コンバイン
【課題】脱穀部の後端部下方に配置した燃料タンクの燃料供給用パイプが排塵ファンからの排塵作用を阻害しないものとして、円滑な排塵を行なえるものとする。
【解決手段】脱穀部(3)の扱室(8)の後方に形成した排塵選別室(19)の一側に片側吸引方式の吸引排塵ファン(22)を設け、脱穀部(3)の後端下部に燃料タンク(24)を配置し、該燃料タンク(24)の燃料供給用パイプ(25)を、前記吸引排塵ファン(22)からの排塵物を機体後方中央側に向けて案内する排塵ガイド板(23)の外側を迂回させ、途中部から屈曲させて起立姿勢に設ける。また、燃料タンク(24)の燃料取出口部(26)の近傍で脱穀部(3)の後端の部位から、燃料タンク(24)の後部上面を覆うカバー体(28)を設ける。
【解決手段】脱穀部(3)の扱室(8)の後方に形成した排塵選別室(19)の一側に片側吸引方式の吸引排塵ファン(22)を設け、脱穀部(3)の後端下部に燃料タンク(24)を配置し、該燃料タンク(24)の燃料供給用パイプ(25)を、前記吸引排塵ファン(22)からの排塵物を機体後方中央側に向けて案内する排塵ガイド板(23)の外側を迂回させ、途中部から屈曲させて起立姿勢に設ける。また、燃料タンク(24)の燃料取出口部(26)の近傍で脱穀部(3)の後端の部位から、燃料タンク(24)の後部上面を覆うカバー体(28)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場の立毛穀稈を刈り取りながら脱穀処理するコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、脱穀部における後端部の排塵口の下方適所に燃料タンクを配置し、排塵口に臨む揺動選別装置の後端から垂下したカバーシートで燃料タンクを覆うようにしたコンバインが開示されている。
【特許文献1】特開平11−168944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、排塵選別室の一側に片側吸引方式の排塵ファンを備えた脱穀部構成のものでは、脱穀部の後端部下方適所に配置した燃料タンクの燃料供給用パイプが排塵ファンからの排塵作用を阻害し、円滑な排塵作用が期待できない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、クローラ(2,2)を備えた走行車体(1)の後部に脱穀部(3)を設け、該脱穀部(3)の前方に刈取部(4)を設け、該刈取部(4)の横側に運転操作部を設け、該運転操作部の後方にグレンタンク(G)を設け、前記脱穀部(3)の扱室(8)の後方に形成した排塵選別室(19)の一側に片側吸引方式の吸引排塵ファン(22)を設け、脱穀部(3)の後端下部に燃料タンク(24)を配置し、該燃料タンク(24)の燃料供給用パイプ(25)を、前記吸引排塵ファン(22)からの排塵物を機体後方中央側に向けて案内する排塵ガイド板(23)の外側を迂回させ、途中部から屈曲させて起立姿勢に設けたことを特徴とするコンバインとする。
【0005】
燃料供給用パイプ25が排塵ファン22からの排塵物の排出を妨げにくくなる。排塵物が燃料供給用パイプ25に絡み付いたり、排塵ガイド板23上での流れが停滞して詰まったりすることがなく、円滑に排塵処理することができる。また、燃料の給油角度を大きくとることができるので給油口からの給油作業が良好に行える。
【0006】
請求項2記載の本発明は、前記燃料タンク(24)の燃料取出口部(26)の近傍で脱穀部(3)の後端の部位から、燃料タンク(24)の後部上面を覆うカバー体(28)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
【0007】
燃料タンク24の燃料取出口部26の近傍にカバー体28を設けて、このカバー体28を着脱可能にすることで、燃料取出口部26の配管部のメンテナンスがグレンタンクGを移動させることなく簡単に行え、グレンタンクGに籾が入っている状態のトラブル時でも後方からメンテナンスが容易に行える。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、燃料供給用パイプ25が排塵ガイド板23の外側を迂回させ、途中部から屈曲させて起立姿勢に設けているので、排塵ファン22からの排塵物の排出を妨げにくい。排塵物は燃料供給用パイプ25に絡み付いたり、排塵ガイド板23上での流れが停滞して詰まったりすることが少なく、排塵処理作用を円滑に行うことができる。また、燃料の給油角度を大きくとることができるので、燃料供給用パイプ25の給油口からの給油作業が良好に行える。
【0009】
