説明

コントローラ、制御システム及び制御装置の拡張方法

【課題】互いに通信プロトコルが異なるリアルタイム制御用コントローラを、リアルタイム制御に影響せずに接続することを容易にする。
【解決手段】コントローラは、制御対象の制御又は監視を行う制御タスクを含む制御部と、制御又は監視に用いられるプロセス値を第1外部機器との間で制御専用プロトコルにより通信する通信タスクを含む通信部と、制御タスクと通信タスクとをリアルタイム処理するリアルタイムOS手段と、SOAPに例示される汎用通信プロトコルで第2外部機器と通信を行う汎用通信部と、制御専用プロトコルと汎用通信プロトコルとを相互に変換することによって通信タスクと汎用通信部との通信を媒介する変換部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアルタイム制御を行うコントローラと外部機器との通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プラント等の施設においては、コントローラによってリアルタイム制御される多数の機器が使用される。オペレータは、端末装置から通信回線を介してそれら多数の機器と通信することにより、制御又は監視を行う。
【0003】
そのような施設において、従来の制御システムに対して新設の制御システムを追加してシステムの拡張が行われることがある。従来の制御システム内で用いられていた通信プロトコルと増設しようとする制御システムの通信プロトコルが異なる場合、プロトコルが異なる制御システムの間に個別にゲートウェイ装置を設けることで、複数の制御システムを通信可能に接続することができる。
【0004】
特許文献1には、組込用ネットワーク情報処理装置および制御監視システムが記載されている。この技術は、ネットワークを介した外部との間のプログラムやデータの送受信処理・およびプログラム(命令)解釈処理と、制御監視対象からの状態量収集処理とをプロセッサの処理負荷を増大させることなく両立して実行することが可能な組込用ネットワーク情報処理を提供することにより、電力系統監視システム等の常時大量の状態量データを収集する必要のある制御監視システムを構成する各制御監視装置に対する組込用ネットワーク情報処理装置の適用性を向上させることを目的の1つとしている。
【0005】
特許文献2には、制御用プロセッサと、通信用プロセッサと、前記制御用プロセッサ及び通信用プロセッサのそれぞれに接続されたブリッジLSIと、該ブリッジLSIに接続されたメモリ、制御対象とシステムバスを介して接続するためのシステムバスインターフェイス、端末とインターネットを介して接続するためのネットワークインターフェイスを備えたことを特徴とするコントローラが記載されている。
【特許文献1】特開2000‐163119号公報
【特許文献2】特開2003‐158780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プロトコルが異なる複数のリアルタイム制御システムに対して、共通の汎用通信プロトコルによる汎用通信機能を各々に付加することにより、制御システムの拡張を行うことができる。こうした拡張方法は、制御システムが多種多様な装置を追加できるようにするために特に有効である。
【0007】
図1は、そうした制御システムの一例を示す。汎用通信プロトコルとしてSOAPが採用される。コントローラ102は、IPネットワーク106の上で行われる制御専用通信110によりSOAPサーバ108と通信を行う。SOAPサーバ108は制御専用通信110とSOAP通信112とを媒介するゲートウェイ装置として機能する。様々な異なるプロトコルによる制御専用通信110がSOAPサーバ108において結束される。
【0008】
SOAPサーバ108はSOAPクライアント104とSOAP汎用通信112を行う。オペレータはSOAPクライアント104の入出力装置により、コントローラ102の制御又は監視を行う。
【0009】
こうした制御システムは、独立のコンピュータシステムを用いたSOAPサーバ108を導入し、SOAPサーバ108が制御専用通信110に対応することができるようするプログラムを開発することにより実現される。こうした技術においては、SOAPサーバ108として使用される専用のコンピュータシステムを導入するコストの低減が望まれる。プログラムを新規に開発し検証する時間及びコストを低減することが望まれる。
