説明

コンテンツ配信制御方式

【課題】コンテンツ配信の回数や有効期限に制限が加えられている環境下で、より多くのコンテンツ受信端末へコンテンツを配信できるコンテンツ配信制御方式を提供する。
【解決手段】ステップS12において、現在の配信回数Nが上限回数Nmaxよりも少ないと判定されるとステップS13へ進み、隣接する各コンテンツ受信端末Nrにコンテンツを配信した際の完了時刻が推定される。ステップS14では、最先にコンテンツ配信を完了できるコンテンツ受信端末Nrが選択される。ステップS15では、最先にコンテンツ配信を完了できる時刻が参照され、これが有効期限Tend内であればステップS16へ進み、選択されたコンテンツ受信端末Nrがコンテンツ配信部13に通知される。コンテンツ配信部13は、コンテンツ受信端末Nrが通信可能時間帯であればコンテンツを直ちに配信し、通信可能時間帯でなければ通信可能時間帯を待って配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピアツーピアネットワークにおけるコンテンツ配信制御方式に係り、特に、コンテンツ配信に回数制限や有効期限が設定されているときでも、より多くのコンテンツ受信端末へコンテンツを配信できるコンテンツ配信制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンテンツ配信ノードおよび複数のコンテンツ受信ノードがピアツーピアネットワークを構成し、各コンテンツ受信ノードは、隣接するコンテンツ受信ノード数を隣接ノードに広報し、コンテンツ配信ノードまたはコンテンツを受信した各コンテンツ受信ノードは、隣接するコンテンツ受信ノード数が多いコンテンツ受信ノードに対して優先的にコンテンツ配信または転送を行う技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、無線端末へコンテンツをダウンロードする際にスループットを常時測定し、スループットが基準値を下回った時点で無線リンクを切断し、所定の時間が経過した後にダウンロードを再開する技術が開示されている。この特許文献2には更に、無線端末からコンテンツをアップロードする際に、アップロードのために実現可能なスループット情報を基地局から受信し、スループットが基準値を下回った時点で無線リンクを切断し、所定の時間が経過した後にアップロードを再開する技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2008−304178号
【特許文献2】特願2009−70456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコンテンツ配信制御方式では、特許文献2のように、ピアツーピアネットワークを構成する各コンテンツ受信端末の通信可能時間帯が限られている場合、コンテンツに配信回数制限や有効期限が設定されていると、これをコンテンツ受信端末へ配信できないという技術課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、コンテンツ配信に回数制限や有効期限が設定されているときでも、より多くのコンテンツ受信端末へコンテンツを配信できるコンテンツ配信制御方式を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、コンテンツ配信端末が隣接のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信し、当該コンテンツ受信端末がさらに他のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信し、これが所定の条件下で繰り返されるコンテンツ配信制御方式において、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0008】
(1)コンテンツ受信端末が、自端末の通信可能時間帯を隣接端末へ広報する手段と、隣接端末が広報する通信可能時間帯を受信する手段と、隣接端末の通信可能時間帯に基づいてコンテンツ配信をスケジューリングする手段とを具備し、スケジューリング手段が、各隣接端末の通信可能時間帯に基づいて、各隣接端末へコンテンツを配信したときの配信完了時刻を推定する手段を具備し、配信完了時刻のより早い隣接端末を選択して優先的にコンテンツを配信するスケジューリングを繰り返すことを特徴とする。
