説明

コンバイン

【課題】コンバインの省スペース化を実現し、作業効率を向上させる。
【解決手段】検出する貯留量が異なる中間貯留量検出センサが、対応する所定の貯留量(1/5、2/5、3/5、4/5)であることを検出すると、制御部は、検出された貯留量に応じて、異なる点滅周期(T1〜T4)で表示パネルの籾満量ランプを点滅させる(間欠動作状態とする)。さらに、満量検出センサが満量であることを検出すると、制御部は、籾満量ランプを連続動作状態として満量であることを表示する。このようにすれば、運転部の座席に座っているオペレータが、穀粒貯留部の貯留量を、1つの籾満量ランプで認知することができるようになり、表示パネル上にそのための複数のランプを備える必要がなくなるため、表示パネルを小型化し、省スペース化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業状況等のコンバインの状態を表示する表示手段を備えるコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンバインの中には、優れた操作性を提供すべく、その操縦台にコンバインの状態を表示するための表示画面が備えられている(例えば、特許文献1参照)。このような表示画面では、籾タンク、車高及び刈高等の複数の表示項目のうち、通常時に表示される通常表示項目を表示できるようになっているうえ、手動選択スイッチによって選択表示項目を選択することにより、通常表示項目とは異なる選択表示項目をも表示できるようになっているのが一般的である。
【特許文献1】特開平5−84011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来の表示画面は、その中に、通常時に表示される通常表示項目と、選択時に表示される選択表示項目を表示する部分を備えている。したがって、表示画面上には、通常時に表示する必要のない選択表示項目を表示するためのスペースと、選択時に表示する必要のない通常表示項目を表示するためのスペースの両方を確保しておく必要があるので、表示画面をコンパクトに構成するのにも限界がある。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、省スペース化を実現する表示パネルを備えるコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、圃場の穀稈を刈取る刈取部と、刈取られた穀稈から穀粒を脱穀する脱穀部と、脱穀された穀粒が貯留されるグレンタンクとを備えており、当該グレンタンクへの穀粒の貯留量を検出する貯留量検出センサと、前記グレンタンクの穀粒貯留状態を表示する貯留量表示手段とを備えるコンバインであって、前記貯留量検出センサとして、満量または満量間近であることを検出する満量検出センサを備えていると共に、当該満量検出センサの他に、空状態と満量の間の所定の貯留量であることを検出する中間貯留量検出センサを1つ以上備えており、前記貯留量表示手段は、前記満量検出センサが満量であることを検出すると、連続動作状態になって満量であることを表示し、前記中間貯留量検出センサが対応する所定の貯留量であることを検出すると、間欠動作状態になって穀粒貯留量が所定量であることを表示するものであることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記中間貯留量検出センサとして、検出対象の貯留量が異なる複数の中間貯留量検出センサが備えられており、各中間貯留量検出センサが、対応する所定の貯留量であることを検出すると、前記貯留量表示手段は、動作状態と非動作状態が交互に実行される間欠動作をするようになっており、間欠動作における非動作状態の時間は、検出対象の貯留量がより多い中間貯留量検出センサほど短時間であるコンバインであってもよい。
【0007】
さらに、本発明は、前記貯留量表示手段は点灯手段であり、前記連続動作状態は連続点灯状態であり、前記間欠動作状態は点滅状態であるコンバインであってもよい。
【0008】
さらに、本発明は、前記貯留量表示手段として、外部から視認可能に設置された表示灯または照明灯の少なくとも1つを用いるコンバインであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
上記発明では、前記満量検出センサが満量であることを検出すると、貯留量表示手段が連続動作状態になって満量であることを表示し、中間貯留量検出センサが対応する所定の貯留量であることを検出すると、同じ貯留量表示手段が間欠動作状態になって穀粒貯留量が所定量であることを表示するようになっている。これにより、異なる穀粒貯留状態、すなわち満量である状態と、所定の貯留量である状態を、1つの表示手段で表示することができるようになり、複数の表示手段を表示パネル上に配置する必要がなくなるため、表示パネルの省スペース化を実現することができる。
