説明

コンバイン

【課題】機体上部に配管された排気装置と排出オーガとの干渉を防止するとともに、排気ガスによる排出オーガの汚れを防止したコンバインの提供を目的とする。
【解決手段】排気装置41の下流側に配置されたテールパイプ61の下流側端部63を、脱穀部15の左右一側上部から、他側斜め上後方に排気ガスを排出するように形成し、テールパイプ61と排出オーガ21との干渉を防止するガード部材81を、略逆U字状に形成するとともに、テールパイプ61の下流側端部63の排出オーガ21側の側部から、脱穀部15側の斜め上後方へ延設したことを特徴とするコンバイン11。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンバインのエンジンからの排気装置に関し、より詳細には、コンバインの機体上部に配管された排気装置と排出オーガとの干渉を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの排気装置はエンジンから機体下部を通って機体後方側に配管され、エンジンで発生した排気ガスを機体後方で排出している。排気装置は排気音を低減させる排気サイレンサや排気ガスを排出するテールパイプ等から構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、排気サイレンサやテールパイプ等の排気装置が機体下部に配管されていると、走行中に巻上げられた泥等が排気装置に掛かり易い。排気装置に泥等が掛かると、排気サイレンサやテールパイプに泥等が抱き込まれて付着、固化する場合や、テールパイプに泥等が浸入する場合がある。特にコンバインが湿田で走行する場合には排気装置に泥等が大量に付着し、排気装置内への泥等の浸入も増大するため、コンバインの走行性能の低下が問題となる。
【0004】
このため、排気装置が機体上部に配管されたコンバインの技術もあり、このような排気装置を備えたコンバインとして、例えば、エンジンルーム内に排気サイレンサが設けられ、前記排気サイレンサに接続されたテールパイプが機体上方に配管されており、前記テールパイプの後部が脱穀部の上部に固定されている。また、エンジンからのエキゾーストパイプが機体上方に配管され、前記エキゾーストパイプに接続される排気サイレンサが脱穀部の上部に固定されており、テールパイプが前記排気サイレンサに接続されているコンバインもある。
【0005】
上記のように排気装置を機体上部に配管したコンバインによれば、走行中に巻上げられた泥等が排気装置に掛かり難くなり、排気装置に泥等が抱き込まれることや、排気装置に泥等が浸入することが防止される。このため、排気装置の泥等の抱き込みや、泥等の浸入によるコンバインの走行性能の低下を防止することができる。
【0006】
一方、穀物を貯溜するグレンタンク、及びグレンタンク内の穀物をトラックの荷台等に移送するための排出オーガを備えたコンバインが従来から知られており、また、排出オーガが上下方向に俯仰自在かつ左右方向に旋回自在に構成されており、排出オーガの使用位置を予め設定しておき、使用時には前記使用位置へ自動的に旋回させるオートセット機能や、使用後にオーガレストの位置まで自動的に回帰・載置固定させるオートリターン機能を備えたコンバインも知られている。
【特許文献1】特開2005−261279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、排気装置が機体上部に配管されたコンバインの場合、排気装置の一部がコンバインの上部に突出する。また、テールパイプに藁屑や作物等が掛からないようにするため、テールパイプの高さをある程度高く設置する必要もある。そのため、排出オーガを不用意に俯仰、旋回させると、テールパイプと排出オーガとが干渉して、双方とも変形、破損するおそれがある。また、テールパイプが機体上部に配管されたコンバインの場合、排出オーガをテールパイプの排気口に接近して排気ガスに当たる位置まで旋回させて使用できるようにすると、排気ガスに含まれる煤が排出オーガに付着しやすくなり、排出オーガの表面が汚れやすくなるという問題もある。
【0008】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、機体上部に配管された排気装置と排出オーガとの干渉を防止するとともに、排気ガスによる排出オーガの汚れを防止したコンバインの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
