説明

コンデンサ付きコネクタ

【課題】万が一コンデンサの電解液が漏れ出したとしても、電解液がリード線に付着して留まることを防ぐことができるコンデンサ付きコネクタを提供する。
【解決手段】コンデンサ20が組み込まれたコンデンサ付きコネクタCであって、ハウジング30に保持された端子金具10と前記コンデンサ20のリード線22とが接続され、前記コンデンサ20の本体21から突出した前記リード線22の付け根の周囲に、空間S2が広がって形成されている。このような構成によれば、万が一コンデンサ20から電解液が漏れ出たとしても、その電解液はリード線22の付け根の周囲に形成された空間S2に広がり、リード線22から離れる。したがって、リード線22に電解液が付着して留まることを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ付きコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車等に搭載された電気・電子機器等のノイズを除去するためのコネクタとして、コンデンサが組み込まれたコンデンサ付きコネクタが知られている。この種のコンデンサ付きコネクタとして、ケース状をなすハウジングの内部で端子金具とコンデンサのリード線とを接続し、そこにエポキシ樹脂等を充填してコンデンサを封止するものが知られている(例えば下記特許文献1に記載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−23860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンデンサは、通常、内部に備えられたゴム栓等によって、電解液が外部に漏れ出さない構造を備えている。しかしながら、例えばゴム栓の劣化等、何らかの原因によって、電解液が外部に漏れ出すことは考えられる。そして、万が一コンデンサの電解液が漏れ出した場合には、上記のような構成のコンデンサ付きコネクタにおいては、リード線の付け根部分に電解液が付着して留まる虞があり、電解液がリード線に付着して留まると、リード線が腐食する等の事態を生じる虞があるので対策が望まれていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、万が一コンデンサの電解液が漏れ出したとしても、電解液がリード線に付着して留まることを防ぐことができるコンデンサ付きコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コンデンサが組み込まれたコンデンサ付きコネクタであって、ハウジングに保持された端子金具と前記コンデンサのリード線とが接続され、前記コンデンサの本体から突出した前記リード線の付け根の周囲に、空間が広がって形成されているものである。このような構成によれば、万が一コンデンサから電解液が漏れ出たとしても、その電解液はリード線の付け根の周囲に形成された空間に広がり、リード線から離れる。したがって、リード線に電解液が付着して留まることを防ぐことができる。
【0007】
また、前記ハウジングは、内側に前記コンデンサの本体を収容するコンデンサ収容壁を有し、前記コンデンサ収容壁には、前記リード線を外側に挿通するリード線挿通孔が貫通形成され、前記リード線と前記端子金具とは前記コンデンサ収容壁の外側において接続されており、前記コンデンサの本体のうち前記リード線が突出する突出端面と、前記コンデンサ収容壁のうち前記突出端面と対向する対向面とが、その間に設けられたスペーサ部によって離間し、前記突出端面と前記対向面との間に前記空間が形成されているものとしてもよい。このような構成によれば、コンデンサ収容壁の内側にコンデンサの本体を収容することで、コンデンサと端子金具とを所定の位置関係で保持することができ、かつリード線に電解液が付着して留まることを防ぐことができる。
【0008】
また、前記コンデンサ収容壁には、前記突出端面と前記対向面との間に形成された空間を、前記コネクタ収容壁の外側に開放する開放窓部が形成されているものとしてもよい。このような構成によれば、リード線の付け根の周囲に形成された空間を、より広くすることができる。
【0009】
