説明

コンバイン

【課題】刈取前処理装置4の内部と外側方とを照明できるようにして、早朝、夕方、夜間の刈取脱穀作業中の刈取穀稈の搬送状況を正確に認識できる提供するものである。
【解決手段】刈取前処理装置4及び脱穀装置を搭載した走行機体と、運転座席を有する運転部と、走行機体の前方を照らす前照灯28が刈取前処理装置4に備えられてなるコンバインであって、刈取前処理装置4の左右側面を覆うための左右のサイドカバー35L,35Rには側方作業灯42を設け、該側方作業灯42を第2リンクアーム54を有する機械的機構により、刈取前処理装置4より外側方向と刈取前処理装置4の内方向とに照射方向を変更可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取前処理装置と脱穀装置とを搭載した走行機体にオペレータが搭乗して収穫作業するコンバインに係り、より詳しくは、走行機体の前方を照らす前照灯と、刈取前処理装置の作業域及びその周辺を照らす作業灯とを備えるコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行機体の前側に昇降可能に配設した刈取前処理装置によって圃場の未刈り穀稈を刈取り、刈取った穀稈を脱穀装置によって脱穀して、穀粒を収集するように構成している。
【0003】
最近、コンバインによる刈取脱穀作業を長時間連続的に行うようになり、夜間の作業も増大する傾向にある。このため、特許文献1や2に記載のコンバインにおいては、刈取前処理装置の前面側に前照灯を配置し、夜間作業等で、前照灯によって走行機体の前方を照らすように構成されていた。また、特許文献3に記載のコンバインでは、刈取前処理装置の側カバー体に作業灯を配置し、作業灯によって刈取前処理装置の外側周辺を照らすように構成されていた。
【特許文献1】特開2006−115799号公報
【特許文献2】特開2007−000072号公報
【特許文献3】特開2004−229521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、刈取前処理装置の前側には穀稈引起装置の前面を覆う引起しケースが刈取条ごとに並設されている一方、引起しケースの上端間に横長の防塵カバーが配置されている。また、刈取前処理装置の側面前側にも側カバーが配置されている。これらのケースやカバーの存在のため、刈取前処理装置の内部、特に刈取穀稈の掻込み装置や、脱穀部への刈取穀稈の搬送機構の前側寄りの部分には日光が入り難い。そのため、早朝や、夕暮れ時、及び夜間の作業時においては、上記の特許文献1〜3における前照灯や作業灯により、刈取前処理装置の外側を照明すると、刈取前処理装置の内外の明度のコントラストの差異が大きくなり、刈取前処理装置の内部が暗くなりすぎ、運転席のオペレータが、刈取穀稈の搬送状況や穀稈詰まりなどを正確、且つ迅速に判断できないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、刈取前処理装置の前方及び側方の広い範囲を照明できるものでありながら、刈取前処理装置の内部側も照明できる、照明装置を備えたコンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明のコンバインは、刈取前処理装置及び脱穀装置を搭載した走行機体と、運転座席を有する運転部と、前記走行機体の前方を照らす前照灯が前記刈取前処理装置に備えられてなるコンバインであって、前記刈取前処理装置の左右側面を覆うための左右のサイドカバーの少なくともいずれか一方には、側方作業灯を、前記刈取前処理装置より外方向と前記刈取前処理装置の内方向とに照射方向を変更可能に装着したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明のコンバインは、刈取前処理装置及び脱穀装置を搭載した走行機体と、運転座席を有する運転部と、前記走行機体の前方を照らす前照灯と、前記刈取前処理装置の周辺を照らす作業灯とを前記刈取前処理装置に備えてなるコンバインであって、前記刈取前処理装置の上側に透明な刈取上面カバーが設けられ、該刈取上面カバーの下面側には、上部作業灯を、前記刈取前処理装置より