【0009】
(2)コンテンツ配信端末が、隣接端末が広報する通信可能時間帯を受信する手段と、隣接端末の通信可能時間帯に基づいてコンテンツ配信をスケジューリングする手段とを具備し、スケジューリング手段が、各隣接端末の通信可能時間帯に基づいて、各隣接端末へコンテンツを配信したときの配信完了時刻を推定する手段を具備し、配信完了時刻のより早い隣接端末を選択して優先的にコンテンツを配信するスケジューリングを繰り返すことを特徴とする。
【0010】
(3)スケジューリング手段が、各隣接端末の隣接端末数を検出する手段をさらに具備し、隣接端末数が所定の閾値を超える隣接端末を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0012】
(1)コンテンツの配信先候補となる複数のコンテンツ受信端末について、各コンテンツ受信端末へコンテンツを配信したときの配信完了時刻を予め推定し、配信完了時刻のより早いコンテンツ受信端末へ優先的にコンテンツが配信されるようにしたので、コンテンツ配信に回数制限や有効期限が設定されているときでも、より多くのコンテンツ受信端末へコンテンツを配信できるようになる。
【0013】
(2)コンテンツの配信先候補となる複数のコンテンツ受信端末について、各コンテンツ受信端末へコンテンツを配信したときの配信完了時刻を予め推定し、配信完了時刻のより早いコンテンツ受信端末へ優先的にコンテンツが配信されるようにしたので、コンテンツ受信端末の通信可能時間帯が分散されており、コンテンツ配信が分散された複数の通信可能時間帯に跨るために最先にコンテンツ配信を開始したコンテンツ受信端末が必ずしも最先にコンテンツ配信を完了できない場合でも、より多くのコンテンツ受信端末へコンテンツを配信できるようになる。
【0014】
(3)コンテンツの配信先を選択する際に、隣接端末数の多い配信先を優先させるようにしたので、コンテンツ配信先からの更なるコンテンツ配信についても多数のコンテンツ配信を期待できるようになり、その結果、より多くのコンテンツ受信端末へコンテンツを配信できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るコンテンツ配信方式のネットワーク構成を示した図である。
【図2】複数の通信可能時間帯が分散して割り当てられる様子を示した図である。
【図3】コンテンツ配信端末Nsの第1実施形態の構成を示したブロック図である。
【図4】コンテンツ受信端末Nrの第1実施形態の構成を示したブロック図である。
【図5】第1実施形態の動作を示したフローチャートである。
【図6】配信完了時刻の推定方法の一例を示した図である。
【図7】第1実施形態の変形例の動作を示したフローチャートである。
【図8】コンテンツ配信端末Nsの第2実施形態の構成を示したブロック図である。
【図9】コンテンツ受信端末Nrの第2実施形態の構成を示したブロック図である。
【図10】第2実施形態の動作を示したフローチャートである。
【図11】第2実施形態の変形例の動作を示したフローチャートである。
【図12】コンテンツ配信端末Nsの第3実施形態の構成を示したブロック図である。
【図13】コンテンツ受信端末Nrの第3実施形態の構成を示したブロック図である。
【図14】第3実施形態の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係るコンテンツ配信方式のネットワーク構成を示した図であり、少なくとも一つのコンテンツ配信端末Nsと複数のコンテンツ受信端末Nr(Nr1,Nr2…)とがピアツーピアネットワークを構成し、コンテンツ配信端末Nsが隣接のコンテンツ受信端末Nrへコンテンツを配信すると、当該コンテンツ受信端末Nrがさらに隣接する他のコンテンツ受信端末Nrへコンテンツを配信し、これが繰り返されることでコンテンツが多数のコンテンツ受信端末へ配信される。
【0017】
