コンバイン
【課題】エンジン8及びコンプレッサ13からなる原動部をコンパクトに構成すると共に、コンプレッサ13の入力軸に余分な荷重の掛かることを防止して耐久性を向上させる。
【解決手段】エンジン(8)のクランク軸(9)から出力される回転動力を、穀粒貯留タンク(7)の下部に設けた排出用移送螺旋(11)と、穀粒貯留タンク(7)の底部に傾斜状態に設けた穀粒流下案内板(12)の下側のコンプレッサ(13)とに分岐伝動するギヤケース(10)を設ける。第2に、コンプレッサ(13)をエンジン(8)の後部に形成した凹部(イ)に取り付け、該コンプレッサ(13)をエンジン(8)のクーリングファン軸(8a)から駆動する構成とする。
【解決手段】エンジン(8)のクランク軸(9)から出力される回転動力を、穀粒貯留タンク(7)の下部に設けた排出用移送螺旋(11)と、穀粒貯留タンク(7)の底部に傾斜状態に設けた穀粒流下案内板(12)の下側のコンプレッサ(13)とに分岐伝動するギヤケース(10)を設ける。第2に、コンプレッサ(13)をエンジン(8)の後部に形成した凹部(イ)に取り付け、該コンプレッサ(13)をエンジン(8)のクーリングファン軸(8a)から駆動する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されるように、コンバインのキャビン内の操縦席の下側にエアコン用のエアコンプレッサを設け、エンジンの駆動力を、該エンジンに連結されたギヤケースを介して、穀粒貯留タンクの横送り螺旋に伝達して、駆動するように設けている。
【0003】
前記穀粒貯留タンクの下方には、流下板を傾斜して設け、該エンジンの機体後方に該ギヤケースを設け、該ギヤケースの機体後方における該穀粒貯留タンクの流下板の下方には、該コンプレッサを配置している。
【0004】
前記コンプレッサの入力軸を、駆動伝動手段を介して、該伝動ギヤケースから突設した駆動軸に連結し、該駆動軸により、該コンプレッサを駆動可能に設けている。
【特許文献1】特許第3633786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、コンバインの走行車台の上側には、穀稈を脱穀装置で脱穀した脱穀済み穀粒を一時貯留する穀粒貯留タンクを載置すると共に、該穀粒貯留タンクの前方部側にエンジンを載置して設け、又、エアコン用のコンプレッサを設け、該エンジンの駆動力を、該エンジンに連結された伝動ギヤケースを介して、該穀粒貯留タンクの横送り螺旋に伝達して、駆動するように設けている。
【0006】
前記穀粒貯留タンクの下方には、流下板を傾斜させて設け、該エンジンの機体後方に該ギヤケースを設け、該ギヤケースの機体後方における該穀粒貯留タンクの流下板の下方には、該コンプレッサを設けている。
【0007】
前記コンプレッサの入力軸を、駆動伝動手段を介して、該伝動ケースから突設した駆動軸に連結し、該駆動軸により、該コンプレッサを駆動可能に設けているが、これら構成が複雑であると共に、コストアップである。これらの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、走行車台(4)の上側に穀粒貯留タンク(7)を設け、該穀粒貯留タンク(7)の前側にエンジン(8)を設け、該エンジン(8)のクランク軸(9)から出力される回転動力を、穀粒貯留タンク(7)の下部に設けた排出用移送螺旋(11)と、穀粒貯留タンク(7)の底部に傾斜状態に設けた穀粒流下案内板(12)の下側のコンプレッサ(13)とに分岐伝動するギヤケース(10)を設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記コンプレッサ(13)をエンジン(8)の後部に形成した凹部(イ)に取り付け、該コンプレッサ(13)をエンジン(8)のクーリングファン軸(8a)から駆動する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、穀粒貯留タンク7の底部に傾斜状態に設けた穀粒流下案内板12の下側の空間を利用してコンプレッサ13を設置するために、走行車台4上のスペースを有効利用することができる。