また、請求項2の本発明によれば、請求項1の発明の効果を奏するうえに、燃料タンク24の燃料取出口部26の近傍で脱穀部3の後端の部位からカバー体28を設けたので、このカバー体28の着脱によって燃料取出口部26における配管部のメンテナンスがグレンタンクGを移動させることなく簡単に行え、グレンタンクGに籾が入っている状態のトラブル時でも後方からメンテナンスが容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀部(脱穀装置)3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5や操作ボックス6等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。また、脱穀部3の後部には脱穀後の排ワラを切断処理する排ワラカッターCを装備している。
【0011】
脱穀部3は、脱穀フィードチチェン7により株元を挟持しながら搬送される穀稈の穂先部を扱室8内で駆動回転する扱胴9により脱穀処理するよう構成している。扱胴9の上部を覆う扱胴カバー10は、扱室の一側を支点として揺動開閉する構成である。
【0012】
扱室8の終端側には多量のワラ屑や未処理物を含む排塵処理物を下方に落下させる排塵口11が設けられている。
前記扱室8のフィドチェン7側とは反対側一側には2番処理胴13を内装軸架した2番処理室14を並設している。また、前記2番処理胴の後方にはこれと同一軸芯上において排塵処理胴15を内装軸架した排塵処理室16を構成して設けている。前記扱室終端の排塵口11に対応する部位から排塵処理室16始端への送塵路12には排塵処理胴の始端部に固着されたスパイラー形状の取込羽根17が介入するように設けて、排塵処理室16内への排塵物の取り込みが容易に行えるようにしている。排塵処理胴15の終端には排出羽根18が設けられ、処理室終端にまで送られてきた排塵物を前記排出羽根18によって処理室終端のワラ屑排出口から揺動選別装置20の選別棚終端及び処理室後方の機外に排出する構成としている。
【0013】
扱室8後方の排塵選別室19には、排塵処理胴15側とは反対側一側で、排塵処理室16の終端側対向部に位置して片側吸引方式の吸塵口21をもつ吸引排塵ファン22を設置している。
【0014】
排塵ファン22の後方下方には、該排塵ファンからの排塵物を機体のフィードチェン7側一側から中央側に向けて排塵案内する排塵ガイド板23を付設している。
脱穀部の後端部で揺動選別装置20の終端部より下方に位置する状態で燃料タンク24を設置している。燃料タンク24の左側には燃料供給用パイプ25が連設され,右側には燃料取出口部26が配管装備されている。給油口25aがキャップ25bによって閉塞される燃料供給用パイプ25は、前記排塵ガイド板23の外側を迂回し途中部から屈曲させて上向き起立状態となるよう構成している。
【0015】
燃料タンク24の左側壁は、背面視で排ワラカッターCの切りワラスカート案内部33の左案内板33Lより外方に突出しないようにし、燃料タンクの右端部は選別室右側板32より右外側方に突出させた構成としている。燃料タンクの燃料取出口部26は、選別室幅よりも外方で選別室右側板32より右外側方位置となるよう配置している。これによれば、揺動棚を後方に引き出す際、配管や取出口部に引掛ったりして破損や作業性に支障をきたさない。なお,燃料取出口部26は、一端側を燃料タンク内に挿入し他端側をエンジン側に連通する燃料ホース26aや途中部に設けられた燃料フィルタ26b等が具備される。
【0016】
そして、この燃料タンク24の燃料取出口部26近傍には、脱穀部の後側板27から燃料タンクの後部上面を覆うように後方下方に向けて傾斜するカバー体28を設けている。このカバー体28は、排塵処理室16の後方対応部に設けられ、排塵処理室16の終端から排出される排塵処理物を受け入れて流下案内しながら燃料タンク24の後方に導き、吸引排塵ファン22からの排風に合流させるようにしている。また、カバー体28は背面視で選別室幅内にL間隔だけ入り込ませた構成としてある。これにより、揺動選別装置20の枠体29の後端面から垂下して燃料タンク24を覆うように設けたカバーシール30を上から重ねることによって該カバーシールを燃料タンクから上方に浮かせることができ、カバーシールとカバー体との重なり代も大きくなり、燃料タンク部の防塵性が高まる。
【0017】
燃料タンク24の左端部は、背面視で横向きのV字形状24vとしてゴミ溜まりを防ぐようにしている。燃料タンクの底面と切りワラスカート案内部33の下端との対地高さは略同一している。燃料供給用パイプ25の給油口25aは、背面視で上下方向において、フィードチェンカバー34とベルトカバー35との接続部近傍に位置し、且つ左右方向においてはチェンカバーとベルトカバーとの中間部に位置させることによって燃料の供給が容易にできる構成としている。