【0010】
図2は、汎用通信プロトコルを使用する制御システムの他の例を示す。この例では、コントローラ114の内部にSOAPサーバソフトウェア116がインストールされている。一方でコントローラ114は、他の制御機器と制御専用通信プロトコルによる制御専用通信を行う。他方でコントローラ114は、SOAPクライアント118とSOAP通信を行う。こうした技術においては、SOAPサーバソフトウェアを新規に開発し検証する時間及びコストを低減することが望まれる。SOAPサーバソフトウェアやSOAP通信にトラブルが発生した場合に、コントローラの機器制御がダウンしないように信頼性を確保することが望まれる。
【0011】
本発明の目的は、リアルタイム制御に影響せずに外部機器との通信を行うことを可能にするコントローラ及び制御システムを提供することである。
本発明の他の目的は、互いに異なる通信プロトコルを用いてコントローラ間の通信を行う複数のコントローラ群に対して、それらコントロール群のリアルタイム制御に影響せずに制御又は監視を行うことを可能にするコントローラ及び制御システムを提供することである。
本発明の更に他の目的は、通信プロトコルの異なるコントローラをリアルタイム制御に影響せずに増設することを容易にする制御システムの拡張方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0013】
本発明によるコントローラは、制御対象の制御又は監視を行う制御タスクを実行する制御部(16a)と、制御又は監視に用いられるプロセス値を第1外部機器(4a)との間で第1プロトコルにより通信する通信タスクを実行する通信部(18a)と、制御タスクと通信タスクとをリアルタイム処理するリアルタイムOS手段(14a)と、第2プロトコルで第2外部機器(6)と通信を行う汎用通信部(22a)と、第1プロトコルと第2プロトコルとを相互に変換することによって通信タスクと汎用通信部(22a)との通信を媒介する変換部(20a)とを備える。
【0014】
このような構成のコントローラにより、リアルタイム制御を行う複数のコントローラの相互の通信が第1プロトコルで行われる場合に、それとは異なる第2プロトコルを用いて外部機器からの制御又は監視が可能である。このような構成のコントローラにより、リアルタイム制御を行う複数のコントローラ同士がそれぞれに独自のプロトコルで相互通信を行っている複数の制御システムを、共通の第2プロトコルに基づいて制御又は監視するように拡張することが容易である。
【0015】
本発明によるコントローラは、共有メモリ(30)を備える。通信部(18)と変換部(28)との通信は、共有メモリ(30)を媒介として行われる。
【0016】
本発明による制御システムは、第1コントローラ群(2a、4a)と、第2コントローラ群(2b、4b)と、汎用通信クライアント(6)とを備える。第1コントローラ群(2a、4a)に含まれる少なくとも1つのコントローラの各々は、制御対象の制御又は監視を行う第1制御タスクを実行する第1制御部(16a)と、第1制御部(16a)による制御又は監視に用いられるプロセス値を第1コントローラ群に属する他のコントローラ(4a)との間で第1プロトコルにより通信可能な第1通信タスクを実行する第1通信部(18a)と、第1制御タスクと第1通信タスクとをリアルタイム処理する第1リアルタイムOS手段(14a)と、第3プロトコルで外部機器(6)と通信を行う第1汎用通信部(22a)と、第1プロトコルと第3プロトコルとを変換することによって第1通信タスクと第1汎用通信部(22a)との通信を媒介する第1変換部(20a)とを備える。第2コントローラ群(2b、4b)に含まれる少なくとも1つのコントローラの各々は、制御対象の制御又は監視を行う第2制御タスクを実行する第2制御部(16b)と、第2制御部(16b)による制御又は監視に用いられるプロセス値を第2コントローラ群に属する他のコントローラ(4b)との間で第2プロトコルにより通信可能な第2通信タスクを実行する第2通信部(18b)と、第2制御タスクと第2通信タスクとをリアルタイム処理する第2リアルタイムOS手段(14b)と、第3プロトコルで外部機器(6)と通信を行う第2汎用通信部(22b)と、第2プロトコルと第3プロトコルとを変換することによって第2通信タスクと第2汎用通信部(22b)との通信を媒介する第2変換部(20b)とを備える。
