説明

コンテンツ再生システム、コンテンツ受信装置、音声再生装置、コンテンツ再生方法およびプログラム

【課題】放送波コンテンツの再生において、特に音声データの再生品質を向上させる。
【解決手段】AVシステム100は、放送波コンテンツを受信して復調するチューナ部160、復調結果としてのストリームを記憶するバッファ部161、記憶されたストリームをバッファ部161から読み出して復号するデコード部162、復号結果のうちの音声データをソース機器110に送信するSPDIF送信回路125、及びデコード部162によるストリームの復号の際に使用するクロック信号をソース機器110に対して送受信可能なシンク側送受信回路123を備えるシンク機器120と、SPDIF送信回路125により送信される上記音声データを受信するSPDIF受信回路115、及びデコード部162によるストリームの復号の際に使用するクロック信号をシンク機器120に対して送受信可能なソース側送受信回路113を備えるソース機器110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生システム、コンテンツ受信装置、音声再生装置、コンテンツ再生方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、音声信号や映像信号などのデジタル信号を扱うAV(Audio/Visual)機器が普及するにつれて、これらAV機器間においてデジタル信号を伝送するためのインタフェースとして様々な方式のものが提案されている。このようなインタフェースとしては、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394規格、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格(HDMIは登録商標)等が広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような中、コンテンツの再生において、例えば、テレビ装置からオーディオ機器に音声データの伝送を行い、オーディオ機器側で音声データの再生を行うことにより、高品質のAV再生を可能にする技術が提案されている。例えば、送信側から受信側へ、映像データ、音声データ、付加データ、および映像クロックを伝送するとともに、受信側から送信側へ、付加データ、および映像クロックを伝送し、受信側で生成して送信側へ伝送される映像クロックまたはその付加データを用いて、映像データおよび/または音声データのクロックレートを調整するようにして、受信側をマスタークロックとして、送信側クロックを連続的に同期させることで、送受側ともに、高品質のAV再生が可能となり、併せてリップシンクのズレの問題を解決することができる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−267116号公報
【特許文献2】特開2008−187586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通常、放送波コンテンツの再生においては、テレビ装置やセットトップボックス(STB)などの受信チューナ部にて復調されたMPEG−TSなどのストリームをデコード部にてデコードすることによって、放送波コンテンツの再生が実現される。このとき、デコード部においてストリームのデコードの際に使用する基準クロックは、当該ストリームに含まれる時間情報(タイムスタンプ)に基づいて、デコードする装置が有するPLL(Phase Locked Loop)などを調整することにより、通常、27MHzの同期クロックとして生成される。そして、生成された27MHzの同期クロックから映像データ再生用の基準クロックや、音声データ再生用の基準クロックが生成される。このため、放送波コンテンツの再生において、ストリームのデコードのための基準クロックは、放送波コンテンツの受信装置側がマスターとなる必要がある。
【0006】
一方、音声データの再生において、音声品質は音声データのデコードの際に使用する基準クロックの品質に非常に敏感であり、ゆらぎ(ジッタ)成分などが音声品質に大きな影響を及ぼす。そのため、通常、オーディオ機器には非常に高品質なクロックを生成可能なクロック生成回路が搭載されている。
【0007】
したがって、放送波コンテンツの再生においては、オーディオ機器に非常に高品質なクロックを生成可能なクロック生成回路が搭載されているにも拘らず、特に音声データの再生品質を向上させることができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、放送波コンテンツの再生において、特に音声データの再生品質を向上させることが可能な、新規かつ改良されたコンテンツ再生システム、コンテンツ受信装置、音声再生装置、コンテンツ再生方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、放送波コンテンツを受信して復調する復調部と、前記復調部による復調結果としてのストリームを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたストリームを当該記憶部から読み出して復号する復号部と、前記復号部による復号結果のうちの音声データを音声再生装置に伝送路を介して送信する送信部と、前記復号部による前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記音声再生装置に対して送受信可能な第1の送受信部と、を備える、コンテンツ受信装置と、前記送信部により前記伝送路を介して送信される前記音声データを受信する受信部と、前記復号部による前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記コンテンツ受信装置に対して送受信可能な第2の送受信部と、を備える、前記音声再生装置と、を備える、コンテンツ再生システムが提供される。
【0010】
前記第2の送受信部は、前記音声再生装置が備えるクロック信号生成回路により生成されたクロック信号を、前記復号部が前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号として前記コンテンツ受信装置に送信し、前記第1の送受信部は、前記第2の送受信部により送信されるクロック信号を受信し、前記復号部は、前記第1の送受信部が受信したクロック信号を前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号として使用してもよい。
【0011】
前記音声再生装置が備えるクロック信号生成回路により生成されたクロック信号よりも前記コンテンツ受信装置が備えるクロック信号生成回路により生成されたクロック信号の精度が高い場合は、前記復号部は、前記コンテンツ受信装置が備えるクロック信号生成回路により生成されたクロック信号を前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号として使用し、前記第1の送受信部は、前記コンテンツ受信装置が備えるクロック信号生成回路により生成されたクロック信号を、前記音声再生装置に送信し、前記第2の送受信部は、前記第1の送受信部により送信されるクロック信号を受信してもよい。
【0012】
前記復号部は、前記ストリームの復号結果に基づいて、前記記憶部の記憶内容をリセットあるいは直前の画像および音声データと同一の画像および音声データを挿入してもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、放送波コンテンツを受信して復調する復調部と、前記復調部による復調結果としてのストリームを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたストリームを当該記憶部から読み出して復号する復号部と、前記復号部による復号結果のうちの音声データを音声再生装置に伝送路を介して送信する送信部と、前記復号部による前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記音声再生装置に対して送受信可能な送受信部と、を備える、コンテンツ受信装置が提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、放送波コンテンツを受信するコンテンツ受信装置から伝送路を介して送信される音声データを受信する受信部と、前記コンテンツ受信装置が備える、前記放送波コンテンツの復調結果としてのストリームを復号する復号部による当該ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記コンテンツ受信装置に対して送受信可能な送受信部と、を備える、前記音声再生装置が提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンテンツ受信装置により放送波コンテンツを受信して復調するステップと、前記コンテンツ受信装置により復調結果としてのストリームを記憶するステップと、前記コンテンツ受信装置により記憶されたストリームを読み出して復号するステップと、前記コンテンツ受信装置により復号結果のうちの音声データを音声再生装置に伝送路を介して送信するステップと、前記コンテンツ受信装置により前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記音声再生装置に対して送信または受信するステップと、前記音声再生装置により前記伝送路を介して送信される前記音声データを受信するステップと、前記音声再生装置により前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記コンテンツ受信装置に対して送信または受信するステップと、を有する、コンテンツ再生方法が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンテンツ受信装置を、放送波コンテンツを受信して復調する復調部と、前記復調部による復調結果としてのストリームを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたストリームを当該記憶部から読み出して復号する復号部と、前記復号部による復号結果のうちの音声データを音声再生装置に伝送路を介して送信する送信部と、前記復号部による前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記音声再生装置に対して送受信可能な第1の送受信部と、として機能させ、前記音声再生装置を、前記送信部により前記伝送路を介して送信される前記音声データを受信する受信部と、前記復号部による前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記コンテンツ受信装置に対して送受信可能な第2の送受信部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、放送波コンテンツの再生において、特に音声データの再生品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るAVシステムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図1のAVシステムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】HDMI送信部(HDMIソース)とHDMI受信部(HDMIシンク)の構成例を示すブロック図である。
【図4】HDMIトランスミッタとHDMIレシーバの構成例を示すブロック図である。
【図5】TMDS伝送データの構造を示す図である。
【図6】HDMI端子のピン配列(タイプA)を示す図である。
【図7】SPDIF規格におけるフレーム構成を示す図である。
【図8】SPDIF規格におけるサブフレーム構成を示す図である。
【図9】SPDIF規格における信号変調方式を示す図である。
【図10】SPDIF規格におけるプリアンブルのチャンネルコーディングを示す図である。
【図11】SPDIF規格におけるチャンネルステータスのフォーマットを示す図である。
【図12】SPDIF規格におけるユーザデータのフォーマットを示す図である。
【図13】第1の実施の形態におけるソース機器のソース側送受信回路、プラグ接続検出回路等の構成例を示す接続図である。
【図14】第1の実施の形態におけるシンク機器のシンク側送受信回路、プラグ接続検出回路等の構成例を示す接続図である。
【図15】実施の形態におけるUtilityラインおよびHPDラインを使用した動作をまとめて示す図である。
【図16】CECラインで伝送されるCECデータの構造を示す図である。
【図17】ヘッダブロックの構造例を示す図である。
【図18】HDMIの各機器の種類に応じて設定される論理アドレスを示す図である。
【図19】図2のAVシステムにおけるソース機器が実行するクロック信号の送受信処理のフローチャートである。
【図20】図2のAVシステムにおけるシンク機器が実行するクロック信号の送受信処理のフローチャートである。
【図21】認証、鍵交換処理のシーケンス例を示す図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態に係るAVシステムの構成を概略的に示す図である。
【図23】図22のAVシステムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図24】第2の実施の形態におけるソース機器のソース側送受信回路、プラグ接続検出回路等の構成例を示す接続図である。
【図25】第2の実施の形態におけるシンク機器のシンク側送受信回路、プラグ接続検出回路等の構成例を示す接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施の形態(ソース機器側が音声出力を行う形態)
2.第2の実施の形態(リピータ機器側が音声出力を行う形態)
【0021】
<1.第1の実施の形態>
[AVシステムの構成例]
まず、本発明の第1の実施の形態に係るAVシステムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るAVシステムの構成を概略的に示す図である。図2は、図1のAVシステムの構成を概略的に示すブロック図である。
【0022】
図1および図2において、AVシステム100は、放送波コンテンツを再生可能なシステムであり、オーディオ機器等のソース機器110と、テレビ装置等のシンク機器120とを有している。このAVシステム100において、ソース機器110およびシンク機器120はHDMI HEAC(HDMI Ethernet and Audio Return Channel)対応機器である。ここで、HDMI HEAC対応機器であるとは、HDMIケーブルを構成するHEAC+ラインおよびHEAC−ラインによる通信路を用いた通信を行う通信部を有していることを意味する。
【0023】
