説明

コンテナ

【課題】テールゲート用のロック手段をロック状態とロック解除状態とに切り替える作業を、容易とすることができるコンテナを提供する。
【解決手段】鉄道貨車及び輸送車両に積載可能であり、後部の開口部を開閉可能としてコンテナ本体2に取り付けられたテールゲート3と、閉状態にあるテールゲート3が開くことを規制するロック状態と閉状態にあるテールゲート3が開くことを許容するロック解除状態とに切り替わるロック手段4と、このロック手段4をロック状態とロック解除状態とに切り替える操作を行う操作手段5とを備えている。操作手段5は、コンテナ本体2の左右両側にそれぞれ設けられ作業者が操作する左操作部6と右操作部7と、これら左操作部6と右操作部7とのうちのいずれを操作してもロック手段4の状態を切り替えさせるリンク部8とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道貨車及び輸送車両に積載可能なコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴミや土砂等の収容物を収容し、鉄道貨車や輸送車両によって搬送されるコンテナがある。このうち、輸送車両に載せられたコンテナは、その車両の機能によって後方へ下傾したダンプ状態となることができ、これによりコンテナの後部から収容物を排出する作業が行われる。このために、コンテナの後部に開口部が設けられており、この開口部を開閉可能としたテールゲートがコンテナに設けられている。さらに、このコンテナは、搬送時にテールゲートが開くことを規制するロック状態となることができるロック手段を備えている(例えば、特許文献1参照)。このロック手段は、コンテナの側壁部分に取り付けたハンドルを回すことによって操作される。そして、このハンドルは、通常、コンテナの左右側壁のうち、車両の運転席が存在する側の側壁(主として右側の側壁)にのみ取り付けられる。これは、車両の運転席と左右方向で同じ側にハンドルを位置させることにより、運転席とハンドルとの距離を近くし、運転者が作業者である場合にその操作を容易とさせるためである。
【0003】
【特許文献1】特開2002−68366号公報(図25、図27参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような右側にのみ操作用のハンドルが取り付けられたコンテナが、鉄道貨車に載せられた場合、次のような問題点が生じる。
一般的な駅では、鉄道貨車の左右一方側にホームが存在し、他方側に他の列車が走行する線路が存在する場合が多く、また、駅によってホームの位置が鉄道貨車の左側であったり右側であったりする。したがって、コンテナの右側にのみ前記ハンドルが取り付けられているために、貨車の左側にしかホームが存在していない場合、ハンドルを操作する必要があると、作業者は右側の線路上に降りてハンドルを操作する必要があり、ロック装置を操作する作業が面倒であるという問題点がある。
【0005】
そこでこの発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、テールゲート用のロック手段をロック状態とロック解除状態とに切り替える作業を、容易とすることができるコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するためのこの発明のコンテナは、鉄道貨車及び輸送車両に積載可能なコンテナにおいて、後部に開口部を有するコンテナ本体と、前記開口部を開閉可能として前記コンテナ本体に取り付けられたテールゲートと、閉状態にある前記テールゲートが開くことを規制するロック状態と閉状態にある前記テールゲートが開くことを許容するロック解除状態とに切り替わるロック手段と、前記ロック手段を前記ロック状態と前記ロック解除状態とに切り替える操作を行う操作手段とを備え、前記操作手段は、前記コンテナ本体の左右両側にそれぞれ設けられ作業者が操作する左操作部と右操作部と、前記左操作部と右操作部とのうちのいずれを操作しても前記ロック手段の状態を切り替えさせるリンク部とを有しているものである。
【0007】
このコンテナによれば、コンテナ本体の左右両側にそれぞれ左操作部と右操作部とを有しており、リンク部が、左操作部と右操作部とのうちのいずれを操作してもロック手段の状態を切り替えさせることができるので、作業者はコンテナの左側と右側とのどちらからでもロック手段を操作することができる。このため、ロック手段の状態を切り替える作業が容易となる。
【0008】
また、前記コンテナは、前記コンテナ本体の左右両側にそれぞれ設けられ、前記ロック手段と連動することにより前記ロック状態又は前記ロック解除状態を表す指示部材を備えているのが好ましい。
これによれば、指示部材の表示により、作業者はコンテナ本体の左側と右側とのどちらからでもロック手段の状態、つまり、ロック状態であるのかロック解除状態であるのかを把握することができる。
