説明

コンテンツ管理システム

【課題】動的なコンテンツを提供する場合のコンテンツの登録後にHTML中のハイパーリンクの書き換え作業が不要であり、システムでの名前空間を意識せずにシステム外でファイルの編集や構成の際の利便性を向上し得るコンテンツ管理システムを提供すること。
【解決手段】作製者Aが使用する端末装置1−1により予め作成されたコンテンツをデータベース(DB)2の格納領域に格納して登録する場合、URLパラメータ化の対象となるコンテンツ情報に対して、コンテンツ登録時に発行して付与するシステム内部での管理用の識別情報と事前にシステム外部で付与された識別情報とを対応付けてDB2に格納して記憶管理すると共に、ハイパーリンクの書き換えを行う。また、登録処理済みのDB2を対象として作製者Bが使用する端末装置1−2により指定した識別情報に基づいてコンテンツの取り出すときにその識別情報を登録前識別情報に書き換えて出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WWW(World・Wide・Web)技術を利用したコンテンツ管理システムに係り、詳しくは動的なコンテンツを提供する場合のファイル名の管理機能を改善したコンテンツ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを含むネットワーク環境では、WWW技術を利用したコンテンツ利用の仕組みが普及しており、ネットワークのユーザは様々なメディアのコンテンツを利用することができ、その利用形態も静的なコンテンツのみならず、ストリーミング技術を利用した動画の配信等にも拡大しつつある。また、ユーザが利用する端末装置もパーソナルコンピュータ(PC)の他、携帯電話等にも多様化されている。
【0003】
WWWサーバでは、多くのコンテンツを保有する場合があり、それらを管理する目的、或いはユーザのプロファイル情報や画面からの入力値、操作、画面遷移を含むユーザの行動情報を利用してコンテンツの構成要素を都度選択する動的制御を実現するための仕組みを構築する目的として、コンテンツ管理システムが開発されている。また、動的なコンテンツの提供では、URL(Uniform・Resource・Locator)パラメータによるハイパーリンクを利用してコンテンツの特定を行う手法が知られている。
【0004】
コンテンツ管理システムでは、WWWサーバから要求された情報に基づいて利用者の端末装置へコンテンツを提供するが、動的なコンテンツの提供対象となるコンテンツについてはシステムの名前空間により管理する。また、コンテンツ管理システムにおいて、動的なコンテンツを提供する場合、Webページ記述のためのマークアップ言語であるHTML(Hypertext・Markup・Language)のハイパーリンクに記述されたリンク先をシステムの名前空間で付与された識別情報(ファイル名)に対応付けて変更する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した既存のコンテンツ管理システムにおいて、動的なコンテンツを提供する場合、HTMLのハイパーリンクに記述されたリンク先をシステムの名前空間で付与された識別情報(ファイル名)に対応付けて変更する必要があるが、こうした手間がかかる処理を要するのは機能面で不便である上、システムが付与したコンテンツ名称が人間にとって必ずしも識別が容易な名前とは限らず、コンテンツ管理面において利便性が十分であるとは言い切れないという問題がある。
【0006】
具体的に云えば、コンテンツの動的な提供であって、URLパラメータによるコンテンツのハイパーリンクを行う場合、コンテンツ管理システムはコンテンツの登録時にその名前空間にそったファイル名を付与する必要があり、またHTMLに書かれたハイパーリンクについては、コンテンツ管理システムに付与されたファイル名に適合したURLパラメータへ書き換える必要がある。
【0007】
ところが、ハイパーリンクの書き換え作業は、コンテンツ管理システムによって自動的に適合した文字列に書き換えられることが無いため、オペレータの操作によってURLパラメータへと書き換える作業が必要となって不便である上、コンテンツ管理システム上でのファイル名は必ずしも人間にとって識別・管理し易い名前とはなっていないため、作業の手間がかかるばかりでなく、誤りが発生し易いために不合理な点がある。
【0008】
更に、一旦コンテンツ管理システムに登録されたコンテンツは、システム上で変更や削除を行うことを前提で構成されているため、システムでコンテンツの編集や管理画面を利用できない環境下の開発者(コンテンツ開発者)にとっては機能面で不便であり、管理運用上でも効率的とは言えないものとなっている。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その第1の技術的課題は、動的なコンテンツを提供する場合のコンテンツの登録後にHTML中のハイパーリンクの書き換え作業が不要なコンテンツ管理システムを提供することにある。