ソース機器110およびシンク機器120は、HDMIケーブル130を介して接続されている。すなわち、ソース機器110はHDMI端子111を備えており、シンク機器120はHDMI端子121を備えている。HDMIケーブル130の一端はソース機器110のHDMI端子111に接続され、このHDMIケーブル130の他端はシンク機器120のHDMI端子121に接続されている。また、シンク機器120は、放送波コンテンツを受信するためのアンテナ140を備えている。
【0024】
ソース機器110は、HDMI端子111に接続された、HDMI送信部112、ソース側送受信回路113およびプラグ接続検出回路117を有している。ソース側送受信回路113には、イーサネット送受回路114およびSPDIF受信回路115が接続されている。
【0025】
HDMI送信部112は、HDMIに準拠した通信により、ベースバンドの映像(画像)と音声のデータを、HDMI端子111から送出する。HDMI送信部112の詳細は後述する。
【0026】
ソース側送受信回路113は、HDMIケーブル130を構成するHEAC+ラインおよびHEAC−ラインを用いて伝送されるイーサネット信号をイーサネット送受信回路114とHDMIケーブル130との間でインタフェースする。また、ソース側送受信回路113は、HDMIケーブル130を構成するHEAC+ラインおよびHEAC−ラインを用いて伝送されるSPDIF信号をSPDIF受信回路115とHDMIケーブル130との間でインタフェースする。ソース側送受信回路113の詳細は後述する。
【0027】
SPDIF受信回路115は、SPDIF信号を受信するための回路である。このSPDIF受信回路115はSPDIF規格に準拠した受信部を備えている。SPDIF信号の詳細は後述する。イーサネット送受信回路114は、イーサネット信号を送受信するための回路であり、例えばインターネットプロトコル(IP)に準拠した双方向通信を行うものである。この場合、インターネットプロトコル(IP)の上位層としては、TCP(Transmission Control Protocol)やUDP(User
Datagram Protocol)を用いることができる。
【0028】
プラグ接続検出回路117は、HDMIケーブル130のHPDラインに接続する端子の電位を基準電位と比較することにより、シンク機器120の接続を検出する。
【0029】
シンク機器120は、HDMI端子121に接続された、HDMI受信部122、シンク側送受信回路123およびプラグ接続伝達回路127を有している。シンク側送受信回路123には、イーサネット送受信回路124およびSPDIF送信回路125が接続されている。
【0030】
HDMI受信部122は、HDMIに準拠した通信により、ソース機器から一方向に送信されてくるベースバンドの映像と音声のデータを、HDMI端子121を介して受信する。HDMI受信部122の詳細は後述する。
【0031】
シンク側送受信回路123は、HDMIケーブル130を構成するHEAC+ラインおよびHEAC−ラインを用いて伝送されるイーサネット信号を、イーサネット送受信回路124とHDMIケーブル130との間でインタフェースする。また、シンク側送受信回路123は、HDMIケーブル130を構成するHEAC+ラインおよびHEAC−ラインを用いて伝送されるSPDIF信号をSPDIF送信回路125とHDMIケーブル130との間でインタフェースする。シンク側送受信回路123の詳細は後述する。
【0032】
SPDIF送信回路125は、SPDIF信号を送信するための回路である。このSPDIF送信回路125はSPDIF規格に準拠した送信部を備えている。イーサネット送受信回路124は、ソース機器110のイーサネット送受信回路114と同様に、イーサネット信号を送受信するための回路であり、例えばインターネットプロトコル(IP)に準拠した双方向通信を行うものである。
【0033】
プラグ接続伝達回路127は、HDMIケーブル130のHPDラインに接続する端子を所定の電圧にバイアスすることにより、ソース機器110にシンク機器が接続されている旨を伝達する。
【0034】
また、シンク機器120は、チューナ部160、バッファ部161、デコード部162および画像表示部163を有している。チューナ部160は、シンク機器120のアンテナ140を介して放送波コンテンツを受信して、受信した放送波コンテンツの復調を行う。バッファ部161は、チューナ部160にて復調されたMPEG−TSなどのストリームを一時的に保存する。
【0035】
デコード部162は、バッファ部161に保存されているストリームを読み出して、読み出したストリームのデコードを行う。また、デコード部162は、当該ストリームのデコードの際に、後述するようにソース機器110から送信されてくるクロック信号、あるいはシンク機器120で生成されたクロック信号のいずれかのクロック信号に基づいて、デコードを行う。そして、デコード部162は、デコードされたストリームのうち、音声データをSPDIF送信回路125に入力して、後述するようにソース機器110側に送信する。また、デコード部162は、デコードされたストリームのうち、映像データを画像表示部163に入力する。画像表示部163は、入力された映像データの表示を行う。
【0036】
また、ソース機器110は、D/A変換部150および音声出力部151を有している。D/A変換部150は、シンク機器120側から送信されてSPDIF受信回路115から入力されたデジタル音声データをD/A変換して、アナログ音声データを生成する。また、D/A変換部150は、デジタル音声データのD/A変換の際に、後述するようにシンク機器120から送信されてくるクロック信号、あるいはソース機器110で生成されたクロック信号のいずれかのクロック信号に基づいて、D/A変換を行う。そして、D/A変換部150は、生成したアナログ音声データを音声出力部151に入力する。音声出力部151は、入力された音声データの再生を行う。
【0037】
本実施の形態では、オーディオ機器等のソース機器110は、通常、非常に高品質なクロック信号を生成可能なクロック生成回路を搭載しているため、ソース機器110側で自身が搭載しているクロック生成回路により、上述したストリームのデコード用のクロック信号、通常は27MHzのクロック信号を生成する。当該クロック生成回路により生成されたクロック信号は、ソース機器110が音声信号を再生する際に使用するクロック信号、通常は48kHzのクロック信号とソースとなるクロック信号が同じであるため、これらのクロック信号は完全に同期しており、ジッタ成分などが低減されて高品質を保持している。
【0038】
本実施の形態では、ソース機器110側がシンク機器120側に上述したストリームのデコード用のクロック信号を送信する。そして、シンク機器120は、受信したクロック信号を基準クロック信号として、バッファ部161に保存されているストリームのデコードを行い、デコードされたストリームのうち音声データをソース機器110側に送信する。ソース機器110は、受信した音声データは自身が搭載しているクロック生成回路により生成されたクロック信号と同期しているため、自身の音声データ再生用のクロック信号を基準クロック信号として音声データを再生することにより、音声データの再生品質を向上させることができる。
【0039】
また、本実施の形態では、デコード部162は、上述したストリームのデコードの結果に基づいて、バッファ部161の記憶内容をリセットあるいは例えば直前の画像および音声データと同一の画像および音声データを挿入する。例えば、デコード部162は、上述したストリームのデコードの結果、放送波コンテンツにおいて、無音かつ映像がブラックアウトしている区間を検知した場合は、バッファ部161に記憶されているストリームをリセットあるいは無音かつブラックアウト映像データを挿入する。これにより、バッファ部161のバッファ量を制御することができる。
【0040】
次に、図2に示すAVシステム100の動作を説明する。本実施の形態におけるAVシステム100では、ソース機器110からシンク機器120に送信すべき映像および音声のデータは、HDMIに準拠した通信により、ソース機器110のHDMI送信部112からHDMIケーブル130を介してシンク機器120に送信される。また、シンク機器120のHDMI受信部122では、HDMIに準拠した通信により、ソース機器110からHDMIケーブル130を送信されてくる映像および音声のデータが受信される。シンク機器120では、例えば、このように取得された映像および音声のデータにより画像表示および音声出力を行うこともできる。
【0041】
また、ソース機器110のイーサネット送受信回路114と、シンク機器120のイーサネット送受信回路124との間で、HDMIケーブル130を介して、インターネットプロトコル(IP)に準拠した双方向通信、つまりイーサネット信号の送受信が行われる。
【0042】
また、ソース機器110のSPDIF受信回路115と、シンク機器120のSPDIF送信回路125との間で、HDMIケーブル130を介して、SPDIF信号の送受信が行われる。SPDIF送信回路125では、オーディオデータ等のデータが処理されてSPDIF信号として送信される。一方、SPDIF受信回路115では、受信されたSPDIF信号に対してデータ抽出処理、復号処理等が行われて、オーディオデータ等のデータが取得される。
【0043】
[HDMI送信部、HDMI受信部等の構成例]
次に、HDMI送信部112およびHDMI受信部122の詳細を説明する。図3は、ソース機器110のHDMI送信部112と、シンク機器120のHDMI受信部122の構成例を示している。
【0044】
HDMI送信部112は、一の垂直同期信号から次の垂直同期信号までの区間から、水平帰線区間および垂直帰線区間を除いた区間である有効画像区間(以下、適宜、アクティブビデオ区間ともいう)において、非圧縮の1画面分の画像の画素データに対応する差動信号を、複数のチャネルで、HDMI受信部122に一方向に送信するとともに、水平帰線区間または垂直帰線区間において、少なくとも画像データ(ビデオ信号)に付随する音声データ(オーディオ信号)や制御データ、その他の補助データ等に対応する差動信号を、複数のチャネルで、HDMI受信部122に一方向に送信する。
【0045】
すなわち、HDMI送信部112は、HDMIトランスミッタ81を有する。HDMIトランスミッタ81は、例えば、非圧縮の画像の画素データを対応する差動信号に変換し、複数のチャネルである3つのTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)チャネル#0,#1,#2で、HDMIケーブル130を介して接続されているHDMI受信部122に、一方向にシリアル伝送する。
【0046】
また、HDMIトランスミッタ81は、非圧縮の画像に付随する音声データ、さらには、必要な制御データその他の補助データ等を、対応する差動信号に変換し、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2でHDMIケーブル130を介して接続されているHDMI受信部122に、一方向にシリアル伝送する。
【0047】
さらに、HDMIトランスミッタ81は、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で送信する画素データに同期したピクセルクロックを、TMDSクロックチャネルで、HDMIケーブル130を介して接続されているHDMI受信部122に送信する。ここで、1つのTMDSチャネル#i(i=0,1,2)では、ピクセルクロックの1クロックの間に、10ビットの画素データが送信される。
【0048】
HDMI受信部122は、アクティブビデオ区間において、複数のチャネルで、HDMI送信部から一方向に送信されてくる、画素データに対応する差動信号を受信するとともに、水平帰線区間または垂直帰線区間において、複数のチャネルで、HDMI送信部112から一方向に送信されてくる、音声データや制御データに対応する差動信号を受信する。
【0049】
すなわち、HDMI受信部122は、HDMIレシーバ82を有する。HDMIレシーバ82は、TMDSチャネル#0,#1,#2で、HDMIケーブル130を介して接続されているHDMI送信部112から一方向に送信されてくる、画素データに対応する差動信号と、音声データや制御データに対応する差動信号を、同じくHDMI送信部112からTMDSクロックチャネルで送信されてくるピクセルクロックに同期して受信する。
【0050】
HDMI送信部112とHDMI受信部122とからなるHDMIシステムの伝送チャネルには、HDMI送信部112からHDMI受信部122に対して、画素データおよび音声データを、ピクセルクロックに同期して、一方向にシリアル伝送するための伝送チャネルとしての3つのTMDSチャネル#0乃至#2と、ピクセルクロックを伝送する伝送チャネルとしてのTMDSクロックチャネルの他に、DDC(Display Data Channel)83やCEC(Consumer
Electronics Control)ライン84と呼ばれる伝送チャネルがある。
【0051】
DDC83は、HDMIケーブル130に含まれる図示しない2本の信号線からなり、HDMI送信部112が、HDMIケーブル130を介して接続されたHDMI受信部122から、E−EDID(Enhanced Extended Display Identification Data)を読み出すために使用される。
【0052】
すなわち、HDMI受信部122は、HDMIレシーバ82の他に、自身の性能(Configuration/capability)に関する性能情報であるE−EDIDを記憶している、EDID ROM(Read Only Memory)85を有している。HDMI送信部112は、HDMIケーブル130を介して接続されているHDMI受信部122から、当該HDMI受信部122のE−EDIDを、DDC83を介して読み出し、そのE−EDIDに基づき、例えば、HDMI受信部122を有する電子機器が対応している画像のフォーマット(プロファイル)、例えば、RGB、YCbCr4:4:4、YCbCr4:2:2等を認識する。
【0053】
CECライン84は、HDMIケーブル130に含まれる図示しない1本の信号線からなり、HDMI送信部112とHDMI受信部122との間で、制御用のデータの双方向通信を行うのに用いられる。
【0054】
また、HDMIケーブル130には、HPD(Hot Plug Detect)と呼ばれるピンに接続されるHPDライン86が含まれている。ソース機器110は、当該HPDライン86を利用して、シンク機器120の接続を検出することができる。また、HDMIケーブル130には、ソース機器からシンク機器に電源を供給するために用いられる電源ライン87が含まれている。さらに、HDMIケーブル130には、ユーティリティライン88が含まれている。
【0055】
図4は、図3のHDMIトランスミッタ81とHDMIレシーバ82の構成例を示している。
【0056】
