説明

コンテナ積載用セミトレーラ

【課題】コンテナを走行方向前方側にずれた状態でセミトレーラに積載した状態でコンテナ内への荷物の積み卸しを容易に行い得るようにすることにある。
【解決手段】コンテナ積載用セミトレーラ10は、複数本の縦梁材と横梁材とを備えコンテナ24aが積載されるメインフレームを有し、メインフレームの後端部にはデッキ装着部25が設けられている。デッキ装着部25にはリヤデッキ31が上下動自在に装着され、メインフレームにコンテナ24aをその後端部がメインフレームの前方側よりもずらして積載した状態のもとで、リヤデッキ31を上昇移動させてコンテナ24aの床面38とリヤデッキ31とをほぼ同一面としてコンテナ24aに対して荷物の積み卸しを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトラクタに牽引されて走行し、コンテナを運搬するためのコンテナ積載用セミトレーラに関する。
【背景技術】
【0002】
牽引車であるトラクタと被牽引車であるトレーラとを有する連結車には、牽引車側に荷台が設けられたフルトレーラと、荷台が被牽引車のみに設けられ被牽引車の前側を連結器により牽引車に連結するようにしたセミトレーラとがある。セミトレーラに積載されるコンテナには、車両の走行方向の長さが20フィートの小型コンテナと長さが40フィートの大型コンテナとがあり、コンテナ積載用セミトレーラには小型コンテナ専用タイプと、大型コンテナ専用タイプと、両方の長さのいずれをも積載し得る兼用タイプとがある。
【0003】
コンテナ積載用セミトレーラはトラクタにより牽引されて走行するので、駆動輪が設けられておらず、追従走行する走行車輪を有する走行車軸がセミトレーラの後端側に配置されている。セミトレーラには通常1本〜3本の走行車軸が設けられている。
【0004】
コンテナ内への荷物の積み卸しは、セミトレーラの後端を倉庫の入口に設けられたプラットホームまで接近させて、フォークリフトやかご台車等の荷物積み卸し車両により行われるので、コンテナの後端がセミトレーラの後端に接近した状態となるようにしてコンテナがセミトレーラに積載されることが望ましい。しかしながら、セミトレーラはその先端部に設けられた連結器によりトレーラに連結され、駆動輪を有するトラクタにより牽引されるので、連結器の部分でセミトレーラからトラクタの駆動輪に荷重を加えないと、駆動輪がスリップしてトラクタによる牽引走行を安定的に行うことができなくなる。そのため、セミトレーラの前端部に所定重量のウエイトを取り付けることにより、セミトレーラからトラクタに対して荷重を加えるようにしている。
【0005】
コンテナをセミトレーラにトレーラの走行方向に移動自在に装着するようにしたセミトレーラが特許文献1に記載されている。このセミトレーラにおいては、コンテナ内への荷物の積み卸しを行う際にはコンテナをその後端がセミトレーラの後端に接近させるようにし、セミトレーラの走行時にはコンテナを走行方向前方側にスライドさせてコンテナの荷重をトラクタの駆動輪に加えるようにしている。
【0006】
一方、小型のコンテナをセミトレーラの前方側にずらした状態で積載するようにし、セミトレーラの後端部のスペースにプラットホームと小型のコンテナ内の床面の段差を埋めるために渡し板を回動自在かつ着脱自在に設けるようにしたコンテナシャーシが特許文献2に記載されている。この場合には、小型のコンテナ内への荷物積み卸しを行う際には渡し板を使用し、40フィートの大型のコンテナを積載するときには渡し板を取り除く必要があり、渡し板を取り除いてセミトレーラの後端部で大型のコンテナの後端部を支持するようにしている。
【特許文献1】特開2000−142205号公報
【特許文献1】特開平11−222072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、コンテナ内への荷物の積み卸し時と荷物の運搬走行時とでコンテナの位置を走行方向に変更するには、重量の大きなコンテナをスライドするための大型の駆動装置が必要となり、セミトレーラの製造コストが高くなる。一方、セミトレーラの後端部に渡し板を回動自在かつ着脱自在に設け、小型のコンテナへの荷物の積み卸しを行う際には渡し板を使用し、大型のコンテナが積載されるときには渡し板を取り除くようにすると、渡し板の回動作業と着脱作業を手作業により行わなければならず、その作業は作業者に負担となる。
【0008】
