説明

コントロールユニットの製造方法および、その製造方法で製造されたコントロールユニット

【課題】潤滑剤を使用してもコントロールユニットの品質低下を防ぐことができるコントロールユニットの製造方法および、その製造方法で製造されたコントロールユニットを提供する。
【解決手段】作業者は、スライド部ABS樹脂成形品22sをエッチング液eに浸漬して得られた多孔質スライド部22tを潤滑剤gに浸漬することにより、潤滑剤浸透済スライド部22uを得る。次に、作業者は、潤滑剤浸透済スライド部22uに残存している余分な潤滑剤gを除去してスライド部22を得る。次に、作業者は、ベースの各収容部内にスライド部22を入れ、各スライド部22に操作ボタン本体を嵌めてコントロールユニットを形成する。次に、作業者は操作ボタン本体を指で押す。これにより、スライド部22のエッチング孔hに浸透している潤滑剤gが滲出してスライド部22と収容部との間に浸透することによりコントロールユニットが出来上がる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、例えば、車両のオーディオシステムやナビゲーションシステムを操作するために用いられるコントロールユニットの製造方法および、その製造方法で製造されたコントロールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のオーディオシステムやナビゲーションシステムを操作するために用いられるコントロールユニットとしては、例えば、特許文献1(実公平4−36510号公報)に記載されたものがある。この特許文献1に記載されているコントロールユニットは、プッシュ式の操作ボタンと、ベース(ハウジング1)とを備えている。
【0003】
操作ボタンは、操作ボタン本体(ノブ4)と、スライド部(突条5、摺動子8)とを有している。ベースは収容部(案内溝6、案内レール9)を有している。この収容部は、操作ボタンのスライド部を押下方向とその逆方向とに摺動可能に保持するものである。ここで、スライド部をスムーズに摺動させるためにグリース等の潤滑剤が使用されている。この潤滑剤は収容部に塗布される。この潤滑剤の塗布作業は、機械で自動的に行われるか、もしくは作業者自身が器具を用いて行っている。
【0004】
【特許文献1】実公平4−36510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一つのコントロールユニットに多くの操作ボタンが使用される場合には、ベースに設けられる収容部の数が多くなる。このため、作業者は、収容部の方に潤滑剤を塗布すると、非常に手間がかかる。したがって、塗布を忘れてしまう収容部が発生することがあるので、後で塗布状態を確認しなければならない。また、収容部が狭い場合には、この収容部に機械や器具の先端部が十分に届かないので、潤滑剤を満足に塗布できない。
【0006】
したがって、従来のコントロールユニットの製造方法では、収容部の数が多いコントロールユニットや収容部が狭いコントロールユニットを製造する場合に、潤滑剤をスライド部と収容部との間に確実に浸透させることができない。そのため、コントロールユニットの品質にバラツキが生じるので、車両の生産ラインにおいてコントロールユニットを安定して供給することができなかった。
【0007】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、潤滑剤を使用してもコントロールユニットの品質低下を防ぐことができるコントロールユニットの製造方法および、その製造方法で製造されたコントロールユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本件発明のコントロールユニットの製造方法においては、操作ボタン本体にスライド部が結合しているプッシュ式の操作ボタンと、前記スライド部を押下方向とその逆方向とに摺動可能に保持するための収容部を有するベースとを備えているコントロールユニットの製造方法において、前記操作ボタン本体を前記スライド部から分離して成形して得るとともに、ABS樹脂を用いて前記スライド部と同じ外観形状のスライド部ABS樹脂成形品を得る操作ボタン分割成形工程と、前記スライド部ABS樹脂成形品の表面に存在しているブタジエン粒子をエッチング液を用いて溶解することにより、表面に多数のエッチング孔が形成された多孔質スライド部を得るエッチング工程と、前記多孔質スライド部を潤滑剤に浸漬して当該多孔質スライド部のエッチング孔に前記潤滑剤を浸透させることにより潤滑剤浸透済スライド部を得る含侵工程と、前記潤滑剤浸透済スライド部の表面に残存している余分な潤滑剤を除去して前記スライド部を得る洗浄工程と、予め製造された前記ベースの前記収容部に、前記洗浄工程によって得られた前記スライド部を入れて保持させ、さらに当該スライド部に、前記操作ボタン分割成形工程によって得られた前記操作ボタン本体を結合して前記コントロールユニットを形成する組み付け工程と、前記操作ボタン本体のプッシュ操作によって、前記スライド部の前記エッチング孔に浸透している前記潤滑剤を滲出させて、当該潤滑剤を前記スライド部と前記ベースの前記収容部との間に浸透させる調整工程と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、本件発明のコントロールユニットの製造方法においては、スライド部を有するプッシュ式の操作ボタンと、前記スライド部を押下方向とその逆方向とに摺動可能に保持するための収容部を有するベースとを備えているコントロールユニットの製造方法において、ABS樹脂を用いて前記ベースの前記収容部に相当する部分であるABS樹脂成形収容部を成形して、ABS樹脂以外の樹脂を用いて前記ベースの前記収容部以外の相当する部分を成形することによりベース二色成形品を得るベース元部材成形工程と、前記ベース二色成形品の前記ABS樹脂成形収容部の表面に存在しているブタジエン粒子をエッチング液を用いて溶解することにより、表面に多数のエッチング孔が形成された多孔質収容部を有するベース二色成形品を得るエッチング工程と、前記多孔質収容部を有する前記ベース二色成形品を潤滑剤に浸漬して当該多孔質収容部のエッチング孔に前記潤滑剤を浸透させることにより潤滑剤浸透済ベース二色成形品を得る含侵工程と、前記潤滑剤浸透済ベース二色成形品の表面に残存している余分な潤滑剤を除去して前記ベースを得る洗浄工程と、前記洗浄工程によって得られた前記ベースの前記収容部に、予め製造された前記操作ボタンの前記スライド部を入れて保持させることにより前記コントロールユニットを形成する組み付け工程と、前記操作ボタンのプッシュ操作によって前記ベースの前記収容部の前記エッチング孔に浸透している前記潤滑剤を滲出させて、当該潤滑剤を前記収容部と前記操作ボタンの前記スライド部との間に浸透させる調整工程と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