HDMIトランスミッタ81は、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2にそれぞれ対応する3つのエンコーダ/シリアライザ81A,81B,81Cを有する。そして、エンコーダ/シリアライザ81A,81B,81Cのそれぞれは、そこに供給される画像データ、補助データ、制御データをエンコードし、パラレルデータからシリアルデータに変換して、差動信号により送信する。ここで、画像データが、例えばR(赤),G(緑),B(青)の3成分を有する場合、B成分(B component)はエンコーダ/シリアライザ81Aに供給され、G成分(G
component)はエンコーダ/シリアライザ81Bに供給され、R成分(R component)はエンコーダ/シリアライザ81Cに供給される。
【0057】
また、補助データとしては、例えば、音声データや制御パケットがあり、制御パケットは、例えば、エンコーダ/シリアライザ81Aに供給され、音声データは、エンコーダ/シリアライザ81B,81Cに供給される。
【0058】
さらに、制御データとしては、1ビットの垂直同期信号(VSYNC)、1ビットの水平同期信号(HSYNC)、および、それぞれ1ビットの制御ビットCTL0,CTL1,CTL2,CTL3がある。垂直同期信号および水平同期信号は、エンコーダ/シリアライザ81Aに供給される。制御ビットCTL0,CTL1はエンコーダ/シリアライザ81Bに供給され、制御ビットCTL2,CTL3はエンコーダ/シリアライザ81Cに供給される。
【0059】
エンコーダ/シリアライザ81Aは、そこに供給される画像データのB成分、垂直同期信号および水平同期信号、並びに補助データを、時分割で送信する。すなわち、エンコーダ/シリアライザ81Aは、そこに供給される画像データのB成分を、固定のビット数である8ビット単位のパラレルデータとする。さらに、エンコーダ/シリアライザ81Aは、そのパラレルデータをエンコードし、シリアルデータに変換して、TMDSチャネル#0で送信する。
【0060】
また、エンコーダ/シリアライザ81Aは、そこに供給される垂直同期信号および水平同期信号の2ビットのパラレルデータをエンコードし、シリアルデータに変換して、TMDSチャネル#0で送信する。さらに、エンコーダ/シリアライザ81Aは、そこに供給される補助データを4ビット単位のパラレルデータとする。そして、エンコーダ/シリアライザ81Aは、そのパラレルデータをエンコードし、シリアルデータに変換して、TMDSチャネル#0で送信する。
【0061】
エンコーダ/シリアライザ81Bは、そこに供給される画像データのG成分、制御ビットCTL0,CTL1、並びに補助データを、時分割で送信する。すなわち、エンコーダ/シリアライザ81Bは、そこに供給される画像データのG成分を、固定のビット数である8ビット単位のパラレルデータとする。さらに、エンコーダ/シリアライザ81Bは、そのパラレルデータをエンコードし、シリアルデータに変換して、TMDSチャネル#1で送信する。
【0062】
また、エンコーダ/シリアライザ81Bは、そこに供給される制御ビットCTL0,CTL1の2ビットのパラレルデータをエンコードし、シリアルデータに変換して、TMDSチャネル#1で送信する。さらに、エンコーダ/シリアライザ81Bは、そこに供給される補助データを4ビット単位のパラレルデータとする。そして、エンコーダ/シリアライザ81Bは、そのパラレルデータをエンコードし、シリアルデータに変換して、TMDSチャネル#1で送信する。
【0063】
エンコーダ/シリアライザ81Cは、そこに供給される画像データのR成分、制御ビットCTL2,CTL3、並びに補助データを、時分割で送信する。すなわち、エンコーダ/シリアライザ81Cは、そこに供給される画像データのR成分を、固定のビット数である8ビット単位のパラレルデータとする。さらに、エンコーダ/シリアライザ81Cは、そのパラレルデータをエンコードし、シリアルデータに変換して、TMDSチャネル#2で送信する。
【0064】
また、エンコーダ/シリアライザ81Cは、そこに供給される制御ビットCTL2,CTL3の2ビットのパラレルデータをエンコードし、シリアルデータに変換して、TMDSチャネル#2で送信する。さらに、エンコーダ/シリアライザ81Cは、そこに供給される補助データを4ビット単位のパラレルデータとする。そして、エンコーダ/シリアライザ81Cは、そのパラレルデータをエンコードし、シリアルデータに変換して、TMDSチャネル#2で送信する。
【0065】
HDMIレシーバ82は、3つのTMDSチャネル#0,#1,#2にそれぞれ対応する3つのリカバリ/デコーダ82A,82B,82Cを有する。そして、リカバリ/デコーダ82A,82B,82Cのそれぞれは、TMDSチャネル#0,#1,#2で差動信号により送信されてくる画像データ、補助データ、制御データを受信する。さらに、リカバリ/デコーダ82A,82B,82Cのそれぞれは、画像データ、補助データ、制御データを、シリアルデータからパラレルデータに変換し、さらにデコードして出力する。
【0066】
すなわち、リカバリ/デコーダ82Aは、TMDSチャネル#0で差動信号により送信されてくる画像データのB成分、垂直同期信号および水平同期信号、補助データを受信する。そして、リカバリ/デコーダ82Aは、その画像データのB成分、垂直同期信号および水平同期信号、補助データを、シリアルデータからパラレルデータに変換し、デコードして出力する。
【0067】
リカバリ/デコーダ82Bは、TMDSチャネル#1で差動信号により送信されてくる画像データのG成分、制御ビットCTL0,CTL1、補助データを受信する。そして、リカバリ/デコーダ82Bは、その画像データのG成分、制御ビットCTL0,CTL1、補助データを、シリアルデータからパラレルデータに変換し、デコードして出力する。
【0068】
リカバリ/デコーダ82Cは、TMDSチャネル#2で差動信号により送信されてくる画像データのR成分、制御ビットCTL2,CTL3、補助データを受信する。そして、リカバリ/デコーダ82Cは、その画像データのR成分、制御ビットCTL2,CTL3、補助データを、シリアルデータからパラレルデータに変換し、デコードして出力する。
【0069】
図5は、HDMIの3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で各種の伝送データが伝送される伝送区間(期間)の例を示している。なお、図5は、TMDSチャネル#0,#1,#2において、横×縦が720×480画素のプログレッシブの画像が伝送される場合の、各種の伝送データの区間を示している。
【0070】
HDMIの3つのTMDSチャネル#0,#1,#2で伝送データが伝送されるビデオフィールド(Video Field)には、伝送データの種類に応じて、ビデオデータ区間(Video
Data period)、データアイランド区間(Data Island period)、およびコントロール区間(Control period)の3種類の区間が存在する。
【0071】
ここで、ビデオフィールド区間は、ある垂直同期信号の立ち上がりエッジ(active edge)から次の垂直同期信号の立ち上がりエッジまでの区間であり、水平ブランキング期間(horizontal blanking)、垂直ブランキング期間(vertical
blanking)、並びに、ビデオフィールド区間から、水平ブランキング期間および垂直ブランキング期間を除いた区間であるアクティブビデオ区間(Active Video)に分けられる。
【0072】
ビデオデータ区間は、アクティブビデオ区間に割り当てられる。このビデオデータ区間では、非圧縮の1画面分の画像データを構成する720画素×480ライン分の有効画素(Active pixel)のデータが伝送される。
【0073】
データアイランド区間およびコントロール区間は、水平ブランキング期間および垂直ブランキング期間に割り当てられる。このデータアイランド区間およびコントロール区間では、補助データ(Auxiliary data)が伝送される。
【0074】
すなわち、データアイランド区間は、水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間の一部分に割り当てられている。このデータアイランド区間では、補助データのうち、制御に関係しないデータである、例えば、音声データのパケット等が伝送される。
【0075】
コントロール区間は、水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間の他の部分に割り当てられている。このコントロール区間では、補助データのうちの、制御に関係するデータである、例えば、垂直同期信号および水平同期信号、制御パケット等が伝送される。
【0076】
ここで、現行のHDMIでは、TMDSクロックチャネルで伝送されるピクセルクロックの周波数は、例えば165MHzであり、この場合、データアイランド区間の伝送レートは約500Mbps程度である。
【0077】
図6は、HDMIコネクタのピン配列を示している。このピン配列は、タイプA(type-A)の例である。TMDSチャネル#iの差動信号であるTMDS Data#i+とTMDS Data#i−が伝送される差動線である2本のラインは、TMDS Data#i+が割り当てられているピン(ピン番号が1,4,7のピン)と、TMDS Data#i−が割り当てられているピン(ピン番号が3,6,9のピン)に接続される。
【0078】
また、制御用のデータであるCEC信号が伝送されるCECライン84は、ピン番号が13であるピンに接続され、ピン番号が14のピンはUtilityラインに接続されている。また、E−EDID等のSDA(Serial Data)信号が伝送されるラインは、ピン番号が16であるピンに接続され、SDA信号の送受信時の同期に用いられるクロック信号であるSCL(Serial Clock)信号が伝送されるラインは、ピン番号が15であるピンに接続される。上述のDDC83は、SDA信号が伝送されるラインおよびSCL信号が伝送されるラインにより構成される。
【0079】
また、上述したようにソース機器がシンク機器の接続を検出するためのHPDライン86は、ピン番号が19であるピンに接続される。また、上述したように電源を供給するための電源ライン87は、ピン番号が18であるピンに接続される。
【0080】
[SPDIF規格の概要]
次にSPDIF規格の概要について説明する。図7は、SPDIF規格におけるフレーム構成を示す図である。SPDIF規格では、各フレームは2つのサブフレームから構成される。2チャンネルステレオ音声の場合、1つ目のサブフレームに左チャンネル信号が含まれ、2つ目のサブフレームに右チャンネル信号が含まれる。
【0081】
サブフレームの先頭には後述するようにプリアンブルが設けられ、左チャンネル信号にはプリアンブルとして「M」が、右チャンネル信号にはプリアンブルとして「W」が付与される。ただし、192フレーム毎に先頭のプリアンブルにはブロックの開始を表す「B」が付与される。すなわち、1ブロックは192フレームにより構成される。ブロックは、後述するチャンネルステータスを構成する単位である。
【0082】
図8は、SPDIF規格におけるサブフレーム構成を示す図である。サブフレームは、第0乃至第31の計32のタイムスロットから構成される。第0乃至第3タイムスロットは、プリアンブル(Sync preamble)を示す。このプリアンブルは、上述のように左右チャンネルの区別やブロックの開始位置を表すために、「M」、「W」または「B」の何れかを示す。
【0083】
第4乃至第27タイムスロットはメインデータフィールドであり、24ビットコードレンジが採用される場合には全体が音声データを表す。また、20ビットコードレンジが採用される場合には第8乃至第27タイムスロットが音声データ(Audio sample word)を表す。後者の場合、第4乃至第7タイムスロットは追加情報(Auxiliary sample bits)として利用することができる。
【0084】
第28タイムスロットは、メインデータフィールドの有効フラグ(Validity flag)である。第29タイムスロットは、ユーザデータ(User
data)の1ビット分を表す。各フレームにまたがってこの第29タイムスロットを累積することによって一連のユーザデータを構成することができる。このユーザデータのメッセージは8ビットの情報ユニット(IU:Information Unit)を単位として構成され、1つのメッセージには3乃至129個の情報ユニットが含まれる。
【0085】
情報ユニット間には0乃至8ビットの「0」が存在し得る。情報ユニットの先頭は開始ビット「1」により識別される。メッセージ内の最初の7個の情報ユニットは予約されており、8個目以降の情報ユニットにユーザは任意の情報を設定することができる。メッセージ間は8ビット以上の「0」により分割される。
【0086】
第30タイムスロットは、チャンネルステータス(Channel status)の1ビット分を表す。各フレームにまたがってブロック毎に第30タイムスロットを累積することによって一連のチャンネルステータスを構成することができる。なお、ブロックの先頭位置は、上述のように、プリアンブル(第0乃至第3タイムスロット)により示される。
【0087】
第31タイムスロットは、パリティビット(Parity bit)である。第4乃至第31タイムスロットに含まれる「0」および「1」の数が偶数になるように、このパリティビットが付与される。
【0088】
図9は、SPDIF規格における信号変調方式を示す図である。SPDIF規格では、サブフレームのうちプリアンブルを除く第4乃至第31タイムスロットがバイフェーズマーク変調される。このバイフェーズマーク変調の際には、元の信号(ソースコーディング)の2倍速のクロックが用いられる。元の信号のクロックサイクルを前半と後半に分けると、前半のクロックサイクルのエッジで、バイフェーズマーク変調の出力は必ず反転する。また、後半クロックサイクルのエッジにおいて、元の信号が「1」を示しているときには反転し、元の信号が「0」を示しているときには反転しない。これにより、バイフェーズマーク変調された信号から元の信号におけるクロック成分を抽出できることになる。
【0089】
図10は、SPDIF規格におけるプリアンブルのチャンネルコーディングを示す図である。上述のように、サブフレームのうち第4乃至第31タイムスロットはバイフェーズマーク変調される。一方、第0乃至第3タイムスロットのプリアンブルは通常のバイフェーズマーク変調ではなく、2倍速のクロックに同期したビットパターンとして扱われる。すなわち、第0乃至第3タイムスロットの各タイムスロットに2ビットずつ割り当てることにより、同図のような8ビットパターンを得る。
【0090】
直前の状態が「0」であれば、プリアンブル「B」には「11101000」が、「M」には「11100010」が、「W」には「1100100」がそれぞれ割り当てられる。一方、直前の状態が「1」であれば、プリアンブル「B」には「00010111」が、「M」には「00011101」が、「W」には「00011011」がそれぞれ割り当てられる。
【0091】
図11は、SPDIF規格におけるチャンネルステータスのフォーマットを示す図である。チャンネルステータスは、サブフレームにおける第30タイムスロットをブロック毎に累積したものであり、同じサブフレームによって伝送されるオーディオチャンネルに関する情報を保持するものである。この図では、チャンネルステータスの内容が縦方向に1バイトずつ配置され、横方向には各バイトにおけるビット構成が示されている。なお、ここでは、民生用(Consumer use)のフォーマットを想定して説明する。