また、前記ハウジングは、内側に前記コンデンサの本体を収容するコンデンサ収容壁を有し、前記コンデンサ収容壁には、前記リード線を外側に挿通するリード線挿通孔が貫通形成され、前記リード線と前記端子金具とは前記コンデンサ収容壁の外側において接続されており、前記リード線挿通孔の内径寸法は、前記リード線の外径寸法よりも一回り大きく設定され、前記リード線挿通孔の外側に、前記空間が形成されているものとしてもよい。このような構成によれば、コンデンサ収容壁の内側にコンデンサの本体を収容することで、コンデンサと端子金具とを所定の位置関係で保持することができ、かつリード線に電解液が付着して留まることを防ぐことができる。
【0010】
また、前記コンデンサの本体は柱状をなし、前記リード線は前記コンデンサの本体の軸方向の一端面から前記軸方向に突出するものとされ、前記コンデンサ収容壁は、前記コンデンサの本体の周囲を囲う筒状部と、前記コンデンサの本体の一端面に沿うように前記筒状部の一端側に設けられた端壁部とを有し、前記端壁部に前記リード線挿通孔が形成され、前記コンデンサは、前記筒状部のうち前記端壁部とは反対側の開口から、前記リード線を先方にして収容可能とされ、前記リード線挿通孔と、前記端子金具のうち前記リード線と接続する接続部との間には、前記リード線を前記リード線挿通孔から前記接続部の一面側に誘導する誘導部が設けられているものとしてもよい。
このような構成によれば、リード線が端子金具に突き当たることなく、その接続部の一面側に配されるから、リード線が端子金具に突き当たって曲がる等を防止することができ、リード線と端子金具とを良好に接続することができる。
【0011】
また、前記誘導部は、前記リード線と前記端子金具の接続部とが重なり合う方向に弾性変形可能とされているものとしてもよい。このような構成によれば、誘導部がリード線の変形に追従するから、誘導部が、端子金具とリード線との良好な接続を阻害する事態を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、万が一コンデンサの電解液が漏れ出したとしても、電解液がリード線に付着して留まることを防ぐことが可能なコンデンサ付きコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態におけるコンデンサ付きコネクタを示す平面図
【図2】コンデンサ付きコネクタを示す側面図
【図3】コンデンサが収容されていない状態のハウジングを示す背面図
【図4】コンデンサが収容されていない状態のハウジングを示す断面図
【図5】コンデンサが収容されていない状態のハウジングを示す断面図であって、図4のA−A位置における断面に相当する断面図
【図6】ハウジングにコンデンサを収容する様子を示す平断面図
【図7】ハウジングにコンデンサが収容された状態を示す平断面図
【図8】ハウジングにコンデンサを収容する様子を示す縦断面図
【図9】ハウジングにコンデンサが収容された状態を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図1〜図9を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態におけるコンデンサ付きコネクタCは、自動車などに搭載される電気・電子機器などから導出される図示しない複数の電線を、一括して接続するジョイントコネクタである。このコンデンサ付きコネクタCは、複数の端子部11を有する正極側および負極側のジョイント端子(端子金具)10を有し、この正負のジョイント端子10の間に、コンデンサ20が介設されている。以下、各構成部材において、図1の右側(コンデンサ付きコネクタCにおいて図示しない相手側コネクタとの嵌合面側)を前方、その反対側を後方とし、また、図2の上側を上方、下側を下方として説明する。
【0015】
ジョイント端子10は、金属等の導電性の板材を打ち抜いて、曲げ加工等を施すことで成形されている。ジョイント端子10は、タブ状をなす複数の端子部11と、これらを連結する帯状連結部12(図8および図9参照)とを有し、端子部11は、帯状連結部12の一側縁に所定のピッチで並んで突設されている。各端子部11は、図示しない相手側コネクタに保持された端子金具と接続する。
【0016】
また、ジョイント端子10には、帯状連結部12のうち端子部11とは反対の縁に、延出部13が形成され、その延出部13の先端部が、コンデンサ20のリード線22と接続される接続部14とされている。延出部13は、帯状連結部12から略直角方向に延出している。
【0017】