すなわち、請求項1においては、
刈取り、脱穀、選別後の籾を貯留するグレンタンクと、
上下方向と水平方向に回動自在に配置されて、前記グレンタンクより籾を排出する排出オーガと、
機体上に搭載されたエンジンに接続されて、後端部を脱穀部とグレンタンクとの間に配置された排気装置と、を備えたコンバインであって、
前記排気装置の下流側に配置されたテールパイプの下流側端部を、前記脱穀部の左右一側上部から、他側斜め上後方に排気ガスを排出するように形成し、
前記テールパイプと排出オーガとの干渉を防止するガード部材を、略逆U字状に形成するとともに、前記テールパイプの下流側端部の排出オーガ側の側部から、脱穀部側の斜め上後方へ延設したものである。
【0011】
請求項2においては、
前記ガード部材の延設方向と、前記テールパイプの下流側端部からの排気ガスの排出方向とが略平行となるように構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、排出オーガを穀粒排出するために、または、排出後に収納するために回動した時に、コンバインの機体上部に配管された排気装置と排出オーガとの干渉を防止することができる。
【0014】
請求項2においては、排気ガスが排出オーガに直接かかるのを防止することができるため、排気ガスに含まれる煤が排出オーガに付着し難くなり、排出オーガの表面の汚れを防止することができる。また、高温な排気ガスによる排出オーガの変形・変質等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
【0016】
本発明に係るコンバイン11について、図を用いて説明する。図1はコンバイン11の全体側面図、図2はコンバイン11の正面図、図3はコンバイン11の平面図、図4は排気装置41の側面簡略図、図5は排気装置41の正面簡略図、図6は排気装置41の平面簡略図、図7は縦送りオーガ22と横送りオーガ23の接続部の側面簡略図、図8は図3におけるガード部材81のP矢視図である。
【0017】
まずコンバイン11の全体構成について説明する。図1から図3に示すように、コンバイン11は、左右のクローラを支承してなるクローラ走行装置12上に機体(シャーシ)13が配設されており、この機体13の前部右側にエンジン34が搭載されている。機体13の前方にはエンジン34の駆動力を変速してクローラ走行装置12に伝達するミッションケース31が配設されており、ミッションケース31にはクローラ走行装置12の駆動輪の車軸が設けられている。また、機体13の前部には刈取部14、機体13の上部において走行方向の左側には選別部16が設けられ、選別部16の上部には扱胴及びフィードチェーン15a等を具備する脱穀部15が設けられている。機体13の上部の右側前部には座席19及びキャビン18が設けられており、機体13の右側後部にはグレンタンク17が設けられている。グレンタンク17の底部には排出コンベア26が前後方向に配設され、グレンタンク17の後部には排出オーガ21が立設されている。グレンタンク17に貯溜された穀粒は排出コンベア26により後方に搬送され、排出オーガ21の縦送りオーガ22、横送りオーガ23を経て、横送りオーガ23先端部の排出口24からトラック等へ排出される。また、機体13の上方には、テールパイプ61と排出オーガ21との干渉を防止するガード部材81が設けられている。
【0018】
図3に示すように、コンバイン11の機体13の前方のキャビン18の下方には前記エンジン34が搭載されており、このエンジン34はエンジンルーム32内に収容されている。エンジンルーム32は上面、前面、左右側面を覆うエンジンルームカバー(図示せず)により構成されており、後面はエンジンルーム後部フレーム33により構成されている。エンジンルーム32には、冷却用の外気を取り入れるための開部(図示せず)が右側方に設けられ、キャビン18の後下部からエンジン34にかけては、エアクリーナや吸気サイレンサ等を配設した吸気経路(図示せず)が形成される。
【0019】
次に排気装置41について説明する。図4に示すように、排気装置41はエンジン34の排気マニホールド36に接続され、燃焼後の排気ガスを排出し、爆発に伴う排気音を低減させるものである。排気装置41は、排気サイレンサ42、テールパイプ61、外気導入部71を有している。