【0010】
また、本発明では、中間貯留量検出センサとして、検出対象の貯留量が異なる複数の中間貯留量検出センサを備え、各中間貯留量検出センサは、対応する所定の貯留量であることを検出すると、貯留量表示手段は、動作状態と非動作状態が交互に実行される間欠動作を行うようになっている。そして、間欠動作における非動作状態の時間を、検出対象の貯留量が多くなればなるほど短時間であるようにする。このようにすれば、オペレータが、グレンタンクの貯留量が満量に近づいていることを、非動作状態の時間で認識することが可能となるため、作業効率を高めることが可能となる。
【0011】
また、本発明では、貯留量表示手段として点灯手段を用いることができ、この場合、連続動作状態は連続点灯状態となり、間欠動作状態は点滅状態となる。このような構成を採用すれば、ランプ等の点灯手段によって簡単な構造で、貯留量表示手段を実現することが可能となり、省スペース化にさらに有利となる。
【0012】
また、本発明では、貯留量表示手段として、外部から視認可能に設置された方向指示器などの表示灯または前照灯などの照明灯の少なくとも1つを用いる。このようにすれば、コンバインのオペレータだけでなく、コンバインの周囲で作業を行う作業者にもコンバインのグレンタンクの貯留量を知らせることができる。刈取作業は、コンバインで収穫した穀粒を運搬車に排出して運搬するというように、コンバインのオペレータを含む複数の作業者による共同作業であるところ、コンバインのオペレータ以外の作業者にも貯留量を知らせるようにすれば、例えば、その作業者が、その表示を見て、運搬車を、グレンタンクが満量となった時点等の最適のタイミングで配車できるようになるため、刈取作業全体の作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
≪第1の実施形態≫
次に、本発明の第1の実施の形態に係るコンバインについて図面を参照しながらさらに具体的に説明する。
【0014】
本実施形態に係るコンバインについて、図1にはその側面図が示され、図2には、その上面図が示されている。
【0015】
図1、図2において総合的に示されるように、コンバインAは、左右一対のクローラ式の走行部1,1と、走行部1上に設置された車体フレーム2と、車体フレーム2の前端部に取り付けられた刈取部3と、車体フレーム2上の左側前部に設置された脱穀部4(図2参照)と、脱穀部4の直下方位置に設置された選別部(不図示)と、選別部の後方上部であって脱穀部4の直後方位置に設置された排藁処理部6(図2参照)と、車体フレーム2上の右側前部に設置された運転部7と、運転部7の直後方位置であって脱穀部4の直上方位置に設置されたグレンタンクとしての穀粒貯留部8と、原動機部9と、制御部(図1、図2では不図示、図5参照)を備えている。なお、刈取部3には、図示しない穀稈搬送機構が設けられており、穀稈の搬送に用いられる図示しないフィードチェーンが設けられている。
【0016】
刈取部3は、車体フレーム2に対して上下回動自在に枢支された刈取部支持フレーム21(図2参照)を備えている。また、刈取部支持フレーム21と車体フレーム2との間には刈取部昇降手段としての昇降用シリンダ22が介設されている。後述する制御部の駆動制御の下、昇降用シリンダ22が伸縮作動することにより、刈取部支持フレーム21が昇降する。これにより刈高さを調節できるようになっている。また、刈取部支持フレーム21は、その前端部に取り付けられた分草体23と、分草体23の後方位置に設けられた穀稈引起体24とを備えており、穀稈引起体24の後方には図示されない刈刃が取り付けられている。
【0017】
穀稈搬送機構は、コンバインAを走行させながら刈取部3で刈り取られた穀稈を、その後方に配置された脱穀部4に搬送するものである。
【0018】
脱穀部4は、コンバインAを走行させつつ刈取部3によって刈り取った穀稈を自動的に脱穀することができるようになっている。自動的に脱穀する場合は、刈取部3から穀稈搬送機構によって搬送されてきた穀稈の株元部をフィードチェーンによって受け継いで、脱穀部4内に穀稈を搬送し、穀稈の穂先部を脱穀部4の前方から後方に向けて移送させつつ脱穀する。
【0019】
そして、いわゆる手扱きによる脱穀を行う場合は、作業者の手作業によって穀稈をフィードチェーンに供給する。供給された穀稈は、自動的に脱穀する場合と同様、フィードチェーンによって脱穀部4内に移送され、脱穀される。