一対のジョイント端子10は、図2に示すように、ハウジング30の厚さ方向(高さ方向)に2段に並べて配置されている。なお、上段側に配置されたジョイント端子10を第一ジョイント端子10A、下段側に配置されたジョイント端子10を第二ジョイント端子10Bと称する。
【0018】
第一ジョイント端子10Aの延出部13(第一延出部13Aと称する)は、その全長にわたり段差がない平坦なものとされている(図8参照)。一方、第二ジョイント端子10Bの延出部13(第二延出部13Bと称する)は、その先端部が第一延出部13Aと略同一高さに配されるべく、長さ方向の途中の位置において2度直角曲げされている。すなわち第二延出部13Bは、その長さ方向の途中の位置において上方に屈曲された後、第一延出部13Aと同一高さの位置において、さらに先方に屈曲されている。
【0019】
第一延出部13Aと第二延出部13Bとは、図7に示すように、ハウジング30の幅方向に一定の間隔をあけて配置され、第二延出部13Bの先端部(第二接続部14Bと称する)が、第一延出部13Aの先端部(第一接続部14Aと称する)よりも先方に突出している。これにより、第一接続部14Aと第二接続部14Bとは、前後方向に所定の間隔をあけて配置される。なお、第二接続部14Bは、幅方向の内側(第一接続部14A側)に略直角に曲がった形状に打ち抜かれている。
【0020】
コンデンサ20は、アルミ電解コンデンサであって、円柱形状をなすコンデンサ本体21と、その前端面(軸方向の一端面、突出端面)23から導出された正負一対のリード線22とを備えている。リード線22は丸ピン形状をなし、コンデンサ本体21の前端面23から略垂直方向(コンデンサ本体21の軸方向)に突出し、その先端部がジョイント端子10の接続部14に接続されている。一対のリード線22は、所定の間隔をあけて配され、そのうちの一方が、他方よりも長い寸法とされている。
【0021】
ハウジング30は合成樹脂製であって、全体として前後方向に細長い形状をなし、その前端部がジョイント端子10を保持する端子保持部31とされ、後端部がコンデンサ20を保持するコンデンサ保持部32とされている。そして、ハウジング30のうち端子保持部31とコンデンサ保持部32との間の部分が、ジョイント端子10とコンデンサ20との接続がなされるコンデンサ接続部33とされている。なお、コンデンサ保持部32は、ハウジング30の幅方向の略中央に位置している。
【0022】
端子保持部31は、ハウジング30の幅方向に長い壁状をなし、ジョイント端子10の帯状連結部12が内部に埋設されている。そして、端子保持部31の前側面31Aからジョイント端子10の端子部11が前方に並んで突出し、端子保持部31の後側面31Bからジョイント端子10の延出部13が後方に延出している。
【0023】
コンデンサ保持部32は、内側にコンデンサ本体21を収容するコンデンサ収容壁34を有している。コンデンサ収容壁34は、図9に示すように、筒状をなしてコンデンサ本体21の周囲を囲う筒状部34Aと、コンデンサ本体21の前端面23に沿うように筒状部34Aの軸方向の一端側に設けられた端壁部34Bとを有している。
【0024】
筒状部34Aは、コンデンサ本体21の外周面に沿う円筒形状をなし、縦向き(軸線が端子部11の突出方向と一致する向き)に形成されている。筒状部34Aは後方に開口しており、後端部がコンデンサ20の出入口35とされている。
【0025】
端壁部34Bは、図5に示すように、筒状部34Aの幅方向の略中央において、筒状部34Aの上端から下端にわたって設けられた壁であり、筒状部34Aの幅方向の両端を残した略全体を塞いでいる。端壁部34Bには、図7に示すように、リード線22をコンデンサ収容壁34の外側に挿通するリード線挿通孔36が、前後方向に貫通形成されている。リード線挿通孔36は、コンデンサ20の正負一対のリード線22を個別に挿通するべく、一対が所定の間隔をあけて配されている。各リード線挿通孔36の内径寸法は、リード線22の外径寸法よりも一回り大きく設定され、リード線挿通孔36とリード線22との間には、電解液を排出可能な大きさの隙間(排出空間S3と称する)が形成されている。なお、一対のリード線挿通孔36は、略同一高さに位置している。
【0026】
端壁部34Bには、コンデンサ本体21の前端面23と、端壁部34Bの後側面(前端面23と対向する対向面)37との間を離間した状態に保持するスペーサ部38が突設されている。このスペーサ部38にコンデンサ本体21の前端面23が突き当たることで、コンデンサ収容壁34の内側に収容されたリード線22の付け根の周囲には、内空間S2が形成されている。