【0018】
また、前記燃料タンクの底面は、走行フレームの左フレーム部材36よりも外方(未刈地側)に突出しないようにすることで、畦畔等に激突しても燃料タンクの破損を防ぐようにしている。
【0019】
次にコンバインの操作ボックス上に設けられたパワステレバー(パワーステアリングレバー)の操作構造について説明する。図9、図10に示すように,操作ボックス6上に設けられたパワステレバー40は、前後方向の操作で左右横軸芯X回りに揺動変位し、左右方向の操作で前後軸芯Y回りに揺動変位する。
【0020】
パワステレバー40の前後方向の操作で刈取部を上下に昇降制御し、左右方向の操作で機体の進行方向を左右に操向制御する。パワステレバー40の下方部には、ブレーキ力をアップするリリーフバルブ41を配置し、パワステレバーを左右に操作すると、操作アーム42及び操作ロッド43を介してリリーフバルブ41のスプール軸41aが操作されるようになっている。
【0021】
リリーフバルブは操作アームと操作ロッドを介しての操作構造になっているため、リリーフバルブを前後左右の回動支点から離れた位置に配置することが容易になり作動を確実にする。また、左右それぞれの操作ロッド43,43は、リリーフバルブ41の中心方向に向かって傾斜状(正面視V字型)に配置すると共に、リリーフバルブのスプール軸付近を押圧するように構成することで、スプール軸の作動方向に近い方向で力をかけられるため、スプール軸の動きがスムースになり、操作フィーリングを向上させることができる。更に、前記操作ロッドは、左右それぞれボルト44の頭44aで押すようにしてあり、左右の操作ロッド43,43とボルト44の頭44aとのクリアランスは、それぞれ独立して調整できるように構成している。左右独立してリリーフバルブの押し量を調整できるため、左右の操向変位量が異なる場合にバランス良く調整することが容易となる。
【0022】
また、前記パワステレバー40は、グリップ部40aとレバー杆40bとからなり、レバー杆40bの途中部を操作ボックス6の上方から後方へ側面視でクランク状に屈曲形成し、該レバー杆の屈曲部40cがこれを手前側(後方)に一杯引き操作しても操作ボックス6の後面より後方に突出しないようにしてオペレータとの接触を防ぐようにしている。
【0023】
パワステレバー40の前後方向の回動支点である横軸芯Xは、左右方向の回動支点である前後軸芯Yよりも上方に位置し、操作ボックス6の上面近傍に配置している。パワステレバー40のレバー杆40bと横軸芯Xのボス部45をつなぐプレート46をL字状に形成することで(特に図11参照)、レバーの強度を保持しつつ小型化でき、ボス部とレバー杆の終端に所定のクリアランスを確保し易く、グリップ部に付随する電線等が通し易くなる。
【0024】
また、レバーの前後軸芯Yと操作ロッド43のガイドプレート47及びリリーフバルブ41のステー48を一つのブラケット49内で兼用する構成とすることで、部品点数の削減、構成の小型化及び組付けの容易化を図るようにしている。 なお、左右方向の中立復帰スプリング50はプレートを挟んでリリーフバルブ41と反対側に配置することでパワステレバーの構成を小型化している
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの背面図
【図3】脱穀部の要部の平面図
【図4】同上要部の平面図
【図5】コンバインの要部の背面図
【図6】同上要部の背面図
【図7】コンバイン要部の側断面図
【図8】同上要部の拡大側面図
【図9】パワステレバーの操作構造を示す正面図
【図10】同上要部の側面図
【図11】同上一部の斜視図
【符号の説明】
【0026】
1 走行車体
2 走行クローラ(クローラ)
3 脱穀部
4 刈取部
8 扱室
19 排塵選別室
22 吸引排塵ファン
23 排塵ガイド板
24 燃料タンク
25 燃料供給用パイプ
26 燃料取出口部
28 カバー体
G グレンタンク
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場の立毛穀稈を刈り取りながら脱穀処理するコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、脱穀部における後端部の排塵口の下方適所に燃料タンクを配置し、排塵口に臨む揺動選別装置の後端から垂下したカバーシートで燃料タンクを覆うようにしたコンバインが開示されている。