【0092】
第0バイトにおいて、第0ビット目は、このチャンネルステータスが民生用であることを示すビットである。第1ビット目は、リニアPCMのサンプルであるか否かを示すビットである。第2ビット目は、著作権の設定されているソフトウェアであるか否かを示すビットである。第3乃至5ビットは、追加フォーマット情報(Additional format information)として、例えば、プリエンファシス(pre-emphasis)の有無などを含むフィールドである。第6および7ビットは、モードを示すフィールドである。
【0093】
第1バイトは、カテゴリーコードを示すフィールドである。このカテゴリーコードは、オーディオ信号を生成する装置の機種を示すものである。このカテゴリーコードは、チャンネルステータスの先頭から数えて第8乃至15ビットに配置される。
【0094】
第2バイトにおいて、第0乃至3ビットは、ソース番号を示すフィールドである。このソース番号は、ソースを識別する番号であり、「1」から「15」のレンジを示す。第4乃至7ビットは、チャンネル番号を示すフィールドである。このチャンネル番号は、右チャンネルか左チャンネルかを識別する番号である。
【0095】
第3バイトにおいて、第0乃至3ビットは、サンプリング周波数を示すフィールドである。このサンプリング周波数として、例えば、「0000」は44.1KHzを表す。第4および5ビットは、クロック精度を示すフィールドである。このクロック精度は、精度のレベルを3段階で示す。
【0096】
第4バイトにおいて、第0乃至3ビットは、ワード長を示すフィールドである。第0ビット目が「0」であれば最大サンプル長は20ビット、「1」であれば最大サンプル長は24ビットであることを意味する。そして、続く第1乃至3ビットにおいて具体的なビット数を特定することが可能である。第4および5ビットは、オリジナルサンプリング周波数を示すフィールドである。
【0097】
図12は、SPDIF規格におけるユーザデータのフォーマットを示す図である。ユーザデータは、サブフレームにおける第29タイムスロットをブロック毎に累積したものである。上述のように、ユーザデータのメッセージは、8ビットの情報ユニット(IU)を単位として構成され、1つのメッセージには3乃至129個の情報ユニットが含まれる。また、メッセージ間は8ビット以上の「0」により分割され、情報ユニットの先頭は開始ビット「1」により識別される。
【0098】
先頭の情報ユニットは、図12(a)に示すように、モードおよびアイテムを含む。モードは、メッセージのクラスを示すフィールドであり、例えばプリセット情報などを示す。アイテムは、メッセージのタイプをさらに定義するためのフィールドである。2番目の情報ユニットは、図12(b)に示すように、情報ユニットの数を含む。先頭ビットを除く7ビットにより、「1」から「127」のレンジで情報ユニットの数を示すことができる。
【0099】
3番目の情報ユニットは、図12(c)に示すように、カテゴリーコードを含む。このカテゴリーコードは、図11のチャンネルステータスの第1バイトにより示されるオーディオデータの生成元におけるカテゴリーコードである。ユーザデータでは情報ユニットの先頭ビットが開始ビットとなるため、有効なデータは7ビット分である。この7ビットは、チャンネルステータスにおける第8乃至14ビットに相当する。第15ビット目であるLビットは、商用のプリレコードソフトウェアを示すビットであるため、このユーザデータのメッセージには含まれない。
【0100】
4乃至7番目の情報ユニットは、図12(d)に示すように、3つのユーザ情報X、YおよびZを含む。これら3つのユーザ情報としては1バイト(8ビット)ずつ割り当てられている。
【0101】
[ソース側送受信回路、シンク側送受信回路等の構成例]
図13は、ソース機器110のソース側送受信回路113、プラグ接続検出回路117等の構成例を示している。イーサネット送受信回路114は、HDMIケーブル130を構成する複数のラインのうち、1対のラインにより構成された伝送路を用いてLAN(Local Area Network)通信、つまりイーサネット信号の送受信を行う。この実施の形態において、一対のラインは、Utilityピン(14ピン)に対応したHEAC+ラインおよびHPDピン(19ピン)に対応したHEAC−ラインである。
【0102】
また、SPDIF受信回路115は、上述の一対のラインにより構成された伝送路を用いて、SPDIF信号を受信する。そして、このSPDIF受信回路115は、1対のラインにより構成された伝送路を用いてSPDIF信号に同期したクロック信号が送信されてくる場合には、当該クロック信号の使用が可能とされている。さらに、クロック生成回路435で生成された、SPDIF信号に同期したクロック信号を、上述の1対のラインにより構成された伝送路を用いて送信することが可能とされている。また、SPDIF受信回路115は、受信したSPDIF信号をD/A変換部150に送信することが可能とされている。
【0103】
ソース機器110は、LAN信号送信回路411、終端抵抗412、AC結合容量413,414、LAN信号受信回路415、減算回路416、増幅器417,418、加算回路419および増幅器420を有している。これらは、ソース側送受信回路113を構成している。
【0104】
また、ソース機器110は、プラグ接続検出回路117を構成する、プルダウン抵抗431、抵抗432、容量433および比較器434を有している。ここで、抵抗432および容量433は、ローパスフィルタを構成している。また、ソース機器110は、クロック生成回路435、切換スイッチ475および接続スイッチ476を有している。
【0105】
AC結合容量413と終端抵抗412の互いの接続点P1は、加算回路471の出力側に接続されると共に、LAN信号受信回路415の正入力側に接続される。また、AC結合容量414と終端抵抗412の互いの接続点P2は、加算回路472の出力側に接続されると共に、LAN信号受信回路415の負入力側に接続される。
【0106】
また、LAN信号送信回路411の入力側には、イーサネット送受信回路114から差動入力の増幅器417を介して送信信号(送信データ)SG411が供給される。
【0107】
また、減算回路416の正側端子には、LAN信号受信回路415の出力信号SG412が供給され、この減算回路416の負側端子には、送信信号(送信データ)SG411が供給される。この減算回路416では、LAN信号受信回路415の出力信号SG412から送信信号SG411が減算され、受信信号SG413が得られる。
【0108】
この受信信号SG413は、増幅器418を介して、差動出力としてイーサネット送受信回路114に供給されると共に、切換スイッチ475のb側の固定端子に供給される。この受信信号SG413は、HEAC+ラインおよびHEAC−ラインを介して、LAN信号(イーサネット信号)が差動信号として送信されてくる場合には、当該LAN信号となる。一方、この受信信号SG413は、HEAC+ラインおよびHEAC−ラインを介して、クロック信号が差動信号として送信されてくる場合には、当該クロック信号となる。
【0109】
また、AC結合容量414およびプルダウン抵抗431の互いの接続点Q2は、抵抗432および容量433の直列回路を介して接地線に接続される。そして、抵抗432および容量433の互いの接続点に得られるローパスフィルタの出力信号は比較器434の一方の入力端子に供給される。この比較器434では、ローパスフィルタの出力信号が他方の入力端子に供給される基準電圧Vref2(+1.4V)と比較される。この比較器434の出力信号SG415は、ソース機器110の図示しない制御部(CPU)に供給される。
【0110】
また、AC結合容量413と終端抵抗412の互いの接続点P1は、加算回路419の一方の入力端子に接続される。また、AC結合容量414と終端抵抗412の互いの接続点P2は、加算回路419の他方の入力端子に接続される。
【0111】
この加算回路419の出力信号は、シンク機器120からHEAC+ラインおよびHEAC−ラインを介して、SPDIF信号が同相信号として送信されてくる場合には、当該SPDIF信号となる。この加算回路419の出力信号は、増幅器420を介してSPDIF受信回路115に供給されると共に、クロック生成回路435に供給される。
【0112】
クロック生成回路435はPLL回路を備えており、SPDIF信号が供給される場合には、このSPDIF信号を参照信号として、このSPDIF信号に同期したクロック信号を生成する。このクロック生成回路435で生成されたクロック信号は切換スイッチ475のa側の固定端子に供給される。そして、この切換スイッチ475の可動端子に得られるクロック信号はSPDIF受信回路115、およびD/A変換部150の動作クロックとして供給される。
【0113】
切換スイッチ475は、図示しない制御部(CPU)により、その切り換えが制御される。切換スイッチ475は、受信部、およびD/A変換部150の動作クロックとしてシンク機器120側から送られてくるクロック信号を使用する場合にはb側に接続される。一方、切換スイッチ475は、SPDIF受信回路115、およびD/A変換部150の動作クロックとしてクロック生成回路435で生成されたクロック信号を使用する場合にはa側に接続される。
【0114】
また、クロック生成回路435から出力されるクロック信号は、接続スイッチ476を介してLAN信号送信回路411の入力側に供給される。接続スイッチ476は、図示しない制御部(CPU)により、その接続が制御される。接続スイッチ476は、シンク機器120側にクロック信号を送信する場合には接続状態とされ、シンク機器120側にクロック信号を送信しない場合には非接続状態とされる。
【0115】
図14は、シンク機器120のシンク側送受信回路123、プラグ接続伝達回路127等の構成例を示している。イーサネット送受信回路124は、HDMIケーブル130を構成する複数のラインのうち、1対のラインにより構成された伝送路を用いてLAN(Local Area Network)通信、つまりイーサネット信号の送受信を行う。この実施の形態において、一対のラインは、上述したように、Utilityピン(14ピン)に対応したHEAC+ラインおよびHPDピン(19ピン)に対応したHEAC−ラインである。
【0116】
また、SPDIF送信回路125は、上述の一対のラインにより構成された伝送路を用いて、SPDIF信号を送信する。そして、クロック生成回路452で生成された、SPDIF信号に同期したクロック信号を、上述の1対のラインにより構成された伝送路を用いて送信することが可能とされている。また、SPDIF送信回路125は、デコード部162から受信したオーディオデータをSPDIF信号としてソース機器110側に送信することが可能とされている。
【0117】
シンク機器120は、LAN信号送信回路441、終端抵抗442、AC結合容量443,444、LAN信号受信回路445、減算回路446、増幅器447,448、加算回路449,450、および増幅器451を有している。これらは、シンク側送受信回路123を構成している。
【0118】
また、シンク機器120は、プラグ接続伝達回路127を構成する、チョークコイル461、抵抗462および抵抗463を有している。また、シンク機器120は、クロック生成回路452、切換スイッチ484および接続スイッチ485を有している。
【0119】
電源線(+5.0V)と接地線との間には、抵抗462および抵抗463の直列回路が接続される。そして、この抵抗462と抵抗463の互いの接続点と、接地線との間には、チョークコイル461、AC結合容量444、終端抵抗442、AC結合容量443およびプルダウン抵抗454の直列回路が接続される。
【0120】
AC結合容量443と終端抵抗442の互いの接続点P3は、加算回路449の出力側に接続されると共に、LAN信号受信回路445の正入力側に接続される。また、AC結合容量444と終端抵抗442の互いの接続点P4は、加算回路450の出力側に接続されると共に、LAN信号受信回路445の負入力側に接続される。
【0121】
また、加算回路449の一方の入力側はLAN信号送信回路441の正出力側に接続され、この加算回路449の他方の入力側にはSPDIF送信回路125から出力されるSPDIF信号が増幅器451を介して供給される。また、加算回路450の一方の入力側はLAN信号送信回路441の負出力側に接続され、この加算回路450の他方の入力側にはSPDIF送信回路125から出力されるSPDIF信号が増幅器451を介して供給される。
【0122】
LAN信号送信回路441の入力側には、イーサネット送受信回路124から差動入力の増幅器447を介して送信信号(送信データ)SG417が供給される。また、減算回路446の正側端子には、LAN信号受信回路445の出力信号SG418が供給され、この減算回路446の負側端子には、送信信号SG417が供給される。この減算回路446では、LAN信号受信回路445の出力信号SG418から送信信号SG417が減算され、受信信号(受信データ)SG419が得られる。また、減算回路446で得られる受信信号SG419は、増幅器448を介して差動出力としてイーサネット送受信回路124に供給されると共に、切換スイッチ484のb側の固定端子に供給される。この受信信号SG419は、HEAC+ラインおよびHEAC−ラインを介して、LAN信号(イーサネット信号)が差動信号として送信されてくる場合には、当該LAN信号となる。一方、この受信信号SG419は、HEAC+ラインおよびHEAC−ラインを介して、クロック信号が差動信号として送信されてくる場合には、当該クロック信号となる。
【0123】
クロック生成回路452はPLL回路を備えており、このクロック生成回路452で生成されたクロック信号は切換スイッチ484のa側の固定端子に供給される。そして、この切換スイッチ484の可動端子に得られるクロック信号はSPDIF送信回路125、およびデコード部162の動作クロックとして供給される。
【0124】
切換スイッチ484は、図示しない制御部(CPU)により、その切り換えが制御される。切換スイッチ484は、デコード部162の動作クロックとしてソース機器110側から送られてくるクロック信号を使用する場合にはb側に接続される。一方、切換スイッチ484は、デコード部162の動作クロックとしてクロック生成回路452で生成されたクロック信号を使用する場合にはa側に接続される。
【0125】
また、クロック生成回路452から出力されるクロック信号はSPDIF送信回路125に送信部の動作クロックとして供給される。そのため、SPDIF送受信回路125から出力されるSPDIF信号は、クロック生成回路452から出力されるクロック信号に同期したものとなる。また、クロック生成回路452から出力されるクロック信号は、接続スイッチ485を介してLAN信号送信回路441の入力側に供給される。接続スイッチ485は、図示しない制御部(CPU)により、その接続が制御される。接続スイッチ485は、ソース機器110側にクロック信号を送信する場合には接続状態とされ、ソース機器110側にクロック信号を送信しない場合には非接続状態とされる。