本発明の目的は、コンテナをその後端がセミトレーラの後端よりも走行方向前方側にずれた状態でセミトレーラに積載した状態でコンテナ内への荷物の積み卸しを容易に行い得るようにすることにある。
【0009】
本発明の他の目的は、コンテナの後端をセミトレーラの後端に接近させた状態での大型のコンテナ積載状態と、コンテナの後端をセミトレーラの後端からずらした状態での小型のコンテナ積載状態とに容易に切り換えることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコンテナ積載用セミトレーラは、走行方向に延びる複数本の縦梁材と横方向に延びて前記縦梁材を相互に連結する複数本の横梁材とを備えコンテナが積載されるメインフレームを有し、当該メインフレームの前端部にトラクタに連結されるキングピンが設けられるとともに後端部側に走行車輪が設けられるコンテナ積載用セミトレーラであって、前記メインフレームの後端部に設けられるデッキ装着部と、前記メインフレームに前記デッキ装着部よりも前方側に設けられるコンテナ支持部と、前記デッキ装着部に上下動自在に装着され、前記コンテナ支持部に積載される小型のコンテナ内に荷物を積み卸しする際に上昇移動して荷物積み卸し車両を案内するリヤデッキと、前記デッキ装着部に設けられ、前記リヤデッキを上下方向に駆動する駆動手段とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明のコンテナ積載用セミトレーラは、前記小型のコンテナよりも長さ寸法が長い大型のコンテナが前記メインフレームに積載されるときには前記コンテナ支持部の上面とほぼ同一の高さに前記リヤデッキの上面を位置決めして前記リヤデッキにより前記大型のコンテナの後端部を支持することを特徴とする。
【0012】
本発明のコンテナ積載用セミトレーラは、走行地盤に向けて上下方向に移動自在に支持脚を装着し、前記小型コンテナ内に荷物の積み卸しをする際に前記支持脚が前記デッキ装着部に加わる荷重を支持することを特徴とする。
【0013】
本発明のコンテナ積載用セミトレーラは、前記リヤデッキの後端に回動自在に後側の渡し板を設け、前記小型のコンテナ内に荷物の積み卸しをする際に前記渡し板によりプラットホームと前記リヤデッキとの間を橋渡すことを特徴とする。
【0014】
本発明のコンテナ積載用セミトレーラは、前記リヤデッキの前端に回動自在に前側の渡し板を設け、前記小型のコンテナ内に荷物の積み卸しをする際に前記渡し板により前記リヤデッキと前記小型コンテナの床面との間を橋渡すことを特徴とする。
【0015】
本発明のコンテナ積載用セミトレーラは、前記リヤデッキを上昇移動させた状態のもとでは、前記リヤデッキを車両の走行方向に傾斜させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コンテナをメインフレームの前方側にずらして積載することができるので、メインフレームの前端部に荷重を搭載することなく、トラクタの駆動輪に対してコンテナの荷重を加えることができ、円滑にセミトレーラをトラクタにより牽引走行することができる。
【0017】
本発明によれば、メインフレームの後端部に設けられたデッキ装着部にはリヤデッキが上下動自在に装着されているので、リヤデッキとコンテナ内の床面との間に段差をなくすことができ、コンテナの後端がメインフレームの後端よりも走行方向前方側にずれた状態となって積載されたコンテナに対して荷物の積み卸し作業を容易に行うことができる。
【0018】
本発明によれば、リヤデッキの上面をメインフレームのコンテナ支持部の上面とほぼ一致させることにより、コンテナの後端をセミトレーラの後端からずらした状態での小型のコンテナのみならず、コンテナの後端をセミトレーラの後端に接近させた状態での大型のコンテナを積載することができる。
【0019】
本発明によれば、リヤデッキの後端部に渡し板を回動自在に装着することにより、リヤデッキとプラットホームとの間で荷物積み卸し車両を円滑に案内することができる。また、リヤデッキの前端部に渡し板を回動自在に装着することにより、リヤデッキとコンテナとの間で荷物積み卸し車両を円滑に案内することができる。
【0020】
本発明によれば、リヤデッキを車両の走行方向に傾斜させることにより、リヤデッキとプラットホームとの間に段差をなくすことができるとともに、リヤデッキとコンテナ内の床面との間に段差をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるコンテナ積載用セミトレーラを示す正面図であり、図2は図1の平面図である。
