コンテンツ表示装置、制御方法、携帯端末、プログラム及び記録媒体
【課題】ユーザの操作性を向上させることができるコンテンツ表示装置を提供する。
【解決手段】本発明のコンテンツ表示装置100は、コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクト200の一部を表示部19に表示させ、ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出部2と、ユーザ入力に基づいて表示領域をスクロール移動させるスクロール制御部7と、3次元オブジェクト200を回転移動させる回転制御部8とを備えており、移動後の画面に表示させる画像が途切れることがないように表示領域の移動度を決定する。
【解決手段】本発明のコンテンツ表示装置100は、コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクト200の一部を表示部19に表示させ、ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出部2と、ユーザ入力に基づいて表示領域をスクロール移動させるスクロール制御部7と、3次元オブジェクト200を回転移動させる回転制御部8とを備えており、移動後の画面に表示させる画像が途切れることがないように表示領域の移動度を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツ表示装置、制御方法、携帯端末、プログラム及び記録媒体に関し、特に、コンテンツを表すサムネイル画像を表示し、タッチパネル機能を有するコンテンツ表示装置及びその制御方法、携帯端末、ならびに当該コンテンツ表示装置の各手段を動作させるためのプログラム及び記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のサムネイル画像を並べて表示するブラウザ機能を搭載した端末が知られている。これらの多くは、2次元平面上に複数のサムネイル画像を並べて表示するものである。
【0003】
また、近年、ポータブル・デバイス又はハンドヘルド・デバイス等の様々なデバイスにおいて、タッチパネル機能を有するデバイスが開発されている。ユーザがデバイスのディスプレイに接触することにより、例えばスクロール等、ディスプレイ上に表示されるアニメーションを変化させ得る。
【0004】
スクロールは、スクリーン又はディスプレイ・ウィンドウにわたって、テキスト、図面又はイメージ等のコンテンツの方向を、水平又は垂直にスライドさせる動作である。このスクロール動作に関して、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1には、ユーザ入力に対してスクロール動作させたとき、ユーザ入力が止まった後、ドラッグ操作によるユーザの入力速度に所定の減速率を適用することによりスクロールが停止するまで減速させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開公報第2008/085877パンフレット(2008年7月17日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では、スクロールを停止させる位置をユーザの入力速度と減速率とから求めており、停止する位置が不定である。そのため、ユーザが目的とするコンテンツに対応する画像を探すために画面をスクロールさせると、スクロールが停止した時点で画面上に表示される画像が欠けていることがある。この場合、ユーザは欠けている画像を確認するために、再び画面をスクロールさせて画像全体を表示させるという操作をしなくてはならず、煩わしさを感じることがある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザの操作性を向上させることができるコンテンツ表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンテンツ表示装置は、上記の課題を解決するために、コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクトの一部を表示する表示部と、上記表示部上に設置され、接触によるユーザ入力を受け付ける入力部と、上記ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出手段と、ある画面の表示中に、上記接触検出手段が上記多角柱の長手方向への動きを検出した場合、上記3次元オブジェクトの表示領域を当該長手方向にスクロール移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第1の表示制御手段と、ある画面の表示中に、上記接触検出手段が上記多角柱の長手方向と直交する方向への動きを検出した場合、当該多角柱の長手軸を回転軸として上記3次元オブジェクトを回転させるように表示領域を移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第2の表示制御手段と、上記他の画面に表示される上記画像の一部が途切れないように、上記第1の表示制御手段及び上記第2の表示制御手段によって移動される表示領域の移動度を決定する移動度決定手段とを備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明に係る制御方法は、上記の課題を解決するために、コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクトの一部を表示する表示部と、上記表示部上に設置され、接触によるユーザ入力を受け付ける入力部とを備えているコンテンツ表示装置の制御方法であって、上記ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出ステップと、上記接触検出ステップにおいて、ある画面の表示中に上記多角柱の長手方向への動きが検出された場合、上記3次元オブジェクトの表示領域を当該長手方向にスクロール移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第1の表示制御ステップと、上記接触検出ステップにおいて、ある画面の表示中に上記多角柱の長手方向と直交する方向への動きが検出された場合、当該多角柱の長手軸を回転軸として上記3次元オブジェクトを回転させるように表示領域を移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第2の表示制御ステップと、上記他の画面に表示される上記画像の一部が途切れないように、上記第1の表示制御ステップ及び上記第2の表示制御ステップにおいて移動される表示領域の移動度を決定する移動度決定ステップとを包含していることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、本発明のコンテンツ表示装置は、多角柱の仮想3次元オブジェクト及びその各側面に配置された複数の画像を画面に表示する。入力部に対しては接触によるユーザ入力がなされ、接触検出手段はユーザ入力により接触された位置の動きを検出する。
【0012】
コンテンツ表示装置では、ある画面の表示中に多角柱の長手方向(以下、縦方向ともいう)への動きが検出された場合、3次元オブジェクトの表示領域を長手方向にスクロールさせて他の画面を表示させる。ここでいう他の画面とは、スクロール前に表示対象になっている側面内における別の領域を指す。つまり、本発明において3次元オブジェクトはその全体が表示部に表示されず、その一部が表示される構成である。
【0013】
また、ある画面の表示中に多角柱の長手軸と直行する方向への動きが検出された場合、3次元オブジェクトの長手軸を回転軸として表示領域を回転移動させて他の画面を表示させる。ここでいう他の画面とは、回転前に表示対象になっている側面とは異なる別の側面である。但し、回転後に再び元の側面に戻ることもあり得る。
【0014】
本明細において多角柱の中心軸とは、多角柱の底面の重心を通る、多角柱の底面と直交する軸のことを指す。
【0015】
このように、本発明ではその全体が画面上に表示されない3次元オブジェクトを仮想3次元空間内でスクロール又は回転させることによって、それまで表示されていなかった領域に配置されているコンテンツの画像を表示させることができる。
【0016】
また、多角柱のオブジェクトを回転させたり、その側面について眺める箇所を縦方向に変化させたりする動作は、本屋等に置かれている回転式書棚における動作を連想させる。そのため、コンテンツ表示装置に初めて接する人、又は機器の操作に不慣れな人であっても、操作方法を容易に理解することができる。
【0017】
さらに、本発明では、3次元オブジェクトにおける表示領域を同じ側面内で縦方向にスクロール移動させたり、別の側面に回転移動させたりするとき、画面上に表示される画像が途切れないように移動させる。
【0018】
例えば、ユーザが画面を指で軽くはらうフリック操作により表示領域をスクロール移動させるとき、画面から指を放した後もある程度スクロール移動が継続される。このとき、スクロール移動が停止される位置によっては画面に表示されるコンテンツの画像が途切れることがある。これでは、ユーザが欠けている画像を確認するために、再び画面をスクロールさせて画像全体を表示させるという操作をしなくてはならず、煩わしさを感じることがある。
【0019】
本発明によれば、移動後に画面上に表示される画像が途切れないようにスクロール又は回転の移動度を決定するため、画像が欠けることがなく、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記表示部は、複数の上記画像が上記各側面の行列方向に配置されるように表示することが好ましい。
【0021】
このように、3次元オブジェクトに配置される画像が行列方向に並んでいることにより、画面の範囲内に画像を途切れることなく表示させることが容易である。
【0022】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記接触検出手段は、上記動きの速さを検出しており、上記移動度決定手段は、上記接触検出手段によって検出された動きの速さに基づいて上記移動度を決定することが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、入力部へのユーザ入力の速度を変更することによって、表示領域をスクロール移動させたり回転移動させたりするときの距離を変更させることができる。そのため、1回の入力操作であっても、その速度に応じて例えば画像の列を1列分移動させたり、2列分移動させたりすることができる。よって、ユーザはより快適に操作することができる。
【0024】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記移動度決定手段は、上記動きの速さに基づいて上記表示領域の移動速度を決定することが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、入力部へのユーザ入力の速度を変更することによって、表示領域をスクロール移動させたり回転移動させたりする速度を変更させることができる。そのため、例えばユーザが予め目的とするコンテンツを早く見つけたい場合には接触速度を速くすることによって短時間で所望のコンテンツを表示させることが可能である。
【0026】
また、ユーザが閲覧したいコンテンツが特に決まっておらず、どのようなコンテンツがあるか探しながら表示させたい場合には、接触速度を遅くすることによってコンテンツを快適に検索することができる。
【0027】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記移動度決定手段は、上記動きの速さから上記第1の表示制御手段が上記表示領域をスクロール移動させるときの行の数を決定することが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、コンテンツ表示装置では、3次元オブジェクトの長手方向に表示領域をスクロール移動させる場合、動きの速さに応じて表示領域を移動させる行の数を決定している。また、上述したように複数の画像は行列方向に配置されている。よって、表示領域を移動させても画面の範囲内に画像を途切れることなく表示させることができる。
【0029】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記移動度決定手段は、上記動きの速さから上記第2の表示制御手段が上記表示領域を回転移動させるときの面の数を決定しており、上記第2の表示制御手段は、上記回転移動によって上記表示領域になる側面と上記表示部の表示面とが平行になるように上記他の画面を表示させることが好ましい。
【0030】
上記の構成によれば、コンテンツ表示装置では、3次元オブジェクトの長手軸を回転軸として回転移動させる場合、動きの速さに応じて表示領域を移動させる面の数を決定している。つまり、ユーザにより3次元オブジェクトの長手方向と直交する方向への入力操作が行なわれたとき、回転移動を面単位で制御している。
【0031】
また、回転移動によって表示領域になる側面は、表示部の表示面と平行になるように表示させている。つまり、表示対象になる側面が正面を向くように表示させる。よって、表示領域を移動させても画面の範囲内に画像を途切れることなく表示させることができる。
【0032】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記3次元オブジェクトは側面毎にコンテンツのカテゴリが規定されており、各側面に配置される画像は、当該側面に規定されたカテゴリに属するコンテンツの画像であることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、各側面には側面毎に共通のカテゴリに分類されるコンテンツが含まれている。そのため、コンテンツの管理がし易くなると共に、目的のコンテンツの探索がより容易になる。
【0034】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記コンテンツは電子書籍であり、上記画像は電子書籍のサムネイル画像であり得る。
【0035】
上述したように、本発明のコンテンツ表示装置はスクロール又は回転によって複数の画像が配置された3次元オブジェクトの表示領域を変更することができるため、多くのコンテンツの画像を容易に見ることができる。この3次元オブジェクトに配置される画像が電子書籍に対応するものであれば、ユーザはさながら本屋にいるように様々な書籍を視覚的に検索することができる。
【0036】
本発明に係る携帯端末は、上記の課題を解決するために、本発明のコンテンツ表示装置を備えていることを特徴としている。
【0037】
上記の構成によれば、ユーザは様々な場所において、本屋にいるような感覚で様々な書籍を視覚的に検索することができる。
【0038】
なお、上記コンテンツ表示装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させるためのプログラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0039】
本発明のコンテンツ表示装置は、コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクトの一部を表示部に表示させ、ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出手段と、ユーザ入力に基づいて表示領域をスクロール移動させる第1の表示制御手段と、3次元オブジェクトを回転移動させる第2の表示制御手段とを備えており、移動後の画面に表示させる画像が途切れることがないように表示領域の移動度を決定するため、ユーザの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツ表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すコンテンツ表示装置の表示部に表示される3次元オブジェクト及びその一部を表示したコンテンツ表示装置の画面を示す図である。
【図3】図1に示すコンテンツ表示装置における画面表示例を示す図である。
【図4】図2に示す3次元オブジェクトの表示領域を移動させるときの様子を説明するための図である。
【図5】図2に示す3次元オブジェクトを回転させるときの様子を説明するための図である。
【図6】説明のために図2に示す3次元オブジェクトを展開した図である。
【図7】図1に示すコンテンツ表示装置の画面に表示させるサムネイル画像の表示パターンの例を示す図である。
【図8】図2に示す3次元オブジェクトにおいて、カテゴリが「定期購読」である棚面を表示している画面の表示状態を示す図である。
【図9】本発明の一実施例において、横フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図10】本発明の一実施例において、横フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図11】本発明の一実施例において、横フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図12】本発明の一実施例において、横フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図13】本発明の一実施例において、横フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図14】本発明の一実施例において、縦フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図15】本発明の一実施例において、縦フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図16】本発明の一実施例において、縦フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図17】本発明の一実施例において、縦フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係るコンテンツ表示装置の一実施形態について、図1〜8に基づいて説明する。