【特許文献1】特開平11−168944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、排塵選別室の一側に片側吸引方式の排塵ファンを備えた脱穀部構成のものでは、脱穀部の後端部下方適所に配置した燃料タンクの燃料供給用パイプが排塵ファンからの排塵作用を阻害し、円滑な排塵作用が期待できない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、クローラ(2,2)を備えた走行車体(1)の後部に脱穀部(3)を設け、該脱穀部(3)の前方に刈取部(4)を設け、該刈取部(4)の横側に運転操作部を設け、該運転操作部の後方にグレンタンク(G)を設け、前記脱穀部(3)の扱室(8)の後方に形成した排塵選別室(19)の一側に片側吸引方式の吸引排塵ファン(22)を設け、脱穀部(3)の後端下部に燃料タンク(24)を配置し、該燃料タンク(24)の燃料供給用パイプ(25)を、前記吸引排塵ファン(22)からの排塵物を機体後方中央側に向けて案内する排塵ガイド板(23)の外側を迂回させ、途中部から屈曲させて起立姿勢に設けたことを特徴とするコンバインとする。
【0005】
燃料供給用パイプ25が排塵ファン22からの排塵物の排出を妨げにくくなる。排塵物が燃料供給用パイプ25に絡み付いたり、排塵ガイド板23上での流れが停滞して詰まったりすることがなく、円滑に排塵処理することができる。また、燃料の給油角度を大きくとることができるので給油口からの給油作業が良好に行える。
【0006】
請求項2記載の本発明は、前記燃料タンク(24)の燃料取出口部(26)の近傍で脱穀部(3)の後端の部位から、燃料タンク(24)の後部上面を覆うカバー体(28)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
【0007】
燃料タンク24の燃料取出口部26の近傍にカバー体28を設けて、このカバー体28を着脱可能にすることで、燃料取出口部26の配管部のメンテナンスがグレンタンクGを移動させることなく簡単に行え、グレンタンクGに籾が入っている状態のトラブル時でも後方からメンテナンスが容易に行える。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、燃料供給用パイプ25が排塵ガイド板23の外側を迂回させ、途中部から屈曲させて起立姿勢に設けているので、排塵ファン22からの排塵物の排出を妨げにくい。排塵物は燃料供給用パイプ25に絡み付いたり、排塵ガイド板23上での流れが停滞して詰まったりすることが少なく、排塵処理作用を円滑に行うことができる。また、燃料の給油角度を大きくとることができるので、燃料供給用パイプ25の給油口からの給油作業が良好に行える。
【0009】
また、請求項2の本発明によれば、請求項1の発明の効果を奏するうえに、燃料タンク24の燃料取出口部26の近傍で脱穀部3の後端の部位からカバー体28を設けたので、このカバー体28の着脱によって燃料取出口部26における配管部のメンテナンスがグレンタンクGを移動させることなく簡単に行え、グレンタンクGに籾が入っている状態のトラブル時でも後方からメンテナンスが容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀部(脱穀装置)3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5や操作ボックス6等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。また、脱穀部3の後部には脱穀後の排ワラを切断処理する排ワラカッターCを装備している。
【0011】
脱穀部3は、脱穀フィードチチェン7により株元を挟持しながら搬送される穀稈の穂先部を扱室8内で駆動回転する扱胴9により脱穀処理するよう構成している。扱胴9の上部を覆う扱胴カバー10は、扱室の一側を支点として揺動開閉する構成である。
【0012】
扱室8の終端側には多量のワラ屑や未処理物を含む排塵処理物を下方に落下させる排塵口11が設けられている。
前記扱室8のフィドチェン7側とは反対側一側には2番処理胴13を内装軸架した2番処理室14を並設している。また、前記2番処理胴の後方にはこれと同一軸芯上において排塵処理胴15を内装軸架した排塵処理室16を構成して設けている。前記扱室終端の排塵口11に対応する部位から排塵処理室16始端への送塵路12には排塵処理胴の始端部に固着されたスパイラー形状の取込羽根17が介入するように設けて、排塵処理室16内への排塵物の取り込みが容易に行えるようにしている。排塵処理胴15の終端には排出羽根18が設けられ、処理室終端にまで送られてきた排塵物を前記排出羽根18によって処理室終端のワラ屑排出口から揺動選別装置20の選別棚終端及び処理室後方の機外に排出する構成としている。