又、例えば穀粒貯留タンク7を機体外側方へ開放自在に構成すれば、コンプレッサ13のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0011】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、エンジン8及びコンプレッサ13からなる原動部をコンパクトに構成でき、エンジン8にコンプレッサ13を取付けることによって該エンジン8の振動とコンプレッサ13の振動とが同様となり、コンプレッサ13の入力軸に余分な荷重の掛かることを防止して耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行装置2左右両側の走行クローラ3上側には、走行車台4を設け、該走行車台4の前方部には、立毛穀稈を刈取りする刈取装置5を設け、該刈取装置5から刈取り穀稈の供給を受け、この穀稈を脱穀する脱穀装置6と、脱穀済み穀粒の供給を受けて、一時貯留する穀粒貯留タンク7、及びエンジン8等を該走行車台4の上側部に載置している。該エンジン8のクランク軸9より、出力される回転動力がギヤケース10内へ入力され、該ギヤケース10を介して、該穀粒貯留タンク7の下部に軸支内装した排出用移送螺旋11と、該穀粒貯留タンク7内の下部に傾斜状態に設けた、穀粒流下案内板12の傾斜部(A)下側に設けたコンプレッサ13等とを、回転駆動すべく設けた構成であり、これら該コンプレッサ13と、穀粒貯留タンク7と、ギヤケース10等の関係位置を主に図示して説明する。
【0013】
前記コンバイン1の走行車台4の下側には、図3で示すように、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3を張設した走行装置2を配設し、走行車台4の上側面に脱穀装置6を載置している。走行車台4の前方部の刈取装置5で立毛穀稈を刈取りして、後方上部に移送し、該脱穀装置6のフィードチェン14と、挟持杆15とで引継いで挟持移送しながら脱穀する。脱穀済みで選別済み穀粒は、該脱穀装置6の右横側へ配設した穀粒貯留タンク7内へ供給され、一時貯留される。
【0014】
前記走行車台4の前方部には、図3で示すように、立毛穀稈を分離するナローガイド16、及び各分草体17と、立毛穀稈を引起す各引起装置18と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置19の各掻込装置20と、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置21と、刈取りされた穀稈を挟持移送して、脱穀装置6のフィードチェン14と、挟持杆15とへ受渡しする穀稈掻込移送装置19の根元・穂先移送装置22・23等からなる刈取装置5を設けている。該刈取装置5は、油圧駆動による伸縮シリンダ24により、土壌面に対して昇降する。
【0015】
前記刈取装置5の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆25aの上端部に設ける支持パイプ杆25bを、走行車台4の上側面に設けた支持装置25cで回動自在に支持させている。該伸縮シリンダ24を作動させると該支持杆25aと共に、該刈取装置5が上下回動する。
【0016】
前記刈取装置5の該穀稈掻込移送装置19によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送する穀稈に接触作用することにより、該脱穀装置6への穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ5aを設けている。
【0017】
前記穀粒貯留タンク7側の前部には、図3で示すように、コンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置26aと、操縦席26bとを設け、この操縦席26bの下側には、クランク軸9を有するエンジン8を、該穀粒貯留タンク7の前方部側に位置させて載置している。該エンジン8の該クランク軸9より出力される回転動力がギヤケース10内へ入力される構成である。
【0018】
前記走行車台4の上側には、図1〜図3で示すように、脱穀装置6で脱穀済み穀粒の供給を受けて貯留する穀粒貯留タンク7を載置すると共に、該穀粒貯留タンク7の前方部にエンジン8を載置し、該エンジン8のクランク軸9より、出力される回転動力がギヤケース10内へ入力され、該ギヤケース10を介して、該穀粒貯留タンク7の下部へ軸支内装した排出用移送螺旋11と、該穀粒貯留タンク7下部に傾斜状態に設けた、穀粒流下案内板12の傾斜部(A)下側に設けたコンプレッサ13等とを、回転駆動すべく設けた構成である。
【0019】
上述の記載により、前記走行車台4の上側には、脱穀済み穀粒を貯留する穀粒貯留タンク7を設け、この穀粒貯留タンク7の前方側にエンジン8を設け、該エンジン8のクランク軸9より、出力される回転動力がギヤケース10へ入力され、該ギヤケース10を介して、該穀粒貯留タンク7の下部に設けた排出用移送螺旋11と、該穀粒貯留タンク7内下部に設けた穀粒流下案内板12の傾斜部(A)下側に設けたコンプレッサ13等とを、回転駆動すべく設けたことにより、該コンプレッサ13の設置のあきスペースを有効利用することができる。