【0017】
本発明による制御システムの拡張方法は、リアルタイムOS手段(14a)を用いて第1制御対象をリアルタイムに制御又は監視し、通信回線(8)を介して外部機器(6)と第3プロトコルによる通信が可能な第1コントローラ群(2a、4a)を用意するステップと、第2コントローラ群(2b、4b)を通信回線(8)に接続するステップとを備える。第2コントローラ群(2b、4b)に含まれる少なくとも1つのコントローラの各々は、第2制御対象の制御又は監視を行う第2制御タスクを実行する第2制御部(16b)と、第2制御部(16b)による制御又は監視に用いられるプロセス値を第2コントローラ群に属する他のコントローラ(4b)との間で第2プロトコルにより通信可能な第2通信タスクを実行する第2通信部(18b)と、第2制御タスクと第2通信タスクとをリアルタイム処理する第2リアルタイムOS手段(14b)と、第3プロトコルで外部機器(6)と通信可能な第2汎用通信部(22b)と、第2プロトコルと第3プロトコルとを変換することによって第2通信タスクと第2汎用通信部(22b)との通信を媒介する第2変換部(20b)とを備える。制御システムの拡張方法は更に、外部機器(6)のマンマシンインターフェースを用いて第1コントローラ群(2a、4a)と第3プロトコルによる通信を行うことにより第1制御対象を制御又は監視するステップと、マンマシンインターフェースを用いて第2コントローラ群(2b、4b)と第3プロトコルによる通信を行うことにより第2制御対象を制御又は監視するステップとを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リアルタイム制御に影響せずに外部機器との通信を行うことを可能にするコントローラ及び制御システムが提供される。
更に本発明によれば、互いに異なる通信プロトコルを用いてコントローラ間の通信を行う複数のコントローラ群に対して、それらコントロール群のリアルタイム制御に影響せずに制御又は監視を行うことを可能にするコントローラ及び制御システムが提供される。
更に本発明によれば、通信プロトコルの異なるコントローラをリアルタイム制御に影響せずに増設することを容易にする制御システムの拡張方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。図3は、本実施の形態における制御システムの構成を示す。制御システムは、コントローラ2a、2b、他制御装置4a、4b及びSOAPクライアント6を備える。
【0020】
コントローラ2aは、リアルタイムOS14aと制御プログラム16aとを格納する。リアルタイムOS14aはメモリ保護機能を備える汎用のリアルタイムOSである。リアルタイムOS14aとしては、RLinuxが例示される。コントローラ2aは、図示しないプラント等の機器に情報通信可能に接続されている。コントローラ2aは、リアルタイムOS14aの上で制御プログラム16aを動作させることで制御タスクを生成し、その制御タスクにより機器をリアルタイムに制御又は監視する。
【0021】
コントローラ2aは専用通信サーバ18aを搭載する。コントローラ2aは、リアルタイムOS14aの上で専用通信サーバ18aを動作させることにより通信タスクを生成し、その通信タスクにより、IPネットワーク8を介して、他制御装置4aと制御専用通信10aを行う。リアルタイムOS14aは、制御タスクのリアルタイム性を妨げないように通信タスクの優先順位を割り当てる。制御専用通信10aは、制御専用通信プロトコルによって行われる。
【0022】
コントローラ2aは、リアルタイムOS14aの上で、通常プロセス(非リアルタイム制御で行われる標準プロセス)により実行される専用通信API(Application Program Interface)20aを搭載する。専用通信API20aは専用通信サーバ18aと装置内で通信を行う。専用通信API20aと専用通信サーバ18aとの通信タスクは、制御専用通信10aよりも下位の優先度でリアルタイムOS14aにより管理される。
【0023】
コントローラ2aは更に、制御プログラム16aと同じリアルタイムOS14aによりタスク管理されるSOAP(Simple Object Access Protocol)サーバ22aを搭載する。
【0024】