【0013】
扱室8後方の排塵選別室19には、排塵処理胴15側とは反対側一側で、排塵処理室16の終端側対向部に位置して片側吸引方式の吸塵口21をもつ吸引排塵ファン22を設置している。
【0014】
排塵ファン22の後方下方には、該排塵ファンからの排塵物を機体のフィードチェン7側一側から中央側に向けて排塵案内する排塵ガイド板23を付設している。
脱穀部の後端部で揺動選別装置20の終端部より下方に位置する状態で燃料タンク24を設置している。燃料タンク24の左側には燃料供給用パイプ25が連設され,右側には燃料取出口部26が配管装備されている。給油口25aがキャップ25bによって閉塞される燃料供給用パイプ25は、前記排塵ガイド板23の外側を迂回し途中部から屈曲させて上向き起立状態となるよう構成している。
【0015】
燃料タンク24の左側壁は、背面視で排ワラカッターCの切りワラスカート案内部33の左案内板33Lより外方に突出しないようにし、燃料タンクの右端部は選別室右側板32より右外側方に突出させた構成としている。燃料タンクの燃料取出口部26は、選別室幅よりも外方で選別室右側板32より右外側方位置となるよう配置している。これによれば、揺動棚を後方に引き出す際、配管や取出口部に引掛ったりして破損や作業性に支障をきたさない。なお,燃料取出口部26は、一端側を燃料タンク内に挿入し他端側をエンジン側に連通する燃料ホース26aや途中部に設けられた燃料フィルタ26b等が具備される。
【0016】
そして、この燃料タンク24の燃料取出口部26近傍には、脱穀部の後側板27から燃料タンクの後部上面を覆うように後方下方に向けて傾斜するカバー体28を設けている。このカバー体28は、排塵処理室16の後方対応部に設けられ、排塵処理室16の終端から排出される排塵処理物を受け入れて流下案内しながら燃料タンク24の後方に導き、吸引排塵ファン22からの排風に合流させるようにしている。また、カバー体28は背面視で選別室幅内にL間隔だけ入り込ませた構成としてある。これにより、揺動選別装置20の枠体29の後端面から垂下して燃料タンク24を覆うように設けたカバーシール30を上から重ねることによって該カバーシールを燃料タンクから上方に浮かせることができ、カバーシールとカバー体との重なり代も大きくなり、燃料タンク部の防塵性が高まる。
【0017】
燃料タンク24の左端部は、背面視で横向きのV字形状24vとしてゴミ溜まりを防ぐようにしている。燃料タンクの底面と切りワラスカート案内部33の下端との対地高さは略同一している。燃料供給用パイプ25の給油口25aは、背面視で上下方向において、フィードチェンカバー34とベルトカバー35との接続部近傍に位置し、且つ左右方向においてはチェンカバーとベルトカバーとの中間部に位置させることによって燃料の供給が容易にできる構成としている。
【0018】
また、前記燃料タンクの底面は、走行フレームの左フレーム部材36よりも外方(未刈地側)に突出しないようにすることで、畦畔等に激突しても燃料タンクの破損を防ぐようにしている。
【0019】
次にコンバインの操作ボックス上に設けられたパワステレバー(パワーステアリングレバー)の操作構造について説明する。図9、図10に示すように,操作ボックス6上に設けられたパワステレバー40は、前後方向の操作で左右横軸芯X回りに揺動変位し、左右方向の操作で前後軸芯Y回りに揺動変位する。
【0020】
パワステレバー40の前後方向の操作で刈取部を上下に昇降制御し、左右方向の操作で機体の進行方向を左右に操向制御する。パワステレバー40の下方部には、ブレーキ力をアップするリリーフバルブ41を配置し、パワステレバーを左右に操作すると、操作アーム42及び操作ロッド43を介してリリーフバルブ41のスプール軸41aが操作されるようになっている。
【0021】
リリーフバルブは操作アームと操作ロッドを介しての操作構造になっているため、リリーフバルブを前後左右の回動支点から離れた位置に配置することが容易になり作動を確実にする。また、左右それぞれの操作ロッド43,43は、リリーフバルブ41の中心方向に向かって傾斜状(正面視V字型)に配置すると共に、リリーフバルブのスプール軸付近を押圧するように構成することで、スプール軸の作動方向に近い方向で力をかけられるため、スプール軸の動きがスムースになり、操作フィーリングを向上させることができる。更に、前記操作ロッドは、左右それぞれボルト44の頭44aで押すようにしてあり、左右の操作ロッド43,43とボルト44の頭44aとのクリアランスは、それぞれ独立して調整できるように構成している。左右独立してリリーフバルブの押し量を調整できるため、左右の操向変位量が異なる場合にバランス良く調整することが容易となる。