【0020】
前記コンプレッサ13は、図1〜図3で示すように、該エンジン8の後側の凹部(イ)に位置させて該エンジン8に取り付けると共に、回転動力の出力は、クーリングファン軸8aより、出力すべく設けた構成である。
【0021】
前記コンプレッサ13は、該エンジン8の後側の凹部(イ)に位置させて設け、回転動力の出力は、クーリングファン軸8aから、出力すべく設けたことにより、該コンプレッサ13の配置をコンパクトにレイアウトできる。又、配管長を短縮することができる。更に、該エンジン8にコンプレッサ13を取付けることにより、振動体が同一であり、該コンプレッサ13の軸に余分な荷重の掛かることを防止できる。
【0022】
前記走行車台4の前端部に装架した走行用の該ギヤケース10内の伝動機構10aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ10bを設けている。
【0023】
前記穀粒貯留タンク7内へ貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク7の後側には、図3で示すように、縦移送螺旋27bを内装した排出支持筒27aを略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒27aの上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋28bを伸縮自在に内装した排出オーガ28aを伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設している。
【0024】
図4、及び図5で示すように、操作室29は、左天井板30d、中前・中後天井板30a、30bと、前横・前縦天井板31a、31bとを設けると共に、これらを接続する前・後接続パイプ32a、32bとを設け、該後接続パイプ32bと、該中後天井板30cと、後側の該後接続パイプ32bに設けた支持板32cとには、コ字形状の受板33aを設け、この受板33aの下側には、窓枠板34を設けている。
【0025】
前記前横・前縦天井板31a、31bには、図4、及び図5で示すように、ワークテンプ用ステー34aと、ルーフ取付ステー34bとを設けて、前記前横・前縦天井板31a、31bの強度アップを図った構成である。34cはガラス接着部材であり、又、補強部材にもなる構成である。
【0026】
これにより、強度アップと、シール性の確保、及び軽量化を図ることができる。
前記操作室29を形成する窓の左側の上部には、図6〜図8で示すように、開閉方式で外周部に着脱自在な上防塵材35aを装着した上硝子窓35と、下部には、固定方式で外周部に接着剤で下防塵材36aを固着した下硝子窓36と、前部には、固定方式で外周部に接着剤で前防塵材37aを固着した前硝子窓37とを設けて、該操作室29を形成した構成である。又、取付けは、図8で示すように、上下方向で下部の取付部38をボルト、及びナット等により、装着する構成である。
【0027】
これにより、廉価でシール性、及び強度の確保ができる。又、美観の向上を図ることができる。更に、組付けが容易である。
前記操作室29の下側のラジエータ39の内側部には、図9、及び図10で示すように、シール部材39aを設けている。
【0028】
これにより、シール性の向上、及び組立工数の低減等を図っている。
前記操作室29には、図11で示すように、上開閉窓40aの下部と、下開閉窓40bの上部との一部を重合状態に設けると共に、両者を上下移動自在に設けた構成である。又、ロック装置40cを設けている。このロック装置40cが位置する箇所には、切欠部40dを設けた構成である。
【0029】
これにより、前記上開閉窓40aと、該下開閉窓40bとの両者を上下開閉自在に設けてことにより、作業性の向上を図ることができた。又、該切欠部40dを設けたことにより、開口を大きくすることができる。
【0030】
前記操作室29には、図12で示すように、この操作室29の後方下部に設けた、クラッチボックス41の上側面で、この操作室29の後方部から、前硝子窓37の後側部までの間に、断面形状が四角形状、又は丸形状の横フレーム41aを設け、該操作室29を補強した構成である。
【0031】
これにより、前記操作室29の補強が、干渉回避、構成簡略、視界性向上、作業性向上を図ったことができる。