【0042】
〔コンテンツ表示装置の概要〕
まず、本実施形態に係るコンテンツ表示装置の概要について説明する。
【0043】
本実施形態のコンテンツ表示装置は、多角柱の3次元オブジェクトを仮想3次元空間内に配置し、当該3次元オブジェクトの一部を表示するように構成されている。3次元オブジェクトの各側面にはコンテンツを表す画像が行列方向に複数配置されており、3次元オブジェクトを回転させたり、多角柱の長手方向にスクロールさせたりするユーザの入力操作により、画面上に表示される表示領域を移動することができるようになっている。
【0044】
このとき、ユーザの入力操作による表示領域の移動は、移動後の画面上に表示される画像が途切れることがないように制御されている。よって、ユーザが3次元オブジェクトに配置される複数のコンテンツの中から所望のコンテンツを探すとき、スクロール又は回転が停止した画面に表示される画像が欠けることがないため、目的の画像を容易に探索することができる。
【0045】
〔3次元オブジェクト〕
ここで、本実施形態に係るコンテンツ表示装置において表示させる3次元オブジェクトについて説明する。
【0046】
図2は、3次元オブジェクト及びその一部を表示したコンテンツ表示装置の画面を示す図である。図中右側が3次元オブジェクト200の外観を表しており、図中左側が3次元オブジェクト200の一部を表示したコンテンツ表示装置の画面20を表している。図2中、破線枠で示す表示領域14が3次元オブジェクト200において実際に画面20に表示される領域である。
【0047】
本実施形態において、3次元オブジェクト200は4つの側面11を持つ直方体であり、複数の電子書籍(コンテンツ)が各側面に配置された書棚の構造を有している。以下、3次元オブジェクトを書棚オブジェクトと称し、側面を棚面と称することもある。
【0048】
図2に示すように、書棚オブジェクト200は4つの棚面11を有しており、各棚面11には複数の棚13が設けられている。各棚13の上には複数の電子書籍の表紙を表すサムネイル画像(単に「画像」ともいう)12が置かれるように表示されており、ユーザはいずれかのサムネイル画像12に対して選択操作を行なうことにより、選択したサムネイル画像12に対応する電子書籍の中身を閲覧することが可能になる。
【0049】
ユーザによる入力操作としては、表示画面上に直接接触する方法とコンテンツ表示装置に設けられた入力キー等からの操作とが挙げられる。つまり、本実施形態のコンテンツ表示装置はタッチパネルを備えており、ユーザはタッチパネル(画面)に接触して種々の操作が行なえるようになっている。
【0050】
タッチパネルに対する入力操作方法としては、例えば、タップ操作、ドラッグ操作、フリック操作又はピンチ操作等が挙げられる。タップ操作とは、画面を指で軽く叩く動作を指し、例えばビューアの起動又は表示されているボタンの押下等を実行させる。ドラッグ操作とは、画面上で指をずらす動作を指し、例えば書棚オブジェクト200の回転又はスクロール等を実行させる。フリック操作とは、画面を指で軽くはらう動作を指し、例えば書棚オブジェクト200の回転又はスクロール等を実行させる。ピンチ操作とは、画面上を2本の指でつまむ動作を指し、例えば書棚オブジェクト200の拡大縮小等を実行させる。
【0051】
このように、ユーザは画面に直接接触することにより、表示させる表示領域を上下にスクロール移動させたり、書棚オブジェクト200を回転させたりして、画面20に表示される画像12を変更することができる。
【0052】
なお、3次元オブジェクトの形状は直方体に限定されるものではなく、他の多角柱であってもよい。また、図2では4つの電子書籍が配置された棚13が5段ある構成であるが、配置されるコンテンツの数も限定されるものではなく、製造者が適宜設定すればよい。書棚オブジェクト200の表示例については後述する。
【0053】
次に、本実施形態に係るコンテンツ表示装置が備える各構成の詳細について説明する。
【0054】
〔コンテンツ表示装置の各構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ表示装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、コンテンツ表示装置100は、入力部1、接触検出部2(接触検出手段)、書籍表示処理部3、書籍データベース4、ネットワーク管理部5、移動度決定部6(移動度決定手段)、スクロール制御部7(第1の表示制御手段)、回転制御部8(第2の表示制御手段)、オブジェクト表示処理部9、出力処理部10、及び表示部19を備えている。
【0055】
入力部1は、表示部19の上に設置され、接触によるユーザ入力を受け付ける。つまり、本実施形態において入力部1及び表示部19は一体化されたタッチパネルを構成している。
【0056】
接触検出部2は、入力部1が受け付けたユーザ入力、すなわち接触から入力情報を検知する。接触検出部2が検出する入力情報は、例えば、接触の位置、速度又は距離等の動き情報であり、検出した入力情報を書籍表示処理部3又は移動度決定部6に送信する。
【0057】
書籍表示処理部3は、書籍データベース4から表示すべき書籍データを取得し、取得した書籍の表紙を表示させる際のサムネイル画像12を生成して出力処理部10に送る。また、書籍表示処理部3は、表示されている書籍を書籍データベース4に送って書棚オブジェクト200から削除することができる。書籍表示処理部3による書棚オブジェクト200への書籍の配置及び削除は、入力部1に対するユーザ入力に従って行なってもよいし、予め設定された基準(例えば、表示期間等)に従って自動で行なってもよい。
【0058】
書籍データベース4は、ネットワーク管理部5によって取得された書籍データを記憶装置に記憶させると共に、取得した書籍データを管理する。また、書籍表示処理部3からの取得要求に応じて書籍データを書籍表示処理部3に送る。
【0059】
ネットワーク管理部5は、図示しない通信手段を介してネットワーク上のサーバからコンテンツデータである書籍データを取得する。
【0060】
移動度決定部6は、接触検出部2が検出した動き情報に基づいて、画面20に表示させる書棚オブジェクト200の表示領域を移動させるときの移動度を決定する。具体的には、接触検出部2が書棚オブジェクト200の長手方向(縦方向)への動きを検出した場合、移動度決定部6はその動きの速さから、書棚オブジェクト200の表示領域を縦方向にスクロール移動させるときの行の数(移動度)を決定し、決定した移動度の情報をスクロール制御部7に送信する。一方、接触検出部2が書棚オブジェクト200の長手方向と直交する方向への動きを検出した場合、移動度決定部6はその動きの速さから、書棚オブジェクト200を回転させるように表示領域を移動させるときの面の数(移動度)を決定し、決定した移動度の情報を回転制御部8に送信する。
【0061】
このとき、移動度決定部6は、ある画面の表示中に表示領域が移動されることによって他の画面が表示されるとき、すなわち、書棚オブジェクト200における表示領域が移動したとき、他の画面に表示される電子書籍の画像12の一部が途切れないように移動度を決定する。このような移動度の決定は、特にフリック操作により接触されたときに行なう。
【0062】
つまり、入力部1へのユーザ入力の速度を変更することによって、表示領域をスクロール移動させたり回転移動させたりするときの距離を変更させることができる。そのため、1回の入力操作であっても、その速度に応じて例えば画像の列を1列分移動させたり、2列分移動させたりすることができる。よって、ユーザはより快適に操作することができる。
【0063】
移動度を決定する際の基準は特に限定されないが、例えば、予め用意した所定のパラメータを用いて移動度を算出すればよい。
【0064】
また、移動度決定部6は、当該動きの速さに基づいて表示領域の移動速度を決定することが好ましい。例えば、フリック操作の速度が速い場合には移動速度を速くし、フリック操作の速度が遅い場合には移動速度を遅くするように決定する。
【0065】
これにより、例えばユーザが予め目的とするコンテンツを早く見つけたい場合には接触速度を速くすることによって短時間で所望のコンテンツを表示させることが可能である。また、ユーザが閲覧したいコンテンツが特に決まっておらず、どのようなコンテンツがあるか探しながら表示させたい場合には、接触速度を遅くすることによってコンテンツを快適に検索することができる。
【0066】
スクロール制御部7は、移動度決定部6において決定された移動度に従って、書棚オブジェクト200の表示領域を長手方向にスクロール移動させて他の画面を表示させるためのアニメーション情報を作成する。
【0067】
ここでいう他の画面とは、スクロール前に表示対象になっている側面11内における別の領域を指す。このスクロール移動は表示領域に指定されている棚面11内における上下移動である。スクロール制御部7は、作成したアニメーション情報をオブジェクト表示処理部9に送信する。
【0068】
なお、本明細書においてアニメーションとは、仮想3次元空間内で書棚オブジェクト200を回転させたり棚面11を移動させたりして表示を変化させる機能を指す。
【0069】
回転制御部8は、移動度決定部6において決定された移動度に従って、書棚オブジェクト200の表示領域を図2中「X」で示す直方体の中心軸(長手軸)を回転軸として、中心軸Xと直交する方向に回転移動させて他の画面を表示させるためのアニメーション情報を作成する。
【0070】
ここでいう他の画面とは、回転前に表示対象になっている側面とは異なる別の側面である。但し、回転後に再び元の側面に戻ることもあり得る。なお、本明細において直方体の中心軸とは、直方体の底面の重心を通る、直方体の底面と直交する軸のことを指す。
【0071】
また、回転制御部8は、回転移動が止まるとき、画面20に表示される棚面11が正面を向くように移動させる。ここでいう正面とは、表示領域になる棚面11と表示部19の表示面とが平行になるように表示されたときの面である。回転制御部8は、作成したアニメーション情報をオブジェクト表示処理部9に送信する。
【0072】
オブジェクト表示処理部9は、スクロール制御部7又は回転制御部8が作成したアニメーション情報から、表示部19が表示すべき書棚オブジェクト200の画像を生成し、出力処理部10に送信する。
【0073】
オブジェクト表示処理部9が書棚オブジェクト200の画像を生成する際に用いるアニメーション情報はスクロール移動又は回転移動に関するものに限らず、例えば、他の視覚効果が付加されるようなアニメーション情報を用いてもよい。他の視覚効果としては、例えば、棚面11の拡大縮小、書棚オブジェクト200の透明化、背景画像の変更等が挙げられる。
【0074】
出力処理部10は、書籍表示処理部3が生成した書籍のサムネイル画像12及びオブジェクト表示処理部9が生成した書棚オブジェクト200の画像から、書棚オブジェクト200の棚面11にサムネイル画像12が配置されるように合成し、合成した画像を表示部19に表示させる。
【0075】
なお、コンテンツ表示装置100の画面20上における上述した表示内容を理解した当業者によれば、OpenGL(Open Graphics Library)などの公知の技術を適用することにより、書棚オブジェクト200及び各棚面11の表示、書棚オブジェクト200の回転及びその表示、ならびに棚面11のスクロール移動及びその表示などを実現できる。そのため、これらの表示を実現するための各処理部及び各管理部における具体的なデータの処理方法及び管理方法については、その説明を省略する。
【0076】
表示部19は、液晶パネル等から構成することができる。
【0077】
このように、本実施形態のコンテンツ表示装置100では、画面20に表示させる書棚オブジェクト200内の表示領域を変更する場合、視点の位置を変えるのではなく、視点の位置はそのままで書棚オブジェクト200を回転させたり、書棚オブジェクト200の棚面11を移動させたりする。これにより、仮想の視点から見える領域を変更し、画面20に表示される表示領域14の位置が変更されることになる。
【0078】
〔書棚オブジェクトの表示〕
次に、コンテンツ表示装置100の画面20における書棚オブジェクト200の表示方法について説明する。図3は、コンテンツ表示装置100における画面表示例を示す図である。
【0079】
本実施形態では、4つの棚面11に互いに異なるカテゴリが規定されており、棚面11には各々規定されたカテゴリに属する電子書籍のサムネイル画像12が配置されている。カテゴリに制限はないが、本実施形態では「未読・おすすめ」、「最近読んだ本」、「お気に入り」及び「定期購読」の4つに分類し、4つの棚面11のカテゴリをそれぞれ規定している。
【0080】
このように、側面11毎に共通のカテゴリに分類されるコンテンツが含まれていることにより、コンテンツの管理がし易くなると共に、目的のコンテンツの探索がより容易になる。また、上述したように、コンテンツ表示装置100はスクロール又は回転によって複数の画像12が配置された書棚オブジェクト200の表示領域14を変更することができるため、多くのコンテンツの画像12を見ることが容易である。よって、ユーザはさながら本屋にいるように様々な書籍を視覚的に検索することができる。
【0081】
なお、上述したように、書棚オブジェクト200の形状は直方体に限らず、他の多角柱であってもよい。そのため、棚面11の数は4つに限らず、各棚面11を規定するカテゴリの種類も4つに限定されない。
【0082】
コンテンツ表示装置100では、図3に示すようにユーザ操作による表示領域の移動が行なわれていないとき、画面20には書棚オブジェクト200の正面の部分が表示される。ここでは、画面20には棚13の上にサムネイル画像12が置かれているように棚13及び書籍のサムネイル画像12が表示されている。
【0083】
画面20の上部には、書棚オブジェクト200の各棚面11のカテゴリを示すインジケータが設けられており、現在表示されている棚面11のカテゴリが分かるようになっている。
【0084】
例えば、図3では「未読・おすすめ」のインジケータが点灯しており、現在表示されている棚面11のカテゴリが「未読・おすすめ」であることを示している。このインジケータは棚面選択ボタン17を兼ねており、表示させたいカテゴリのインジケータを選択することによって、表示される棚面11が切り換わる。また、画面20の下部には、コンテンツ表示装置100の各機能を実行するための操作入力ボタン18が表示されている。
【0085】
また、画面20では棚面11をやや上方から見下ろして眺めた状態の表示になっている。そのため、棚面11に設けられている棚13の上面が見えるように画面20に表示されている。また、現実世界において棚面11をやや上方から見下ろしたとき、より下側に配置される棚13ほど見える上面の割合が多くなるが、書棚オブジェクト200においても同様に下側に配置される棚13ほど上面の面積が大きくなるように表示されている。
【0086】
ここで、書棚オブジェクト200を仮想3次元空間内で動かすことによって画面20の表示内容を変化させる方法について説明する。
【0087】
(棚面のスクロール)
コンテンツ表示装置100では、書棚オブジェクト200の各棚面11における長手方向の長さは、画面20に一度に表示できる長さを超える。そのため、表示対象になる棚面11において、画面20に実際に表示されている領域は図2に示すように棚面11の一部である。
【0088】
つまり、図2において破線枠で囲まれた表示領域14が実際に画面20に表示されている領域であり、その他の領域は画面20に表示されていない。したがって、画面20に表示されている棚面11を長手方向に移動させて表示領域14を変更し、それまで表示されていなかった領域を画面20に表示させる。これにより、表示されていなかった領域に配置されている書籍の画像12を見ることができる。
【0089】
コンテンツ表示装置100では、ユーザがタッチパネル(入力部1)上で移動させたい方向にフリック操作を行なうことによって、フリックした方向と同じ方向に棚面11をスクロール移動させて、それまで表示されていなかった領域を表示させるようになっている。このとき、フリックの速度に応じて棚面11の移動距離(行の数)を決定し、その決定に基づいて棚面11を移動させる。
【0090】
フリックの速度に対してどの程度棚面11を移動させるかは、棚面11の移動後に画面20に表示される画像12の一部が途切れないようにする限り限定されるものではなく、製造者が適宜決定すればよい。例えば、上述したように、予め用意した移動度を決定するためのパラメータを用いて、スクロール移動させる距離を求めればよい。
【0091】
図4は、書棚オブジェクト200の表示領域14を移動させるときの様子を説明するための図である。図4の(a)は移動前の棚面11を表しており、ここで矢印Aの方向にフリックが行なわれた場合、棚面11を上方に移動させて、棚面11のより下部に表示領域14を移動させる(図4の(b))。その後、表示領域14の移動が棚面11のより下部に停止し、別の画像12が途切れないように表示される(図4の(c))。