【0020】
前記排気サイレンサ42について説明すると、前記排気サイレンサ42は、エンジン34の排気マニホールド36に接続されて排気音を低減させるためのものである。図4に示すように、排気サイレンサ42は断面形状が略楕円の筒状体であり、一側部付近に排気ガス出口であるサイレンサ出口管43が設けられている。排気サイレンサ42はエンジンルーム32内に配置されており、エンジン34の上方において、冷却ファン35の排風が当たる位置に設けられている。排気サイレンサ42が冷却ファン35の排風が当たる位置に設けられているため、排気サイレンサ42が冷却されるとともに塵が溜まることも防止できる。また、図5に示すように、排気サイレンサ42は長手方向を機体13の左右方向に向け、かつ排気マニホールド36に対して機体13の左側方向にオフセットして配置されており、前記サイレンサ出口管43が機体13の進行方向左側となるように接続されている。
【0021】
次に前記テールパイプ61について説明する。前記テールパイプ61は、前記排気サイレンサ42の下流側に接続されてエンジン34からの排気ガスを排出するためのものである。テールパイプ61の全体形状は、図4から図6に示すように、排気サイレンサ42のサイレンサ出口管43に接続される部分である上流側端部62から機体13の後方に向けて延出し、次に、エンジンルーム後部フレーム33の貫通部の後方で機体13の上方に向けて屈曲しつつ、かつ機体13の左側に向けて延出し、次に、グレンタンク17と脱穀部15の間まで至ったところで再度機体13の後方に向けて水平方向に屈曲して後方へ延出し、本機(脱穀部15またはグレンタンク17)前後中央付近にテールパイプ61の下流側端部63を配置している。下流側端部63は、側面視で水平面に対して斜め上方に角度β(図4)屈曲し、かつ、平面視で前後方向に対して斜め左後方(フィードチェーン側)に角度α(図6)屈曲している。すなわち、排気ガスを下流側端部63(排気口)から機体13の上部で、横送りオーガ23と反対側の斜め左後上方へ排出するように配管されている。
【0022】
図4に示すように、前記テールパイプ61は、外管64と内管65から構成される。内管65は排気サイレンサ42のサイレンサ出口管43に接続されて排気ガスが通過する部分であり、外管64は内管65との間に断熱層を形成する部分である。内管65と外管64はそれぞれ金属製の直管とエルボとで構成されており、外管64に内管65が内挿される。外管64に内挿された内管65の固定は、内管固定部材を内管65の外面と外管64の内面に溶接手段等で固定して、内管65と外管64との間に所定の間隙を確保して固定するようにしている。この内管65と外管64との間隙の部分が断熱層となる。前記間隙はテールパイプ61の上流側端部62から下流側端部63まで連通している。尚、本実施例ではテールパイプ61は外管64と内管65から構成される2重管としたが、内管65のみからなる1重管としてもよいし、あるいは、さらに外側にパイプを設けて3重管以上としてもよい。
【0023】
テールパイプ61の下流側端部63の形状は、外管64の端部の上流側に内管65の端部が位置するようにしており、テールパイプ61の下流側端部63において、外管64と内管65の端部位置に差を設けている。また、外管64の端部は斜めに切断して上部側が長くなるように突出させて、テールパイプ61内に雨水等が浸入し難い構成としている。テールパイプ61の下流側端部63において外管64と内管65の端部位置に差を設けているため、エンジン34が作動して排気ガスが内管65の下流端から排出されると、排気ガスの気流により、内管65後端と外管64との間に負圧が発生して、外管64前端と内管65前部との間から空気が吸入されて、内管65と外管64との間隙に下流方向の空気の流れが生じる。空気に流れが生じると間隙内部の換気が行われて間隙内部の空気の温度上昇は低く抑えられ、内管65と外管64の間の断熱効果が高くなる。このため、外管64の表面温度の上昇を低く抑えることができ、テールパイプ61に接近させてハーネス等が設置されても、ハーネス等への熱影響を防止することができる。また、テールパイプ61内に雨水等を浸入させ難くすることができる。
【0024】