また、本件発明のコントロールユニットの製造方法においては、操作ボタン本体にスライド部が結合しているプッシュ式の操作ボタンと、前記スライド部を押下方向とその逆方向とに摺動可能に保持するための収容部を有するベースとを備えているコントロールユニットの製造方法において、前記操作ボタン本体を前記スライド部から分離して成形して得るとともに、ABS樹脂を用いて前記スライド部と同じ外観形状のスライド部ABS樹脂成形品を得る操作ボタン分割成形工程と、ABS樹脂を用いて前記ベースの前記収容部に相当する部分であるABS樹脂成形収容部を成形し、ABS樹脂以外の樹脂を用いて前記ベースの前記収容部以外の相当する部分を成形することによりベース二色成形品を得るベース元部材成形工程と、前記スライド部ABS樹脂成形品の表面に存在しているブタジエン粒子をエッチング液を用いて溶解することにより、表面に多数のエッチング孔が形成された多孔質スライド部を得るとともに、前記ベース二色成形品の前記ABS樹脂成形収容部の表面に存在しているブタジエン粒子をエッチング液を用いて溶解することにより、表面に多数のエッチング孔が形成された多孔質収容部を有するベース二色成形品を得るエッチング工程と、前記多孔質スライド部を潤滑剤に浸漬して当該多孔質スライド部のエッチング孔に前記潤滑剤を浸透させることにより潤滑剤浸透済スライド部を得るとともに、前記多孔質収容部を有する前記ベース二色成形品を潤滑剤に浸漬して当該多孔質収容部のエッチング孔に前記潤滑剤を浸透させることにより潤滑剤浸透済ベース二色成形品を得る含侵工程と、前記潤滑剤浸透済スライド部の表面に残存している余分な潤滑剤を除去して前記スライド部を得るとともに、前記潤滑剤浸透済ベース二色成形品の表面に残存している余分な潤滑剤を除去して前記ベースを得る洗浄工程と、前記洗浄工程によって得られた前記ベースの前記収容部に、前記洗浄工程によって得られた前記スライド部を入れて保持させ、さらに当該スライド部に、前記操作ボタン分割成形工程によって得られた前記操作ボタン本体を結合して前記コントロールユニットを形成する組み付け工程と、前記操作ボタン本体のプッシュ操作によって、前記ベースの前記収容部の前記エッチング孔に浸透している前記潤滑剤を滲出させるとともに、前記スライド部の前記エッチング孔に浸透している前記潤滑剤を滲出させて、これらの潤滑剤を前記収容部と前記スライド部との間に浸透させる調整工程と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
かかる構成において、本件発明のコントロールユニットの製造方法は、製造の途中でスライド部の元部材やベースの元部材を潤滑剤に浸漬する。このため、本件発明のコントロールユニットの製造方法は、収容部の数が多いコントロールユニットや、収容部が狭いコントロールユニットを製造する場合であっても、収容部とスライド部との間に潤滑剤を確実に浸透させることが可能になる。
【0012】
また、本件発明のコントロールユニットの製造方法においては、前記含侵工程は、真空引きをしながら行うことを特徴としている。
【0013】
かかる構成において、含侵工程では、多孔質スライド部のエッチング孔や多孔質収容部のエッチング孔に潤滑剤を容易に浸透させることが可能になる。
【0014】
また、本件発明のコントロールユニットの製造方法においては、前記エッチング工程の前に、前記スライド部ABS樹脂成形品の表面に付着している汚れや、前記ベース二色成形品の前記ABS樹脂成形収容部の表面に付着している汚れを除去するエッチング前洗浄工程を設けたことを特徴としている。
【0015】
かかる構成において、エッチング工程では、スライド部ABS樹脂成形品の表面全体やベース二色成形品の収容部の表面全体にエッチング液が行き渡る。その結果、エッチング前洗浄工程を行わない場合に比べてエッチング孔が多く形成される。
【0016】
また、本件発明のコントロールユニットの製造方法においては、前記エッチング工程の後に、前記多孔質スライド部の表面に残存している前記エッチング液や、前記多孔質収容部を有する前記ベース二色成形品の表面に残存している前記エッチング液を除去するエッチング後洗浄工程を設けたことを特徴としている。
【0017】
かかる構成において、含浸工程では、多孔質スライド部のエッチング孔や多孔質収容部のエッチング孔に潤滑剤を容易に浸透させることが可能になる。
【0018】
また、本件発明のコントロールユニットにおいては、操作ボタン本体にスライド部が結合しているプッシュ式の操作ボタンと、前記スライド部を押下方向とその逆方向とに摺動可能に保持するための収容部を有するベースとを備えているコントロールユニットにおいて、前記プッシュ式の操作ボタンまたは前記ベースの少なくともいずれか一方が、本件発明のコントロールユニットの製造方法を用いて製造されたものであることを特徴としている。
【0019】
かかる構成において、本件発明のコントロールユニットは、収容部の数が多いコントロールユニットや、収容部が狭いコントロールユニットであっても、収容部とスライド部との間に潤滑剤を確実に浸透させておくことが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本件発明のコントロールユニットの製造方法においては、製造の途中でスライド部の元部材やベースの元部材を潤滑剤に浸漬するようにした。このため、本件発明のコントロールユニットの製造方法は、収容部の数が多いコントロールユニットや、収容部が狭いコントロールユニットを製造する場合であっても、収容部とスライド部との間に潤滑剤を確実に浸透させておくことが可能になる。よって、本件発明のコントロールユニットの製造方法は、潤滑剤を使用しても、コントロールユニットの品質低下を防ぐことができる。その結果、車両等の生産ラインにおいて、コントロールユニットを安定して供給することができる。
【0021】
また、本件発明のコントロールユニットの製造方法においては、真空引きをしながら含侵工程を行うようにした。このため、多孔質スライド部のエッチング孔や多孔質収容部のエッチング孔に潤滑剤を容易に浸透させることが可能になる。よって、本件発明のコントロールユニットの製造方法は、コントロールユニットの製造効率を高めることができる。
【0022】
さらに、この含侵工程によってエッチング孔に潤滑剤が容易に浸透することから、出来上がったスライド部やベースの収容部に浸透している潤滑剤の量が多くなる。これにより、調整工程では、スライド部や収容部から滲出する潤滑剤の量が多くなるので、スライド部の摺動性が高まる。したがって、操作ボタンの操作性が良くなる。よって、本件発明のコントロールユニットの製造方法は、品質の高いコントロールユニットを製造することができる。
【0023】
また、本件発明のコントロールユニットの製造方法においては、エッチング工程の前にエッチング前洗浄工程を設けることにより、スライド部ABS樹脂成形品の表面に付着している汚れや、前記ベース二色成形品の収容部の表面に付着している汚れを除去するようにした。これによりエッチング工程では、スライド部ABS樹脂成形品の表面全体やベース二色成形品の収容部の表面全体にエッチング液が行き渡るので、エッチング前洗浄工程を行わない場合に比べてエッチング孔が多く形成される。その結果、出来上がったスライド部やベースの収容部に浸透している潤滑剤の量が多くなるので、スライド部の摺動性が高まる。よって、本件発明のコントロールユニットの製造方法は、品質の高いコントロールユニットを製造することができる。
【0024】
また、本件発明のコントロールユニットの製造方法においては、エッチング工程の後にエッチング後洗浄工程を設けることにより、多孔質スライド部の表面に残存しているエッチング液や、多孔質収容部の表面に残存しているエッチング液を除去するようにした。これにより、含浸工程では、エッチング後洗浄工程を行わない場合に比べて、多孔質スライド部のエッチング孔や多孔質収容部のエッチング孔に潤滑剤を容易に浸透させることが可能になる。よって、本件発明のコントロールユニットの製造方法は、コントロールユニットの製造効率を高めることができる。
【0025】