【0010】
また、第2の技術的課題は、システムでの名前空間を意識せずにシステム外でファイルの編集や構成の際の利便性を向上し得るコンテンツ管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記技術的課題を解決するため、本発明のコンテンツ管理システムは、予め作成されたコンテンツをシステムのデータベースに登録するときに当該コンテンツのシステム外部で付与された識別情報と当該コンテンツ登録時に発行して付与するシステム内部での管理用の識別情報とを対応付けて記憶管理すると共に、ハイパーリンクの書き換えを行う登録処理手段と、登録処理済みのデータベースを対象として操作者が指定した識別情報に基づいてコンテンツを取り出すときに当該識別情報を登録前識別情報に書き換えて出力する取り出し処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
上記コンテンツ管理システムにおいて、識別情報の指定は、コンテンツのファイル名の指定、コンテンツ登録前のファイル名の指定、コンテンツのHTMLのURL名の指定の何れか1つであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンテンツ管理システムを使用して動的なコンテンツを提供する場合のコンテンツの識別情報(ファイル名)の管理機能を改善してコンテンツ識別情報管理支援機能を構築しているため、コンテンツの登録後にHTML中のハイパーリンクの書き換え作業が不要となり、しかもシステムでの名前空間を意識せずにシステム外でファイルの編集や構成の際の利便性を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係るコンテンツ管理システムで利用されるデータベースを対象としてコンテンツ作成作業によりコンテンツ識別情報管理支援機能を構築する様子を説明するために示した概略図である。
【図2】図1のデータベースに対してコンテンツ登録して格納する場合の動作処理を示したフローチャートである。
【図3】図1のデータベースに対してファイル名を指定してファイルを取り出す場合の動作処理を示すフローチャートである。
【図4】図1のデータベースに対してコンテンツ登録前のファイル名を指定してファイルを取り出す場合の動作処理を示すフローチャートである。
【図5】図1のデータベースに対してコンテンツのHTMLのURL名を指定してファイルを取り出す場合の動作処理を示すフローチャートである。
【図6】図1のデータベースの細部構成を示したもので、(a)はデータ例に関する図、(b)は項目説明例に関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下は、本発明のコンテンツ管理システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係るコンテンツ管理システムで使用されるデータベース(DB)2を対象としてコンテンツ作成作業によりコンテンツ識別情報管理支援機能を構築する様子を説明するために示した概略図である。
【0017】
ここでは、コンテンツ管理システム全体ではなく、それに使用されるデータベース(DB)2を対象として操作性向上を支援するための部分的な機能であるコンテンツ識別情報管理支援機能を構築するときの様子を示している。
【0018】
具体的に云えば、図1では、コンテンツ作製者Aが使用する端末装置1−1によりコンテンツ管理システムの名前空間に沿ったファイル名を付与する必要がある予め作成されたコンテンツをデータベース(DB)2の格納領域に格納して登録する場合、URLパラメータ化の対象となるコンテンツ情報(HTMLファイルや画像・音声等のデータ)に対して、コンテンツ登録時に発行して付与するシステム内部での管理用の識別情報(ファイル名)と事前にシステム外部で付与された識別情報(ファイル名)とを対応付けてデータベース(DB)2に格納して記憶管理すると共に、ハイパーリンクの書き換えを行うことにより、登録処理機能(登録処理手段)が構築される様子を示している。
【0019】
また、図1では、こうした結果、登録処理済みのデータベース(DB)2を対象としてコンテンツ作製者(操作者)Bが使用する端末装置1−2により指定した識別情報(ファイル名)に基づいてコンテンツの取り出すときにその識別情報(ファイル名)を登録前識別情報(ファイル名)に書き換えて出力することにより、取り出し処理機能(取り出し処理手段)が構築される様子も示している。
【0020】
これらの登録処理機能(登録処理手段)、及び取り出し処理機能(取り出し処理手段)は、協働してコンテンツ識別情報管理支援機能となるもので、その働きによってHTML中のハイパーリンクの書き換え作業が不要となり、システムでの名前空間を意識せずにシステム外でそのコンテンツのファイルの編集や構成が可能となって利便性が図られる。