前記操作室29に設けた上開閉窓40aの前後方向の略中央下部には、図13で示すように、コ字形状の保持具42をボルト42a等で装着して設けると共に、横フレーム41aには、固定用レバー42cを支持具42b、42b間にスプリング42dを介して、回動自在に設け、この固定用レバー42cが該保持具42に係合状態、又は開状態に操作して、該上開閉窓40aを固定状態、又は開状態に操作できる構成である。
【0032】
これにより、作業性の向上、及び破損防止等を行うことができる。
図14、及び図15で示すように、パワステレバー26d、及びパネル凸部26cの後方部で、ドアレバー43bの横側でハンドル43dの上側には、手首乗せ台43aを設け、この手首乗せ台43aの上側に運転作業者が手首を乗せて、運転操作ができる構成である。又、ストライカ43eはハンドル43d部と、ステップ乗降口前側をつないだ部分より、前側に位置させて設けた。
【0033】
これにより、前記ハンドル43dの下方部に、該手首乗せ台43aが位置していることにより、走行中に誤操作によるドア等の開放を防止できる。又、乗降が容易である。
図14、及び図15で示すように、前記操作室29の室内側のドアロック43eがパネル26eのパネル凸部26cより、外側へ位置させて設けると共に、ハンドル43dの下方に位置させて設けている。
【0034】
これにより、収穫作業中に運転作業者が前傾姿勢となり、足を前方に押し当てても、前記パネル凸部26cより、外側でハンドル43dの下方に足があることにより、足がドアロックを押すことを防止できる。
【0035】
前記操作室29の一方側には、図16で示すように、バックミラー44を設けている。このバックミラー44は、該操作室29の上硝子窓35と、前硝子窓37との接合部の上端部に、取付具45のコ字形状の取付板45aを設け、この取付板45aには、支持具45を設けている。この支持具45の支持パイプ45bの下部には、スプリング45cを内装して設けている。
【0036】
前記支持具45の該支持パイプ45bには、バックミラー44に設けた挿入軸44aを挿入し、この挿入軸44aに設けた止めピン44b部まで挿入し、下端部にダブルナット44cを螺挿入して、該バックミラー44を所定位置である、下端部を前方部へ向けて固定して設けた構成である。
【0037】
これにより、前記バックミラー44の自重により、このバックミラー44を所定位置へ確保ができる。又、美観の向上を図ることができる。更に、ノッチの廃止により、コストダウンになる。
【0038】
図17〜図19で示すように、操作装置(ボックス)46の表面板46aには、突出状態に各種スイッチ46bを設けると共に、該表面板46aには、発光LEシート47を設け、該発光LEシート47の表面、及び裏面には、各ラミネート48を施した構成である。
【0039】
これにより、前記操作装置(ボックス)46の該表面板46aには、該発光LEシート47を設けたことにより、夜間の農作業を危険なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】穀粒貯留タンクと、エンジンとの関係側面傾斜図
【図2】エンジンと、コンプレッサとの関係側面傾斜図
【図3】コンバインの左側全体側面図
【図4】操作室の枠組側面斜視図
【図5】操作室の枠組拡大側面斜視図
【図6】操作室部の拡大左側面図
【図7】図6の(B)−(B)拡大断面図
【図8】操作室部の右側各硝子窓の拡大背面図
【図9】操作室部と、ラジエータカバー部との右側の拡大側面図
【図10】操作室の右側枠組側面斜視図
【図11】操作室右側の側面図
【図12】操作室の横フレーム取付側面図
【図13】操作室の左側上・下窓の側面斜視図
【図14】手首乗せ台部の平面図
【図15】手首乗せ台部と、操縦席部との平面図
【図16】バックミラー取付部の拡大側面図
【図17】操作装置の発光LEシート部の平面図
【図18】操作装置の側面図
【図19】図17のB−B拡大断面図
【符号の説明】
【0041】
4 走行車台
7 穀粒貯留タンク
8 エンジン
8a クーリングファン軸
9 クランク軸
10 ギヤケース
11 排出用移送螺旋
12 穀粒流下案内板
13 コンプレッサ
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されるように、コンバインのキャビン内の操縦席の下側にエアコン用のエアコンプレッサを設け、エンジンの駆動力を、該エンジンに連結されたギヤケースを介して、穀粒貯留タンクの横送り螺旋に伝達して、駆動するように設けている。
【0003】
前記穀粒貯留タンクの下方には、流下板を傾斜して設け、該エンジンの機体後方に該ギヤケースを設け、該ギヤケースの機体後方における該穀粒貯留タンクの流下板の下方には、該コンプレッサを配置している。