なお、本実施形態では各コンテンツ配信端末Nsおよびコンテンツ受信端末Nrが隣接端末へコンテンツを配信できる上限回数Nmax、およびコンテンツを配信できる有効期限Tendが予め設定されており、コンテンツ配信端末Nsおよび各コンテンツ受信端末Nrは、前記上限回数Nmaxおよび有効期限Tendの制約下でコンテンツ配信を繰り返す。また、各コンテンツ受信端末Nrには通信可能時間帯が予め割り当てられており、この通信可能時間帯でのみコンテンツを配信および受信できる。
【0018】
各コンテンツ受信端末Nrは、予め自身の隣接端末へコンテキスト情報を広報し、隣接のコンテンツ配信端末Nsおよびコンテンツ受信端末Nrは、このコンテキスト情報を受信して管理する。コンテキスト情報には、各コンテンツ受信端末Nrが受信を望んでいるコンテンツの属性情報や端末ユーザのユーザ情報に加えて、自身に予め割り当てられている少なくとも一つの通信可能時間帯が記述されている。各コンテンツ受信端末Nrに割り当てられる通信可能時間は一つとは限らず、図2に一例を示したように、複数の通信可能時間帯が分散して割り当てられることもある。
【実施例1】
【0019】
図3,4は、本発明の第1実施形態に係るコンテンツ配信端末Nsおよびコンテンツ受信端末Nrの主要部の構成を示した機能ブロック図であり、各図に共通する符号は同一または同等部分を表している。
【0020】
図3のコンテンツ配信端末Nsにおいて、コンテキスト受信部10は、隣接端末から広報されるコンテキストを受信してメモリ11のコンテキスト蓄積領域111に蓄積する。スケジューリング部12は、隣接端末の通信可能時間帯に基づいてコンテンツ配信をスケジューリングする。本実施形態のスケジューリング部12は、隣接の各コンテンツ受信端末Nrへコンテンツを配信した際の完了時刻を推定する配信完了推定部121を備え、後にフローチャートを参照して詳述するように、コンテンツ配信が許可されている有効期限Tend内で配信回数が上限回数Nmaxに達するまで、配信完了時刻のより早いコンテンツ受信端末Nrへ優先的にコンテンツが配信されるスケジューリングを繰り返す。
【0021】
コンテンツ配信部13は、メモリ11のコンテンツ蓄積領域112に蓄積されているコンテンツを、前記スケジューリング部12により設定された配信スケジュールにしたがって隣接の各コンテンツ受信端末Nrへ配信する。
【0022】
図4のコンテンツ受信端末Nrにおいて、コンテキスト広報部14は、メモリ11のコンテキスト記憶領域113に記憶されている自身のコンテキストを読み出して隣接端末へ広報する。コンテンツ受信部15は、隣接のコンテンツ配信端末Nsまたは他のコンテンツ受信端末Nrから配信されるコンテンツを受信してメモリ11のコンテンツ蓄積領域112に蓄積する。
【0023】
次いで、フローチャートを参照して本実施形態の動作を説明する。図5は、コンテンツ配信端末Nsおよび各コンテンツ受信端末Nrにおいて、コンテンツの配信タイミングごとに自律的に実行されるコンテンツ配信先のスケジューリング方法を示したフローチャートであり、主にスケジューリング部12の動作を示している。
【0024】
ステップS11では、配信回数Nが「1」に初期化される。ステップS12では、現在の配信回数Nが上限回数Nmaxと比較され、最初はN≦Nmaxと判定されるのでステップS13へ進む。ステップS13ではコンテキスト蓄積領域111が参照され、隣接するコンテンツ受信端末Nrのうち、コンテキスト情報が配信対象のコンテンツに合致あるいは類似するコンテンツ受信端末Nrを対象に、コンテンツを配信した際の完了時刻が前記配信完了推定部121により推定される。ステップS14では、最先にコンテンツ配信を完了できるコンテンツ受信端末Nrが選択される。
【0025】
図6は、前記配信完了推定部121による配信完了時刻の推定方法の一例を示した図であり、ここでは、3つのコンテンツ受信端末Nr1,Nr2,Nr3に着目して説明する。
【0026】
コンテンツ1の配信であれば、その配信時間が2単位なので、コンテンツ受信端末Nr1であれば、現在時刻(t0)から配信を開始して時刻t2で配信を完了できる。これに対して、コンテンツ受信端末Nr2では時刻t1を待って配信が開始されるので、配信完了時刻は時刻t3と推定される。同様に、コンテンツ受信端末Nr3では時刻t2を待って配信が開始されるので、配信完了時刻は時刻t4と推定される。したがって、コンテンツ1の配信であればコンテンツ受信端末Nr1が選択される。
【0027】
