説明

コンテンツ配布システムとこれに用いる光ディスク装置及び光ディスク媒体

【課題】販売機によるコンテンツのダウンロードシステムにおいて、体験版から正規版への切り替え配布を迅速に行い、かつ提供したコンテンツの違法な複製を防止する。
【解決手段】コンテンツ配布システムにおいて、販売機2は、コンテンツを所定量劣化させて表示させるための複製回数(i=3)を記録した体験版光ディスク3を提供する。光ディスク装置7,8は、体験版光ディスクのコンテンツを再生し、複製回数に応じて再生したコンテンツの品質を劣化させて表示する。コンテンツを他の光ディスクへ複製記録するときは、コンテンツの複製回数を更新して記録する。また、体験版光ディスク3を正規版光ディスク3’に切り替えるとき、体験版光ディスクに記録されている複製回数(i=3)を、コンテンツを劣化させずに表示させるための複製回数(i=0)に書き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツをダウンロードし、その複製を制限しながら適正に視聴できるコンテンツ配布システムとこれに用いる光ディスク装置及び光ディスク媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、著作権保護の対象となるコンテンツをその許容制限を超えて光ディスクに複製する際には、コンテンツの品質を劣化させて光ディスクに記録を行なってきた。例えば、特許文献1には、コンテンツの再生制限を設けることが可能な光ディスク頒布システム、光ディスク記憶装置及びそれに用いる光ディスクの提供を目的として、低線速度で再生する毎に光ディスクの記録情報を順次劣化させる技術が開示される。
【0003】
また、特許文献2には、ペイ・パー・ビュー方式のビデオ・オン・デマンドサービス等に好適な光ディスク装置の提供を目的として、光ディスクの再生回数を認識する機能を有し、前記再生回数が所定の回数に達した時、光ディスクに記録されている情報を再生しつつ消去させる技術が開示される。
【0004】
【特許文献1】特開2003−22535号公報
【特許文献2】特開平10−283653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近、インターネット等からダウンロード経由で供給される映像や音声のコンテンツを記録するための専用の光ディスク(以下、「ダウンロードディスク」と呼ぶ)が提案されている。その一例として、「DVDダウンロードディスク」がある。これは、ダウンロード経由で供給されるCSS方式を用いて暗号化されたDVDビデオフォーマットのコンテンツを記録する専用の光ディスク媒体である。
【0006】
ダウンロードディスクを用いるシステムでは、ユーザは、自動販売機や自宅のPCでインターネット経由で所望のコンテンツをダウンロードし、専用ディスク(ダウンロードディスク)に複製し視聴する。インターネットではストリーミングの体験版を公開していることが多く、ユーザはまず体験版を入手して、内容が気に入った場合正規版を改めて購入するシステムとなっている。しかし、自動販売機からダウンロードする場合については、体験版ディスクの具体的内容については規定がなされていない。
【0007】
コンテンツのダウンロード及び複製については、著作権保護の観点から、許容回数を超えて違法に複製されるのを防止する必要がある。上記各特許文献の技術によれば、再生回数に応じてディスクに記録されているコンテンツ自身を劣化させ、または消去することで、コンテンツを保護することができる。しかしながら、本件のような自動販売機によるコンテンツのダウンロードシステムにおいて、複製回数が許容回数を超えた場合、コンテンツ提供者側で提供したコンテンツの劣化、または消去のための処理を行うのは困難である。また、ユーザにとって、体験版を視聴した後、改めて自動販売機から正規版を購入することも、時間を要し煩わしいことである。
【0008】