【0021】
尚、ここでのデータベース(DB)2に格納するコンテンツについて、システム外部で付与されたコンテンツの識別情報やシステム内部で付与するコンテンツの識別情報に合わせてコンテンツの配置情報も記憶管理することが望ましい。識別情報の指定は、以下に説明するコンテンツのファイル名の指定、コンテンツ登録前のファイル名の指定、コンテンツのHTMLのURL名の指定の何れか1つにより行われる。
【0022】
図2は、ここでのデータベース(DB)2に対してコンテンツ登録して格納する場合の動作処理を示したフローチャートである。
【0023】
コンテンツ登録の動作処理では、まずデータベース(DB)2に対して登録対象となるコンテンツを作業領域として一時格納領域へ格納(ステップS1)する処理を行った後、コンテンツの既存ファイル名を抽出(ステップS2)して一時記憶領域へ格納する。
【0024】
次に、既存ファイル名を使用してコンテンツ管理システムからURLパラメータ化する動的コンテンツの指定(ステップS3)を行い、その動的コンテンツの情報を得た後、HTML中のハイパーリンクタグの解析(ステップS4)を行うことにより、対象となるコンテンツの識別情報としてのファイル名を含むタグの位置情報を抽出する。
【0025】
そこで、位置情報に基づいてハイパーリンクに記述された文字列を抽出(ステップS5)して一時記憶領域へ格納し、URLパラメータ化するファイル名の文字列をデータベース(DB)2に対して一時記憶領域へ格納する。
【0026】
更に、一時記憶領域に格納されたファイル名がコンテンツの一時格納領域に存在するか否かを確認してハイパーリンク先コンテンツの存在を確認(ステップS6)する処理を行った後、コンテンツ管理システム内での名前空間に沿って既存のファイル名と重複しないファイル名となるように、コンテンツ管理システムの名前空間内でのファイル名を生成(ステップS7)する処理を行う。
【0027】
引き続き、データベース(DB)2における一時格納領域のコンテンツのファイル名を生成したファイル名に書き換え(ステップS8)する処理を行った後、先に一時記憶領域へ格納していたハイパーリンクの文字列を生成したファイル名に書き換え、そのファイル名のハイパーリンクの文字列に基づいてHTML中のハイパーリンクの文字列を書き換え(ステップS9)する処理を行う。
【0028】
更に、既存ファイル名とコンテンツ管理システムが生成したファイル名を対にして関連付けてデータベース(DB)2に格納(ステップS10)した後、コンテンツを一時格納領域から格納領域へ移動(ステップS11)する処理を行ってから動作処理を終了する。
【0029】
尚、作成されたコンテンツを保持するデータベース(DB)2に対するファイル名のエクスポート(取り出し)に際して、コンテンツ管理システムからエクスポートして編集する場合の利便性を向上させるためのエクスポート対象を生成されたファイル名で指定した場合と、コンテンツ管理システムに登録する前のファイル名で指定した場合との何れについても、ファイル名のエクスポートが可能である。また、Web画面においては画面単位で編集することも多いことにより、コンテンツ管理システムでの登録前のファイル名を使用してHTML、画像等のファイルデータを纏めてエクスポートすることも可能である。
【0030】
図3は、コンテンツ登録したデータベース(DB)2に対してファイル名を指定してファイルを取り出す場合の動作処理を示すフローチャートである。
【0031】
ここでのファイルを取り出す動作処理では、まずデータベース(DB)2に対してコンテンツのファイル名で指定(ステップS1)する処理を行って対象コンテンツを検索した後、検索したコンテンツを格納領域から一時格納領域へ格納(ステップS2)する。
【0032】
次に、データベース(DB)2に対して登録済みのコンテンツのファイル名を検索し、データベース(DB)2から一時格納領域へ登録済みコンテンツのファイル名に対応する登録前のコンテンツのファイル名を検索(ステップS3)して抽出した後、登録済みコンテンツのファイル名を登録前ファイル名に書き換え(ステップS4)する処理を行い、ファイル名を書き換えたファイルをファイル出力領域へ移動することでファイル出力用格納領域へ移動(ステップS5)する処理を経てから動作処理を終了する。
【0033】
図4は、コンテンツ登録したデータベース(DB)2に対してコンテンツ登録前のファイル名を指定してファイルを取り出す場合の動作処理を示すフローチャートである。
【0034】
ここでのファイルを取り出す動作処理では、まずデータベース(DB)2に対してコンテンツの登録前のファイル名で指定(ステップS1)する処理を行ってデータベース(DB)2からコンテンツ管理システム内でのファイル名を検索(ステップS2)して抽出する。
【0035】