【0020】
脱穀部4で脱穀された穀粒は、脱穀部4の下方の選別部に落下し、選別部で一番穀粒と二番穀粒とに選別され、一番穀粒は穀粒貯留部8(グレンタンク)に搬送される一方、二番穀粒は、脱穀部4に戻され、再度脱穀される。
【0021】
脱穀部4について、さらに詳細に説明する。脱穀部4の内部には、脱粒して漏下処理を行う扱胴を備えている。扱胴は回動自在に設けられており、この扱胴に対して、後述する原動機部9のエンジンから伝動ベルトを介して回転動力が伝達されている。そして、扱胴の回転の下、それらの周壁に突設された扱歯により脱穀が行われる。この扱胴により脱穀された穀粒は、選別部に落下し、そこで選別される。
【0022】
また、二番穀粒を処理胴に送るための二番口には、エンジンから伝道ベルトを介して回転動力が伝達されている二番スクリューが設けられている。この二番スクリューの回転により、二番穀粒が、脱穀部4に戻されるようになっている。
【0023】
脱穀部4の内部には、さらに処理胴が設けられている。処理胴は、回動自在に設けられており、その処理胴に対して、後述する原動機部9のエンジンから伝動ベルトを介して回転動力が伝達されている。この処理胴の回転の下、それらの周壁に突設された扱歯により脱穀が行われる。この処理胴により脱穀された穀粒は、再び扱胴に送られ、さらに脱穀され、最終的に選別部に落下し、さらに選別される。
【0024】
扱胴、処理胴、二番口の二番スクリューにおけるそれぞれの回転機構の回転数は、後述する回転数検出センサ(図1、図2では不図示、図5参照)によって検出されている。回転数検出センサの検出データの信号は、後述する制御部(図5参照)に送られ、それらの詰まりの検出に用いることもできる。
【0025】
穀粒貯留部8(グレンタンク)には、選別部において選別された一番穀粒が貯留される。この穀粒貯留部8には、その穀粒の貯留量を検出するための複数の異なる貯留量検出センサが取り付けられている。これらのセンサのうち、1つは、満量であることを検出する満量検出センサ(図1、図2では不図示、図5参照)であり、残りのセンサは、空状態と満量との間の所定の貯留量であることを検出する中間貯留量検出センサ(図1、図2では不図示、図5参照)である。これらのセンサの出力は、後述する制御部(図5参照)に送られる。
【0026】
一方、穀粒貯留部8に貯留された一番穀粒は、穀粒搬出部11によって適宜搬出される。この穀粒搬出部11は、穀粒貯留部8内の下部から前後方向後方に伸延した図示しない横搬出用スクリューコンベア体と、横搬出用スクリューコンベアの後端部に下端部が連通連結されており上下方向に配置された縦搬出用スクリューコンベア12と、縦搬出用スクリューコンベア12の上端部に後端部が連通連結されており前方に向けて伸延したオーガ13とを備えている。そして、オーガ13は後端部を中心に旋回及び上下回動自在になっている。
【0027】
原動機部9は、図示しないエンジンを備えている。このエンジンには連動機構を介して図示しないミッションケースが連動連結されている。ミッションケースには、図示しない伝動機構を介して、刈取部3の図示しない刈取駆動機構や脱穀部4の扱胴、処理胴、二番口の二番スクリューなど、各種作業部の駆動機構が連動連結されている。
【0028】
図3には、運転部7が拡大して示されている。図1〜図3に総合的に示されるように、運転部7は、その床部の前中央部に立設されたステアリングコラム31と、ステアリングコラム31の上部から上方に向けて突出するホイール支軸32と、ホイール支軸32に取り付けられたステアリングホイール33と、ステアリングコラム31から側方に延びるように設置され、各種のスイッチ類(不図示)が配置されたウイングパネル34と、ステアリングホイール33の後方位置に配置された座席35と、座席35の左側方位置に配置されたサイド操作コラム36とを備えている。なお、図1に示されるように、運転部7の機体側部(本実施形態においては進行方向に向かって右側部)には、運転部7への乗降の際に用いられる乗降ステップ137が配置されている。
【0029】
図3に示されるように、サイド操作コラム36にはサイドパネル37が設置されている。また、サイド操作コラム36には、主変速レバー41と副変速レバー42と、各種作業レバー43が配設されている。そして、これらのレバーの上端把持部は、サイドパネル37に形成された各レバーガイド溝37a,37b,37cを通ってサイドパネル37の上側に突出している。
【0030】