本発明の目的は、このような課題を鑑み、自動販売機によるコンテンツのダウンロードシステムにおいて、体験版から正規版への切り替え配布を迅速に行い、かつ提供したコンテンツの違法な複製を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光ディスクを介してコンテンツの体験版と正規版を切り替えて配布するコンテンツ配布システムにおいて、コンテンツが格納された光ディスクを提供する販売機と、提供された光ディスクからコンテンツを再生して表示装置に表示させる光ディスク装置とを備える。光ディスクには、配布するコンテンツを格納するとともに該コンテンツの複製回数を記録しておき、光ディスク装置は、複製回数に応じて再生したコンテンツの品質を劣化させる画像処理部を有する。販売機では、コンテンツを所定量劣化させて表示させるための複製回数を記録した体験版光ディスクを提供し、体験版光ディスクを正規版光ディスクに切り替えるとき、光ディスク装置により、体験版光ディスクに記録されている複製回数を、コンテンツを劣化させずに表示させるための複製回数に書き換える。
【0010】
本発明は、光ディスクにコンテンツを記録および再生する光ディスク装置において、装着された光ディスクから、コンテンツを含むデータを再生する再生部と、再生したデータから、当該コンテンツの複製回数を検出する複製回数検出部と、検出した複製回数に応じて再生したコンテンツの品質を劣化させて表示装置へ出力する画像処理部とを備える。さらに光ディスク装置には、装着された光ディスクにコンテンツと当該コンテンツの複製回数を記録する記録部と、当該コンテンツの複製履歴を参照し、新たに記録するコンテンツに対して複製回数を更新して設定する複製回数管理部とを備える。
【0011】
本発明は、コンテンツとともにその複製回数の情報を記録した光ディスク媒体において、コンテンツのデータが記録されるデータ領域と、リードイン領域と、リードアウト領域とを有し、データ領域内の第1の領域に、当該コンテンツの複製回数を示す情報を配置し、第1の領域に記録されるべき一部のコンテンツのデータを、リードイン領域内またはリードアウト領域内の第2の領域に入れ替えて配置する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コンテンツのダウンロードにおいて、体験版から正規版への切り替えを即座に実行でき、かつコンテンツの複製を抑制する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明にかかるコンテンツのダウンロードシステムの一実施例を示す図である。この例では、ユーザが自動販売機等で、所望のコンテンツ(映像・音声等)の体験版ディスクを入手し、自宅の再生装置でコンテンツを体験視聴する。内容が気に入った場合、自宅にいながら正規版ディスクに切り替え、オリジナルな品質で楽しむことができるものである。
【0014】
(a)は、体験版ディスクの入手時を示す。ユーザ1は自動販売機2などで体験版光ディスク3を入手する。体験版ディスク3は、コンテンツ提供者4によりインターネット経由により供給されたコンテンツを、光ディスク媒体(ダウンロードディスク)5にダウンロードすることで作成する。ここで収納されるコンテンツはオリジナルの品質(劣化させていない)であるが、体験版であることを示すため、複製(コピー)回数iを例えば「3」と記述しておく。ここに、体験版コンテンツは無料、または安価に入手できるものであるが、表示するときの品質は所定量劣化させるものとする。
【0015】
(b)は、体験版視聴時を示す。ユーザ1は自宅6のディスクドライブ(再生装置)7で体験版ディスク3に収納されたコンテンツを再生し、表示装置9で体験視聴する。その際、再生されたコンテンツ信号はパソコン(PC)8で処理し、ディスクに記述された複数回数iに応じて品質を劣化して表示する。回数iが増えるほど劣化量も大きくする。この体験版ディスクではi=3であり、オリジナル画質(100%)に対して例えば25%程度に劣化させた画質で表示する。ユーザは体験版を視聴することで、コンテンツの内容を確認することができる。
【0016】
(c)は、正規版ディスク購入時を示す。ユーザ1が体験版を視聴した結果、正規版コンテンツの視聴を希望する場合の購入手順である。(1)ユーザはPC8を介して、コンテンツ提供者4に対し正規版購入の申し込みを行う。具体的には、代金支払いのための情報(クレジットカード番号など)を送信する。(2)コンテンツ提供者4はユーザからの購入申し込み情報(代金支払い)を確認し、PC8に対して、体験版ディスク3を正規版に切り替えることを許可する。(3)PC8は、ディスクドライブ(記録装置)7により、体験版ディスク3に記述されている複製回数iを正規版であることを示す「0」に書き換えることで、体験版ディスク3を正規版ディスク3’に切り替える。