コンテンツ2の配信であれば、その配信時間が4単位なので、コンテンツ受信端末Nr1であれば、現在時刻(t0)から配信を開始しても最初の通信可能時間帯だけでは配信を完了できず、次の通信可能時間帯の時刻t6まで配信完了時刻が延びてしまう。これに対して、コンテンツ受信端末Nr2であれば、時刻t1を待って配信が開始されるが、最初の通信可能時間帯の時刻t5で配信を完了でき、これが最先の配信完了時刻となる。なお、コンテンツ受信端末Nr3でも最初の通信可能時間帯だけでは配信を完了できず、次の通信可能時間帯の時刻t7まで配信完了時刻が延びてしまう。したがって、コンテンツ2の配信であればコンテンツ受信端末Nr2が選択される。
【0028】
コンテンツ3の配信であれば、その配信時間が6単位なので、いずれのコンテンツ受信端末Nrでも最初の通信可能時間帯だけでは配信を完了できず、コンテンツ受信端末Nr1では3回目の通信可能時間帯まで配信完了が延びてしまい、コンテンツ受信端末Nr2,Nr3でも2回目の通信可能時間帯まで配信完了が延びてしまう。そして、コンテンツ受信端末Nr3であれば、2回目の通信可能時間帯の時刻t9で配信を完了でき、これが最先となるので、コンテンツ3の配信であればコンテンツ受信端末Nr3が選択される。
【0029】
以上のようにして、今回のコンテンツ受信端末の選択が完了するとステップS15へ進み、最先にコンテンツ配信を完了できる時刻が有効期限Tend内であるか否かが判定される。有効期限Tend内と判定されればステップS16へ進み、前記選択されたコンテンツ受信端末Nrの識別情報がコンテンツ配信部13に通知される。コンテンツ配信部13は、前記コンテンツ受信端末Nr1の識別情報が通知されればコンテンツ配信を直ちに開始する。これに対して、前記コンテンツ受信端末Nr2,Nr3の識別情報が通知されれば、通信可能時間帯になるのを待ってコンテンツ配信を開始する。ステップS17では配信回数Nがインクリメントされ、その後、ステップS12へ戻って上記の各処理が繰り返される。
【0030】
図7は、本実施形態の変形例の動作を示したフローチャートである。上記の実施形態では、各コンテンツ受信端末Nrの通信可能時間帯が複数の時間帯に分散されていたが、ここでは、各コンテンツ受信端末Nrの通信可能時間帯が分散されておらず、したがって、最先に配信を開始できる隣接端末から順に配信を開始すれば、結果的に、最先に配信を完了できる隣接端末から順に配信を開始できる。
【0031】
ステップS21では、配信回数Nが「1」に初期化される。ステップS22では、現在の配信回数Nが上限回数Nmaxと比較され、最初はN≦Nmaxと判定されるのでステップS23へ進む。ステップS23ではコンテキスト蓄積領域111が参照され、現在時刻t0が通信可能時間帯である隣接端末が検索される。通信可能時間帯の隣接端末が存在すればステップS24へ進み、その一つが今回の配信先として選択される。
【0032】
ステップS25では、前記選択された隣接端末の識別情報がコンテンツ配信部13に通知され、コンテンツ配信が直ちに実行される。ステップS26では配信回数Nがインクリメントされ、その後、ステップS22へ戻って上記の各処理が繰り返される。
【0033】
これに対して、前記ステップS23において、通信可能時間帯の隣接端末が存在しなければステップS27へ進み、隣接端末が存在するか否かが判定される。隣接端末が存在しなければ当該処理を終了する。同様に、前記ステップS22でN>上限回数Nmaxと判定された場合も当該処理を終了する。
【0034】
隣接端末が存在すればステップS28へ進み、最初に通信可能時間帯が訪れる隣接端末が選択される。ステップS29では、選択された隣接端末の通信可能時間帯が有効期限Tend内であるか否かが判定され、有効期限Tend内と判定されれば前記ステップS25へ進む。ステップS25では、前記選択された隣接端末の識別情報がコンテンツ配信部13に通知される。コンテンツ配信部13は、前記選択された隣接端末が通信可能時間帯になるのを待ってコンテンツ配信を実行する。
【実施例2】
【0035】