【0022】
このセミトレーラ10は、図2に示すように、走行方向に延びる2本の縦梁材11と横方向に延びて縦梁材11を相互に連結する複数本の横梁材12とを備えるメインフレーム13を有している。メインフレーム13の後端部側には、それぞれ両端部に走行車輪14が設けられた3本の走行車軸15〜17が設けられている。
【0023】
2本の縦梁材11の前端部は、後側の部分よりも相互間の幅が狭く形成されるとともに上方に向けて迫り出したグースネック部18となっており、このグースネック部18には下方に向けて突出するキングピン19が設けられている。このキングピン19によりセミトレーラ10は、図示しない牽引車としてのトラクタに連結され、トラクタに牽引されて走行することになる。セミトレーラ10の前端側には、図1に示すように、セミトレーラ10がトラクタに連結されていないときにセミトレーラ10の前端部の荷重を支持してこれを水平状態に保持するために、ランディングレッグつまり支持脚21が上下方向に伸縮移動自在に装着されている。図1および図2はセミトレーラ10がトラクタから分離されて地盤面22に単独に放置された状態を示している。メインフレーム13には複数本の棒材を組み合わせて製造されるサイドバンパー23が左右に取り付けられている。
【0024】
このセミトレーラ10には、図1に二点鎖線で示すように、走行方向の長さ寸法が20フィートの小型のコンテナ24aと、長さ寸法が40フィートの大型のコンテナ24bとのいずれをも選択的に積載することができる。メインフレーム13の後端部には、デッキ装着部25が形成され、このデッキ装着部25よりも前方側はコンテナ支持部26となっており、小型のコンテナ24aはコンテナ支持部26に積載される。小型のコンテナ24aがコンテナ支持部26に積載されたときには、コンテナ24aの後端面は中間の走行車軸16とその後側の走行車軸17との間に位置することになる。一方、大型のコンテナ24bはその後端部がデッキ装着部25を覆うようにしてセミトレーラ10のほぼ全体で支持される。
【0025】
図3および図4はセミトレーラ10の後端部に形成されたデッキ装着部25を示す拡大正面図であり、図5はデッキ装着部25の概略構造を示す斜視図である。
【0026】
デッキ装着部25における縦梁材11は上下方向の幅寸法が短く設定されており、図5に示すように、デッキ装着部25の後端には横方向に延びてクロスバー27が固定され、デッキ装着部25の前端には横方向に延びてクロスバー28が固定されており、クロスバー27の下方にはリヤバンパー29が連結金具を介して取り付けられている。両方のクロスバー27,28の間にはリヤデッキ31が上下方向に移動自在に装着されている。
【0027】
リヤデッキ31は四辺形の枠体32を有し、枠体32の内部には格子状に補強棒材33が組み込まれ、表面にはエキスパンドメタルなどからなる床板34が取り付けられている。なお、図5においては、床板34の一部が切り欠かれて示されている。リヤデッキ31を上下方向に案内するために、リヤデッキ31には下方に突出するロッド35が複数本取り付けられ、セミトレーラ10のデッキ装着部25にはそれぞれのロッド35に対応させてロッド35の上下動を案内するガイド36が取り付けられている。図5に示すように、ロッド35は角パイプにより形成されておりリヤデッキ31には6本取り付けられているが、ロッド35の本数は任意の本数に設定することができる。デッキ装着部25に固定されるガイド36は断面コの字形状の形鋼材により形成されているが、角パイプによりガイド36を形成するようにしても良い。
【0028】
リヤデッキ31を上下方向に駆動する駆動手段として、デッキ装着部25には複数の空気ばね37が取り付けられている。図示する場合には2個の空気ばね37がデッキ装着部25に取り付けられており、それぞれの空気ばね37に外部の圧縮空気供給源から圧縮空気を供給すると空気ばね37が上下方向に伸張してリヤデッキ31は上昇駆動され、空気ばね37内の空気を外部に排出するとリヤデッキ31は下降される。空気ばね37の数は任意に設定することができる。
【0029】