さらに、このエッチング後洗浄工程によってエッチング孔に潤滑剤が容易に浸透することから、出来上がったスライド部やベースの収容部に浸透している潤滑剤の量が多くなる。これにより、調整工程では、スライド部や収容部から滲出する潤滑剤の量が多くなるので、スライド部の摺動性が高まる。よって、本件発明のコントロールユニットの製造方法は、品質の高いコントロールユニットを製造することができる。
【0026】
また、本件発明のコントロールユニットにおいては、操作ボタンまたはベースの少なくともいずれか一方を、本件発明のコントロールユニットの製造方法を用いて製造した。これにより、本件発明のコントロールユニットは、収容部の数が多いコントロールユニットや、収容部が狭いコントロールユニットの場合でも、収容部とスライド部との間に潤滑剤が確実に浸透する。よって、本件発明のコントロールユニットは、潤滑剤を使用しても、コントロールユニットの品質低下を防ぐことができる。その結果、車両等の生産ラインにおいて、コントロールユニットを安定して供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0028】
第1の実施の形態:
図1は、本件発明の第1の実施の形態を示すコントロールユニット1の分解斜視図である。このコントロールユニット1は、車両のオーディオシステム(カーオディオ)を操作するために用いられる。このコントロールユニット1は、複数の操作ボタン2と、ベース3とを備えている。
【0029】
各操作ボタン2は、プッシュ式の操作ボタンである。各操作ボタン2は、操作ボタン本体21と、スライド部22とを備えている。操作ボタン本体21は、乗員がオーディオの操作を行う部分である。この操作ボタン本体21は四角型のキャップ状に形成されている。操作ボタン本体21の前面には、操作内容を示すための文字が設けられている。さらに操作ボタン本体21の周縁部には、係止穴21aが設けられている。
【0030】
スライド部22は、ベース3に保持される部分である。図2は、スライド部22を後方側から見た斜視図である。この図2に示すように、スライド部22は四角型の筒状に形成されている。スライド部22の前面と後面は開口されている。図1に示すように、スライド部22の前側部分は、操作ボタン本体21が外嵌するように構成されている。
【0031】
図2に示すように、スライド部22の上面221と下面222とには、二つの係止爪22aが設けられている。図2では、上面221に設けられている二つの係止爪22aのみを示す。これらの四つの係止爪22aは、操作ボタン本体21がスライド部22の前側部分に外嵌した状態で、操作ボタン本体21の係止穴21a(図1参照)に係止されるように構成されている。
【0032】
図2に示すように、スライド部22の上面221、下面222、右側面223、左側面224の各々には、レール部22bが設けられている。各レール部22bは、各面221〜224から突出して形成されている。さらに、各レール部22bは、スライド部22の前後方向、つまり、操作ボタン2の押下方向Aとその逆方向Bとに延びるように形成されている。
【0033】
一方、図3に示すように、ベース3は、複数の収容部31を備えている。各収容部31は、各操作ボタン2のスライド部22を押下方向Aとその逆方向Bとに摺動可能に保持する部分である。これについて以下に説明する。
【0034】
各収容部31は、スライド部22を収容するように四角型の筒状に形成されている。各収容部31の前面と後面は開口されている。さらに、図4にも示すように、各収容部31の内側の上下面および左右側面の各々には、レール部31aが設けられている。
【0035】
各レール部31aは、スライド部22のレール部22bを押下方向Aとその逆方向Bとに摺動可能に保持する部分である。これを具体的に説明する。各レール部31aは、操作ボタン2の押下方向Aとその逆方向Bとに延びるように形成されている。さらに、図5に示すように、各レール部31aは、各収容部31内にスライド部22が収容された状態で、スライド部22のレール部22bが内嵌するように溝状に形成されている。
【0036】
以上説明したように構成されているコントロールユニット1は、ベース成形工程、操作ボタン分割成形工程、エッチング前洗浄工程、エッチング工程、エッチング後洗浄工程、含侵工程、洗浄工程、組み付け工程、調整工程を経て製造されている。以下に、各工程を説明する。なお、ベース成形工程と操作ボタン分割成形工程の順序は逆でも良い。
【0037】
ベース成形工程:
この工程では、作業者は、公知の成形機を使用して、ベース3を成形して得る。成形材料はポリカーボネート樹脂である。なお、成形材料は、ポリカーボネート樹脂以外でも良い。
【0038】
操作ボタン分割成形工程:
この工程では、作業者は、公知の成形機を使用して、各操作ボタン2を二つの部品に分割して成形する。成形材料はABS樹脂である。この工程によって得られる二つの部品は、操作ボタン本体ABS樹脂成形品とスライド部ABS樹脂成形品である。操作ボタン本体ABS樹脂成形品の外観形状は、前述した操作ボタン本体21の外観形状と同じである。また、スライド部ABS樹脂成形品の外観形状は、前述したスライド部22の外観形状と同じである。図6(a)にスライド部ABS樹脂成形品22sの模式図を示す。本実施の形態では、操作ボタン本体21とスライド部22の元になる部品をABS樹脂により成形しているが、少なくともスライド部22の元になる部品がABS樹脂により成形されれば良い。
【0039】
エッチング前洗浄工程:
この工程では、ABS樹脂に対するめっき工程の前処理の中で用いられる方法(脱脂工程)と同じ方法を適用する。この方法を具体的に説明すると、作業者は、スライド部ABS樹脂成形品22sを、洗剤の主成分である界面活性剤水溶液に浸漬する。これにより、図6(b)に示すように、スライド部ABS樹脂成形品22sの表面に付着している油汚れ、指紋、埃等の汚れdが除去される。
【0040】
なお、界面活性剤水溶液は、前述した脱脂工程で使用される界面活性剤水溶液と同じもので良い。次に、作業者は、汚れdが除去されたスライド部ABS樹脂成形品22sを水洗して、水洗いが終了したスライド部ABS樹脂成形品22sを次のエッチング工程に使用する。
【0041】
エッチング工程:
この工程では、ABS樹脂に対するめっき工程の前処理の中で用いられる方法(エッチング)と同じ方法を適用する。この方法を具体的に説明すると、作業者は、エッチング前洗浄工程が終了したスライド部ABS樹脂成形品22sをエッチング液eに浸漬する。これにより、スライド部ABS樹脂成形品22sの表面に存在しているブタジエン粒子pが溶解する。その結果、図6(c)に示すような多孔質スライド部22tが得られる。この多孔質スライド部22tは、表面に5μm程度の多数のエッチング孔hが形成されている。図7に、多孔質スライド部22tの拡大写真を示す。
【0042】
なお、エッチング液eは、クロム酸、無水クロム酸、クロム酸と硫酸との混酸、無水クロム酸と硫酸との混酸等が挙げられる。その中でも、混酸が好ましい。その理由は、クロム酸や無水クロム酸を単独で使用するよりも、クロム酸や無水クロム酸に硫酸のような強い溶解力を持つ酸を混ぜて使用した方が、ブタジエン粒子pの溶解力が高まるからである。また、エッチング液eの濃度や温度、エッチング液eに対するスライド部ABS樹脂成形品22sの浸漬時間は任意に設定することが可能である。
【0043】
エッチング後洗浄工程:
この工程では、ABS樹脂に対するめっき工程の前処理の中で用いられる方法(中和工程)と同じ方法を適用する。この方法を具体的に説明すると、作業者は、多孔質スライド部22tの表面に中和剤を散布する。これにより、図6(d)に示すように、多孔質スライド部22tの表面に残存しているエッチング液eが中和されて除去される。
【0044】
なお、中和剤は、エッチング液eの種類に応じて使用される。例えば、エッチング液eが無水クロム酸と硫酸との混酸の場合には、塩酸やヒドラジンが使用される。次に、作業者は、エッチング液eが除去された多孔質スライド部22tを水洗いして、水洗いが終了した多孔質スライド部22tを次の含侵工程に使用する。
【0045】
含侵工程:
この工程では、作業者は、公知の真空含侵装置を使用して、エッチング後洗浄工程が終了した多孔質スライド部22tを真空引きしながら潤滑剤gに浸漬する。これにより、多孔質スライド部22tのエッチング孔hに潤滑剤gが浸透する。その結果、図6(e)に示すような潤滑剤浸透済スライド部22uが得られる。なお、潤滑剤gは、グリース等が使用される。
【0046】
洗浄工程:
この工程では、作業者は、公知の遠心分離機を使用して、潤滑剤浸透済スライド部22uの表面に残存している余分な潤滑剤gを除去する。その結果、図6(f)に示すスライド部22が得られる。つまり、本実施の形態のスライド部22は、表面に多数のエッチング孔hが形成されており、各エッチング孔hには潤滑剤gが浸透している。
【0047】
組み付け工程:
この工程では、作業者は、まず、図8に示すように、ベース3の後方側から各収容部31内にスライド部22を入れて、図1に示す状態に保持させる。次に、作業者は、図1に示すように、各スライド部22の前側部分に操作ボタン本体21を嵌める。その結果、ベース3に各操作ボタン2が組み付けられた状態になり、コントロールユニット1が形成される。
【0048】
調整工程:
この工程では、作業者は、組み付け工程よって形成されたコントロールユニット1の各操作ボタン本体21を指で押す。これによりスライド部22が押されて、スライド部22のエッチング孔hに浸透している潤滑剤gが滲出する。滲出した潤滑剤gは、図9に示すようにスライド部22と収容部31との間に浸透する。したがって、潤滑剤gは、スライド部22のレール部22bと収容部31のレール部31aとの間にも浸透する。その結果、スライド部22は、押下方向Aとその逆方向Bとにスムーズに摺動することが可能になる。なお、操作ボタン本体21のプッシュ作業は、スライド部22がスムーズに摺動することが確認できるまで行う。以上の各工程を経て、コントロールユニット1が出来上がる。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態のコントロールユニット1の製造方法は、製造途中において、スライド部22の元部材(多孔質スライド部22t)を潤滑剤gに浸漬している。したがって、本実施の形態のベース3のように、収容部31の数が多い場合や収容部31が狭い場合でも、収容部31とスライド部22との間に潤滑剤gを確実に浸透させておくことが可能になる。よって、本実施の形態のコントロールユニット1の製造方法は、潤滑剤gを使用しても、コントロールユニット1の品質低下を防ぐことができる。
【0050】
また、本実施の形態のコントロールユニット1の製造方法では、エッチング前洗浄工程を設けている。これにより、エッチング工程の際には、スライド部ABS樹脂成形品22sの汚れdが除去されている。このため、エッチング工程においては、スライド部ABS樹脂成形品22sの表面全体にエッチング液eが行き渡る。その結果、エッチング前洗浄工程を行わない場合に比べて、エッチング孔hが多く形成される。これより、多孔質スライド部22tに浸透する潤滑剤gの量が多くなるので、出来上がったスライド部22に浸透している潤滑剤gの量も多くなる。したがって、調整工程において、作業者が操作ボタン本体21を押した時に、スライド部22から滲出する潤滑剤gの量が多くなる。これに伴い、スライド部22と収容部31との間に浸透する潤滑剤gの量も多くなるので、スライド部22の摺動性が高まる。したがって、操作ボタン2の操作性が良くなる。よって、本実施の形態のコントロールユニット1の製造方法は、品質の高いコントロールユニットを製造することができる。
【0051】
また、本実施の形態のコントロールユニット1の製造方法では、エッチング後洗浄工程を設けている。これにより、含侵工程の際には、多孔質スライド部22tからエッチング液eが除去されている。このため、含侵工程においては、エッチング後洗浄工程を行わない場合に比べて、エッチング孔hに潤滑剤gを容易に浸透させることが可能になる。よって、本実施の形態のコントロールユニット1の製造方法は、コントロールユニット1の製造効率をさらに高めることができる。
【0052】
また、本実施の形態のコントロールユニット1の製造方法では、含侵工程において真空引きをしている。そのため、真空引きをしない場合に比べて、エッチング孔hに潤滑剤gを容易に浸透させることが可能になる。よって、本実施の形態のコントロールユニット1の製造方法は、コントロールユニット1の製造効率をさらに高めることができる。
【0053】
また、この含侵工程やエッチング後洗浄工程によって、エッチング孔hに潤滑剤gが容易に浸透することから、エッチング後洗浄工程を行わない場合に比べて、出来上がったスライド部22に浸透している潤滑剤gの量が多くなっている。したがって、調整工程において作業者が操作ボタン本体21を押した時に、スライド部22から滲出する潤滑剤gの量が多くなるので、スライド部22の摺動性がさらに高まる。よって、本実施の形態のコントロールユニット1の製造方法は、より品質の高いコントロールユニット1を製造することができる。
【0054】
第2の実施の形態:
図1に示すように、本実施の形態のコントロールユニット100は、複数のプッシュ式の操作ボタン200と、ベース300とを備えている。さらに、各操作ボタン200は、操作ボタン本体21と、スライド部220とを備えている。ここで、各操作ボタン200の外観形状およびベース300の外観形状は、第1の実施の形態で説明した各操作ボタン2の外観形状およびベース3の外観形状と同じである。したがって、本実施の形態では、第1の実施の形態の説明で使用した図面を使用する。なお、本実施の形態において第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0055】
本実施の形態のコントロールユニット100は、ベース元部材成形工程、操作ボタン分割成形工程、エッチング前洗浄工程、エッチング工程、エッチング後洗浄工程、含侵工程、洗浄工程、組み付け工程、調整工程を経て製造されている。以下に、各工程を説明する。なお、このコントロールユニット100の製造方法において、ベース元部材成形工程と操作ボタン分割成形工程の順序は逆でも良い。
【0056】
ベース元部材成形工程:
この工程では、作業者は、公知の二色成形機を使用して、ベース二色成形品を製造する。このベース二色成形品の外観形状は、ベース300の外観形状と同じである。ベース二色成形品は、各収容部310(図3や図4参照)に相当する部分をABS樹脂を用いて成形し、収容部310以外の相当する部分をポリカーボネート樹脂を用いて成形している。図6(a)に、ABS樹脂成形収容部310sの模式図を示す。このABS樹脂成形収容部310sは、ベース300において収容部310に相当している部分である。
【0057】
操作ボタン分割成形工程:
この工程では、作業者は、公知の成形機を使用して、各操作ボタン200を二つの部品に分割して成形する。この二つの部品は、操作ボタン本体ABS樹脂成形品とスライド部ABS樹脂成形品である。双方の部品は、第1の実施の形態で説明したものと同じものである。なお、本実施の形態では、双方の部品をABS樹脂により成形したが、樹脂の種類は特に限定されない。例えば、一方の部品をABS樹脂により成形し、他方の部品をポリカーボネート樹脂により成形することも可能である。
【0058】
エッチング前洗浄工程:
この工程では、第1の実施の形態で説明したエッチング前洗浄工程と同様な方法が用いられる。具体的には、作業者は、ベース二色成形品を界面活性剤水溶液に浸漬する。これにより、ベース二色成形品の表面に付着している汚れdが除去される。したがって、図6(b)に示すように、ABS樹脂成形収容部310sの表面に付着している汚れdも除去される。次に、作業者は、汚れdが除去されたベース二色成形品を水洗いして、水洗いが終了したベース二色成形品を次のエッチング工程に使用する。
【0059】
エッチング工程:
この工程では、第1の実施の形態で説明したエッチング工程と同様な方法が用いられる。具体的には、作業者は、エッチング前洗浄工程が終了したベース二色成形品をエッチング液eに浸漬する。これにより、ベース二色成形品において、ABS樹脂成形収容部310sの表面に存在しているブタジエン粒子pが溶解して、図6(c)に示すような多孔質収容部310tが得られる。この多孔質収容部310tは、表面に5μm程度の多数のエッチング孔hが形成されている。なお、具体的なエッチング液は、第1の実施の形態で説明した通りである。また、エッチング液eの濃度や温度、エッチング液eに対するベース二色成形品の浸漬時間は、任意に設定することが可能である。
【0060】
エッチング後洗浄工程:
この工程では、第1の実施の形態で説明したエッチング後洗浄工程と同様な方法が用いられる。具体的には、作業者は、多孔質収容部310tを有するベース二色成形品の表面に中和剤を散布する。これにより、図6(d)に示すように、ベース二色成形品の表面(多孔質収容部310t)の表面に残存しているエッチング液eが中和されて除去される。なお、具体的な中和剤は、第1の実施の形態で説明した通りである。次に、作業者は、エッチング液eが除去された多孔質収容部310tを水洗いして、水洗いが終了した多孔質収容部310tを次の含侵工程に使用する。
【0061】
含侵工程:
この工程では、第1の実施の形態で説明した含侵工程と同様な方法が用いられる。具体的には、作業者は、公知の真空含侵装置を使用して、エッチング後洗浄工程が終了したベース二色成形品を真空引きしながら潤滑剤gに浸漬する。これにより、多孔質収容部310tのエッチング孔hに潤滑剤gが浸透して、潤滑剤浸透済ベース二色成形品が得られる。この潤滑剤浸透済ベース二色成形品は、図6(e)に示すように、潤滑剤浸透済収容部310uを有している。この潤滑剤浸透済収容部310uは、多孔質収容部310tのエッチング孔hに潤滑剤gが浸透したものである。なお潤滑剤gとしては、グリース等が使用される。
【0062】
洗浄工程:
この工程では、第1の実施の形態で説明した洗浄工程と同様な方法が用いられる。具体的には、作業者は、遠心分離機を使用して、含侵工程が終了したベース二色成形品の表面に残存している余分な潤滑剤gを除去する。その結果、図6(f)に示すような収容部310を有するベース300を得る。つまり、本実施の形態のベース300は、各収容部310の表面に多数のエッチング孔hが形成されており、各エッチング孔hには潤滑剤gが浸透している。
【0063】
組み付け工程:
この工程では、第1の実施の形態で説明した組み付け工程と同様な方法が用いられる。作業者は、まず、図8に示すように、ベース300の後方側から各収容部310内にスライド部220を入れて図1に示す状態に保持させる。次に、作業者は、図1に示すように、各スライド部220の前側部分に操作ボタン本体21を嵌める。これにより、ベース300に各操作ボタン200が組みつけられて、コントロールユニット100が形成される。
【0064】
調整工程:
この工程では、作業者は、組み付け工程によって形成されたコントロールユニット100の各操作ボタン本体21を指で押す。これによりスライド部220が押されて、収容部310のエッチング孔hに浸透している潤滑剤gが滲出する。滲出した潤滑剤gは、図9に示すように、スライド部220と収容部310との間に浸透する。したがって、潤滑剤gは、スライド部220のレール部22bと収容部310のレール部31aとの間にも浸透する。その結果、スライド部220は、押下方向Aとその逆方向Bとにスムーズに摺動することが可能になる。なお、操作ボタン本体21のプッシュ作業は、スライド部220がスムーズに摺動することが確認できるまで行う。以上の各工程を経て、コントロールユニット100が出来上がる。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態のコントロールユニット100の製造方法は、製造途中において、ベースの元部材(多孔質収容部310tを有するベース二色成形品)を潤滑剤gに浸漬している。したがって、本実施の形態のベース300のように、収容部310の数が多い場合や収容部310が狭い場合でも、収容部310とスライド部220との間に潤滑剤gを確実に浸透させておくことが可能になる。よって、本実施の形態のコントロールユニット100の製造方法は、潤滑剤gを使用しても、コントロールユニット100の品質低下を防ぐことができる。その結果、車両の生産ラインにおいては、コントロールユニットを安定して供給することができる。
【0066】
また、本実施の形態のコントロールユニット100の製造方法では、エッチング前洗浄工程を設けている。これにより、エッチング工程の際には、ベース二色成形品の表面に付着している汚れdが除去されている。このため、ベース二色成形品の表面全体にエッチング液eが行き渡る。したがって、ABS樹脂成形収容部310sの表面全体にもエッチング液eが行き渡る。その結果、エッチング前洗浄工程を行わない場合に比べて、エッチング孔hが多く形成される。これより、多孔質収容部310tに浸透する潤滑剤gの量が多くなるので、出来上がったベース300の各収容部310に浸透する潤滑剤gの量も多くなる。したがって、調整工程において、作業者が各操作ボタン本体21を押した時に、各収容部310から滲出する潤滑剤gの量が多くなる。これに伴い、スライド部220と収容部310との間に浸透する潤滑剤gの量も多くなるので、スライド部220の摺動性が高まる。したがって、操作ボタン200の操作性が良くなる。よって、本実施の形態のコントロールユニット100の製造方法は、品質の高いコントロールユニット100を製造することができる。
【0067】
また、本実施の形態のコントロールユニット100の製造方法では、エッチング後洗浄工程を設けている。これにより、含侵工程の際には、ベース二色成形品の表面からエッチング液eが除去されている。このため、エッチング後洗浄工程を行わない場合に比べて、エッチング孔hに潤滑剤gを容易に浸透させることが可能になる。よって、本実施の形態のコントロールユニット100の製造方法は、コントロールユニット100の製造効率をさらに高めることができる。
【0068】
また、本実施の形態のコントロールユニット100の製造方法では、含侵工程において真空引きをしている。そのため、真空引きをしない場合に比べて、エッチング孔hに潤滑剤gを容易に浸透させることが可能になる。よって、本実施の形態のコントロールユニット1の製造方法は、コントロールユニット100の製造効率をさらに高めることができる。