【0027】
スペーサ部38は、図3に示すように、一対のリード線挿通孔36の間に位置し、上下方向に長い壁状をなして、一対のリード線挿通孔36の間を分断している。スペーサ部38の突出寸法は、全体にわたり略一定とされ、スペーサ部38の幅寸法は、突出方向に若干狭まるようにされている。スペーサ部38のうちリード線挿通孔36と略同一高さの位置には、逃げ部38Aが凹み形成されている。逃げ部38Aは、スペーサ部38の両側に設けられている(図4参照)。
【0028】
コンデンサ収容壁34には、内空間S2を、コンデンサ収容壁34の外側に開放する開放窓部39が形成されている。これにより、内空間S2が、外空間S1に連なるように広げられている。開放窓部39は、筒状部34Aと端壁部34Bとの間の角部において、コンデンサ収容壁34を内外方向に貫通する開口である。開放窓部39は、コンデンサ収容壁34の幅方向の両側に設けられている。開放窓部39は、図2に示すように、コンデンサ収容壁34の上下方向の中央部に位置して、上下方向に細長く開口している。
【0029】
コンデンサ接続部33は、幅方向の両側を覆う一対の側壁部41を有している。一対の側壁部41は、互いに略平行をなして対向している。一対の側壁部41は、その前端と後端とが、それぞれ端子保持部31とコンデンサ保持部32とに連結されている。詳しくは、各側壁部41の前端は、端子保持部31の後側面31Bに連結され、各側壁部41の後端は、コンデンサ保持部32の下側に設けられた連結部42に連結されている。連結部42は、コンデンサ保持部32の両側から前方に延びている。
【0030】
コンデンサ接続部33には、一対の側壁部41と端子保持部31とコンデンサ保持部32とに囲まれた空間(外空間S1と称する)が形成されている。外空間S1は上下方向に開放されている。また、図2に示すように、側壁部41の後端は、コンデンサ収容壁34の端壁部34Bよりも前側に位置し、開放窓部39の側方は、側壁部41に覆われることなく開放されている。なお、コンデンサ接続部33には樹脂等が充填されず、コンデンサ付きコネクタCに装着される図示しないカバーにより、外側が覆われるものとされている。
【0031】
コンデンサ保持部32の前側には、リード線挿通孔36からジョイント端子10の接続部14の上面側に、リード線22を誘導する誘導部43が設けられている(図8および図9を参照)。誘導部43は、コンデンサ収容壁34と一体に形成され、端壁部34Bから前方に片持ち状に突出している。誘導部43の幅寸法は全体として略一定とされ、図7に示すように、端壁部34Bの幅寸法よりも若干小さい寸法とされている。誘導部43の幅方向の両側には、前後方向に細長いスリット44が形成され、誘導部43と連結部42とが切り離されている。誘導部43は、上下方向(リード線22とジョイント端子10の接続部14とが重なり合う方向)に弾性変形可能とされている。
【0032】
誘導部43は、端壁部34Bの下端部から前方に突出する脚部43Aと、脚部43Aの前端から上方に立ち上がる胴部43Bと、胴部43Bの上端から前方に突出する頭部43Cとを有している。
【0033】
脚部43Aは、連結部42と同等の高さ位置に配され、連結部42よりも厚さ寸法(上下方向の寸法)が小さく(半分程度)されている。胴部43Bは、端壁部34Bと略平行をなして対向している。頭部43Cの上面は、リード線挿通孔36およびジョイント端子10の接続部14の上面の高さ位置と整合する位置に配され、リード線挿通孔36から前方へ突出したリード線22を、下側から受ける受け部45とされている。受け部45には、各リード線22の外形に沿って凹む一対の受け溝46が形成されている。各受け溝46は、リード線挿通孔36側からジョイント端子10の接続部14側まで直線状に延びている。各受け溝46の後端部には、リード線22を受け溝46内に導くテーパ部47が形成されている。
【0034】
次に、ハウジング30に保持されたジョイント端子10と、コンデンサ20のリード線22とを接続する作業について説明する。