【0092】
なお、棚面11の長手(縦)方向への移動は各棚面11の範囲内で独立に制御されている。つまり、縦方向にスクロール移動させる棚面11は、操作時に画面20に表示されている棚面11のみである。
【0093】
例えば、各棚面11の最上部が表示領域14に指定されているとき、いずれかの棚面11の表示中にフリック操作を行なって当該棚面11における表示領域14を下部に移動させる。このとき、表示領域14が移動される棚面11は操作している棚面11のみであり、他の棚面11では表示領域14は移動されずに最上部のままである。そのため、表示領域14を移動させた後に、書棚オブジェクト200を回転させて別の棚面11を表示させた場合であっても、別の棚面11では前回その棚面11を見たときの状態が保たれている。
【0094】
一例として、「お気に入り」のカテゴリに対応する棚面11の最上部を表示させた状態で書棚オブジェクト200を回転させて「未読・おすすめ」の棚面11に移動し、スクロール操作によって棚面11の下部を表示させたとする。このときに、再び書棚オブジェクト200を回転させて「お気に入り」の棚面11に戻ったとき、この棚面11においても表示領域14が移動されてしまうと、ユーザは再度スクロール操作を行なって表示領域14を移動させる必要があり、ユーザにとって不便である。
【0095】
しかし、コンテンツ表示装置100では、書棚オブジェクト200を回転させて他の棚面11に移動したとき、以前見ていた棚面11の状態が表示されるため、ユーザの手間をとらせない。
【0096】
(書棚オブジェクトの回転)
コンテンツ表示装置100では、ユーザの入力操作によって書棚オブジェクト200を画面20内の仮想3次元空間内において、中心軸Xを回転軸として回転させることができる。書棚オブジェクト200を回転させることによって、正面に表示される、すなわち表示対象になる棚面11を変更することができる。
【0097】
本実施形態のコンテンツ表示装置100は、ユーザがタッチパネル(入力部1)上で回転軸と略直交する方向(画面20において横方向)にフリック操作を行なうことによって、書棚オブジェクト200を回転させるようになっている。このように書棚オブジェクト200を回転させることにより、正面にくる、すなわち表示対象になる棚面11を変更することができる。
【0098】
具体的には、フリック操作によって書棚オブジェクト200がフリックした方向と同じ方向に回転して、隣接する棚面11又はさらにその隣接する棚面11が正面にきて画面20に表示されるようになっている。
【0099】
図5は、書棚オブジェクト200を回転させるときの様子を説明するための図である。図5の(a)は回転前の書棚オブジェクト200を表しており、ここで矢印Bの方向にフリック操作が行なわれた場合、棚面11aを右方向に回転させて(図5の(b))、隣接する棚面11bの正面を表示させる(図5の(c))。これにより、あるカテゴリに属する書籍の画像12aから別のカテゴリに属する書籍の画像12bを表示させるため、画像12bを選択することができるようになる。この回転移動を図6に基づいてさらに説明する。
【0100】
図6は、説明のために書棚オブジェクト200を展開した図である。但し、図6において上面と底面の図示は省略している。
【0101】
図6の(a)は、回転前の書棚オブジェクト200を表しており、「未読・おすすめ」のカテゴリに対応する棚面11aの正面が画面20に表示されている状態である。この状態において、棚面11aに隣接する「最近読んだ本」のカテゴリに対応する棚面11bを表示させたいとき、棚面11aから見て棚面11bとは反対方向(矢印Bの方向)にフリック操作する。これにより、棚面11aが矢印Bの方向に移動するように書棚オブジェクト200が回転して棚面11bが正面にくることによって表示領域14が棚面11bに移動し、棚面11bが画面に表示されるようになる(図6の(b))。
【0102】
なお、書棚オブジェクト200の回転は1回転に限定されるものではなく、フリックの速度に応じて棚面11の移動距離、すなわち回転数を決定し、その決定に基づいて棚面11が回転させればよい。例えば、フリックの速度が遅い場合には1面分移動させて隣接する棚面11を表示させるようにしてもよいし、フリック速度が速い場合は2つ隣りの棚面11、すなわち回転させる前に表示されていた棚面11の反対側に位置する棚面11を表示させてもよい。
【0103】
フリックの速度に対してどの程度棚面11を回転させるかは、棚面11の回転後に画面20に表示される画像12の一部が途切れず、回転移動によって表示対象になる棚面11と表示面とが平行になる限り限定されるものではなく、製造者が適宜決定すればよい。例えば、上述したように、予め用意した移動度を決定するためのパラメータを用いて、回転移動させる面の数を求めればよい。
【0104】
また、上述したスクロール移動又は回転移動の操作はフリック操作に限らず、例えばドラッグ操作を用いることができる。ドラッグ操作は、ユーザの指をタッチパネルに接触させたまま任意の方向に移動させる動作である。ドラッグ操作によって書棚オブジェクト200を回転させたり棚面11をスクロール移動させたりした後、所望の書籍の画像12が画面に表示されたときに指をタッチパネルから放すことによって、表示させる棚面11又は領域を変更することができる。
【0105】
例えば、隣接する棚面11への回転の途中でドラッグ操作が終了した場合、その時点の書棚オブジェクト200の回転角度に応じて、さらに回転を進めるか又は回転を戻すかを決定していずれか一方の棚面11を表示させ得る。また、棚面11内のスクロール移動中にドラッグ操作が終了したときの画面20に表示されている画像12の一部が途切れている場合、棚面11を上下いずれかにスクロール移動させて画像12が欠けないように表示させることができる。
【0106】
また、表示させる棚面11の変更方法は他にも、いずれの棚面11を表示させるかを直接指示可能な棚面選択ボタン17の操作によって、表示させる棚面11を変更することができる。棚面選択ボタン17は、画面20の上部にオブジェクトとして表示されており、タッチパネルによってボタン選択操作の入力を可能にしている。この場合においても、画面20では選択した棚面11が表示されるまで書棚オブジェクト200が回転する状態が表示される。このときの回転方向は、それまでのユーザの操作、回転角度、及び製造者による設定等によって決定することができる。
【0107】
このように、画面20に表示されている書棚オブジェクト200及び棚面11を操作する動作は、本屋などに置かれている回転式書棚における動作を連想させるものである。そのため、コンテンツ表示装置100に初めて接する人や、機器の操作に不慣れな人であっても、コンテンツ表示装置100の操作方法を容易に理解することができる。すなわち、ユーザにとって操作し易いユーザインターフェイスを有しているということができる。
【0108】
なお、本屋などに置かれている回転式書棚と異なり、例えば棚面11の下の方を見たいときに、眺めている棚面11そのものを、その棚面11のみ上方向に動かすことができる。さらに、この状態で書棚オブジェクト200を回転させることができる。したがって、ある棚面11の異なる高さ位置を見た後、書棚オブジェクト200を回転させたときに、もとの高さ位置に視点を戻すといった作業無しに、他の棚面11においてはもとの高さ位置を見ることができる。
【0109】
〔その他のアニメーション〕
本実施形態のコンテンツ表示装置100では、書棚オブジェクト200の回転又は棚面11をスクロール移動させるアニメーションの他に、例えば、棚面11の拡大縮小、又は書棚オブジェクト200の透明化等が可能である。
【0110】
(拡大縮小表示)
コンテンツ表示装置100では、棚面11を画面20に表示している状態において棚面11の大きさを調整して、画面20に表示させる画像12の数を変更可能に構成されている。
【0111】
図7は、画面20に表示させるサムネイル画像12の表示パターンの例を示す図である。図7の(a)は20枚のサムネイル画像12を表示している状態を示しており、図7の(b)は28枚のサムネイル画像12を表示している状態を示している。
【0112】
棚面11をより大きく表示させた場合、各サムネイル画像12が見易くなるが、一度に画面20に表示できるサムネイル画像12の数(一度に表示できる棚13の数と相関がある)は減少する。一方、棚面11をより小さく表示させた場合、一度に多くのサムネイル画像12を表示することが可能となる。このように、コンテンツ表示装置100では、必要に応じて棚面11の縮尺率を変更することが可能である。
【0113】
画面20に表示させるサムネイル画像12の数の変更は、ユーザの入力操作によって行なうことができる。具体的には、タッチパネル上でピンチアウト操作を行なうことによって、棚面11を拡大表示させ、各サムネイル画像12を大きく表示させる。一方、タッチパネル上でピンチイン操作を行なうことによって、棚面11を縮小表示させ、各サムネイル画像12を小さく表示させる。
【0114】
ここでピンチアウト操作とは、ユーザの2本の指などを同時に操作面上に接触させて、そのままその2本の指を開く動作を行なう操作である。また、ピンチイン操作とは、ユーザの2本の指などを同時に操作面上に接触させて、そのままその2本の指を閉じる動作を行なう操作である。
【0115】
(透明化処理)
コンテンツ表示装置では、書棚オブジェクト200の回転及び棚面11のスクロール移動を画面20に表示する際に、棚面11及びサムネイル画像12の一部の半透明にする処理を行なうことができる。
【0116】
例えば、表示されている棚面11上にあるサムネイル画像12の透明度が0%のとき、隣接する棚面11ならびにこれらに貼り付けられているサムネイル画像12は画面20には表示されない。
【0117】
一方、棚面11の透明度を上げた場合、ある棚面11が正面にきていても隣接する棚面11に配置されるサムネイル画像12が透けて見える。さらに、サムネイル画像12の透明度を上げた場合、隣接する棚面11に配置される画像12がより見えるようになる。
【0118】
このように、棚面11を一部半透明にしたり、その半透明の度合いを変化させたりすることにより、ユーザは3次元オブジェクトを操作している実感が得られる。また、隣接する棚面11が表示されることにより、隣接する棚面11がどのようなカテゴリによる棚面11か、又はその棚面11にどのような書籍(サムネイル画像)が置かれているかを知ることができ、目的の書籍をより簡単に探し出すことができる。
【0119】
〔定期購読棚の表示〕
次に、図8を参照して、カテゴリが「定期購読」である棚面11の表示方法を説明する。
【0120】
図8は、カテゴリが「定期購読」である棚面11を表示している画面20の表示状態を示す図である。定期購読の棚面11は、週刊誌又は月刊誌などの定期刊行物をバックナンバーと共に管理している棚面11である。
【0121】
図8の(a)に示すように、定期購読の棚面11ではサムネイル画像12が棚面11左側に縦方向に一列に並べられている。これらは、それぞれ定期購読している各雑誌の最新号のサムネイル画像12であり、マガジンラックにその最新号が置かれているような画像である。すなわち、現実の書棚において雑誌のマガジンラックが縦方向に並んでいる状態に似ている。
【0122】
サムネイル画像12の横には、雑誌名及び最新号の号数など、定期購読している雑誌の情報15がテキスト表示されている。さらにその横には、その雑誌のバックナンバーを表示させるための選択ボタン16が設けられている構成となっている。
【0123】
図8の(b)は、図8の(a)に示す画面20においてある定期購読雑誌の選択ボタン16を選択操作して、そのバックナンバーを一覧表示させたときの画面20を示す図である。
【0124】
バックナンバーを表示させるための選択ボタン16に対して入力操作がなされると、選択されたマガジンラック以外のマガジンラックの表示がなくなり、選択されたマガジンラックの表示が画面20の上部に移動すると共に、その下側に各バックナンバーのサムネイル画像12’を配列してその雑誌のバックナンバーを一覧表示する状態へと遷移する。ユーザはこの中から目的のバックナンバーを選べばよい。
【0125】
これは、書棚のマガジンラックを開けて、各バックナンバーを取り出してその中から読みたいバックナンバーを選ぶ現実の動作に似ている。そのため、ユーザは、雑誌の総数が数百に及んだとしても、容易に目的の雑誌を選び出すことができる。
【0126】
(プログラム及び記録媒体)
最後に、コンテンツ表示装置100に含まれている各部は、ハードウェアロジックによって構成すればよい。また、次のように、CPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0127】
すなわちコンテンツ表示装置100は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、このプログラムを格納したROM、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM、及び、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。この構成により、本発明の目的は所定の記録媒体によっても達成できる。
【0128】
この記録媒体は、上述した機能を実現するソフトウェアであるコンテンツ表示装置100のプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録していればよい。コンテンツ表示装置100に、この記録媒体を供給する。これにより、コンピュータとしてのコンテンツ表示装置100(又はCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すればよい。
【0129】
プログラムコードをコンテンツ表示装置100に供給する記録媒体は、特定の構造又は種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスク又はCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、もしくはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0130】
また、コンテンツ表示装置100を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介してコンテンツ表示装置100に供給する。この通信ネットワークはコンテンツ表示装置100にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類又は形態に限定されない。例えばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
【0131】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成又は種類のものに限定されない。例えばIEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【実施例】
【0132】
以下に示す実施例では、フリック操作によって表示領域が移動されるときの移動度を算出するためのパラメータを検討した。この検討は、複数パターンのパラメータから算出した移動度におけるフリック操作の快適さをユーザが評価することにより行なった。
【0133】
なお、以下の実施例において「強フリック」又は「弱フリック」と、フリックの強さを表す表現を用いるが、これらはフリック操作のときの速さを示すものである。すなわち、「強フリック」は速いフリックであり、「弱フリック」は遅いフリックを意味する。フリックの速さ(強さ)には、OnGestureListenerインターフェースで呼ばれるonFlingメソッドの引数velocityXの値を利用した。
【0134】
〔実施例1:横フリックの評価実験〕
まず、書棚オブジェクトを回転させるために、横フリックに最適なパラメータを評価した。横フリックに最適なパラメータは、以下の3種類の実験から求めた。
【0135】
(実施例1−1:強フリックでの最大回転面数の調査)
実施例1−1では、書棚オブジェクトを回転させるとき、強フリックで何面回転させたときユーザが快適であると感じるかを調査した。
【0136】
具体的には、書棚オブジェクトをフリック操作で回転させるとき、強フリック(3000(pixel/sec)以上の速度)したときの回転面数を変化させて、操作の快適さについて7名の被験者により5段階評価及び順位付けを行なった。なお、5段階評価は、「5」が最も快適であるという評価であり、「1」に下がるにつれ評価が低くなる。
【0137】
書棚オブジェクトは4つの側面を有する直方体であり、回転時間は評価に含めないようにした。フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。回転面数を決めるパラメータは図9の(a)に示す4種類を用意し、フレームレートは30fpsとした。図9の(a)は、強フリックをしたときの各パラメータにおける回転面数と回転時間を示す表である。
【0138】
その結果、図9の(b)及び図9の(c)に示すように、強フリックで2面回転するパラメータ2が評価及び順位共に最も高く、被験者毎のバラつきも少なかった。図9の(b)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び順位(右の斜線のバー)を示し、図9の(c)は各パラメータでの被験者による5段階評価(左の塗りつぶしたバー)及び順位(右の斜線のバー)の分散値を示す。