外方向と前記刈取前処理装置の内方向とに照射方向を上下変更可能に装着したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のコンバインにおいて、前記側方作業灯及び/または前記上部作業灯は、手動レバーを有する機械機構により、方向変換可能に構成されているものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のコンバインにおいて、前記側方作業灯及び/または前記上部作業灯は、アクチュエータにより、方向変換可能に構成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び2に係る発明によれば、早朝、夕方、夜間の作業時において、刈取前処理装置の内部が暗くなったとき、側方作業灯や上部作業灯の向きを刈取前処理装置の内部側に変更することで、刈取穀稈の搬送作業や穀稈詰まりなどの作業状況を、オペレータが確実に認識することができ、刈取脱穀作業を精密且つ迅速に行えるという効果を奏する。また、夜間などにおける刈取前処理装置のメンテナンス作業性等も向上できるものである。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、比較的簡単な機械的構造により、側方作業灯や上部作業灯の向きを変更することができ、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、オペレータは、走行機体から降りることなく、側方作業灯や上部作業灯の向きを変更することができ、操作性が向上し、作業能率を向上できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した左側面図、図2は同じく正面図、図3は平面図である。図4は刈取前処理装置の左サイドカバーに取り付けられた前照灯及び作業灯を示す斜視図、図5は側方作業灯による照射範囲を示す平面説明図、図6は側方作業灯の照射方向を変更可能とする構成の詳細図である。
【0014】
まず、本発明の実施形態に係るコンバインの全体構成について説明する。なお、以下の説明では、走行機体2の進行方向に向かって左側を単に左(左側)と称し、同じく進行方向に向かって右側を単に右(右側)と称する。
【0015】
図1、図2及び図3に示すように、コンバイン1は、走行機体2がクローラ式走行装置3で支持され、走行機体2上に搭載したエンジン10からの動力が、トランスミッションを介してクローラ式走行装置3に伝達されて、前進または後進走行可能に構成されている。そして、前記走行機体2の前部には、穀稈を刈り取って機体後方へ搬送する刈取前処理装置4が設けられている。走行機体2の左側前後中途部には、刈取前処理装置4からの刈取穀稈を脱穀する脱穀装置5と、該脱穀装置5で脱穀された穀粒を選別する選別部6とが上下に配設されている。走行機体2の後部には、脱穀装置5で脱穀された穀稈を排藁として機外へ排出する排藁処理部7が設けられている。
【0016】
また、走行機体2の右側後部には、選別部6から揚穀筒で搬送される穀粒を貯留するグレンタンク8が設けられ、該グレンタンク8の後方から上方にかけてグレンタンク8内の穀粒を機体外部に排出する排出オーガ9が配設されている。そして、この排出オーガ9の縦オーガ9aを中心として、グレンタンク8がその前部を機体側方へ開放回動できるように構成されている。グレンタンク8の前方で走行機体2の右側前部には、操向ハンドル11や種々の操作レバーなどの操作装置や、運転席12などを備えた運転部15が設けられている。運転部15の下方の走行機体2には、トランスミッションやエンジン10が配設されている。
【0017】
次に、刈取前処理装置4について説明する。図1〜図4に示されるように、刈取前処理装置4は、走行機体2の前部に立設した刈取支持体29の上端部に、刈取回動支点軸4aを介して、刈取支持フレーム30の基端部が枢支されている。刈取支持フレーム30が左右方向の軸線(刈取回動支点軸4a )回りに上下方向に昇降回動自在に構成されている。刈取支持フレーム30と走行機体2との間には、刈取部昇降手段としての刈取部昇降シリンダ26が介設されている。刈取部昇降シリンダ(油圧シリンダ)26を伸縮作動させることにより、刈取支持フレーム30(刈取前処理装置4)は昇降される。