図3はリヤデッキ31が下降移動した状態を示す。リヤデッキ31が下降した状態のもとでは、リヤデッキ31の上面はコンテナ支持部26の上面とほぼ同一面に位置決めされる。このときには小型のコンテナ24aの床面38よりもリヤデッキ31の上面は低くなり、リヤデッキ31は床面38に対して段差を持つことになる。これに対して、リヤデッキ31を上昇移動させると、図4に示すように、リヤデッキ31の上面は床面38とほぼ同一面となる。したがって、図4に示すように、プラットホーム39からフォークリフト、手押し車、かご台車等の荷物積み卸し車両によってコンテナ24a内に荷物を搬入したり、コンテナ24a内の荷物を搬出したりする際には、荷物積み卸し車両により容易に荷物積み卸し作業を行うことができ、荷物積み卸し車両をリヤデッキ31からコンテナ24a内に進入させることもできる。
【0030】
図3に示すように、リヤデッキ31を下降移動させてリヤデッキ31の上面をコンテナ支持部26の上面とほぼ同一面に位置決めした状態のもとでは、大型のコンテナ24bの後端部をリヤデッキ31に支持させるようにして、セミトレーラ10の全体にコンテナ24bを積載することができる。このときには、プラットホーム39から直接荷物積み卸し車両を用いて荷物の積み卸しを行うことができる。
【0031】
リヤデッキ31に荷物積み卸し車両から加わる荷重を地盤面22に伝達してリヤデッキ31を地盤面22に支持させるために、デッキ装着部25には図3および図4に示すように、支持脚41が上下方向に移動自在に装着されている。この支持脚41は図3に示すように地盤面22から退避した状態に上昇移動することになり、セミトレーラ10が走行するときには支持脚41は退避位置となる。
【0032】
図1および図2は小型のコンテナ24aと大型のコンテナ24bとのいずれをも選択的に積載することができるセミトレーラ10を示すが、コンテナ24aの後端をセミトレーラ10の後端よりも前方側にずらした状態でコンテナ24aを積載するようにしたタイプの小型専用のセミトレーラ10においても、セミトレーラ10の後端部にリヤデッキ31を設けることにより、コンテナ24a内へ荷物の積み卸しを容易に行うことができる。
【0033】
図6はリヤデッキ31の変形例を示す正面図であり、リヤデッキ31の後端には後側の渡し板42がヒンジ43を中心に回動自在に設けられている。これにより、コンテナ24a内に荷物の積み卸しを行う際には、図6に示すように渡し板42の先端部がプラットホーム39の上に乗せられる位置まで渡し板42を開くことにより、リヤデッキ31とプラットホーム39との間に隙間や段差が存在していても、これらの間に渡し板42が橋し渡されるので、円滑に荷物積み卸し車両をプラットホーム39とリヤデッキ31との間に案内することができる。リヤデッキ31の後端部には渡し板42を閉じた状態とすると、渡し板42が入り込む凹部44が形成されており、閉じた状態の渡し板42の表面はリヤデッキ31の上面とほぼ一致した状態となる。これにより、大型のコンテナ24bの後端部がリヤデッキ31全体で支持されることになる。
【0034】
図6に示すリヤデッキ31には、前側の渡し板42aがヒンジ43aを中心に回動自在に設けられている。これにより、コンテナ24a内に荷物の積み卸しを行う際には、図6に示すように渡し板42aの先端部がコンテナ24aの床面38の上に乗せられる位置まで渡し板42aを開くことにより、リヤデッキ31と床面38との間に隙間や段差が存在していても、これらの間に渡し板42aが橋し渡されることになる。リヤデッキ31の前端部には橋渡し板42aを閉じた状態とすると、渡し板42aが入り込む凹部44aが形成されている。
【0035】
図6に示すリヤデッキ31にはその前端部と後端部とにそれぞれ渡し板42,42aが設けられているが、前端部と後端部の一方にのみ渡し板を回動自在に設けるようにしても良い。また、リヤデッキ31の表面に凹部44,44aを設けることなく、リヤデッキ31の上面全体を平坦とし、それぞれの渡し板42,42aを閉じると、閉じられた渡し板42,42aがリヤデッキ31の表面から厚み分だけ突出するようにしても良く、その場合には、大型のコンテナ24aを支持する際に渡し板42,42aの上側面がコンテナ支持部26の上面とほぼ同一面となるようにすることが好ましい。
【0036】