【0004】
前記コンプレッサの入力軸を、駆動伝動手段を介して、該伝動ギヤケースから突設した駆動軸に連結し、該駆動軸により、該コンプレッサを駆動可能に設けている。
【特許文献1】特許第3633786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、コンバインの走行車台の上側には、穀稈を脱穀装置で脱穀した脱穀済み穀粒を一時貯留する穀粒貯留タンクを載置すると共に、該穀粒貯留タンクの前方部側にエンジンを載置して設け、又、エアコン用のコンプレッサを設け、該エンジンの駆動力を、該エンジンに連結された伝動ギヤケースを介して、該穀粒貯留タンクの横送り螺旋に伝達して、駆動するように設けている。
【0006】
前記穀粒貯留タンクの下方には、流下板を傾斜させて設け、該エンジンの機体後方に該ギヤケースを設け、該ギヤケースの機体後方における該穀粒貯留タンクの流下板の下方には、該コンプレッサを設けている。
【0007】
前記コンプレッサの入力軸を、駆動伝動手段を介して、該伝動ケースから突設した駆動軸に連結し、該駆動軸により、該コンプレッサを駆動可能に設けているが、これら構成が複雑であると共に、コストアップである。これらの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、走行車台(4)の上側に穀粒貯留タンク(7)を設け、該穀粒貯留タンク(7)の前側にエンジン(8)を設け、該エンジン(8)のクランク軸(9)から出力される回転動力を、穀粒貯留タンク(7)の下部に設けた排出用移送螺旋(11)と、穀粒貯留タンク(7)の底部に傾斜状態に設けた穀粒流下案内板(12)の下側のコンプレッサ(13)とに分岐伝動するギヤケース(10)を設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記コンプレッサ(13)をエンジン(8)の後部に形成した凹部(イ)に取り付け、該コンプレッサ(13)をエンジン(8)のクーリングファン軸(8a)から駆動する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、穀粒貯留タンク7の底部に傾斜状態に設けた穀粒流下案内板12の下側の空間を利用してコンプレッサ13を設置するために、走行車台4上のスペースを有効利用することができる。又、例えば穀粒貯留タンク7を機体外側方へ開放自在に構成すれば、コンプレッサ13のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0011】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、エンジン8及びコンプレッサ13からなる原動部をコンパクトに構成でき、エンジン8にコンプレッサ13を取付けることによって該エンジン8の振動とコンプレッサ13の振動とが同様となり、コンプレッサ13の入力軸に余分な荷重の掛かることを防止して耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行装置2左右両側の走行クローラ3上側には、走行車台4を設け、該走行車台4の前方部には、立毛穀稈を刈取りする刈取装置5を設け、該刈取装置5から刈取り穀稈の供給を受け、この穀稈を脱穀する脱穀装置6と、脱穀済み穀粒の供給を受けて、一時貯留する穀粒貯留タンク7、及びエンジン8等を該走行車台4の上側部に載置している。該エンジン8のクランク軸9より、出力される回転動力がギヤケース10内へ入力され、該ギヤケース10を介して、該穀粒貯留タンク7の下部に軸支内装した排出用移送螺旋11と、該穀粒貯留タンク7内の下部に傾斜状態に設けた、穀粒流下案内板12の傾斜部(A)下側に設けたコンプレッサ13等とを、回転駆動すべく設けた構成であり、これら該コンプレッサ13と、穀粒貯留タンク7と、ギヤケース10等の関係位置を主に図示して説明する。
【0013】
前記コンバイン1の走行車台4の下側には、図3で示すように、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3を張設した走行装置2を配設し、走行車台4の上側面に脱穀装置6を載置している。走行車台4の前方部の刈取装置5で立毛穀稈を刈取りして、後方上部に移送し、該脱穀装置6のフィードチェン14と、挟持杆15とで引継いで挟持移送しながら脱穀する。脱穀済みで選別済み穀粒は、該脱穀装置6の右横側へ配設した穀粒貯留タンク7内へ供給され、一時貯留される。
【0014】