【0069】
さらに、この含侵工程やエッチング後洗浄工程によって、エッチング孔hに潤滑剤gが容易に浸透することから、エッチング後洗浄工程を行わない場合に比べて、出来上がったベース300の収容部310に浸透している潤滑剤gの量が多くなっている。これにより、調整工程において作業者が操作ボタン本体21を押した時に、収容部310から滲出する潤滑剤gの量が多くなるので、スライド部220の摺動性がさらに高まる。よって、本実施の形態のコントロールユニット100の製造方法は、より品質の高いコントロールユニット100を製造することができる。
【0070】
第3の実施の形態:
本実施の形態のコントロールユニットは、第1の実施の形態で説明したコントロールユニットの各操作ボタン2と、第2の実施の形態で説明したベース300とを備えている。したがって、本実施の形態では、第1の実施の形態の説明で使用した図面を使用して説明する。なお、本実施の形態において第1の実施の形態や第2の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0071】
本実施の形態のコントロールユニットは、ベース元部材成形工程、操作ボタン分割成形工程、エッチング前洗浄工程、エッチング工程、エッチング後洗浄工程、含侵工程、洗浄工程、組み付け工程、調整工程を経て製造されている。以下に、各工程を説明する。なお、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法において、ベース元部材成形工程と操作ボタン分割成形工程の順序は逆でも良い。
【0072】
ベース元部材成形工程:
この工程は、第2の実施の形態で説明したベース元部材成形工程と同じである。作業者は、この工程を行うことにより、第2の実施の形態と同じベース二色成形品が得られる。このベース二色成形品は、図6(a)に示すようなABS樹脂成形収容部310sを備えている。
【0073】
操作ボタン分割成形工程:
この工程は、第1の実施の形態で説明した操作ボタン分割成形工程と同じである。作業者は、この工程を行うことにより、図6(a)に示すような操作ボタン本体ABS樹脂成形品22sと、スライド部ABS樹脂成形品とを得る。なお、本実施の形態では、操作ボタン本体21とスライド部22の元になる部品をABS樹脂により成形したが、少なくともスライド部22の元になる部品がABS樹脂により成形されれば良い。
【0074】
エッチング前洗浄工程:
この工程は、第1の実施の形態で説明したエッチング前洗浄工程と、第2の実施の形態で説明したエッチング前洗浄工程とを合わせたものである。作業者は、この工程を行うことにより、図6(b)に示すように、ベース二色成形品の表面(ABS樹脂成形収容部310s)に付着している汚れdや、スライド部ABS樹脂成形品22sの表面に付着している汚れdが除去される。次に、作業者は、汚れdが除去されたベース二色成形品やスライド部ABS樹脂成形品を水洗いして、水洗いが終了したベース二色成形品やスライド部ABS樹脂成形品を次のエッチング工程に使用する。
【0075】
エッチング工程:
この工程は、第1の実施の形態で説明したエッチング工程と、第2の実施の形態で説明したエッチング工程とを合わせたものである。作業者は、この工程を行うことにより、図6(c)に示すように、多孔質スライド部22tと、多孔質収容部310tを有するベース二色成形品を得る。
【0076】
エッチング後洗浄工程:
この工程は、第1の実施の形態で説明したエッチング後洗浄工程と、第2の実施の形態で説明したエッチング後洗浄工程とを合わせたものである。作業者は、この工程を行うことにより、図6(d)に示すように、多孔質スライド部22tに残存しているエッチング液eや、ベース二色成形品に残存しているエッチング液eが除去される。次に、作業者は、エッチング液eが除去された多孔質スライド部22tやベース二色成形品を水洗いして、水洗いが終了した多孔質スライド部22tやベース二色成形品を次の含侵工程に使用する。
【0077】
含侵工程:
この工程は、第1の実施の形態で説明した含侵工程と、第2の実施の形態で説明した含侵工程とを合わせたものである。作業者は、この工程を行うことにより、図6(e)に示すような潤滑剤浸透済スライド部22uと、潤滑剤浸透済収容部310uを有する潤滑剤浸透済ベース二色成形品とを得る。
【0078】
洗浄工程:
この工程は、第1の実施の形態で説明した洗浄工程と、第2の実施の形態で説明した洗浄工程とを合わせたものである。作業者は、この工程を行うことにより、本実施の形態のスライド部22と、ベース300とを得る。
【0079】
組み付け工程:
この工程では、第1の実施の形態や第2の実施の形態で説明した組み付け工程と同様な方法が用いられる。作業者は、まず、図8に示すように、ベース300の後方側から各収容部310内にスライド部22を入れて図1に示す状態に保持させる。次に、作業者は、各スライド部22の前側部分に操作ボタン本体21を嵌める。これにより、ベース300に各操作ボタン2が組みつけられた状態になり、コントロールユニットが形成される。
【0080】
調整工程:
この工程では、第1の実施の形態や第2の実施の形態で説明した調整工程と同様な方法が用いられる。作業者は、組み付け工程によって形成されたコントロールユニットの各操作ボタン本体21を指で押す。これによりスライド部22が押されて、スライド部22のエッチング孔hや収容部310のエッチング孔hに浸透している潤滑剤gが滲出する。滲出した潤滑剤gは、図9に示すように、スライド部22と収容部310との間に浸透する。したがって、潤滑剤gは、スライド部22のレール部22bと収容部310のレール部31aとの間にも浸透する。これにより、スライド部22は、押下方向Aとその逆方向Bとにスムーズに摺動することが可能になる。なお、操作ボタン本体21のプッシュ作業は、スライド部22がスムーズに摺動することが確認できるまで行う。以上の各工程を経て、コントロールユニットが出来上がる。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法は、製造途中において、スライド部22の元部材(多孔質スライド部22t)や、ベース300の元部材(多孔質収容部310tを有するベース二色成形品)を潤滑剤gに浸漬している。このため、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法は、収容部310の数が多いコントロールユニットや、収容部310が狭いコントロールユニットを製造する場合であっても、収容部310とスライド部22との間に潤滑剤gを確実に浸透させておくことが可能になる。よって、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法は、潤滑剤gを使用しても、コントロールユニットの品質低下を防ぐことができる。その結果、車両の生産ラインにおいては、コントロールユニットを安定して供給することができる。
【0082】
さらに、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法では、スライド部22と収容部310の双方に潤滑剤gが浸透している。このことから、調整工程の際に滲出する潤滑剤gの量が、第1の実施の形態や第2の実施の形態の場合よりも多くなる。したがって、スライド部22の摺動性も、第1の実施の形態や第2の実施の形態の場合よりも高まるので操作ボタン2の操作性もさらに向上する。よって、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法は、第1の実施の形態で説明したコントロールユニットの製造方法や、第2の実施の形態で説明したコントロールユニットの製造方法に比べて、さらに品質の高いコントロールユニットを製造することができる。