次に、抽出したファイル名のコンテンツを格納領域から一時格納領域へ格納(ステップS3)した後、登録済みコンテンツのファイル名を登録前ファイル名に書き換え(ステップS4)する処理を行い、ファイル名を書き換えたファイルをファイル出力領域へ移動することでファイル出力用格納領域へ移動(ステップS5)する処理を経てから動作処理を終了する。
【0036】
図5は、コンテンツ登録したデータベース(DB)2に対してコンテンツのHTMLのURL名を指定してファイルを取り出す場合の動作処理を示すフローチャートである。
【0037】
ここでのファイルを取り出す動作処理では、まずデータベース(DB)2に対して対象コンテンツのHTMLファイルのURLを指定(ステップS1)する処理を行って検索した後、格納領域から対象となるHTMLファイルのコンテンツを一時格納領域へ格納(ステップS2)する。
【0038】
次に、データベース(DB)2に対して登録済みのコンテンツのファイル名を検索し、データベース(DB)2から一時格納領域へ登録済みコンテンツのファイル名に対応する登録前のコンテンツのファイル名を検索(ステップS3)して抽出した後、登録済みコンテンツのファイル名を登録前ファイル名に書き換え(ステップS4)する処理を行う。
【0039】
更に、HTMLファイル中のハイパーリンクタグを解析(ステップS5)し、URLパラメータによるファイル指定の文字列を抽出することでハイパーリンク文字列の抽出(ステップS6)を行う。
【0040】
引き続き、ハイパーリンク先コンテンツの存在を確認(ステップS7)する処理を行った後、抽出した文字列中のリンク先のコンテンツを格納領域から一時格納領域へ格納(ステップS8)する。
【0041】
更に、データベース(DB)2を係る文字列で検索し、対応するコンテンツの登録前ファイル名を抽出して書き換えることにより、コンテンツ管理システムへ登録前のファイル名へハイパーリンクを書き換え(ステップS9)する処理を行った後、ファイル名を書き換えたファイルをファイル出力領域へ移動することでファイル出力用格納領域へ移動(ステップS10)する処理を経てから動作処理を終了する。
【0042】
図6は、データベース(DB)2の細部のテーブル構成を示したもので、同図(a)はデータ例に関する図、同図(b)は項目説明例に関する図である。
【0043】
このデータベース(DB)2のテーブル構造では、図6(b)に示される項目説明に対応するように図6(a)に示されるデータが格納され、コンテンツ管理システムに登録する前のコンテンツについてのファイルの位置情報及びファイル名に対応するコンテンツ管理ステム内でのコンテンツについてのファイルの位置情報及びファイル名を対応付けて記憶している。
【0044】
このようなテーブル構造のデータベース(DB)2をコンテンツ管理システムで利用すれば、コンテンツのファイル名を登録する時にその名前空間でのファイル名に書き換えられるシステムにおいて、登録前時にハイパーリンク先ファイル名の自動書き換えが行われることにより、従来のコンテンツ管理システムの利用において必要であった登録後にHTML中のハイパーリンクを書き換えする作業が不要となる。また、登録後にコンテンツ管理システムからファイル出力を行う際に登録前ファイル名に書き換えてからの出力が可能となるため、コンテンツ管理システム外でのファイルの編集や構成の際の利便性が向上する。外面的にコンテンツ管理システムでの名前空間を意識せずにコンテンツの作成、編集が可能となり、コンテンツ管理システム外でのコンテンツ編集がし易くなるため、例えばコンテンツ作成が多人数や複数拠点で作成される場合には特に利便性が向上する。
【符号の説明】
【0045】
1−1、1−2 端末装置
2 データベース(DB)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め作成されたコンテンツをシステムのデータベースに登録するときに当該コンテンツのシステム外部で付与された識別情報と当該コンテンツ登録時に発行して付与するシステム内部での管理用の識別情報とを対応付けて記憶管理すると共に、ハイパーリンクの書き換えを行う登録処理手段と、登録処理済みのデータベースを対象として操作者が指定した識別情報に基づいてコンテンツを取り出すときに当該識別情報を登録前識別情報に書き換えて出力する取り出し処理手段と、を備えたことを特徴とするコンテンツ管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のコンテンツ管理システムにおいて、前記識別情報の指定は、コンテンツのファイル名の指定、コンテンツ登録前のファイル名の指定、コンテンツのHTMLのURL名の指定の何れか1つであることを特徴とするコンテンツ管理システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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