前記走行車台4の前方部には、図3で示すように、立毛穀稈を分離するナローガイド16、及び各分草体17と、立毛穀稈を引起す各引起装置18と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置19の各掻込装置20と、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置21と、刈取りされた穀稈を挟持移送して、脱穀装置6のフィードチェン14と、挟持杆15とへ受渡しする穀稈掻込移送装置19の根元・穂先移送装置22・23等からなる刈取装置5を設けている。該刈取装置5は、油圧駆動による伸縮シリンダ24により、土壌面に対して昇降する。
【0015】
前記刈取装置5の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆25aの上端部に設ける支持パイプ杆25bを、走行車台4の上側面に設けた支持装置25cで回動自在に支持させている。該伸縮シリンダ24を作動させると該支持杆25aと共に、該刈取装置5が上下回動する。
【0016】
前記刈取装置5の該穀稈掻込移送装置19によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送する穀稈に接触作用することにより、該脱穀装置6への穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ5aを設けている。
【0017】
前記穀粒貯留タンク7側の前部には、図3で示すように、コンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置26aと、操縦席26bとを設け、この操縦席26bの下側には、クランク軸9を有するエンジン8を、該穀粒貯留タンク7の前方部側に位置させて載置している。該エンジン8の該クランク軸9より出力される回転動力がギヤケース10内へ入力される構成である。
【0018】
前記走行車台4の上側には、図1〜図3で示すように、脱穀装置6で脱穀済み穀粒の供給を受けて貯留する穀粒貯留タンク7を載置すると共に、該穀粒貯留タンク7の前方部にエンジン8を載置し、該エンジン8のクランク軸9より、出力される回転動力がギヤケース10内へ入力され、該ギヤケース10を介して、該穀粒貯留タンク7の下部へ軸支内装した排出用移送螺旋11と、該穀粒貯留タンク7下部に傾斜状態に設けた、穀粒流下案内板12の傾斜部(A)下側に設けたコンプレッサ13等とを、回転駆動すべく設けた構成である。
【0019】
上述の記載により、前記走行車台4の上側には、脱穀済み穀粒を貯留する穀粒貯留タンク7を設け、この穀粒貯留タンク7の前方側にエンジン8を設け、該エンジン8のクランク軸9より、出力される回転動力がギヤケース10へ入力され、該ギヤケース10を介して、該穀粒貯留タンク7の下部に設けた排出用移送螺旋11と、該穀粒貯留タンク7内下部に設けた穀粒流下案内板12の傾斜部(A)下側に設けたコンプレッサ13等とを、回転駆動すべく設けたことにより、該コンプレッサ13の設置のあきスペースを有効利用することができる。
【0020】
前記コンプレッサ13は、図1〜図3で示すように、該エンジン8の後側の凹部(イ)に位置させて該エンジン8に取り付けると共に、回転動力の出力は、クーリングファン軸8aより、出力すべく設けた構成である。
【0021】
前記コンプレッサ13は、該エンジン8の後側の凹部(イ)に位置させて設け、回転動力の出力は、クーリングファン軸8aから、出力すべく設けたことにより、該コンプレッサ13の配置をコンパクトにレイアウトできる。又、配管長を短縮することができる。更に、該エンジン8にコンプレッサ13を取付けることにより、振動体が同一であり、該コンプレッサ13の軸に余分な荷重の掛かることを防止できる。
【0022】
前記走行車台4の前端部に装架した走行用の該ギヤケース10内の伝動機構10aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ10bを設けている。
【0023】
前記穀粒貯留タンク7内へ貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク7の後側には、図3で示すように、縦移送螺旋27bを内装した排出支持筒27aを略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒27aの上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋28bを伸縮自在に内装した排出オーガ28aを伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設している。