【0083】
また、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法では、エッチング前洗浄工程を設けている。これにより、エッチング工程の際には、スライド部ABS樹脂成形品22sの表面に付着している汚れdが除去されている。このため、スライド部ABS樹脂成形品22sの表面全体にエッチング液eが行き渡る。その結果、エッチング前洗浄工程を行わない場合に比べてエッチング孔hが多く形成されるので、多孔質スライド部22tに浸透する潤滑剤gの量が多くなる。
【0084】
また、エッチング工程の際には、ベース二色成形品の表面に付着している汚れdも除去されているため、ベース二色成形品の表面全体にエッチング液eが行き渡る。その結果、エッチング前洗浄工程を行わない場合に比べてエッチング孔hが多く形成されるので、多孔質収容部310tに浸透する潤滑剤gの量が多くなる。
【0085】
したがって、出来上がったスライド部22やベース300の収容部310は、エッチング前洗浄工程を行わない場合に比べて、潤滑剤gの浸透量が多くなっている。これに伴い、調整工程の際に滲出する潤滑剤gの量も多くなるので、スライド部22の摺動性が高まる。したがって、操作ボタン2の操作性が良くなる。よって、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法は、品質の高いコントロールユニットを製造することができる。
【0086】
また、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法では、エッチング後洗浄工程を設けている。これにより、含侵工程の際には、多孔質スライド部22tからエッチング液eが除去されている。このため、エッチング後洗浄工程を設けない場合に比べて、潤滑剤gを多孔質スライド部22tのエッチング孔hに容易に浸透させることが可能になる。また、含侵工程の際には、ベース二色成形品の表面からもエッチング液eが除去されている。このため、潤滑剤gをベース二色成形品のエッチング孔hに容易に浸透させることが可能になる。よって、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法は、コントロールユニットの製造効率を高めることができる。
【0087】
また、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法では、第1の実施の形態や第2の実施の形態で説明した製造方法と同様に、真空引きをしながら含侵工程を行っている。このため、含侵工程では、エッチング孔hに潤滑剤gを容易に浸透させることが可能になる。よって、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法は、コントロールユニットの製造効率を高めることができる。
【0088】
さらに、この含侵工程やエッチング後洗浄工程によって、エッチング孔hに潤滑剤gが容易に浸透することから、エッチング後洗浄工程を行わない場合に比べて、出来上がったスライド部22や収容部310に浸透している潤滑剤gの量が多くなっている。したがって、調整工程の際にスライド部22や収容部310から滲出する潤滑剤gの量が多くなるので、スライド部22の摺動性がさらに高まる。よって、本実施の形態のコントロールユニットの製造方法は、より品質の高いコントロールユニットを製造することができる。
【0089】
なお、第1の実施の形態〜第3の実施の形態で説明したコントロールユニットの製造方法では、真空引きをしながら含侵工程を行っている。しかし、必ずしも真空引きをする必要はない。真空引きをしなくても、エッチング孔hに潤滑剤gを浸透させることは可能である。したがって、第1の実施の形態〜第3の実施の形態で説明したコントロールユニットの製造方法から真空引きを除いたコントロールユニットの製造方法であっても、品質を落とさずにコントロールユニットを製造することができる。
【0090】
また、第1の実施の形態〜第3の実施の形態で説明したコントロールユニットの製造方法では、エッチング前洗浄工程とエッチング後洗浄工程とを備えたものとした。しかし、必ずしも双方の工程を備える必要はない。双方の工程を備えていなくても、基本工程を備えていれば、収容部とスライド部との間に潤滑剤gを確実に浸透させておくことは可能である。この基本工程とは、ABS樹脂を用いてスライド部やベースの収容部を成形する工程、エッチング工程、洗浄工程、含侵工程、組み付け工程、調整工程である。したがって、第1の実施の形態〜第3の実施の形態で説明したコントロールユニットの製造方法から、エッチング前洗浄工程とエッチング後洗浄工程とを除いたコントロールユニットの製造方法であっても、品質を落とさずにコントロールユニットを製造することができる。なお、前述した基本工程に、エッチング前洗浄工程またはエッチング後洗浄工程の一方のみを加えた製造方法でも良い。
【0091】
以上、本件発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本件発明の内容を限定するものではない。また、本件発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように本件発明のコントロールユニットの製造方法および、その製造方法で製造されたコントロールユニットにおいては、潤滑剤を使用しても、コントロールユニットの品質低下を防ぐことができる。したがって、本件発明を、コントロールユニットの製造技術分野で十分に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本件発明の実施の形態を示すコントロールユニットの分解斜視図である。
【図2】同実施の形態を示す操作ボタンのスライド部を後方から見た斜視図である。
【図3】同実施の形態を示すベースとスライド部を後方から見た斜視図である。
【図4】同実施の形態を示すベースの平面図である。
【図5】同実施の形態を示すベースとスライド部との組み付け状態の斜視図である。
【図6】同実施の形態を示すスライド部およびベースの製造方法の模式図である
【図7】同実施の形態を示す多孔質スライド部の拡大写真である。
【図8】同実施の形態を示すベースとスライド部との組み付け方法の斜視図である。
【図9】同実施の形態を示す操作ボタンとベースとの組み付け状態の要部の縦断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 コントロールユニット
2 操作ボタン
3 ベース
21 操作ボタン本体
22 スライド部
22s スライド部ABS樹脂成形品
22t 多孔質スライド部
22u 潤滑剤浸透済スライド部
31 収容部
100 コントロールユニット
200 操作ボタン
300 ベース
310 収容部
310s ABS樹脂成形収容部
310t 多孔質収容部
310u 潤滑剤浸透済収容部
A 押下方向
B 押下方向の逆方向
e エッチング液
g 潤滑剤
h エッチング孔