【0139】
(実施例1−2:強フリック及び弱フリックにおける速度の閾値の調査)
実施例1−2では、実施例1−1と同じ直方体の書棚オブジェクトを回転させるとき、強フリックと弱フリックとでユーザが快適であると感じる速度の閾値を調査した。
【0140】
具体的には、書棚オブジェクトをフリック操作で回転させるとき、2面回転させる強フリック及び1面回転させる弱フリックを行なうときの速度の閾値を変化させて、操作の快適さについて6名の被験者により5段階評価及び順位付けを行なった。5段階評価は、「5」が最も快適であるという評価であり、「1」に下がるにつれ評価が低くなる。
【0141】
なお、回転時間は評価に含めないようにした。フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。強フリック及び弱フリックの速度の閾値(pixel/sec)を決めるパラメータは図10の(a)に示す4種類を用意し、フレームレートは30fps、回転時間は1面が0.67(s)、2面が1(s)とした。図10の(a)は、各パラメータにおける強フリック及び弱フリックの速度の閾値を示す表である。
【0142】
その結果、図10の(b)及び図10の(c)に示すように、強フリック及び弱フリックの速度の閾値はパラメータ2の評価が高かった。図10の(b)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び順位(右の斜線のバー)を示し、図10の(c)は各パラメータでの被験者による5段階評価(左の塗りつぶしたバー)及び順位(右の斜線のバー)の分散値を示す。
【0143】
(実施例1−3:回転アニメーション時間の調査)
実施例1−3では、実施例1−1と同じ直方体の書棚オブジェクトを回転させるときに、ユーザが快適であると感じる回転アニメーション時間を調査した。
【0144】
具体的には、書棚オブジェクトをフリック操作で回転させるとき、アニメーション時間を変化させて、操作の快適さについて6名の被験者により5段階評価及び順位付けを行なった。5段階評価は、「5」が最も快適であるという評価であり、「1」に下がるにつれ評価が低くなる。
【0145】
なお、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。アニメーション時間を決めるパラメータは図11の(a)に示す9種類を用意し、フレームレートは30fps、強フリックで2面回転、強フリック及び弱フリックの速度の閾値は1900(pixel/sec)とした。図11の(a)は、アニメーション時間とパラメータ番号との関係を示す表である。
【0146】
その結果、図11の(b)及び図11の(c)に示すように、1面回転するときの時間及び2面回転するときの時間は、共に評価が高かったのは1秒であった。図11の(b)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び順位(右の斜線のバー)を示し、図11の(c)は1面の回転時間(s)及び2面の回転時間(s)の評価の平均値を示す図である。
【0147】
(実施例1−4:回転アニメーション時間の調査)
実施例1−4では、実施例1−3よりもさらに詳細にユーザが快適であると感じる回転アニメーション時間を調査した。
【0148】
具体的には、実施例1−3と同様に、書棚オブジェクトをフリック操作で回転させるとき、アニメーション時間を変化させて、操作の快適さについて7名の被験者により5段階評価及び順位付けを行なった。5段階評価は、「5」が最も快適であるという評価であり、「1」に下がるにつれ評価が低くなる。
【0149】
なお、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。アニメーション時間を決めるパラメータは図12の(a)に示す6種類を用意し、フレームレートは30fps、強フリックで2面回転、強フリック及び弱フリックの速度の閾値は1900(pixel/sec)とした。図12の(a)は、アニメーション時間とパラメータ番号との関係を示す表である。
【0150】
また、パラメータ5,6は、フリックの強さによって回転時間をリニアに変化させた。図12の(b)のグラフは、パラメータ5におけるフリックの強さと回転時間との関係を示し、線32は1面回転のときの回転時間とフリックの強さとの関係を示し、線33は2面回転のときの回転時間とフリックの強さとの関係を示す。
【0151】
その結果、図12の(c)に示すように、1面回転するときの時間が1.0秒から0.5秒であり、2面回転するときの時間が1.0秒から0.7秒と、フリックの強さによってリニアに変化するパラメータ5の評価が高かった。図12の(c)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び分散値(右の斜線のバー)を示す。
【0152】
以上の結果から、横フリックにおいてユーザが快適であると感じるのは、強フリックにおいて最大2面回転であり、強フリック(2面回転)及び弱フリック(1面回転)の速度の閾値は1900(pixel/sec)であり、フリックの強さによって回転時間がリニアに変化するパラメータであった。図13はフリックの強さ、回転面数及び回転時間の関係を示すグラフである。図13中、線30は1面回転時のフリックの強さと回転時間との関係を表し、線31は2面面回転時のフリックの強さと回転時間との関係を表し、線分Cは閾値を示す。
【0153】
〔実施例2:縦フリック評価実験〕
次に、書棚オブジェクトの中から目的の書籍を快適に探すための縦フリックに最適なパラメータを評価した。縦フリックに最適なパラメータは、以下の4つの実験から求めた。
【0154】
(実施例2−1)
実施例2−1では、縦フリックのための9つのパラメータを用意し、ユーザが快適であると感じるパラメータを実施例1と同様に5段階評価した。
【0155】
具体的には、書棚オブジェクトに100個の書籍を配置し、フリック操作でスクロール移動させて目的の書籍を探す際の操作の快適さについて、7名の被験者により行なった。なお、画面に表示される本の配置は横3個、縦3個にして、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。
【0156】
パラメータは初速及び減衰率に対して3つずつ用意した。初速は遅いものは0.00252vとし、中程度のものは0.0042vとし、速いものは0.00588vとした。なお、「v」はフリック速度(pixel/sec)である。減衰率は毎フレーム速度に減衰率をかけていくものとし、低いものは0.9、中程度のものは0.7、遅いものは0.5とした。なおフレームレートは一定ではない。
【0157】
その結果、図14に示すように、初速及び減衰率は共に中程度のものが最も評価が高かった。図14の(a)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値を示した表であり、図14の(b)は被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値を示した図である。
【0158】
(実施例2−2)
実施例2−2では、実施例2−1と同じ9つのパラメータを用意し、ユーザが目的の書籍を見つけるまでの時間を計測し、快適であると感じるパラメータを5段階評価した。
【0159】
具体的には、書棚オブジェクトに100個の書籍を配置し、フリック操作でスクロール移動させて34段中20段目に配置される目的の書籍を探す時間、及び操作の快適さについて、7名の被験者により行なった。なお、画面に表示される本の配置は横3個、縦3個にして、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。フレームレートは一定ではない。
【0160】
その結果、図15に示すように、(初速、減衰率)が(中、中)、(遅、高)、(速、高)の3つのパラメータにおける評価が高かった。図15の(a)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値を示した表であり、図15の(b)は、被験者が目的の書籍を見つけるまでにかかった時間をパラメータ毎に示した表であり、図15の(c)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値を示した図である。
【0161】
(実施例2−3)
実施例2−3では、実施例2−2において評価の高かった3つのパラメータを用意し、ユーザが目的の書籍を見つけるまでの時間を計測し、快適であると感じるパラメータを5段階評価した。
【0162】
具体的には、書棚オブジェクトに100個の書籍を配置し、フリック操作でスクロール移動させて34段中20段目に配置される目的の書籍を探す時間、及び操作の快適さについて、7名の被験者により行なった。なお、画面に表示される本の配置は横3個、縦3個にして、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。フレームレートは一定ではない。
【0163】
パラメータの数値は、初速及び減衰率を移動段数及び移動にかかるフレーム数に変換した。変換方法は、実際のアニメーションを目視で評価し、最も近い値に設定した。具体的には、パラメータ1は移動段数が0.00245v、移動にかかるフレーム数を15+0.002vとした。パラメータ2は移動段数が0.00065v、移動にかかるフレーム数を7+0.001vとした。パラメータ3は移動段数が0.00145v、移動にかかるフレーム数を9+0.001vとした。なお、「v」はフリック速度(pixel/sec)である。
【0164】
その結果、図16に示すように、パラメータ1に対する被験者の評価が最も高く、書籍の探索時間も最も短かった。図16の(a)は、目的の書籍を見つけるまでにかかった時間の平均値及び被験者による各パラメータでの5段階評価を示した表であり、図16の(b)は、目的の書籍を見つけるまでにかかった時間の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び被験者による各パラメータでの5段階評価(右の斜線のバー)を示したグラフである。
【0165】
(実施例2−4)
実施例2−4では、実施例2−3において用いた3つのパラメータのうち、移動にかかるフレーム数を移動にかかる時間に変換してユーザが目的の書籍を見つけるまでの時間を計測し、快適であると感じるパラメータを5段階評価した。
【0166】
具体的には、書棚オブジェクトに100個の書籍を配置し、フリック操作でスクロール移動させて25段中18段目に配置される目的の書籍を探す時間、及び操作の快適さについて、7名の被験者により行なった。なお、画面に表示される本の配置は横4個、縦5個にして、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。フレームレートは30fpsで行なった。
【0167】
パラメータの数値は、実施例2−3で用いたパラメータにおいて移動にかかるフレーム数を、フレームレートを30fpsに固定することにより移動にかかる時間に変換した。具体的には、パラメータ1は移動段数が0.00065v、移動にかかる時間(s)を0.23+0.000033vとした。パラメータ2は移動段数が0.00245v、移動にかかる時間(s)を0.5+0.000067vとした。パラメータ3は移動段数が0.00145v、移動にかかる時間(s)を0.3+0.000033vとした。なお、「v」はフリック速度(pixel/sec)である。
【0168】
その結果、図17に示すように、パラメータ2に対する被験者の評価が最も高く、書籍の探索時間も最も短かった。図17の(a)は、目的の書籍を見つけるまでにかかった時間の平均値及び被験者による各パラメータでの5段階評価を示した表であり、図17の(b)は、目的の書籍を見つけるまでにかかった時間の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び被験者による各パラメータでの5段階評価(右の斜線のバー)を示したグラフである。また、図17の(c)は、パラメータ2のフリック速度による移動時間と移動段数との関係を示すグラフであり、図中、線34は4000(pixel/sec)、線35は3000(pixel/sec)、線36は2000(pixel/sec)、線37は1000(pixel/sec)、線38は500(pixel/sec)のフリック速度である。
【0169】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明は、複数のコンテンツのサムネイル画像及びアイコン等を画面上に表示させる端末に利用することが可能であり、特に、携帯型電子書籍端末に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0171】
1 入力部
2 接触検出部(接触検出手段)
3 書籍表示処理部
4 書籍データベース
5 ネットワーク管理部
6 移動度決定部(移動度決定手段)
7 スクロール制御部(第1の表示制御手段)
8 回転制御部(第2の表示制御手段)
9 オブジェクト表示処理部
10 出力処理部
19 表示部
100 コンテンツ表示装置
200 書棚オブジェクト(3次元オブジェクト)
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツ表示装置、制御方法、携帯端末、プログラム及び記録媒体に関し、特に、コンテンツを表すサムネイル画像を表示し、タッチパネル機能を有するコンテンツ表示装置及びその制御方法、携帯端末、ならびに当該コンテンツ表示装置の各手段を動作させるためのプログラム及び記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のサムネイル画像を並べて表示するブラウザ機能を搭載した端末が知られている。これらの多くは、2次元平面上に複数のサムネイル画像を並べて表示するものである。
【0003】
また、近年、ポータブル・デバイス又はハンドヘルド・デバイス等の様々なデバイスにおいて、タッチパネル機能を有するデバイスが開発されている。ユーザがデバイスのディスプレイに接触することにより、例えばスクロール等、ディスプレイ上に表示されるアニメーションを変化させ得る。
【0004】
スクロールは、スクリーン又はディスプレイ・ウィンドウにわたって、テキスト、図面又はイメージ等のコンテンツの方向を、水平又は垂直にスライドさせる動作である。このスクロール動作に関して、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1には、ユーザ入力に対してスクロール動作させたとき、ユーザ入力が止まった後、ドラッグ操作によるユーザの入力速度に所定の減速率を適用することによりスクロールが停止するまで減速させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開公報第2008/085877パンフレット(2008年7月17日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では、スクロールを停止させる位置をユーザの入力速度と減速率とから求めており、停止する位置が不定である。そのため、ユーザが目的とするコンテンツに対応する画像を探すために画面をスクロールさせると、スクロールが停止した時点で画面上に表示される画像が欠けていることがある。この場合、ユーザは欠けている画像を確認するために、再び画面をスクロールさせて画像全体を表示させるという操作をしなくてはならず、煩わしさを感じることがある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザの操作性を向上させることができるコンテンツ表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンテンツ表示装置は、上記の課題を解決するために、コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクトの一部を表示する表示部と、上記表示部上に設置され、接触によるユーザ入力を受け付ける入力部と、上記ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出手段と、ある画面の表示中に、上記接触検出手段が上記多角柱の長手方向への動きを検出した場合、上記3次元オブジェクトの表示領域を当該長手方向にスクロール移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第1の表示制御手段と、ある画面の表示中に、上記接触検出手段が上記多角柱の長手方向と直交する方向への動きを検出した場合、当該多角柱の長手軸を回転軸として上記3次元オブジェクトを回転させるように表示領域を移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第2の表示制御手段と、上記他の画面に表示される上記画像の一部が途切れないように、上記第1の表示制御手段及び上記第2の表示制御手段によって移動される表示領域の移動度を決定する移動度決定手段とを備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明に係る制御方法は、上記の課題を解決するために、コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクトの一部を表示する表示部と、上記表示部上に設置され、接触によるユーザ入力を受け付ける入力部とを備えているコンテンツ表示装置の制御方法であって、上記ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出ステップと、上記接触検出ステップにおいて、ある画面の表示中に上記多角柱の長手方向への動きが検出された場合、上記3次元オブジェクトの表示領域を当該長手方向にスクロール移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第1の表示制御ステップと、上記接触検出ステップにおいて、ある画面の表示中に上記多角柱の長手方向と直交する方向への動きが検出された場合、当該多角柱の長手軸を回転軸として上記3次元オブジェクトを回転させるように表示領域を移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第2の表示制御ステップと、上記他の画面に表示される上記画像の一部が途切れないように、上記第1の表示制御ステップ及び上記第2の表示制御ステップにおいて移動される表示領域の移動度を決定する移動度決定ステップとを包含していることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、本発明のコンテンツ表示装置は、多角柱の仮想3次元オブジェクト及びその各側面に配置された複数の画像を画面に表示する。入力部に対しては接触によるユーザ入力がなされ、接触検出手段はユーザ入力により接触された位置の動きを検出する。