図7はリヤデッキ31の他の変形例を示す正面図であり、このリヤデッキ31にはロッド35がピン45により揺動自在に連結されており、上昇移動された状態のもとではリヤデッキ31の後端部側が前端部側よりも低くなるように車両の走行方向に傾斜した状態となる。このようにリヤデッキ31を上昇限位置において傾斜させることにより、プラットホーム39と床面38との間で段差が存在していても、円滑に荷物積み卸し車両をリヤデッキ31の上で案内することができる。このように、リヤデッキ31を傾斜させるには、デッキ装着部25の前側に設けられる駆動手段と後側に設けられる駆動手段とで上昇限のストロークを相違させることになる。なお、リヤデッキ31が上昇限位置となったときには図7に示す場合と逆方向に傾斜させるようにしても良い。つまり、リヤデッキ31の後端部側が前端部側よりも高くなるように傾斜させるようにしても良い。
【0037】
リヤデッキ31を上下動する手段としては、上述した場合に限られず、図8〜図16に示すように種々の機構を用いることができる。なお、図8〜図16においては、リヤデッキ31とそれに設けられる上下動機構のみを示し、デッキ装着部25は図示省略されている。
【0038】
図8(A)はリヤデッキ31の上下動を案内するガイド機構の変形例を示す斜視図であり、図8(B)は(A)の正面図である。図5に示す実施の形態においては、リヤデッキ31に設けられたロッド35をデッキ装着部25に設けられたガイド36に摺動自在に装着することによりリヤデッキ31の上下動を案内するようにしているのに対し、図8に示す場合には、リヤデッキ31とデッキ装着部25との間には2対のリンク機構51が装着されている。それぞれのリンク機構51は一端がリヤデッキ31にピン結合され他端がデッキ装着部25にピン結合された2本のレバー52,53を有し、レバー52,53はそれぞれの中間部でピン結合されている。デッキ装着部25側のピンをデッキ装着部25に対して摺動させることにより、リヤデッキ31は水平状態を保持したまま上下方向に移動する。
【0039】
図9(A)はリヤデッキ31の上下動を案内するガイド機構の他の変形例を示す斜視図であり、図9(B)は(A)の正面図である。このガイド機構は図8に示す場合と同様に2対のリンク機構51により形成されているが、図8に示すリンク機構51と相違してそれぞれのリンク機構51は相互にピン結合された2組のレバー54を有し、それぞれのレバー54の一端部はリヤデッキ31にピン結合され、他端部はデッキ装着部25にピン結合されている。図8および図9に示すガイド機構を図5に示すロッド35とガイド36とによる上下動案内機構とともにデッキ装着部25に設けるようにしても良い。図8および図9に示すガイド機構に加えて、図5に示す空気ばね37をデッキ装着部25に設けることによって、リヤデッキ31を上下方向に駆動することができる。
【0040】
図10(A)はリヤデッキ31を上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、図10(B)は(A)の正面図である。この駆動手段は手動式ジャッキと同様の構造の複数のパンタグラフ55により形成されており、それぞれに設けられた駆動軸56を手動またはモータにより回転させることにより、リヤデッキ31を水平状態に保持しつつ上下方向に駆動することができる。図10に示す場合にはパンタグラフ55が4つ設けられているが、パンタグラフ55を3つ設けるようにしても良く、4つ以上設けるようにしても良い。
【0041】
図11(A)はリヤデッキ31を上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、図11(B)は(A)の正面図である。リヤデッキ31に固定される複数のスクリューシャフト57と、それぞれのスクリューシャフト57にねじ結合されデッキ装着部25に回転自在に取り付けられるナット部材58とにより駆動手段が形成され、ナット部材58をモータにより回転することにより、スクリューシャフト57は上下方向に駆動されることになる。したがって、この駆動手段は図10に示す場合と同様にリヤデッキ31を水平状態に保持しつつ上下方向に駆動することができる。
【0042】
図12(A)はリヤデッキ31を上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、図12(B)は(A)の正面図である。デッキ装着部25には油圧や空気等の流体により作動する複数の流体圧シリンダ61が取り付けられ、それぞれの流体圧シリンダ61のピストンロッド62はリヤデッキ31に取り付けられている。このように流体圧シリンダ61によりリヤデッキ31を駆動すると、リヤデッキ31はピストンロッド35を用いることなく、水平状態を保持しながら上下動される。
【0043】