主変速レバー41の把持部には、各種のスイッチ類が配置されている。具体的には、水平制御手動スイッチ(UFO手動スイッチ)44と、扱き深さを調節するための扱き深さ調節スイッチ45と、刈取部3を昇降させるメイン昇降スイッチ46と、刈取部3を上昇限度位置まで自動的に上昇させるオートリフトスイッチ47や、刈取部3を予め設定した位置(自動刈高さ設定位置)に自動的に移動させるオートセットスイッチ48などが配置されている。
【0031】
ステアリングコラム31の上端部には、各種メータ類等が表示される表示パネル50が取り付けられている。表示パネル50上には、コンバインAの処理状況等の状態が表示されるようになっている。表示パネル50としては、いわゆるインストルメントパネルでもよいが、本実施形態のコンバインAではディスプレイタイプの表示パネル、より具体的には液晶表示パネルが取り付けられている。したがって、コンバインの状態を、例えば文字情報によって詳細に表示することができるようになっている。
【0032】
図4には、表示パネル50の一例が示されている。図4に示されるように、表示パネル50上には、各種メータや各種警告灯が表示されている。
【0033】
まず、表示パネル50の中央部には、エンジンのタコメータ121が表示されており、その右側には、燃料メータ123が表示されている。また、これらのメータ121、123の両側には、ウインカ連動ランプ109、油圧ランプ105、バッテリ警告灯101、冷却水温ランプ103、エアヒータランプ107などが表示されている。また、表示パネル50の上部には、左から、エンジン停止ランプ111、わら処理ランプ113、籾満量ランプ115、排藁(わら)ランプ117、脱穀(こく)ランプ119が表示されている。
【0034】
このうち、籾満量ランプ115は、穀粒貯留部8の貯留量を示す表示であり、例えば、穀粒貯留部8が満量になると、籾満量ランプ115が連続点灯するようになる。
【0035】
この他、コンバインAには、警告音を発生させる警報器51(図5参照)も設けられている。
【0036】
図5に示されるように、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータを含んで構成される制御部100は、コンバインA全体を統括して制御する。例えば、制御部100は、上述したような各種操作レバーやスイッチ類などの操作手段からの信号に基づいてコンバインAの動作の制御を行なう。この制御部100の制御により、各種の操作手段を操作して、コンバインAを操作、操縦できるようになっている。
【0037】
図5には、本実施形態に係るコンバインにおける刈取部3の昇降を行うための制御系のブロック図が示されている。図5に示されるように、制御部100には、満量検出センサ800、第1中間貯留量検出センサ801、第2中間貯留量検出センサ802、第3中間貯留量検出センサ803、第4中間貯留量検出センサ804の検出信号が入力されるようになっている。制御部100は、これらの検出センサの検出信号に基づいて、表示パネル50の籾満量ランプ115の点灯状態や、警報器51の警報の発生状態を制御している。
【0038】
図6には、籾満量ランプ115の点滅間隔のタイミングチャートが示されている。なお、図6では、縦軸は、穀粒貯留部8の容量を示し、横軸は時間を示している。また、グレイ表示されている部分は、籾満量ランプ115が点灯している時間を示している。
【0039】
図6に示されるように、穀粒貯留部8の貯留量が、満量の1/5程度になると、それを第1中間貯留量検出センサ801が検出し、検出信号を出力する。この検出信号は、制御部100に送られる。制御部100は、この検出信号が入力されると、籾満量ランプ115を、最も長い周期T1で点滅させ、間欠動作させる。なお、本実施形態では、周期T1中の点灯時間と消灯時間とが同じとなっている。
【0040】
その後、穀粒貯留部8の貯留量が、満量の2/5程度になると、それを第2中間貯留量検出センサ802が検出し、検出信号を出力するようになる。この検出信号は、制御部100に送られる。制御部100は、この検出信号が入力されると、籾満量ランプ115を、今度は、周期T1の半分の周期T2で点滅させ、間欠動作をさせるようになる。なお、本実施形態では、周期T2中の点灯時間と消灯時間とが同じとなっている。
【0041】
その後、穀粒貯留部8の貯留量が、満量の3/5程度になると、それを第3中間貯留量検出センサ803が検出し、検出信号を出力するようになる。この検出信号は、制御部100に送られる。制御部100は、この検出信号が入力されると、籾満量ランプ115を、今度は、周期T2の半分の周期T3で点滅させ、いわゆる間欠動作をさせる。なお、本実施形態では、周期T3中の点灯時間と消灯時間とが同じとなっている。
【0042】