SOAPサーバ22aは、IPネットワーク8を介して、SOAPクライアント6とSOAP通信12aを行う。専用通信API20aは、専用通信サーバ18と他制御装置4aとの制御専用通信10aに用いられる制御専用通信プロトコルとSOAPとを相互に変換することにより、制御専用通信10aとSOAP通信12aとの通信を媒介するゲートウェイ装置の役割をになう手段である。SOAPクライアント6は、入力装置、表示装置に例示されるマンマシンインターフェースを備える。
【0025】
SOAPサーバ22a、SOAPクライアント6及びSOAP通信12aにおける汎用通信プロトコルのXML/SOAPに代えて、JAVA(登録商標)に例示される他の汎用通信プロトコルにより通信を行うクライアント・サーバを用いることも可能である。本発明の制御システムは、異なる通信プロトコルの制御専用通信を用いている制御システム同士を結合して運用するものであり、こうした目的を達成するためにSOAPが好適に用いられる。
【0026】
専用通信サーバ18aには、一のローカルアドレスが割り当てられる。SOAPサーバ22aには、他のローカルアドレスが割り当てられる。専用通信サーバ18aとSOAPサーバ22aとは、ローカルアドレスを用いて相互に相手を同定することにより、同一コントローラ内での通信を行う。
【0027】
コントローラ2bは、コントローラ2aに対応する構成を備える。コントローラ2aのリアルタイムOS14aとコントローラ2bのリアルタイムOS14bとは異なる種類のリアルタイムOSであってもよい。コントローラ2aの制御専用通信10aの通信プロトコルとコントローラ14bの制御専用通信10bの通信プロトコルとは同一でもよいが、異なっている場合に特に本発明の効果が顕著である。
【0028】
コントローラ2a、2b、他制御装置4a、4bは、同一の又は異なる機器を制御又は監視する。例えばコントローラ2a、2b、他制御装置4a、4bは、同一のプラントに属する異なる機器を制御又は監視する。
【0029】
次に、こうした構成を備える制御システムの動作について説明する。リアルタイムOS14aの上で制御プログラムが実行されることで制御タスクが生成される。この制御タスクはリアルタイムOS14aによりリアルタイムで制御対象を制御する。リアルタイムOS14aは、制御タスクのリアルタイム性を確保しつつ通信が行われるように通信タスクに優先度を割り当て、専用通信サーバ18aを介して他制御装置4aと制御専用通信10aを行う。他制御装置4aはリアルタイムに制御装置を制御する。これにより、コントローラ2aとコントローラ4aとは相互に通信しながらリアルタイムに連系して制御動作を行う。
【0030】
オペレータは、SOAPクライアント6の入力装置から入力を行うことによってコントローラ2aの制御動作に介入する。オペレータがSOAPクライアント6からコントローラ2aの設定値の変更等の入力を行うと、入力された情報は指定されたIPアドレスを有するコントローラ2aの内部のSOAPサーバ22aにSOAP通信12aにより送信される。専用通信API20bは、SOAPサーバ22aが受信した情報を専用通信サーバ18aが読み取れるプロトコル、即ち制御専用通信10aと同じプロトコルに変換する。専用通信サーバ18aは、リアルタイムOS14aにより割り当てられた通信タスクにおいて専用通信API20aからその情報を取得する。制御プログラム16aは、その情報に応答して目標プロセス値に例示される設定値を変更して、制御対象をリアルタイム制御する。
【0031】
専用通信サーバ18aは、制御プログラム16aが制御に使用するプロセス値及び制御対象からセンサにより得られたプロセス値に例示される情報を、制御専用通信10aのプロトコルで専用通信API20aに送信する。専用通信API20aは、受信した情報をSOAPのメッセージに変換する。SOAPサーバ22aはそのメッセージをSOAP通信12aによりSOAPクライアント6に送信する。オペレータはSOAPクライアント6の出力装置を介してプロセス値を監視する。
【0032】
オペレータは、SOAPクライアント6の入出力装置を用いて、コントローラ2bに対してコントローラ2aと同様の制御及び監視を行う。コントローラ2aの制御専用通信10aのプロトコルとコントローラ2bの制御専用通信12bのプロトコルが異なる場合でも、オペレータはSOAPクライアント6によって両者に対して制御及び監視を行うことができる。
【0033】