【0018】
実施形態では、操向ハンドル11に設けた刈取部昇降スイッチ18を操作することにより、刈取部昇降シリンダ26が伸縮駆動されて、刈取前処理装置4が任意の高さに昇降される。その結果、刈り高さを調節することができるようになっている。
【0019】
4条刈りの刈取前処理装置4は、バリカン式の刈刃装置34、4条分の穀稈引起装置16、穀稈搬送機構17及び分草体31を備えている。刈刃装置34は、刈取前処理装置3の骨組を構成する刈取フレーム30の下方に配置されている。穀稈引起装置16は刈取フレーム30の上方に配置されている。穀稈搬送機構17は穀稈引起装置16とフィードチェン13の送り始端部との間に配置されている。分草体31は穀稈引起装置16の下部前方に突設されている。走行機体2は、エンジン10にて左右両走行クローラ3を駆動させて圃場内を移動しながら、刈取前処理装置4の駆動にて圃場の未刈穀稈を連続的に刈り取る。
【0020】
穀稈引起装置16は、図4及び図6に示すように、前記分草体31を介して取り込んだ穀稈を起立させる引起タイン19を有する4条分の縦長の引起ケース20と、当該各引起ケース20の後方下部位置に対向させて配置したスターホイル21及び掻込ベルト22とを備えている。
【0021】
スターホイル21及び掻き込みベルト22は、これらの組に対応する引起ケース20の引起タインにて起こされた未刈穀稈の株元側を後方に掻き込むためのものである。スターホイル21及び掻き込みベルト22にて掻き込まれた未刈穀稈の株元側が刈刃装置34にて切断される(刈り取られる)。
【0022】
穀稈引起装置16とフィードチェン13の送り始端部との間に配置された穀稈搬送機構17は、右下部搬送機構23、左下部搬送機構24、上部前搬送機構25、右上部搬送機構27a、左上部搬送機構27b、縦搬送機構27c等を備えている。
【0023】
右下部搬送機構23は、右2条分の刈取穀稈を左斜め後方に搬送するチェン方式のものである。左下部搬送機構24は、左2条分の刈取穀稈を右斜め後方に搬送してその株元側を右下部搬送機構23の送り終端部近傍に合流させるチェン方式のものである。右上部搬送機構27aと左上部搬送機構27bとで、4条分の刈取穀稈の穂先部を寄せ集めながら左斜め後方に搬送するタイン方式のものである。
【0024】
縦搬送機構27cは、右下部搬送機構23の送り終端部近傍にて合流した4条分の刈取穀稈の株元側をフィードチェン13に向けて後ろ斜め上方に搬送するチェン方式のものである。
【0025】
縦搬送機構27cは、縦搬送アクチュエータ(図示せず)の駆動にて、送り終端側がフィードチェン13の始端側に遠近動するように昇降回動可能に構成されており、扱胴(図示せず)に対する刈取穀稈の扱ぎ深さ位置が調節される。
【0026】
図1〜図4に示されるように、4条刈りの刈取前処理装置4における刈取支持フレーム30の前端部に刈取駆動ケース30bが連結されている。刈取駆動ケース30bから前方に向けて分草フレーム30aを延長する。分草フレーム30aの前端側に分草体31が設けられている。また、分草体31の後方位置に引起ケース20が設けられる。刈取駆動ケース30bに引起入力ケース32aを立設し、引起入力ケース32aの上端側に引起駆動ケース32bを配置し、引起駆動ケース32bに引起ケース20の上端側(引起し終端側)が連結されている。分草フレーム30aに引起支持フレーム32cを立設し、引起支持フレーム32cに引起ケース20の下端側(引起し始端側)が連結されている。
【0027】
左右に配置された4つの引起ケース20のうち、最も右側と左側に配置された引起ケース20における走行機体2の外側端に配置される左右のサイドカバー35L,35Rは、側面視において、上側の走行機体前後方向寸法が短く、下方ほど走行機体の前後方向に長い台形状に形成されている(図1参照)。図4に示されるように、分草フレーム30aと引起支持フレーム32cとにカバー下部支持フレーム37の両端側を連結する。サイドカバー35L,35Rの下端側の内面に固定フック38が固着されている。カバー下部支持フレーム37の中間部に固定フック38を係脱可能に係止する。また、サイドカバー35L,35Rの上端側及び上下中途部に可動フック45を配置する。その各可動フック45にはサイドカバー35L,35Rの外面から操作するフックレバー46が連結されている。引起駆動ケース32bや引起ケース20の側面にブラケットを介して支持フレームが連結されており、各支持フレームに可動フック45をそれぞれ係脱可能に係止する。可動フック45は、図示しないバネの弾圧によって、支持フレームに係止維持されている。