【0012】
コンテンツ表示装置では、ある画面の表示中に多角柱の長手方向(以下、縦方向ともいう)への動きが検出された場合、3次元オブジェクトの表示領域を長手方向にスクロールさせて他の画面を表示させる。ここでいう他の画面とは、スクロール前に表示対象になっている側面内における別の領域を指す。つまり、本発明において3次元オブジェクトはその全体が表示部に表示されず、その一部が表示される構成である。
【0013】
また、ある画面の表示中に多角柱の長手軸と直行する方向への動きが検出された場合、3次元オブジェクトの長手軸を回転軸として表示領域を回転移動させて他の画面を表示させる。ここでいう他の画面とは、回転前に表示対象になっている側面とは異なる別の側面である。但し、回転後に再び元の側面に戻ることもあり得る。
【0014】
本明細において多角柱の中心軸とは、多角柱の底面の重心を通る、多角柱の底面と直交する軸のことを指す。
【0015】
このように、本発明ではその全体が画面上に表示されない3次元オブジェクトを仮想3次元空間内でスクロール又は回転させることによって、それまで表示されていなかった領域に配置されているコンテンツの画像を表示させることができる。
【0016】
また、多角柱のオブジェクトを回転させたり、その側面について眺める箇所を縦方向に変化させたりする動作は、本屋等に置かれている回転式書棚における動作を連想させる。そのため、コンテンツ表示装置に初めて接する人、又は機器の操作に不慣れな人であっても、操作方法を容易に理解することができる。
【0017】
さらに、本発明では、3次元オブジェクトにおける表示領域を同じ側面内で縦方向にスクロール移動させたり、別の側面に回転移動させたりするとき、画面上に表示される画像が途切れないように移動させる。
【0018】
例えば、ユーザが画面を指で軽くはらうフリック操作により表示領域をスクロール移動させるとき、画面から指を放した後もある程度スクロール移動が継続される。このとき、スクロール移動が停止される位置によっては画面に表示されるコンテンツの画像が途切れることがある。これでは、ユーザが欠けている画像を確認するために、再び画面をスクロールさせて画像全体を表示させるという操作をしなくてはならず、煩わしさを感じることがある。
【0019】
本発明によれば、移動後に画面上に表示される画像が途切れないようにスクロール又は回転の移動度を決定するため、画像が欠けることがなく、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記表示部は、複数の上記画像が上記各側面の行列方向に配置されるように表示することが好ましい。
【0021】
このように、3次元オブジェクトに配置される画像が行列方向に並んでいることにより、画面の範囲内に画像を途切れることなく表示させることが容易である。
【0022】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記接触検出手段は、上記動きの速さを検出しており、上記移動度決定手段は、上記接触検出手段によって検出された動きの速さに基づいて上記移動度を決定することが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、入力部へのユーザ入力の速度を変更することによって、表示領域をスクロール移動させたり回転移動させたりするときの距離を変更させることができる。そのため、1回の入力操作であっても、その速度に応じて例えば画像の列を1列分移動させたり、2列分移動させたりすることができる。よって、ユーザはより快適に操作することができる。
【0024】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記移動度決定手段は、上記動きの速さに基づいて上記表示領域の移動速度を決定することが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、入力部へのユーザ入力の速度を変更することによって、表示領域をスクロール移動させたり回転移動させたりする速度を変更させることができる。そのため、例えばユーザが予め目的とするコンテンツを早く見つけたい場合には接触速度を速くすることによって短時間で所望のコンテンツを表示させることが可能である。
【0026】
また、ユーザが閲覧したいコンテンツが特に決まっておらず、どのようなコンテンツがあるか探しながら表示させたい場合には、接触速度を遅くすることによってコンテンツを快適に検索することができる。
【0027】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記移動度決定手段は、上記動きの速さから上記第1の表示制御手段が上記表示領域をスクロール移動させるときの行の数を決定することが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、コンテンツ表示装置では、3次元オブジェクトの長手方向に表示領域をスクロール移動させる場合、動きの速さに応じて表示領域を移動させる行の数を決定している。また、上述したように複数の画像は行列方向に配置されている。よって、表示領域を移動させても画面の範囲内に画像を途切れることなく表示させることができる。
【0029】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記移動度決定手段は、上記動きの速さから上記第2の表示制御手段が上記表示領域を回転移動させるときの面の数を決定しており、上記第2の表示制御手段は、上記回転移動によって上記表示領域になる側面と上記表示部の表示面とが平行になるように上記他の画面を表示させることが好ましい。
【0030】
上記の構成によれば、コンテンツ表示装置では、3次元オブジェクトの長手軸を回転軸として回転移動させる場合、動きの速さに応じて表示領域を移動させる面の数を決定している。つまり、ユーザにより3次元オブジェクトの長手方向と直交する方向への入力操作が行なわれたとき、回転移動を面単位で制御している。
【0031】
また、回転移動によって表示領域になる側面は、表示部の表示面と平行になるように表示させている。つまり、表示対象になる側面が正面を向くように表示させる。よって、表示領域を移動させても画面の範囲内に画像を途切れることなく表示させることができる。
【0032】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記3次元オブジェクトは側面毎にコンテンツのカテゴリが規定されており、各側面に配置される画像は、当該側面に規定されたカテゴリに属するコンテンツの画像であることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、各側面には側面毎に共通のカテゴリに分類されるコンテンツが含まれている。そのため、コンテンツの管理がし易くなると共に、目的のコンテンツの探索がより容易になる。
【0034】
また、本発明に係るコンテンツ表示装置において、上記コンテンツは電子書籍であり、上記画像は電子書籍のサムネイル画像であり得る。
【0035】
上述したように、本発明のコンテンツ表示装置はスクロール又は回転によって複数の画像が配置された3次元オブジェクトの表示領域を変更することができるため、多くのコンテンツの画像を容易に見ることができる。この3次元オブジェクトに配置される画像が電子書籍に対応するものであれば、ユーザはさながら本屋にいるように様々な書籍を視覚的に検索することができる。
【0036】
本発明に係る携帯端末は、上記の課題を解決するために、本発明のコンテンツ表示装置を備えていることを特徴としている。
【0037】
上記の構成によれば、ユーザは様々な場所において、本屋にいるような感覚で様々な書籍を視覚的に検索することができる。
【0038】
なお、上記コンテンツ表示装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させるためのプログラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0039】
本発明のコンテンツ表示装置は、コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクトの一部を表示部に表示させ、ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出手段と、ユーザ入力に基づいて表示領域をスクロール移動させる第1の表示制御手段と、3次元オブジェクトを回転移動させる第2の表示制御手段とを備えており、移動後の画面に表示させる画像が途切れることがないように表示領域の移動度を決定するため、ユーザの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツ表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すコンテンツ表示装置の表示部に表示される3次元オブジェクト及びその一部を表示したコンテンツ表示装置の画面を示す図である。
【図3】図1に示すコンテンツ表示装置における画面表示例を示す図である。
【図4】図2に示す3次元オブジェクトの表示領域を移動させるときの様子を説明するための図である。
【図5】図2に示す3次元オブジェクトを回転させるときの様子を説明するための図である。
【図6】説明のために図2に示す3次元オブジェクトを展開した図である。
【図7】図1に示すコンテンツ表示装置の画面に表示させるサムネイル画像の表示パターンの例を示す図である。
【図8】図2に示す3次元オブジェクトにおいて、カテゴリが「定期購読」である棚面を表示している画面の表示状態を示す図である。
【図9】本発明の一実施例において、横フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図10】本発明の一実施例において、横フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図11】本発明の一実施例において、横フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図12】本発明の一実施例において、横フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図13】本発明の一実施例において、横フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図14】本発明の一実施例において、縦フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図15】本発明の一実施例において、縦フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図16】本発明の一実施例において、縦フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【図17】本発明の一実施例において、縦フリックに最適なパラメータを評価する実験を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係るコンテンツ表示装置の一実施形態について、図1〜8に基づいて説明する。
【0042】
〔コンテンツ表示装置の概要〕
まず、本実施形態に係るコンテンツ表示装置の概要について説明する。
【0043】
本実施形態のコンテンツ表示装置は、多角柱の3次元オブジェクトを仮想3次元空間内に配置し、当該3次元オブジェクトの一部を表示するように構成されている。3次元オブジェクトの各側面にはコンテンツを表す画像が行列方向に複数配置されており、3次元オブジェクトを回転させたり、多角柱の長手方向にスクロールさせたりするユーザの入力操作により、画面上に表示される表示領域を移動することができるようになっている。
【0044】
このとき、ユーザの入力操作による表示領域の移動は、移動後の画面上に表示される画像が途切れることがないように制御されている。よって、ユーザが3次元オブジェクトに配置される複数のコンテンツの中から所望のコンテンツを探すとき、スクロール又は回転が停止した画面に表示される画像が欠けることがないため、目的の画像を容易に探索することができる。
【0045】
〔3次元オブジェクト〕
ここで、本実施形態に係るコンテンツ表示装置において表示させる3次元オブジェクトについて説明する。
【0046】
図2は、3次元オブジェクト及びその一部を表示したコンテンツ表示装置の画面を示す図である。図中右側が3次元オブジェクト200の外観を表しており、図中左側が3次元オブジェクト200の一部を表示したコンテンツ表示装置の画面20を表している。図2中、破線枠で示す表示領域14が3次元オブジェクト200において実際に画面20に表示される領域である。
【0047】
本実施形態において、3次元オブジェクト200は4つの側面11を持つ直方体であり、複数の電子書籍(コンテンツ)が各側面に配置された書棚の構造を有している。以下、3次元オブジェクトを書棚オブジェクトと称し、側面を棚面と称することもある。
【0048】
図2に示すように、書棚オブジェクト200は4つの棚面11を有しており、各棚面11には複数の棚13が設けられている。各棚13の上には複数の電子書籍の表紙を表すサムネイル画像(単に「画像」ともいう)12が置かれるように表示されており、ユーザはいずれかのサムネイル画像12に対して選択操作を行なうことにより、選択したサムネイル画像12に対応する電子書籍の中身を閲覧することが可能になる。
【0049】
ユーザによる入力操作としては、表示画面上に直接接触する方法とコンテンツ表示装置に設けられた入力キー等からの操作とが挙げられる。つまり、本実施形態のコンテンツ表示装置はタッチパネルを備えており、ユーザはタッチパネル(画面)に接触して種々の操作が行なえるようになっている。
【0050】
タッチパネルに対する入力操作方法としては、例えば、タップ操作、ドラッグ操作、フリック操作又はピンチ操作等が挙げられる。タップ操作とは、画面を指で軽く叩く動作を指し、例えばビューアの起動又は表示されているボタンの押下等を実行させる。ドラッグ操作とは、画面上で指をずらす動作を指し、例えば書棚オブジェクト200の回転又はスクロール等を実行させる。フリック操作とは、画面を指で軽くはらう動作を指し、例えば書棚オブジェクト200の回転又はスクロール等を実行させる。ピンチ操作とは、画面上を2本の指でつまむ動作を指し、例えば書棚オブジェクト200の拡大縮小等を実行させる。
【0051】
このように、ユーザは画面に直接接触することにより、表示させる表示領域を上下にスクロール移動させたり、書棚オブジェクト200を回転させたりして、画面20に表示される画像12を変更することができる。
【0052】
なお、3次元オブジェクトの形状は直方体に限定されるものではなく、他の多角柱であってもよい。また、図2では4つの電子書籍が配置された棚13が5段ある構成であるが、配置されるコンテンツの数も限定されるものではなく、製造者が適宜設定すればよい。書棚オブジェクト200の表示例については後述する。
【0053】
次に、本実施形態に係るコンテンツ表示装置が備える各構成の詳細について説明する。
【0054】
〔コンテンツ表示装置の各構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ表示装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、コンテンツ表示装置100は、入力部1、接触検出部2(接触検出手段)、書籍表示処理部3、書籍データベース4、ネットワーク管理部5、移動度決定部6(移動度決定手段)、スクロール制御部7(第1の表示制御手段)、回転制御部8(第2の表示制御手段)、オブジェクト表示処理部9、出力処理部10、及び表示部19を備えている。
【0055】
入力部1は、表示部19の上に設置され、接触によるユーザ入力を受け付ける。つまり、本実施形態において入力部1及び表示部19は一体化されたタッチパネルを構成している。
【0056】
接触検出部2は、入力部1が受け付けたユーザ入力、すなわち接触から入力情報を検知する。接触検出部2が検出する入力情報は、例えば、接触の位置、速度又は距離等の動き情報であり、検出した入力情報を書籍表示処理部3又は移動度決定部6に送信する。