まず、ジョイント端子10が保持されたハウジング30に、コンデンサ20を取り付ける。リード線22を前方(先方)にして、コンデンサ20をコンデンサ収容壁34の出入口35に挿入する。すると、一対のリード線22が、図6に示すように、長い側から順番にリード線挿通孔36に突入し、やがてリード線挿通孔36を通過して前方に突出する。さらに、コンデンサ20を前進させると、リード線挿通孔36を通過したリード線22が、長い方から順番に誘導部43の受け溝46内に導かれ、下側が受け部45に受けられた状態になる。さらにコンデンサ20を前進させると、受け部45に受けられたリード線22は下方へ撓むことなく直進し、やがてジョイント端子10の接続部14の上側に配され、接続部14の上面に接触した状態になる(図9参照)。なお、一対のリード線22のうちの一方は、第一接続部14Aに対してその幅方向の真ん中に配され、他方は、第二接続部14Bに対して、その内側に突出した部分の全体を横切って配される。
【0035】
次いで、上下に重なって配されたリード線22とジョイント端子10の接続部14とを、抵抗溶接によって接続する。これにより、ハウジング30に保持されたジョイント端子10と、コンデンサ20のリード線22との接続作業が完了する。
【0036】
上記のように構成された本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態のコンデンサ付きコネクタCは、コンデンサ本体21から突出したリード線22の付け根の周囲に、内空間S2および外空間S1が広がって形成されている。
【0037】
したがって、万が一コンデンサ20から電解液が漏れ出た場合には、電解液は、内空間S2に広がってリード線22から離れ、さらに開放窓部39からコンデンサ収容壁34の外側に排出され、もしくはリード線挿通孔36の排出空間S3から外側に排出され、外空間S1に広がってリード線22から離れる。このように、万が一コンデンサ20から電解液が漏れ出たとしても、その電解液はリード線22の付け根の周囲に形成された内空間S2または外空間S1に広がり、リード線22から離れる。したがって、リード線22に電解液が付着して留まることを防ぐことができる。
【0038】
また、リード線挿通孔36と、ジョイント端子10の接続部14との間には、リード線22をリード線挿通孔36からジョイント端子10の接続部14の上面側に誘導する誘導部43が設けられている。これにより、リード線22がジョイント端子10に突き当たることなく、その接続部14の上面側に配される。ここで、リード線22は、比較的柔らかくて変形しやすいから、ジョイント端子10に突き当たると曲がってしまう虞があり、そうすると、リード線22と接続部14とを密着させて固着することが困難になる。しかしながら、本実施形態の構成によれば、リード線22は誘導部43によって接続部14の上面側に誘導されるから、そのような事態を防止することができ、リード線22とジョイント端子10とを良好に接続することができる。
【0039】
また、誘導部43は、リード線22とジョイント端子10の接続部14とが重なり合う方向に弾性変形可能とされている。ここで、例えば、誘導部が上下方向に弾性変形しない場合には、接続部の上面側に配されたリード線を固着する際、リード線を屈曲させなければならない事態が起こりうる。また、リード線とジョイント端子とを接続した後に、例えばコンデンサ付きコネクタが上下方向に振動等した場合には、誘導部によって上下方向の位置が固定されたリード線に対し、ジョイント端子の接続部が上下方向に振動し、固着部分に引き剥がし力を生じさせる虞がある。しかしながら、誘導部43がリード線22の変形に追従するから、そのような事態を防ぐことができ、誘導部43が、ジョイント端子10とリード線22との良好な接続を阻害する事態を防ぐことができる。
【0040】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0041】
(1)上記実施形態では、コンデンサ20のリード線22は丸ピン形状をなしているが、これに限らず、例えば、コンデンサのリード線は角柱状等であってもよい。
(2)上記実施形態では、リード線22とジョイント端子10とが抵抗溶接によって溶着されているが、これに限らず、例えば、リード線とジョイント端子とを、レーザー溶接や半田付け等によって溶着してもよい。
(3)上記実施形態では、誘導部43によって誘導されたリード線22は、ジョイント端子10の接続部14の上面に接触した状態になるが、これに限らず、誘導部によって、リード線がジョイント端子の接続部よりも上方に誘導されれば、必ずしもその上面に接触しなくてもよく、この場合には、リード線をジョイント端子の接続部に固着する際に押し付けるようにすればよい。