エンジンルーム32側のテールパイプ61の上流側端部62での形状は、外管64の端部の上流側に内管65の端部が突出するようにしており、テールパイプ61の上流側端部62において、外管64と内管65の端部位置に差を設けている。尚、内管65と外管64との間の間隙は、テールパイプ61の上流側端部62において外気と連通しているため、テールパイプ61の下流側端部63から雨水等が浸入してきた場合でも、上流側端部62における抜き孔から水が排出される。このため、内管65と外管64との間隙を通じて排気サイレンサ42内部やエンジン34に雨水等が浸入することを防止できる。
【0025】
ここで、図3及び図6に示すように、テールパイプ61は、本機中央付近にて脱穀部15の扱室カバー上方に、かつ本機進行方向に対し左後方に角度α(以下、排出方向αという)に排出するように配管される形状であるとともに、テールパイプ61の下流側端部63は、本機中央付近に位置する。すなわち、テールパイプ61は、本機中央付近にて下流側端部63から排出方向αに排出することになる。
【0026】
したがって、本機中央付近にて下流側端部63から排出するため、図3に示すように、本機周縁(ここでは、左側縁)までの寸法Aを長く取れ、そして、排出方向αに排出するため、オペレータから遠方へ排気ガスを排出でき、オペレータへの排気ガスの影響を少なくでき、本機右側に位置する排出オーガやグレンタンクへの排気ガスの影響も少なくできる。尚、本機左側への排出方向の角度αは30度以下とすることが好ましい。
【0027】
次に前記外気導入部71について説明する。前記外気導入部71は、外気をテールパイプ61の内管65に導入して、排気ガスの温度を外気により低下させるものである。テールパイプ61の上流側端部62には排気サイレンサ42のサイレンサ出口管43が接続されており、外気導入部71は排気サイレンサ42とテールパイプ61との接続部分に形成されている。エンジン34作動時に内管65を排気ガスが通過すると、排気ガスの気流により外気導入部71に負圧が生じ、外気導入部71の開口部から内管65に外気が吸引される。
【0028】
尚、図6に示すように、外気導入部71は排気サイレンサ42に近いエンジンルーム32内に設けられ、冷却ファン35の排風が当たる位置に設けられる。冷却ファン35の排風が外気導入部71に常に当たることにより、外気導入部71から低い温度の空気を導入させることができるとともに、外気導入部71に塵が溜まることが防止できる。
【0029】
また、図6に示すように、テールパイプ61とサイレンサ出口管43を接続する方向は、機体13の前後方向としている。エンジン34の振動方向に沿った方向にサイレンサ出口管43を挿入することにより、エンジン34の振動によるサイレンサ出口管43の振動は、挿入方向と一致するため、テールパイプ61の内管65に接触し難くなる。サイレンサ出口管43とテールパイプ61の干渉を防止するため、サイレンサ出口管43の挿入方向は、エンジン34の振動が大きい方向に沿った方向であることが好ましい。
【0030】
また、外気導入部71は、排気サイレンサ42に設けられたサイレンサ出口管43がテールパイプ61に挿入され、サイレンサ出口管43とテールパイプ61との間に間隙が確保されている構成としているため、排気サイレンサ42とテールパイプ61とを接続するフランジが不要となる。振動体である排気サイレンサ42の質量がフランジを不要とすることで低減することができ、排気サイレンサ42の振動を低減させることができるため、振動による騒音を低減することができる。
【0031】
次に、排気装置41の支持について説明する。図4から図6に示すように、テールパイプ61は、支持部材82・83を介して脱穀部15で支持されるようにしている。前述のように、排気装置41を機体13の上方に配管、支持させると、排気装置41に藁屑等が蓄積されにくくなる。また、テールパイプ61の脱穀部15での支持部では、テールパイプ61と脱穀部15との間隔を十分確保しており、テールパイプ61下部にハーネス、注油ホース等が配置されても、熱による影響を防ぐようにしている。
【0032】