【0009】
また、このコンテナにおいて、前記左右の指示部材は、前記ロック解除状態で前記コンテナ本体の左右の側壁からそれぞれ左右方向外方へ突出した状態となり、前記ロック状態で左右の前記側壁よりも左右方向内側に収納された状態となるのが好ましい。
これによれば、ロック手段がロック解除状態にあると、指示部材が左右の側壁からそれぞれ左右方向外方へ突出した状態となるので、作業者はコンテナの左側と右側とのどちらからでも、さらにはコンテナの前方からでもロック手段の状態を把握することができる。そして、ロック手段がロック状態にあると、指示部材は左右の側壁よりも内側に収納された状態となるので、コンテナを搬送する際に、指示部材が邪魔にならない。
【0010】
また、前記コンテナにおいて、前記リンク部は、前記左操作部と右操作部とから前記ロック手段まで繋がる複数のシャフトを有し、これらシャフトはすべてについて上下方向の軸線を中心として回動するようにして、前記コンテナ本体の床壁の下に設けられているのが好ましい。
これによれば、リンク部が有している複数のシャフトは上下方向の軸心を中心として回動するため、これらシャフトは上下方向の位置変化を伴わない。したがって、コンテナ本体の床壁の下にこれらシャフトが設けられているが、これらシャフトを設けるための上下方向スペースは小さくて済む。このため、コンテナ本体の容積を上下方向について大きくすることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、作業者はコンテナの左側と右側とのどちらからでもロック手段を操作することができ、ロック手段の状態を切り替える作業が容易となる。したがって、このコンテナが輸送車両に載せられた場合、その運転席が存在する側に操作部があるため、運転席とその操作部との距離が近く、運転者が作業者である場合にロック手段の操作が容易となる。また、このコンテナが鉄道貨車に載せられた場合、左右の一方にしかホームがない駅において、ロック手段の状態を切り替える作業が必要である場合に、その作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
この発明のコンテナはゴミや土砂等の収容物を収容することができ、このコンテナは輸送車両や鉄道貨車等に搭載され搬送される。図1と図2とはこの発明のコンテナを輸送車両に載せた場合の側面図であり、図1はコンテナ1を搬送する通常状態であり、図2はコンテナ1を後方へ下傾させたダンプ状態である。このダンプ状態でコンテナ1内の収容物をその後部から排出することができる。
【0013】
輸送車両は、車体26上において、後部に設けたヒンジ28により後方へ下傾することができるダンプフレーム27と、このダンプフレーム27を傾動させるアクチュエータ(例えば油圧シリンダ)29とを備えている。ダンプフレーム27上に載せられたコンテナ1は、固定装置(図示せず)によりダンプフレーム27と一体化できるようになっている。また、このコンテナ1は、鉄道貨車(図示せず)にも搭載できる。
【0014】
図3はコンテナ1の一部断面の側面図であり、図4はコンテナ1の背面図である。コンテナ1は、上部及び後部に開口部を有しているコンテナ本体2と、上部の開口部(投入口)に対して開閉可能である天蓋13と、後部の開口部(排出口)2aに対して開閉可能であるテールゲート3とを備えている。コンテナ本体2は、前後左右の4カ所の支柱14と、下部の床壁12と、左右それぞれにある前後支柱14間に設けられた側壁9と、前部の左右支柱14間に設けられた前壁(図示せず)とを有している。また、コンテナ1は、天蓋13を開閉操作するための開閉手段(図示せず)を備えている。
【0015】
コンテナ本体2の上部後端に後部天板15が設けられている。この後部天板15に設けたヒンジ部16を介してテールゲート3はコンテナ本体2に取り付けられており、テールゲート3はその上部側を回動中心として開口部2aに対して開閉自在となっている。このために図2に示しているように、後述するロック手段4がロック解除状態にあれば、コンテナ1がダンプ状態となることにより、回動軸線が左右水平方向となるテールゲート3は自重によって開状態となることができ、収容物を開口部2aから排出することができる。また、コンテナ本体2の床壁12の下にはフォークリフトのフォーク(図示せず)を挿入してコンテナ1を持ち上げるための挿入口17が設けられている。テールゲート3の下部には下方向に突出しているロッド18が固定されている(図4参照)。
【0016】