図13(A)はリヤデッキ31を上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、図13(B)は(A)の正面図である。リヤデッキ31には複数本のラックギヤ63が下方に突出して取り付けられ、それぞれのラックギヤ63と噛み合うピニオンギヤ64がデッキ装着部25に取り付けられている。したがって、ピニオンギヤ64を図示しないモータにより回転駆動することによって、リヤデッキ31は上下動される。なお、ピニオンギヤ64としては、平歯車でも良く、傾斜歯車でも良い。
【0044】
図14(A)はリヤデッキ31を上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、図14(B)は(A)の正面図である。リヤデッキ31にはそれぞれ傾斜面が形成された複数の従動カム65が固定され、それぞれの従動カム65に対応させてデッキ装着部25には従動カム65の傾斜面に接触する傾斜面が形成された駆動カム66が移動自在に設けられている。それぞれの駆動カム66は油圧や空気圧等の流体により作動する流体圧シリンダ67により駆動されるようになっている。ただし、モータにより駆動カム66を駆動するようにしても良い。
【0045】
図13および図14に示す駆動手段が用いられるときには、リヤデッキ31を上下方向に案内するために、図5に示されるロッド35がリヤデッキ31に取り付けられ、ガイド36がデッキ装着部25に取り付けられることになる。
【0046】
図15(A)はリヤデッキ31を上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、図15(B)は(A)の正面図である。リヤデッキ31とデッキ装着部25との間には複数の圧縮コイルばね68が取り付けられ、これらのコイルばね68によりリヤデッキ31には上方に向かうばね力が加えられている。このばね力に抗してリヤデッキ31に下方に向かう推力を加えることによりリヤデッキ31を上下動することができる。
【0047】
図16(A)はリヤデッキ31をばね力に抗して下方に向かう推力を加える駆動手段を示す斜視図であり、図16(B)は(A)の正面図である。リヤデッキ31には複数のプーリ71が回転自在に装着され、それぞれのプーリ71には先端がデッキ装着部25に固定されて巻取りプーリ72に巻き付けられたワイヤ73が掛け渡されている。したがって、図15に示すコイルばね68と図16に示すワイヤ巻取り機とを組み合わせると、ワイヤ73を緩めることによりばね力でリヤデッキ31は上昇駆動され、ワイヤ73を巻き取ることによりばね力に抗してリヤデッキ31を下降移動することができる。なお、リヤデッキ31に上昇方向のばね力を加えるためのばね部材としては、図15に示す圧縮コイルばね68以外に、シーションバーや板ばね等種々の形状のばね部材を使用することができる。
【0048】
本発明は上記実施の形態に限定されることなく、その要旨を逸脱いない範囲で種々変更可能である。図1に示すセミトレーラ10には3本の走行車軸15〜17が設けられているが、走行車軸が1軸のタイプや2軸のタイプ等種々のセミトレーラ10に対して本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態であるコンテナ積載用セミトレーラを示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】リヤデッキが下降した状態におけるデッキ装着部を示す拡大正面図である。
【図4】リヤデッキが上昇した状態におけるデッキ装着部を示す拡大正面図である。
【図5】デッキ装着部とリヤデッキの概略構造を示す斜視図である。
【図6】リヤデッキの変形例を示す正面図である。
【図7】リヤデッキの変形例を示す正面図である。
【図8】(A)はリヤデッキの上下動を案内するガイド機構の変形例を示す斜視図であり、(B)は(A)の正面図である。
【図9】(A)はリヤデッキの上下動を案内するガイド機構の変形例を示す斜視図であり、(B)は(A)の正面図である。
【図10】(A)はリヤデッキを上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、(B)は(A)の正面図である。
【図11】(A)はリヤデッキを上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、(B)は(A)の正面図である。