次に、排出オーガ21について説明する。図1に示すように、排出オーガ21は縦送りオーガ22と横送りオーガ23とを有している。図7に示すように、横送りオーガ23の根元側は縦送りオーガ22の上部に上下方向に回動自在に接続される。縦送りオーガ22の側部にはブラケット55が突設され、横送りオーガ23の側部にはブラケット56が突設される。前記ブラケット55には上下方向駆動手段としてのシリンダ51の一端が回転自在に取り付けられ、前記ブラケット56にはシリンダ51の他端が回転自在に取り付けられる。シリンダ51の伸縮により、排出オーガ21は上下方向に俯仰する。また、横送りオーガ23には上下角度検出手段としての回転式ポテンショメータ53が設けられており、回転式ポテンショメータ53により、排出オーガ21の上下角度が検出される。
【0033】
前記縦送りオーガ22の中途部には、図7に示すように、平歯車57が外嵌固定されている。機体13側には水平方向駆動手段としてのアクチュエータ52が設けられており、アクチュエータ52の回転軸には平歯車58が設けられている。平歯車57と平歯車58は歯合しており、アクチュエータ52を作動させることにより、縦送りオーガ22及び横送りオーガ23は一体的に水平方向に旋回する。平歯車58と同軸に水平角度検出手段としての回転式ポテンショメータ54が設けられる。回転式ポテンショメータ54により、排出オーガ21の水平角度が検出される。尚、前記上下角度検出手段及び前記水平角度検出手段は、回転式ポテンショメータの他、レゾルバ、ロータリーエンコーダ等の回転角度検出手段を用いることができる。
【0034】
次に、ガード部材81について説明する。図1から図6及び図8に示すように、コンバイン11の機体13上方には、ガード部材81が設けられている。ガード部材81は、排出オーガ21がテールパイプ61に接近したときに、排出オーガ21がテールパイプ61と当接することがなく、テールパイプ61と排出オーガ21との干渉を防止する部材である。ガード部材81の取付位置及び形状は、テールパイプ61に干渉する可能性のある位置に対応する排出オーガ21の上下角度及び水平角度を求めた上で、その上下角度及び水平角度に排出オーガ21が侵入する前に、横送りオーガ23がテールパイプ61より先にガード部材81に当接する位置及び形状とする。
【0035】
具体的には、ガード部材81は、金属製のパイプまたは棒状部材または帯板状部材を略逆U字状に折り曲げて構成されている。パイプの一端を図4に示すように、テールパイプ61の後端下方位置であって、図6に示すように、テールパイプ61の後端から直接排気がかからない程度の所定長さ離れた位置で、グレンタンク17と脱穀部15の間のフレームに固定して立設し、このフレームから機体13の上方に向けて鉛直方向に延出している。そして、図5に示すように、テールパイプ61の後端と略同じ高さの位置から「く」字状に屈曲して機体13の斜め左後方に向けて延設して横ガード部材81aを形成している。次に、横ガード部材81aの後部がグレンタンク17の上端と略同じ高さに至ったところで下方に向けて屈曲して鉛直方向に延出し、縦ガード部材81bを形成している。縦ガード部材81bをそのまま下方へ延設すると脱穀部15に当たるので、正面視において略クランク状に折り曲げて、平面視において略一直線となる形状として下方に延設して、脱穀部15の右側側面に設けた取付台に下端を固定している。
【0036】
こうして、ガード部材81は、排気装置41の右後方に配置され、横ガード部材81aがテールパイプ61の下流側端部63の上端より高い位置に配置される。ここで、図4及び図8に示すように、テールパイプ61は、機体水平方向に対し上方に角度β(以下、排出方向βという)に排出するように配管される形状である。そして、ガード部材81は、テールパイプ61の排出方向βと平行に配置される。具体的には、ガード部材81の横ガード部材81aの長手軸方向と、テールパイプ61の排出方向βとが平行に配置される。また、テールパイプ61の下流側端部63から排出方向βのガード部材81(縦ガード部材81b)までは、寸法Bが離隔される。
【0037】
したがって、図8に示すように、テールパイプ61の下流側端部63から、排出方向βに排気ガスが排出されるが、この排気ガスはガード部材81に直接かかることがない。一方、排出オーガ21の横送りオーガ23を回動操作した場合であって、横送りオーガ23をガード部材81に最接近させて、すなわち、横送りオーガ23をオーガ収納位置(図8に示す実線)から横ガード部材81aに沿って左上方に回動させても、横送りオーガ23は排出方向βと平行に移動し、横ガード部材81aと縦ガード部材81bとの最接触位置であっても、横送りオーガ23は、寸法B以上離隔された位置となる。(図8に示す二点差線)。したがって、排出オーガを誤操作してガード部材81に最接近させても、排出オーガに排気ガスが直接かかることはなく、その熱の影響もほとんどない。