コンテナ1は、テールゲート3のためのロック手段4と、このロック手段4を操作するための操作手段5とを備えている。ロック手段4は、後部の開口部2aに対して閉状態にあるテールゲート3が開くことを規制するロック状態と、開口部2aに対して閉状態にあるテールゲート3が開くことを許容するロック解除状態とに切り替わる。そして、操作手段5は、ロック手段4をロック状態とロック解除状態とに切り替える操作を行う。ロック手段4は、コンテナ本体2において開口部2aの下方である後面下部に取り付けられている。また、ロック手段4はコンテナ本体2に左右一対設けられている。
【0017】
図5はロック手段4の断面平面図であり、図6はロック手段4をコンテナ1の後方から見た図である。左右一対のロック手段4はそれぞれ同様の構成である。各ロック手段4は、可動側となる第一の係合部材11と、固定側となる第二の係合部材19とを有しており、第二の係合部材19がコンテナ本体2の後面下部に固定されている。第一の係合部材11は、第二の係合部材19に、上下方向の軸線C1を中心として回動可能に取り付けられている。第一の係合部材11が軸線C1回りに回動することにより、第一の係合部材11はロック位置(図5の実線で示している位置)とロック解除位置(図5の二点差線で示している位置)との間を移動する。
【0018】
第二の係合部材19は、閉状態にあるテールゲート3の前記ロッド18が入る凹部19aを有している。第一の係合部材11は、ロック位置で、凹部19aに入ったロッド18を覆う爪部11aを有している。これにより、第一の係合部材11がロック位置に維持されると、第二の係合部材19と共に、テールゲート3のロッド18に係合した状態となり、このロック手段4はロック状態となる。つまり、テールゲート3が開くために後方へ移動しようとするロッド18を、第一と第二の係合部材11,19によって前後方向から挟んだ状態に維持し、このロック手段4はロック状態となる。一方、第一の係合部材11は、ロック解除位置で、凹部19aを後方へ開放した状態(図5の二点差線の状態)となり、開こうとするテールゲート3のロッド18と第一の係合部材11の爪部11aとが干渉しない位置となる。
【0019】
図7と図8とは操作手段5の底面図であり、図7はロック手段4がロック状態であり、図8はロック手段4がロック解除状態にある。操作手段5は、左右一対のロック手段4を動作させるために作業者が操作する左操作部6と右操作部7とを有している。図9は、右操作部7を示す説明図である。右操作部7はコンテナ本体2の右側後部(右側壁9aの後部)に設けられており、左操作部6はコンテナ本体2の左側後部(左側壁9bの後部)に設けられている。操作手段5は、さらに、左操作部6と右操作部7とのうちのいずれを操作しても一対のロック手段4の状態を切り替えさせるリンク部8を有している。
【0020】
左操作部6及び右操作部7は同様の構成であり、図9により右操作部7を代表して説明する。右操作部7は、コンテナ本体2の右側後部において、上下方向の軸線回りに正逆回動するように設けられたシャフト21と、このシャフト21と一体回動するレバー22aと、使用者が手動操作するハンドル20とを有している。使用者がこのハンドル20を正逆回動させることによって、シャフト21及びレバー22aを正逆回動させることができる。そして、このレバー22aに、前記リンク部8が備えているシャフト(左第一シャフト31a)の一端部が、上下方向の軸線回りに回動自在に連結されている。ハンドル20はシャフト21に対して着脱自在であり、不使用時にはハンドル20をシャフト21から取り外すことができる。また、このハンドル20は、天蓋13を開閉操作するための開閉手段(図示せず)用に転用することができる。
【0021】
リンク部8は、左操作部6と右操作部7とから、左右一対のロック手段4のそれぞれの第一の係合部材11まで繋がる複数のシャフトを有している。そして、これらシャフトにおいて、隣り合うシャフト同士はすべてについて上下方向の軸線を中心として回動するようにして連結されている。そして、リンク部8、すなわち、複数本のシャフトはすべて、コンテナ本体2の床壁12の下に設けられている。
【0022】
このリンク部8の構成を具体的に説明する。
リンク部8は、左操作部6の操作によって動作する左側シャフト31と、右操作部7の操作によって動作する右側シャフト41と、左側シャフト31と右側シャフト41とを繋ぎ、左操作部6と右操作部7とのうちのいずれを操作しても位置変化する中央連結部材30とを有している。さらに、リンク部8は、左側のロック手段4を動作させる左ロックシャフト32と、右側のロック手段4を動作させる右ロックシャフト42と、これら左右のロックシャフト32,42を同期動作させる連結ロックシャフト40とを有している。さらに、中央連結部材30と連結ロックシャフト40との間に介在し、中央連結部材30の位置変化により、連結ロックシャフト40を介して左右のロックシャフト32,42を同期動作させ、左右のロック手段4の状態(ロック状態又はロック解除状態)を変化させる動作シャフト34とを有している。
【0023】