【0028】
合成樹脂製または薄い金属板製のサイドカバー35L,35Rの外面からフックレバー46を解除操作することにより、各可動フック45が支持フレームから離脱して、各サイドカバー35L,35Rを取り外すことができる。
【0029】
図1乃至図5に示されるように、左右のサイドカバー35L,35Rの上下方向の中途部には、一対の左右対称構造の左右のライト36L,36Rがそれぞれ配置されている。左右のライト36L,36Rは、それぞれ前照灯28と第1作業灯40とが、一つのライトハウジング39L,39R内に収納されて構成されている。なお、図3に示したように、前照灯28は機体前方の照明範囲L1を照射し、第1作業灯40は、機体外側方の照明範囲L2を照射する。
【0030】
図4及び図5に示されるように、ライトハウジング39L,39Rの前面に、前照灯28用の前方照射開が形成されて、該前方照射開口内に前照灯28が配置されている。前方照射開口には、透光性を有する前方照射カバー41が被装されている。ライトハウジング39R,39Lの側部には、略台形状の第1作業灯40用の側方照射開口が形成されており、該側方照射開口に、リフレクタ及び照射カバーを備えた第1作業灯40が配置されている。
【0031】
さらに、左右のサイドカバー35L,35Rの少なくとも何れか一方の側面には、それぞれ第2作業灯としての側方作業灯42が、刈取前処理装置4より外方向と、刈取前処理装置4の内方向とに照射方向を変更可能に装着されている。第1実施形態では、両サイドカバー35L,35Rに側方作業灯42が設けられている。両側方作業灯42及び側方作業灯42の照射方向を変更するための変更操作機構は左右対称形状であるので、左サイドカバー35Lにおける側方作業灯42について詳細な説明をし、他方の側方作業灯42については、図示及び説明は省略する。
【0032】
側方作業灯42は光源43としての電球またはLED(発光ダイオード)と、リフレクタ(反射鏡)44と、リフレクタ44の開口部を覆うための透光性を有する照射カバー(図示せず)とを備えている。
【0033】
側方作業灯42の照射方向を変更するための変更操作機構の第1実施形態は、オペレータが手動で行う機械的機構であり、図7(a)及び図7(b)に示すように、リフレクタ44の上下部に縦回動中心線Yを中心とする上パイプ47aと下パイプ47bとが突設されている。上パイプ47aは、左サイドカバー35Lの厚さ内に固定された上ブラケット48aに回動自在に枢支されている。光源43のソケット43aに接続された配線コード49がリフレクタ44の外面に沿って配線され、配線コード49の中途部が上ブラケット48aの下面側にて上パイプ47a内を挿通し、配線コード49の他端は図示しない電源と接続されている。左サイドカバー35Lの厚さ内に固定された下ブラケット48bの水平部を下から貫通する回動可能な縦軸50が下パイプ47bの縦孔に嵌まり、ネジ51にて固着されている。
【0034】
縦軸50の下端に固定された第1リンクアーム52には長いガイド孔53が穿設されている。第2リンクアーム54の基端は下ブラケット48bの水平部から下向きに突設された枢支軸55に対して水平回動可能に設けられている。第2リンクアーム54の先端は左サイドカバー35Lの表面板35Laに穿設されたガイド溝孔56を通して外に突出しており、第2リンクアーム54の先端に把手部57が装着されている。第2リンクアーム54の中途部から突出するピン58は第1リンクアーム52のガイド孔53に摺動可能に嵌まっている。
【0035】