【0126】
図13、図14に示すように、HDMIケーブル130に含まれるHEAC+ライン501およびHEAC−ライン502は、ツイストペアを構成している。HEAC+ライン501のソース側端511は、ソース機器110のHDMI端子111の14ピンに接続され、当該HEAC+ライン501のシンク側端521はシンク機器120のHDMI端子121の14ピンに接続される。また、HEAC−ライン502のソース側端512はソース機器110のHDMI端子111の19ピンに接続され、当該HEAC−ライン502のシンク側端522はシンク機器120のHDMI端子121の19ピンに接続される。
【0127】
ソース機器110において、上述したプルダウン抵抗431とAC結合容量414の互いの接続点Q2はHDMI端子111の19ピンに接続される。
【0128】
シンク機器120において、上述したチョークコイル461とAC結合容量444の互いの接続点Q4はHDMI端子121の19ピンに接続される。
【0129】
[LAN通信動作]
図13、図14に示す構成において、LAN通信の動作を説明する。ソース機器110において、送信信号(送信データ)SG411はイーサネット送受信回路114から増幅器417を介してLAN信号送信回路411の入力側に供給される。このLAN信号送信回路411から送信信号SG411に対応した差動信号(正出力信号、負出力信号)が出力される。この差動信号は、接続点P1,P2に供給され、HDMIケーブル130の1対のライン(HEAC+ライン501、HEAC−ライン502)を通じて、シンク機器120に送信される。
【0130】
また、シンク機器120において、送信信号(送信データ)SG417はイーサネット送受信回路124から増幅器447を介してLAN信号送信回路441の入力側に供給される。このLAN信号送信回路441から送信信号SG417に対応した差動信号(正出力信号、負出力信号)が出力される。この差動信号は、接続点P3,P4に供給され、HDMIケーブル130の1対のライン(HEAC+ライン501、HEAC−ライン502)を通じて、ソース機器110に送信される。
【0131】
また、ソース機器110において、LAN信号受信回路415の入力側は接続点P1,P2に接続されている。そのため、LAN信号受信回路415の出力信号SG412として、LAN信号送信回路411から出力された差動信号(電流信号)に対応した送信信号と、上述したようにシンク機器120から送信されてくる差動信号に対応した受信信号との加算信号が得られる。減算回路416では、LAN信号受信回路415の出力信号SG412から送信信号SG411が減算される。そのため、減算回路416の出力信号SG413は、シンク機器120の送信信号(送信データ)SG417に対応したものとなる。この出力信号SG413は、増幅器418を介してイーサネット送受信回路114に供給される。
【0132】
また、シンク機器120において、LAN信号受信回路445の入力側は接続点P3,P4に接続されている。そのため、当該LAN信号受信回路445の出力信号SG418として、LAN信号送信回路441から出力された差動信号(電流信号)に対応した送信信号と、上述したようにソース機器110から送信されてくる差動信号に対応した受信信号との加算信号が得られる。減算回路446では、LAN信号受信回路445の出力信号SG418から送信信号SG417が減算される。そのため、この減算回路446の出力信号SG419は、ソース機器110の送信信号(送信データ)SG411に対応したものとなる。この出力信号SG419は、増幅器448を介してイーサネット送受信回路124に供給される。
【0133】
このように、ソース機器110のイーサネット送受信回路114と、シンク機器120のイーサネット送受信回路124との間では、双方向のLAN信号(イーサネット信号)の通信を行うことができる。
【0134】
[SPDIF信号の伝送動作]
図13、図14に示す構成において、SPDIF信号の伝送動作を説明する。シンク機器120において、SPDIF送信回路125から出力されるSPDIF信号は、増幅器451および加算器449,450を介して、接続点P3,P4に供給される。これにより、SPDIF信号は、同相信号として、HDMIケーブル130の1対のライン(HEAC+ライン501、HEAC−ライン502)を通じて、ソース機器110に送信される。
【0135】
また、ソース機器110において、接続点P1,P2はそれぞれ加算回路419の入力側に接続されている。そのため、加算回路419の出力信号として、シンク機器120から送信されてくるSPDIF信号が得られる。このSPDIF信号は、増幅器420を介してSPDIF受信回路115に供給される。
【0136】
このように、ソース機器110のSPDIF受信回路115と、シンク機器120のSPDIF送信回路125との間で、SPDIF信号の伝送が可能となる。
【0137】
[クロック信号]
ソース機器110のSPDIF受信回路115では、受信されたSPDIF信号に対して、当該SPDIF信号に対応したクロック信号に基づいて、データ抽出処理、復号処理等が行われて、オーディオデータ等のデータが取得される。SPDIF受信回路115では、受信部の動作クロックとして、ソース機器110が持つクロック生成回路435で生成されたクロック信号、あるいは、シンク機器120から送信されてくるクロック信号のいずれかが使用される。また、D/A変換部150では、動作クロックとして、ソース機器110が持つクロック生成回路435で生成されたクロック信号、あるいは、シンク機器120から送信されてくるクロック信号のいずれかが使用される。
【0138】
まず、クロック生成回路435で生成されたクロック信号が使用される状態について説明する。この場合、シンク機器120において、接続スイッチ485は非接続状態とされ、クロック生成回路452で生成されたクロック信号CLKは、ソース機器110に送信されない。また、この場合、ソース機器110において、切換スイッチ475はa側に接続される。これにより、クロック生成回路435で生成されたクロック信号がSPDIF受信回路115に動作クロックとして供給されるとともに、D/A変換部150の動作クロックとして供給される。
【0139】
なお、クロック生成回路435で生成されるクロック信号は、受信SPDIF信号を参照信号としてPLL回路で発生されたものであり、当該SPDIF信号に同期したものとなる。従って、SPDIF受信回路115の受信部では、SPDIF信号に対して、当該SPDIF信号に同期したクロック信号CLKに基づいて、データ抽出処理、復号処理等が行われて、オーディオデータ等のデータが取得される。
【0140】
次に、シンク機器120から送信されてくるクロック信号が使用される状態について説明する。シンク機器120において、接続スイッチ485は接続状態とされる。クロック生成回路452で生成されるクロック信号は、LAN信号送信回路441の入力側に供給される。このLAN信号送信回路441から、クロック信号に対応した差動信号(正出力信号、負出力信号)が出力される。この差動信号は、接続点P3,P4に供給され、HDMIケーブル130の1対のライン(HEAC+ライン501、HEAC−ライン502)を通じて、ソース機器110に送信される。
【0141】
また、ソース機器110において、切換スイッチ475は、b側に接続される。そして、ソース機器110において、LAN信号受信回路415の入力側は接続点P1,P2に接続されている。そのため、LAN信号受信回路415の出力信号SG412、従って減算回路416のSG413は、シンク機器120から送信されたクロック信号CLKとなる。このクロック信号CLKは、切換スイッチ475を介して、SPDIF受信回路115に動作クロックとして供給されるとともに、D/A変換部150の動作クロックとして供給される。
【0142】
なお、SPDIF受信回路115に供給されるSPDIF信号は、シンク機器120のSPDIF送信回路125において、クロック生成回路452で生成されたクロック信号CLKを動作クロックとして得られたものである。そのため、ソース機器110において、SPDIF受信回路115に供給されるシンク機器120から送信されてきたクロック信号CLKは、当該SPDIF受信回路115に供給される受信SPDIF信号に同期したものとなっている。従って、SPDIF受信回路115では、SPDIF信号に対して、当該SPDIF信号に同期したクロック信号に基づいて、データ抽出処理、復号処理等が行われて、オーディオデータ等のデータが取得される。
【0143】
なお、上述はソース機器110のSPDIF受信回路115、およびD/A変換部150の動作クロックに着目したものである。詳細説明は省略するが、シンク機器120のSPDIF送信回路125、およびデコード部162の動作クロックに関しても、同様である。すなわち、これら送信部、およびデコード部162の動作クロックとして、シンク機器120が持つクロック生成回路452で生成されたクロック信号、あるいは、ソース機器110から送信されてくるクロック信号のいずれかが使用される。
【0144】
[機種検出、プラグ接続検出]
なお、図13、図14において、HPDライン502は、上述のLAN通信の他に、DCバイアスレベルで、HDMIケーブル130がシンク機器120に接続されたことをソース機器110に伝達する。すなわち、シンク機器120内の抵抗462,463とチョークコイル461は、HDMIケーブル130がシンク機器120に接続されるとき、HPDライン502を、HDMI端子121の19ピンを介して、約4Vにバイアスする。ソース機器110は、HPDライン502のDCバイアスを、抵抗432と容量433からなるローパスフィルタで抽出し、比較器434で基準電圧Vref2(例えば、1.4V)と比較する。
【0145】
ソース機器110のHDMI端子111の19ピンの電圧は、HDMIケーブル130がシンク機器120に接続されていなければ、プルダウン抵抗431が存在するために基準電圧Vref2より低く、逆に、HDMIケーブル130がシンク機器120に接続されていれば基準電圧Vref2より高い。したがって、比較器434の出力信号SG415は、HDMIケーブル130がシンク機器120に接続されているときは高レベルとなり、そうでないときは低レベルとなる。これにより、ソース機器120の図示しない制御部(CPU)は、比較器434の出力信号SG415に基づいて、HDMIケーブル130がシンク機器120に接続されたか否かを認識できる。
【0146】
さらに、図14に示したプルダウン抵抗463がシンク機器120内ではなく、HDMIケーブル130内に設けられているようにしてもよい。そのような場合、抵抗463の端子のそれぞれは、HDMIケーブル130内に設けられたラインのうち、HPDライン502、およびグランド(基準電位)に接続されるラインのそれぞれに接続される。
【0147】
上述したように、シンク機器120はソース機器110にクロック信号を、HEAC+ラインおよびHEAC−ラインからなる伝送路を介して、差動信号として送ることが可能とされている。一方、ソース機器110はシンク機器120からHEAC+ラインおよびHEAC−ラインからなる伝送路を介して、差動信号として送られてくるクロック信号を抽出して使用することが可能とされている。
【0148】
このようにソース機器110側において、シンク機器120からクロック信号を送ってもらってそれを使用する状態とするか、あるいは、自身が持つクロック生成回路435で生成されたクロック信号を使用する状態とするかは、予め設定される。詳細については後述する。
【0149】
また、上述したように、ソース機器110はシンク機器120にクロック信号を、HEAC+ラインおよびHEAC−ラインからなる伝送路を介して、差動信号として送ることが可能とされている。一方、シンク機器120はソース機器110からHEAC+ラインおよびHEAC−ラインからなる伝送路を介して、差動信号として送られてくるクロック信号を抽出して使用することが可能とされている。
【0150】
このようにシンク機器120側において、ソース機器110からクロック信号を送ってもらってそれを使用する状態とするか、あるいは、自身が持つクロック生成回路452で生成されたクロック信号を使用する状態とするかは、予め設定される。詳細については後述する。
【0151】
なお、クロック信号の送信は、HEAC+ラインおよびHEAC−ラインからなる伝送路を、差動信号として送信される。上述したように、ソース機器110とシンク機器120との間のLAN信号(イーサネット信号)も、HEAC+ラインおよびHEAC−ラインからなる伝送路を、差動信号として送信される。そのため、クロック信号の送信は、ソース機器110とシンク機器120との間でLAN信号(イーサネット信号)の通信が行われているときは行われない。これにより、LAN信号(イーサネット信号)の通信にクロック信号が影響を及ぼさないようにされる。
【0152】
図15は、上述の実施の形態におけるUtilityラインおよびHPDラインを使用した動作をまとめて示している。14番ピンはUtilityライン501に対応し、19番ピンはHPDライン502に対応する。イーサネット信号またはSPDIF信号の何れも伝送されない場合には、従来のHDMI規格の動作になる。イーサネット信号が伝送される場合には、14番ピンにイーサネット信号の正極信号が重畳され、19番ピンにイーサネット信号の負極信号が重畳される。
【0153】
また、SPDIF信号が伝送される場合には、14番ピンおよび19番ピンにSPDIF信号の正極信号が重畳される。なお、この場合、SPDIF信号に同期したクロック信号CLKの伝送が可能である。クロック信号CLKが伝送される場合には、14番ピンにクロック信号CLKの正極信号が重畳され、19番ピンにクロック信号CLKの負極信号が重畳される。
【0154】
さらに、イーサネット信号およびSPDIF信号の両者が伝送される場合には、14番ピンにイーサネット信号の正極信号およびSPDIF信号の正極信号が重畳され、19番ピンにイーサネット信号の負極信号およびSPDIF信号の正極信号が重畳される。なお、この場合、イーサネット信号の伝送に影響を及ぼすことから、SPDIF信号に同期したクロック信号CLKの伝送はできない。
【0155】
[機能情報の送受信]
上述のAVシステム100においては、ソース機器110およびシンク機器120では、互いに相手側の機能情報を取得することが行われ、その機能情報に基づいてLAN信号(イーサネット信号)の伝送、SPDIF信号の伝送等が選択的に行われる。
【0156】
ここで、CECライン(CECチャネル)を用いた機能情報の送受信について説明する。このCECラインでは、ソース機器とシンク機器の間で、双方向に、制御データの伝送が可能となっている。上述の機能情報は、例えば、CEC(Consumer Electronics Control)データあるいはCDC(Capability