その後、穀粒貯留部8の貯留量が、満量の4/5程度になると、それを第4中間貯留量検出センサ804が検出し、検出信号を出力するようになる。この検出信号は、制御部100に送られる。制御部100は、この検出信号が入力されると、籾満量ランプ115を、今度は、周期T3の半分の周期T4で点滅させ、間欠動作させるようになる。なお、本実施形態では、周期T4中の点灯時間と消灯時間とが同じとなっている。
【0043】
その後、穀粒貯留部8の貯留量が満量になると、それを満量検出センサ800が検出し、検出信号を出力するようになる。この検出信号は、制御部100に送られる。制御部100は、この検出信号が入力されると、籾満量ランプ115を、今度は、連続して点灯させ、連続動作させる。
【0044】
運転部7の座席35に座っているオペレータは、表示パネル50の籾満量ランプ115を見て、穀粒貯留部8の貯留量を確認しながら作業を行う。上述のように、穀粒貯留部8の貯留量が満量に近づくにつれて、籾満量ランプ115の点滅周期が早くなるので、その点滅具合で、オペレータが、穀粒貯留部8の貯留量(貯まり具合)を知ることができる。そこで、例えば、籾満量ランプ115の点滅周期が、T4程度になったことを確認した場合には、オペレータは、コンバインの周囲で作業を行う他の作業者にその旨を知らせることができる。これにより、他の作業者は、運搬車を、穀粒貯留部8が満量となった時点等の最適のタイミングで配車できるようになるので、効率的な作業が可能となる。
【0045】
なお、制御部100は、この籾満量ランプ115の点滅とともに、あるいは、これに代えて、図6のタイミングチャートに従って(例えば、籾満量ランプ115の点滅タイミングに従って)、警報器51の警報を鳴らすようにしてもよい。
【0046】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、第1〜第4中間貯留量検出センサ801〜804が対応する所定の貯留量(1/5、2/5、3/5、4/5)であることを検出すると、制御部100の制御により、籾満量ランプ115が間欠動作状態になって穀粒貯留量が所定量であることを表示する。さらに、満量検出センサ800が満量であることを検出すると、制御部100の制御により、籾満量ランプ115が連続動作状態になって満量であることを表示する。このようにすれば、運転部7の座席35に座っているオペレータが、穀粒貯留部8の貯留量の途中経過を、1つの籾満量ランプ115で、表示することができるようになり、そのために複数のランプを、通常表示項目又は選択表示項目として、表示パネル50上に配置する必要がなくなるため、表示パネル50を小型化し、省スペース化を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態では、貯留量の検出レベルが異なる4つの中間貯留量検出センサ801〜804を備えている。制御部100は、各中間貯留量検出センサ801〜804が、対応する所定の貯留量であることを検出すると、制御部100は、籾満量ランプ115に対して、その動作状態(点灯)と非動作状態(消灯)が交互に実行される間欠動作を行わせる。さらに、本実施形態では、籾満量ランプ115の間欠動作における非動作状態の時間が、検出する貯留量が多くなるほど短時間となるように設定されている。このようにすれば、オペレータがその表示を見て、その非動作状態の時間間隔を把握することにより、穀粒貯留部8の貯留量(貯まり具合)を認識することが可能となる。
【0048】
なお、本実施形態では、4つの中間貯留量検出センサ801〜804の中間貯留量検出による点滅周期T1、T2、T3、T4について、T1をT2の半分、T2をT3の半分、T3をT4の半分としたが、検出する貯留量がより多い中間貯留量検出センサほど点滅周期が短くなるように設定されていればよい。また、本実施形態では、籾満量ランプ115の間欠動作状態における点灯時間と消灯時間とを同じとしたが、これらは同じでなくてもよい。この場合にも、籾満量ランプ115の間欠動作における非動作状態の時間が、検出対象の貯留量がより多い中間貯留量検出センサほど短時間となるように設定されている必要がある。
【0049】
なお、本発明では、検出する貯留量が多くなればなるほど点滅周期が長くなるように設定されていても構わない。
【0050】
しかしながら、T1、T2、T3、T4は、オペレータが点滅の違いを視覚的に区別して認識できる程度の周期となっている必要がある。
【0051】