【0024】
図4、及び図5で示すように、操作室29は、左天井板30d、中前・中後天井板30a、30bと、前横・前縦天井板31a、31bとを設けると共に、これらを接続する前・後接続パイプ32a、32bとを設け、該後接続パイプ32bと、該中後天井板30cと、後側の該後接続パイプ32bに設けた支持板32cとには、コ字形状の受板33aを設け、この受板33aの下側には、窓枠板34を設けている。
【0025】
前記前横・前縦天井板31a、31bには、図4、及び図5で示すように、ワークテンプ用ステー34aと、ルーフ取付ステー34bとを設けて、前記前横・前縦天井板31a、31bの強度アップを図った構成である。34cはガラス接着部材であり、又、補強部材にもなる構成である。
【0026】
これにより、強度アップと、シール性の確保、及び軽量化を図ることができる。
前記操作室29を形成する窓の左側の上部には、図6〜図8で示すように、開閉方式で外周部に着脱自在な上防塵材35aを装着した上硝子窓35と、下部には、固定方式で外周部に接着剤で下防塵材36aを固着した下硝子窓36と、前部には、固定方式で外周部に接着剤で前防塵材37aを固着した前硝子窓37とを設けて、該操作室29を形成した構成である。又、取付けは、図8で示すように、上下方向で下部の取付部38をボルト、及びナット等により、装着する構成である。
【0027】
これにより、廉価でシール性、及び強度の確保ができる。又、美観の向上を図ることができる。更に、組付けが容易である。
前記操作室29の下側のラジエータ39の内側部には、図9、及び図10で示すように、シール部材39aを設けている。
【0028】
これにより、シール性の向上、及び組立工数の低減等を図っている。
前記操作室29には、図11で示すように、上開閉窓40aの下部と、下開閉窓40bの上部との一部を重合状態に設けると共に、両者を上下移動自在に設けた構成である。又、ロック装置40cを設けている。このロック装置40cが位置する箇所には、切欠部40dを設けた構成である。
【0029】
これにより、前記上開閉窓40aと、該下開閉窓40bとの両者を上下開閉自在に設けてことにより、作業性の向上を図ることができた。又、該切欠部40dを設けたことにより、開口を大きくすることができる。
【0030】
前記操作室29には、図12で示すように、この操作室29の後方下部に設けた、クラッチボックス41の上側面で、この操作室29の後方部から、前硝子窓37の後側部までの間に、断面形状が四角形状、又は丸形状の横フレーム41aを設け、該操作室29を補強した構成である。
【0031】
これにより、前記操作室29の補強が、干渉回避、構成簡略、視界性向上、作業性向上を図ったことができる。
前記操作室29に設けた上開閉窓40aの前後方向の略中央下部には、図13で示すように、コ字形状の保持具42をボルト42a等で装着して設けると共に、横フレーム41aには、固定用レバー42cを支持具42b、42b間にスプリング42dを介して、回動自在に設け、この固定用レバー42cが該保持具42に係合状態、又は開状態に操作して、該上開閉窓40aを固定状態、又は開状態に操作できる構成である。
【0032】
これにより、作業性の向上、及び破損防止等を行うことができる。
図14、及び図15で示すように、パワステレバー26d、及びパネル凸部26cの後方部で、ドアレバー43bの横側でハンドル43dの上側には、手首乗せ台43aを設け、この手首乗せ台43aの上側に運転作業者が手首を乗せて、運転操作ができる構成である。又、ストライカ43eはハンドル43d部と、ステップ乗降口前側をつないだ部分より、前側に位置させて設けた。
【0033】
これにより、前記ハンドル43dの下方部に、該手首乗せ台43aが位置していることにより、走行中に誤操作によるドア等の開放を防止できる。又、乗降が容易である。
図14、及び図15で示すように、前記操作室29の室内側のドアロック43eがパネル26eのパネル凸部26cより、外側へ位置させて設けると共に、ハンドル43dの下方に位置させて設けている。
【0034】
これにより、収穫作業中に運転作業者が前傾姿勢となり、足を前方に押し当てても、前記パネル凸部26cより、外側でハンドル43dの下方に足があることにより、足がドアロックを押すことを防止できる。
【0035】