【0057】
書籍表示処理部3は、書籍データベース4から表示すべき書籍データを取得し、取得した書籍の表紙を表示させる際のサムネイル画像12を生成して出力処理部10に送る。また、書籍表示処理部3は、表示されている書籍を書籍データベース4に送って書棚オブジェクト200から削除することができる。書籍表示処理部3による書棚オブジェクト200への書籍の配置及び削除は、入力部1に対するユーザ入力に従って行なってもよいし、予め設定された基準(例えば、表示期間等)に従って自動で行なってもよい。
【0058】
書籍データベース4は、ネットワーク管理部5によって取得された書籍データを記憶装置に記憶させると共に、取得した書籍データを管理する。また、書籍表示処理部3からの取得要求に応じて書籍データを書籍表示処理部3に送る。
【0059】
ネットワーク管理部5は、図示しない通信手段を介してネットワーク上のサーバからコンテンツデータである書籍データを取得する。
【0060】
移動度決定部6は、接触検出部2が検出した動き情報に基づいて、画面20に表示させる書棚オブジェクト200の表示領域を移動させるときの移動度を決定する。具体的には、接触検出部2が書棚オブジェクト200の長手方向(縦方向)への動きを検出した場合、移動度決定部6はその動きの速さから、書棚オブジェクト200の表示領域を縦方向にスクロール移動させるときの行の数(移動度)を決定し、決定した移動度の情報をスクロール制御部7に送信する。一方、接触検出部2が書棚オブジェクト200の長手方向と直交する方向への動きを検出した場合、移動度決定部6はその動きの速さから、書棚オブジェクト200を回転させるように表示領域を移動させるときの面の数(移動度)を決定し、決定した移動度の情報を回転制御部8に送信する。
【0061】
このとき、移動度決定部6は、ある画面の表示中に表示領域が移動されることによって他の画面が表示されるとき、すなわち、書棚オブジェクト200における表示領域が移動したとき、他の画面に表示される電子書籍の画像12の一部が途切れないように移動度を決定する。このような移動度の決定は、特にフリック操作により接触されたときに行なう。
【0062】
つまり、入力部1へのユーザ入力の速度を変更することによって、表示領域をスクロール移動させたり回転移動させたりするときの距離を変更させることができる。そのため、1回の入力操作であっても、その速度に応じて例えば画像の列を1列分移動させたり、2列分移動させたりすることができる。よって、ユーザはより快適に操作することができる。
【0063】
移動度を決定する際の基準は特に限定されないが、例えば、予め用意した所定のパラメータを用いて移動度を算出すればよい。
【0064】
また、移動度決定部6は、当該動きの速さに基づいて表示領域の移動速度を決定することが好ましい。例えば、フリック操作の速度が速い場合には移動速度を速くし、フリック操作の速度が遅い場合には移動速度を遅くするように決定する。
【0065】
これにより、例えばユーザが予め目的とするコンテンツを早く見つけたい場合には接触速度を速くすることによって短時間で所望のコンテンツを表示させることが可能である。また、ユーザが閲覧したいコンテンツが特に決まっておらず、どのようなコンテンツがあるか探しながら表示させたい場合には、接触速度を遅くすることによってコンテンツを快適に検索することができる。
【0066】
スクロール制御部7は、移動度決定部6において決定された移動度に従って、書棚オブジェクト200の表示領域を長手方向にスクロール移動させて他の画面を表示させるためのアニメーション情報を作成する。
【0067】
ここでいう他の画面とは、スクロール前に表示対象になっている側面11内における別の領域を指す。このスクロール移動は表示領域に指定されている棚面11内における上下移動である。スクロール制御部7は、作成したアニメーション情報をオブジェクト表示処理部9に送信する。
【0068】
なお、本明細書においてアニメーションとは、仮想3次元空間内で書棚オブジェクト200を回転させたり棚面11を移動させたりして表示を変化させる機能を指す。
【0069】
回転制御部8は、移動度決定部6において決定された移動度に従って、書棚オブジェクト200の表示領域を図2中「X」で示す直方体の中心軸(長手軸)を回転軸として、中心軸Xと直交する方向に回転移動させて他の画面を表示させるためのアニメーション情報を作成する。
【0070】
ここでいう他の画面とは、回転前に表示対象になっている側面とは異なる別の側面である。但し、回転後に再び元の側面に戻ることもあり得る。なお、本明細において直方体の中心軸とは、直方体の底面の重心を通る、直方体の底面と直交する軸のことを指す。
【0071】
また、回転制御部8は、回転移動が止まるとき、画面20に表示される棚面11が正面を向くように移動させる。ここでいう正面とは、表示領域になる棚面11と表示部19の表示面とが平行になるように表示されたときの面である。回転制御部8は、作成したアニメーション情報をオブジェクト表示処理部9に送信する。
【0072】
オブジェクト表示処理部9は、スクロール制御部7又は回転制御部8が作成したアニメーション情報から、表示部19が表示すべき書棚オブジェクト200の画像を生成し、出力処理部10に送信する。
【0073】
オブジェクト表示処理部9が書棚オブジェクト200の画像を生成する際に用いるアニメーション情報はスクロール移動又は回転移動に関するものに限らず、例えば、他の視覚効果が付加されるようなアニメーション情報を用いてもよい。他の視覚効果としては、例えば、棚面11の拡大縮小、書棚オブジェクト200の透明化、背景画像の変更等が挙げられる。
【0074】
出力処理部10は、書籍表示処理部3が生成した書籍のサムネイル画像12及びオブジェクト表示処理部9が生成した書棚オブジェクト200の画像から、書棚オブジェクト200の棚面11にサムネイル画像12が配置されるように合成し、合成した画像を表示部19に表示させる。
【0075】
なお、コンテンツ表示装置100の画面20上における上述した表示内容を理解した当業者によれば、OpenGL(Open Graphics Library)などの公知の技術を適用することにより、書棚オブジェクト200及び各棚面11の表示、書棚オブジェクト200の回転及びその表示、ならびに棚面11のスクロール移動及びその表示などを実現できる。そのため、これらの表示を実現するための各処理部及び各管理部における具体的なデータの処理方法及び管理方法については、その説明を省略する。
【0076】
表示部19は、液晶パネル等から構成することができる。
【0077】
このように、本実施形態のコンテンツ表示装置100では、画面20に表示させる書棚オブジェクト200内の表示領域を変更する場合、視点の位置を変えるのではなく、視点の位置はそのままで書棚オブジェクト200を回転させたり、書棚オブジェクト200の棚面11を移動させたりする。これにより、仮想の視点から見える領域を変更し、画面20に表示される表示領域14の位置が変更されることになる。
【0078】
〔書棚オブジェクトの表示〕
次に、コンテンツ表示装置100の画面20における書棚オブジェクト200の表示方法について説明する。図3は、コンテンツ表示装置100における画面表示例を示す図である。
【0079】
本実施形態では、4つの棚面11に互いに異なるカテゴリが規定されており、棚面11には各々規定されたカテゴリに属する電子書籍のサムネイル画像12が配置されている。カテゴリに制限はないが、本実施形態では「未読・おすすめ」、「最近読んだ本」、「お気に入り」及び「定期購読」の4つに分類し、4つの棚面11のカテゴリをそれぞれ規定している。
【0080】
このように、側面11毎に共通のカテゴリに分類されるコンテンツが含まれていることにより、コンテンツの管理がし易くなると共に、目的のコンテンツの探索がより容易になる。また、上述したように、コンテンツ表示装置100はスクロール又は回転によって複数の画像12が配置された書棚オブジェクト200の表示領域14を変更することができるため、多くのコンテンツの画像12を見ることが容易である。よって、ユーザはさながら本屋にいるように様々な書籍を視覚的に検索することができる。
【0081】
なお、上述したように、書棚オブジェクト200の形状は直方体に限らず、他の多角柱であってもよい。そのため、棚面11の数は4つに限らず、各棚面11を規定するカテゴリの種類も4つに限定されない。
【0082】
コンテンツ表示装置100では、図3に示すようにユーザ操作による表示領域の移動が行なわれていないとき、画面20には書棚オブジェクト200の正面の部分が表示される。ここでは、画面20には棚13の上にサムネイル画像12が置かれているように棚13及び書籍のサムネイル画像12が表示されている。
【0083】
画面20の上部には、書棚オブジェクト200の各棚面11のカテゴリを示すインジケータが設けられており、現在表示されている棚面11のカテゴリが分かるようになっている。
【0084】
例えば、図3では「未読・おすすめ」のインジケータが点灯しており、現在表示されている棚面11のカテゴリが「未読・おすすめ」であることを示している。このインジケータは棚面選択ボタン17を兼ねており、表示させたいカテゴリのインジケータを選択することによって、表示される棚面11が切り換わる。また、画面20の下部には、コンテンツ表示装置100の各機能を実行するための操作入力ボタン18が表示されている。
【0085】
また、画面20では棚面11をやや上方から見下ろして眺めた状態の表示になっている。そのため、棚面11に設けられている棚13の上面が見えるように画面20に表示されている。また、現実世界において棚面11をやや上方から見下ろしたとき、より下側に配置される棚13ほど見える上面の割合が多くなるが、書棚オブジェクト200においても同様に下側に配置される棚13ほど上面の面積が大きくなるように表示されている。
【0086】
ここで、書棚オブジェクト200を仮想3次元空間内で動かすことによって画面20の表示内容を変化させる方法について説明する。
【0087】
(棚面のスクロール)
コンテンツ表示装置100では、書棚オブジェクト200の各棚面11における長手方向の長さは、画面20に一度に表示できる長さを超える。そのため、表示対象になる棚面11において、画面20に実際に表示されている領域は図2に示すように棚面11の一部である。
【0088】
つまり、図2において破線枠で囲まれた表示領域14が実際に画面20に表示されている領域であり、その他の領域は画面20に表示されていない。したがって、画面20に表示されている棚面11を長手方向に移動させて表示領域14を変更し、それまで表示されていなかった領域を画面20に表示させる。これにより、表示されていなかった領域に配置されている書籍の画像12を見ることができる。
【0089】
コンテンツ表示装置100では、ユーザがタッチパネル(入力部1)上で移動させたい方向にフリック操作を行なうことによって、フリックした方向と同じ方向に棚面11をスクロール移動させて、それまで表示されていなかった領域を表示させるようになっている。このとき、フリックの速度に応じて棚面11の移動距離(行の数)を決定し、その決定に基づいて棚面11を移動させる。
【0090】
フリックの速度に対してどの程度棚面11を移動させるかは、棚面11の移動後に画面20に表示される画像12の一部が途切れないようにする限り限定されるものではなく、製造者が適宜決定すればよい。例えば、上述したように、予め用意した移動度を決定するためのパラメータを用いて、スクロール移動させる距離を求めればよい。
【0091】
図4は、書棚オブジェクト200の表示領域14を移動させるときの様子を説明するための図である。図4の(a)は移動前の棚面11を表しており、ここで矢印Aの方向にフリックが行なわれた場合、棚面11を上方に移動させて、棚面11のより下部に表示領域14を移動させる(図4の(b))。その後、表示領域14の移動が棚面11のより下部に停止し、別の画像12が途切れないように表示される(図4の(c))。
【0092】
なお、棚面11の長手(縦)方向への移動は各棚面11の範囲内で独立に制御されている。つまり、縦方向にスクロール移動させる棚面11は、操作時に画面20に表示されている棚面11のみである。
【0093】
例えば、各棚面11の最上部が表示領域14に指定されているとき、いずれかの棚面11の表示中にフリック操作を行なって当該棚面11における表示領域14を下部に移動させる。このとき、表示領域14が移動される棚面11は操作している棚面11のみであり、他の棚面11では表示領域14は移動されずに最上部のままである。そのため、表示領域14を移動させた後に、書棚オブジェクト200を回転させて別の棚面11を表示させた場合であっても、別の棚面11では前回その棚面11を見たときの状態が保たれている。
【0094】
一例として、「お気に入り」のカテゴリに対応する棚面11の最上部を表示させた状態で書棚オブジェクト200を回転させて「未読・おすすめ」の棚面11に移動し、スクロール操作によって棚面11の下部を表示させたとする。このときに、再び書棚オブジェクト200を回転させて「お気に入り」の棚面11に戻ったとき、この棚面11においても表示領域14が移動されてしまうと、ユーザは再度スクロール操作を行なって表示領域14を移動させる必要があり、ユーザにとって不便である。
【0095】
しかし、コンテンツ表示装置100では、書棚オブジェクト200を回転させて他の棚面11に移動したとき、以前見ていた棚面11の状態が表示されるため、ユーザの手間をとらせない。
【0096】
(書棚オブジェクトの回転)
コンテンツ表示装置100では、ユーザの入力操作によって書棚オブジェクト200を画面20内の仮想3次元空間内において、中心軸Xを回転軸として回転させることができる。書棚オブジェクト200を回転させることによって、正面に表示される、すなわち表示対象になる棚面11を変更することができる。
【0097】
本実施形態のコンテンツ表示装置100は、ユーザがタッチパネル(入力部1)上で回転軸と略直交する方向(画面20において横方向)にフリック操作を行なうことによって、書棚オブジェクト200を回転させるようになっている。このように書棚オブジェクト200を回転させることにより、正面にくる、すなわち表示対象になる棚面11を変更することができる。
【0098】
具体的には、フリック操作によって書棚オブジェクト200がフリックした方向と同じ方向に回転して、隣接する棚面11又はさらにその隣接する棚面11が正面にきて画面20に表示されるようになっている。
【0099】
図5は、書棚オブジェクト200を回転させるときの様子を説明するための図である。図5の(a)は回転前の書棚オブジェクト200を表しており、ここで矢印Bの方向にフリック操作が行なわれた場合、棚面11aを右方向に回転させて(図5の(b))、隣接する棚面11bの正面を表示させる(図5の(c))。これにより、あるカテゴリに属する書籍の画像12aから別のカテゴリに属する書籍の画像12bを表示させるため、画像12bを選択することができるようになる。この回転移動を図6に基づいてさらに説明する。
【0100】
図6は、説明のために書棚オブジェクト200を展開した図である。但し、図6において上面と底面の図示は省略している。
【0101】
図6の(a)は、回転前の書棚オブジェクト200を表しており、「未読・おすすめ」のカテゴリに対応する棚面11aの正面が画面20に表示されている状態である。この状態において、棚面11aに隣接する「最近読んだ本」のカテゴリに対応する棚面11bを表示させたいとき、棚面11aから見て棚面11bとは反対方向(矢印Bの方向)にフリック操作する。これにより、棚面11aが矢印Bの方向に移動するように書棚オブジェクト200が回転して棚面11bが正面にくることによって表示領域14が棚面11bに移動し、棚面11bが画面に表示されるようになる(図6の(b))。
【0102】
なお、書棚オブジェクト200の回転は1回転に限定されるものではなく、フリックの速度に応じて棚面11の移動距離、すなわち回転数を決定し、その決定に基づいて棚面11が回転させればよい。例えば、フリックの速度が遅い場合には1面分移動させて隣接する棚面11を表示させるようにしてもよいし、フリック速度が速い場合は2つ隣りの棚面11、すなわち回転させる前に表示されていた棚面11の反対側に位置する棚面11を表示させてもよい。
【0103】
フリックの速度に対してどの程度棚面11を回転させるかは、棚面11の回転後に画面20に表示される画像12の一部が途切れず、回転移動によって表示対象になる棚面11と表示面とが平行になる限り限定されるものではなく、製造者が適宜決定すればよい。例えば、上述したように、予め用意した移動度を決定するためのパラメータを用いて、回転移動させる面の数を求めればよい。
【0104】
また、上述したスクロール移動又は回転移動の操作はフリック操作に限らず、例えばドラッグ操作を用いることができる。ドラッグ操作は、ユーザの指をタッチパネルに接触させたまま任意の方向に移動させる動作である。ドラッグ操作によって書棚オブジェクト200を回転させたり棚面11をスクロール移動させたりした後、所望の書籍の画像12が画面に表示されたときに指をタッチパネルから放すことによって、表示させる棚面11又は領域を変更することができる。
【0105】
例えば、隣接する棚面11への回転の途中でドラッグ操作が終了した場合、その時点の書棚オブジェクト200の回転角度に応じて、さらに回転を進めるか又は回転を戻すかを決定していずれか一方の棚面11を表示させ得る。また、棚面11内のスクロール移動中にドラッグ操作が終了したときの画面20に表示されている画像12の一部が途切れている場合、棚面11を上下いずれかにスクロール移動させて画像12が欠けないように表示させることができる。