【0017】
(d)は、正規版視聴時を示す。ユーザ1は、ディスクドライブ(再生装置)7で正規版ディスク3’に収納されたコンテンツを再生し、表示装置9で視聴する。その際、再生されたコンテンツ信号はパソコン(PC)8で処理されるが、ディスクに記述された複数回数iは「0」であるので、画質を劣化させずに表示する。ユーザは希望のコンテンツをオリジナルな品質で視聴することができる。
【0018】
本実施例のダウンロードシステムのメリットを説明する。
従来の方式では、体験版ディスクではコンテンツの品質自身を劣化させたものを配布している。ユーザから正規版を要求された場合は、劣化のないオリジナルコンテンツを再度配布することになる。すなわちコンテンツ提供者は、ユーザの要求に応じてコンテンツの品質を変更する必要があり、その都度、再圧縮と再記録の処理が伴う。そのために、迅速な対応が困難となる。ユーザの立場からすると、正規版入手のため再度自動販売機に赴いて購入せねばならず、煩わしく時間もかかる。なお、正規版購入の段階では、自動販売機ではなくインターネット経由で別途ダウンロードする方法もある。しかしながら、その場合でも正規版コンテンツをダウンロードするために時間を要すること、またダウンロードしたコンテンツを他の光ディスクに保存したい場合には、すでに入手している体験版ディスクと重複することで無駄が生じる。
【0019】
これに対し本実施例のシステムでは、体験版と正規版とは、いずれもコンテンツ自身の品質は同一であるので、再圧縮や再記録といったコンテンツ劣化のための処理が不要となる。よって、コンテンツ提供者では、1枚のディスクにオリジナルコンテンツを一度格納(ダウンロード)するだけで、ユーザのいずれの要求にも対応することができる。またユーザは、体験版で気に入ったコンテンツについて、自宅にいながら正規版ディスクを迅速に購入し、オリジナルな品質で視聴することができる。この場合、ディスクには複製回数を記述し、複製回数に従って表示する品質を劣化させるので、違法な複製を抑止する効果がある。
【0020】
図2は、図1のダウンロードシステムに用いる光ディスク装置の一実施例を示す構成図である。光ディスク装置10は、図1のディスクドライブ7にパソコン8の機能を併合した構成である。なお、これらは分離して別装置として構成しても良い。
【0021】
記録処理部11には、光ディスクの複製回数iを管理する光ディスク管理部12を備える。記録部13は、装着された光ディスクに対して、コンテンツデータと複製回数iを記録する。複製回数管理部14は、記録対象のコンテンツの今までの複製履歴(複製回数)を参照し、新たに記録するコンテンツに対して複製回数を更新して設定する。データ入れ替え部15は、複製回数の情報を記録する際、コンテンツデータの一部と入れ替えて(スワップ)、データ領域に記録する。このように複製回数を更新して記録することで、ダウンロードしたコンテンツに対し違法な複製の繰り返しを抑制する効果がある。また、記録領域を入れ替えて記録することで、従来の記録フォーマットとの互換性をなくし、従来の再生装置では当該コンテンツを違法に再生できないようにしている。
【0022】
機器制御部16には、記録するコンテンツデータを処理して供給する記録信号処理部17と、駆動部19の動作を制御する制御部18を備える。駆動部19は、光学ピックアップ、センサ、モータ(スピンドルモータ、スレッドモータ)などを駆動する。
【0023】
一方再生処理部20では、光ディスクからコンテンツデータを再生し、複製回数iに応じて表示する品質を劣化させる。再生部21は、装着された光ディスクから、コンテンツデータを再生する。再生信号処理部22は再生したデータを処理するとともに、一部スワップしたコンテンツデータを元に戻す処理を行う。複製回数検出部23は再生したデータから複製回数iの情報を検出する。劣化処理部24は、検出した複製回数iに応じて品質(画質)の劣化条件を設定し画像処理部25へ指示する。画像処理部25は再生したコンテンツデータに対して、指示された劣化処理を施す。
【0024】
入力装置26はユーザからの操作指示を受け付け、表示装置27は画像処理部25から出力されたコンテンツデータ(画像・音声)を表示する。
【0025】
