説明

コンテナ

【課題】 貨物搬送用のコンテナの内張板の着脱が容易となり、なおかつ、一度使用した内張板の再利用が可能となる。
【解決手段】 内張板14が、両面テープ20を介して、コンテナ10の扉12の、室内側に露出する構造部材16に対し固定される。内張板14にリベットやタッピンねじ等、結合部材のための複数の孔を形成することなく、内張板14を確実に構造部材16に固定することが可能となる。両面テープ20は、両面の剥離力に強弱差を有し、強い粘着力をもつ面を、内張板14の交換時に両面テープ20を残したい面に貼着しておくことで、交換時には容易に内張板14が構造部材16から剥れ、交換が可能となる。しかも、内張板14は、表面と裏面との形態が同等に仕上られており、穿孔等の形態変化も受けていないことから、一度使用した内張板14を裏返して、再利用することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物輸送用のコンテナに関し、特に内張板の取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3に示されるような、貨物搬送用のコンテナ10は、積荷の保護等を目的として、鋼鉄やアルミ等からなる構造部材を室内にむき出しにせず、耐水合板等の内張板で覆い隠しているものが多い。図4には、コンテナ10の扉12の内張板14の、一般的な取付け構造を示している。内張板14は、コンテナ10の扉12に縦横に延設され、室内側に露出する金属製の構造部材16(本説明では、構造部材16には、コンテナ10の強度を確保するための強度部材や、強度部材に固定された内張板取付け用のブラケット等を含む。)に対し、リベットやタッピンねじ等、複数の結合部材18を用いて固定されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開昭54−27881号公報(第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の内張板14の取付け構造では、内張板14の交換の際に、複数の結合部材18の取外し作業、及び、新たな内張板14に対する結合部材18の取付け作業に、多くの時間を要するものであった。又、結合部材18の頭部が内張板14の表面から突出することを防ぐために、内張板14に孔や座ぐりを形成する等の作業が必要となり、しかも、かかる作業時にバリが発生し、これを除去する必要がある等、作業工数の増加を避けることが困難であった。
さらに、省資源化の要請から、内張板14の表面に強度上問題のない傷がついている程度であれば、一度使用した内張板14の表裏を裏返して再利用することが好ましい。しかしながら、従来の内張板14の取付け構造では、取付け強度の問題等から、当初の固定時に形成された孔を、内張板の再利用時の孔として再利用できないケースが多く、新たな孔を形成する作業が必要となる等、コストアップにつながる手間が多く、内張板14の再利用を困難としていた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、貨物搬送用のコンテナの内張板の着脱を容易とし、なおかつ、一度使用した内張板の再利用を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、本発明に係るコンテナは、コンテナの縦壁又は扉に縦横に延設され、室内側に露出する構造部材に対し、表面と裏面との形態が同等に仕上られた内張板が、両面の剥離力に強弱差を有する両面テープを介して固定されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、内張板が、両面テープを介して、コンテナの縦壁又は扉の、室内側に露出する構造部材に対し固定されることで、内張板にリベットやタッピンねじ等、結合部材のための複数の孔を形成することなく、内張板を確実に構造部材に固定することが可能となる。ここで使用される両面テープは、両面の剥離力に強弱差を有するものであり、強い粘着力をもつ面を、内張板の交換時に両面テープを残したい面に貼着しておくことで、交換時には容易に内張板が構造部材から剥れ、交換が可能となる。しかも、内張板は表面と裏面との形態が同等に仕上られており、穿孔等の形態変化も受けていないので、一度使用した内張板の表裏を裏返して、再利用することが可能となる。
【0007】
又、本発明においては、前記両面テープの、剥離力の強い面が前記室内側に露出する構造部材に対し貼着され、剥離力の弱い面が前記内張板に対し貼着されていることが望ましい。
この構成により、内張板の交換時に、両面テープは内張板側から剥がれ、室内側に露出する構造部材側に残る。そして、剥がされた内張板の表裏を裏返して、それまで表側に位置していた面を、構造部材側に残った両面テープに貼着することで、内張板をそのまま再利用することが可能となる。
【0008】
又、本発明においては、前記両面テープは、前記室内側に露出する構造部材及び前記内張板に沿って、連続的に又は断続的に貼着されていることが望ましい。
この構成により、前記室内側に露出する構造部材の幅や長さ、内張板の大きさ等に応じ、最適の粘着強度と、内張板を交換する際の最適の剥離力の設定が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明はこのように構成したので、貨物搬送用のコンテナの内張板の着脱が容易となり、なおかつ、一度使用した内張板の再利用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同等部分、若しくは相当する部分については同等符号で示し、詳しい説明を省略する。
【0011】
図1には、本発明の実施の形態に係るコンテナ10の、扉12の内張板14の取付け構造を示している。この内張板14は、表面と裏面との形態(表面の材質、凹凸形状、表面処理等)が、内張板としての機能を発揮する上で、同等に仕上られた耐水合板である。また、内張板の取扱い性や交換時の作業性等を考慮して、1枚の扉12を覆う内張板14は、2枚以上に分割されている。そして、扉12の室内側に露出する構造部材16に対し、内張板14が、両面の剥離力に強弱差を有する両面テープ20を介して固定されている。この際、両面テープ20は、剥離力(粘着力)の強い面が室内側に露出する構造部材16に対し貼着され、剥離力の弱い面が内張板14に対し貼着される。
【0012】