【0106】
また、表示させる棚面11の変更方法は他にも、いずれの棚面11を表示させるかを直接指示可能な棚面選択ボタン17の操作によって、表示させる棚面11を変更することができる。棚面選択ボタン17は、画面20の上部にオブジェクトとして表示されており、タッチパネルによってボタン選択操作の入力を可能にしている。この場合においても、画面20では選択した棚面11が表示されるまで書棚オブジェクト200が回転する状態が表示される。このときの回転方向は、それまでのユーザの操作、回転角度、及び製造者による設定等によって決定することができる。
【0107】
このように、画面20に表示されている書棚オブジェクト200及び棚面11を操作する動作は、本屋などに置かれている回転式書棚における動作を連想させるものである。そのため、コンテンツ表示装置100に初めて接する人や、機器の操作に不慣れな人であっても、コンテンツ表示装置100の操作方法を容易に理解することができる。すなわち、ユーザにとって操作し易いユーザインターフェイスを有しているということができる。
【0108】
なお、本屋などに置かれている回転式書棚と異なり、例えば棚面11の下の方を見たいときに、眺めている棚面11そのものを、その棚面11のみ上方向に動かすことができる。さらに、この状態で書棚オブジェクト200を回転させることができる。したがって、ある棚面11の異なる高さ位置を見た後、書棚オブジェクト200を回転させたときに、もとの高さ位置に視点を戻すといった作業無しに、他の棚面11においてはもとの高さ位置を見ることができる。
【0109】
〔その他のアニメーション〕
本実施形態のコンテンツ表示装置100では、書棚オブジェクト200の回転又は棚面11をスクロール移動させるアニメーションの他に、例えば、棚面11の拡大縮小、又は書棚オブジェクト200の透明化等が可能である。
【0110】
(拡大縮小表示)
コンテンツ表示装置100では、棚面11を画面20に表示している状態において棚面11の大きさを調整して、画面20に表示させる画像12の数を変更可能に構成されている。
【0111】
図7は、画面20に表示させるサムネイル画像12の表示パターンの例を示す図である。図7の(a)は20枚のサムネイル画像12を表示している状態を示しており、図7の(b)は28枚のサムネイル画像12を表示している状態を示している。
【0112】
棚面11をより大きく表示させた場合、各サムネイル画像12が見易くなるが、一度に画面20に表示できるサムネイル画像12の数(一度に表示できる棚13の数と相関がある)は減少する。一方、棚面11をより小さく表示させた場合、一度に多くのサムネイル画像12を表示することが可能となる。このように、コンテンツ表示装置100では、必要に応じて棚面11の縮尺率を変更することが可能である。
【0113】
画面20に表示させるサムネイル画像12の数の変更は、ユーザの入力操作によって行なうことができる。具体的には、タッチパネル上でピンチアウト操作を行なうことによって、棚面11を拡大表示させ、各サムネイル画像12を大きく表示させる。一方、タッチパネル上でピンチイン操作を行なうことによって、棚面11を縮小表示させ、各サムネイル画像12を小さく表示させる。
【0114】
ここでピンチアウト操作とは、ユーザの2本の指などを同時に操作面上に接触させて、そのままその2本の指を開く動作を行なう操作である。また、ピンチイン操作とは、ユーザの2本の指などを同時に操作面上に接触させて、そのままその2本の指を閉じる動作を行なう操作である。
【0115】
(透明化処理)
コンテンツ表示装置では、書棚オブジェクト200の回転及び棚面11のスクロール移動を画面20に表示する際に、棚面11及びサムネイル画像12の一部の半透明にする処理を行なうことができる。
【0116】
例えば、表示されている棚面11上にあるサムネイル画像12の透明度が0%のとき、隣接する棚面11ならびにこれらに貼り付けられているサムネイル画像12は画面20には表示されない。
【0117】
一方、棚面11の透明度を上げた場合、ある棚面11が正面にきていても隣接する棚面11に配置されるサムネイル画像12が透けて見える。さらに、サムネイル画像12の透明度を上げた場合、隣接する棚面11に配置される画像12がより見えるようになる。
【0118】
このように、棚面11を一部半透明にしたり、その半透明の度合いを変化させたりすることにより、ユーザは3次元オブジェクトを操作している実感が得られる。また、隣接する棚面11が表示されることにより、隣接する棚面11がどのようなカテゴリによる棚面11か、又はその棚面11にどのような書籍(サムネイル画像)が置かれているかを知ることができ、目的の書籍をより簡単に探し出すことができる。
【0119】
〔定期購読棚の表示〕
次に、図8を参照して、カテゴリが「定期購読」である棚面11の表示方法を説明する。
【0120】
図8は、カテゴリが「定期購読」である棚面11を表示している画面20の表示状態を示す図である。定期購読の棚面11は、週刊誌又は月刊誌などの定期刊行物をバックナンバーと共に管理している棚面11である。
【0121】
図8の(a)に示すように、定期購読の棚面11ではサムネイル画像12が棚面11左側に縦方向に一列に並べられている。これらは、それぞれ定期購読している各雑誌の最新号のサムネイル画像12であり、マガジンラックにその最新号が置かれているような画像である。すなわち、現実の書棚において雑誌のマガジンラックが縦方向に並んでいる状態に似ている。
【0122】
サムネイル画像12の横には、雑誌名及び最新号の号数など、定期購読している雑誌の情報15がテキスト表示されている。さらにその横には、その雑誌のバックナンバーを表示させるための選択ボタン16が設けられている構成となっている。
【0123】
図8の(b)は、図8の(a)に示す画面20においてある定期購読雑誌の選択ボタン16を選択操作して、そのバックナンバーを一覧表示させたときの画面20を示す図である。
【0124】
バックナンバーを表示させるための選択ボタン16に対して入力操作がなされると、選択されたマガジンラック以外のマガジンラックの表示がなくなり、選択されたマガジンラックの表示が画面20の上部に移動すると共に、その下側に各バックナンバーのサムネイル画像12’を配列してその雑誌のバックナンバーを一覧表示する状態へと遷移する。ユーザはこの中から目的のバックナンバーを選べばよい。
【0125】
これは、書棚のマガジンラックを開けて、各バックナンバーを取り出してその中から読みたいバックナンバーを選ぶ現実の動作に似ている。そのため、ユーザは、雑誌の総数が数百に及んだとしても、容易に目的の雑誌を選び出すことができる。
【0126】
(プログラム及び記録媒体)
最後に、コンテンツ表示装置100に含まれている各部は、ハードウェアロジックによって構成すればよい。また、次のように、CPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0127】
すなわちコンテンツ表示装置100は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、このプログラムを格納したROM、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM、及び、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。この構成により、本発明の目的は所定の記録媒体によっても達成できる。
【0128】
この記録媒体は、上述した機能を実現するソフトウェアであるコンテンツ表示装置100のプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録していればよい。コンテンツ表示装置100に、この記録媒体を供給する。これにより、コンピュータとしてのコンテンツ表示装置100(又はCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すればよい。
【0129】
プログラムコードをコンテンツ表示装置100に供給する記録媒体は、特定の構造又は種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスク又はCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、もしくはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0130】
また、コンテンツ表示装置100を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介してコンテンツ表示装置100に供給する。この通信ネットワークはコンテンツ表示装置100にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類又は形態に限定されない。例えばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
【0131】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成又は種類のものに限定されない。例えばIEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【実施例】
【0132】
以下に示す実施例では、フリック操作によって表示領域が移動されるときの移動度を算出するためのパラメータを検討した。この検討は、複数パターンのパラメータから算出した移動度におけるフリック操作の快適さをユーザが評価することにより行なった。
【0133】
なお、以下の実施例において「強フリック」又は「弱フリック」と、フリックの強さを表す表現を用いるが、これらはフリック操作のときの速さを示すものである。すなわち、「強フリック」は速いフリックであり、「弱フリック」は遅いフリックを意味する。フリックの速さ(強さ)には、OnGestureListenerインターフェースで呼ばれるonFlingメソッドの引数velocityXの値を利用した。
【0134】
〔実施例1:横フリックの評価実験〕
まず、書棚オブジェクトを回転させるために、横フリックに最適なパラメータを評価した。横フリックに最適なパラメータは、以下の3種類の実験から求めた。
【0135】
(実施例1−1:強フリックでの最大回転面数の調査)
実施例1−1では、書棚オブジェクトを回転させるとき、強フリックで何面回転させたときユーザが快適であると感じるかを調査した。
【0136】
具体的には、書棚オブジェクトをフリック操作で回転させるとき、強フリック(3000(pixel/sec)以上の速度)したときの回転面数を変化させて、操作の快適さについて7名の被験者により5段階評価及び順位付けを行なった。なお、5段階評価は、「5」が最も快適であるという評価であり、「1」に下がるにつれ評価が低くなる。
【0137】
書棚オブジェクトは4つの側面を有する直方体であり、回転時間は評価に含めないようにした。フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。回転面数を決めるパラメータは図9の(a)に示す4種類を用意し、フレームレートは30fpsとした。図9の(a)は、強フリックをしたときの各パラメータにおける回転面数と回転時間を示す表である。
【0138】
その結果、図9の(b)及び図9の(c)に示すように、強フリックで2面回転するパラメータ2が評価及び順位共に最も高く、被験者毎のバラつきも少なかった。図9の(b)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び順位(右の斜線のバー)を示し、図9の(c)は各パラメータでの被験者による5段階評価(左の塗りつぶしたバー)及び順位(右の斜線のバー)の分散値を示す。
【0139】
(実施例1−2:強フリック及び弱フリックにおける速度の閾値の調査)
実施例1−2では、実施例1−1と同じ直方体の書棚オブジェクトを回転させるとき、強フリックと弱フリックとでユーザが快適であると感じる速度の閾値を調査した。
【0140】
具体的には、書棚オブジェクトをフリック操作で回転させるとき、2面回転させる強フリック及び1面回転させる弱フリックを行なうときの速度の閾値を変化させて、操作の快適さについて6名の被験者により5段階評価及び順位付けを行なった。5段階評価は、「5」が最も快適であるという評価であり、「1」に下がるにつれ評価が低くなる。
【0141】
なお、回転時間は評価に含めないようにした。フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。強フリック及び弱フリックの速度の閾値(pixel/sec)を決めるパラメータは図10の(a)に示す4種類を用意し、フレームレートは30fps、回転時間は1面が0.67(s)、2面が1(s)とした。図10の(a)は、各パラメータにおける強フリック及び弱フリックの速度の閾値を示す表である。
【0142】
その結果、図10の(b)及び図10の(c)に示すように、強フリック及び弱フリックの速度の閾値はパラメータ2の評価が高かった。図10の(b)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び順位(右の斜線のバー)を示し、図10の(c)は各パラメータでの被験者による5段階評価(左の塗りつぶしたバー)及び順位(右の斜線のバー)の分散値を示す。
【0143】
(実施例1−3:回転アニメーション時間の調査)
実施例1−3では、実施例1−1と同じ直方体の書棚オブジェクトを回転させるときに、ユーザが快適であると感じる回転アニメーション時間を調査した。
【0144】
具体的には、書棚オブジェクトをフリック操作で回転させるとき、アニメーション時間を変化させて、操作の快適さについて6名の被験者により5段階評価及び順位付けを行なった。5段階評価は、「5」が最も快適であるという評価であり、「1」に下がるにつれ評価が低くなる。
【0145】
なお、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。アニメーション時間を決めるパラメータは図11の(a)に示す9種類を用意し、フレームレートは30fps、強フリックで2面回転、強フリック及び弱フリックの速度の閾値は1900(pixel/sec)とした。図11の(a)は、アニメーション時間とパラメータ番号との関係を示す表である。
【0146】
その結果、図11の(b)及び図11の(c)に示すように、1面回転するときの時間及び2面回転するときの時間は、共に評価が高かったのは1秒であった。図11の(b)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び順位(右の斜線のバー)を示し、図11の(c)は1面の回転時間(s)及び2面の回転時間(s)の評価の平均値を示す図である。
【0147】
(実施例1−4:回転アニメーション時間の調査)
実施例1−4では、実施例1−3よりもさらに詳細にユーザが快適であると感じる回転アニメーション時間を調査した。
【0148】
具体的には、実施例1−3と同様に、書棚オブジェクトをフリック操作で回転させるとき、アニメーション時間を変化させて、操作の快適さについて7名の被験者により5段階評価及び順位付けを行なった。5段階評価は、「5」が最も快適であるという評価であり、「1」に下がるにつれ評価が低くなる。
【0149】
なお、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。アニメーション時間を決めるパラメータは図12の(a)に示す6種類を用意し、フレームレートは30fps、強フリックで2面回転、強フリック及び弱フリックの速度の閾値は1900(pixel/sec)とした。図12の(a)は、アニメーション時間とパラメータ番号との関係を示す表である。
【0150】
また、パラメータ5,6は、フリックの強さによって回転時間をリニアに変化させた。図12の(b)のグラフは、パラメータ5におけるフリックの強さと回転時間との関係を示し、線32は1面回転のときの回転時間とフリックの強さとの関係を示し、線33は2面回転のときの回転時間とフリックの強さとの関係を示す。
【0151】
その結果、図12の(c)に示すように、1面回転するときの時間が1.0秒から0.5秒であり、2面回転するときの時間が1.0秒から0.7秒と、フリックの強さによってリニアに変化するパラメータ5の評価が高かった。図12の(c)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び分散値(右の斜線のバー)を示す。
【0152】
以上の結果から、横フリックにおいてユーザが快適であると感じるのは、強フリックにおいて最大2面回転であり、強フリック(2面回転)及び弱フリック(1面回転)の速度の閾値は1900(pixel/sec)であり、フリックの強さによって回転時間がリニアに変化するパラメータであった。図13はフリックの強さ、回転面数及び回転時間の関係を示すグラフである。図13中、線30は1面回転時のフリックの強さと回転時間との関係を表し、線31は2面面回転時のフリックの強さと回転時間との関係を表し、線分Cは閾値を示す。
【0153】
〔実施例2:縦フリック評価実験〕
次に、書棚オブジェクトの中から目的の書籍を快適に探すための縦フリックに最適なパラメータを評価した。縦フリックに最適なパラメータは、以下の4つの実験から求めた。
【0154】
(実施例2−1)
