10を係止用環8に係合させた際にヒンジ5の機能を奏し、または必要に応じてハンドル13の逆回動操作でフック10を係止用環8から抜脱して係合を解くことにより、ヒンジ5の機能をなくさせて天蓋2を開放し開閉できるようになる。
このようにしてヒンジ5を、天蓋2とその縁に整合する枠4とに跨って着脱自在に設けることができる。
【0023】
次に、この発明に用いる開閉補助装置は、天蓋2がその左側縁または右側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げて開口部を開放する際に、持ち上げ側にかかる重量を軽減できるアシスト機能を有する。
【0024】
図5〜8に示す実施形態の開閉補助装置は、伸縮自在の平行四辺形状の平行リンク機構6を構成部品とし、平行リンク機構6を伸ばす方向に付勢する付勢手段としてのガススプリング7を採用し、天蓋2とコンテナ1の開口縁と一体に固定された枠4に跨ってその対角部分がボルト16、17とブラケット14、15とによって回動自在に連結保持されている。
このような回動自在なボルト16、17止めなどのように回動可能な軸によって平行リンク機構6を枠4と天蓋2に(枠を省略する場合にはコンテナと天蓋に)取り付けることにより、枠4から持ち上げられた天蓋2は、その一側縁または他側縁のいずれの一側を下にして他側を高く持ち上げても安定性よく傾斜させることができる。
【0025】
図6および図7に示すように、天蓋2に固定して設けられるブラケット14は、ボルト16で固定されているが、図8に示されるように、枠4に固定されるブラケット15は、ボルト17を上方から載せて受けることができるように軸受部分が上方に向けて開環された受け口の形状であり、枠4に対して平行リンク機構6を載せるだけで組み立てられる。
【0026】
この発明に用いる付勢手段は、四辺形型の平行リンク機構の隣り合う2辺のフレーム18に跨ってこれら2辺のフレームの交差角度を広げるように付勢する機能を有するものが好ましいが、このような平行リンク機構を設けない場合には、天蓋2と枠4またはコンテナ1の開口縁とに直接に跨ってガススプリングなどを連結させることもできる。
【0027】
付勢手段としては、ガススプリング、オイルスプリング、空気バネなどの流体圧力を利用したバネの他、機械バネの弾性を利用するものであってもよい。
【0028】
このような付勢手段による付勢(弾性)力を平行リンク機構6に常時作用させておくことは、天蓋2をコンテナ1に取り付けた後においては問題ないのであるが、取り付け時に長く伸ばした平行リンク機構6が、天蓋2と枠4の距離を離間させるので、取り付け作業が身長との関係で困難になる場合がある。
【0029】
そこで、平行リンク機構6の隣り合う2辺のフレーム18のうち、一部または全部が重なって、平行リンク機構6付きの天蓋2を嵩低くできるように、2辺のフレーム18の交差角度θを固定するロック手段を設けておくことが好ましい。
【0030】
図9および図10に示すロック手段は、2辺のフレーム18の隅部が重なり合うように所定狭小の交差角度となった状態で、鍵穴状の貫通穴19が整合する配置に設け、貫通穴19に嵌り合う形状のピン20を天蓋側壁2aに形成した孔2bから差し込んで2辺のフレーム18の交差角度を固定するものである。
【0031】
図8に示す状態の平行リンク機構6において、鍵穴状の貫通穴19にピン20を差し込んで2辺のフレーム18の交差角度θを固定しておくと、天蓋2が嵩張らないので、予めコンテナ1に枠4を固定しておき、これに対して付勢手段を設けた天蓋2を載せてヒンジ5を固定する作業が容易にできる。
【0032】
図1および図11、図12に示すように、コンテナ1の開口縁に枠4と共に固定された実施形態のコンテナ用天蓋およびコンテナは、ハンドル13を持ち上げる操作でヒンジ5のフック10を係止用環から抜脱分離して係合を解くことにより、任意側のヒンジ5の枠4と天蓋2との接続機能をなくして、天蓋2の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げ開放可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態の外観を示す斜視図
【図2】図1の上面図
【図3】図1の要部拡大の正面図
【図4】(a)、(b)、(c)はそれぞれ図3のa−a線、b−b線、c−c線断面図
【図5】図1のV−V線断面図
【図6】図5の要部拡大断面図
【図7】図5のVII-VII線断面図