図8,9は、本発明の第2実施形態に係るコンテンツ配信端末Nsおよびコンテンツ受信端末Nrの主要部の構成を示した機能ブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。本実施形態では、コンテンツ配信端末Nsおよび各コンテンツ受信端末Nrのメモリ11に、隣接端末数Mに関する下限閾値Mrefが記憶され、スケジューリング部12には、隣接するコンテンツ受信端末の隣接端末数Mを検出する隣接端末数検出部122が設けられ、コンテンツの配信先がその隣接端末数Mを考慮して選択されるようにした点に特徴がある。
【0036】
次いで、フローチャートを参照して本実施形態の動作を説明する。図10は、コンテンツ配信端末Nsおよび各コンテンツ受信端末Nrにおいてコンテンツの配信タイミングごとに自律的に実行されるコンテンツ配信先のスケジューリング方法を示したフローチャートであり、主にスケジューリング部12の動作を示している。
【0037】
ステップS41では、配信回数Nが「1」に初期化される。ステップS42では、現在の配信回数Nが上限回数Nmaxと比較され、最初はN≦Nmaxと判定されるのでステップS43へ進む。ステップS43ではコンテキスト蓄積領域111が参照され、隣接する各コンテンツ受信端末Nrに関して、コンテンツを配信した際の完了時刻が前記配信完了推定部121により前記と同様に推定される。ステップS44では、最先にコンテンツ配信を完了できるコンテンツ受信端末Nrが配信先候補として選択される。ステップS45では、最先にコンテンツ配信を完了できる時刻が有効期限Tend内であるか否かが判定され、有効期限Tend内と判定されればステップS46へ進む。
【0038】
ステップS46では、配信先候補とされたコンテンツ受信端末Nrの隣接端末数Mが前記下限閾値Mrefと比較され、M<Mrefであれば今回の配信先候補が不適と判定されてステップS44へ戻り、上記の選択手順が改めて実行される。M≧MrefであればステップS47へ進み、今回の配信先候補の識別情報がコンテンツ配信部13に通知される。コンテンツ配信部13は、通知されたコンテンツ受信端末Nrが通信可能時間帯であれば直ちにコンテンツ配信を開始し、通信可能時間帯でなければ通信可能時間帯になるのを待ってコンテンツ配信を開始する。ステップS48では配信回数Nがインクリメントされ、その後、ステップS42へ戻って上記の各処理が繰り返される。
【0039】
図11は、本実施形態の変形例の動作を示したフローチャートである。ここでは、各コンテンツ受信端末Nrの通信可能時間帯が分散されておらず、したがって、最先に配信を開始できる隣接端末から順に配信を開始すれば、結果的に、最先に配信を完了できる隣接端末から順に配信を開始できる。
【0040】
ステップS61では、配信回数Nが「1」に初期化される。ステップS62では、現在の配信回数Nが上限回数Nmaxと比較され、最初はN≦Nmaxと判定されるのでステップS63へ進む。ステップS63ではコンテキスト蓄積領域111が参照され、現在時刻t0が通信可能時間帯である隣接端末が検索される。通信可能時間帯の隣接端末が存在すればステップS64へ進み、その一つが今回の配信先候補として選択される。
【0041】
ステップS65では、配信先候補とされたコンテンツ受信端末Nrの隣接端末数Mが前記下限閾値Mrefと比較され、M<Mrefであれば今回の配信先候補が不適と判定されてステップS63へ戻り、上記の選択手順が改めて実行される。M≧MrefであればステップS66へ進んで今回の配信先候補の識別情報がコンテンツ配信部13に通知され、コンテンツ配信が直ちに開始される。ステップS67では配信回数Nがインクリメントされ、その後、ステップS62へ戻って上記の各処理が繰り返される。
【0042】
これに対して、前記ステップS63において、通信可能時間帯の隣接端末が存在しないと判定されればステップS68へ進み、隣接端末が存在するか否かが判定される。隣接端末が存在しなければ当該処理を終了する。同様に、前記ステップS62でN>上限回数Nmaxと判定された場合も当該処理を終了する。
【0043】