実施例2−1では、縦フリックのための9つのパラメータを用意し、ユーザが快適であると感じるパラメータを実施例1と同様に5段階評価した。
【0155】
具体的には、書棚オブジェクトに100個の書籍を配置し、フリック操作でスクロール移動させて目的の書籍を探す際の操作の快適さについて、7名の被験者により行なった。なお、画面に表示される本の配置は横3個、縦3個にして、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。
【0156】
パラメータは初速及び減衰率に対して3つずつ用意した。初速は遅いものは0.00252vとし、中程度のものは0.0042vとし、速いものは0.00588vとした。なお、「v」はフリック速度(pixel/sec)である。減衰率は毎フレーム速度に減衰率をかけていくものとし、低いものは0.9、中程度のものは0.7、遅いものは0.5とした。なおフレームレートは一定ではない。
【0157】
その結果、図14に示すように、初速及び減衰率は共に中程度のものが最も評価が高かった。図14の(a)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値を示した表であり、図14の(b)は被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値を示した図である。
【0158】
(実施例2−2)
実施例2−2では、実施例2−1と同じ9つのパラメータを用意し、ユーザが目的の書籍を見つけるまでの時間を計測し、快適であると感じるパラメータを5段階評価した。
【0159】
具体的には、書棚オブジェクトに100個の書籍を配置し、フリック操作でスクロール移動させて34段中20段目に配置される目的の書籍を探す時間、及び操作の快適さについて、7名の被験者により行なった。なお、画面に表示される本の配置は横3個、縦3個にして、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。フレームレートは一定ではない。
【0160】
その結果、図15に示すように、(初速、減衰率)が(中、中)、(遅、高)、(速、高)の3つのパラメータにおける評価が高かった。図15の(a)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値を示した表であり、図15の(b)は、被験者が目的の書籍を見つけるまでにかかった時間をパラメータ毎に示した表であり、図15の(c)は、被験者による各パラメータでの5段階評価の平均値を示した図である。
【0161】
(実施例2−3)
実施例2−3では、実施例2−2において評価の高かった3つのパラメータを用意し、ユーザが目的の書籍を見つけるまでの時間を計測し、快適であると感じるパラメータを5段階評価した。
【0162】
具体的には、書棚オブジェクトに100個の書籍を配置し、フリック操作でスクロール移動させて34段中20段目に配置される目的の書籍を探す時間、及び操作の快適さについて、7名の被験者により行なった。なお、画面に表示される本の配置は横3個、縦3個にして、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。フレームレートは一定ではない。
【0163】
パラメータの数値は、初速及び減衰率を移動段数及び移動にかかるフレーム数に変換した。変換方法は、実際のアニメーションを目視で評価し、最も近い値に設定した。具体的には、パラメータ1は移動段数が0.00245v、移動にかかるフレーム数を15+0.002vとした。パラメータ2は移動段数が0.00065v、移動にかかるフレーム数を7+0.001vとした。パラメータ3は移動段数が0.00145v、移動にかかるフレーム数を9+0.001vとした。なお、「v」はフリック速度(pixel/sec)である。
【0164】
その結果、図16に示すように、パラメータ1に対する被験者の評価が最も高く、書籍の探索時間も最も短かった。図16の(a)は、目的の書籍を見つけるまでにかかった時間の平均値及び被験者による各パラメータでの5段階評価を示した表であり、図16の(b)は、目的の書籍を見つけるまでにかかった時間の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び被験者による各パラメータでの5段階評価(右の斜線のバー)を示したグラフである。
【0165】
(実施例2−4)
実施例2−4では、実施例2−3において用いた3つのパラメータのうち、移動にかかるフレーム数を移動にかかる時間に変換してユーザが目的の書籍を見つけるまでの時間を計測し、快適であると感じるパラメータを5段階評価した。
【0166】
具体的には、書棚オブジェクトに100個の書籍を配置し、フリック操作でスクロール移動させて25段中18段目に配置される目的の書籍を探す時間、及び操作の快適さについて、7名の被験者により行なった。なお、画面に表示される本の配置は横4個、縦5個にして、フリック操作は端末を左手で持ち、右手の人差し指で行なった。フレームレートは30fpsで行なった。
【0167】
パラメータの数値は、実施例2−3で用いたパラメータにおいて移動にかかるフレーム数を、フレームレートを30fpsに固定することにより移動にかかる時間に変換した。具体的には、パラメータ1は移動段数が0.00065v、移動にかかる時間(s)を0.23+0.000033vとした。パラメータ2は移動段数が0.00245v、移動にかかる時間(s)を0.5+0.000067vとした。パラメータ3は移動段数が0.00145v、移動にかかる時間(s)を0.3+0.000033vとした。なお、「v」はフリック速度(pixel/sec)である。
【0168】
その結果、図17に示すように、パラメータ2に対する被験者の評価が最も高く、書籍の探索時間も最も短かった。図17の(a)は、目的の書籍を見つけるまでにかかった時間の平均値及び被験者による各パラメータでの5段階評価を示した表であり、図17の(b)は、目的の書籍を見つけるまでにかかった時間の平均値(左の塗りつぶしたバー)及び被験者による各パラメータでの5段階評価(右の斜線のバー)を示したグラフである。また、図17の(c)は、パラメータ2のフリック速度による移動時間と移動段数との関係を示すグラフであり、図中、線34は4000(pixel/sec)、線35は3000(pixel/sec)、線36は2000(pixel/sec)、線37は1000(pixel/sec)、線38は500(pixel/sec)のフリック速度である。
【0169】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明は、複数のコンテンツのサムネイル画像及びアイコン等を画面上に表示させる端末に利用することが可能であり、特に、携帯型電子書籍端末に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0171】
1 入力部
2 接触検出部(接触検出手段)
3 書籍表示処理部
4 書籍データベース
5 ネットワーク管理部
6 移動度決定部(移動度決定手段)
7 スクロール制御部(第1の表示制御手段)
8 回転制御部(第2の表示制御手段)
9 オブジェクト表示処理部
10 出力処理部
19 表示部
100 コンテンツ表示装置
200 書棚オブジェクト(3次元オブジェクト)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクトの一部を表示する表示部と、
上記表示部上に設置され、接触によるユーザ入力を受け付ける入力部と、
上記ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出手段と、
ある画面の表示中に、上記接触検出手段が上記多角柱の長手方向への動きを検出した場合、上記3次元オブジェクトの表示領域を当該長手方向にスクロール移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第1の表示制御手段と、
ある画面の表示中に、上記接触検出手段が上記多角柱の長手方向と直交する方向への動きを検出した場合、当該多角柱の長手軸を回転軸として上記3次元オブジェクトを回転させるように表示領域を移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第2の表示制御手段と、
上記他の画面に表示される上記画像の一部が途切れないように、上記第1の表示制御手段及び上記第2の表示制御手段によって移動される表示領域の移動度を決定する移動度決定手段とを備えていることを特徴とするコンテンツ表示装置。
【請求項2】
上記表示部は、複数の上記画像が上記各側面の行列方向に配置されるように表示することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項3】
上記接触検出手段は、上記動きの速さを検出しており、
上記移動度決定手段は、上記接触検出手段によって検出された動きの速さに基づいて上記移動度を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項4】
上記移動度決定手段は、上記動きの速さに基づいて上記表示領域の移動速度を決定することを特徴とする請求項3に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項5】
上記移動度決定手段は、上記動きの速さから上記第1の表示制御手段が上記表示領域をスクロール移動させるときの行の数を決定することを特徴とする請求項3又は4に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項6】
上記移動度決定手段は、上記動きの速さから上記第2の表示制御手段が上記表示領域を回転移動させるときの面の数を決定しており、
上記第2の表示制御手段は、上記回転移動によって上記表示領域になる側面と上記表示部の表示面とが平行になるように上記他の画面を表示させることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項7】
上記3次元オブジェクトは側面毎にコンテンツのカテゴリが規定されており、各側面に配置される画像は、当該側面に規定されたカテゴリに属するコンテンツの画像であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項8】
上記コンテンツは電子書籍であり、上記画像は電子書籍のサムネイル画像であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項9】
コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクトの一部を表示する表示部と、上記表示部上に設置され、接触によるユーザ入力を受け付ける入力部とを備えているコンテンツ表示装置の制御方法であって、
上記ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出ステップと、
上記接触検出ステップにおいて、ある画面の表示中に上記多角柱の長手方向への動きが検出された場合、上記3次元オブジェクトの表示領域を当該長手方向にスクロール移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第1の表示制御ステップと、
上記接触検出ステップにおいて、ある画面の表示中に上記多角柱の長手方向と直交する方向への動きが検出された場合、当該多角柱の長手軸を回転軸として上記3次元オブジェクトを回転させるように表示領域を移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第2の表示制御ステップと、
上記他の画面に表示される上記画像の一部が途切れないように、上記第1の表示制御ステップ及び上記第2の表示制御ステップにおいて移動される表示領域の移動度を決定する移動度決定ステップとを包含していることを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載のコンテンツ表示装置を備えていることを特徴とする携帯端末。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかに記載のコンテンツ表示装置を備えているコンピュータを動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクトの一部を表示する表示部と、
上記表示部上に設置され、接触によるユーザ入力を受け付ける入力部と、
上記ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出手段と、
ある画面の表示中に、上記接触検出手段が上記多角柱の長手方向への動きを検出した場合、上記3次元オブジェクトの表示領域を当該長手方向にスクロール移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第1の表示制御手段と、
ある画面の表示中に、上記接触検出手段が上記多角柱の長手方向と直交する方向への動きを検出した場合、当該多角柱の長手軸を回転軸として上記3次元オブジェクトを回転させるように表示領域を移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第2の表示制御手段と、
上記他の画面に表示される上記画像の一部が途切れないように、上記第1の表示制御手段及び上記第2の表示制御手段によって移動される表示領域の移動度を決定する移動度決定手段とを備えていることを特徴とするコンテンツ表示装置。
【請求項2】
上記表示部は、複数の上記画像が上記各側面の行列方向に配置されるように表示することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項3】
上記接触検出手段は、上記動きの速さを検出しており、
上記移動度決定手段は、上記接触検出手段によって検出された動きの速さに基づいて上記移動度を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項4】
上記移動度決定手段は、上記動きの速さに基づいて上記表示領域の移動速度を決定することを特徴とする請求項3に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項5】
上記移動度決定手段は、上記動きの速さから上記第1の表示制御手段が上記表示領域をスクロール移動させるときの行の数を決定することを特徴とする請求項3又は4に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項6】
上記移動度決定手段は、上記動きの速さから上記第2の表示制御手段が上記表示領域を回転移動させるときの面の数を決定しており、
上記第2の表示制御手段は、上記回転移動によって上記表示領域になる側面と上記表示部の表示面とが平行になるように上記他の画面を表示させることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項7】
上記3次元オブジェクトは側面毎にコンテンツのカテゴリが規定されており、各側面に配置される画像は、当該側面に規定されたカテゴリに属するコンテンツの画像であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項8】
上記コンテンツは電子書籍であり、上記画像は電子書籍のサムネイル画像であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項9】
コンテンツを表す画像を多角柱の各側面に複数配置した3次元オブジェクトの一部を表示する表示部と、上記表示部上に設置され、接触によるユーザ入力を受け付ける入力部とを備えているコンテンツ表示装置の制御方法であって、
上記ユーザ入力により接触された位置の動きを検出する接触検出ステップと、
上記接触検出ステップにおいて、ある画面の表示中に上記多角柱の長手方向への動きが検出された場合、上記3次元オブジェクトの表示領域を当該長手方向にスクロール移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第1の表示制御ステップと、
上記接触検出ステップにおいて、ある画面の表示中に上記多角柱の長手方向と直交する方向への動きが検出された場合、当該多角柱の長手軸を回転軸として上記3次元オブジェクトを回転させるように表示領域を移動させて、上記ある画面とは異なる他の画面を表示させる第2の表示制御ステップと、
上記他の画面に表示される上記画像の一部が途切れないように、上記第1の表示制御ステップ及び上記第2の表示制御ステップにおいて移動される表示領域の移動度を決定する移動度決定ステップとを包含していることを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載のコンテンツ表示装置を備えていることを特徴とする携帯端末。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかに記載のコンテンツ表示装置を備えているコンピュータを動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−69008(P2012−69008A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214512(P2010−214512)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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