【図12】(A)はリヤデッキを上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、(B)は(A)の正面図である。
【図13】(A)はリヤデッキを上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、(B)は(A)の正面図である。
【図14】(A)はリヤデッキを上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、(B)は(A)の正面図である。
【図15】(A)はリヤデッキを上下方向に駆動する駆動手段の変形例を示す斜視図であり、(B)は(A)の正面図である。
【図16】(A)はリヤデッキをばね力に抗して下方に向かう推力を加える駆動手段を示す斜視図であり、(B)は(A)の正面図である。
【符号の説明】
【0050】
10 セミトレーラ
11 縦梁材
12 横梁材
13 メインフレーム
14 走行車輪
15〜17 走行車軸
18 グースネック部
19 キングピン
24a 小型のコンテナ
24b 大型のコンテナ
25 デッキ装着部
26 コンテナ支持部
27,28 クロスバー
31 リヤデッキ
32 枠体
37 空気ばね(駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行方向に延びる複数本の縦梁材と横方向に延びて前記縦梁材を相互に連結する複数本の横梁材とを備えコンテナが積載されるメインフレームを有し、当該メインフレームの前端部にトラクタに連結されるキングピンが設けられるとともに後端部側に走行車輪が設けられるコンテナ積載用セミトレーラであって、
前記メインフレームの後端部に設けられるデッキ装着部と、
前記メインフレームに前記デッキ装着部よりも前方側に設けられるコンテナ支持部と、
前記デッキ装着部に上下動自在に装着され、前記コンテナ支持部に積載される小型のコンテナ内に荷物を積み卸しする際に上昇移動して荷物積み卸し車両を案内するリヤデッキと、
前記デッキ装着部に設けられ、前記リヤデッキを上下方向に駆動する駆動手段とを有することを特徴とするコンテナ積載用セミトレーラ。
【請求項2】
請求項1記載のコンテナ積載用セミトレーラにおいて、前記小型のコンテナよりも長さ寸法が長い大型のコンテナが前記メインフレームに積載されるときには前記コンテナ支持部の上面とほぼ同一の高さに前記リヤデッキの上面を位置決めして前記リヤデッキにより前記大型のコンテナの後端部を支持することを特徴とするコンテナ積載用セミトレーラ。
【請求項3】
請求項1または2記載のコンテナ積載用セミトレーラにおいて、走行地盤に向けて上下方向に移動自在に支持脚を装着し、前記小型コンテナ内に荷物の積み卸しをする際に前記支持脚が前記デッキ装着部に加わる荷重を支持することを特徴とするコンテナ積載用セミトレーラ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンテナ積載用セミトレーラにおいて、前記リヤデッキの後端に回動自在に後側の渡し板を設け、前記小型のコンテナ内に荷物の積み卸しをする際に前記渡し板によりプラットホームと前記リヤデッキとの間を橋渡すことを特徴とするコンテナ積載用セミトレーラ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンテナ積載用セミトレーラにおいて、前記リヤデッキの前端に回動自在に前側の渡し板を設け、前記小型のコンテナ内に荷物の積み卸しをする際に前記渡し板により前記リヤデッキと前記小型コンテナの床面との間を橋渡すことを特徴とするコンテナ積載用セミトレーラ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンテナ積載用セミトレーラにおいて、前記リヤデッキを上昇移動させた状態のもとでは、前記リヤデッキを車両の走行方向に傾斜させることを特徴とするコンテナ積載用セミトレーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−269069(P2007−269069A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94371(P2006−94371)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000229357)日本トレクス株式会社 (27)