p ブタジエン粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ボタン本体にスライド部が結合しているプッシュ式の操作ボタンと、前記スライド部を押下方向とその逆方向とに摺動可能に保持するための収容部を有するベースとを備えているコントロールユニットの製造方法において、
前記操作ボタン本体を前記スライド部から分離して成形して得るとともに、ABS樹脂を用いて前記スライド部と同じ外観形状のスライド部ABS樹脂成形品を得る操作ボタン分割成形工程と、
前記スライド部ABS樹脂成形品の表面に存在しているブタジエン粒子をエッチング液を用いて溶解することにより、表面に多数のエッチング孔が形成された多孔質スライド部を得るエッチング工程と、
前記多孔質スライド部を潤滑剤に浸漬して当該多孔質スライド部のエッチング孔に前記潤滑剤を浸透させることにより潤滑剤浸透済スライド部を得る含侵工程と、
前記潤滑剤浸透済スライド部の表面に残存している余分な潤滑剤を除去して前記スライド部を得る洗浄工程と、
予め製造された前記ベースの前記収容部に、前記洗浄工程によって得られた前記スライド部を入れて保持させ、さらに当該スライド部に、前記操作ボタン分割成形工程によって得られた前記操作ボタン本体を結合して前記コントロールユニットを形成する組み付け工程と、
前記操作ボタン本体のプッシュ操作によって、前記スライド部の前記エッチング孔に浸透している前記潤滑剤を滲出させて、当該潤滑剤を前記スライド部と前記ベースの前記収容部との間に浸透させる調整工程と、
を備えたことを特徴とするコントロールユニットの製造方法。
【請求項2】
スライド部を有するプッシュ式の操作ボタンと、前記スライド部を押下方向とその逆方向とに摺動可能に保持するための収容部を有するベースとを備えているコントロールユニットの製造方法において、
ABS樹脂を用いて前記ベースの前記収容部に相当する部分であるABS樹脂成形収容部を成形して、ABS樹脂以外の樹脂を用いて前記ベースの前記収容部以外の相当する部分を成形することによりベース二色成形品を得るベース元部材成形工程と、
前記ベース二色成形品の前記ABS樹脂成形収容部の表面に存在しているブタジエン粒子をエッチング液を用いて溶解することにより、表面に多数のエッチング孔が形成された多孔質収容部を有するベース二色成形品を得るエッチング工程と、
前記多孔質収容部を有する前記ベース二色成形品を潤滑剤に浸漬して当該多孔質収容部のエッチング孔に前記潤滑剤を浸透させることにより潤滑剤浸透済ベース二色成形品を得る含侵工程と、
前記潤滑剤浸透済ベース二色成形品の表面に残存している余分な潤滑剤を除去して前記ベースを得る洗浄工程と、
前記洗浄工程によって得られた前記ベースの前記収容部に、予め製造された前記操作ボタンの前記スライド部を入れて保持させることにより前記コントロールユニットを形成する組み付け工程と、
前記操作ボタンのプッシュ操作によって前記ベースの前記収容部の前記エッチング孔に浸透している前記潤滑剤を滲出させて、当該潤滑剤を前記収容部と前記操作ボタンの前記スライド部との間に浸透させる調整工程と、
を備えたことを特徴とするコントロールユニットの製造方法。
【請求項3】
操作ボタン本体にスライド部が結合しているプッシュ式の操作ボタンと、前記スライド部を押下方向とその逆方向とに摺動可能に保持するための収容部を有するベースとを備えているコントロールユニットの製造方法において、
前記操作ボタン本体を前記スライド部から分離して成形して得るとともに、ABS樹脂を用いて前記スライド部と同じ外観形状のスライド部ABS樹脂成形品を得る操作ボタン分割成形工程と、
ABS樹脂を用いて前記ベースの前記収容部に相当する部分であるABS樹脂成形収容部を成形し、ABS樹脂以外の樹脂を用いて前記ベースの前記収容部以外の相当する部分を成形することによりベース二色成形品を得るベース元部材成形工程と、
前記スライド部ABS樹脂成形品の表面に存在しているブタジエン粒子をエッチング液を用いて溶解することにより、表面に多数のエッチング孔が形成された多孔質スライド部を得るとともに、前記ベース二色成形品の前記ABS樹脂成形収容部の表面に存在しているブタジエン粒子をエッチング液を用いて溶解することにより、表面に多数のエッチング孔が形成された多孔質収容部を有するベース二色成形品を得るエッチング工程と、
前記多孔質スライド部を潤滑剤に浸漬して当該多孔質スライド部のエッチング孔に前記潤滑剤を浸透させることにより潤滑剤浸透済スライド部を得るとともに、前記多孔質収容部を有する前記ベース二色成形品を潤滑剤に浸漬して当該多孔質収容部のエッチング孔に前記潤滑剤を浸透させることにより潤滑剤浸透済ベース二色成形品を得る含侵工程と、
前記潤滑剤浸透済スライド部の表面に残存している余分な潤滑剤を除去して前記スライド部を得るとともに、前記潤滑剤浸透済ベース二色成形品の表面に残存している余分な潤滑剤を除去して前記ベースを得る洗浄工程と、
前記洗浄工程によって得られた前記ベースの前記収容部に、前記洗浄工程によって得られた前記スライド部を入れて保持させ、さらに当該スライド部に、前記操作ボタン分割成形工程によって得られた前記操作ボタン本体を結合して前記コントロールユニットを形成する組み付け工程と、
前記操作ボタン本体のプッシュ操作によって、前記ベースの前記収容部の前記エッチング孔に浸透している前記潤滑剤を滲出させるとともに、前記スライド部の前記エッチング孔に浸透している前記潤滑剤を滲出させて、これらの潤滑剤を前記収容部と前記スライド部との間に浸透させる調整工程と、
を備えたことを特徴とするコントロールユニットの製造方法。
【請求項4】
前記含侵工程は、真空引きをしながら行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコントロールユニットの製造方法。
【請求項5】
前記エッチング工程の前に、前記スライド部ABS樹脂成形品の表面に付着している汚れや、前記ベース二色成形品の前記ABS樹脂成形収容部の表面に付着している汚れを除去するエッチング前洗浄工程を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のコントロールユニットの製造方法。
【請求項6】
前記エッチング工程の後に、前記多孔質スライド部の表面に残存している前記エッチング液や、前記多孔質収容部を有する前記ベース二色成形品の表面に残存している前記エッチング液を除去するエッチング後洗浄工程を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のコントロールユニットの製造方法。
【請求項7】
操作ボタン本体にスライド部が結合しているプッシュ式の操作ボタンと、前記スライド部を押下方向とその逆方向とに摺動可能に保持するための収容部を有するベースとを備えているコントロールユニットにおいて、
前記プッシュ式の操作ボタンまたは前記ベースの少なくともいずれか一方が、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載された製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とするコントロールユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−59485(P2009−59485A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223385(P2007−223385)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】