隣接端末が存在すればステップS69へ進み、最初に通信可能時間帯が訪れる隣接端末が配信先候補として選択される。ステップS70では、選択された隣接端末の通信可能時間帯が有効期限Tend内であるか否かが判定され、有効期限Tend内と判定されればステップS71へ進む。ステップS71では、配信先候補とされたコンテンツ受信端末Nrの隣接端末数Mが前記下限閾値Mrefと比較され、M<Mrefであれば今回の配信先候補が不適と判定されてステップS68へ戻り、上記の選択手順が改めて実行される。M≧Mrefであれば前記ステップS66へ進み、今回の配信先候補の識別情報がコンテンツ配信部13に通知される。コンテンツ配信部13は、前記選択された隣接端末が通信可能時間帯になるのを待ってコンテンツ配信を開始する。
【実施例3】
【0044】
図12,13は、本発明の第3実施形態に係るコンテンツ配信端末Nsおよびコンテンツ受信端末Nrの主要部の構成を示した機能ブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。本実施形態では、コンテンツ配信端末Nsおよび各コンテンツ受信端末Nrのメモリ11に、コンテンツ配信の完了時刻までの時間(配信所要時間)Lに関する上限値Lmaxが記憶され、配信所要時間Lを考慮して配信先が選択されるようにした点に特徴がある。
【0045】
次いで、フローチャートを参照して本実施形態の動作を説明する。図14は、コンテンツ配信端末Nsおよび各コンテンツ受信端末Nrにおいてコンテンツの配信タイミングごとに自律的に実行されるコンテンツ配信先のスケジューリング方法を示したフローチャートであり、主にスケジューリング部12の動作を示している。
【0046】
ステップS81では、配信回数Nが「1」に初期化される。ステップS82では、現在の配信回数Nが上限回数Nmaxと比較され、最初はN≦Nmaxと判定されるのでステップS83へ進む。ステップS83ではコンテキスト蓄積領域111が参照され、隣接端末が存在するか否かが判定される。隣接端末が存在すればステップS84へ進み、その中で隣接端末数Mが最大の隣接端末が今回の配信先候補に選択される。ステップS85では、前記配信完了時刻推定部121により、前記配信先候補の配信完了時刻が前記と同様に推定される。ステップS86では、推定された配信完了時刻が有効期限Tend内であるか否かが判定され、有効期限Tend内と判定されればステップS87へ進む。
【0047】
ステップS87では、現在時刻t0から配信完了時刻までの所要時間Lが前記上限値Lmaxと比較され、L>Lmaxであれば今回の配信先候補が不適と判定されてステップS83へ戻り、上記の選択手順が改めて実行される。L≦LmaxであればステップS88へ進み、今回の配信先候補の識別情報がコンテンツ配信部13に通知される。コンテンツ配信部13は、通知された配信先が通信可能時間帯であればコンテンツ配信を直ちに開始し、通信可能時間帯でなければ、配信先が通信可能時間帯になるのを待ってコンテンツ配信を開始する。ステップS89では配信回数Nがインクリメントされ、その後、ステップS82へ戻って上記の各処理が繰り返される。
【0048】
なお、上記の各実施形態は組み合わせることも可能である。例えば、有効期限Tendおよび配信回数Nの上限値Nmaxに加えて、さらにコピー回数(コンテンツ配信のホップ数)にも制限が加えられている場合には、有効期限に余裕がある初期段階では第3実施形態を適用して配信先をスケジューリングし、その後は第1または第2実施形態を適用して配信先をスケジューリングしたり、あるいはその逆に、有効期限の初期段階では第1または第2実施形態を適用して配信先をスケジューリングし、その後は第3実施形態を適用して配信先をスケジューリングしたりしても良い。
【符号の説明】
【0049】
10…コンテキスト受信部,11…メモリ,12…スケジューリング部,13…コンテンツ配信部,14…コンテキスト広報部,15…コンテンツ受信部,Ns…コンテンツ配信端末,Nr…コンテンツ受信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ配信端末が隣接のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信し、当該コンテンツ受信端末がさらに他のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信し、これを所定の条件下で繰り返すコンテンツ配信制御方式において、
コンテンツ受信端末が、
自端末の通信可能時間帯を隣接端末へ広報する手段と、
隣接端末が広報する通信可能時間帯を受信する手段と、