さらに詳しく説明すると、前記左側シャフト31は、左第一シャフト31aと、左第二シャフト31bと、左連結部材33とを有している。左第一シャフト31aの一端部が左操作部6のレバー22bに第1軸線v1回りに回動自在に連結されている。床壁12の下に左連結部材33が第2軸線v2回りに回動自在に取り付けられており、この左連結部材33の一部に、左第一シャフト31aの他端部が第3軸線v3回りに回動自在に取り付けられ、他部に、左第二シャフト31bの一端部が第4軸線v4回りに連結されている。
【0024】
前記右側シャフト41は、右第一シャフト41aと、右第二シャフト41bと、右連結部材43とを有している。右第一シャフト41aの一端部が右操作部7のレバー22aに第5軸線v5回りに回動自在に連結されている。床壁12の下に右連結部材43が第6軸線v6回りに回動自在に取り付けられており、この右連結部材43の一部に、右第一シャフト41aの他端部が第7軸線v7回りに回動自在に取り付けられ、他部に、右第二シャフト41bの一端部が第8軸線v8回りに連結されている。
【0025】
前記中央連結部材30は床壁12の下に第9軸線v9回りに回動自在に取り付けられており、この中央連結部材30の一部に、左第二シャフト31bの他端部が第10軸線v10回りに回動自在に取り付けられており、他部に、右第二シャフト41bの他端部が第11軸線v11回りに回動自在に取り付けられている。これにより、左操作部6と右操作部7とのうちのいずれを操作しても、つまり、左操作部6のシャフト21と右操作部7のシャフト21とのうちのいずれを回動操作しても、中央連結部材30は第9軸線v9回りに回動する。
【0026】
床壁12の下において、左右それぞれに第一連結部材35及び第二連結部材36が第12軸線v12及び第13軸線v13回りに回動自在に取り付けられている。左側のロック手段4の第一係合部材11と左ロックシャフト32の一端部とは第14軸線v14(図5参照)回りに回動自在に取り付けられており、左ロックシャフト32の他端部と第一連結部材35の一部とは第15軸線v15回りに回動自在に取り付けられている。右側のロック手段4の第一係合部材11と右ロックシャフト42の一端部とは第16軸線v16(図5参照)回りに回動自在に取り付けられており、右ロックシャフト42の他端部と第二連結部材36の一部とは第17軸線v17回りに回動自在に取り付けられている。
【0027】
そして、連結ロックシャフト40の一端部が第一連結部材35の他部に第18軸線v18回りに回動自在に取り付けられており、連結ロックシャフト40の他端部が第二連結部材36の他部に第19軸線v19回りに回動自在に取り付けられている。これにより、左右方向に延びる連結ロックシャフト40が、左右方向に変位(移動)すると、左右のロックシャフト32,42を介して、左右ロック手段4の各第一係合部材11を上下方向の軸線C1(図5参照)回りに回動させ、左右のロック手段4の状態を同時に変化させることができる。
【0028】
動作シャフト34は、第一シャフト34aと、第二シャフト34bと、連結部材34cとを有している。連結部材34cは、床壁12の下に第20軸線v20回りに回動自在に取り付けられており、この連結部材34cの一部に、第一シャフト34aの一端部が第21軸線v21回りに回動自在に取り付けられ、他部に、第二シャフト34bの一端部が第22軸線v22回りに回動自在に取り付けられている。そして、第一シャフト34aの他端部が取付部材34dを介して中央連結部材30のアーム部30aに第23軸線v23回りに回動自在に取り付けられており、第二シャフト34bの他端部が第一連結部材35に第24軸線v24回りに回動自在に取り付けられている。
【0029】
また、動作シャフト34は、ロック手段4がロック状態にあるとその状態を維持する方向の弾性力を生じさせ、ロック手段4がロック解除状態にあるとその状態を維持する方向の弾性力を生じさせる弾性部材(図示せず)を有している。この弾性部材は、例えば第一シャフト34aの取付部材34dに取り付けた圧縮コイルばねとすることができ、中央連結部材30の回動動作の途中のある地点(デッドポイント)を越えることにより、弾性部材において、ロック手段4の相反する2つの状態をそれぞれ維持させるための弾性力の方向が切り替わる。この弾性部材によれば、ロック手段4をロック状態に維持したり、ロック解除状態に維持したりできる。つまり、ロック手段4の第一の係合部材11をロック位置(図5の実線で示している位置)に維持したり、第一の係合部材11をロック解除位置(図5の二点鎖線で示している位置)に維持したりする。
【0030】
以上より、図7と図8とに示しているように、前記複数のシャフト及び連結部材等を有しているリンク部8は、左操作部6と右操作部7とのうちのいずれを操作しても、ロック手段4の状態を、ロック状態とロック解除状態とに切り替えさせることができる。