Discovery Channel)データとして、ソース機器からシンク機器に、あるいはシンク機器からソース機器に送られる。
【0157】
図16は、CECラインで伝送されるCECデータの構造を示している。CECラインでは、10ビットデータからなる1ブロックが、4.5m秒で伝送される。先頭にスタートビットが配置され、それに続いて、ヘッダブロックが配置され、その後に、実際に伝送したいデータが含まれる任意の個数(n個)のデータブロックが配置される。機能情報は、データブロックに含まれる。
【0158】
図17は、ヘッダブロックの構造例を示した図である。ヘッダブロックには、送信元(Initiator)の論理アドレス(Logical Address)と、あて先(Destination)の論理アドレス(Logical Address)とが配置される。各論理アドレスは、各機器の種類に応じて設定される。
【0159】
図18は、各機器の種類に応じて設定される論理アドレスを示している。図18に示すように、機器の種類毎に、“0”から“15”までの16種類のアドレス値が設定されている。図17のヘッダブロックを構成する送信元(Initiator)の論理アドレスおよびあて先(Destination)の論理アドレスには、対応するアドレス値が4ビットで配置される。
【0160】
次に、CDCデータについて説明する。CDCは、物理層はCECと同じであるが、論理層はCECとは異なるものとして定義される。CDCデータの構造は、図示しないが、図16に示すCECのデータ構造と同様の構造とされ、先頭にスタートビットが配置され、それに続いて、ヘッダブロックが配置され、その後に、実際に伝送したいデータが含まれる任意の個数(n個)のデータブロックが配置された構造とされる。
【0161】
また、CDCデータのヘッダブロックの構造は、図示しないが、図17に示すCECデータのヘッダブロックと構造的には同一とされている。しかし、ヘッダブロックを構成する送信元(Initiator)の論理アドレスおよびあて先(Destination)の論理アドレスとして、機器の種類に依らずに、常に、“15”が使用される。つまり、送信元(Initiator)に関しては不明(Unregistered)とされ、あて先(Destination)に関してはブロードキャスト(Broadcast)とされる。
【0162】
このようにCDCデータの伝送にあっては、ヘッダブロックに配置される送信元およびあて先の論理アドレス(Logical Address)としていずれも“15”が使用されるので、各機器の論理アドレスを取得する必要はない。CDCデータによるメッセージ(CDCメッセージ)は、CECにとっては、送信元が不明なブロードキャストメッセージということになり、どの機器がどの機器に宛てたメッセージであるか分からない。
【0163】
そこで、CDCメッセージにあっては、物理的な接続パスを識別するために、データブロックに配置されるメッセージの中に、送信元(Initiator)およびあて先(Target)の物理アドレス(Physical Address)を必ず含むようにされる。つまり、CDCメッセージの送信にあっては、論理アドレスを使用せずに、物理アドレスを使用する。
【0164】
CECは、ブロードキャストメッセージに関しては、〈Feature Abort〉「それは対応していない」というメッセージを返すことができない。そこで、CDCとしては、この状況を考えて、必ずメッセージを返すことにする。
【0165】
[クロック信号の送受信処理]
次に、図2のAVシステム100におけるソース機器110が実行するクロック信号の送受信処理について説明する。図19は、図2のAVシステム100におけるソース機器110が実行するクロック信号の送受信処理のフローチャートである。
【0166】
図19において、まず、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122にCECライン84を介して、例えば〈Inquiry_Clock_Transfer_Capability〉コマンドを送信して、クロック信号の送受信機能ついての問い合わせを行う(ステップS102)。
【0167】
次いで、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122からCECライン84を介して、例えば〈Master_Capability〉コマンドを受信したか否かを判別して、シンク機器120がクロック信号のマスター側となる旨を受信したか否かを判別する(ステップS104)。
【0168】
ステップS104の判別の結果、シンク機器120がクロック信号のマスター側となる旨を受信しないときは(ステップS104でNO)、後述するステップS110の処理に進む。
【0169】
ステップS104の判別の結果、シンク機器120がクロック信号のマスター側となる旨を受信したときは(ステップS104でYES)、ソース機器110の制御部(図示しない)は、ソース機器110がクロック信号の受信/同期が可能か否かを判別する(ステップS106)。
【0170】
ステップS106の判別の結果、ソース機器110がクロック信号の受信/同期が不可能であるときは(ステップS106でNO)、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122にCECライン84を介して、例えば〈Request_Clock_Master〉コマンドを送信して、ソース機器110がクロック信号のマスター側になる旨を要求する(ステップS108)。
【0171】
次いで、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122からCECライン84を介して、例えば〈Feature_Abort〉コマンドを受信したか否かを判別して、クロック信号の送受信を中止する旨を受信したか否かを判別する(ステップS110)。
【0172】
ステップS110の判別の結果、クロック信号の送受信を中止する旨を受信したときは(ステップS110でYES)、本処理を終了する。
【0173】
ステップS110の判別の結果、クロック信号の送受信を中止する旨を受信しないときは(ステップS110でNO)、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122からCECライン84を介して、例えば〈Report_Clock_Transfer_Capability〉コマンドを受信して、シンク機器120からクロック信号の送受信機能についての報告を受信する(ステップS112)。
【0174】
次いで、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122にCECライン84を介して、例えば〈Initiate_Clock_Transfer〉コマンドを送信して、シンク機器120にクロック信号の送信を開始する旨を送信する(ステップS114)。
【0175】
次いで、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122からCECライン84を介して、例えば〈Report_Initiate_Clock_Transfer〉コマンドを受信して、シンク機器120からクロック信号の送信を開始する旨に対する報告を受信する(ステップS116)。
【0176】
次いで、ソース機器110の制御部(図示しない)は、クロック信号の送信を開始する(ステップS118)。
【0177】
次いで、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122にCECライン84を介して、例えば〈Terminate_Clock_Transfer〉コマンドを送信して、シンク機器120にクロック信号の送信を停止する旨を送信する(ステップS120)。
【0178】
次いで、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122からCECライン84を介して、例えば〈Report_Terminate_Clock_Transfer〉コマンドを受信して、シンク機器120からクロック信号の送信を停止する旨に対する報告を受信する(ステップS122)。
【0179】
次いで、ソース機器110の制御部(図示しない)は、クロック信号の送信を停止して(ステップS124)、本処理を終了する。
【0180】
一方、ステップS106の判別の結果、ソース機器110がクロック信号の受信/同期が可能であるときは(ステップS106でYES)、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122にCECライン84を介して、例えば〈Report_Clock_Transfer_Capability〉コマンドを送信して、シンク機器120にクロック信号の送受信機能についての報告を送信する(ステップS126)。
【0181】
次いで、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122からCECライン84を介して、例えば〈Initiate_Clock_Transfer〉コマンドを受信して、シンク機器120からクロック信号の送信を開始する旨を受信する(ステップS128)。
【0182】
次いで、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122にCECライン84を介して、例えば〈Report_Initiate_Clock_Transfer〉コマンドを送信して、シンク機器120にクロック信号の送信を開始する旨に対する報告を送信する(ステップS130)。
【0183】
次いで、ソース機器110の制御部(図示しない)は、クロック信号の受信を開始する(ステップS132)。
【0184】
次いで、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122からCECライン84を介して、例えば〈Terminate_Clock_Transfer〉コマンドを受信して、シンク機器120からクロック信号の送信を停止する旨を受信する(ステップS134)。
【0185】
次いで、ソース機器110のHDMI送信部112は、シンク機器120のHDMI受信部122にCECライン84を介して、例えば〈Report_Terminate_Clock_Transfer〉コマンドを送信して、シンク機器120にクロック信号の送信を停止する旨に対する報告を送信する(ステップS136)。
【0186】
次いで、ソース機器110の制御部(図示しない)は、クロック信号の受信を停止して(ステップS138)、本処理を終了する。
【0187】
次に、図2のAVシステム100におけるシンク機器120が実行するクロック信号の送受信処理について説明する。図20は、図2のAVシステム100におけるシンク機器120が実行するクロック信号の送受信処理のフローチャートである。
【0188】
図20において、まず、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112からCECライン84を介して、例えば〈Inquiry_Clock_Transfer_Capability〉コマンドを受信して、クロック信号の送受信機能ついての問い合わせを受信する(ステップS202)。
【0189】
次いで、シンク機器120の制御部(図示しない)は、シンク機器120がクロック信号の送信が可能か否かを判別する(ステップS204)。
【0190】
ステップS204の判別の結果、シンク機器120がクロック信号の送信が不可能であるときは(ステップS204でNO)、後述するステップS210の処理に進む。
【0191】
ステップS204の判別の結果、シンク機器120がクロック信号の送信が可能であるときは(ステップS204でYES)、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112にCECライン84を介して、例えば〈Master_Capability〉コマンドを送信して、シンク機器120がクロック信号のマスター側になる旨を送信する(ステップS206)。
【0192】
次いで、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112からCECライン84を介して、例えば〈Request_Clock_Master〉コマンドを受信したか否かを判別して、ソース機器110がクロック信号のマスター側となる旨を受信したか否かを判別する(ステップS208)。
【0193】
ステップS208の判別の結果、ソース機器110がクロック信号のマスター側となる旨を受信したときは(ステップS208でYES)、シンク機器120の制御部(図示しない)は、シンク機器120がクロック信号の受信/同期が可能か否かを判別する(ステップS210)。
【0194】
ステップS210の判別の結果、シンク機器120がクロック信号の受信/同期が可能であるときは(ステップS210でYES)、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112にCECライン84を介して、例えば〈Report_Clock_Transfer_Capability〉コマンドを送信して、ソース機器110にクロック信号の送受信機能についての報告を送信する(ステップS212)。
【0195】
次いで、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112からCECライン84を介して、例えば〈Initiate_Clock_Transfer〉コマンドを受信して、ソース機器110からクロック信号の送信を開始する旨を受信する(ステップS214)。
【0196】
次いで、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112にCECライン84を介して、例えば〈Report_Initiate_Clock_Transfer〉コマンドを送信して、ソース機器110にクロック信号の送信を開始する旨に対する報告を送信する(ステップS216)。
【0197】
次いで、シンク機器120の制御部(図示しない)は、クロック信号の受信を開始する(ステップS218)。
【0198】
次いで、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112からCECライン84を介して、例えば〈Terminate_Clock_Transfer〉コマンドを受信して、ソース機器110からクロック信号の送信を停止する旨を受信する(ステップS220)。
【0199】
次いで、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112にCECライン84を介して、例えば〈Report_Terminate_Clock_Transfer〉コマンドを送信して、ソース機器110にクロック信号の送信を停止する旨に対する報告を送信する(ステップS222)。
【0200】
次いで、シンク機器120の制御部(図示しない)は、クロック信号の受信を停止して(ステップS224)、本処理を終了する。
【0201】