上述のように、側方作業灯42の平面視(図7(b)参照)において、第2リンクアーム54の基端(回動中心である枢支軸55)よりも、第1リンクアーム52の回動中心(縦軸50)が第2リンクアーム54の先端部(自由端部)に近い位置に配置され、且つ第1リンクアーム52の長手中途部のピン58を第1リンクアーム52のガイド孔53に沿わせて移動可能に構成したリンク機構によれば、第2リンクアーム54の所定の回動角度に対してそれよりも大きい回動角度で第1リンクアーム52を回動させることができる。図示実施形態では、第2リンクアーム54を90度回動させることにより、第1リンクアーム52ひいては側方作業灯42(リフレクタ44)の向きを180度回動させることができるものである。
【0036】
即ち、図7(a)及び図7(b)に示すように、サイドカバー35Lの表面板35Laから外側に側方作業灯42の照射方向を向けている状態(実線状態)から、第2リンクアーム54を図7(b)において、時計回りに略90度回動させると、側方作業灯42の照射方向がサイドカバー35Lの内側に向かうように(二点鎖線状態)、側方作業灯42(リフレクタ44)の向きを方向変換することができる。その結果、図6に示すように、左右のサイドカバー35L,35R及び前側の複数の引起ケース20等で囲まれた刈取前処理装置4の内側を、左右両側方作業灯42もしくは、左右いずれか一方の側方作業灯42にて照らすことができる。
【0037】
また、左右のサイドカバー35L,35Rの上端間、即ち穀稈引起体32の上端側に上部フレーム33が横架されている。上部フレーム33の上方の刈取上面カバー59の下面側には、上部作業灯60が配設されている。この上部作業灯60は、刈取上面カバー59の下面に取り付けられた図示しない左右一対のブラケットに対して上下回動可能に装着されている。そして、上部作業灯60の一側面から刈取上面カバー59の側部を介して運転部15の側方に接近するように延びる回動軸61の先端には、操作レバー62が取り付けられている。運転席12に座るオペレータが操作レバー62を後方向に回動する(図4の実線状態)と、上部作業灯60の照射方向は上部フレーム33の上方を介して刈取前処理装置4より前側の圃場を向く。他方、操作レバー62を前方向に回動すれば、上部作業灯60の照射方向は前方斜め下向きとなり、上部フレーム33より下方の刈取前処理装置4の内側を照らすことができる。第2リンクアーム54及び操作レバー62は、請求項における手動レバーに相当する。
【0038】
その場合、図8に示すように、操作レバー62に沿って配置されたバネ板式のロックレバー63の先端ロック部を刈取上面カバー59の側部固定されたフランジ64の複数の係合溝のうち任意の個所に係合させることにより、上部作業灯60の照射方向を適宜下向き角度の姿勢にて姿勢保持させることもできる。
【0039】
左右の側方作業灯42(左右ランプ)及び上部作業灯60(上部ランプ)の照射方向を変更調節する手段の第2実施形態として、図9に示すように、各側方作業灯42の回動軸にステップモータなどの駆動モータ65a,65bを、また、上部作業灯60の回動軸にステップモータなどの駆動モータ66をそれぞれ装着する。そして、操向ハンドル11の左側方位置のサイドコラムの上面などに配置されたダイヤル式のスイッチ67a,67b,67cをコントローラ68に接続する。コントローラ68の出力部には、駆動回路69a,69b,69cを接続し、これらを駆動モータ65a,65b,66に接続する。オペレータがダイヤル式スイッチ67a,67b,67cを操作することで、各側方作業灯42及び上部作業灯60の照射方向を微小変更調節すること及びその姿勢保持が、簡単にできる。なお、左右の側方作業灯42についてのみ駆動モータ65a,65bにより回動させるようにしても良い。第1作業灯40を備えて、側方作業灯42を省略(廃止)し、上部作業灯60のみを駆動モータ66もしくは上記機械的構成により照射方向を変更調節するようにしても良い。これらの場合、アクチュエータとしての駆動モータ65a,65b,66に代えて、電磁ソレノイドなどの他のアクチュエータを用いても良い。
【0040】