前記操作室29の一方側には、図16で示すように、バックミラー44を設けている。このバックミラー44は、該操作室29の上硝子窓35と、前硝子窓37との接合部の上端部に、取付具45のコ字形状の取付板45aを設け、この取付板45aには、支持具45を設けている。この支持具45の支持パイプ45bの下部には、スプリング45cを内装して設けている。
【0036】
前記支持具45の該支持パイプ45bには、バックミラー44に設けた挿入軸44aを挿入し、この挿入軸44aに設けた止めピン44b部まで挿入し、下端部にダブルナット44cを螺挿入して、該バックミラー44を所定位置である、下端部を前方部へ向けて固定して設けた構成である。
【0037】
これにより、前記バックミラー44の自重により、このバックミラー44を所定位置へ確保ができる。又、美観の向上を図ることができる。更に、ノッチの廃止により、コストダウンになる。
【0038】
図17〜図19で示すように、操作装置(ボックス)46の表面板46aには、突出状態に各種スイッチ46bを設けると共に、該表面板46aには、発光LEシート47を設け、該発光LEシート47の表面、及び裏面には、各ラミネート48を施した構成である。
【0039】
これにより、前記操作装置(ボックス)46の該表面板46aには、該発光LEシート47を設けたことにより、夜間の農作業を危険なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】穀粒貯留タンクと、エンジンとの関係側面傾斜図
【図2】エンジンと、コンプレッサとの関係側面傾斜図
【図3】コンバインの左側全体側面図
【図4】操作室の枠組側面斜視図
【図5】操作室の枠組拡大側面斜視図
【図6】操作室部の拡大左側面図
【図7】図6の(B)−(B)拡大断面図
【図8】操作室部の右側各硝子窓の拡大背面図
【図9】操作室部と、ラジエータカバー部との右側の拡大側面図
【図10】操作室の右側枠組側面斜視図
【図11】操作室右側の側面図
【図12】操作室の横フレーム取付側面図
【図13】操作室の左側上・下窓の側面斜視図
【図14】手首乗せ台部の平面図
【図15】手首乗せ台部と、操縦席部との平面図
【図16】バックミラー取付部の拡大側面図
【図17】操作装置の発光LEシート部の平面図
【図18】操作装置の側面図
【図19】図17のB−B拡大断面図
【符号の説明】
【0041】
4 走行車台
7 穀粒貯留タンク
8 エンジン
8a クーリングファン軸
9 クランク軸
10 ギヤケース
11 排出用移送螺旋
12 穀粒流下案内板
13 コンプレッサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車台(4)の上側に穀粒貯留タンク(7)を設け、該穀粒貯留タンク(7)の前側にエンジン(8)を設け、該エンジン(8)のクランク軸(9)から出力される回転動力を、穀粒貯留タンク(7)の下部に設けた排出用移送螺旋(11)と、穀粒貯留タンク(7)の底部に傾斜状態に設けた穀粒流下案内板(12)の下側のコンプレッサ(13)とに分岐伝動するギヤケース(10)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記コンプレッサ(13)をエンジン(8)の後部に形成した凹部(イ)に取り付け、該コンプレッサ(13)をエンジン(8)のクーリングファン軸(8a)から駆動する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項1】
走行車台(4)の上側に穀粒貯留タンク(7)を設け、該穀粒貯留タンク(7)の前側にエンジン(8)を設け、該エンジン(8)のクランク軸(9)から出力される回転動力を、穀粒貯留タンク(7)の下部に設けた排出用移送螺旋(11)と、穀粒貯留タンク(7)の底部に傾斜状態に設けた穀粒流下案内板(12)の下側のコンプレッサ(13)とに分岐伝動するギヤケース(10)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記コンプレッサ(13)をエンジン(8)の後部に形成した凹部(イ)に取り付け、該コンプレッサ(13)をエンジン(8)のクーリングファン軸(8a)から駆動する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−77672(P2009−77672A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250548(P2007−250548)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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