本実施の形態における制御システムは、次のような場合に特に顕著な効果を発揮する。あるプラントに対して、第1プロトコルで制御専用通信10aを行うコントローラ群(リアルタイムOS14a、制御プログラム16a及び専用通信サーバ18aを含む)を備えた制御システムにより制御が行われていた場合について考える。この制御システムを拡張する場合、通信プロトコルを第1プロトコルのものに限定せずに拡張したい場合が多い。
【0034】
システムを拡張する場合、従来稼動していた制御システムには出来る限り変更を加えないで拡張が行われることが望まれる。この条件は、開発期間の短縮、コストの低下及び制御システムの信頼性の維持を達成するために強く要求される。
【0035】
本実施の形態におけるコントローラ2a、2bの構成によれば、制御プログラム16aによる従来の制御、専用通信サーバ18aによる従来の制御専用通信10aを改変せずに、第1プロトコルと異なる第2プロトコルで動作するコントローラ群(コントローラ2b、他制御装置4bを含む)を拡張し、SOAPにより統一的に制御・監視することが可能である。この際、制御プログラム16aは改変されないため、動作を保証するための再検証は必要とされない。SOAPサーバの役割を担う独立のコンピュータシステムを導入することも必要とされない。更に、第3のプロトコルを用いた第3のコントローラ群を拡張することも同様に可能である。
【0036】
リアルタイムOS14a、14bはメモリ保護機能を備えているため、SOAP通信12a、12bが万一ダウンしても、制御プログラム16aによるリアルタイム制御と制御専用通信10aは続行される。
【0037】
図4は、他の実施例における制御システムを示す。コントローラ2cは、図3のコントローラ2aと比べて、専用通信サーバ26により読み出し・書き込みされる共有メモリ30を有する。制御プログラム16は、制御専用通信10だけを行うときに対して、SOAP通信12を拡張する際、制御又は監視に用いるプロセス値を共有メモリ30に書き込み、共有メモリ30から読み出すように改変される。共有メモリAPI28は、共有メモリ30に対して制御専用通信10のプロトコルのデータの読み出し・書き込み動作を行い、SOAPに変換する。その他の動作は、図3のコントローラ2aと同一である。このコントローラ2cは、図3と同様に、プロトコルの異なる制御専用通信を行う他のコントローラとIPネットワーク8を介して接続することが可能である。こうしたコントローラ2cの構成により、制御プログラム16のわずかな改変により、図3に示されたコントローラ2a、2bと同じ効果が得られる。
【0038】
図5は、更に他の実施例による制御システムを示す。コントローラ2dは、図3のコントローラ2aと同様の制御プログラム16、専用通信サーバ18、専用通信API20及びSOAPサーバ22を備える。制御プログラム16と専用通信サーバ18とはリアルタイムOS34の上で動作する。本実施例において、リアルタイムOS34は、仮想マシンソフトウェア32によってエミュレートされるOSである。専用通信API20とSOAPサーバ22とは汎用OS36の上で動作する。
【0039】
仮想マシンソフトウェアとしては、VMware、Wine、Xen等が知られている。図5で用いられる仮想マシンソフトウェア32は、こうしたものであってリアルタイムOSとして機能するためのスケジューリング機能を備えているものである。このスケジューリング機能により、エミュレートされたリアルタイムOS34は、制御プログラム16による制御動作をリアルタイムのタスクとして実行する。汎用OS36も、仮想マシンソフトウェア32によってエミュレートされるOSである。こうした構成のコントローラ2dによっても図3のコントローラ2aと同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の課題を説明するために用いられる制御システムの構成を示す。
【図2】図2は、本発明の課題を説明するために用いられる制御システムの構成を示す。
【図3】図3は、実施の一形態における制御システムを示す。
【図4】図4は、実施の一形態における制御システムを示す。
【図5】図5は、実施の一形態における制御システムを示す。
【符号の説明】
【0041】
2…コントローラ
4…他制御装置
6…SOAPクライアント
8…IPネットワーク
10…制御専用通信
12…SOAP通信
14…リアルタイムOS
16…制御プログラム
18…専用通信サーバ
20…専用通信API