【0038】
また、ガード部材81は、図6に示すように、テールパイプ61の排出方向αと平行に配置される。すなわち、前述のようにガード部材81は、平面視においては略一文字となる形状であり、ガード部材81は、平面視においてテールパイプ61の排出方向αと平行に配置される。このため、ガード部材81を機体13上にコンパクトに配置でき、機体13上のスペースを有効活用できる。
【0039】
以上のように、本実施例のコンバイン11は、刈取り、脱穀、選別後の籾を貯留するグレンタンク17と、上下方向と水平方向に回動自在に配置されて、前記グレンタンク17より籾を排出する排出オーガ21と、機体13上に搭載されたエンジン34に接続されて、後端部を脱穀部15とグレンタンク17との間に配置された排気装置41と、を備えたコンバイン11であって、前記排気装置41の下流側に配置されたテールパイプ61の下流側端部63を、前記脱穀部15の左右一側上部から、他側斜め上後方に排気ガスを排出するように形成し、前記テールパイプ61と排出オーガ21との干渉を防止するガード部材81を、略逆U字状に形成するとともに、前記テールパイプ61の下流側端部63の排出オーガ21側の側部から、脱穀部15側の斜め上後方へ延設したものである。このような構成とすることで、排出オーガ21を穀粒排出するために、または、排出後に収納するために回動した時に、コンバイン11の機体13上部に配管された排気装置41と排出オーガ21との干渉を防止することができる。
【0040】
そして、前記ガード部材81の延設方向と、前記テールパイプ61の下流側端部63からの排気ガスの排出方向とが略平行となるように構成したものである。このような構成とすることで、排気ガスが排出オーガ21に直接かかるのを防止することができるため、排気ガスに含まれる煤が排出オーガ21に付着し難くなり、排出オーガ21の表面の汚れを防止することができる。また、高温な排気ガスによる排出オーガ21の変形・変質等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】コンバイン11の全体側面図。
【図2】コンバイン11の正面図。
【図3】コンバイン11の平面図。
【図4】排気装置41の側面簡略図。
【図5】排気装置41の正面簡略図。
【図6】排気装置41の平面簡略図。
【図7】縦送りオーガ22と横送りオーガ23の接続部の側面簡略図。
【図8】図3におけるガード部材81のP矢視図。
【符号の説明】
【0042】
11 コンバイン
13 機体
15 脱穀部
17 グレンタンク
21 排出オーガ
34 エンジン
41 排気装置
61 テールパイプ
63 下流側端部
81 ガード部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取り、脱穀、選別後の籾を貯留するグレンタンクと、
上下方向と水平方向に回動自在に配置されて、前記グレンタンクより籾を排出する排出オーガと、
機体上に搭載されたエンジンに接続されて、後端部を脱穀部とグレンタンクとの間に配置された排気装置と、を備えたコンバインであって、
前記排気装置の下流側に配置されたテールパイプの下流側端部を、前記脱穀部の左右一側上部から、他側斜め上後方に排気ガスを排出するように形成し、
前記テールパイプと排出オーガとの干渉を防止するガード部材を、略逆U字状に形成するとともに、前記テールパイプの下流側端部の排出オーガ側の側部から、脱穀部側の斜め上後方へ延設したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記ガード部材の延設方向と、前記テールパイプの下流側端部からの排気ガスの排出方向とが略平行となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−22(P2008−22A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170763(P2006−170763)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】