隣接端末の通信可能時間帯に基づいてコンテンツ配信をスケジューリングする手段とを具備し、
前記スケジューリング手段が、各隣接端末の通信可能時間帯に基づいて、各隣接端末へコンテンツを配信したときの配信完了時刻を推定する手段を具備し、
配信完了時刻のより早い隣接端末を選択して優先的にコンテンツを配信するスケジューリングを繰り返すことを特徴とするコンテンツ配信制御方式。
【請求項2】
前記コンテンツ配信端末が、
隣接端末が広報する通信可能時間帯を受信する手段と、
隣接端末の通信可能時間帯に基づいてコンテンツ配信をスケジューリングする手段とを具備し、
前記スケジューリング手段が、各隣接端末の通信可能時間帯に基づいて、各隣接端末へコンテンツを配信したときの配信完了時刻を推定する手段を具備し、
配信完了時刻のより早い隣接端末を選択して優先的にコンテンツを配信するスケジューリングを繰り返すことを特徴とする請求項請求項1に記載のコンテンツ配信制御方式。
【請求項3】
前記スケジューリング手段は、
コンテンツの配信タイミングにおいて、通信可能時間帯の隣接端末をコンテンツの配信先として選択する第1選択手段と、
コンテンツの配信タイミングにおいて、最先に通信可能時間帯が訪れる隣接端末を選択する第2選択手段とを具備し、
前記第1選択手段による選択を第2選択手段による選択よりも優先させて配信先のスケジューリングを繰り返すことを特徴とする請求項1または2に記載のコンテンツ配信制御方式。
【請求項4】
前記スケジューリング手段がさらに、各隣接端末の隣接端末数を検出する手段をさらに具備し、
隣接端末数が所定の閾値を超える隣接端末を選択することを特徴とする請求項1または2に記載のコンテンツ配信制御方式。
【請求項5】
前記第1選択手段は、通信可能時間帯の隣接端末のうち、その隣接端末数が所定の閾値を超える隣接端末を選択することを特徴とする請求項3に記載のコンテンツ配信制御方式。
【請求項6】
前記第2選択手段は、最先に通信可能時間帯が訪れる隣接端末のうち、その隣接端末数が所定の閾値を超える隣接端末を選択することを特徴とする請求項3に記載のコンテンツ配信制御方式。
【請求項7】
コンテンツ配信端末が隣接のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信し、当該コンテンツ受信端末がさらに他のコンテンツ受信端末へコンテンツを配信し、これを所定の条件下で繰り返すコンテンツ配信制御方式において、
コンテンツ受信端末が、
自端末の通信可能時間帯を隣接端末へ広報する手段と、
隣接端末が広報する通信可能時間帯を受信する手段と、
隣接端末の通信可能時間帯に基づいてコンテンツの配信先をスケジューリングする手段とを具備し、
前記スケジューリング手段は、
各隣接端末の隣接端末数を検出する手段と、
各隣接端末の通信可能時間帯に基づいて、各隣接端末へコンテンツを配信したときの配信完了時刻を推定する手段とを具備し、
配信完了時刻までの所要時間が所定の閾値よりも短い隣接端末の中で隣接端末数が最大の隣接端末を選択して優先的にコンテンツを配信するスケジューリングを繰り返すことを特徴とするコンテンツ配信制御方式。
【請求項8】
前記コンテンツ配信端末が、
隣接端末が広報する通信可能時間帯を受信する手段と、
隣接端末の通信可能時間帯に基づいてコンテンツの配信先をスケジューリングする手段とを具備し、
前記スケジューリング手段は、
各隣接端末の隣接端末数を検出する手段と、
各隣接端末の通信可能時間帯に基づいて、各隣接端末へコンテンツを配信したときの配信完了時刻を推定する手段とを具備し、
配信完了時刻までの所要時間が所定の閾値よりも短い隣接端末の中で隣接端末数が最大の隣接端末を選択して優先的にコンテンツを配信するスケジューリングを繰り返すことを特徴とする請求項7に記載のコンテンツ配信制御方式。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−34187(P2011−34187A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177712(P2009−177712)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】