【0022】
また、前記パワステレバー40は、グリップ部40aとレバー杆40bとからなり、レバー杆40bの途中部を操作ボックス6の上方から後方へ側面視でクランク状に屈曲形成し、該レバー杆の屈曲部40cがこれを手前側(後方)に一杯引き操作しても操作ボックス6の後面より後方に突出しないようにしてオペレータとの接触を防ぐようにしている。
【0023】
パワステレバー40の前後方向の回動支点である横軸芯Xは、左右方向の回動支点である前後軸芯Yよりも上方に位置し、操作ボックス6の上面近傍に配置している。パワステレバー40のレバー杆40bと横軸芯Xのボス部45をつなぐプレート46をL字状に形成することで(特に図11参照)、レバーの強度を保持しつつ小型化でき、ボス部とレバー杆の終端に所定のクリアランスを確保し易く、グリップ部に付随する電線等が通し易くなる。
【0024】
また、レバーの前後軸芯Yと操作ロッド43のガイドプレート47及びリリーフバルブ41のステー48を一つのブラケット49内で兼用する構成とすることで、部品点数の削減、構成の小型化及び組付けの容易化を図るようにしている。 なお、左右方向の中立復帰スプリング50はプレートを挟んでリリーフバルブ41と反対側に配置することでパワステレバーの構成を小型化している
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの背面図
【図3】脱穀部の要部の平面図
【図4】同上要部の平面図
【図5】コンバインの要部の背面図
【図6】同上要部の背面図
【図7】コンバイン要部の側断面図
【図8】同上要部の拡大側面図
【図9】パワステレバーの操作構造を示す正面図
【図10】同上要部の側面図
【図11】同上一部の斜視図
【符号の説明】
【0026】
1 走行車体
2 走行クローラ(クローラ)
3 脱穀部
4 刈取部
8 扱室
19 排塵選別室
22 吸引排塵ファン
23 排塵ガイド板
24 燃料タンク
25 燃料供給用パイプ
26 燃料取出口部
28 カバー体
G グレンタンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラ(2,2)を備えた走行車体(1)の後部に脱穀部(3)を設け、該脱穀部(3)の前方に刈取部(4)を設け、該刈取部(4)の横側に運転操作部を設け、該運転操作部の後方にグレンタンク(G)を設け、前記脱穀部(3)の扱室(8)の後方に形成した排塵選別室(19)の一側に片側吸引方式の吸引排塵ファン(22)を設け、脱穀部(3)の後端下部に燃料タンク(24)を配置し、該燃料タンク(24)の燃料供給用パイプ(25)を、前記吸引排塵ファン(22)からの排塵物を機体後方中央側に向けて案内する排塵ガイド板(23)の外側を迂回させ、途中部から屈曲させて起立姿勢に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記燃料タンク(24)の燃料取出口部(26)の近傍で脱穀部(3)の後端の部位から、燃料タンク(24)の後部上面を覆うカバー体(28)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
クローラ(2,2)を備えた走行車体(1)の後部に脱穀部(3)を設け、該脱穀部(3)の前方に刈取部(4)を設け、該刈取部(4)の横側に運転操作部を設け、該運転操作部の後方にグレンタンク(G)を設け、前記脱穀部(3)の扱室(8)の後方に形成した排塵選別室(19)の一側に片側吸引方式の吸引排塵ファン(22)を設け、脱穀部(3)の後端下部に燃料タンク(24)を配置し、該燃料タンク(24)の燃料供給用パイプ(25)を、前記吸引排塵ファン(22)からの排塵物を機体後方中央側に向けて案内する排塵ガイド板(23)の外側を迂回させ、途中部から屈曲させて起立姿勢に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記燃料タンク(24)の燃料取出口部(26)の近傍で脱穀部(3)の後端の部位から、燃料タンク(24)の後部上面を覆うカバー体(28)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−33978(P2009−33978A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198350(P2007−198350)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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