そして、前記第1軸線v1から第24軸線v24まではすべて、上下方向(鉛直方向)に延びる軸線であり、各軸線回りに回動する部材(シャフト及び連結部材等)は水平面上に沿って回動することとなる。これら複数のシャフトはすべてについて上下方向の軸心を中心としてそれぞれ回動するため、これらシャフトは上下方向の位置変化を伴わない。したがって、リンク部8はコンテナ本体2の床壁12の下に設けられているが、この床壁12の下において、このリンク部8のための上下方向スペースは小さくて済む。これにより、このリンク部8を、コンテナ本体2の床壁12の下であって、フォークリフトのフォーク用の前記挿入口17(図3参照)の後方側に設けることができ、さらに、リンク部8をこの挿入口17の高さ寸法以下の領域内に設けることができる。このようにリンク部8の設置領域を上下方向について低くすることができるため、コンテナ本体2において収容物を収容する部分の容積を上下方向について大きくすることができる。
【0031】
さらに、図7と図8とにおいて、このコンテナ1は、作業者に対して視覚により、コンテナ1の左側と右側とのどちらからでもロック手段4の状態(ロック状態又はロック解除状態)を把握させるための指示部材(インジケータ)10を備えている。指示部材10はコンテナ本体2の左右両側のそれぞれに設けられている。左の指示部材10は、左操作部6のシャフト21と一体回動するように、基端部がシャフト21に固定されており、右の指示部材10は、右操作部7のシャフト21と一体回動するように、基端部がシャフト21に固定されている。そして、前記のとおり、左操作部6と右操作部7とは、左側シャフト31と右側シャフト41とにより繋がっており、相互が連動して動作することができる。つまり、左操作部6と右操作部7とのうちの一方において、ハンドル20を利用してシャフト21を上下方向の軸線回りに回転させると、他方のシャフト21も上下方向の軸線回りに回転することとなる。これにより、左右の指示部材10は、左右のロック手段4と連動することができると共に、左右の指示部材10同士も連動する。
【0032】
この構成によれば、左右の操作部6,7のうちの一方においてハンドル20を一方向へ回し、リンク部8を介して、ロック状態(図7)にある左右のロック手段4をロック解除状態(図8)とすると、左右の指示部材10の先端部は共に、コンテナ本体2の左右の側壁9の外面よりもそれぞれ左右方向外方へ突出した状態となる。この状態となっていることを作業者が視覚で確認することにより、作業者はロック手段4がロック解除状態にあると判る。さらに、作業者は、コンテナ1の左側と右側とのどちらからでも、さらには、コンテナ1の前方からでも、ロック手段4の状態を把握することができる。
【0033】
一方、左右の操作部6,7のうちの一方においてハンドル20を他方向へ回し、ロック解除状態(図8)にある左右のロック手段4をロック状態(図9)とすると、左右の指示部材10は共に、コンテナ本体2の左右の側壁9の外面よりも左右方向内側に収納された状態となる。この状態では、側壁9に隠れた指示部材10を使用者は視覚で確認することができず、ロック手段4がロック状態にあると判る。さらに、このコンテナ1を鉄道貨車又は輸送車両によって搬送する際に、ロック手段4をロック状態としテールゲート3が開くことを規制することができ、誤って収容物がテールゲート3から出ることを防止できる。そして、指示部材10は側壁9よりも内側に収納された状態となるので、搬送に際し指示部材10が邪魔にならない。
【0034】
以上の実施の形態によれば、コンテナ本体2の左右両側にそれぞれ左操作部6と右操作部7とを有しており、リンク部8が、左操作部6と右操作部7とのうちのいずれを操作してもロック手段4の状態を切り替えさせることができるので、作業者はコンテナ1の左側と右側とのどちらからでもロック手段4を、ハンドル20を利用して操作することができ、ロック手段4の状態を切り替える作業が容易となる。特に、このコンテナ1が鉄道貨車に載せられており、左右の一方にしかホームがない駅において、ロック手段4の状態を切り替える操作が必要である場合に有用となる。
【0035】
つまり、このコンテナ1を鉄道貨車により搬送するために、貨車上にコンテナ1が載せられた状態で、貨車の左側にホームが存在しかつ右側に他の鉄道の線路が存在している場合、作業者はコンテナ1の左側の左操作部6を利用しロック手段4を操作することができる。逆に、この貨車が別の駅で停車し、その駅において、先の場合とは反対に、貨車の右側にホームが存在しかつ左側に他の鉄道の線路が存在している場合、作業者はコンテナ1の右側の右操作部7を利用しロック手段4を操作することができる。また、指示部材10によって、作業者等は、貨車の左側からでも、右側からでも、さらに、前方からでもロック手段4の状態を容易に確認することができ、ロック手段4がロック解除状態のままで、コンテナ1が搬送されてしまうことを防止できる。