(4)上記実施形態では、コンデンサ本体21の前端面23と端壁部34Bの後側面37とが、スペーサ部38により離間した状態に保持されているが、これに限らず、例えば、スペーサ部の代わりに、コンデンサ収容壁の筒状部の途中位置に、コンデンサの前進を規制するストッパ部を設ける等することで、コンデンサ本体の前端面と端壁部の後側面との間を離間した状態に保持するものとしてもよい。
(5)上記実施形態では、誘導部43は、端壁部34Bに突設されているが、これに限らず、例えば、誘導部を、連結部や側壁部等に突設してもよい。
【符号の説明】
【0042】
C…コンデンサ付きコネクタ
S1…外空間
S2…内空間
10…ジョイント端子(端子金具)
14…接続部
20…コンデンサ
21…コンデンサ本体(コンデンサの本体)
22…リード線
23…前端面(突出端面、一端面)
30…ハウジング
34…コンデンサ収容壁
34A…筒状部
34B…端壁部
36…リード線挿通孔
37…後側面(対向面)
38…スペーサ部
39…開放窓部
43…誘導部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサが組み込まれたコンデンサ付きコネクタであって、
ハウジングに保持された端子金具と前記コンデンサのリード線とが接続され、
前記コンデンサの本体から突出した前記リード線の付け根の周囲に、空間が広がって形成されているコンデンサ付きコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、内側に前記コンデンサの本体を収容するコンデンサ収容壁を有し、
前記コンデンサ収容壁には、前記リード線を外側に挿通するリード線挿通孔が貫通形成され、前記リード線と前記端子金具とは前記コンデンサ収容壁の外側において接続されており、
前記コンデンサの本体のうち前記リード線が突出する突出端面と、前記コンデンサ収容壁のうち前記突出端面と対向する対向面とが、その間に設けられたスペーサ部によって離間し、前記突出端面と前記対向面との間に前記空間が形成されている請求項1に記載のコンデンサ付きコネクタ。
【請求項3】
前記コンデンサ収容壁には、前記突出端面と前記対向面との間に形成された空間を、前記コネクタ収容壁の外側に開放する開放窓部が形成されている請求項2に記載のコンデンサ付きコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、内側に前記コンデンサの本体を収容するコンデンサ収容壁を有し、
前記コンデンサ収容壁には、前記リード線を外側に挿通するリード線挿通孔が貫通形成され、前記リード線と前記端子金具とは前記コンデンサ収容壁の外側において接続されており、
前記リード線挿通孔の内径寸法は、前記リード線の外径寸法よりも一回り大きく設定され、
前記リード線挿通孔の外側に、前記空間が形成されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のコンデンサ付きコネクタ。
【請求項5】
前記コンデンサの本体は柱状をなし、前記リード線は前記コンデンサの本体の軸方向の一端面から前記軸方向に突出するものとされ、
前記コンデンサ収容壁は、前記コンデンサの本体の周囲を囲う筒状部と、前記コンデンサの本体の一端面に沿うように前記筒状部の一端側に設けられた端壁部とを有し、前記端壁部に前記リード線挿通孔が形成され、
前記コンデンサは、前記筒状部のうち前記端壁部とは反対側の開口から、前記リード線を先方にして収容可能とされ、
前記リード線挿通孔と、前記端子金具のうち前記リード線と接続する接続部との間には、前記リード線を前記リード線挿通孔から前記接続部の一面側に誘導する誘導部が設けられている請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載のコンデンサ付きコネクタ。
【請求項6】
前記誘導部は、前記リード線と前記端子金具の接続部とが重なり合う方向に弾性変形可能とされている請求項5に記載のコンデンサ付きコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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