なお、図1の例では、各両面テープ20は、長さ100mm、幅30mm、厚み1〜2mmであり、構造部材16及び内張板14に沿って、所定間隔を空けて断続的に貼着されている。また、両面テープ20の粘着力のみによって、内張板14が構造部材16に確実に固定されるように、内張板14の重さや表面仕上げを考慮して、両面テープ20の剥離力の弱い面の粘着力が決定されている。これと同時に、この剥離力の弱い面は、内張板14から剥がされる際に、内張板14の表面にダメージを与えることのない剥離力であることが望ましい。また、図1の例では、予備的に粘着テープ20を補助するためのリベット22が併用されているが、このリベット22は、内張板14が構造部材16に確実に固定される上で、必須ではない。
【0013】
一方、図2の例は、図1の各両面テープ20に換えて、両面テープ24が、構造部材16及び内張板14に沿って、連続的に貼着されている。粘着テープ24の寸法は、幅10mm、厚み1〜2mmであり、長さは、貼着する構造部材16の貼着可能範囲に応じて決定される。また、図2の粘着テープ24も、その粘着力のみによって、内張板14が構造部材16に確実に固定されるように、剥離力の弱い面の粘着力が決定されているが、同時に、この剥離力の弱い面は、内張板14から剥がされる際に、内張板14の表面にダメージを与えることのない剥離力であることが望ましい。また、図1の例と同様に、予備的に粘着テープ24を補助するためのリベット22が併用されているが、このリベット22は、内張板14が構造部材16に確実に固定される上で、必須ではない。
【0014】
図1、図2の何れの場合も、内張板14を剥がす際には、最初に内張板14の高さ方向中央部を構造部材16から浮かせ、内張板14と構造部材16との間にできる隙間に手を挿し込み、手前に内張板14を引くことのみによって、簡単に内張板14を構造部材16から取り去ることが可能となる。また、図示の例では、何れも、コンテナ10の、扉12の内張板14の取付け構造を示しているが、コンテナ10の、縦壁の内張板の取付け構造についても、扉の場合と同様に適用することができる。
【0015】
上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能となる。まず、内張板14が、両面テープ20、24を介して、コンテナ10の縦壁又は扉12に縦横に延設され、室内側に露出する構造部材16に対し固定されることで、内張板14にリベットやタッピンねじ等、結合部材18(図4参照)のための複数の孔を、形成することなく、内張板14を確実に構造部材16に固定することが可能となる。又、結合部材18(図4)のための孔を形成する際の、バリの発生を回避することができる。又、ここで使用される両面テープ20、24は、両面の剥離力に強弱差を有するものであり、強い粘着力をもつ面を、内張板14の交換時に両面テープ20、24を残したい面に貼着しておくことで、交換時には容易に内張板14が構造部材16から剥れ、交換が可能となる。しかも、内張板14は、表面と裏面との形態が同等に仕上られており、穿孔等の形態変化も受けていないことから、一度使用した内張板14を剥がし、その表裏を裏返して、再利用することが可能となる。
【0016】
又、両面テープ20、24の、剥離力の強い面が室内側に露出する構造部材16に対し貼着され、剥離力の弱い面が内張板14に対し貼着されていることにより、内張板14の交換時に、両面テープ20、24は内張板14側から剥がれ、室内側に露出する構造部材16側に残る。そして、剥がされた内張板14の表裏を裏返して、それまで表側に位置していた面を、構造部材16側に残った両面テープ20、24に貼着することで、内張板14をそのまま再利用することが可能となる。
【0017】
又、図1に示された両面テープ20は、構造部材16及び内張板14に沿って断続的に貼着され、図2に示された両面テープ24は、構造部材16及び内張板14に沿って、連続的に貼着されている。このように、両面テープの形状を適宜選択することで、室内側に露出する構造部材16の幅や長さ、内張板14の大きさ等に応じ、最適の粘着強度と、内張板14を交換する際の最適の剥離力の設定が可能となる。なお、図1、図2に示された粘着テープ20、24の形状及び貼着位置は、あくまでも一例であり、必要に応じ、他の形状及び貼着位置とすることができる。
しかも、本実施の形態に用いられる両面テープ20、24の厚みは1〜2mmであることから、内張板14と構造部材16との間に、両面テープ20、24が介在することで、コンテナ10の内寸が狭まる等の悪影響を与えることもなく、必要な室内容積を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンテナの、扉の内張板の取付け構造を示す模式図である。
【図2】図1の応用例を示す模式図である。
【図3】従来の貨物輸送用のコンテナを示す正面図である。
【図4】従来の貨物輸送用のコンテナの、扉の内張板の取付け構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0019】
10:コンテナ、12:扉、14:内張板、16:構造部材、18:結合部材、 20、24:両面テープ、22:リベット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの縦壁又は扉に縦横に延設され、室内側に露出する構造部材に対し、表面と裏面との形態が同等に仕上られた内張板が、両面の剥離力に強弱差を有する両面テープを介して固定されていることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記両面テープの、剥離力の強い面が前記室内側に露出する構造部材に対し貼着され、剥離力の弱い面が前記内張板に対し貼着されていることを特徴とする請求項1記載のコンテナ。
【請求項3】
前記両面テープは、前記室内側に露出する構造部材及び前記内張板に沿って、連続的に又は断続的に貼着されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコンテナ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−50911(P2007−50911A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237654(P2005−237654)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】