また、このコンテナ1を輸送車両により搬送するために、車両上にコンテナ1が載せられた場合では、その車両の左右のうち運転席が存在する側、例えば車両の右側に、右操作部7があるため、運転席と右操作部7との距離が近く、運転者が作業者である場合にロック手段4の操作が容易となる。
【0036】
また、この発明のコンテナは、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。例えば、ロック手段4において、第一の係合部材11が高さ方向の軸線C1回りに回動する構成(図6)を示したが、左右水平方向の軸線回りに回動する構成(図示せず)であってもよい。また、リンク部8(図7と図8)はその他の構成であってもよく、例えば動作シャフト34の第一シャフト34aにおいて、前記弾性部材を設けなくてもよい。また、指示部材10は、左右の操作部6,7のシャフト21と共に上下方向の軸線C1回りに回動する構成(図9)を説明したが、これ以外に指示部材10は前後方向の水平軸線回りに回動するように構成したものであってもよい。さらに、ロック手段4はロック状態でテールゲート3の一部に係合すればよく、前記実施形態では、ロック手段4はテールゲート3の下部に設けたロッド18を挟む場合を説明したが、ロッド18の取り付け位置はその他の部位であってもよく、また、ロッド18を省略してテールゲート3の本体部の一部を、ロック手段4が掴む構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明のコンテナを輸送車両に載せた場合の側面図であり、コンテナを搬送する通常状態である。
【図2】この発明のコンテナを輸送車両に載せた場合の側面図であり、コンテナを後方へ下傾させたダンプ状態である。
【図3】コンテナの一部断面の側面図である。
【図4】コンテナの背面図である。
【図5】ロック手段の断面平面図である。
【図6】ロック手段をコンテナの後方から見た図である。
【図7】操作手段の底面図であり、ロック手段がロック状態にある。
【図8】操作手段の底面図であり、ロック手段がロック解除状態にある。
【図9】右操作部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 コンテナ
2 コンテナ本体
2a 開口部
3 テールゲート
4 ロック手段
5 操作手段
6 左操作部
7 右操作部
8 リンク部
9 側壁
10 指示部材
12 床壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道貨車及び輸送車両に積載可能なコンテナにおいて、
後部に開口部を有するコンテナ本体と、
前記開口部を開閉可能として前記コンテナ本体に取り付けられたテールゲートと、
閉状態にある前記テールゲートが開くことを規制するロック状態と閉状態にある前記テールゲートが開くことを許容するロック解除状態とに切り替わるロック手段と、
前記ロック手段を前記ロック状態と前記ロック解除状態とに切り替える操作を行う操作手段と、
を備え、
前記操作手段は、前記コンテナ本体の左右両側にそれぞれ設けられ作業者が操作する左操作部と右操作部と、前記左操作部と右操作部とのうちのいずれを操作しても前記ロック手段の状態を切り替えさせるリンク部と、を有していることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記コンテナ本体の左右両側にそれぞれ設けられ、前記ロック手段と連動することにより前記ロック状態又は前記ロック解除状態を表す指示部材を備えている請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記左右の指示部材は、前記ロック解除状態で前記コンテナ本体の左右の側壁からそれぞれ左右方向外方へ突出した状態となり、前記ロック状態で左右の前記側壁よりも左右方向内側に収納された状態となる請求項2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記リンク部は、前記左操作部と右操作部とから前記ロック手段まで繋がる複数のシャフトを有し、これらシャフトはすべてについて上下方向の軸線を中心として回動するようにして、前記コンテナ本体の床壁の下に設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−155988(P2008−155988A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349968(P2006−349968)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】