一方、ステップS208の判別の結果、ソース機器110がクロック信号のマスター側となる旨を受信しないときは(ステップS208でNO)、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112からCECライン84を介して、例えば〈Report_Clock_Transfer_Capability〉コマンドを受信して、ソース機器110からクロック信号の送受信機能についての報告を受信する(ステップS226)。
【0202】
次いで、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112にCECライン84を介して、例えば〈Initiate_Clock_Transfer〉コマンドを送信して、ソース機器110にクロック信号の送信を開始する旨を送信する(ステップS228)。
【0203】
次いで、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112からCECライン84を介して、例えば〈Report_Initiate_Clock_Transfer〉コマンドを受信して、ソース機器110からクロック信号の送信を開始する旨に対する報告を受信する(ステップS230)。
【0204】
次いで、シンク機器120の制御部(図示しない)は、クロック信号の送信を開始する(ステップS232)。
【0205】
次いで、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112にCECライン84を介して、例えば〈Terminate_Clock_Transfer〉コマンドを送信して、ソース機器110にクロック信号の送信を停止する旨を送信する(ステップS234)。
【0206】
次いで、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112からCECライン84を介して、例えば〈Report_Terminate_Clock_Transfer〉コマンドを受信して、ソース機器110からクロック信号の送信を停止する旨に対する報告を受信する(ステップS236)。
【0207】
次いで、シンク機器120の制御部(図示しない)は、クロック信号の送信を停止して(ステップS238)、本処理を終了する。
【0208】
一方、ステップS210の判別の結果、シンク機器120がクロック信号の受信/同期が不可能であるときは(ステップS210でNO)、シンク機器120のHDMI受信部122は、ソース機器110のHDMI送信部112にCECライン84を介して、例えば〈Feature_Abort〉コマンドを送信して、クロック信号の送受信を中止する旨を送信して(ステップS240)、本処理を終了する。
【0209】
以上説明したように、図1、図2(図13、図14)に示すAVシステムにおいては、シンク機器120は、デコード部162による放送波コンテンツのストリームの復号の際に使用するクロック信号をHDMIケーブル130を介してソース機器110に対して送受信可能であり、ソース機器110は、デコード部162による放送波コンテンツのストリームの復号の際に使用するクロック信号をHDMIケーブル130を介してシンク機器120に対して送受信可能である。オーディオ機器等のソース機器110は、通常、非常に高品質なクロック信号を生成可能なクロック生成回路435を搭載している。そして、ソース機器110側で自身が搭載しているクロック生成回路435により、上述したストリームのデコード用のクロック信号、通常は27MHzのクロック信号を生成する。当該クロック生成回路により生成されたクロック信号は、ソース機器110が音声信号を再生する際に使用するクロック信号、通常は48kHzのクロック信号とソースとなるクロック信号が同じであるため、これらのクロック信号は完全に同期しており、ジッタ成分などが低減されて高品質を保持している。ソース機器110側がシンク機器120側に上述したストリームのデコード用のクロック信号を送信する。そして、シンク機器120は、受信したクロック信号を基準クロック信号として、バッファ部161に保存されているストリームのデコードを行い、デコードされたストリームのうち音声データをソース機器110側に送信する。ソース機器110は、受信した音声データは自身が搭載しているクロック生成回路により生成されたクロック信号と同期しているため、自身の音声データ再生用のクロック信号を基準クロック信号として音声データを再生することにより、音声データの再生品質を向上させることができる。
【0210】
また、図19および図20のクロック信号の送受信処理によれば、オーディオ機器等のソース機器110が備えるクロック信号生成回路435により生成されたクロック信号よりも精度の高いクロック信号を生成可能なクロック信号生成回路をTV機器等のシンク機器120が備える場合には、シンク機器120が備えるクロック信号生成回路により生成されたクロック信号をソース機器110に送信することができる。したがって、より品質の高いクロック信号に基づいて、音声データの再生を行うことができる。
【0211】
なお、本実施の形態では、クロック信号をUtilityライン501およびHPDライン502を用いて、差動信号として伝送しているが、SPDIF信号をUtilityライン501の一方のラインを用いて伝送している場合には、クロック信号を他のラインを用いて伝送してもよい。
【0212】
[著作権保護]
なお、図2に示すAVシステム100において、シンク機器120からソース機器110に送信されるSPDIF信号や、ソース機器110からシンク機器120に送信されるSPDIF信号に対し、暗号化を施して著作権保護を行うことが考えられる。例えば、DTCP(Digital Transmission Content
Protection)等で著作権保護を行うことができる。この場合、上述したCDC機能を使って、ソース機器110とシンク機器120との間で、認証、鍵交換を行ってもよい。以下、シンク機器120からソース機器110に送信されるSPDIF信号に対し、暗号化を施して著作権保護を行う場合について説明する。
【0213】
図21は、認証、鍵交換処理のシーケンス例を示している。なお、この図21におけるシンク機器は図1のAVシステム100においてはHDMIのソース機器110に相当する。また、この図21におけるソース機器は図1のAVシステム100においてはHDMIのシンク機器120に相当する。
【0214】
この認証、鍵交換処理は、DTCP規格では、AKE(Authentication and Key
Exchange)処理と呼ばれている。この場合、デジタルデータのやりとりに先立って、シンク機器がコピー制御情報を適切に扱うことのできる機器であることの認証を行った上で暗号化および復号化のための鍵を交換する。そして、ソース機器でデジタルデータを暗号化して、暗号化されたデジタルデータをシンク機器で復号する。これにより、シンク機器におけるデジタルコンテンツの保護が保証されるとともに、それ以外の機器によるデジタルコンテンツの盗用が防止される。
【0215】
認証処理を行う際には、処理が重複しないように、シンク機器から処理を開始することになっている。まず、シンク機器は、AKEステータスコマンド1001によりソース機器の状態を調べる。その結果、ソース機器からAKEステータスレスポンス2001として受け入れ可能である旨の応答が得られれば、シンク機器は乱数および証明書を添付してCHALLENGEサブファンクション1002を発行する。この証明書はDTCPの管理機構であるデジタル・トランスミッション・ライセンシング・アドミニストレータ(DTLA)から各機器に対して発行されたものである。ソース機器はシンク機器からの証明書を認証してその結果をレスポンス2002としてシンク機器に返す。そして、ソース機器は、同様の手順をソース機器側から行う(2003、1003、2004、1004)。
【0216】
続いて、ソース機器は、シンク機器から受け取った乱数に基づいて所定の数値を計算して、RESPONSEサブファンクション2005によりシンク機器に送信する。同様に、シンク機器は、ソース機器から受け取った乱数に基づいて所定の数値を計算して、RESPONSEサブファンクション1006によりソース機器に送信する。なお、これらRESPONSEサブファンクション2005または1006を受信した機器は、それぞれ認証処理を行う。
【0217】
そして、ソース機器は、エクスチェンジ鍵をEXCHANGE_KEYサブファンクション2007により送信する。コンテンツ鍵を計算するためのシードをシンク機器がCONTENT_KEY_REQサブファンクション2010により要求すると、ソース機器はシードをレスポンス1010により送信する。これにより、シンク機器はエクスチェンジ鍵およびシードからコンテンツ鍵を計算する。コンテンツのコピー制御情報としては、コピーネバー、コピーワンジェネレーション、ノーモアコピー、コピーフリーの4種類があり、暗号化されているのは前3者である。コンテンツ鍵はその3者に対応して3種類設けられる。
【0218】
また、SRMサブファンクション1008および2008では、SRM(System Renewability Message)の交換が行われる。このSRMは、正当な機器に対して更新されたメッセージを送信することにより、そのような正当な機器以外を認証できないようにするためのものである。このSRMサブファンクションを受信した機器は、認証処理を行って、送信されてきたSRMが間違っていないかどうかを確認する。
【0219】
なお、図21に示す認証、鍵交換処理のシーケンス例は、全認証(Full Authentication)と呼ばれる手順で、全3種類の鍵を交換するものである。これに対して、より簡易な限定認証(Restricted Authentication)と呼ばれる手順では一種類の鍵のみを交換する。この限定認証の場合、全認証のほぼ半分程度の時間で認証処理を行うことができる。また、図21に示す認証、鍵交換処理のシーケンス例は、DTCPにより著作権保護を行う場合の例であるが、DTCP以外の他の著作権保護技術を適用してもよい。例えば、SPDIF信号を暗号化する際にHDCP(High-bandwidth Digital Content
Protection system)を採用する際は、HDMIのDDCライン等で認証、生成されたコンテンツ鍵を用いて、暗号化することもできる。
【0220】
<2.第2の実施の形態>
[AVシステムの構成例]
次に、本発明の第2の実施の形態に係るAVシステムについて説明する。図22は、本発明の第2の実施の形態に係るAVシステムの構成を概略的に示す図である。図23は、図22のAVシステムの構成を概略的に示すブロック図である。
【0221】
図22および図23において、AVシステム200は、放送波コンテンツを再生可能なシステムであり、セットトップボックス(STB)等のソース機器210と、オーディオ機器等のリピータ機器220と、TV装置等のシンク機器270とを有している。このAVシステム200において、ソース機器210、リピータ機器220およびシンク機器270はHDMI HEAC対応機器である。ここで、HDMI HEAC対応機器であるとは、HDMIケーブルを構成するHEAC+ラインおよびHEAC−ラインによる通信路を用いた通信を行う通信部を有していることを意味する。
【0222】
ソース機器210およびリピータ機器220は、HDMIケーブル230を介して接続されている。すなわち、ソース機器210はHDMI端子211を備えており、リピータ機器220はHDMI端子221を備えている。HDMIケーブル230の一端はソース機器210のHDMI端子211に接続され、このHDMIケーブル230の他端はリピータ機器220のHDMI端子221に接続されている。また、ソース機器210は、放送波コンテンツを受信するためのアンテナ240を備えている。また、リピータ機器220およびシンク機器270は、HDMIケーブル280を介して接続されている。
【0223】
ソース機器210は、HDMI端子211に接続された、HDMI送信部212、ソース側送受信回路213およびプラグ接続検出回路217を有している。ソース側送受信回路213には、イーサネット送受回路214が接続されている。
【0224】
HDMI送信部212は、HDMIに準拠した通信により、ベースバンドの映像(画像)と音声のデータを、HDMI端子211から送出する。
【0225】
ソース側送受信回路213は、HDMIケーブル230を構成するHEAC+ラインおよびHEAC−ラインを用いて伝送されるイーサネット信号をイーサネット送受信回路214とHDMIケーブル230との間でインタフェースする。
【0226】
イーサネット送受信回路214は、イーサネット信号を送受信するための回路であり、例えばインターネットプロトコル(IP)に準拠した双方向通信を行うものである。この場合、インターネットプロトコル(IP)の上位層としては、TCP(Transmission Control Protocol)やUDP(User
Datagram Protocol)を用いることができる。
【0227】
プラグ接続検出回路217は、HDMIケーブル230のHPDラインに接続する端子の電位を基準電位と比較することにより、シンク機器220の接続を検出する。
【0228】
また、ソース機器210は、チューナ部250、バッファ部251およびデコード部252を有している。チューナ部250は、ソース機器210のアンテナ240を介して放送波コンテンツを受信して、受信した放送波コンテンツの復調を行う。バッファ部251は、チューナ部250にて復調されたMPEG−TSなどのストリームを一時的に保存する。
【0229】
デコード部252は、バッファ部251に保存されているストリームを読み出して、読み出したストリームのデコードを行う。また、デコード部252は、当該ストリームのデコードの際に、シンク機器220から送信されてくるクロック信号、あるいはソース機器210で生成されたクロック信号のいずれかのクロック信号に基づいて、デコードを行う。そして、デコード部252は、デコードされたストリームにおける音声データおよび映像データをHDMI送信部212に入力して、リピータ機器220側に送信する。
【0230】
リピータ機器220は、HDMI端子221に接続された、HDMI受信部222、シンク側送受信回路223およびプラグ接続伝達回路227を有している。シンク側送受信回路223には、イーサネット送受信回路224が接続されている。
【0231】
HDMI受信部222は、HDMIに準拠した通信により、ソース機器から一方向に送信されてくるベースバンドの映像と音声のデータを、HDMI端子221を介して受信する。HDMI受信部222は、受信したデータのうち、音声データをD/A変換部260に入力する。また、HDMI受信部222は、受信したデータのうち、映像データをHDMI送信部262に入力し、HDMI送信部262は、映像データをHDMIケーブル280を介してシンク機器270のHDMI受信部272へ入力する。シンク機器270のHDMI受信部272は受信したデータを画像表示部271に入力する。画像表示部271は、入力された映像データの表示を行う。
【0232】