本実施例の光ディスク装置10では、光ディスクにダウンロードされたコンテンツを適正に再生表示するための特有の構成となっており、複製回数に応じて品質を劣化させて表示するのでコンテンツの著作権を保護する効果がある。また、本装置でコンテンツを複製して記録する場合には、複製回数を更新して記録するので違法な複製を抑止する効果がある。
【0026】
図3は、本発明における光ディスク媒体のフォーマットの一実施例を示す図である。基本的には、例えばDVDダウンロードディスクのように、ダウンロード専用のフォーマットを有する。さらに、従来の再生装置では正常に再生できないように新たなフォーマットを採用し、複製回数の制限に対応した著作権保護を実現できるようにしている。
【0027】
データ領域32には、UDFファイルフォーマットに従ってコンテンツデータが記録される。その一部領域34(斜線で示す)に、当該コンテンツの複製回数iを示す情報を記録する。そして、領域34に本来記録されるべきコンテンツデータDsを、リードイン領域31内の一部領域35に記録する。すなわち、領域34に配置すべきコンテンツデータDsと領域35に配置すべき管理情報(この場合は複製回数i)とを、入れ替えて(スワップして)配置したことに特徴がある。スワップしたデータDsは、データ領域32以外の領域であれば良く、リードアウト領域33内に配置しても良い。
【0028】
コンテンツを複製して記録する場合、領域34の複製回数iを更新して記録する。また、体験版ディスクを正規版ディスクへ切り替えるような場合には、コンテンツデータはそのままとし、領域34の複製回数iのみを書き換えることで対応する。
【0029】
本実施例の光ディスク媒体の新しいフォーマットは、従来のUDFフォーマットとは異なるので、従来の再生装置では正常に再生表示することは不可能である。図2に示した本実施例の光ディスク装置では、再生信号処理部22は、複製回数の情報とスワップしたデータとを入れ替えて元に戻して転送するので、正常に再生表示することができる。これより、ダウンロードディスクに記録されたコンテンツが不正に視聴されることを防止することができる。
【0030】
図4は、本実施例におけるコンテンツの複製回数の管理を説明する図である。光ディスク(ダウンロードディスク)には、コンテンツデータとともに、そのコンテンツ複製回数iが記録(記述)される。ここに複製回数iは、何世代複製したかを示す世代数で定義する。
【0031】
オリジナルコンテンツを収納したディスク40では、複製回数はi=0とする。例えば、ユーザが購入する正規版ディスクではi=0と記述される。オリジナルディスク40のコンテンツを他のディスク41に複製すると、複製先のディスク41の複製回数はi=1に更新する。その場合、複製先ディスクが複数枚41a、41b存在すれば、いずれもi=1とする。すなわち、複製回数iは複製ディスクの数ではなく、世代数で数える。このようにして、世代数の異なる複製ディスク42(i=2)、複製ディスク43(i=3)、複製ディスク44(i=4)が作成される。
【0032】
ユーザが入手する体験版ディスクは、例えば複製回数をi=3に設定したディスク43tである。ユーザが体験版を見て正規版を購入する場合、体験版のディスク43tの複製回数iを0に書き換える。これにより、体験版ディスク43tを正規版ディスク40(i=0)に切り替えることができる。
【0033】
このような複製回数の管理方法によれば、コンテンツ自身を何ら変更せずに、複製回数のみで容易にコンテンツの世代管理をすることができる。また、世代を遡りオリジナルコンテンツ(正規版)を即座に取得することも可能になる。
【0034】
次に、複製回数に応じて表示画像を劣化させるいくつかの例を図5〜図7に示す。
図5は、画像の解像度を変換することで画質を劣化させる場合を示す。(a)はオリジナル画像で劣化なし(画質=100%)、(b)は解像度を下げて画質を50%に、(c)はさらに解像度を下げて画質を25%に劣化させたものである。
【0035】
解像度変換のために、(b)では隣接する2×2=4画素を1つの領域とし、領域内の各画素を例えばそれらの輝度データの平均値で一様に表示する。さらに(c)では、隣接する4×4=16画素を1つの領域とし、領域内を一様に表示する。画素数を増加させるにつれて、解像度はより劣化する。演算は平均輝度に限らず、最大輝度あるいは最小輝度など、代表となる輝度であればいずれでもよい。これらの平均輝度などの演算は、画像処理部25によりソフト処理で行うことができる。