また、本実施形態では、貯留量表示手段として籾満量ランプ115を用いている。また、籾が満量となった場合での連続動作状態では、籾満量ランプ115は、連続点灯状態となり、間欠動作状態では、籾満量ランプ115は、点滅状態となる。このように、ランプ等の点灯手段によって簡単な構造を採用して、貯留量表示手段を実現すれば、表示パネル50をさらに小型化し、省スペース化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態では、貯留量表示手段を、運転部内の表示パネル50に表示された籾満量ランプ115としたが、コンバインAの外周に設置された方向指示器などの表示灯または前照灯、テールランプなどの照明灯の少なくとも1つを貯留量表示手段として用いるようにしてもよい。このようにすれば、コンバインAのオペレータだけでなく、コンバインAの周囲で作業を行う作業者にも、コンバインAの穀粒貯留部8の貯留量を知らせることができる。刈取作業は、コンバインAで収穫した穀粒を運搬車に排出して運搬するというように、複数の作業者による共同作業であるところ、コンバインAのオペレータ以外にも貯留量を知らせることにより、運搬車を穀粒貯留部8が満量となった時点等の最適のタイミングで配車できるようになるため、刈取作業全体の作業効率を向上させることができる。
【0053】
なお、本実施形態では、満量検出センサ800を、穀粒貯留部8が満量となったこと検出するセンサとしたが、満量間近であることを検出するようなセンサであってもよい。このようにすれば、例えば、オペレータが、籾満量ランプ115を見て、満量直前であることを知ることができるようになり、作業効率がさらに向上する。
【0054】
また、本実施形態では、検出する貯留量が異なる中間貯留量検出センサを、4つ備えるようにしたが、本発明はこれには限られず、中間貯留量検出センサを、1つ以上備えていればよい。また、本実施形態では、各中間貯留量検出センサの検出容量を、穀粒貯留部8全体の容量に対して均等に分割された貯留量としたが、これには限られない。例えば、全体の容量の半分から満量までの間の貯留量を検出できるように1つ以上の中間貯留量検出センサを配置し、1/2〜満量までの貯留量を検出し、その検出結果に従って、籾満量ランプを点灯させるようにしてもよい。
【0055】
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0056】
本発明の第2の実施形態に係るコンバインAの装置構成は、図1、図2、図3、図4に示される上記第1の実施形態のコンバインAと同一であり、制御系の構成のみが異なるため、以下においては、重複説明を避けるべく、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。また、同様の趣旨から同一若しくは同等の構成部分について同一の符号を用いるとともに、その説明を省略するものとする。
【0057】
上記第1の実施形態で説明したように、コンバインAの脱穀部4では、エンジンから伝道ベルトを介して伝達される回転動力により、扱胴、処理胴、二番出口の二番スクリューが回転し、脱穀が行われる。ここで、扱胴、処理胴、二番出口の二番スクリューにおいて詰まりが発生すると、脱穀を正常に行うことができなくなるため、各所での回転数を検出するセンサによって、その詰まりを検出し、表示パネル50の脱穀ランプ119を点灯させる。
【0058】
図7には、本実施形態に係るコンバインの制御系のブロック図が示されている。図7に示されるように、制御部100には、扱胴の回転数を検出する扱胴回転数検出センサ301、処理胴の回転数を検出する処理胴回転数検出センサ302、二番スクリューの回転数を検出する二番スクリュー回転数検出センサ303からの検出信号が入力されている。また、制御部100には、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出センサ305の検出信号も入力されている。制御部100は、この扱胴回転数検出センサ301、処理胴回転数検出センサ302、二番スクリュー回転数検出センサ303からの検出信号から算出される各回転数と、エンジン回転数検出センサ305の回転数とを差分をそれぞれ算出し、その差分が所定レベルを上回った部分については、詰まりが発生したと判断して、その部分の詰まりに応じた点灯パターンに従って、脱穀ランプを点灯させる。
【0059】
図8には、脱穀ランプ119の点滅間隔のタイミングチャートが示されている。図8に示されるように、まず、二番口の二番スクリューにおいて、詰まりが発生すると、二番スクリュー回転数検出センサ303によって検出されるその回転部の回転数と、エンジンの回転数との差分が所定レベルより大きくなるため、制御部100は、その差分が所定レベルより大きくなると、脱穀ランプ119を、周期T1’で点滅させる。
【0060】