22…SOAPサーバ
26…専用通信サーバ
28…共有メモリAPI
30…共有メモリ
32…仮想マシンソフトウェア
34…リアルタイムOS
36…汎用OS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の制御又は監視を行う制御タスクを実行する制御部と、
前記制御又は監視に用いられるプロセス値を第1外部機器との間で第1プロトコルにより通信する通信タスクを実行する通信部と、
前記制御タスクと前記通信タスクとをリアルタイム処理するリアルタイムOS手段と、
第2プロトコルで第2外部機器と通信を行う汎用通信部と、
前記第1プロトコルと前記第2プロトコルとを相互に変換することによって前記通信タスクと前記汎用通信部との通信を媒介する変換部
とを具備する
コントローラ。
【請求項2】
請求項1に記載されたコントローラであって、
更に、共有メモリ
を具備し、
前記通信部と前記変換部との通信は、前記共有メモリを媒介として行われる
コントローラ。
【請求項3】
第1コントローラ群と、
第2コントローラ群と、
汎用通信クライアント
とを具備し、
前記第1コントローラ群に含まれる少なくとも1つのコントローラの各々は、
制御対象の制御又は監視を行う第1制御タスクを実行する第1制御部と、
前記第1制御部による制御又は監視に用いられるプロセス値を前記第1コントローラ群に属する他のコントローラとの間で第1プロトコルにより通信可能な第1通信タスクを実行する第1通信部と、
前記第1制御タスクと前記第1通信タスクとをリアルタイム処理する第1リアルタイムOS手段と、
第3プロトコルで外部機器と通信を行う第1汎用通信部と、
前記第1プロトコルと前記第3プロトコルとを変換することによって前記第1通信タスクと前記第1汎用通信部との通信を媒介する第1変換部
とを備え、
前記第2コントローラ群に含まれる少なくとも1つのコントローラの各々は、
制御対象の制御又は監視を行う第2制御タスクを実行する第2制御部と、
前記第2制御部による制御又は監視に用いられるプロセス値を前記第2コントローラ群に属する他のコントローラとの間で第2プロトコルにより通信可能な第2通信タスクを実行する第2通信部と、
前記第2制御タスクと前記第2通信タスクとをリアルタイム処理する第2リアルタイムOS手段と、
前記第3プロトコルで前記外部機器と通信を行う第2汎用通信部と、
前記第2プロトコルと前記第3プロトコルとを変換することによって前記第2通信タスクと前記第2汎用通信部との通信を媒介する第2変換部
とを備える
制御システム。
【請求項4】
リアルタイムOS手段を用いて第1制御対象をリアルタイムに制御又は監視し、通信回線を介して外部機器と第3プロトコルによる通信が可能な第1コントローラ群を用意するステップと、
第2コントローラ群を前記通信回線に接続するステップ
とを具備し、
前記第2コントローラ群に含まれる少なくとも1つのコントローラの各々は、
第2制御対象の制御又は監視を行う第2制御タスクを実行する第2制御部と、
前記第2制御部による制御又は監視に用いられるプロセス値を前記第2コントローラ群に属する他のコントローラとの間で第2プロトコルにより通信可能な第2通信タスクを実行する第2通信部と、
前記第2制御タスクと前記第2通信タスクとをリアルタイム処理する第2リアルタイムOS手段と、
前記第3プロトコルで前記外部機器と通信可能な第2汎用通信部と、
前記第2プロトコルと前記第3プロトコルとを変換することによって前記第2通信タスクと前記第2汎用通信部との通信を媒介する第2変換部
とを備え、
更に、前記外部機器のマンマシンインターフェースを用いて前記第1コントローラ群と前記第3プロトコルによる通信を行うことにより前記第1制御対象を制御又は監視するステップと、
前記マンマシンインターフェースを用いて前記第2コントローラ群と前記第3プロトコルによる通信を行うことにより前記第2制御対象を制御又は監視するステップ
とを具備する
制御システムの拡張方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−221364(P2007−221364A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38381(P2006−38381)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】