シンク側送受信回路223は、HDMIケーブル230を構成するHEAC+ラインおよびHEAC−ラインを用いて伝送されるイーサネット信号を、イーサネット送受信回路224とHDMIケーブル230との間でインタフェースする。
【0233】
イーサネット送受信回路224は、ソース機器210のイーサネット送受信回路214と同様に、イーサネット信号を送受信するための回路であり、例えばインターネットプロトコル(IP)に準拠した双方向通信を行うものである。
【0234】
プラグ接続伝達回路227は、HDMIケーブル230のHPDラインに接続する端子を所定の電圧にバイアスすることにより、ソース機器210にシンク機器が接続されている旨を伝達する。
【0235】
また、リピータ機器220は、D/A変換部260および音声出力部261を有している。D/A変換部260は、ソース機器210側から送信されてHDMI受信部222から入力されたデジタル音声データをD/A変換して、アナログ音声データを生成する。また、D/A変換部260は、デジタル音声データのD/A変換の際に、ソース機器210から送信されてくるクロック信号、あるいはシンク機器220で生成されたクロック信号のいずれかのクロック信号に基づいて、D/A変換を行う。そして、D/A変換部260は、生成したアナログ音声データを音声出力部261に入力する。音声出力部261は、入力された音声データの再生を行う。
【0236】
本実施の形態では、オーディオ機器等のリピータ機器220は、通常、非常に高品質なクロック信号を生成可能なクロック生成回路を搭載しているため、リピータ機器220側で自身が搭載しているクロック生成回路により、上述したストリームのデコード用のクロック信号、通常は27MHzのクロック信号を生成する。当該クロック生成回路により生成されたクロック信号は、リピータ機器220が音声信号を再生する際に使用するクロック信号、通常は48kHzのクロック信号とソースとなるクロック信号が同じであるため、これらのクロック信号は完全に同期しており、ジッタ成分などが低減されて高品質を保持している。
【0237】
本実施の形態では、リピータ機器220側がソース機器210側に上述したストリームのデコード用のクロック信号を送信する。そして、ソース機器210は、受信したクロック信号を基準クロック信号として、バッファ部251に保存されているストリームのデコードを行い、デコードされたストリーム、すなわち音声データおよび映像データをリピータ機器220側に送信する。リピータ機器220は、受信した音声データは自身が搭載しているクロック生成回路により生成されたクロック信号と同期しているため、自身の音声データ再生用のクロック信号を基準クロック信号として音声データを再生することにより、音声データの再生品質を向上させることができる。
【0238】
また、本実施の形態では、デコード部252は、上述したストリームのデコードの結果に基づいて、バッファ部251の記憶内容をリセットあるいは例えば直前の画像および音声データと同一の画像および音声データを挿入する。例えば、デコード部252は、上述したストリームのデコードの結果、放送波コンテンツにおいて、無音かつ映像がブラックアウトしている区間を検知した場合は、バッファ部251に記憶されているストリームをリセットあるいは無音かつブラックアウト映像データを挿入する。これにより、バッファ部251のバッファ量を制御することができる。
【0239】
[ソース側送受信回路、シンク側送受信回路等の構成例]
図24は、AVシステム200におけるソース機器210のソース側送受信回路213、プラグ接続検出回路217等の構成例を示している。この図24において、図13と対応する部分には同一符号を付してその詳細説明は省略する。
【0240】
この図24において、図13と異なるのは、切換スイッチ475の可動端子に得られるクロック信号がデコード部252の動作クロックとして供給される点と、デコード部252から音声データがSPDIF送受信回路215に入力されない点である。
【0241】
図25は、AVシステム200におけるリピータ機器220のシンク側送受信回路223、プラグ接続伝達回路227等の構成例を示している。この図25において、図14と対応する部分には同一符号を付してその詳細説明は省略する。
【0242】
この図25において、図14と異なるのは、切換スイッチ484の可動端子に得られるクロック信号がD/A変換部260の動作クロックとして供給される点と、音声データがSPDIF送受信回路225からD/A変換部260に入力されない点である。
【0243】
以上説明したように、図22、図23(図24、図25)に示すAVシステムにおいては、ソース機器210は、デコード部252による放送波コンテンツのストリームの復号の際に使用するクロック信号をHDMIケーブル230を介してリピータ機器220に対して送受信可能であり、リピータ機器220は、デコード部252による放送波コンテンツのストリームの復号の際に使用するクロック信号をHDMIケーブル230を介してソース機器210に対して送受信可能である。オーディオ機器等のリピータ機器220は、通常、非常に高品質なクロック信号を生成可能なクロック生成回路452を搭載している。そして、リピータ機器220側で自身が搭載しているクロック生成回路452により、上述したストリームのデコード用のクロック信号、通常は27MHzのクロック信号を生成する。当該クロック生成回路により生成されたクロック信号は、リピータ機器220が音声信号を再生する際に使用するクロック信号、通常は48kHzのクロック信号とソースとなるクロック信号が同じであるため、これらのクロック信号は完全に同期しており、ジッタ成分などが低減されて高品質を保持している。リピータ機器220側がソース機器210側に上述したストリームのデコード用のクロック信号を送信する。そして、ソース機器210は、受信したクロック信号を基準クロック信号として、バッファ部251に保存されているストリームのデコードを行い、デコードされたストリームのうち音声データをリピータ機器220側に送信する。リピータ機器220は、受信した音声データは自身が搭載しているクロック生成回路により生成されたクロック信号と同期しているため、自身の音声データ再生用のクロック信号を基準クロック信号として音声データを再生することにより、音声データの再生品質を向上させることができる。
【0244】
なお、本実施の形態では、クロック信号をUtilityライン501およびHPDライン502を用いて、差動信号として伝送しているが、クロック信号をUtilityライン501およびHPDライン502のいずれか一方のラインを用いて伝送してもよく、両方のラインを用いて、同相信号として伝送してもよい。
【0245】
なお、上述した各実施の形態においては、各機器を接続する伝送路として、HDMI規格のインタフェースを前提として説明したが、その他の同様な伝送規格にも適用できることは勿論である。
【0246】
また、本発明の目的は、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
【0247】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0248】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0249】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0250】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その拡張機能を拡張ボードや拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0251】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0252】
100 AVシステム
110 ソース機器
111 HDMI端子
112 HDMI送信部
113 ソース側送受信回路
114 イーサネット送受信回路
115 SPDIF受信回路
116 シンク機種検出回路
117 プラグ接続検出回路
120 シンク機器
121 HDMI端子
122 HDMI受信部
123 シンク側送受信回路
124 イーサネット送受信回路
125 SPDIF送信回路
126 ソース機種検出回路
127 プラグ接続伝達回路
130 HDMIケーブル
140 アンテナ
150 D/A変換部
151 音声出力部
160 チューナ部
161 バッファ部
162 デコード部
163 画像表示部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波コンテンツを受信して復調する復調部と、
前記復調部による復調結果としてのストリームを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたストリームを当該記憶部から読み出して復号する復号部と、
前記復号部による復号結果のうちの音声データを音声再生装置に伝送路を介して送信する送信部と、
前記復号部による前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記音声再生装置に対して送受信可能な第1の送受信部と、
を備える、コンテンツ受信装置と、
前記送信部により前記伝送路を介して送信される前記音声データを受信する受信部と、
前記復号部による前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記コンテンツ受信装置に対して送受信可能な第2の送受信部と、
を備える、前記音声再生装置と、
を備える、コンテンツ再生システム。
【請求項2】
前記第2の送受信部は、前記音声再生装置が備えるクロック信号生成回路により生成されたクロック信号を、前記復号部が前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号として前記コンテンツ受信装置に送信し、
前記第1の送受信部は、前記第2の送受信部により送信されるクロック信号を受信し、
前記復号部は、前記第1の送受信部が受信したクロック信号を前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号として使用する、請求項1に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項3】
前記音声再生装置が備えるクロック信号生成回路により生成されたクロック信号よりも前記コンテンツ受信装置が備えるクロック信号生成回路により生成されたクロック信号の精度が高い場合は、
前記復号部は、前記コンテンツ受信装置が備えるクロック信号生成回路により生成されたクロック信号を前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号として使用し、
前記第1の送受信部は、前記コンテンツ受信装置が備えるクロック信号生成回路により生成されたクロック信号を、前記音声再生装置に送信し、
前記第2の送受信部は、前記第1の送受信部により送信されるクロック信号を受信する、請求項1に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項4】
前記復号部は、前記ストリームの復号結果に基づいて、前記記憶部の記憶内容をリセットあるいは直前の映像および音声データと同一の映像および音声データを挿入する、請求項1に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項5】
放送波コンテンツを受信して復調する復調部と、
前記復調部による復調結果としてのストリームを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたストリームを当該記憶部から読み出して復号する復号部と、
前記復号部による復号結果のうちの音声データを音声再生装置に伝送路を介して送信する送信部と、
前記復号部による前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記音声再生装置に対して送受信可能な送受信部と、
を備える、コンテンツ受信装置。
【請求項6】
放送波コンテンツを受信するコンテンツ受信装置から伝送路を介して送信される音声データを受信する受信部と、
前記コンテンツ受信装置が備える、前記放送波コンテンツの復調結果としてのストリームを復号する復号部による当該ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記コンテンツ受信装置に対して送受信可能な送受信部と、
を備える、前記音声再生装置。
【請求項7】
コンテンツ受信装置により放送波コンテンツを受信して復調するステップと、
前記コンテンツ受信装置により復調結果としてのストリームを記憶するステップと、
前記コンテンツ受信装置により記憶されたストリームを読み出して復号するステップと、
前記コンテンツ受信装置により復号結果のうちの音声データを音声再生装置に伝送路を介して送信するステップと、
前記コンテンツ受信装置により前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記音声再生装置に対して送信または受信するステップと、
前記音声再生装置により前記伝送路を介して送信される前記音声データを受信するステップと、
前記音声再生装置により前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記コンテンツ受信装置に対して送信または受信するステップと、
を有する、コンテンツ再生方法。
【請求項8】
コンテンツ受信装置を、
放送波コンテンツを受信して復調する復調部と、
前記復調部による復調結果としてのストリームを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたストリームを当該記憶部から読み出して復号する復号部と、
前記復号部による復号結果のうちの音声データを音声再生装置に伝送路を介して送信する送信部と、
前記復号部による前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記音声再生装置に対して送受信可能な第1の送受信部と、
として機能させ、
前記音声再生装置を、
前記送信部により前記伝送路を介して送信される前記音声データを受信する受信部と、
前記復号部による前記ストリームの復号の際に使用するクロック信号を前記伝送路を介して前記コンテンツ受信装置に対して送受信可能な第2の送受信部と、
として機能させるためのプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−172156(P2011−172156A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36148(P2010−36148)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
2.イーサネット
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】