また、処理胴において、詰まりが発生すると、処理胴回転数検出センサ302によって検出されるその回転部の回転数と、エンジンの回転数との差分が所定レベルより大きくなるため、制御部100は、その差分が所定レベルより大きくなると、脱穀ランプ119を、周期T2’で点滅させる。
【0061】
また、扱胴において、詰まりが発生すると、扱胴回転数検出センサ301によって検出されるその回転部の回転数と、エンジンの回転数との差が所定レベルより大きくなるため、制御部100は、その差分が所定レベルより大きくなると、脱穀ランプ119を、周期T3’で点滅させる。
【0062】
さらに、制御部100は、脱穀中に、上記3箇所において、詰まりが検出されない場合には、回転正常であるものとして、脱穀ランプ119を連続点灯させる。
【0063】
このようにすれば、1つの脱穀ランプ119で、複数の異なる情報(ここでは、各場所における詰まり)を表示させることができるようになるので、表示パネル50上に複数のランプを備える必要がなくなるため、表示パネル50を小型化することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、扱胴と、処理胴と、二番口とのうち、少なくとも2つの箇所で同時に詰まりが発生する場合もあり得る。このような場合には、詰まりが発生した箇所についての点滅表示を、数秒置きに、切り替えて行うようにすることができる。例えば、扱胴と、処理胴との両方で詰まりが発生した場合には、制御部100は、まず、数秒間は周期T3’で、脱穀ランプ119を点滅させ、その後の数秒間では周期T2’で脱穀ランプ119を点滅させ、このような点滅動作を繰り返すようにすればよい。
【0065】
なお、本実施形態においても、制御部100は、この脱穀ランプ119の点滅とともに、あるいは、これに代えて、図8のタイミングチャートに従って、警報器51の警報を鳴らすようにしてもよい。
【0066】
なお、扱胴の詰まりを示す点滅周期T1’と、処理胴の詰まりを示す点滅周期T2’と、二番口の二番スクリューの詰まりを示す点滅周期T3’とは、それぞれ異なっていれば良く、必ずしも、T1’<T2’<T3’となっている必要はない。しかしながら、T1’、T2’、T3’は、オペレータが点滅の違いを視覚的に区別して認識できる程度の周期となっている必要がある。
【0067】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、扱胴、処理胴、二番口で詰まりを検出すると、制御部100の制御により、脱穀ランプ119の点滅状態を変更して、いずれの箇所で詰まりが発生しているか否かを表示するようになっている。これにより、詰まりが発生した箇所を、1つのランプでオペレータに認知させることができるようになって、複数の表示ランプを表示パネル上に配置する必要がなくなるため、表示パネル50の省スペース化を実現することができる。
【0068】
また、本実施形態においても、脱穀ランプ119とともに、またはこれに代えて、コンバインAの外周に設置された方向指示器などの表示灯または前照灯、テールランプなどの照明灯の少なくともいずれか1つを点灯させるようにしてもよい。このように、車体外部から視認可能に設けられたランプを点灯させるようにすれば、コンバインAのオペレータだけでなく、コンバインAの周囲で作業を行う作業者にも脱穀中の詰まりを知らせることができるようになる。刈取作業は、コンバインAで収穫した穀粒を運搬車に排出して運搬するというように、複数の作業者による共同作業であるところ、コンバインAのオペレータ以外にも詰まりを知らせることにより、コンバインの詰まりを解消する作業を速やかに開始することができるようになるため、刈取作業全体の作業効率を向上させることができる。
【0069】
なお、上記各実施形態では、伝達したい情報に応じてランプの点滅周期を変更したが、ランプの点滅のリズムを変更するようにしてもよい。
【0070】
なお、上記各実施形態では、籾満量ランプ115、脱穀ランプ119の点灯の間隔を変更することにより、オペレータに伝える情報の差別化を図ったが、本発明はこれには限られず、例えば、ランプの点灯色を変更することにより、伝えたい情報の差別化を図るようにしてもよい。
【0071】
また、上記各実施形態では、警報や、表示パネル表示の他に、座席35をバイブレータで振動させることにより、オペレータに誤操作を知らせるようにしてもよい。
【0072】
また、例えば、ステアリングホイール33は、丸型でなくてもよく、クロスレバー方式のものであってもよい。このように、本発明のコンバインは、上記実施形態に限られるものではなく、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施形態のコンバインを示す側面図である。