【0036】
そして、複製回数iと表示画質を対応付ける。例えば、i=0のときは(a)のオリジナル画像(画質=100%)で、i=1のときは(b)の画質=50%で、i≧2のときは(c)の画質=25%で表示させる。もちろん、この対応付けは適宜設定すれば良い。
【0037】
図6は、画像の輝度を一様に減少または増加させて画質を劣化させる場合を示す。(a)のオリジナル画像に対し、(b)では画面全体の輝度を減少(暗く)させて劣化させたものである。逆に、画面全体の輝度を増加(明るく)することでも良い。このように、画面内の明暗差(ダイナミックレンジ)を段階的に縮小させて、画質を段階的に劣化させることができる。
【0038】
図7は、画面内の一部の領域の画素データを入れ替えて画質を劣化させる場合を示す。(a)のオリジナル画像に対し、(b)では左上隅の領域71および右下隅の領域72内の画素を入れ替えたものである。ここでは4×4画素の表示位置を、斜め方向(矢印方向)に対応する画素間で入れ替えている。画素が入れ替わった領域では反転した画像となるので、画質を劣化させることができる。入れ替え画素数を増加させることで、劣化量を増加させることができる。
【0039】
以上、いくつかの画質劣化の例を示したが、いずれも劣化した画像から直感的に複製したコンテンツであることがわかり、コンテンツの違法な複製を抑制する効果が期待できる。
【0040】
図8は、本実施例の光ディスク装置によるコンテンツ複製方法を示すフローチャートである。以下、各ステップを順に説明する。
【0041】
S801では、記録部13は光ディスクに対してコンテンツを複製記録する。その際、データ入れ替え部15は、図3に示したように、複製回数の情報をデータ領域32の一部の領域34に入れ替えて記録する。
【0042】
S802では、複製回数管理部14は、複製元のコンテンツの今までの複製回数iを参照する。S803では、複製回数の情報iの記録があるかどうかを調べ、記録がない場合には、S804にてi=0とする。オリジナルコンテンツでは複製した記録がないので、今までの複製回数を0に設定する。
【0043】
S805では、複製元の複製回数iに1を加算し、複製の世代数を1世代だけ進める。S806では、S805で更新した新たな複製回数i(世代数)で複製回数を書き換える。
【0044】
このようにして、複製したディスクにはそのコンテンツの複製回数が更新されて記述される。
【0045】
図9は、本実施例の光ディスク装置によるコンテンツ再生方法を示すフローチャートである。ここでは画像劣化として、図5に示した劣化処理を行う場合を説明する。
【0046】
S901では、再生部21は光ディスクからコンテンツを再生する。S902では、複製回数検出部23は再生したコンテンツデータから、複製回数iの記述を読み出す。そしてS903とS904では、読み出した複製回数iの数値により、画像の劣化処理を切り替える。
【0047】
複製回数i=0であればS907に進み、画像処理部25は再生した画像をそのまま表示装置27へ出力する(例えば図5(a))。i=1であればS905へ進み、劣化処理部24は画質を50%に劣化させる変換処理を指示し、これを受けて画像処理部25は、図5(b)のような劣化画像を出力する。i≧1であればS906へ進み、劣化処理部24は画質を25%に劣化させる変換処理を指示し、これを受けて画像処理部25は、図5(c)のような劣化画像を出力する。
【0048】
このようにして、再生したコンテンツをその複数回数に応じて劣化させて表示装置にて表示させる。ここで述べた複製回数と劣化画像の対応は一例であり、状況に応じて適宜設定すればよい。
【0049】
以上述べたように、本実施例によれば次のような効果がある。体験版ディスク作成では、劣化のための再圧縮、再記録などが不要となり、自動販売機でのコンテンツ記録時間を最小化できる。また、劣化していないコンテンツを記録しているため、即座に正規版ディスクに更新することができ、ユーザにとって利便性が向上する。
【0050】
さらに、コンテンツを複製する毎に再生表示される品質(画質)が劣化するので、違法な複製に対して抑制効果があり、コンテンツの著作権保護に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明にかかるコンテンツのダウンロードシステムの一例を示す図。
【図2】光ディスク装置の一例を示す構成図。