【図8】実施形態の部品を分解して示す断面図
【図9】実施形態のロック手段を示す断面図
【図10】実施形態のロック手段を示す部品分解説明図
【図11】図1の実施形態を示し、左開きした外観を示す断面図
【図12】図1の実施形態を示し、右開きした外観を示す断面図
【符号の説明】
【0034】
1 コンテナ
2 天蓋
2a 側壁
2b 孔
3 ロープ
4 枠
5 ヒンジ
6 平行リンク機構
7 ガススプリング
8 係止用環
9 ブラケット
10 フック
11 回転ロッド
12 バネ
13 ハンドル
14、15 ブラケット
16、17 ボルト
18 フレーム
19 貫通穴
20 ピン
21 係止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの上面開口に天蓋を設け、この天蓋の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げて開放可能であり、かつこの開放を補助する開閉補助装置を設けたコンテナ用天蓋において、
前記開閉補助装置が、天蓋とコンテナの開口縁に跨って連結される伸縮自在の平行リンク機構と、この平行リンク機構を伸ばす方向に付勢する付勢手段とからなることを特徴とするコンテナ用天蓋。
【請求項2】
付勢手段が、四辺形型の平行リンク機構の隣り合う2辺のフレームに跨ってこれら2辺のフレームの交差角度を広げるように付勢するガススプリングである請求項1に記載のコンテナ用天蓋。
【請求項3】
平行リンク機構の隣り合う2辺のフレームのうち、一部または全部が重なった際に、前記2辺のフレームの交差角度を固定するロック手段を設けた請求項1または2に記載のコンテナ用天蓋。
【請求項4】
支点が、コンテナの開口縁と天蓋の縁に跨って取り付けたヒンジの回転ロッドである請求項1〜3のいずれかに記載のコンテナ用天蓋。
【請求項5】
ヒンジを、天蓋とその縁に整合する枠とに跨って着脱自在に設け、前記枠をコンテナの上面開口部の縁に着脱自在に取り付ける手段を設けた請求項4に記載のコンテナ用天蓋。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のコンテナ用天蓋を設けたコンテナ。
【請求項1】
コンテナの上面開口に天蓋を設け、この天蓋の一側縁または他側縁のいずれか一方を支点として他方の側を持ち上げて開放可能であり、かつこの開放を補助する開閉補助装置を設けたコンテナ用天蓋において、
前記開閉補助装置が、天蓋とコンテナの開口縁に跨って連結される伸縮自在の平行リンク機構と、この平行リンク機構を伸ばす方向に付勢する付勢手段とからなることを特徴とするコンテナ用天蓋。
【請求項2】
付勢手段が、四辺形型の平行リンク機構の隣り合う2辺のフレームに跨ってこれら2辺のフレームの交差角度を広げるように付勢するガススプリングである請求項1に記載のコンテナ用天蓋。
【請求項3】
平行リンク機構の隣り合う2辺のフレームのうち、一部または全部が重なった際に、前記2辺のフレームの交差角度を固定するロック手段を設けた請求項1または2に記載のコンテナ用天蓋。
【請求項4】
支点が、コンテナの開口縁と天蓋の縁に跨って取り付けたヒンジの回転ロッドである請求項1〜3のいずれかに記載のコンテナ用天蓋。
【請求項5】
ヒンジを、天蓋とその縁に整合する枠とに跨って着脱自在に設け、前記枠をコンテナの上面開口部の縁に着脱自在に取り付ける手段を設けた請求項4に記載のコンテナ用天蓋。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のコンテナ用天蓋を設けたコンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−137469(P2007−137469A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333180(P2005−333180)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(594095888)松山産業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(594095888)松山産業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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