上記の各構成によれば、早朝、夕暮れ時、夜間の作業時において、刈取前処理装置4の内部が暗い状態の時、上記左右いずれか一方もしくは両方の側方作業灯42の向きを刈取前処理装置4の内部側となるように変更したり、上部作業灯60の照射方向を適宜下向きにセットして、刈取前処理装置4の内部を上方から照らすことで、オペレータは刈取前処理装置4の内部における刈取穀稈の搬送姿勢や穀稈詰まりなどの状況を迅速且つ正確に認識することができる。刈取上面カバー59が透明(透光性)であることにより、オペレータはこの刈取上面カバー59を通してその下方の状況を確認できる。
【0041】
本発明では、刈取上面カバー59は必須の構成ではなく、刈取上面カバー59が存在しない実施形態では、上部作業灯60は、刈取前処理装置4の上部側の支持フレーム(図示せず)に取り付けても良い。
【0042】
本発明において、左右のライト36L,36R内に第1作業灯40を設けない場合、運転席12から遠い側(未刈り側、走行機体の左側)の刈取前処理装置4の外側方を、前記左側の側方作業灯42にて照明することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係るコンバインの側面図である。
【図2】同じく正面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】刈取前処理装置の左側面図である。
【図5】左サイドカバーに取り付けられたライト及び側方作業灯を示す斜視図である。
【図6】刈取前処理装置内部の照明範囲を示す平面図説明図である。
【図7】(a)は側方作業灯及びその照射方向変更調節手段の側断面図、(b)は図7(a)のVIIb−VIIb矢視図である。
【図8】上部作業灯の照射方向を変更調節する他の実施形態を示す側面図である。
【図9】側方作業灯及び上部作業灯の照射方向を変更調節する自動制御し機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
2 走行機体
4 刈取前処理装置
12 運転席
15 運転部
28 前照灯
35R 右サイドカバー
35L 左サイドカバー
39R 右ライトハウジング
39L 左ライトハウジング
40 第1作業灯
42 第2作業灯としての側方作業灯
44 リフレクタ
50 縦軸
52 第1リンクアーム
53 ガイド孔
54 手動レバーとしての第2リンクアーム
55 枢支軸
58 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取前処理装置及び脱穀装置を搭載した走行機体と、運転座席を有する運転部と、前記走行機体の前方を照らす前照灯が前記刈取前処理装置に備えられてなるコンバインであって、
前記刈取前処理装置の左右側面を覆うための左右のサイドカバーの少なくともいずれか一方には、側方作業灯を、前記刈取前処理装置より外方向と前記刈取前処理装置の内方向とに照射方向を変更可能に装着したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
刈取前処理装置及び脱穀装置を搭載した走行機体と、運転座席を有する運転部と、前記走行機体の前方を照らす前照灯と、前記刈取前処理装置の周辺を照らす作業灯とを前記刈取前処理装置に備えてなるコンバインであって、
前記刈取前処理装置の上側に透明な刈取上面カバーが設けられ、該刈取上面カバーの下面側には、上部作業灯を、前記刈取前処理装置より外方向と前記刈取前処理装置の内方向とに照射方向を上下変更可能に装着したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
前記側方作業灯及び/または前記上部作業灯は、手動レバーを有する機械機構により、方向変換可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記側方作業灯及び/または前記上部作業灯は、アクチュエータにより、方向変換可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−11257(P2009−11257A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177901(P2007−177901)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】