【図3】光ディスク媒体のフォーマットの一例を示す図。
【図4】コンテンツの複製回数の管理を説明する図。
【図5】画像の解像度を変換することで画質を劣化させる例。
【図6】画像の輝度を一様に減少または増加させて画質を劣化させる例。
【図7】画面内の一部の領域の画素データを入れ替えて画質を劣化させる例。
【図8】本実施例におけるコンテンツ複製方法を示すフローチャート。
【図9】本実施例におけるコンテンツ再生方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0052】
1…ユーザ、2…自動販売機、3…体験版光ディスク、3’…正規版光ディスク、4…コンテンツ提供者、5…光ディスク、7…ディスクドライブ、8…パソコン(PC)、9…表示装置、10…光ディスク装置、11…記録処理部、12…光ディスク管理部、13…記録部、14…複製回数管理部、15…データ入れ替え部、17…記録信号処理部、20…再生処理部、21…再生部、22…再生信号処理部、23…複製回数検出部、24…劣化処理部、25…画像処理部、26…入力装置、27…表示装置、31…リードイン領域、32…データ領域、33…リードアウト領域、i…複製回数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを介してコンテンツの体験版と正規版を切り替えて配布するコンテンツ配布システムにおいて、
コンテンツが格納された光ディスクを提供する販売機と、
提供された光ディスクからコンテンツを再生して表示装置に表示させる光ディスク装置とを備え、
上記光ディスクには、配布するコンテンツを格納するとともに該コンテンツの複製回数を記録しておき、
上記光ディスク装置は、上記複製回数に応じて再生したコンテンツの品質を劣化させる画像処理部を有し、
上記販売機では、コンテンツを所定量劣化させて表示させるための複製回数を記録した体験版光ディスクを提供し、
該体験版光ディスクを正規版光ディスクに切り替えるとき、上記光ディスク装置により、上記体験版光ディスクに記録されている複製回数を、コンテンツを劣化させずに表示させるための複製回数に書き換えることを特徴とするコンテンツ配布システム。
【請求項2】
光ディスクにコンテンツを記録および再生する光ディスク装置において、
装着された光ディスクから、コンテンツを含むデータを再生する再生部と、
再生したデータから、当該コンテンツの複製回数を検出する複製回数検出部と、
検出した複製回数に応じて再生したコンテンツの品質を劣化させて表示装置へ出力する画像処理部と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光ディスク装置において、
装着された光ディスクにコンテンツと当該コンテンツの複製回数を記録する記録部と、
当該コンテンツの複製履歴を参照し、新たに記録するコンテンツに対して複製回数を更新して設定する複製回数管理部と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項2に記載の光ディスク装置において、
前記画像処理部は、コンテンツの品質を劣化させるために、画像の解像度を変換する処理、または画像の輝度を一様に減少または増加させる処理、または画面内の一部の領域の画素データを入れ替える処理を行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
コンテンツとともにその複製回数の情報を記録した光ディスク媒体において、
コンテンツのデータが記録されるデータ領域と、リードイン領域と、リードアウト領域とを有し、
該データ領域内の第1の領域に、当該コンテンツの複製回数を示す情報を配置し、
該第1の領域に記録されるべき一部のコンテンツのデータを、上記リードイン領域内または上記リードアウト領域内の第2の領域に入れ替えて配置されていることを特徴とする光ディスク媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−87396(P2009−87396A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251990(P2007−251990)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】