【図2】図1のコンバインの上面図である。
【図3】運転部の拡大上面図である。
【図4】表示パネルの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るコンバインの制御系のブロック図である。
【図6】籾満量ランプの点灯間隔を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るコンバインの制御系のブロック図である。
【図8】詰まりの警告の点灯間隔を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 走行部
2 車体フレーム
3 刈取部
4 脱穀部
6 排藁処理部
7 運転部
8 穀粒貯留部
9 原動機部
11 穀粒搬出部
12 縦搬出用スクリューコンベア
13 オーガ
21 刈取部支持フレーム
22 昇降用シリンダ
23 分草体
24 穀稈引起体
31 ステアリングコラム
32 ホイール支軸
33 ステアリングホイール
34 ウイングパネル
35 座席
36 サイド操作コラム
37 サイドパネル
37a,37b,37c レバーガイド溝
38 ホーンスイッチ
39 微調整昇降スイッチ
41 主変速レバー
42 副変速レバー
43 作業レバー
44 水平制御手動スイッチ
45 扱き深さ調節スイッチ
46 メイン昇降スイッチ
47 オートリフトスイッチ
48 オートセットスイッチ
50 表示パネル
51 警報器
100 制御部
101 バッテリ警告灯
103 冷却水温ランプ
105 油圧ランプ
107 エアヒータランプ
109 ウインカ連動ランプ
111 エンジン停止ランプ
113 わら処理ランプ
115 籾満量ランプ
117 俳藁ランプ
119 脱穀ランプ
121 タコメータ
123 燃料メータ
137 乗降ステップ
301 扱胴回転数検出センサ
302 処理胴回転数検出センサ
303 第2スクリュー回転数検出センサ
305 エンジン回転数検出センサ
800 満量検出センサ
801 第1中間貯留量検出センサ
802 第2中間貯留量検出センサ
803 第3中間貯留量検出センサ
804 第4中間貯留量検出センサ
A コンバイン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の穀稈を刈取る刈取部と、刈取られた穀稈から穀粒を脱穀する脱穀部と、脱穀された穀粒が貯留されるグレンタンクとを備えており、当該グレンタンクへの穀粒の貯留量を検出する貯留量検出センサと、前記グレンタンクの穀粒貯留状態を表示する貯留量表示手段とを備えるコンバインであって、
前記貯留量検出センサとして、満量または満量間近であることを検出する満量検出センサを備えていると共に、当該満量検出センサの他に、空状態と満量との間の所定の貯留量であることを検出する中間貯留量検出センサを1つ以上備えており、
前記貯留量表示手段は、前記満量検出センサが満量であることを検出すると、連続動作状態になって満量であることを表示し、前記中間貯留量検出センサが対応する所定の貯留量であることを検出すると、間欠動作状態になって穀粒貯留量が所定量であることを表示するものであることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記中間貯留量検出センサとして、検出対象の貯留量が異なる複数の中間貯留量検出センサが備えられており、
各中間貯留量検出センサが、対応する所定の貯留量であることを検出すると、前記貯留量表示手段は、動作状態と非動作状態が交互に実行される間欠動作をするようになっており、
間欠動作における非動作状態の時間は、検出対象の貯留量がより多い中間貯留量検出センサほど短時間である、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記貯留量表示手段は点灯手段であり、前記連続動作状態は連続点灯状態であり、前記間欠動作状態は点滅状態である、請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記貯留量表示手段として、外部から視認可能に設置された表示灯または照明灯の少なくとも1つを用いる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−148651(P2008−148651A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341840(P2006−341840)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】